| 【発明の名称】 |
吸着材フイルター |
| 【発明者】 |
【氏名】光田 進
【氏名】前田 武士
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| 【要約】 |
【課題】気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置し易い吸着材フイルターを実現する。
【解決手段】気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置されて被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための吸着材フイルター1は、吸着材ユニット2と、厚さ方向に圧縮可能なシート状の補助部材3とを交互に積層したものである。吸着材ユニット2は、シート状の基材4と、当該基材4に植毛された活性炭素繊維5とを備えている。この吸着材フイルターは、積層された吸着材ユニット2間に圧縮可能な補助部材3を有しているため、吸着材ユニット2の積層方向に押圧すると全体の厚みが圧縮され、押圧を止めると反発して元の厚さに復元しようとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置される吸着材フイルターであって、シート状の基材と、前記基材に植毛された活性炭素繊維とを有する複数枚の吸着材ユニットと、厚さ方向に圧縮可能なシート状の補助部材とを備え、複数枚の前記吸着材ユニットは、前記補助部材を適宜挟みながら積層されている、吸着材フイルター。 【請求項2】前記補助部材が樹脂発泡体からなる、請求項1に記載の吸着材フイルター。 【請求項3】前記基材が突起を有している、請求項1または2に記載の吸着材フイルター。 【請求項4】前記突起は、前記基材の一端部から他端部に向けて延びかつ前記一端部と前記他端部とが開放されている、請求項3に記載の吸着材フイルター。 【請求項5】複数枚の前記吸着材ユニットは、前記活性炭素繊維に異なる化学吸着剤が付与された複数種類である、請求項1、2、3または4に記載の吸着材フイルター。 【請求項6】前記吸着材ユニットの積層厚さに比べて前記吸着材ユニットの幅が小さく設定されている、請求項1、2、3、4または5に記載の吸着材フイルター。 【請求項7】被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置される吸着材フイルターであって、厚さ方向に圧縮可能なシート状の基材と、前記基材に植毛された活性炭素繊維とを有する複数枚の吸着材ユニットを備え、複数枚の前記吸着材ユニットは積層されている、吸着材フイルター。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、吸着材フイルター、特に、被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置される吸着材フイルターに関する。 【0002】 【従来の技術】空気中には、カビ類やダニなどの浮遊物や、煙草臭およびペット臭に代表される各種の臭気成分が含まれている。このような浮遊物や臭気成分は、人体の健康状態に悪影響を与えたり、人体に不快感を与える場合が多い。このため、近頃は、空気中の浮遊物や臭気成分を除去するための空気清浄機、およびそのような空気清浄機能を備えたエアコンディショナーなどの気体処理装置に対する需要が増大しつつある。 【0003】ところで、上述の気体処理装置は、通常、空気中に含まれる浮遊物や臭気成分を除去するための吸着材フイルターを内蔵している。このような吸着材フイルターとして、特開平7−136502号には、通気性を有する多孔質基材に対して活性炭素繊維を植毛したものが示されている。このような吸着材フイルターにより空気を処理する場合は、多孔質基材に処理すべき空気を透過させる。この際、多孔質基材を透過した空気は活性炭素繊維に触れ、空気中に含まれる各種の浮遊物や臭気成分は活性炭素繊維に吸着される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述の吸着材フイルターは、通常、上述の気体処理装置の空気取り入れ部内に配置される。ここで、吸着材フイルターにより空気を効率的に処理するためには、当該空気取り入れ部内に吸着材フイルターを隙間無く配置する必要がある。ところが、空気取り入れ部が大型の場合は、空気取り入れ部と吸着材フイルターとの間に隙間が形成され易く、空気取り入れ部内に吸引される空気の相当量が吸着材フイルターを通過せずに前述の隙間から気体処理装置の内部に流入する場合がある。 