| 【発明の名称】 |
溶剤回収方法、及び、溶剤回収装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】前川 禎佑
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| 【要約】 |
【課題】溶剤分離工程で得る水蒸気を合理的に再利用して、脱着用水蒸気の浪費を防止する。
【解決手段】溶剤蒸気含有気体Aを吸着剤Kに供給する吸着工程と、脱着用水蒸気Sを吸着剤Kに供給する脱着工程と、脱着工程で溶剤蒸気Y’を含む状態となった水蒸気S’から溶剤分Yt,Ymを分離する溶剤分離工程とを有する溶剤回収方法において、この溶剤分離工程で溶剤分Yt,Ymを分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水W”から発生させた水蒸気、又は、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気Stとし、脱着工程の開始時に、脱着用水蒸気Sの供給に先立ち、この立ち上げ用水蒸気Stを吸着剤Kに供給し、その後、この立ち上げ用水蒸気Stの供給を停止して、吸着剤Kへの脱着用水蒸気Sの供給を開始する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 溶剤蒸気含有気体を吸着剤に供給して、その気体中の溶剤蒸気を前記吸着剤に吸着させる吸着工程と、この吸着工程の後に脱着用水蒸気を前記吸着剤に供給して、前記吸着剤の吸着溶剤を水蒸気中に脱着させる脱着工程と、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気から溶剤分を分離する溶剤分離工程とを有する溶剤回収方法であって、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気、又は、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気とし、脱着工程の開始時に、脱着用水蒸気の供給に先立ち、この立ち上げ用水蒸気を前記吸着剤に供給し、その後、この立ち上げ用水蒸気の供給を停止して、前記吸着剤への脱着用水蒸気の供給を開始する溶剤回収方法。 【請求項2】 前記吸着剤を複数組設けて、これら複数組の吸着剤の脱着工程を順次に実施し、これら脱着工程の順次実施に対応して、溶剤分離工程で前記立ち上げ用水蒸気を順次に得るのに伴い、その立ち上げ用水蒸気を脱着工程開始の吸着剤組に対し順次に供給する請求項1記載の溶剤回収方法。 【請求項3】 溶剤分離工程において、溶剤蒸気を含む水蒸気の復水から蒸留により溶剤蒸気を分離し、この蒸留により溶剤蒸気を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気を前記立ち上げ用水蒸気として用いる請求項1又は2記載の溶剤回収方法。 【請求項4】 脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気からその保有熱を回収し、この回収熱により、溶剤分離工程で前記蒸留を行う水蒸気復水を予熱する請求項3記載の溶剤回収方法。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶剤回収方法に用いる溶剤回収装置であって、溶剤蒸気含有気体を吸着剤に供給する吸着工程と、脱着用水蒸気を前記吸着剤に供給する脱着工程と、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気から溶剤分を分離する溶剤分離手段において溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気、又は、前記溶剤分離手段において溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気として、この立ち上げ用水蒸気を前記吸着剤に供給する脱着立上工程とに、装置運転工程を切り換える切換手段を設けてある溶剤回収装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、溶剤による電子部品の洗浄で発生する溶剤蒸気など、種々の要因で発生する溶剤蒸気を