| 【発明の名称】 |
外圧式中空糸型分離膜モジュール |
| 【発明者】 |
【氏名】仁田 和秀
【氏名】田中 聡
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| 【要約】 |
【課題】モジュール内を流れる処理流体が、偏流を作ることなく均一に流れまた流路閉塞を発生させることがないことから、濃度分極を最小限に抑えられるため、優れた分離効率と耐濁質成分性を発現できるモジュールを提供する。
【解決手段】外筒内にU字に折り曲げられた中空糸束が収納され、外筒の一端部が樹脂隔壁により固定されており、且つ該U字に折り曲げられた中空糸膜の両端部が樹脂隔壁の外面に開口されている外圧式中空糸型分離膜モジュールにおいて、外筒内の樹脂隔壁表面から軸方向に50mmの範囲内の少なくとも一箇所に、該外筒内から被処理水を排出するための開口部を有する導管を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 処理水供給口、被処理水排出口及び透過水取出口を持つ外筒内にU字に折り曲げられた中空糸束が収納され、外筒の一端部が樹脂隔壁により固定されており、且つ該U字に折り曲げられた中空糸膜の両端部が樹脂隔壁の外面に開口され、外筒内と開口部は樹脂隔壁によって液密とされている外圧式中空糸型分離膜モジュールにおいて、外筒内の樹脂隔壁表面から軸方向に50mmの範囲内の少なくとも一箇所に、該外筒内から被処理水を排出するための開口部を有する導管を設け、該導管の一端は被処理水排出口と連通してなることを特徴とする外圧式中空糸型分離膜モジュール。 【請求項2】 中空糸束の充填率が35〜75%である請求項1記載の外圧式中空糸型分離膜モジュール。 【請求項3】 中空糸束の長さ/直径の比が4〜20である請求項1又は2記載の外圧式中空糸型分離膜モジュール。 【請求項4】 中空糸束を形成する中空糸膜が逆浸透膜である請求項1乃至3のいずれかに記載の外圧式中空糸型分離膜モジュール。 【請求項5】 中空糸束を形成する中空糸膜において、振幅が中空糸の外径に対して0.5〜10倍であるクリンプを10cm長さあたり5〜20個付与した中空糸膜を用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の外圧式中空糸型分離膜モジュール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液体混合物からの固体分離あるいは溶質分離、または気体混合物中の成分を選択的に透過分離するのに利用される外圧式中空糸型分離膜モジュールに関し、特に高効率で分離可能な外圧式中空糸型分離膜モジュールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】膜法による液状混合物の分離、濃縮は蒸留などの分離技術に較べ省エネルギー法でありかつ物質の状態変化を伴わないことから果汁の濃縮、ビール酵素の分離などの食品分野、海水及びかん水の淡水化による飲料水、工業用水などの製造、電子工業に於ける超純水の製造や医薬品工業や医療分野に於ける無菌水の製造などの水精製分野あるいは工業廃水からの有価物の回収といった多分野に於いて幅広く利用されている。またガス分離法としては従来深冷分離法、吸着法、吸収法などがあるが、これらの技術に較べ分離膜法を利用した場合には処理コストが安い、操作が簡単である、装置効率が高い、メインテナンスが容易などの利点があり研究開発も盛んである。 【0003】これら、膜による分離は、膜を用いて混合物から特定の成分だけをより選択的に透過させることにより成し遂げられる。したがって分離膜の性能は、分離対象物の透過選択性並びに透過速度により特性付けられる。透過選択性は、例えば逆浸透膜の場合には塩除去率で定義付けられ、ガス分離膜の場合には分離係数で定義付けられる。また透過速度は同様に単位時間当たりの透過水量やガス透過量により定義付けられる。 【0004】分離膜モジュールの形態には、中空糸型、スパイラル型、管状型あるいは平膜型等が採用されているが、特に中空糸型分離膜モジュールは、単位膜面積当たりの透過水量は小さいが、モジュール当たりの膜面積を大きくとることができるため全体として透過水量を大きくとることができ、容積効率が高いという利点から多く採用されている。 