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【発明の名称】 乾式脱硫装置
【発明者】 【氏名】小林 惇

【氏名】玉蟲 文彦

【要約】 【課題】再生装置を小型化でき、プラントの全高を低くでき、粒子循環系の制御が容易で、設備費を低減でき、運転動力も低減できる乾式脱硫装置を提供する。

【解決手段】粒状の脱硫剤により粗製ガス中の硫黄化合物を脱硫する脱硫塔11と、脱硫塔から溢流した脱硫剤を再生して脱硫塔へ供給する再生装置12とを備える。再生装置は、脱硫塔から脱硫剤が溢流する下部噴流器12aと、再生した脱硫剤を脱硫塔へ溢流させる上部噴流器12bと、下部噴流器のと上部噴流器を連結するライザー管12cと、上部噴流器と下部噴流器を連通する脱硫剤循環ライン12dとを有する。下部噴流器は再生ガスにより噴流層を形成し、ライザー管は下部噴流器脱硫剤と再生ガスとにより上向きの気流層を形成し、上部噴流器はライザー管からの脱硫剤と再生ガスとにより噴流層を形成し、脱硫剤循環ラインは上部噴流器から下部噴流器に脱硫剤が溢流する移動層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粒状の脱硫剤により粗製ガス中の硫黄化合物を脱硫する脱硫塔と、脱硫塔から溢流した脱硫剤を再生して脱硫塔へ供給する再生装置とを備え、再生装置は、脱硫塔から脱硫剤が溢流する下部噴流器と、再生した脱硫剤を脱硫塔へ溢流させる上部噴流器と、下部噴流器の上端と上部噴流器の下端を垂直に連結する相対的に細いライザー管と、上部噴流器の上部と下部噴流器の下部を連通する脱硫剤循環ラインと、を有し、下部噴流器は下方から空気を含む再生ガスが供給されて噴流層を形成し、ライザー管は下部噴流器から供給される脱硫剤と再生ガスとにより上向きの気流層を形成し、上部噴流器はライザー管から供給される脱硫剤と再生ガスとにより噴流層を形成し、脱硫剤循環ラインは、上部噴流器から下部噴流器に脱硫剤が溢流する移動層を形成し、これにより、下部噴流器と上部噴流器の間を脱硫剤が循環しながら脱硫剤を再生する、ことを特徴とする乾式脱硫装置。
【請求項2】 前記脱硫剤循環ラインには、ロータリーフィーダが設けられ、これにより脱硫剤の循環量を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の乾式脱硫装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化石燃料をガス化した粗製ガス(還元性ガス)中に含まれる硫黄化合物を乾式で除去する乾式脱硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭や重質油をガス化した粗製ガス(ガス化ガス)には、300〜20000ppm程度の硫黄化合物(主としてH2 S)が含まれており、複合発電のガスタービン入口では10〜30ppmまでこれを低減することが要求される。この要求を満たすために、高温において固形脱硫剤に粗製ガス中の硫黄化合物を吸収させて除去する乾式脱硫装置が開発されている。
【0003】図2は従来の乾式脱硫装置の構成図であり、脱硫塔1、再生塔2、粒子循環系3、圧縮機4、エキスパンダ5、排ガス処理装置6、等からなる。脱硫塔1と再生塔2は、脱硫剤を流動媒体とする流動層反応炉であり、脱硫剤が粒子循環系3により脱硫塔1と再生塔2の間を循環し、脱硫塔1で脱硫剤により粗製ガス中の硫黄化合物を脱硫し、再生塔2で脱硫剤を再生してSO2 を含むオフガスを発生させ、オフガスを圧縮機4により再生塔2や粒子循環系3に再循環し、その一部を排ガス処理装置6に供給して処理するようになっている。
【0004】また、粒子循環系3は、下部移送ポット3a、ライザー管3b、分離ポット3c、等からなり、脱硫塔1から下部移送ポット3aへ脱硫剤を溢流させ、下部移送ポット3a内で脱硫剤を噴流状態に保持してその上部からライザー管3b(相対的に細い)に脱硫剤を供給してオフガスと共に気体輸送し、分離ポット3cで流速を下げて脱硫剤を噴流状態に保持し、そこから再生塔2に脱硫剤を溢流させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の乾式脱硫装置では、■脱硫剤を再生するための再生塔2が大型であり、かつこの再生塔を吸収塔よりも高い位置に設置する必要があるため、乾式脱硫装置の全高が非常に大きくなり、設備費が高いばかりでなく、メンテナンスも困難になる問題点があった。