【0005】本発明の目的は、気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置し易い吸着材フイルターを実現することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明に係る吸着材フイルターは、被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置されるものである。この吸着材フイルターは、シート状の基材と、当該基材に植毛された活性炭素繊維とを有する複数枚の吸着材ユニットと、厚さ方向に圧縮可能なシート状の補助部材とを備えている。複数枚の吸着材ユニットは、補助部材を適宜挟みながら積層されている。 【0007】ここで、補助部材は、例えば樹脂発泡体からなる。また、基材は、例えば突起を有している。この突起は、例えば、基材の一端部から他端部に向けて延びかつ一端部と他端部とが開放されている。 【0008】また、複数枚の吸着材ユニットは、例えば、活性炭素繊維に異なる化学吸着剤が付与された複数種類である。 【0009】さらに、この吸着材フイルターは、例えば、吸着材ユニットの積層厚さに比べて吸着材ユニットの幅が小さく設定されている。 【0010】また、本発明に係る他の吸着材フイルターは、被処理気体中に含まれる各種の物質を吸着して除去するための気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置されるものである。この吸着材フイルターは、厚さ方向に圧縮可能なシート状の基材と、当該基材に植毛された活性炭素繊維とを有する複数枚の吸着材ユニットを備え、複数枚の吸着材ユニットは積層されている。 【0011】 【作用】本発明の吸着材フイルターは、気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置される。この際、吸着材フイルターは、積層された吸着材ユニット間に圧縮可能な補助部材を適宜有しているため、吸着材ユニットの積層方向に押圧すると全体の厚みが圧縮され、押圧を止めると反発して元の厚さに復元しようとする。したがって、この吸着材フイルターは、吸着材ユニットの積層方向に押圧して全体の厚みを圧縮しながら被処理気体取り入れ部内に導入すると、被処理気体取り入れ部内で元の厚さに復元しようとして拡大するので、被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置され得る。 【0012】このようにして被処理気体取り入れ部内に配置される本発明の吸着材フイルターは、吸着材ユニット間に活性炭素繊維により確保された隙間、すなわち通気路が形成される。このため、被処理気体取り入れ部内に流入する被処理気体は、この通気路内を通過することになり、この際に活性炭素繊維により効率的に処理され得る。 【0013】なお、吸着材ユニットの基材が突起を有する場合は、この突起が上方に配置された吸着材ユニットの基材または補助部材に当接し得るので、上述の通気路がより確実に確保される。したがって、この場合は、通気路における被処理気体の通気性をより確実に確保することができるので、被処理気体を活性炭素繊維によりさらに効率的に処理することができる。特に、この突起が基材の一端部から他端部に向けて延びかつ当該一端部と他端部とで開放されている場合は、この突起部分も通気路となり得るので、被処理気体は活性炭素繊維によりさらに効率的に処理され得る。 【0014】また、複数枚の吸着材ユニットが上述のような複数種類である場合は、各吸着ユニットの活性炭素繊維が化学吸着剤の種類に応じた吸着性能をも発揮し得る。したがって、この場合、被処理気体中に含まれる各種の物質は、活性炭素繊維そのものによる吸着特性に加え、化学吸着剤毎の特有の吸着特性により、さらに効果的に除去され得る。 【0015】さらに、この吸着材フイルターを構成する吸着材ユニットの幅が吸着材ユニットの積層厚さに比べて小さく設定されている場合は、上述の通気路の長さが短縮される。従って、この通気路は、通気抵抗が小さくなるので、活性炭素繊維による被処理気体の処理効率を高めることができる。 【0016】本発明の他の吸着材フイルターは、気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に配置される。この際、吸着材フイルターは、吸着材ユニットを構成する基材が厚さ方向に圧縮可能なため、吸着材ユニットの積層方向に押圧すると全体の厚みが圧縮され、押圧を止めると反発して元の厚さに復元しようとする。