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【発明の名称】 直動機構を持つ処理容器を備えた処理装置
【発明者】 【氏名】原 一敬

【氏名】堀内 雅彦

【要約】 【課題】処理容器内のガイド機構を少なくして、処理対象物の加熱による熱歪の影響を受けにくい処理容器を備えた処理装置を提供すること。

【解決手段】両端が処理容器1の壁を貫通して外部に至る2本の駆動用支軸2a(2b)を有し、その両側には、これらを容器内で並進移動させるためのリニアモータ4a(4b)を設ける。容器内では、基板8の保持台6を支持枠13を介して駆動用支軸で支持する。駆動用支軸が容器の壁を貫通する箇所では、容器内の気密性を保つように真空ベローズ5a、5bを設ける。保持台は、処理容器内において、駆動用支軸と同じ方向に延びる1本のガイド機構17で支持枠を介して走行が案内される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気密状態を維持される処理容器と、前記処理容器内に配置され、両端がそれぞれ前記処理容器の壁を貫通して外部まで導出された2本の駆動用支軸と、前記2本の駆動用支軸が前記処理容器の壁を貫通する箇所において、前記2本の駆動用支軸がその軸方向に並進移動可能なように、かつ前記処理容器内の気密性が保たれるように、前記処理容器内と外部とを隔離する気密機構と、前記2本の駆動用支軸の少なくとも一端側に取り付けられ、前記2本の駆動用支軸をそれぞれ前記処理容器に対して独立して軸方向に移動させることのできるリニアモータによる2つの駆動機構と、前記処理容器内において、前記2本の駆動用支軸で支持され、処理対象物を保持する保持台と、前記処理容器内において、前記2本の駆動用支軸と同じ方向に延びて前記2つの駆動機構により駆動される前記保持台の走行を案内する1本のガイド機構とを含むことを特徴とする直動機構を持つ処理容器を備えた処理装置。
【請求項2】 前記保持台は、前記2本の駆動用支軸に固定された支持枠を介して前記2本の駆動用支軸で支持されており、前記支持枠の下部を、前記処理容器の底部に配置した前記ガイド機構で案内するように構成していることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】 前記処理容器の内壁及び前記保持台のうち、少なくとも前記保持台に、前記処理対象物を加熱するための加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理容器内において処理対象物を保持する保持台を移動させる直動機構を持つ処理容器を備えた処理装置に関する。この種の処理装置は、特に、レーザアニーリング装置のように、処理容器内の真空あるいは不活性ガスの雰囲気中でガラス等の処理対象物に対してレーザ光による処理を行う装置に適している。
【0002】
【従来の技術】この種の処理装置の一例として、レーザアニーリング装置について説明する。レーザアニーリング装置によりレーザアニールをおこなう際には、処理対象物を保持台で保持して真空容器内に配置し、石英窓を通して処理対象物表面にレーザ光を照射する。真空容器内で保持台を移動させることにより、処理対象物表面の広い領域に順次レーザ光を照射することができる。
【0003】保持台には、真空容器の外部まで導出された2本の駆動軸が取り付けられており、真空容器内に配置されたサーボモータとボールねじの組み合わせによる駆動機構により移動可能にされている。保持台はまた、真空容器内に配置された2本のガイド機構により移動に際しての案内が行われる。なお、真空容器の外側の駆動軸と真空容器の壁との間には、気密機構としてベローズが取り付けられ、真空容器の気密性が保たれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】レーザアニールの効果を安定して得るために、処理対象物を加熱する場合がある。このため、保持台にはヒータが埋め込まれている。保持台を加熱すると、熱歪により、2本のガイド機構の摺動部に余分な力が加わる。この余分な力のために、保持台が移動しにくくなり、極端な場合には移動不能になることがある。
【0005】また、これまでの駆動機構は、サーボモータとボールねじの組み合わせによるものであるので、バックラッシュが存在し、保持台の高精度の位置決め及び高速応答性を得ることが困難である。
【0006】そこで、本発明の課題は、処理容器内のガイド機構を少なくして、処理対象物の加熱による熱歪の影響を受けにくい処理容器を備えた処理装置を提供することにある。
【0007】本発明の他の課題は、保持台の高精度の位置決め及び高速応答性を得ることのできる処理容器を備えた処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、気密状態を維持される処理容器と、前記処理容器内に配置され、両端がそれぞれ前記処理容器の壁を貫通して外部まで導出された2本の駆動用支軸と、前記2本の駆動用支軸が前記処理容器の壁を貫通する箇所において、前記2本の駆動用支軸がその軸方向に並進移動可能なように、かつ前記処理容器内の気密性が保たれるように、前記処理容器内と外部とを隔離する気密機構と、前記2本の駆動用支軸の少なくとも一端側に取り付けられ、前記2本の駆動用支軸をそれぞれ前記処理容器に対して独立して軸方向に移動させることのできるリニアモータによる2つの駆動機構と、前記処理容器内において、前記2本の駆動用支軸で支持され、処理対象物を保持する保持台と、前記処理容器内において、前記2本の駆動用支軸と同じ方向に延びて前記2つの駆動機構により駆動される前記保持台の走行を案内する1本のガイド機構とを含むことを特徴とする直動機構を持つ処理容器を備えた処理装置が提供される。