【0005】従来の外圧式中空糸型分離膜モジュールの構造には、多孔芯管に中空糸膜を捲きつけ両端をエポキシ樹脂等で固定したものを外筒内に挿入し、処理水は多孔芯管を経由して中空糸膜に垂直に供給するもの、あるいは外筒内に樹脂隔壁によって固定したU字に折り曲げられた中空糸膜束が収納されているものが例として挙げられる。 【0006】しかしながら、前者は処理水の膜表面における流速が小さいため膜表面での溶質濃度が高く分離効率及び透過効率が悪くなり、分離効率を高めるために回収率を低くする必要があった。また、外筒内に中空糸膜本数をできるだけ多く配置して膜面積を増大させている上、膜表面における流速が小さいため中空糸膜間隙に処理水中の濁質成分が詰まり易く、濁質成分の影響により重大な性能低下を引き起こすという問題があった。 【0007】また、後者は全量濾過を対称とした限外濾過膜や精密濾過膜に主に採用されており、中空糸膜表面での処理水の流速を高くとれるため、前者に比較すると膜表面での濃度上昇を抑えることができるという利点があるが、偏流を生じ易いといった問題があった。特に中空糸膜に逆浸透膜を利用した場合、分離効率の低下が著しく実用に適さないと考えられていた。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題点を解消しようとするものであり、外筒内にU字に折り曲げられた中空糸束が収納され、外筒の一端部が樹脂隔壁により固定されており、且つ該U字に折り曲げられた中空糸膜の両端部が樹脂隔壁の外面に開口されている外圧式中空糸型分離膜モジュールに、外筒内の樹脂隔壁表面から軸方向に50mmの範囲内の少なくとも一箇所に、該外筒内から被処理水を排出するための開口部を有する導管を設けることにより、簡単に優れた分離効率と耐濁質成分性を発現できるモジュールを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】即ち本発明は、処理水供給口、被処理水排出口及び透過水取出口を持つ外筒内にU字に折り曲げられた中空糸束が収納され、外筒の一端部が樹脂隔壁により固定されており、且つ該U字に折り曲げられた中空糸膜の両端部が樹脂隔壁の外面に開口され、外筒内と開口部は樹脂隔壁によって液密とされている外圧式中空糸型分離膜モジュールにおいて、外筒内の樹脂隔壁表面から軸方向に50mmの範囲内の少なくとも一箇所に、該外筒内から被処理水を排出するための開口部を有する導管を設け、該導管の一端は被処理水排出口と連通してなることを特徴とする外圧式中空糸型分離膜モジュールを提供する。 【0010】本発明で言う外圧式中空糸型分離膜モジュールとは、処理水供給口、被処理水排出口及び透過水取出口を持つ外筒内にU字に折り曲げられた中空糸束が収納され、外筒の一端部が樹脂隔壁により固定されており、且つ該U字に折り曲げられた中空糸膜の両端部が樹脂隔壁の外面に開口され、外筒内と開口部は樹脂隔壁によって液密とされている外圧式中空糸型分離膜モジュールであり、その製造法方法に限定されるものでない。 【0011】本発明に使用する中空糸型分離膜を形成する高分子重合体としては、酢酸セルロース類、ポリアミド類、ポリアミドヒドラジド類、ポリ尿素類、ポリビニルアルコール類、ポリスルホン類、ポリアクリロニトリル類及び炭化水素等が単独あるいは混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。 【0012】また、分離膜によってはその構造が活性層と支持層よりなるものがあり、活性層と支持層が同一素材でできているものは非対称膜と呼ばれ、これらが異なった素材でできているものは複合膜と呼ばれている。非対称膜は相転換法で得ることができ、一方複合膜は非対称膜と同様の操作で支持層となる支持膜を製膜した後、このものの表面にコート法や界面重合法、プラズマ重合法等により薄い活性層を形成させることで得ることができる。本発明に使用される中空糸型分離膜は、これらの構造、製造法には限定されない。 【0013】さらに、上記中空糸型分離膜の形状は特に限定されず、それらの分離性能にも限定されるものではない。 【0014】本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールにおける外筒や外筒内に開口部を有する導管の素材としては、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、FRP等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。 