したがって、この吸着材フイルターは、吸着材ユニットの積層方向に押圧して全体の厚みを圧縮しながら被処理気体取り入れ部内に導入すると、被処理気体取り入れ部内で元の厚さに復元しようとして拡大するので、被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置され得る。 【0017】このようにして被処理気体取り入れ部内に配置される吸着材フイルターは、吸着材ユニット間に活性炭素繊維により確保された隙間、すなわち通気路が形成される。このため、被処理気体取り入れ部内に流入する被処理気体は、この通気路内を通過することになり、この際に活性炭素繊維により効率的に処理され得る。 【0018】 【発明の実施の形態】図1および図2(図1のII−II断面図)を参照して、本発明の実施の一形態に係る吸着材フイルターを説明する。図において、吸着材フイルター1は、シート状の吸着材ユニット2と、補助部材3とが交互に多数枚積層された直方体状のブロック状の積層体により構成されている。 【0019】吸着材ユニット2は、基材4と、当該基材4上に植毛された活性炭素繊維5とを主に備えている。 【0020】基材4は、シート状の部材であり、樹脂や金属などの平板、紙類、または通気性の孔部を多数有する多孔質材などを用いて形成されている。ここで、多孔質材としては、例えば、発泡ポリウレンタン樹脂,発泡ポリプロピレン樹脂,発泡ポリエチレン樹脂,発泡変成ポリフェニレンオキシド樹脂,発泡アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂および発泡不飽和ポリエステル樹脂などの発泡樹脂、金属や樹脂を網状に形成したもの、金属や樹脂からなるプレートに孔開き加工を施したもの、不織布、各種の織物や編物などを挙げることができる。なお、上述の多孔質材のうち好ましいものは、単位面積当たりの活性炭素繊維5の植毛量を多くし易い点で発泡ポリウレタン樹脂である。 【0021】基材4の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜5mm程度が好ましい。この厚さが0.1mm未満の場合は、基材4の形状が安定しにくくなり、吸着材フイルター1の形状安定性が損なわれる場合がある。逆に、5mmを超えると、吸着材ユニット2を積層して吸着材フイルター1を構成した場合に、被処理気体に対して吸着機能を有効に発揮し得る活性炭素繊維5の割合が小さくなる場合がある。 【0022】活性炭素繊維5は、多数の細孔を有しており、基材4上に密に植毛されている。なお、ここで用いられる活性炭素繊維5は、特に限定されるものではなく、例えば、石炭系、石油系、フェノール樹脂系、ポリアクリロニトリル樹脂系、セルロース系などの各種のものである。 【0023】このような活性炭素繊維5の繊維直径は、通常、5〜30μm程度が好ましい。この繊維直径が5μm未満の場合は、活性炭素繊維5が折れやすくなり、また、吸着材フイルター1の通気抵抗が大きくなるおそれがある。逆に、30μmを超えると、基材4に対する植毛量を大きくするのが困難になり、また、活性炭素繊維5の外表面積が小さくなるため吸着速度が遅くなる可能性がある。 【0024】また、活性炭素繊維5の平均繊維長は、0.05〜5mm程度が好ましく、0.1〜2mm程度がより好ましい。平均繊維長が0.05mm未満の場合は、後述する植毛時に用いる接着剤中に活性炭素繊維5の相当部分が埋没することになる結果、活性炭素繊維5の細孔が接着剤により塞がれる割合が大きくなり、活性炭素繊維5そのものの吸着性能が十分に発揮されない場合がある。また、この場合は、基材4に対する目付量が小さくなるおそれがある。逆に、平均繊維長が5mmを超える場合は、基材4に対して植毛するのが困難になり、結果的に基材4に対する目付量が小さくなるおそれがある。また、基材4が上述の多孔質材からなる場合は、基材4の孔部の相当割合が活性炭素繊維5により塞がれてしまい、基材4の通気性が低下するおそれがある。なお、活性炭素繊維5の平均繊維長は、基材4に対する植毛量を最大値に設定し易いことから0.3〜0.7mm程度でありかつ分布が±0.2mm以内に制限されているのが特に好ましい。 【0025】また、本発明で用いる活性炭素繊維5は、細孔の平均直径が5〜20オングストロームであるのが好ましく、8〜12オングストロームであるのがより好ましい。細孔の平均直径が5オングストローム未満の場合は、後述する化学吸着剤を付与した場合に細孔が塞がれてしまい、活性炭素繊維5そのものの吸着性能が低下するおそれがある。逆に、細孔の平均直径が20オングストロームを超える場合は、活性炭素繊維5の表面積が小さくなり、同様に活性炭素繊維5そのものの吸着特性が低下するおそれがある。 