【0009】なお、前記保持台は、前記2本の駆動用支軸に固定された支持枠を介して前記2本の駆動用支軸で支持されており、前記支持枠の下部を、前記処理容器の底部に配置した前記ガイド機構で案内するように構成している。
【0010】また、前記処理容器の内壁及び前記保持台のうち、少なくとも前記保持台に、前記処理対象物を加熱するための加熱手段が設けられる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の好ましい実施の形態による処理容器の概略平断面図を示し、図2は図1の線A−Aによる概略断面図を示す。また、図3は図2の線B−Bによる概略断面図を示す。
【0012】内部を真空排気可能な処理容器1の内部に、直動機構を構成するための駆動用支軸2a及び2bが互いに平行に配置されている。駆動用支軸2a及び2bの両端は、処理容器1の側壁を貫通して外部まで導出されている。処理容器1は真空排気され、場合によってはその後に不活性ガスが導入される。処理容器1はまた、図示しない基台上に固定されている。
【0013】駆動用支軸2a及び2bの両端部はそれぞれ、支持用の構造体3を介してリニアガイド機構を備えたリニアモータ4a、4bに連結されている。これらのリニアモータ4a、4bにより駆動用支軸2a及び2bはその軸方向に互いに独立して駆動可能にされている。
【0014】駆動用支軸2a及び2bの各々の処理容器1の外に導出された部分には、気密機構として真空ベローズ5a、5bが被せられている。真空ベローズ5a、5bの一端はそれぞれ処理容器1の側壁に取り付けられ、他端は構造体3に取り付けられている。このような真空べローズ5a、5bにより、処理容器1の気密性が保たれる。
【0015】処理容器1内には保持台6が配置されている。保持台6は、駆動用支軸2a及び2bにより支持されており、この支持構造については後述する。保持台6の上面には複数のピン7が突出しており、アニール処理されるガラス等の基板8がピン7の上に載置される。保持台6にはヒータが内設(図示せず)され、このヒータにより基板8が加熱される。保持台6の下面には遮熱板9が設けられている。保持台6、遮熱板9は支持板10により支持されている。なお、ヒータは処理容器1の内壁、例えば天井内壁に設けられても良いし、保持台6の移動する下部域に配設されても良い。いずれにしても、ヒータの下側には、保持台6を支持している機構の移動を妨げないようにして水冷板12が設けられ、水冷板12よりも下側の処理容器1内の空間の温度上昇を抑制するようにしている。処理容器1の上面には石英窓1−1が設けられており、石英窓1−1を通して処理容器1内に光学系からのレーザ光が導入される。
【0016】リニアモータ4a、4bを駆動して駆動用支軸2a及び2bをその軸方向に並進移動させることにより、処理容器1内で保持台6と共に基板8を移動させることができる。保持台6を移動させるためのリニアモータ4a、4bの駆動制御については詳しい説明を省略するが、リニアモータ4a、4bの側面にはそれぞれリニアエンコーダ11a、11bが設けられる。これらのリニアエンコーダ11a、11bからの位置検出信号をリニアモータ4a、4bの駆動制御系にフィードバックし、保持台6の位置目標値に追随するような制御を行う。
【0017】なお、本形態では、駆動用支軸2a及び2bを、その両側においてそれぞれ、リニアモータ4a、4bにより駆動するようにしているが、リニアモータ4a、4bは、駆動用支軸2a及び2bの一端側に設けるだけでも良い。この場合、駆動用支軸2a及び2bの他端側には、リニアガイド機構が設けられ、他端側へのリニアエンコーダ11a、11bの設置は不要である。また、リニアモータ4a側の構造体3とリニアモータ4b側の構造体3とを別にして、駆動用支軸2a、2bを独立して駆動可能にしているが、リニアモータ4a側の構造体3とリニアモータ4b側の構造体3とは一体であっても良い。
【0018】次に、保持台6の支持構造について説明する。なお、図1では、便宜上、保持台6は一点鎖線で示している。保持台6は、その移動方向の一端側及び反対の他端側において2本の駆動用支軸2a、2bに固定された支持枠13を介して支持板10により支持されている。支持枠13には、支持板10の中心部の直下に回転機構14が配置されると共に、回転機構14に回転駆動力を伝達するためのパルスモータ15が配置されている。回転機構14は、上端を支持板10に直結し、下端をパルスモータ15の回転軸とスチールベルト16を介して連結した回転軸14−1を有する。回転機構14は、実際には、回転角度の制御を高精度で行うことができるように、ハーモニックドライブやクロスローラリングを含んでいるが、詳細な説明は省略する。いずれにしても、回転機構14は、処理に際して保持台6を水平な状態で回転させて基板8の位置決めを行うためのものである。このため、回転機構14の回転部分には図示しないロータリエンコーダが設けられ、この検出信号をパルスモータ15の駆動制御系にフィードバックして回転角度の制御が行われる。パルスモータ15には、保持台6の走行を妨げないように、図示しない可撓性の耐熱ケーブルを通して電源が供給される。
