トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 オイルフィルタ
【発明者】 【氏名】森 博道

【要約】 【課題】オイルに添加剤を混合することができるオイルフィルタを提供する。

【解決手段】オイルフィルタ100のエレメント30の濾材31には、潤滑性向上添加剤としてのテトラフルオロエチレン(PTFE)が付与されている。このPTFEは、オイルフィルタ100交換後の最初のオイル通過時にそこを通過するオイルによって最も多く持ち去られ、内燃機関内のオイル中に一気に拡散し、混合され、摩擦部としての金属表面に皮膜を形成して低摩擦を実現する。従って、オイルフィルタ交換直後から高い潤滑性向上効果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オイルを濾過する濾材を備えたオイルフィルタにおいて、オイルへの添加剤がオイルの最初の流通時に最も多くオイルに混合されるように付与されていることを特徴とするオイルフィルタ。
【請求項2】 前記添加剤は、オイルに容易に分散する状態で付与されていることを特徴とする請求項1記載のオイルフィルタ。
【請求項3】 前記濾材を含むエレメントを組み立てた後に、前記添加剤を付与することを特徴とする請求項1または2記載のオイルフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、機械を潤滑するオイルを濾過するオイルフィルタに関し、例えば内燃機関の潤滑用オイルを濾過するオイルフィルタとして利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、特開昭51−121638号公報に開示されるオイルフィルタが知られている。このオイルフィルタでは、オイルフィルタの容器内に添加剤を収容している。そして、添加剤が徐々にオイルに溶解し、長期間にわたって潤滑油中の添加剤濃度を一定以上に持続させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によると、溶解量を調節するように添加剤を収容しているため、長期間にわたって添加剤の効果が持続する反面、そのオイルフィルタの使用初期において、添加剤濃度が低く、オイルフィルタとオイルとを交換した直後の添加剤による効果が薄いという問題点がある。
【0004】また、添加剤のゆっくりとした長期間にわたる溶解を実現するために、オイルフィルタ内に収容する添加剤量も多く、オイルフィルタの体格の大型化、高価格化を招いている。さらには、添加剤の形態がブロック状とされているため、添加剤を収容するためにオイルフィルタの体格が大型化し、オイルフィルタのケースにも特別な形状が必要となるという問題点があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、オイルフィルタの使用初期から添加剤の高い効果を得ることを目的とする。さらに本発明は、添加剤を保持するための特別の形態を必要としないオイルフィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明によると、オイルフィルタには、オイルへの添加剤がオイルの最初の流通時に最も多くオイルに混合されるように付与されている。このため、オイルフィルタに付与された添加剤が、オイルフィルタを交換した直後の最初のオイルの通過によりオイルに混合され、オイルフィルタの使用初期からその効果を発揮する。
【0007】なお、請求項2記載の発明のように、添加剤は、オイルに容易に分散する状態で付与されていることが望ましい。例えば、固体状の添加剤にあっては、これをオイルフィルタの濾材では捕集できない程度の微細な粉末としたり、溶剤に溶かしてもよい。また、オイル中への分散性を高めるために微量の表面活性剤を混合することもできる。さらに、液体状の添加剤にあっては、これをできるだけオイルに溶け易い濃度、粘度に調整して付与することが望ましい。
【0008】なお、添加剤の付与にあたっては、濾材を含むエレメントに付与することができる。かかる構成では、エレメントを構成するいわゆるプロテクタに付与してもよく、濾材に付与してもよい。一般に濾材はその濾過面積を大きくするために広い表面積を有しており、添加剤が主として濾材に付与されることが望ましい。また、添加剤は、オイルフィルタ内部に付与され、保持されていることが、オイルフィルタの取り扱い上、あるいは添加剤の安定した保持の面から望ましい。なお、ケース内にエレメントを収容した形態をオイルフィルタとして、そのケース内あるいはそのケース内のエレメントに添加剤を付与することができる。また、ケース内からエレメント単品を取り出し可能に構成したいわゆるエレメント交換型の形態にあっては、エレメント単品をオイルフィルタとして、そのエレメントの内側空間に添加剤を付与することができる。
【0009】また、添加剤によるエレメントの組立て性への影響に配慮して、エレメント組立て後に、添加剤を付与するという請求項3記載の製造方法を採用することができる。かかる製造方法においては、エレメントをケース内に収容した後に、添加剤を付与してもよい。