【0026】さらに、本発明で用いる活性炭素繊維5は、細孔の容積が0.3〜1.3cc/gであることが好ましく、0.5〜1.1cc/gであるのがより好ましい。この容積が0.3cc/g未満の場合は、後述する化学吸着剤の必要量を活性炭素繊維5に対して付与するのが困難な場合がある。なお、容積が1.3cc/gを超える活性炭素繊維は、通常、入手が困難である。 【0027】上述のような活性炭素繊維5には、所望により、化学吸着剤が付与されていてもよい。この場合、吸着材フイルター1は、活性炭素繊維5そのものによる吸着特性に加えて、付与された化学吸着剤の種類に応じた吸着特性をも発揮することができる。 【0028】ここで、活性炭素繊維5に付与される化学吸着剤は、空気等の被処理気体中に含まれる各種の浮遊物や臭気成分を吸着して除去可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、通常用いられる酸や塩基である。ここで、酸としては、例えば、リン酸、硫酸および各種脂肪酸などを挙げることができる。一方、塩基としては、例えばp−トルイジン、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを挙げることができる。なお、化学吸着剤としてリン酸を用いる場合は、活性炭素繊維5が塩基性ガスに対する良好な吸着除去性能を発揮し得るため、例えば煙草臭成分の一つであるアンモニアを効果的に除去することができる。また、化学吸着剤としてp−トルイジンを用いる場合は、活性炭素繊維5が良好な化学吸着性能を発揮し得るため、例えば煙草臭成分に含まれるアセトアルデヒドや酢酸を効果的に除去することができる。 【0029】活性炭素繊維5に対する上述の化学吸着剤の付与量は、化学吸着剤の種類に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、通常、活性炭素繊維5の1〜20重量%に設定するのが好ましく、3〜10重量%に設定するのがより好ましい。化学吸着剤の量が1重量%未満の場合は、当該化学吸着剤による吸着性が活性炭素繊維5に対して十分に付与されない場合がある。逆に、20重量%を超える場合は、活性炭素繊維5の細孔が化学吸着剤により塞がれ易くなり、活性炭素繊維5そのものによる吸着性能が損なわれるおそれがある。 【0030】基材4に対する活性炭素繊維5の目付量は、通常、50〜500g/m2に設定するのが好ましい。この目付量が50g/m2未満の場合は、吸着材ユニット2が十分な吸着特性を発揮しない場合がある。逆に、500g/m2を超える場合は、吸着材ユニット2の製造コストが高くなる。また、吸着材フイルター1の通気性が損なわれるおそれがあり、結果的に空気等の被処理気体を効率的に処理するのが困難になる場合がある。 【0031】補助部材3は、厚さ方向に圧縮可能な材料を用いてネット状に構成されたシート状の部材であり、吸着材ユニット2と交互に積層されている。ここで、厚さ方向に圧縮可能な材料としては、厚さ方向に押圧すると圧縮され、押圧するのを止めると反発して元の厚さに復元し得る材料であれば特に限定されずに各種のものを用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂発泡体やポリエチレン樹脂発泡体などの樹脂発泡体を挙げることができる。 【0032】なお、補助部材3の厚さは特に限定されるものではないが、通常は0.5〜5mm程度に設定される。厚さが0.5mm未満の場合は、形状が安定せず、吸着材フイルター1の形状安定性が損なわれるおそれがある。逆に、5mmを超えると、吸着材フイルター1に占める補助部材3の割合が大きくなり、吸着材フイルター1の吸着特性が低下するおそれがある。 【0033】吸着材フイルター1は、上述のように吸着材ユニット2と補助部材3とが交互に積層されたものである。吸着材ユニット2および補助部材3の積層枚数は、吸着材ユニット2および補助部材3そのものの厚さに応じて適宜設定され得るので特に限定されるものではないが、通常は積層体の厚さが後述する気体処理装置の気体取り入れ口よりも若干大きくなるように設定される。より具体的には、気体取り入れ口の101〜150%程度になるよう設定される。なお、積層された吸着材ユニット2と補助部材3との間は、図示しない接着剤を用いて部分的に接着されている。 【0034】このように吸着材ユニット2と補助部材3とが積層された吸着材フイルター1では、各吸着材ユニット2の基材4に植毛された活性炭素繊維5により、吸着材ユニット2間または吸着材ユニット2と補助部材3との間に通気性の隙間6が形成される。 