【0015】また本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールにおける樹脂隔壁の素材としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。 【0016】本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールにおける中空糸束の充填率は35〜75%が好ましく、40〜60%がより好ましい。充填率が35%未満であると処理水の偏流が生じ易く分離効率が低下し、また75%より大きいと処理水中の濁質成分による中空糸間隙での詰まりが早くなることから分離効率が低下し易くなる。 【0017】本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールにおける中空糸束の長さ/直径の比は4〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましい。長さ/直径の比が4未満であると処理水の偏流により分離効率が低下し、また20よりも大きいとモジュール内での圧力損失を生じ易く分離効率が低下する。 【0018】本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールにおける開口部を有する導管においては、開口部の形状及び数、また導管の数は特に限定されるものではないが、モジュールの構造上導管の数については1つが好ましい。さらに導管における開口部の位置は、外筒内側の樹脂隔壁表面から軸方向に50mmの範囲内に設ける必要がある。50mmよりも大きくなると外筒内でのデッドスペースが大きくなり、中空糸膜有効長さの低下や処理水の偏流により分離効率が低下する。また、導管の一端は被処理水排出口と連通させることが必要である。 【0019】以下図により本発明の外圧式中空糸型分離膜モジュールの構造を説明する。図1〜図4は本発明による外圧式中空糸型分離膜モジュールの例を示したものであり、図5、図6は従来の外圧式中空糸型分離膜モジュールの例を示したものである。 【0020】図1〜4において、1は処理水供給口、2は被処理水排出口、3は透過水取出口をそれぞれ示す。1から供給された処理水は、外筒内5に導かれU字に折り曲げられた中空糸束7によって処理される。この中空糸束7の両端部は樹脂隔壁6によって外筒の一端部と固定され且つ樹脂隔壁6の外面に開口されており、外筒内5と中空糸束開口部8は樹脂隔壁6によって液密とされている。外筒内5に導かれた処理水は、中空糸の外表面から圧入されて分離処理され、中空糸を断面方向に通り抜けた透過水は中空部を経由して中空糸束開口部8より沁みだし透過水取出口より系外に導かれる。一方上記分離処理の際中空糸を透過しなかった被処理水は、開口部を有する導管9より被処理水排出口2を経由して系外に排出される。 【0021】処理水供給口1、被処理水排出口2及び透過水取出口3の配置は特に限定されないが処理水供給口1は、樹脂隔壁6とできるだけ離れた位置に設置することが好ましい。これにより外筒内での偏流が小さくなり、デッドスペースも最小限にできるため安定した性能を発現できるためである。 【0022】 【発明の効果】本発明による外圧式中空糸型分離膜モジュールによれば、流体は偏流を作ることなく均一に流れるため濃度分極を起こすことがなく、高い透過選択性を達成できることから、簡単に優れた分離効率と耐濁質成分性を発現できるモジュールを提供することが可能である。かかる本発明による外圧式中空糸型分離膜モジュールは、例えば飲料水や工業用水等の製造を目的とした海水やかん水の脱塩による淡水化に利用される膜分離プロセス、濁質成分の除去あるいは気体混合物の成分分離に好適に用いることができる。 【0023】 【実施例】以下実施例及び比較例を示して本発明を説明するが、ここで挙げる実施例は本発明を規制するものでない。 【0024】実施例1中空糸型分離膜モジュールの構造は図1に示した通りである。開口部を有する導管には図7aに示したような側面に直径3mmの穴を3ケ所開けたものを使用し、外筒内の樹脂隔壁表面からの距離は20〜25mmに設定した。外径165μm、内径64μmの三酢酸セルロースを素材とし、しかも中空糸10cm長さあたり15個で振幅が500μmのクリンプを付与した中空糸型逆浸透膜をU字に折り曲げられた中空糸束とし、内径が65mm長さが330mmの耐圧外筒に中空糸束の長さ/直径の比が4.5、中空糸束の耐圧外筒への充填率が50%になるように挿入し、これを樹脂固定した。