トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 窒素酸化物の分解除去用触媒A及び窒素酸化物の分解除去方法
【発明者】 【氏名】内田 洋

【氏名】安田 勇

【氏名】横井 泰治

【氏名】岡田 治

【氏名】角本 輝充

【氏名】中山 敏郎

【氏名】来栖 知恵

【氏名】大塚 浩文

【氏名】中村 泰久

【氏名】石川 秀征

【氏名】川▲崎▼ 春次

【要約】 【課題】固定発生源であれ或は移動発生源であれ、また燃料由来であれ或は燃焼空気由来であれ、全ての燃焼機器の排ガス中のNO就中NOを還元剤無しに高温で直接分解し除去する実用的な高活性分解触媒、並びに酸素及び水蒸気を含有する排ガスにこの触媒を用いる実用的な脱硝方法を提供する。

【解決手段】組成が一般式AM1−x3+−z(Aはアルカリ土類金属、Mは鉄族、Eはバナジウム族金属から選ばれた各1種類)で表され、好ましくは結晶構造がペロブスカイト型である金属複合酸化物を少なくとも1種類、触媒活性成分として含む窒素酸化物分解触媒を用いる。この触媒は水蒸気による被毒に対する耐久性が良く、水蒸気を含有する排ガスを脱湿・乾燥せずにまた還元剤を添加せずに直接この触媒に酸素共存下または無酸素下において600℃−1000℃で接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】窒素酸化物分解触媒の活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類の組成が、一般式AM1−x3+−z(但しAはアルカリ土類元素から選ばれた1種類の金属、Mは鉄族元素から選ばれた1種類の金属、Eはバナジウム族元素から選ばれた1種類の金属、0<x<1、zは常温大気圧時における金属酸化物の酸素欠陥数或いは酸素過剰数)で表されることを特徴とする分解触媒。
【請求項2】 触媒活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類が、BaFeOペロブスカイト型結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載の分解触媒。
【請求項3】 触媒活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類が、BaFe1−xNb(但し0<x<1)で表される組成を有することを特徴とする請求項1または2記載の分解触媒。
【請求項4】 還元剤の非存在下で、窒素酸化物を温度500℃−900℃において請求項1、2または3記載の分解触媒と酸素の非存在下で接触させることを特徴とする直接分解による窒素酸化物の除去方法。
【請求項5】 還元剤の非存在下で、窒素酸化物を温度500℃−900℃において請求項1、2または3記載の分解触媒と酸素の存在下で接触させることを特徴とする直接分解による窒素酸化物の除去方法。
【請求項6】 還元剤の非存在下で、窒素酸化物を温度500℃−900℃において請求項1、2または3記載の分解触媒と酸素及び水蒸気の共存下で接触させることを特徴とする直接分解による窒素酸化物の除去方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場或いは家庭等の固定発生源または自動車等の移動発生源から排出される窒素酸化物NO、特に一酸化窒素NOを、還元剤なしに直接分解して除去する触媒、並びにこれを用いた窒素酸化物の分解除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒素酸化物の除去技術には、アンモニア、炭化水素類等を還元剤として用いてNOを還元除去する方法と、還元剤非存在下でNOを直接的にNとOとに分解する直接分解法がある。前者の代表例としてはアンモニア選択的接触還元法(SCR)があり、工場ボイラーの排煙等の固定発生源におけるNO除去に実用化されているが、移動発生源での脱硝方法としては実用的ではない。
【0003】また、空燃比(空気と燃料の重量比)を最適に保ちながら燃焼するストイキ燃焼により、排ガス中のNO、CO、未燃炭化水素類の3成分を同時に除去する三元触媒法(TWC)も、COや炭化水素を還元剤とする還元除去法であると考えられる。この方法では、Rh−Pt系触媒を用いることにより高い脱硝率が得られており、移動発生源を含めた広い範囲に適用されている。しかし、ストイキ燃焼法は高効率、省エネルギー性の点で不利である。他方、空燃比の大きい稀薄燃焼法は、ストイキ燃焼に比べて燃焼効率が高く、省エネルギー性の面で燃焼技術としては有利である。しかし、希薄燃焼の排ガス中には大量のOが存在するためRh−Pt系触媒は脱硝性能を示さない。
【0004】酸素が存在する排ガス中のNOを還元除去する方法については、従来アンモニアを還元剤として用いる方法以外になかったが、近年炭化水素を還元剤とする脱硝方法が、低い脱硝率ながらも実用化され始めている。しかしながら、これらの還元脱硝法は、排ガス組成(NO濃度、O濃度、還元剤量、その他)によって脱硝性能が大きく変動するので、実用的な脱硝率を確保するためには、還元剤の添加率や燃焼状態を制御するための設備を必要とする。
