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【発明の名称】 濾過膜および濾過器
【発明者】 【氏名】星野 政陽

【氏名】細矢 範行

【氏名】佐々木 正富

【要約】 【課題】疎水性多孔質膜の透水性能を低下せしめることなしに、エンドトキシン、βミクログロブリン、ミオグロビンなどの分子表面に疎水性部分を有する対象物質を除去するために処理される透析液、血液濾過排液あるいは腹膜透析排液などの処理液体から、該対象物質を除去、分離しうる濾過膜または濾過器を提供することにある。

【解決手段】グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が、少なくとも処理液体の接触面に付与されている濾過膜。また、前記重合体が2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:1.0であり、前記GEMAの一部の水酸基同士が脱水することにより自己架橋しており、水の前進接触角が80〜95°の処理液体の接触面を有する濾過膜および濾過器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が、少なくとも処理液体の接触面に付与されていることを特徴とする濾過膜。
【請求項2】前記グリコシド誘導体のグリコシド部分がグルコース、マンノース、ラクトース、マルトース、スクロースであることを特徴とする請求項1に記載の濾過膜。
【請求項3】前記重合体が2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:1.0であることを特徴とした請求項1または2に記載の濾過膜。
【請求項4】前記GEMAの一部の水酸基同士が脱水することにより自己架橋しており、水の前進接触角が80〜95°の処理液体の接触面を有することを特徴とする請求項3に記載の濾過膜。
【請求項5】請求項1ないし4に記載された濾過膜を有する濾過器。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、エンドトキシン、βミクログロブリン、ミオグロビンなどの分子表面に疎水性部分を有する対象物質を除去するために処理される透析液、血液濾過排液あるいは腹膜透析排液などの処理液体から、該対象物質を除去、分離しうる濾過膜および濾過器に関する。
【従来の技術】発熱物質として知られるエンドトキシンはグラム陰性菌の表皮の構成成分であり、生菌では通常ミセル状態で存在しその分子量は数百万ダルトンにも及ぶ。しかし、グラム陰性菌、またはその死骸から産生されたエンドトキシンは分子量数千〜数万ダルトンの小片(フラグメント)であり、施設水、水道水等に存在することが知られている。その分子量から血液透析、血液透析濾過、持続的血液透析、持続的血液透析濾過等で用いられる透析液中のエンドトキシンのフラグメント(以下フラグメント)が前記療法において半透膜を通過して血液中に混入することが懸念されている。エンドトキシンはO抗原多糖、コア多糖、リピドAから構成され、疎水性の脂質部分であるリピドAが発熱等を誘発する活性部位である。リピドAを含むフラグメントは疎水性を示す。疎水性多孔質膜による施設水、水道水、または透析液中のエンドトキシンの除去には、疎水性多孔質膜の分画分子量特性を利用した濾過機能と、前記疎水性多孔質膜の吸着機能の両方が、同時に利用されており、厳密には吸着機能への依存度が高い。この場合、吸着機能による除去性能は経時的に減少し、フラグメントが疎水性多孔質膜を通過(リーク)してしまい易くなるばかりか、エンドトキシンの吸着により透水性能も経時的に減少する。また、疎水性多孔質膜の分画分子量を小さく設定することにより、前記フラグメントのリークの確率を低下させることができるが、同時に透水性能の低下を招くことになる。従って、処理に充分な透水性能を得るためには有効膜面積を大きくしなければならず、濾過器モジュールが大型化するため、広い作業スペースが必要であり、コストも増加し好ましくない。β2ミクログロブリン(以下βMGという)は、疎水性アミノ酸が分子表面に露出した分子量11,600ダルトンの疎水性低分子量蛋白で、透析アミロイドーシスのアミロイド構成物質の一つと考えられており、治療のために慢性透析患者から除去することが必須であると考えられている。