回収する溶剤回収方法、及び、溶剤回収装置に関し、詳しくは、溶剤蒸気含有気体を吸着剤に供給して、その気体中の溶剤蒸気を吸着剤に吸着させる吸着工程と、この吸着工程の後に脱着用水蒸気を吸着剤に供給して、吸着剤の吸着溶剤を水蒸気中に脱着させる脱着工程と、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気から溶剤分を分離する溶剤分離工程とを有する溶剤回収方法、及び、この回収方法に用いる溶剤回収装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の溶剤回収方法、及び、溶剤回収装置では、一般的には、特公平7−38934号公報に見られるように、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水(具体的には、溶剤分離工程の最終段階として溶剤含有の水蒸気復水から蒸留により溶剤蒸気を分離した側の水蒸気復水)は、その全量を装置外へ排出していた。 【0003】また、実公平5−41772号公報に見られるように、溶剤分離工程での溶剤分離処理として、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気のうち、先ず水蒸気分のみを選択的に凝縮させ、続いて未凝縮の水蒸気と溶剤蒸気とを膜分離により分離するようにし、そして、上記の凝縮で生じる水(水蒸気復水)をその凝縮の際の回収熱により蒸発させて得る再生水蒸気と、上記の膜分離で溶剤蒸気と分離した側の分離水蒸気とを、別系統から供給される本来の脱着用水蒸気に対し圧縮機や蒸気エゼクタなど用い合流させて、本来の脱着用水蒸気とともに脱着工程の吸着剤に供給する方式もある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水の全量を装置外へ排出する前者の方式では、次の(イ)〜(ハ)の問題がある。 【0005】(イ)装置外へ排出する水蒸気復水とともに、その保有熱(特に、溶剤分離工程で溶剤分離の為に与えた熱、具体的には蒸留の為に与えた熱)も装置外へ排出してしまう為、熱ロスが大きい。 【0006】(ロ)溶剤分離工程で溶剤分を分離するとは言え、装置外へ排出する水蒸気復水には微量の溶剤(すなわち、蒸留で残る平衡溶解量の溶剤)が含まれる為、この排出復水の後処理や産業廃棄物としての廃棄処分に大きな費用を要する。 【0007】(ハ)脱着工程の開始当初では脱着用水蒸気は、吸着剤を脱着温度まで昇温させる、また、吸着剤周りから不要気体(例えば空気)を追い出す為だけに消費されて、本来の脱着には有効に寄与せず、このような脱着工程開始当初からその後の実質の脱着工程と同じ高質(高温・高圧・清浄)の高コスト水蒸気を脱着用水蒸気として吸着剤に供給する点で無駄が大きく、脱着用水蒸気の生成コストが嵩む。 【0008】一方、後者の方式は、選択的凝縮により溶剤蒸気を分離した水蒸気復水から回収熱を用いて生成させた再生水蒸気、及び、膜分離により溶剤蒸気と分離した分離水蒸気を、本来の脱着用水蒸気とともに吸着剤に供給して脱着に寄与させることにより、溶剤を含む水蒸気復水の装置外排水量の低減、及び、その排水に伴う熱ロスの低減を図ったものであるが、これにしても次の(ニ)〜(ヘ)の問題がある。 【0009】(ニ)溶剤分離工程で得る上記の再生水蒸気や分離水蒸気は、脱着工程で吸着剤に供給する本来の脱着用水蒸気に比べ大きく圧力低下していることから、これら溶剤分離工程で得る低圧水蒸気を本来の脱着用水蒸気とともに吸着剤に供給するには、圧縮機や蒸気エゼクタなどの圧力装置が必要になり、この為、装置構造が複雑になる。また、これら圧力装置によるエネルギロスも大きい。 【0010】(ホ)溶剤分離工程で得る上記の再生水蒸気及び分離水蒸気を本来の脱着用水蒸気とともに脱着工程の吸着剤に供給して再利用するから、本来の脱着用水蒸気の消費量は低減できる(すなわち、このことで装置外排水量を低減できる)ものの、脱着工程の開始当初から本来の脱着用水蒸気を吸着剤に供給する点で前記(ロ)と同様の無駄がある。また、本来の脱着用水蒸気を、溶剤分離工程で得られる低温化した再生水蒸気及び分離水蒸気とともに吸着剤に供給する為、本来の脱着用水蒸気の低温化を生じて脱着性能が低下し、この点でも本来の脱着用水蒸気の使用に無駄がある。 