トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 消泡剤組成物
【発明者】 【氏名】小石川 直己

【氏名】小宮 薫

【要約】 【課題】本発明の目的は、どのような環境においても製造工程又は処理工程に悪影響を与えず、且つ、効果的に発泡の抑制・除去が達成される消泡剤組成物を提供することにある。

【解決手段】本発明の消泡剤組成物は、必須成分として炭素数18以上の脂肪族アルコールを含有してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 必須成分として炭素数18以上の脂肪族アルコールを含有してなる消泡剤組成物。
【請求項2】 更に、脂肪酸グリセリンエステルを含む請求項1記載の消泡剤組成物。
【請求項3】 更に、ジオールを含む請求項1又は2記載の消泡剤組成物。
【請求項4】 更に、下記の一般式(1)
【化1】R1−O−(R2−O)n−H (1)
(式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わし、nは1以上の数を表わす。)で表わされる化合物を含む請求項1乃至3のいずれか1項記載の消泡剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡を抑制・除去するための消泡剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】さまざまな産業において、発泡はしばしば製造工程等の障害になることがある。例えば、製紙工業、繊維工業、発酵工業、塗料工業、合成樹脂工業、合成ゴム工業や排水処理等では製造工程又は処理工程において発泡が作業の障害になり、効率的な作業の妨げになることがある。したがって、各種産業において消泡剤は製造工程又は処理工程の効率化、ひいてはコストの削減に重要な役割を担っている。
【0003】従来、こうした用途にさまざまな消泡剤が開発されていた。消泡成分としては、鉱油、シリコーン類、エステル類、脂肪酸誘導体、ポリエーテル類等が一般的であり、これらを単独又は配合して使用していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような消泡剤又は消泡剤組成物は、使用される環境に応じて使い分ける必要があり、例えば排水処理用の消泡剤を建築塗料の消泡剤として使用することは不可能であった。従って、用途の限定されない汎用的な消泡剤が望まれていた。従って、本発明の目的は、どのような環境においても製造工程又は処理工程に悪影響を与えず、且つ、効果的に発泡の抑制・除去が達成される消泡剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、必須成分として炭素数18以上の脂肪族アルコールを含有してなる消泡剤組成物である。又、本発明は、更に脂肪酸グリセリンエステルを含む消泡剤組成物である。又、本発明は、更にジオールを含む消泡剤組成物である。又、本発明は、更に下記の一般式(1)
【化2】R1−O−(R2−O)n−H (1)
(式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わし、nは1以上の数を表わす。)で表わされる化合物を含む消泡剤組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の消泡剤組成物の必須成分である炭素数18以上の脂肪族アルコールとしては例えば、ステアリルアルコール、イコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ミリシルアルコール、ラッセロール、テトラトリアコンタノール等の脂肪族飽和アルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、ドコセノール、テトラコセノールなどの不飽和アルコール等が挙げられる。これらのアルコールは工業的には、オリーブ油、カカオ油、カポック油、ゴマ油、米糠油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、綿実油、落花生油、牛脂等の炭素数18以上の脂肪族グリセリドを多く含む天然油脂から誘導されるアルコールを蒸留等の方法によって分離した天然由来の混合アルコールや、チーグラー法によりエチレンを重合させるプロセスを経て製造されるチーグラーアルコール(主成分は直鎖1級アルコール)、オレフィンに一酸化炭素と水素を反応させるオキソ法により製造されるオキソアルコール(主成分は直鎖1級アルコールで、分岐1級アルコールも混在する)、パラフィンを空気酸化して製造され、水酸基が炭素鎖の末端以外へランダムに結合しているセカンダリーアルコール等の単一又は混合の合成アルコールとして製造されている。又、これらの炭素数18以上の脂肪族アルコールは、炭素数17以下の他のアルコールと混合して使用してもよい。特に上記工業的製法により製造されたアルコールは、多くの場合混合アルコールであるが、炭素数18以上の脂肪族アルコールを本発明の効果が発揮され得る量以上含有していれば、特に炭素数17以下のアルコールを分離することなく使用することができる。尚、炭素数が17以下のアルコールのみでは、実用的な消泡効果を得ることはできない。
【0007】本発明の消泡剤組成物に配合することができる脂肪酸グリセリンエステルは、脂肪酸とグリセリンとのエステルであって、モノエステル、ジエステル、トリエステル又はこれらの混合物である。該エステルを構成する脂肪酸としては例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸ベヘン酸、リグノセリン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、パルミトレイン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、アラキドン酸、リシノレイン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。又、天然油脂から得られた混合脂肪酸又はその硬化脂肪酸でもよい。天然油脂としては例えば、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ脂、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シナアット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油等の植物性油脂、馬脂、牛脂、牛脚脂、牛酪脂、豚脂、山羊脂、羊脂、乳脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が挙げられる。これらの中でも、優れた消泡効果を効果的に発揮するためには炭素数8〜22の単一又は混合脂肪酸のグリセリンエステルが好ましい。
【0008】又、本発明の消泡剤組成物に配合することができるジオールとしては炭素数2〜10のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール等が挙げられる。
【0009】更に、本発明の消泡剤組成物には、一般式(1)で表される化合物、即ち、非イオン界面活性剤を配合することもできる。一般式(1)で表される化合物において、R1及びR2は、炭化水素基を表わす。炭化水素基としては例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等である。
【0010】ここで、アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2級ペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドテシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
【0011】又、アルケニル基としては例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
【0012】更に、アリール基としては例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、スチレン化フェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
【0013】又、シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0014】中でも、一般式(1)で表わされる化合物、即ち、非イオン界面活性剤の疎水基であるR1として好ましい基はアルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基又はアリール基であるのがより好ましく、炭素数8〜18のアルキル基であることが更に好ましい。
【0015】R2は炭化水素基であるが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2が2種以上の基である場合は1種はエチレン基であることが好ましい。一般式(1)の(R2−O)n部は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド等を付加重合することにより得ることができる。又、付加させるアルキレンオキサイド等により、R2が決定され、付加させるアルキレンオキサイド等の重合形態は特に限定されず、1種類の単独重合、2種類以上のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等であってよい。重合度nは1以上の数であり、好ましくは1〜100、より好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜30である。
【0016】本発明の消泡剤組成物は、公知の消泡剤、例えば鉱油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、又は高級アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール等のアルキレンオキサイド付加物、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノールプロポキシレート、ジアルキルフェノールアルコキシレート、高級脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド縮合物、高級アルコール、高級エーテル、高級エーテルアルコール等と併用して使用してもよい。
【0017】本発明の消泡剤組成物の添加量は、添加する系の発泡状態等に応じて適宜設定すればよいが、通常、系に対して1〜50,000ppm程度添加すればよい。
【0018】本発明の消泡剤組成物の用途は特に限定されない。例えば製紙パルプ工業、塗料工業、繊維工業、合成樹脂工業、合成ゴム工業、樹脂エマルジョン工業、コンクリート工業、食品工業、屎尿処理、廃水処理等の水を多量に用いる製造・処理工程等、発泡障害が問題になる全ての製造・処理工程に使用することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り重量基準である。
(製造例1)温度計、窒素導入管及び攪拌機を備えた容量1,000mlの4つ口フラスコにC18アルコール30部、グリセリンモノ・ジステアレート(モノエステル45%)70部、エチレングリコール900部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間攪拌混合し、常温で透明液体の混合物を得た。これを本発明品1とする。
【0020】以下、同様にして本発明品2〜7を得た。
【表1】