また、クラッシュシンドローム等で急性腎不全になった患者からはミオグロビン(分子量17,800)等の低分子量蛋白の除去が求められている。これらの低分子量蛋白を効率よく患者血液内から除去するためには濾過を伴う治療手段が必要であり、血液から多量に濾過するのに伴い、電解質等が調整された特殊な補充液を不足した液体成分の代わりに体外から補充する必要がある。ここでいう濾過を伴う治療とは例えば血液濾過、血液透析濾過、持続的血液濾過、持続的血液透析濾過等である。これらの治療においては、分離した濾液量と補充液のバランスを調節する必要があり、また、多量の補充液を使用することにより操作が煩雑となる。前記補充液をなくすためには、患者血液の濾液(以下血液濾過排液という)から症因物質を除去し、電解質の調整を行った後、前記血液濾過排液を体内に返還する技術が検討されており、血液濾過排液の効率的な処理技術が求められている。血液濾過排液から疎水性部分を有する蛋白質例えばβMG、ミオグロビン等を除去するためには95%カットオフポイント(cut−off point)分子量500〜15,000ダルトンの中空糸膜を用いるとよいが、ポルスルフォン等の疎水性多孔質膜を用いた場合、前記疎水性多孔質膜表面と前記疎水性部分を有する蛋白質との接触により、疎水性多孔質膜表面に前記蛋白質が吸着し、疎水性多孔質膜の透水性能が経時的に低下してしまう。
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、疎水性多孔質膜の透水性能を低下せしめることなしに、エンドトキシン、βミクログロブリン、ミオグロビンなどの分子表面に疎水性部分を有する対象物質を除去するために処理される透析液、血液濾過排液あるいは腹膜透析排液などの処理液体から、該対象物質を効率的に除去、分離しうる濾過膜または濾過器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成を採用した。すなわち、本発明の濾過膜は、グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が、少なくとも処理液体の接触面に付与されている。また、本発明の濾過膜は、前記グリコシド誘導体のグリコシド部分がグルコース、マンノース、ラクトース、マルトース、スクロースである。また、本発明の濾過膜は、前記重合体が2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:1.0である。また、本発明の濾過膜は、前記GEMAの一部の水酸基同士が脱水することにより自己架橋しており、水の前進接触角が80〜95°の処理液体の接触面を有する。また、本発明の濾過器は、上記の濾過膜を有する。
【発明の実施の態様】本発明の濾過膜について以下に説明する。本発明の濾過膜は、疎水性多孔質膜に、グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体を、少なくとも処理液体の接触する前記疎水性多孔質膜の接触面に付与することによって、前記疎水性多孔質膜の透水性能を低下せしめることなしに、前記処理液体からエンドトキシン、βミクログロブリン、ミオグロビンなど分子表面に疎水性部分を有する対象物質を効率的に除去できるものである。前記処理液体とは、血液透析に用いる透析液、血液透析装置で膜を介して血液と接触し血液中の成分を含む血液透析後の透析液、血液濾過排液あるいは腹膜透析排液などが挙げられる。前記疎水性多孔質膜の処理液体に接触する接触面に付与するとは、疎水性多孔質膜とグリコシド誘導体を側鎖に有する重合体とが、疎水結合、イオン結合、共有結合、分子鎖同志の交絡等による相互作用を言う。前記疎水性多孔質膜は、前記処理液体を濾過するときに、前記対象物質が吸着することにより透水性能の低下が見られるものであり、膜基材としてはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアルコール等があげられる。本発明の効果が得られるものであれば、これらに限定されるものではない。また、膜形態は、平膜でも中空糸膜でも良いが、限られた体積のモジュールで多くの濾過面積を得られることから中空糸膜形状が好ましい。前記疎水性多孔質膜の95%cut−off point分子量は、2,000〜60,000、好ましくは、3,000〜40,000、より好ましくは、5,000〜20,000ダルトンである。