【0035】次に、上述の吸着材フイルター1の製造方法を説明する。先ず、吸着材ユニット2を用意する。ここでは、基材4を用意し、この基材4に対して活性炭素繊維5を植毛する。なお、化学吸着剤が付与された活性炭素繊維5を用いる場合は、予め活性炭素繊維5に対して所定の化学吸着剤を付与しておく。化学吸着剤の付与方法としては、化学吸着剤の溶液を活性炭素繊維5に噴霧する方法、化学吸着剤溶液中に活性炭素繊維5を浸漬する方法などの各種の方法を採用することができる。 【0036】活性炭素繊維5を植毛する際には、電気植毛法や機械植毛法などの公知の各種の植毛法を採用することができるが、電気植毛法、特に静電植毛法を採用するのが好ましい。なお、静電植毛法としては、ダウン法およびアップ法のいずれの方法が採用されてもよい。 【0037】図3を参照して、ダウン法により活性炭素繊維5を植毛する方法を説明する。図において、植毛装置10は、活性炭素繊維5を収容するための篩状のホッパー11と、ホッパー11の下方に水平に配置された電極12と、電極12を挾んで上下に配置された上部電極13および下部電極14と、電極12並びに上部電極13および下部電極14に接続された高電圧発生器15とを主に備えている。 【0038】このような植毛装置10において、ホッパー11に活性炭素繊維5を収容し、また、電極12上に基材3を載置する。なお、基材4の図上面には、活性炭素繊維5を固定するための接着剤(例えば水性ウレタン樹脂液)を予め塗布しておく。この状態で、高電圧発生器15を作動して電極12、上部電極13および下部電極14に電圧を印加し、上部電極13と電極12との間にコロナ放電による磁場を形成する。そして、ホッパー11を震動させて活性炭素繊維5を基材4上に落下させる。ここでは、コロナ放電により形成される強い磁場により、ホッパー11から落下した活性炭素繊維5は、直立状態で基材4に対して植毛される。 【0039】上部電極13と電極12との間の電位差は、通常、1,000〜30,000KV程度に設定するのが好ましく、3,000〜10,000KV程度に設定するのがより好ましい。電位差が1,000KV未満の場合は、活性炭素繊維5が基材4上に直立状態で植毛されにくくなる。逆に、30,000KVを超えると、基材4上に活性炭素繊維5が均一に植毛されにくい場合がある。 【0040】次に、上述のようにして得られる吸着材ユニット2と補助部材3とを交互に所定の枚数積層し、接着剤を用いて部分的に接着する。これにより、吸着材ユニット2と補助部材3との積層体からなる吸着材フイルター1が得られる。 【0041】吸着材フイルター1は、例えば、空気清浄機やエアコンディショナーなどの気体処理装置のフイルターとして使用することができる。ここで、図4を参照して、吸着材フイルター1の使用方法について説明する。図において、空気清浄機やエアコンディショナーなどの気体処理装置20は、処理部21と、この処理部21を挟さんで配置された気体取り入れ口22および気体排出口23とを主に備えている。処理部21は、気体取り入れ口22からの被処理気体に対して冷却や加熱などの各種の処理を施すためのものであり、気体取り入れ口22側に被処理気体を吸引するための吸引ファン(図示せず)を有している。 【0042】このような気体処理装置20において、吸着材フイルター1は、図4に示すように気体取り入れ口22内に挿入される。この際、吸着材フイルター1は、図2に矢印Pで示すように吸着材ユニット2と補助部材3との積層方向に押圧されて圧縮され、この状態で気体取り入れ口22内に挿入される。気体取り入れ口22内に挿入された吸着材フイルター1は、圧縮された状態から元の厚さに復元しようとして積層方向に拡大し、気体取り入れ口22の内面に隙間無く密着する。 【0043】この様にして吸着材フイルター1が気体取り入れ口22に配置された気体処理装置20において、処理部21の吸引ファンを作動させると、外部の被処理気体(空気)が吸引されて気体取り入れ口22内に流入する。流入した被処理気体は、吸着材フイルター1を通過して処理部21に導入される。ここでは、吸着材フイルター1が上述のように気体取り入れ口22の内面に隙間無く密着した状態で配置されているため、気体取り入れ口22内に流入した被処理気体は、確実に吸着材フイルター1を通過して処理部21に向かうことになる。 【0044】被処理気体が吸着材フイルター1を通過する際には、図2に矢印で示す様に、被処理気体が主に上述の隙間6を通過して処理部21に向かう。 【0045】この際、被処理気体は、吸着材ユニット2の基材4に植毛された多数の活性炭素繊維5に触れ、カビやダニなどの浮遊物や各種の臭気成分が除去される。