トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 混練装置
【発明者】 【氏名】西脇 醇

【氏名】石井 弘重

【要約】 【課題】効率的な攪拌、混練とともに、優れた脱泡効果を得られるものとし、しかも無人での連続運転による攪拌、混練、脱泡を可能とする。

【解決手段】公転軸(A)と自転軸(B)とを有し、自転軸(B)の軸線の周りを自転する容器ホルダ(C)と、この容器ホルダ(C)に保持される混練容器(D)、並びに公転軸(A)と自転軸(B)の駆動回転機構(E)と駆動モータ(F)とを備え混練装置であって、この混練装置は、真空チャンバー(G)内に配設されているとともに、駆動モータ(F)には、冷却部(H)が設けられているものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 公転軸と自転軸とを有し、自転軸の軸線の周りを自転する容器ホルダと、この容器ホルダに保持される混練容器、並びに公転軸と自転軸の駆動回転機構と駆動モータとを備えた混練装置であって、この混練装置は、真空チャンバー内に配設されているとともに、駆動モータには、冷却部が設けられていることを特徴とする混練装置。
【請求項2】 駆動モータの周囲ケーシング部、軸受部、シャフト部、およびモータ支持部のうちの1個所あるいは複数個所に冷却部が設けられている請求項1の混練装置。
【請求項3】 混練装置は、装入および取出し自在に真空チャンバーに配設される請求項1または2の混練装置。
【請求項4】 冷却部では、水、油もしくは気体の冷媒による冷却が行われる請求項1ないし3のいずれかの混練装置。
【請求項5】 冷媒が、駆動モータの周囲と真空チャンバーの外部とで流通される請求項4の混練装置。
【請求項6】 冷却部では、熱電変換材を用いた熱電モジュールによる電子冷却が行われる請求項1ないし5のいずれかの混練装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、混練装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、たとえば半田ペースト、歯科用印象材料、油脂、樹脂、染料、顔料、パウダー、フィラー等の材料、あるいは溶融樹脂とパウダーもしくはフィラー、短繊維等との複合材料のような流動性を有する材料の攪拌、混練等を行う混練装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半田ペースト、歯科用印象材料等のような被練和材料を収容した混練容器を公転させながらその公転軌道上で自転させるように構成した混練装置が従来から知られている。この種の混練装置においては、混練容器の公転によって同容器内の被練和材料に遠心力が働き、その遠心力で被練和材料が容器の内壁に押圧され、その押圧力で被練和材料に内在する気泡が外部に放出されると共に、混練容器の自転により同容器内の被練和材料が攪拌され混練される。
【0003】たとえば、電気モータによって公転軸を回転駆動し、同モータの駆動力を公転軸に設けた遊星歯車装置等を介して回転腕の先端に装着された混練容器に伝達し、該混練容器を自転駆動するように構成した装置が知られている。この混練装置においては、混練容器の自転軸が公転軸側に傾斜されている。この傾斜によって、遠心力による押圧力が傾斜した混練容器内壁に作用し、押圧力の分力が混練容器内壁の下方へと作用する。したがって、混練容器の自転による作用力と相まって被練和材料の攪拌及び脱泡が促進されるものである。
【0004】また、外部よりベルト駆動された公転軸の先端に、自在継手を連接して、その軸心を傾斜させ、先端部に従動ベルトを介して軸支されたカップホルダを回転駆動するように構成した混合装置等も知られている。これらの装置でも、上記混練装置と略同様の作用が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上のような公転軸と自転軸での回転を特徴とする混練装置では、その攪拌、混合は、従来の攪拌翼や攪拌子を用いる場合に比べて非常に効果的に行われるものの、微細気泡の脱泡や攪拌、混合のさらなる効率化の点において改善すべき余地が残されてもいた。
【0006】特に、高粘性物や、ある種の界面活性剤が含まれる場合の脱泡については従来の装置では必ずしも容易でなく、長時間の処理が必要となる等の不都合があった。一方、脱泡を促進するための手段として減圧雰囲気で攪拌混練することも考えられるが、減圧下で混練装置を使用した場合には、回転による空冷の効果と、気体による熱電導の効果が消失するため、装置の温度上昇が生じることになる。
【0007】このような温度の上昇は、モータの過熱、軸受グリースの消耗、締付けボルトのゆるみ等の不都合を生じ、混練装置の安全性や信頼性を損うことになり、また、被混合物の温度変化は、混合物の性状に著しい影響を及ぼし、操業毎の品質のバラツキの原因となるという問題が避けられなかった。そこで、この出願の発明は、以上のとおりの問題点を解消することを課題とした、新しい構成の混練装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、公転軸と自転軸とを有し、自転軸の軸線の周りを自転する容器ホルダと、この容器ホルダに保持される混練容器、並びに公転軸と自転軸の駆動回転機構と駆動モータとを備えた混練装置であって、この混練装置は、真空チャンバー内に配設されているとともに、駆動モータには、冷却部が設けられていることを特徴とする混練装置を提供する。
【0009】また、この出願の発明は、上記の混練装置は、駆動モータの周囲ケーシング部、軸受部、シャフト部、およびモータ支持部のうちの1個所あるいは複数個所に冷却部が設けられている混練装置や、装入および取出し自在に真空チャンバーに配設されるものである混練装置をはじめ、冷却部では、水、油もしくは気体の冷媒による冷却が行われる混練装置や、冷媒が、駆動モータの周囲と真空チャンバーの外部とで流通される混練装置、冷却部では、熱電変換材を用いた熱電モジュールによる電子冷却が行われる混練装置等も提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの特徴を持つものであるが、以下に、添付した図面に沿って実施例を示し、さらに詳しく実施の形態について説明する。