透水速度は、50〜1,000ml/hr/m/mmHg、好ましくは200〜800ml/hr/m/mmHg、より好ましくは200〜500ml/hr/m/mmHgである。本発明の濾過器は、膜面積0.1〜50m 好ましくは0.5〜20m、より好ましくは0.5〜8mを有する。これより小さい膜面積では濾過に不十分であり、これより大きな膜面積では、モジュールが大型化する。濾過器の形態は、従来から用いられている血液透析器、血液濾過器、さらには浄水器等の一般濾過器の形態をとることができる。グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体を付与した後の前記疎水性多孔質膜の95%cut−off point分子量は、1,000〜40,000、好ましくは、2,000〜20,000、より好ましくは、3,000〜10,000ダルトンである。この時の透水速度は、前記重合体付与前と実質的に同一であることが好ましい。本発明の濾過膜は、グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が、少なくとも処理液体の接触面に付与されているものである。前記グリコシド誘導体が前記疎水性多孔質膜の処理液体接触面に付与されることによって、適度に親水性になり、処理液体に含まれる疎水性部分を有する物質が膜へ吸着しなくなるので、吸着による透水性能の低下を改善することができる。グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体とは、グリコシド誘導体およびこれに共重合可能な化合物を共重合させることにより得られる共重合体を用いることができる。例えば、特開平5−237181号に従って得られる、グルコースをグリコシド部分とした2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体等である。前記グリコシド誘導体のグリコシド部分は、グルコース、マンノース、ラクトース等の人体に存在する単糖類、あるいはマルトース、スクロース等の二糖類が好適である。セルロース、アミロースなどの多糖類は処理が困難であり適さない。本発明の膜は、少なくとも処理する液体が接触すべき面に、前記のグリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が付与されてなる。膜基材に前記重合体を付与する方法としては、前記重合体を溶剤に溶解させ、得られた溶液に膜基材を浸漬し、その後乾燥して溶剤を除去することにより行うことができる。また、前記溶液を前記疎水性多孔質膜の前記処理液体の接触する面上に流通させて、その後乾燥させてもよい。溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の極性有機溶媒と水系溶媒の混合溶剤、あるいはジメチルスルフォキシド(DMSO)等の非イオン性極性有機溶媒と水系溶媒との混合溶媒を使用することができる。乾燥は通常50〜150℃程度の温度下で行われ、必要に応じて真空乾燥を行ってもよい。本発明の濾過器は、血液透析器あるいは血液濾過透析器へ供給される透析液の供給配管中に設けられることにより、透析液からエンドトキシンを除去することができる。また、血液濾過器を用いる際の置換液として、本発明の濾過器によりエンドトキシンを除去した透析液を用いることも可能である。さらに、血液濾過器により得られる濾液、あるいは血液透析器や血液濾過透析器で処理された透析液を、本発明の濾過器により濾過し、βMGやミオグロビンなどの不要物質を除去、あるいは分離し、また、電解質調製等を行うことにより、置換液、透析液等として再利用することも可能である。また、他の浄化手段(吸着、透析、分解等)と組み合わせることもできる。次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】特開平5−237181号に従ってGEMA/MMA共重合体(GEMA:MMA=6:4)を作製した。中空糸両端部にそれぞれ流体入口および出口を有する中空糸膜モジュールを作製する定法により内径200μm、膜厚400μm、ポリスルホン中空糸341本を有する試験用小型濾過器を作製した。このポリスルホン中空糸膜の95%cut−off point分子量は40,000、透水速度は、304ml/hr/m/mmHgであった。この試験用小型濾過器の中空糸膜内腔に、80%エタノールを溶媒として調整した0.5%GEMA/MMA重合体溶液を充填した。その直後、エアーブローを行うことにより過剰な当該0.5%GEMA/MMA重合体溶液を排出し、100℃で1時間乾燥し、表面処理済小型濾過器を作製した【比較例1】前記実施例において、0.5%GEMA/MMA重合体を表面処理工程を行わないものを非表面処理小型濾過器とした。