【0006】すなわち、再生塔2は脱硫塔1と同様に流動層反応炉であり、内部で脱硫剤と再生ガス(空気を含む)が接触して脱硫剤の再生が行われるが、必要な反応時間を確保するために、脱硫剤の量が多くなり、その結果、再生塔2の塔径が大きくなる。この結果、再生塔2が大型化し、かつこの再生塔2を粒子循環を円滑に行わせるために脱硫塔1よりも高い位置に設置するために、プラント全体の架構の全高が高くなる。
【0007】■また、この再生塔2内の脱硫剤を流動に保持するためには、流動層の断面積に比例する大量の再生ガス量が必要となり、コンプレッサも大型化し、設備費が高いばかりでなく、必要動力が大きい問題点もあった。
■更に、再生塔の他に粒子循環系3(ライザー管3b等)を設け、この両者の運転により脱硫剤を循環させながら再生するため、粒子循環系の制御が困難である問題点があった。
【0008】本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、再生装置を小型化でき、プラントの全高を低くでき、粒子循環系の制御がより容易であり、設備費を低減でき、かつ運転動力も低減できる乾式脱硫装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、粒状の脱硫剤により粗製ガス中の硫黄化合物を脱硫する脱硫塔と、脱硫塔から溢流した脱硫剤を再生して脱硫塔へ供給する再生装置とを備え、再生装置は、脱硫塔から脱硫剤が溢流する下部噴流器と、再生した脱硫剤を脱硫塔へ溢流させる上部噴流器と、下部噴流器の上端と上部噴流器の下端を垂直に連結する相対的に細いライザー管と、上部噴流器の上部と下部噴流器の下部を連通する脱硫剤循環ラインと、を有し、下部噴流器は下方から空気を含む再生ガスが供給されて噴流層を形成し、ライザー管は下部噴流器から供給される脱硫剤と再生ガスとにより上向きの気流層を形成し、上部噴流器はライザー管から供給される脱硫剤と再生ガスとにより噴流層を形成し、脱硫剤循環ラインは、上部噴流器から下部噴流器に脱硫剤が溢流する移動層を形成し、これにより、下部噴流器と上部噴流器の間を脱硫剤が循環しながら脱硫剤を再生する、ことを特徴とする乾式脱硫装置が提供される。
【0010】本発明のこの構成により、従来の大型の再生塔は不要となり、従来の再生塔と粒子循環系の両方の機能を有する本発明の再生装置のみで、粒子循環と再生の両方を行うことができる。また、下部噴流器、ライザー管、及び上部噴流器の全体で再生ガスによる再生反応が行われ、かつ脱硫剤循環ラインで脱硫剤を循環して再生反応を行うため、反応時間をこの循環量で調整することができる。従って、下部噴流器及び上部噴流器の反応部の断面積を小さくでき、かつライザー管はこれらより相対的に細いので、再生装置全体を小型化でき、特に脱硫塔より上方に位置する上部噴流器を小型で軽量にできるので、プラントの全高を低くでき、メンテナンスも容易にできる。
【0011】更に、下部噴流器及び上部噴流器の反応部の断面積が小さくなるため、内部を噴流層に保持するのに必要なガス量が少なくてすみ、循環ガスコンプレッサの必要動力が小さくなり、必要な設備費も低減できる。また、粒子循環系が、従来に比べてシンプルになるので、制御がより容易となる。
【0012】本発明の好ましい実施形態によれば、前記脱硫剤循環ラインには、ロータリーフィーダが設けられ、これにより脱硫剤の循環量を制御する。この構成により、循環量の調節が容易であり、脱硫剤と再生ガスとの接触時間を自由に制御することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。図1は、本発明による乾式脱硫装置の全体構成図である。この図において、本発明の乾式脱硫装置10は、粒状の脱硫剤により粗製ガス中の硫黄化合物を脱硫する脱硫塔11と、脱硫塔11から溢流した脱硫剤を再生して脱硫塔へ供給する再生装置12とを備えている。
【0014】脱硫塔11は、図2に示した従来の脱硫塔1と同様に、脱硫剤を流動媒体とする流動層反応炉であり、脱硫剤(例えばFe3 4 )とH2 Sとの反応により粗製ガス中の硫黄化合物(H2 S)をFeSとして脱硫するようになっている。なお、この図で脱硫塔11は2段流動層として示されているが、単段でも3段以上であってもよい。
【0015】また、図1において、7a,7bはガス冷却器であり、再生装置12を出たSO2 を含む高温のオフガスを冷却し、その一部を硫黄回収設備塔の排ガス処理装置6に供給し、残りを循環ガスコンプレッサ4で加圧し、圧縮空気を混入させて再生ガスとして再生装置12に再循環するようになっている。