【0005】還元剤の非存在下でNOを直接的にNとOとに分解する直接分解法は、脱硝性能が排ガス組成に依存しないため、簡単な脱硝システムを構成することが可能である。従って、排ガス発生源である燃焼器の種類も特定のものに限られず適用範囲が広い。しかし、酸素が10容量%程度も残存する稀薄燃焼ガソリンエンジンの排ガスやディーゼルエンジンの排ガスを浄化する場合のような酸素存在下でのNOの直接分解は極めて困難である。実験室レベルでは、ZSM−5ゼオライトに銅、Ga、Ce等を添加した金属担持ゼオライト触媒(例えば特公昭60−12909号公報)が提案されているが、この触媒は酸素非存在下では高活性であっても酸素存在下では著しく活性が低下する。
【0006】別の直接分解触媒としてペロブスカイト型金属酸化物が提案されており(寺岡靖剛、鹿川修一ら、触媒33(2)73−76(1991))、これは600℃以上の高温でも活性及び耐久性が優れており、また触媒単位重量当たりの活性が高いことが知られている。中でも、組成がLa0.8Sr0.2CoOで示されるペロブスカイト型金属酸化物は、最高の単位重量当たりの活性を有することが知られている。また、KNiF型結晶構造を有するLa1.6Sr0.4CuOは、単位表面積当たりの活性が最高であることが知られている(安田弘之、御園生誠ら、触媒33(2)69−72(1991))。
【0007】しかし、従来知られているペロブスカイト型酸化物の触媒活性は、未だ実用レベルに達していない。特に、技術的要請の高い酸素存在下でのNOの直接分解に関しては、前記La0.8Sr0.2CoOでも、含有酸素5容量%の下で反応温度800℃で高々転化率10%程度を示すに過ぎない。
【0008】本発明者らは、NOの直接分解におけるペロブスカイト型金属酸化物の実用的触媒活性の向上について研究開発を重ね、先に幾つかの金属酸化物について特許出願した(特願平9−193570号)が、更に排ガス成分による被毒に対する耐久性の強い触媒が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、全ての燃焼機器の排ガス中のNO、特にNOを還元剤なしに直接分解して除去できる実用的で高活性の触媒を提供することを課題とする。また本発明はこの被毒耐久性の高い触媒を用いた実用的な排ガス脱硝方法の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、BaFeOペロブスカイト型酸化物のFeサイトをNbで部分的に置換した三元ペロブスカイト型複合酸化物を用いて、上記課題が解決される。即ち本発明は、窒素酸化物分解触媒の活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類の組成が、一般式AM1−x3+−z(但しAはアルカリ土類元素から選ばれた1種類の金属、Mは鉄族元素から選ばれた1種類の金属、Eはバナジウム族元素から選ばれた1種類の金属、0<x<1、zは常温大気圧時における金属酸化物の酸素欠陥数或いは酸素過剰数)で表されることを特徴とする分解触媒の発明である。
【0011】また本発明は、触媒活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類の組成が上記一般式で表されると共に、好ましくは上記金属複合酸化物のうち少なくとも1種類の結晶構造が、BaFeOペロブスカイト型結晶構造を有することを特徴とする分解触媒の発明である。
【0012】第2の本発明は、還元剤の非存在下で、窒素酸化物を上記分解触媒と温度範囲500℃−900℃で酸素の存在下または非存在下において接触させることを特徴とする窒素酸化物の直接分解による除去方法の発明である。
【0013】更に第3の本発明は、還元剤の非存在下で、窒素酸化物を上記分解触媒と温度範囲500℃−900℃で酸素及び水蒸気の共存下で接触させることを特徴とする窒素酸化物の直接分解による除去方法の発明である。
【0014】本発明において、一般式中のAは、アルカリ土類元素から選ばれた1種類の金属、即ちCa、SrまたはBaの何れかであり、Raはこの類に属するが放射性を有する点で実用上好ましくない。アルカリ土類元素に属する金属は、ペロブスカイト型結晶構造を生じ易いイオン半径を有している。
【0015】本発明において、一般式中のMは、鉄族元素から選ばれた1種類の金属、即ちFe、CoまたはNiの何れかであり、化学的性質が互いに類似している。
【0016】本発明において、一般式中のEは、土酸金属( earth-acid metal )とも呼ばれるバナジウム族元素から選ばれた1種類の金属、即ちV、NbまたはTaの何れかである。ここでEは、結晶格子においてMの一部を置換する関係にあり、置換の分率をxで表示する。従って0<x<1であり、x=0またはx=1では充分な脱硝性能が得られない。
【0017】本発明におけるペロブスカイト型構造は、基本的な結晶構造としては灰チタン石( perovskite 、CaTiO )で代表される化学式ABXの化合物が有する立方晶系に属する結晶構造の一形式を意味する。ただし、本発明ではそれぞれCa、またはTiの一部または全部を置換する金属の原子半径によって結晶格子に多少の歪みが生じている結晶構造も含めて、BaFeO型構造の包括的名称として上記名称を用いる。
