| 【発明の名称】 |
中空糸膜の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤木 浩之
【氏名】小川 繁樹
【氏名】村瀬 圭
【氏名】平根 丈士
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| 【要約】 |
【課題】ポリビニルピロリドンが添加されたポリスルホン系樹脂の中空糸膜に遊離して残存するポリビニルピロリドンの極めて少ないポリスルホン系樹脂中空糸膜を得る。
【解決手段】ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンを用いて中空糸膜を湿式又は乾湿式紡糸法により製造する方法において、ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンとを含む紡糸原液を紡糸し、非溶媒中で凝固させ、中空糸膜をポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンとの共通溶媒と水との混合液にて処理して残存するポリビニルピロリドンを除去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンを用いて中空糸膜を湿式又は乾湿式紡糸法により製造する方法において、ポリビニルピロリドンを添加したポリスルホン系樹脂の溶媒溶液を紡糸原液として紡糸し、非溶媒中で凝固させた後、中空糸膜をポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンとの共通溶媒と水との混合液にて処理して残存するポリビニルピロリドンを除去することを特徴とする中空糸膜の製造方法。 【請求項2】 ポリスルホン系樹脂として、ポリアリルスルホン樹脂及び/又はポリエーテルスルホン樹脂を用いる請求項1記載の中空糸膜の製造方法。 【請求項3】 ポリスルホン系樹脂として、ポリアリルスルホン樹脂及びポリエーテルスルホン樹脂の混合物であって、ポリアリルスルホン樹脂/ポリエーテルスルホン樹脂の混合比(重量比)で95/5〜5/95の混合物を用いる請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンを用いた中空糸膜の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、ポリビニルピロリドンを添加せるポリスルホン系樹脂中空糸膜を湿式又は乾湿式紡糸法により製造する方法については公知であり、ポリビニルピロリドンは、ポリスルホン系樹脂中空糸膜の膜構造を制御するため、また膜に親水性を付与するために用いられている。しかしながら、ポリスルホン系樹脂中空糸膜にポリビニルピロリドンの全部が固定されずに一部が遊離して単に付着した状態で残存すると、残存するポリビニルピロリドンが濾過時に膨潤し中空糸膜に目詰まりを生じて濾過性能を低下させるという問題を生ずる。 【0003】したがって、ポリスルホン系樹脂中空糸膜の製造においては、中空糸膜に残存するポリビニルピロリドンを除去することは、極めて重要なことである。中空糸膜からの残存する添加剤の除去については、例えばポリエチレングリコールを添せる中空糸膜の製造においては、特開平7−39736号公報等にて、残存するポリエチレングリコールを除去する方法が提案されているが、ポリビニルピロリドンを添加せるポリスルホン系樹脂中空糸膜の製造においては、中空糸膜に残存するポリビニルピロリドンを除去する方法については、未だ有効な方法がないのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、本発明の目的は、ポリビニルピロリドンが添加されたポリスルホン系樹脂の中空糸膜に遊離して残存するポリビニルピロリドンの極めて少ないポリスルホン系樹脂の中空糸膜を得ることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)を用いて中空糸膜を湿式又は乾湿式紡糸法により製造する方法において、ポリビニルピロリドンを添加したポリスルホン系樹脂の溶媒溶液を紡糸原液として紡糸し、非溶媒中で凝固させた後、中空糸膜をポリスルホン系樹脂とPVPとの共通溶媒と水との混合液にて処理して残存するPVPを除去することを特徴とする中空糸膜の製造方法、にある。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明において、中空糸膜の製造に用いるポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂及びポリエーテルスルホン樹脂が挙げられ、これらは、化1、化2及び化3でそれぞれ表される構造を繰り返し単位とする高分子化合物であり、ポリスルホン系樹脂として、好ましくはポリアリルスルホン樹脂及び/又はポリエーテルスルホン樹脂が用いられ、より好ましくはポリアリルスルホン樹脂及びポリエーテルスルホン樹脂の混合物であって、ポリアリルスルホン樹脂/ポリエーテルスルホン樹脂の混合比(重量比)で95/5〜5/95の混合物が用いられる。 【0007】 【化1】
【0008】 【化2】
【0009】 【化3】
【0010】本発明における中空糸膜の製造方法には、好ましくはポリスルホン系樹脂とPVPとを共通溶媒に溶解し、この溶液を紡糸原液として紡糸口金よりポリスルホン系樹脂の非溶媒中に直接紡出する湿式紡糸法又は一旦空気中に紡出した後ポリスルホン系樹脂の非溶媒中に導く乾湿式紡糸法により紡糸し、非溶媒中で凝固させる方法が用いられる。 【0011】湿式又は乾湿式紡糸法としては、特にその紡糸条件には限定はなく、公知の任意の方法が用いられる。紡糸口金としては、中空糸膜を形成し得る任意の紡糸口金が用いられ、例えば二重管ノズル等の紡糸口金を用い、紡糸口金の中心部にポリスルホン系樹脂の非溶媒を、外周部に紡糸原液を分配して紡糸する。また、紡糸原液におけるポリスルホン系樹脂の溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が用いられ、特にN,N−ジメチルアセトアミドが好ましく用いられる。ポリスルホン系樹脂の非溶媒としては、水又は水と溶媒の混合液が用いられる。 