【0016】再生装置12は、脱硫塔11から脱硫剤が溢流する下部噴流器12aと、再生した脱硫剤を脱硫塔11へ溢流させる上部噴流器12bと、下部噴流器12aの上端と上部噴流器12bの下端を垂直に連結する相対的に細いライザー管12cと、上部噴流器12bの上部と下部噴流器12aの下部を連通する脱硫剤循環ライン12dと、を有する。
【0017】下部噴流器12aは、下方から空気を含む再生ガスが供給され、内部に噴流層を形成するように内径が設定されている。また、この下部噴流器12aの下部には、脱硫剤の落下を防止するように分散板13が設けられ、この分散板13に設けられた貫通穴を通して再生ガスが噴流層内に供給されるようになっている。なお、この分散板13は不可欠ではなく、例えば下部をテーパ状にする等、分散板のない構造であってもよい。
【0018】ライザー管12cは、下部噴流器12aよりも相対的に細い内径を有し、下部噴流器12aから供給される脱硫剤と再生ガスとにより上向きの気流層を形成するようになっている。すなわち、ライザー管12cの内面積は下部噴流器12aよりも小さいので、ライザー管内のガス流速が速く、脱硫剤を一種の気体輸送で上部噴流器12bまで輸送するようになっている。
【0019】上部噴流器12bは、下部噴流器12aとほぼ同等の内径を有し、ライザー管12cから供給される脱硫剤と再生ガスとにより内部に噴流層を形成するようになっている。脱硫剤循環ライン12dは、上部噴流器12bの上部から下部噴流器12aの下部に脱硫剤が溢流し移動層を形成しながら下方に脱硫剤を循環供給するようになっている。この脱硫剤循環ライン12dには、電動機(図示せず)で駆動されるロータリーフィーダ14aが設けられ、このロータリーフィーダ14aの回転速度により下方に流れる脱硫剤の循環量を制御するようになっている。
【0020】更にこの図において、脱硫塔11から下部噴流器12aに脱硫剤が溢流する溢流管15aと、上部噴流器12bから脱硫塔へ脱硫剤が溢流する溢流管15bにも、ロータリーフィーダ14b,14cがそれぞれ設けられ、その回転速度で溢流量を制御するようになっている。なお、このロータリーフィーダ14b,14cは不可欠ではなく、他の手段、例えばフートバルブ等を用いてもよい。
【0021】上述した構成により、下部噴流器12aと上部噴流器12bの間を脱硫剤循環ライン12dを介して脱硫剤が循環しながら、下部噴流器12a、上部噴流器12b及びライザー管12cの内部で再生ガスと脱硫剤とを繰り返し接触させて脱硫剤を再生するようになっている。従って、本発明の構成により、従来の大型の再生塔は不要となり、従来の再生塔と粒子循環系の両方の機能を有する本発明の再生装置12のみで、粒子循環と再生の両方を行うことができる。
【0022】また、下部噴流器12a、ライザー管12c、及び上部噴流器12bの全体で再生ガスによる再生反応が行われ、かつ脱硫剤循環ライン12dで脱硫剤を循環して再生反応を行うため、反応時間をこの循環量で調整することができる。従って、下部噴流器12a及び上部噴流器12bの反応部の断面積を小さくでき、かつライザー管12cはこれらより相対的に細いので、再生装置全体を小型化でき、特に脱硫塔11より上方に位置する上部噴流器12bを小型で軽量にできるので、プラントの全高を低くでき、メンテナンスも容易にできる。
【0023】更に、下部噴流器12a及び上部噴流器12bの反応部の断面積が小さくなるため、内部を噴流層に保持するのに必要なガス量が少なくてすみ、循環ガスコンプレッサの必要動力が小さくなり、必要な設備費も低減できる。また、粒子循環系が、従来に比べてシンプルになるので、制御がより容易となる。また、脱硫剤循環ラインに設けられたロータリーフィーダにより、循環量の調節が容易であり、脱硫剤と再生ガスとの接触時間を自由に制御することができる。
【0024】なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】上述したように、本発明の乾式脱硫装置は、再生装置を小型化でき、プラントの全高を低くでき、粒子循環系の制御がより容易であり、設備費を低減でき、かつ運転動力も低減できる、等の優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開平11−123314
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−289895