【0011】(ヘ)選択的凝縮により溶剤蒸気を分離した水蒸気復水から回収熱を用いて生成させた再生水蒸気や、膜分離により溶剤蒸気と分離した分離水蒸気と言えども、分離し切れずに残る溶剤を含むことから、これら水蒸気を本来の脱着用水蒸気とともに吸着剤に供給して脱着を行うのでは、これら水蒸気の含有溶剤が吸着剤に付着し、その付着状態のままで次の吸着工程に移ることになり、この為、吸着性能、ひいては溶剤回収性能が低下する。 【0012】以上の実情に対し、本発明の主たる課題は、溶剤分離工程で得る水蒸気を合理的に再利用することにより、上記(イ)〜(ヘ)の問題を効果的に解消する点にある。 【0013】 【課題を解決するための手段】 〔1〕請求項1記載の発明では、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気、又は、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気として、脱着工程の開始時に、脱着用水蒸気の供給に先立ち、この立ち上げ用水蒸気を吸着剤に供給し、その後、この立ち上げ用水蒸気の供給を停止して、吸着剤への脱着用水蒸気の供給を開始するから、次の(a)〜(e)のことが可能になる。 【0014】(a)本来の脱着用水蒸気の供給に先立つ脱着工程開始時の立ち上げ用水蒸気の供給により、溶剤分離工程で得るこの立ち上げ用水蒸気を利用して、脱着工程の開始当初における吸着剤の昇温と吸着剤周りからの不要気体の追い出しを行うことができ、これにより、溶剤分離工程で得る水蒸気の再利用による脱着用水蒸気の必要量低減に加え、脱着工程開始当初の吸着剤昇温や不要気体追い出しに、その後の実質の脱着工程と同じ高質・高コストの脱着用水蒸気を使用する無駄を省くことができる。 【0015】また、この立ち上げ用水蒸気の供給の後、立ち上げ用水蒸気の供給を停止して、吸着剤に対する本来の脱着用水蒸気の供給を開始するから、溶剤分離工程で得る立ち上げ用水蒸気を本来の脱着用水蒸気とともに脱着工程の吸着剤に供給する場合に生じる脱着用水蒸気の低温化も回避でき、この点でも本来の脱着用水蒸気を無駄なく有効に使用でき、これらのことから、脱着用水蒸気の必要量を効果的に低減できて、脱着用水蒸気の生成コストを大巾に低減できる。 【0016】(b)上記の如く脱着用水蒸気を無駄なく有効に使用できて、その必要量を効果的に低減できることにより、脱着用水蒸気の生成コストの低減に加え、分離し切れずに残る溶剤を含んだ状態で最終的に装置外へ排出する水蒸気復水の排水量も低減でき、これにより、この排出復水の後処理や産業廃棄物としての廃棄処分に要する費用も低減できる。 【0017】(c)装置外へ排出する水蒸気復水の排水量を低減できることで、水蒸気復水とともにその保有熱(脱着工程からの残存保有熱や、溶剤分離工程で溶剤分離の為に与えた熱など)を装置外排出してしまう熱ロスも回避でき、換言すれば、この保有熱の有効利用により前記した脱着工程開始時の吸着剤昇温を行う。 【0018】(d)溶剤分離工程で得る立ち上げ用水蒸気が本来の脱着用水蒸気に比べ低圧化しているとしても、この立ち上げ用水蒸気は本来の脱着用水蒸気の吸着剤への供給に先立ち独立に吸着剤へ供給するから、溶剤分離工程で得る低圧の立ち上げ用水蒸気を本来の高圧の脱着用水蒸気とともに吸着剤に供給する場合に要する圧縮機や蒸気エゼクタなどの圧力装置を不要にすることができ、これにより、装置構造を簡単にして装置コストを安価にでき、また、このような圧力装置によるエネルギロスも回避できる。 【0019】(e)溶剤分離工程で得る立ち上げ用水蒸気は、未分離の溶剤分ないし分離し切れずに残る溶剤分を含むが、この立ち上げ用水蒸気を供給した後は、立ち上げ用水蒸気の供給を停止して脱着用水蒸気を脱着工程の吸着剤に供給するから、立ち上げ用水蒸気の供給段階でその立ち上げ用水蒸気に含有の溶剤分が吸着剤に付着したとしても、その後の本来の脱着用水蒸気の供給により吸着剤から付着溶剤分を除去できて、溶剤分付着のない清浄な吸着剤状態で次の吸着工程に移行することができ、これにより、溶剤分離工程で得る低溶剤濃度の水蒸気の利用として、その低溶剤濃度の水蒸気を脱着工程を通じ本来の脱着用水蒸気とともに吸着剤に供給するのに比べ、吸着効率、ひいては溶剤回収効率を高く確保することができる。 