【0018】一般にNOが直接的にNとOとに分解する際に、分解で生成したO或いは排ガス中のOによって触媒表面が被覆される傾向があるが、ペロブスカイト型酸化物は容易に吸着酸素の離脱を起こすため、このような被覆が比較的起こり難い。
【0019】またペロブスカイト型複合酸化物では、含有される遷移金属の酸化数が変動する酸化還元反応( redox 反応)が起こり易く、ペロブスカイト型酸化物は酸化還元反応が迅速且つ定常的に進行するように作用する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の触媒は、活性成分である金属複合酸化物のうち少なくとも1種類の組成が、一般式AM1−x3+−zで表される遷移金属複合酸化物を活性成分として含む触媒であり、中でもAがBa、MがFe、EがNbである場合が特に好ましい。
【0021】活性成分の組成が上記一般式で表されるように調製された遷移金属複合酸化物は、事実上種々の結晶構造を持つ酸化物の混合物として得られることが多いが、少なくとも1種類の酸化物が前記の包括的意味のペロブスカイト型構造を有するものであれば好ましい。X線回折のピークに少なくともペロブスカイトのピークが存在し、これと共にペロブスカイト以外の酸化物に由来するピークが混在しているものも活性を有するが、中でもペロブスカイト相のみで構成されている単相ペロブスカイトが特に活性が高い。但し、結晶構造のみペロブスカイト型構造を有していても、組成が前記一般式に該当する複合酸化物でなければ、本発明の課題は達成されない。
【0022】既知の複合酸化物では、前記一般式中AがBa、MがFe、x=0に相当するBaFeOがペロブスカイト型構造を持つことが知られている。前記一般式で表される本発明の複合酸化物は、BaFeOペロブスカイト型酸化物のFeサイトの一部分がNbで置換された構造を有し、焼成その他の製造条件を制御することによりペロブスカイト型構造をとることができる。
【0023】本発明の触媒は、硝酸塩など水溶性金属塩類或はハロゲン化物などアルコ−ル溶解性金属塩類の加温溶液を回転噴霧器(ロータリー・アトマイザー)等によりミスト状態とし、例えば電気炉等の加熱空間を通過させることにより熱分解し、得られた粉末を600℃−1000℃の高温において焼成することにより製造することができる。
【0024】上記ミストは、それぞれ1種類の溶解性金属塩を含む複数の溶液を同時にスプレーして生成しても良く、また塩類が沈澱しない範囲で所定の割合に予め混合した溶液をスプレードライヤーを用いてミストにしても良い。
【0025】焼成温度は、酸化物がペロブスカイト型構造を採るようにするため600℃以上が好ましい。また焼成温度は、触媒の使用時の安定性、耐久性を保持するために、使用温度より高い温度であることが好ましい。しかし脱硝すべき排ガスの排出源や排出状態により触媒の使用温度が広範囲に亘るので、触媒の焼成温度は一概に限定できない。
【0026】ペロブスカイト型構造を生じる所定の温度以上で焼成すれば、ペロブスカイト型構造が変化することは少ない。しかし、焼成中に結晶内部の結晶欠陥に存在する遷移金属が固相拡散等により表面へ移動してくるので、触媒表面の組成が微妙に変化する。従って、焼成温度により活性が異なることがあり、1000℃を超えると概して活性が高いものを得難い。実施に当たっては、排ガスの状態に応じて最適な焼成温度を実験により選択する必要がある。
【0027】金属塩の溶液を混合し、塩類の沈澱を共沈させて乾燥し、或いは混合溶液の全量を乾燥して前駆体を作り、これらの固形物を850℃−1000℃で焼成する溶液法で得た触媒は、BET法で測定した比表面積が1−5m/gであった。これに比べ、塩類の溶液に尿素、ショ糖、或いはリンゴ酸等の有機酸を添加剤として添加し、上記の所謂溶液スプレー法で得た触媒の比表面積は7−10m/gであった。
【0028】このようにして製造した触媒活性成分を、そのまま又は適当な粘結剤等の成形助剤と共にペレット状に押出成形或は圧縮成形、またはハニカム状等に押出成形して使用しても良いが、当業界周知の担体に担持させて使用しても良い。
【0029】本発明の触媒は、排ガスにアンモニアや炭化水素等の還元剤を添加することなしに、排ガス中の窒素酸化物を直接的に分解することができる。特に、排ガス中に10容量%程度の酸素を含む場合であっても、従来知られている直接分解触媒に比べて、酸素による触媒の被毒が格段に軽微であり、窒素酸化物の分解率が高い。従って、排ガスから予め酸素を除去することなしに、または酸素含有率の高い排ガスをそのまま本発明の触媒と接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去することができる。
【0030】更に、排ガス中に酸素のみならず水蒸気を含む場合、既知の直接分解触媒であるCu−ゼオライト系触媒は水蒸気により被毒されて劣化するため、脱硝性能を示さなかった。また従来知られているLa0.8Sr0.2CoOペロブスカイト型触媒も水蒸気が存在すると僅かな脱硝性能を示すにとどまった。
【0031】これに対して、本発明の触媒は水蒸気による被毒が格段に軽微であり、酸素及び水蒸気の共存下においても窒素酸化物の分解率が高い。従って、酸素及び水蒸気の含有率が高い排ガスを脱水乾燥等の前処理に付すこと無しに、そのまま本発明の触媒と接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去することができる。