【実験例1】前記実施例1および比較例1の試験用小型濾過器を用い、その透水性能および疎水性物質の膜透過性能の比較実験を下記の要領で行った。透過実験は、図1に示す循環回路により行った。循環回路の入口側回路4は一端をリザーバー7に連続し他端は濾過器2の中空糸膜内腔の流路の入口と連続している。出口側回路5の一端はリザーバー7と連続し、他端は濾過器2の中空糸膜内腔の流路の出口と連続している。濾液側は1個の濾液口6を有し、開放させ、濾液はリザーバー7へ滴下させた。入口側回路4には送液ポンプ3が配置され、送液ポンプ3により試験液が入口側回路4を通って濾過器2に送られ、濾過器2内の中空糸膜により濾過された濾過液は、濾液口6を通ってリザーバーへ返還される。また、中空糸膜により濾過されなかった試験液は、出口側回路5を通ってリザーバー7へ返還される。入口側回路4の送液ポンプ3と濾過器2の間、および出口側回路にはチャンバー81、82が設けられ、各チャンバーには圧力計91、92がそれぞれ設けられている。圧力は、出口側5のチャンバー82よりも下流側の部分に設けられたクレンメ94により調節した。濾過器2の中空糸膜の外側の部分は大気に開放されているので圧力を0とした。
<β2ミクログロブリン透過実験>βMGは疎水性アミノ酸が分子の中央表面に集中した分子量11,600ダルトンの疎水性低分子蛋白質で、透析アミロイドーシスのアミロイド構成物質であり、慢性維持透析患者の血液の濾液(以下血液濾過排液という)に多く含まれている。血液濾過排液(βMG濃度:20mg/l)1Lを用い、実施例1の表面処理済小型濾過器に、10ml/minで循環し、膜間圧力差(TMP)を100mmHgにして濾過循環した。循環開始から1時間および24時間後に循環回路の入口側チャンバー、出口側チャンバー、濾液口の3カ所からそれぞれサンプリングした。βMG濃度は、酵素免疫法により測定した。βMGのふるい係数(S.C.)および血液濾過排液の限外濾過率(UFR)は式1および式2で算出した。
S.C.=C×2/(C+C) ・・式1 UFR(ml/hr/m/mmHg)=Q/TMP ・・式2:入り口濃度、C:出口濃度、C:濾液濃度Q:単位面積あたりの濾過流量(ml/hr/m
上記と同様に比較例1の非表面処理小型濾過器について透過実験を行った。実験の結果、比較例1の非表面処理小型濾過器のβMGのふるい係数は、1時間後に0.7、24時間後には0.8であった。限外濾過率は、1時間後280ml/hr/m/mmHgであったが24時間後には197ml/hr/m/mmHgに低下した。一方、実施例1の表面処理済小型濾過器のβMGのふるい係数は、1時間後、24時間後共に0.3で低い透過率を長時間維持していた。また、限外濾過率は、1時間後310ml/hr/m/mmHg、24時間後314ml/hr/m/mmHgであり、有意な経時的減少は認められなかった。
<エンドトキシン透過実験>リザーバーに水道水(エンドトキシン濃度1,200EU/l) 1Lを用いる他は、βMG透過実験と同様にしてエンドトキシン透過実験を行った。エンドトキシン濃度はエンドスペーシー法により測定した。実験の結果、比較例1の非表面処理小型濾過器は濾液中のエンドトキシン濃度が1時間後で検出限界以下、24時間後で15EU/lであった。限外濾過率は1時間後で304ml/hr/m/mmHgであったが24時間後には234ml/hr/m/mmHgに低下した。一方、実施例1の表面処理済小型濾過器は、1時間後、および24時間後ともに濾液中にエンドトキシンの検出を認めず、1時間後312ml/hr/m/mmHg、24時間後309ml/hr/m/mmHgであり、有意な経時的減少は認められなかった。