ここでは、基材4に植毛された活性炭素繊維5の量が多い場合であっても、隙間6の通気性は十分に確保され得る。いいかえると、吸着材フイルター1は、活性炭素繊維5の植毛量を多く設定している場合であっても、被処理気体の通気抵抗を小さく維持することができ、被処理気体と活性炭素繊維5との接触を十分に確保することができる。したがって、吸着材フイルター1は、被処理気体を効率的に処理することができる。 【0046】なお、吸着材フイルター1を構成する吸着材ユニット2の基材4として、上述の多孔質材を用いている場合は、吸着材フイルター1内に流れ込む被処理気体は隙間6だけではなく基材4を通過して流れ得るので、吸着材フイルター1の通気抵抗がより小さくなる。従って、この場合は、被処理気体の処理効率がさらに高められる。 【0047】この様にして処理部21内に導入された被処理気体は、処理部21において所定の処理が施された後、気体排出口23から外部に排出される。 【0048】〔他の実施の形態〕 (1)前記実施の形態では、吸着材ユニット2の基材4を平坦なシート状に形成したが、図5に示すように、基材4には活性炭素繊維5の起立方向に突出する突起7が形成されていてもよい。基材4がこのような突起7を有する場合は、突起7の上部が上方に位置する吸着材ユニット2の基材4または補助部材3の底面に当接し得るため、上述の隙間6をより確実に確保することができる。このため、このような基材4を備えた吸着材フイルター1は、被処理気体の通気性をより安定に確保することができ、活性炭素繊維5により被処理気体をさらに効率的に処理することができる。 【0049】なお、突起7は、基材4の一端部から他端部に向けて延び(例えば、基材4の幅方向または長さ方向に延び)かつ両端部が開放する溝状に形成されていてもよい。この場合は、突起7が吸着材フイルター1の通気性をより高めることになるので、活性炭素繊維5による被処理気体の処理効率をさらに高めることができる。 【0050】因に、上述のような突起7は、積層された吸着材ユニット2同士または吸着材ユニット2と補助部材3とを接着するための部位として活用することもでき、また、吸着材フイルター1の形状安定性を高めるためにも役立ち得る。 【0051】(2)上述の吸着材フイルター1において、それを構成する吸着材ユニット2は2種類以上のものであってもよい。例えば、図6に示すように、2種類の吸着材ユニット2A、2Bを交互に配置することにより吸着材フイルター1を形成してもよい。 【0052】このような吸着材フイルター1では、例えば、吸着材ユニット2A、2Bの活性炭素繊維5にはそれぞれ互いに異なる化学吸着剤が付与されている。具体的には、例えば、吸着材ユニット2Aの活性炭素繊維5はリン酸が付与されており、吸着材ユニット2Bの活性炭素繊維5にはP−トルイジンが付与されている。このような吸着材フイルター1により煙草臭を含む被処理気体を処理すると、吸着材ユニット2A側で煙草臭中のアンモニアを効率的に除去することができ、吸着材ユニット2B側で煙草臭中の酢酸およびアセトアルデヒドを効率的に除去することができる。 【0053】なお、この実施の形態では、各吸着材ユニット2A、2Bの活性炭素繊維5には1種類の化学吸着剤しか付与していないので、活性炭素繊維5の細孔は、径をより小さく設定した場合(例えば、5〜8オングストローム程度の場合)でも化学吸着剤により塞がれにくい。したがって、この吸着材フイルター1は、活性炭素繊維5そのものによる吸着性能を高めつつ、化学吸着剤による吸着性能を効果的に発揮することができる。 【0054】(3)上述の実施の形態では、補助部材3としてネット状のものを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上述の圧縮可能な材料を用いて形成された薄板状の部材を補助部材3として用いた場合も本発明を同様に実施することができる。 【0055】(4)上述の実施の形態では、吸着材ユニット2と補助部材3とを交互に積層したが、例えば、補助部材3を吸着材ユニット2の数枚毎に積層した場合も本発明を同様に実施することができる。 【0056】(5)上述の実施の形態では、吸着材フイルター1を直方体状のブロック状に形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2に一点鎖線で示すように、吸着材フイルター1を吸着材ユニット2の厚さ方向にスライスする(薄く切り取る)ことにより、吸着材ユニット2の積層厚さTに比べて吸着材ユニット2の幅Wが小さく設定されたシート状に形成することもできる。