【0019】処理容器1の底部には駆動用支軸2a、2bと同じ方向に1本のガイド機構17が設けられている。このガイド機構17は、支持枠13の下側の被案内部13−1と連結したリニアガイド部17−1を有する。リニアガイド部17−1は、保持台6と一体に走行する支持枠13の移動を処理容器1内で案内する。
【0020】このように、駆動用支軸2a、2bの移動は、処理容器1の外側でヒータの熱的影響を受けること無く、リニアモータ4a、4bの走行をガイドするリニアガイド機構で案内される。一方、処理容器1内では保持台6及び支持枠13の走行がガイド機構17により案内される。特に、ガイド機構17が1本で、しかもヒータの下側には遮熱板9が配置されると共に、水冷板12が配置されているので、ガイド機構17が受ける熱歪みは2本の場合に比べて非常に少ない。
【0021】このようなガイド構造に加えて、駆動系としてリニアモータを用いることにより、保持台6及び支持枠13を含む走行系全体の共振周波数を上げることができ、保持台6の高速、高精度の位置決めができると共に、軌跡追従性の向上を図ることができる。
【0022】図4は、上記の処理容器を備えたレーザアニーリング装置全体の概略平面図を示す。レーザアニーリング装置は、処理容器1に加えて、基板8の搬送チャンバ22、搬入チャンバ23、搬出チャンバ24を有している。レーザ光照射用の光学系は、ホモジナイザ41、CCDカメラ42及びビデオモニタ43を含んで構成される。
【0023】処理容器1と搬送チャンバ22はゲートバルブ25を介して結合されている。同様に、搬送チャンバ22と搬入チャンバ23、搬送チャンバ22と搬出チャンバ24は、それぞれゲートバルブ26、27を介して結合されている。処理容器1、搬入チャンバ23及び搬出チャンバ24には、それぞれ真空ポンプ31、32及び33が設けられ、基板8の移し替えに際して各チャンバの内部が真空排気される。搬送チャンバ22内には、搬送用ロボット28が収容されている。搬送用ロボット28は、処理容器1、搬入チャンバ23及び搬出チャンバ24の相互間で処理済みの基板あるいは処理前の基板を移送する。
【0024】光学系においては、パルス発振したエキシマレーザ装置44から出力されたレーザビームがアッテネータ45を通ってホモジナイザ41に入射する。ホモジナイザ41は、レーザビームの断面形状を細長い形状にする。ホモジナイザ41を通過したレーザビームは、レーザ光の断面形状に対応した細長い石英窓1−1を透過して処理容器1内の基板を照射する。基板の表面がホモジナイズ面に一致するように、ホモジナイザ41と基板との相対位置が調節されている。
【0025】基板は、図1で説明した直動機構により石英窓1−1の長軸方向に直交する向きに移動する。1ショット分の照射領域の一部が前回のショットにおける照射領域の一部と重なるような速さで基板を移動させることにより、基板表面の広い領域を照射することができる。基板表面はCCDカメラ42により撮影され、処理中の基板表面をビデオモニタ43で観察することができる。リニアモータ4a、4b、ゲートバルブ25〜27、搬送用ロボット28、ホモジナイザ41、及びエキシマレーザ装置44の動作は、制御装置40によって制御される。
【0026】図1、図2に戻って、基板8の移動方向に対して直交する方向に長い断面形状を有するレーザ光を照射しながら、基板8を移動させることにより、基板8の表面の広い領域をアニールすることができる。特に、基板8を加熱しておくことにより、レーザアニールの効果を安定させることができる。
【0027】本形態による直動機構では、保持台6が加熱されて熱歪が生じたとしても、駆動用支軸2a、2bのガイド機構はリニアモータ4a、4bに備えられており、処理容器1の外にあるので処理容器1内のヒータによる熱歪の影響を受けない。このため、保持台6を加熱した状態でも安定して保持台6を移動させることができる。特に、リニアモータは高速で保持台6を駆動可能であるうえに、高精度での位置決めも可能である。一方、処理容器1内では、保持台6のガイド機構を1本に減らして、熱的影響をできるだけ少なくしたことにより、その熱歪みによる悪影響を少なくすることができる。
【0028】また、上記形態では、レーザアニール装置を例にして説明したが、図1、図2に示された処理容器をその他の装置に適用することも可能である。例えば、特殊な薬品を使用する場合のように、外界と遮断する必要のある環境下において直動機構及び回転駆動機構が必要な処理容器の場合にも有効である。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、処理容器内のガイド機構を少なくして、処理対象物の加熱による熱歪の影響を受けにくい処理容器を備えた処理装置を提供することができる。
【0030】また、リニアモータ駆動により、保持台の高精度の位置決め及び高速応答性を得ることのできる処理容器を備えた処理装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外2名)
【公開番号】 特開平11−545
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−152014