【0020】以上要するに、請求項1記載の発明によれば、先述の各従来方式における(イ)〜(ヘ)の問題を効果的に解消できて、コスト面で大巾に有利にしながら高い溶剤回収効率を得ることができる。 【0021】〔2〕請求項2記載の発明では、複数組の吸着剤の脱着工程を順次に実施し、これら脱着工程の順次実施に対応して、溶剤分離工程で立ち上げ用水蒸気を順次に得るのに伴い、その立ち上げ用水蒸気を脱着工程開始の吸着剤組に対し順次に供給するから、脱着工程の順次実施でそれら脱着工程に対する溶剤分離工程を連続化することに合わせ、溶剤分離工程で得られる立ち上げ用水蒸気も、各吸着剤の脱着工程開始時における限定的使用でありながら、可及的に連続化した状態で効率的に使用でき、これら連続化により、溶剤回収を実施する装置の小型化を可能にしながら、溶剤回収を能率的かつ円滑に進めることができる。 【0022】そして、このことから、脱着工程の順次実施に対応させて、複数組の吸着剤の吸着工程も順次に実施する方式で、溶剤蒸気含有気体に対する溶剤分離処理を連続化する場合に特に有効となる。 【0023】〔3〕請求項3記載の発明では、溶剤分離工程において、溶剤蒸気を含む水蒸気の復水から蒸留により溶剤蒸気を分離し、この蒸留により溶剤蒸気を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気を立ち上げ用水蒸気として用いるから、蒸留による溶剤蒸気の分離の為に水蒸気復水に与えた熱を立ち上げ用水蒸気の発生の為の熱に利用し、また、蒸留装置を立ち上げ用水蒸気発生装置の一部に利用した形態で、立ち上げ用水蒸気を簡易な装置構成で容易に発生させることができる。 【0024】そして、前記請求項1記載の発明の実施において、上記蒸留の為の付与熱を、立ち上げ用水蒸気による脱着工程開始時の吸着剤昇温に利用する形態で、この蒸留の為の付与熱を効果的に回収利用でき、蒸留による分離が有効な低沸点溶剤を分離対象とする場合に特に有効となる。 【0025】なお、溶剤蒸気を含む水蒸気やその復水に対し、上記蒸留による溶剤分離の前の段階あるいは後の段階で他の溶剤分離処理を施すことは任意である。 【0026】〔4〕請求項4記載の発明では、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気からその保有熱を回収し、この回収熱により、溶剤分離工程で前記の蒸留を行う水蒸気復水を予熱するから、蒸留の為の外部からの新たな付与熱を少なくすることができ、溶剤回収全体としての熱効率を一層高めることができる。 【0027】そして、前記請求項3記載の発明の実施において、上記溶剤含有水蒸気からの回収熱を、最終的には立ち上げ用水蒸気による脱着工程開始時の吸着剤昇温に有効に利用できる。 【0028】また、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気からの回収熱を利用するから、その保有熱回収で凝縮させた水蒸気復水から比重分離により溶剤を分離でき、この点、蒸留による分離が有効な低沸点溶剤とともに、比重分離による分離が有効な溶剤を分離対象とする場合に特に有効となる。 【0029】〔5〕請求項5記載の発明では、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気から溶剤分を分離する溶剤分離手段において溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水から発生させた水蒸気、又は、この溶剤分離手段において溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気として、この立ち上げ用水蒸気を吸着剤に供給する工程を脱着立上工程とする。 【0030】そして、溶剤分離装置の装置構成として、溶剤蒸気含有気体を吸着剤に供給する吸着工程と、脱着用水蒸気を吸着剤に供給する脱着工程と、上記の脱着立上工程とに、装置運転工程を切り換える切換手段を設けてあるから、この切換手段による切り換えにより、吸着工程と脱着立上工程と脱着工程とをその順に実施して、前記請求項1記載の発明の溶剤回収方法を実現できる。 