このようにして形成された吸着材フイルターは、隙間6の長さが短縮されるために通気抵抗が小さくなるので、活性炭素繊維5による被処理気体の処理効率を高めることができる。 【0057】(6)図7を参照して、さらに他の実施の形態を説明する。図において、吸着材フイルター31は、シート状の吸着材ユニット32が多数枚積層された直方体状のブロック状の積層体により構成されている。 【0058】吸着材ユニット32は、基材34と、当該基材34上に植毛された活性炭素繊維35とを主に備えている。基材34は、厚さ方向に圧縮可能な材料を用いて構成されたシート状の部材からなる。このような基材34を構成する材料は、厚さ方向に押圧すると圧縮され、押圧するのを止めると反発して元の厚さに復元し得る材料であれば特に限定されずに各種のものを用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂発泡体やポリエチレン樹脂発泡体などの樹脂発泡体を挙げることができる。一方、活性炭素繊維35としては、上述の実施の形態で用いた活性炭素繊維5と同様のものが用いられる。 【0059】なお、基材34の厚さや活性炭素繊維35の目付量等は上述の実施の形態の場合と同様である。 【0060】このような吸着材フイルター31は、上述の実施の形態の場合と同様の植毛方法により吸着材ユニット32を製造し、得られた吸着材ユニット32を所定の枚数積層して部分的に接着剤を用いて接着すると製造することができる。 【0061】この吸着材フイルター31は、上述の実施の形態の場合と同様に、気体処理装置の気体取り入れ口内に挿入される。この際、吸着材フイルター31を図7に矢印Pで示すように吸着材ユニット2の積層方向に押圧すると、基材34が圧縮され、吸着材フイルター31は全体の厚さが小さくなる。この状態で吸着材フイルター31を気体取り入れ口内に挿入すると、吸着材フイルター31は圧縮された状態から元の厚さに復元しようとして積層方向に拡大し、気体取り入れ口の内面に隙間無く密着する。このようにして気体処理装置内に装着された吸着材フイルター31は、上述の実施の形態の場合と同様に被処理気体を処理することができる。 【0062】なお、このような吸着材フイルター31は、上述の実施の形態の場合とは異なり補助部材3を用いる必要が無いため、吸着材ユニット32の積層枚数を多くすることができ、被処理気体をより効果的かつ効率的に処理することができる。 【0063】 【発明の効果】本発明の吸着材フイルターは、上述のような補助部材を挟んで吸着材ユニットを積層しているため、吸着材ユニットの積層方向に圧縮することができる。このため、本発明の吸着材フイルターは、気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置し易い。 【0064】なお、吸着材ユニットの基材が突起を有する場合は、被処理気体を通過させるための通気路を確実に確保することができるため、被処理気体を活性炭素繊維により効率的に処理することができる。特に、この突起が基材の一端部から他端部に向けて延びかつ当該一端部と他端部とで開放されている場合は、この突起部分も通気路となり得るので、被処理気体は活性炭素繊維によりさらに効率的に処理され得る。 【0065】また、複数枚の吸着材ユニットが上述のような複数種類である場合は、被処理気体中に含まれる各種の物質をより効果的に除去することができる。 【0066】さらに、吸着材ユニットの幅が吸着材ユニットの積層厚さに比べて小さく設定されている場合は、通気抵抗が小さくなるので、活性炭素繊維による被処理気体の処理効率を高めることができる。 【0067】また、本発明に係る他の吸着材フイルターは、厚さ方向に圧縮可能な基材を備えているため、吸着材ユニットの積層方向に圧縮することができる。このため、この吸着材フイルターは、気体処理装置の被処理気体取り入れ部内に隙間無く配置し易い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000284 【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月22日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】市川 恒彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−90132 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−275020 |
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