【0032】分解触媒と排ガスとの接触は、当業界に周知の充填層式或いは棚段式等の固定床流通型反応器、または本発明の触媒が単位重量当たりの活性が高い利点を活用して流動床型反応器により行うことができる。また、排出源の種類や規模に応じて種々の実用的形態を採ることができ、本発明は接触の実施態様である脱硝反応器の形式等には限定されない。
【0033】本発明の触媒と排ガスとの接触温度は、分解活性の高い500℃−900℃が好ましい。例えばバナジウム−チタン系触媒による工場排ガスの処理温度が300℃−400℃、ガソリンエンジン等の排ガス処理温度が400℃−450℃であるのに対して、本発明の触媒による窒素酸化物の脱硝処理における作動温度は高温である点に特色があり、冷却手段等を用いて予め排ガス温度を下げる操作は不要である。
【0034】本発明を更に具体的に説明するために実施例を記載するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、ここでガスの組成を示す%は全て容量%であり、触媒及び原料、中間体の組成を示す%は全て重量%である。また触媒の分解活性は、NOのNへの転化率で表し、数式1により計算する。
【0035】
【数1】分解率=2[N]out /[NO]inここで[N]out は反応器出口ガスのN濃度[NO]in は反応器入口ガスのNO濃度【0036】[実施例1]
触媒の調製例1五塩化ニオブNbCl、三塩化鉄FeCl、臭化バリウムBaBrの各0.4Mエタノール溶液を当量比で0.4:0.6:1の割合で用意し、添加剤を加えて室温で混合した。これを350℃に加温しつつ回転噴霧器へ供給し、噴霧量を100cm/分に調整したノズルから断熱的に120℃で酸素含有率が爆発限界以下の窒素気流中へスプレーして、霧状態で350℃に保持した電気炉の中を落下させ、生成した粉体を炉の下部に設けたサイクロンで捕集して原料粉末を得た。この原料粉末を空気中で650℃で1時間仮焼し、次いで850℃で5時間焼成して触媒活性成分BaFe0.6Nb0.4の粉末を得た。このもののX線結晶解析により、この触媒成分がペロブスカイト型結晶構造を持つことを確認した。この粉末を500kgf/cmの圧縮力で等方圧成形し、得られたペレットを粉砕し分級して粒度が0.31mm−0.71mmの顆粒状になった本発明の触媒BaFe0.6Nb0.4を得た。この触媒成分の比表面積は、上記顆粒の液体窒素温度におけるN吸着量からBET法により測定し、8m/gであった。
【0037】触媒の調製例2上記エタノール溶液を用い、当量比を変えてFe/Nbが0.8/0.2に該当する本発明の触媒を得た。
【0038】分解活性の評価1内径10mmの円筒形充填層型反応器に上記触媒5.0gを充填し、反応器外壁を電熱により加熱して触媒層の温度を所定に保ちながら、1%NO含有Heガス(即ち酸素非存在下)を接触時間W/F=3.0g・sec/cmとなる流量で流した。出口ガスのN濃度をガスクロマトグラフ分析計により測定し、数式1によりNOからNへの転化率として計算し、表1に示した。なおW/Fは触媒単位重量当たりの触媒活性を表示する接触時間の次元を持ち、数式2により計算される。
【0039】
【数2】W/F=触媒重量(g)/反応器流入ガス流速(cm/sec)=[g][sec]/[cm
【0040】分解活性の評価2上記評価1に用いたガス90%に酸素10%を混合し、ガス組成としてNOが9000ppm、Oが10%、残りがHeからなる混合ガス(即ち酸素共存下での評価)に変更した。それ以外は上記評価1と同様にして分解活性を調べ、結果を表1に示した。
【0041】分解活性の評価3ガス組成を上記評価2で用いた混合ガス90%と水蒸気10%を混合したガスに変更し、ガスの接触時間がドライベースで上記と同じになる(即ちNOの接触時間を等しくする)ように流速を増加させた以外は上記評価1と同様にして、分解活性を調べ、結果を表1に示した。
【0042】本発明の触媒は、温度700℃−800℃における上記評価結果から、酸素非存在下では既知のペロブスカイト型触媒より格段に高いNO分解率を示し、しかも分解活性が温度と共に明らかに増進する傾向が窺われる。また、酸素の存在下においても本発明の触媒は既知のペロブスカイト型触媒の数倍の活性を持つことが判る。更に水分を含有する排ガスについても、本発明の触媒は既知のペロブスカイト型触媒の数倍の活性を持ち、この活性は温度800℃においては一応の実用レベルにあることが判る。
【0043】[比較例1]本発明の一般式BaFe1−xNbのx=0に相当するペロブスカイト型金属酸化物BaFeOを、実施例1と同様にして調製し、実施例1と同様に活性評価を行い、結果を表1に示した。分解活性は本発明の触媒に遠く及ばないことが判る。
【0044】[比較例2]La硝酸塩、Sr硝酸塩、及びCo硝酸塩の各0.4M水溶液を用いた以外は実施例と同様に調製して得られた比表面積4.9m/gを有する既知のペロブスカイト型金属酸化物であるLa0.8Sr0.2CoOを用い、実施例と同様に活性評価を行い、結果を表1に示した。上記比較例1の金属酸化物と比べてかなり活性が高いが、本発明の触媒と比べると、酸素非存在下、酸素存在下、酸素及び水蒸気共存下のいずれにおいても活性に著しい差が見られる。
【0045】
【表1】