なお、表1中、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドをそれぞれ表す。また、本発明品7に使用するC22アルコールは、オレフィンからオキソ法によって合成されたC22アルコールを主成分とする混合アルコールである。
【0021】(消泡試験1)水に、ロジン系サイズ剤、脱墨剤及び粘剤を配合した発泡液200mlを、底部に木下式ボールフィルターを設置した1リットルのメスシリンダーに秤量し、ボールフィルターを通じて4.0リットル/分で通気を行い、1,000mlの標線まで発泡させた。次いで、水にて200倍に希釈した本発明品1〜7及び比較品1〜4を消泡剤有効成分で5ppm添加した。その後、同様の通気を5分間継続し、泡容量の変化を測定した。
【0022】
【表2】

なお、表2中、O.F.はオーバーフローを表す。
【0023】(消泡試験2)底部に抜き取り口のある1リットルのメスシリンダーに試験発泡液500mlを入れ、底部から循環ポンプを通じて2.0リットル/分で試験発泡液を抜き出し、メスシリンダー上部へ導き、試験液の液面へ垂直に500mmの高さから滴下し循環させた。10分経過後の発泡量を泡容量として測定した。その後、循環を止め、10分間静置した後の経時泡容量を測定した。尚、試験発泡液は水にノニルフェノールエチレンオキサイド10モル付加物0.001%及び本発明品1〜7または比較品1〜4を5ppm添加し、試験発泡液の温度は25℃であった。
【0024】
【表3】

【0025】
【発明の効果】本発明の効果は、用途が限定されず、汎用的に使用することができる消泡剤組成物を提供することにある。
【出願人】 【識別番号】000000387
【氏名又は名称】旭電化工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【公開番号】 特開平11−28308
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−174075