【0010】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかるオイルフィルタの部分断面図である。図1において、内燃機関用オイルフィルタ100は有底円筒状である。オイルフィルタ100は、その外周面にフィルタ脱着工具が取り付けられる多角部11を有する金属製のフィルタケース10と、このフィルタケース10の開口端縁に外周縁が巻締めされて一体化された金属製の底板12と、その底板12の内面に溶接等により固定された金属製の補強板20とを有し、これらケース10と底板12と、補強板20とでケーシングが構成されている。補強板20の中央には、内燃機関に設けられたユニオンボルトに螺合され、このユニオンボルト内に貫通して形成されたオイル出口通路と連通するオイル出口22が形成されている。さらに、このオイル出口22の外周側には、複数のオイル入口21が環状に配列されて形成されている。なお、底板12の図示されない爪部によりゴム製のガスケット13が保持されている。
【0011】フィルタケース10内には、エレメント30が収容されている。エレメント30は、濾紙を折り曲げて形成された略円筒状の濾材31と、その上下端面に配置され接着されて不要な開口部を閉じる支持板32、33と、濾材の内側に配置された多数の孔を有する金属製の筒状プロテクタ34とで構成されている。エレメント30の内筒端面には、ゴム製の弁体40が挿嵌されている。弁体40は、逃がし弁と、逆止弁とを一体的に構成したものである。弁体40は、エレメント30を介してケース10の内側と補強板20との間に挟持されている。そして、その外側に形成された笠型の弁片により複数のオイル入口21を閉じ、オイル入口21へのオイルの逆流を防止している。また、内側に形成された笠型の弁片により、オイル入口21からオイル出口22への直接の連通を、両者の圧力差が所定値以上になるまで遮断している。これにより、オイルフィルタ10からオイル入口21側へのオイルの逆流が防止されるとともに、濾材が目詰まりした後もオイル入口21からオイル出口22への直接の連通によりオイルの流れが確保される。
【0012】この実施例では、オイルフィルタ100内のエレメント30の濾材31に添加剤が付与されている。添加剤としては、低摩擦性樹脂を採用している。この実施例では、低摩擦性樹脂としてテトラフルオロエチレン(PTFE)を付与した。PTFEは、濾紙に吹きつけにより付与され、濾紙繊維間に含浸されている。そしてPTFEは、オイルフィルタの交換後、最初のオイル通過時にオイルによって最も多く、そのほぼ全量が一気に運び去られ、オイルに混合される。こうして混合されたPTFEは、内燃機関の摩擦部に到達し、摩擦部の金属表面に皮膜を形成して摩擦抵抗を低減する。従ってこの実施例によると、オイルフィルタの交換直後の最初のオイル通過時にPTFEが一気にオイルに混合されるため、オイルフィルタ交換直後から高い効果が得られ、交換直後のスムーズな内燃機関の回転を実現できるとともに、PTFEの特性によって長期間にわたってその効果を維持することができる。
【0013】なお、添加剤としては固体潤滑材の粉末を付与してもよい。例えば、2硫化モリブデンの粉末をオイルフィルタに付与しておくことができる。また、添加剤としては、潤滑性、低摩擦性を改善するものに限らず、オイルの耐酸化性を高めるものなど種々のものを用いることができるが、自動車用内燃機関に用いる場合には、運転者がエンジン回転のスムーズさを体感できるという点から潤滑性、低摩擦性を主とする添加剤が望ましい。
【0014】また、添加剤の付与にあたり、添加剤をフェノール樹脂とともに濾紙に含浸させてもよく、適宜の溶剤、あるいは濾材への付着を確実にする難揮発性の油とともに付与してもよい。また、上記実施例では、添加剤を濾材に付与したが、エレメントを構成する部品、あるいはケーシング内の部品に添加剤を付与してもよい。例えば、エレメント30を組立てた後に、エレメント30をケーシング内に収容し、図示のようなオイルフィルタ100を組み立てた後に、オイル入口21、あるいは出口22から、添加剤を噴霧して、濾材31はもとより、オイルフィルタケース10の内側表面や、プロテクタ34の表面などにも付与するという製造方法を採用することができる。このように、濾材を含むエレメントを構成した後に、さらにはそのエレメントをケーシング内に収容した後に、添加剤を付与することで、濾材に接着される接着剤の接着性や、ケースの組立性を損なうことなく添加剤を付与することができる。
【0015】また、上記実施例では、ケース内にエレメントを収容した形態のオイルフィルタに本発明を適用したが、ケースから取り出した形態のエレメント単品のオイルフィルタに本発明を適用してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成9年(1997)7月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
【公開番号】 特開平11−28318
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−189655