【実施例2】特開平5−237181号に従ってGEMA/MMA共重合体(GEMA:MMA=6:4)を作製した。中空糸両端部にそれぞれ流体入口および出口を有する中空糸膜モジュールを作製する定法により内径200μm、膜厚40μm、ポリスルホン中空糸341本、膜面積300cmを有する試験用小型濾過器を作製した。このポリスルホン中空糸膜の95%cut−off point分子量は15,000、透水速度は、100ml/hr/m/mmHgであった。この試験用小型濾過器の中空糸膜内腔に、80%エタノールを溶媒として調整した0.5%GEMA/MMA重合体溶液を充填した。その直後、エアーブローを行うことにより過剰な当該0.5%GEMA/MMA重合体溶液を排出し、100℃で1時間乾燥し、表面処理済小型濾過器を作製した【比較例2】前記実施例2において、0.5%GEMA/MMA重合体の表面処理工程を行わないものを非表面処理小型濾過器とした。
【実験例2】前記実施例2および比較例2を用い、実験例1と同様に、その透水性能および疎水性物質の膜透過性能の比較実験を行った。
<β2ミクログロブリン透過実験>血液濾過排液(βMG濃度:20mg/l)1Lを用い、実施例2の表面処理済小型濾過器内に、10ml/minで循環し、膜間圧力差(TMP)を100mmHgにして濾過循環した。循環開始から1時間および24時間後に循環回路の入口側チャンバー、出口側チャンバー、濾液口の3カ所からそれぞれサンプリングした。実験の結果、比較例2の非表面処理小型濾過器のβMGのふるい係数は、1時間後に0.1、24時間後には0.2であった。限外濾過率は、1時間後90ml/hr/m/mmHgであったが24時間後には64ml/hr/m/mmHgに低下した。一方、実施例2の表面処理済小型濾過器のβMGのふるい係数は、1時間後、24時間後共に0.03で低い透過率を長時間維持していた。また、限外濾過率は、1時間後108ml/hr/mmHg、24時間後110ml/hr/mmHgであり、有意な経時的減少は認められなかった。
<エンドトキシン透過実験>実験の結果、比較例2の非表面処理小型濾過器は濾液中のエンドトキシン濃度が1時間後で検出限界以下、24時間後で10EU/lであった。限外濾過率は1時間後で96ml/hr/m/mmHgであったが24時間後には88ml/hr/m/mmHgに低下した。一方、実施例2の表面処理済小型濾過器は、1時間後、および24時間後ともに濾液中にエンドトキシンの検出を認めず、1時間後105ml/hr/m/mmHg、24時間後104ml/hr/m/mmHgであり、有意な経時的減少は認められなかった。
【本発明の効果】以上説明してきたように、本発明の濾過膜は、グリコシド誘導体を側鎖に有する重合体が、少なくとも処理液体の接触面に付与されているので、エンドトキシンやβMG、ミオグロビン等の疎水性部分を有する物質が吸着することなく、透水性能の低下が少なく、処理液体に含まれる疎水性部分を有する物質を効率的に除去、分離することができるのである。また、本発明の濾過膜は、前記グリコシド誘導体のグリコシド部分がグルコース、マンノース、ラクトース、マルトース、スクロースであるので、生体適合性に優れかつ、上記の効果を得ることができるのである。また、本発明の濾過膜は、前記重合体が2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド(GEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体であって、該GEMAとMMAの重量組成比が、1.0〜2.0:1.0であるので、上記のさらに高い効果を得ることができる。また、本発明の濾過膜は、前記GEMAの一部の水酸基同士が脱水することにより自己架橋しており、水の前進接触角が80〜95°の処理液体の接触面を有する。また、本発明の濾過器は、上記の濾過膜を有するので、上記の効果を得ることができる。また、血液濾過を伴う治療手段においても、外部から特殊な補充液の補充をなくし効率的な治療を可能とするものである。
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月10日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−28345
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−185577