【0046】
【発明の効果】本発明の窒素酸化物分解触媒は、還元剤を使用せずにNOを高い分解率で直接NとOに分解することができるので、脱硝性能が排ガスの組成や燃焼器の種類に依存せず、幅広い適用が可能である。また還元剤使用のランニングコストや還元剤添加制御装置等の装備が不要であり、経済的にも優れている。
【0047】本発明の窒素酸化物分解触媒は、酸素存在下でも活性の低下が比較的緩やかであり、排ガス中にかなり高い含有率で酸素を含む空燃比の高いエンジン等から排出されるNOの直接分解除去に適している。
【0048】本発明の窒素酸化物分解触媒は、酸素のみならず水蒸気も共存する排ガス中のNOを直接分解できる。既知の、例えばCu−ゼオライト系触媒では、水蒸気により触媒が被毒し劣化するので、予め脱湿により乾燥させた排ガスでなければこの触媒と接触させることができない。しかし、炭化水素を燃焼させた排ガスは炭酸ガスと共に必然的に水蒸気を含むが、本発明の触媒は水蒸気により被毒しないため、化石燃料の燃焼排ガス等の水蒸気を含む排ガスを脱湿せずに、直接脱硝処理するのに適している。
【0049】本発明による窒素酸化物の分解除去方法では、酸素及び水蒸気が共存する排ガスを高温で接触させることができる触媒を用い、しかもこの触媒が水蒸気で劣化を起こさない。従って、本発明の窒素酸化物分解除去方法を用いた排ガス処理装置は、極めてコンパクトに構成することができ、実用的価値が高く、広範囲な用途に適用される可能性が大きい。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
【識別番号】000196680
【氏名又は名称】西部瓦斯株式会社
【出願日】 平成10年(1998)6月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳澤 孝成
【公開番号】 特開平11−342336
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−151720