なおモジュール作成に使用した中空糸型逆浸透膜の性能は、供給液中の塩化ナトリウム濃度:35000mg/l、供給液温度:25℃、操作圧力:55Kg/cm2 の評価条件で透過水量は60l/m2 日、塩化ナトリウムの除去率は99.9%であった。 【0025】得られた外圧式中空糸型分離膜モジュールを、供給液中の塩化ナトリウム濃度:35000mg/l、供給液温度:25℃、操作圧力:55Kg/cm2 、回収率:30%及び50%の条件で逆浸透性能を確認した。これらの結果を表1に示す。透過水量、塩除去率ともに満足のいくものであった。 【0026】実施例2中空糸型分離膜モジュールの構造は図1に示した通りである。開口部を有する導管には図7aに示したような側面に直径2mmの穴を5ケ所開けたものを使用し、外筒内の樹脂隔壁表面からの距離は10〜15mmに設定した。外径175μm、内径84μmの三酢酸セルロースを素材とし、しかも中空糸10cm長さあたり15個で振幅が500μmのクリンプを付与した中空糸型逆浸透膜をU字に折り曲げられた中空糸束とし、内径が54mm長さが290mmの耐圧外筒に中空糸束の長さ/直径の比が5.2、中空糸束の耐圧外筒への充填率が50%になるように挿入し、これを樹脂固定した。なおモジュール作成に使用した中空糸型逆浸透膜の性能は、供給液中の塩化ナトリウム濃度:500mg/l、供給液温度:25℃、操作圧力:3Kg/cm2 の評価条件で透過水量は21l/m2日、塩化ナトリウムの除去率は95.4%であった。 【0027】得られた外圧式中空糸型分離膜モジュールを、供給液中の塩化ナトリウム濃度:500mg/l、供給液温度:25℃、操作圧力:3Kg/cm2 、回収率:50%及び75%の条件で逆浸透性能を確認した。これらの結果を表1に示す。透過水量、塩除去率ともに満足のいくものであった。 【0028】実施例3中空糸型分離膜モジュールの構造は図2に示した通りである。開口部を有する導管には図7bに示したような内径5mmの中空管を使用し、外筒内の樹脂隔壁表面から開口部までの距離は20mmに設定した。外径300μm、内径200μmの芳香族ポリスルホンを素材とする中空糸型限外濾過膜をU字に折り曲げられた中空糸束とし、内径が54mm長さが330mmの耐圧外筒に中空糸束の長さ/直径の比が6.0、中空糸束の耐圧外筒への充填率が45%になるように挿入し、これを樹脂固定した。なおモジュール作成に使用した中空糸型限外濾過膜の性能は、供給液中のデキストラン(分子量:10万)濃度:300ppm、供給液温度:25℃、操作圧力:1Kg/cm2 での評価条件で透過水量は11,500l/m2 日、デキストランの除去率は90.2%であった。 【0029】得られた外圧式中空糸型分離膜モジュールを、供給液中のデキストラン(分子量:10万)濃度:300ppm、供給液温度:25℃、操作圧力:1Kg/cm2 、回収率70%及び90%の条件で評価し、限外濾過膜性能を確認した。これらの結果を表2に示す。透過水量、デキストラン除去率ともに満足のいくものであった。 【0030】比較例1モジュール構造として図5に示す従来のタイプを採用した以外は、実施例2に準じた。結果を表1に示す。回収率50%では良好な性能を維持しているものの、回収率75%では、透過水量、塩除去性ともに低下した。これはモジュール内で偏流が発生していることを示唆するものである。 【0031】比較例2モジュール構造として図6に示す従来のタイプを採用した以外は、実施例3に準じた。結果を表2に示す。回収率70%でも透過水量、塩除去性ともに低下した。これは外筒側面に設けた被処理水排出口が中空糸束によって塞がれ、モジュール内で偏流が発生していることを示唆するものである。 【0032】 【表1】
【0033】 【表2】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月13日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−535 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−156856 |
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