【0012】本発明においては、ポリスルホン系樹脂とPVPを用いての中空糸膜の製造方法における湿式又は乾湿式紡糸し、非溶媒中で凝固させた後、得られる巻き取り或いは集合状態に集束した中空糸膜をポリスルホン系樹脂とPVPとの共通溶媒と水との混合液にて処理することを必須とする。混合液に用いられるポリスルホン系樹脂とPVPとの共通溶媒としては、紡糸原液に用いたと同じ溶媒を用いることが好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミドが好ましく用いられる。 【0013】混合液は、その共通溶媒と水との混合比が、好ましくは重量比で溶媒/水=20/80〜70/30、より好ましくは40/60〜60/40の混合液を用いる。混合比が20/80未満の溶剤が少ない場合は、残存するPVPの除去効果が低く、混合比が70/30を超えて溶剤が多すぎる場合は、中空糸膜の損傷を招く。 【0014】混合液にての処理は、中空糸膜に遊離して残存するPVPを除去するものであれば、スプレイ処理、パディング処理でもよいが、混合液に浸漬する浸漬処理であることが好ましい。浸漬処理の場合は、中空糸膜を混合液中に浸漬するだけでもよいし、浸漬の間混合液を攪拌流動させてもよいし、また除去効率をより高めるうえで浸漬下に中空糸膜の中空内或いは膜に混合液を強制通過させてもよい。処理時の混合液の温度は、除去効果の点で高い程よく、80℃以上で行うことが好ましい。 【0015】本発明においては、このようにポリスルホン系樹脂とPVPとの共通溶媒と水との混合液にて中空糸膜を処理することにより、中空糸膜に遊離して残存するPVPが除去されたポリスルホン系樹脂中空糸膜が得られる。 【0016】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、中空糸膜の評価は、次の方法に拠った。 〈溶出試験〉中空糸膜0.2gを蒸留水20g中に80℃で24時間浸漬処理した。処理後の水をJIS K0102.22に拠りTOCの測定を行った。 【0017】(実施例1)ポリアリルスルホン(帝人アモコ(株)製RADEL R−5000)10.3重量%、ポリエーテルスルホン(帝人アモコ(株)製RADEL A−100)6.9重量%、ポリビニルピロリドン(分子量1.1×106)1.0重量%及びポリビニルピロリドン(分子量4×104)4.0重量%をN,N−ジメチルアセトアミドに加熱溶解して紡糸原液を調製した。紡糸口金として二重管ノズルを用い、ノズルの中心部にN,N−ジメチルアセトアミド68重量%水溶液を、外周部に紡糸原液をそれぞれ分配して吐出し、30mmの空気層を介してN,N−ジメチルアセトアミド68重量%水溶液中に導いて凝固させ、14m/分の速度で引き取って中空糸膜を得た。 【0018】得られた中空糸膜を長さ600mmに切断し、切断された中空糸膜約2400本を円柱状に束ね、内径45mmの円筒状容器に挿入充填し、下方の切断端部面から上方の切断端部面への方向に円筒状容器内に、N,N−ジメチルアセトアミド40/水60(重量比)の80℃の混合液を、300ミリリットル/分で3時間循環通液させた。次いで、80℃の水に30分浸漬して水洗した。処理された中空糸膜の溶出試験によるTOCは、28ppmであった。 【0019】(実施例2)実施例1において、処理液の混合液をN,N−ジメチルアセトアミド20/水80(重量比)の混合液に代えた以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を処理した。得られた中空糸膜の溶出試験によるTOCは、52ppmであった。 【0020】(実施例3)実施例1において得られた中空糸膜を長さ600mmに切断し、切断された中空糸膜約2400本を円柱状に束ねたものを、N,N−ジメチルアセトアミド40/水60(重量比)の80℃の混合液の浴中に72時間静置浸漬した。次いで80℃の水に30分浸漬して水洗した。処理された中空糸膜の溶出試験によるTOCは、35ppmであった。 【0021】(実施例4)実施例3において、処理液の混合液をN,N−ジメチルアセトアミド60/水40(重量比)の混合液に代え、静置浸漬時間を3時間に変更した以外は、実施例3と同様にして中空糸膜を処理した。処理された中空糸膜の溶出試験によるTOCは、42ppmであった。 【0022】(比較例1)実施例1において、処理液の混合液を水に代えた以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を処理した。処理された中空糸膜の溶出試験によるTOCは、82ppmであった。 【0023】(比較例2)実施例3において、処理液の混合液を水に代え、静置浸漬時間を3時間に変更した以外は、実施例3と同様にして中空糸膜を処理した。処理された中空糸膜の溶出試験によるTOCは、116ppmであった。 【0024】(比較例3)実施例3において、処理液の混合液をN,N−ジメチルアセトアミド80/水20(重量比)の混合液に代えた以外は、実施例3と同様にして中空糸膜を処理した。処理された中空糸膜は、膜の一部が溶解し、膜性能の劣るものとなった。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、PVPの添加により膜構造が制御され、膜に親水性が付与されたポリスルホン系樹脂の中空糸膜であって、遊離して残存し使用時に溶出するPVPが極めて少ないポリスルホン系樹脂の中空糸膜を得ることが可能であり、本発明により得られるポリスルホン系樹脂の中空糸膜は、限外濾過、精密濾過等に好適に用いられる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006035 【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】田村 武敏
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| 【公開番号】 |
特開平11−540 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−169628 |
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