【0011】
【実施例】添付した図面の図1は、この発明の混練装置の概要構成を例示したものである。たとえば、この図1に示したように、この発明の混練装置では、公転軸(A)と自転軸(B)とを有し、自転軸(B)の軸線の周りを自転する容器ホルダ(C)と、この容器ホルダ(C)に保持される混練容器(D)、並びに公転軸(A)と自転軸(B)の駆動回転機構(E)と駆動モータ(F)とを備えている。
【0012】この混練装置は、真空チャンバー(G)内に配設されているとともに、駆動モータ(F)には、冷却部(H)が設けられている。この装置では、混練容器(D)は、公転軸(A)の周りに公転するとともに、自転軸(B)の周りに自転することになる。自転軸(B)は、公転軸(A)に向って上方が傾けられてもいる。このような公転と自転とによって混練容器(D)内に入れられた被混練材料は効果的に攪拌、混練されることになる。
【0013】しかもこの発明の混練装置では、以上のような攪拌、混練は、真空チャンバー(G)内において行われるため、被混練材料の攪拌、混練にともなう脱泡が極めて効果的に進むことになる。しかしながら、真空チャンバー(G)内での攪拌、混練では、図1に示した駆動モータ(F)が回転駆動にともなって発熱するため、連続して運転することが難しくなる。
【0014】そこで、この発明の混練装置では、駆動モータ(F)には、これを冷却するための冷却部(H)を設け、混練装置の連続運転を可能にしている。真空チャンバー(G)については、樹脂製、金属製あるいはFRP等の複合材等により形成したものであってよく、適宜に真空排気系を構成したものとすることができる。また、この真空チャンバー(G)には開閉扉を設ける等によって、真空チャンバー(G)に対して、それ以外の構成部からなる混練装置を装入および取出し自在とすることができる。
【0015】真空排気系としては、たとえば図1にも例示したように、真空排気ポンプ(V1)、真空ゲージ(V2)および開放バルブ(V3)等をもって構成することができる。また、冷却部(H)については、たとえば水冷あるいは油冷、さらには化学剤等の冷媒による冷却として構成することができる。図1の例においては、駆動モータ(F)の周囲に銅製スパイラル状の蛇管(H1)を配置し、真空チャンバー(G)の外部との間で、冷却水が流通するようにしている。より具体的には、駆動モータ(F)の回転による振動の影響により冷却水の流通のための管路に不都合が生じないように、たとえば管路接続部のズレの発生による冷却水の漏れ等の不都合が生じないように、前記の蛇管(H1)は、比較的柔軟な管路(H2)と接続し、真空チャンバー(G)における管路(H3)と連結するようにしている。
【0016】冷却部(H)の構成については様々な態様が考慮されるが、この冷却部(H)による駆動モータ(F)の冷却は欠かせないものである。なお、公転軸(A)と自転軸(B)の回転のための駆動回転機構(E)や、混練容器(D)と容器ホルダ(C)との関係等については具体的には各種であってよく、この出願の発明者が提案している構成(たとえば特開平10−43566号、特開平10−43568号)等であってよい。
【0017】図2はその一例を示したものである。この例においては、公転軸(A)の駆動モータ(F)による回転にともなって、プーリー(J1)(J2)の回転を介してベルト(K)により自転軸(B)が回転するようにしている。公転軸(A)と自転軸(B)の回転は、歯車構成によるものとしてもよいし、その他の態様であってもよい。
【0018】また、図2の例においては、駆動モータ(F)のシャフト(F1)端部を、オイルで固定のアルミニウム等の金属容器(L)において冷却するようにしている。この発明の装置の特徴である真空チャンバー(G)内での攪拌、混練については、その真空度(圧力)は、公転および自転の回転速度、処理時間等の条件とともに、被混練材料の種類、処理量等に応じて定めることができる。駆動モータ(F)の冷却についても同様である。冷却は、水や冷媒の流通による方式でもよいし、あるいは熱電変換材を用いた熱電モジュールによる電子冷却等の各種の手段であってよい。
【0019】ただ、駆動モータ(F)の冷却については、発熱によるグリース、潤滑油の劣化、ベアリングの破損が生じないようにすることが必要であることが、一般的には、駆動モータ(F)の表面温度が80℃以下に保たれるように、より好ましくはその表面温度が70℃以下であるようにその表面において冷却部(H)による冷却が望ましいものとする。
【0020】また、真空度については、一般的には、5Torr以下のゲージ真空度、より好ましくは、1Torr以下とする。そこで以下に試験例を示す。
<試験例><1>30秒運転、30秒休止の繰り返しを1サイクルとして被混練材料220gの場合に大気中で10000サイクルの運転が可能な混練装置の場合、100サイクル試験後にはモータの表面温度は83.4℃で、正常運転が可能で、温度上昇は飽和に達しているが、真空中(5Torr)では25サイクルで表面温度が100℃を超え、連続サイクル運転は不可能となった。
【0021】そこで、図1のように冷却水を流通させてモータの表面温度を70℃を超えないようにした。その結果、10000サイクルの無人連続運転も可能であった。
<2>エポキシ樹脂と粉末顔料との混練を行ったところ、大気中での攪拌、混合では10分サイクルの段階でも気泡が認められ脱泡は完全に行われなかったが、真空中(1Torr以下)では、わずかに2分サイクルで気泡が認められないまでに脱泡された。
【0022】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、効率的な攪拌、混練とともに、優れた脱泡効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】592205654
【氏名又は名称】西脇 醇
【識別番号】393030408
【氏名又は名称】株式会社シンキー
【識別番号】591048508
【氏名又は名称】伊藤忠ファインケミカル株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
【公開番号】 特開平11−309358
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−122385