【0031】 【発明の実施の形態】図1は溶剤回収装置を示し、1Aは第1吸着塔、1Bは第2吸着塔であり、基本的には、第1吸着塔1Aで吸着工程を実施するのに対し第2吸着塔1Bで脱着工程を実施する第1運転状態と、逆に第1吸着塔1Aで脱着工程を実施するのに対し第2吸着塔1Bで吸着工程を実施する第2運転状態とに、運転状態を交互に切り換える形態で、これら第1及び第2吸着塔1A,1Bの各々において吸着工程と脱着工程とを交互に実施する。 【0032】各吸着塔1A,1Bは、円筒状ケーシング2の内部に円筒状の吸着剤層3(吸着剤組)を内装し、ケーシング2の内部で円筒状吸着剤層3の外側を環状の外側チャンバ4とし、円筒状吸着剤層3の内側を内側チャンバ5としたものであり、各吸着塔1A,1Bについて、自身の吸着工程では、水蒸気導入弁Vi、水蒸気排出弁Vo及び立ち上げ用水蒸気導入弁Vtを閉じて、空気導入ダンパDi及び空気排出ダンパDoを開き、これにより、溶剤蒸気Yを含む処理空気Aを主空気導入風路6から分岐空気導入風路6aを介し外側チャンバ4に導入して吸着剤層3に通過させ、この通過過程で処理空気A中の溶剤蒸気Yを吸着剤層3の吸着剤K(本実施形態では活性炭)に吸着させる。そして、この吸着により溶剤蒸気Yを分離除去した処理済空気A’を、内側チャンバ5から分岐空気排出風路7aを介して主空気排出風路7へ排出する。 【0033】また、各吸着塔1A,1Bについて、自身の脱着工程では、空気導入ダンパDi、空気排出ダンパDo及び立ち上げ用水蒸気導入弁Vtを閉じて、水蒸気導入弁Vi及び水蒸気排出弁Voを開き、これにより、主水蒸気供給路8から分岐水蒸気供給路8aを介して供給される新鮮・高温・高圧の脱着用水蒸気Sを、水蒸気散布管9から内側チャンバ5の内部に噴出させて吸着剤層3に通過させ、この通過過程で吸着剤層3における吸着剤Kの吸着溶剤を水蒸気S中に脱着させる。そして、この脱着で溶剤蒸気Y’を含む状態となった水蒸気S’を、外側チャンバ4から分岐水蒸気排出路10a及び主水蒸気排出路10を介し溶剤分離手段としての後分離設備11に導き、この後分離設備11において溶剤蒸気含有水蒸気S’から溶剤分を分離する溶剤分離工程を行う。 【0034】後分離設備11での溶剤分離工程では、主水蒸気排出路10から導かれる高溶剤濃度の水蒸気S’を、第1凝縮器12Aでの冷却用熱媒体Nとの熱交換、及び、それに続く第2凝縮器12Bでの冷却水CWとの熱交換により、溶剤蒸気Y’とともに凝縮させて高溶剤濃度の水蒸気復水Wにし、続いて、比重分離器13での比重分離により、高溶剤濃度の水蒸気復水Wから非水溶性の溶剤Yt(例えばトルエン)を分離回収する。そして、比重分離器13で非水溶性の溶剤Ytを分離して低溶剤濃度となった水蒸気復水W’は貯槽14に受入れ、その一部を蒸留塔15へ送り、他部は排水として排出する。 【0035】蒸留塔15へ送る低溶剤濃度の水蒸気復水W’は、第1凝縮器12Aで高溶剤濃度水蒸気S’の冷却に用いた熱媒体N(すなわち、各吸着塔1A,1Bから排出される高溶剤濃度水蒸気S’の保有熱を回収した熱媒体)と予熱用熱交換器16で熱交換させて予熱し、蒸留塔15では、この予熱した低溶剤濃度の水蒸気復水W’を水蒸気熱源の加熱器15aにより加熱して、蒸留により、この低溶剤濃度の水蒸気復水W’から低沸点溶剤Ym(例えば、MEK(メチルエチルケトン))を蒸発させて分離し、この分離溶剤蒸気Ymを第3凝縮器17での冷却水CWによる冷却で凝縮させて回収する。 【0036】そして、蒸留塔15での低沸点溶剤Ymの分離でさらに溶剤濃度が低下した水蒸気復水W”は蒸発器18へ送って、自身の保有熱により蒸発(場合によっては水蒸気熱源の加熱器などによる補助加熱を加えて蒸発)させ、この蒸発器18での発生水蒸気を立ち上げ用水蒸気Stとする。 【0037】この立ち上げ用水蒸気Stは脱着工程の開始の際の吸着塔1A,1Bの立ち上げに使用し、具体的には、各吸着塔1A,1Bでは自身の脱着工程の開始にあたり脱着立上工程を実施し、この脱着立上工程では、空気導入ダンパDi、空気排出ダンパDo及び水蒸気導入弁Viを閉じて、立ち上げ用水蒸気導入弁Vt及び水蒸気排出弁Voを開き、これにより、立ち上げ用水蒸気Stを蒸発器18から立ち上げ用の主水蒸気供給路19及び立ち上げ用の分岐水蒸気供給路19aを介し内側チャンバ5に導入して吸着剤層3に通過させる。 【0038】つまり、この立ち上げ用水蒸気Stの供給により、水蒸気復水Wの再利用と蒸留塔15での付与熱の回収利用を図った形態で、脱着工程での脱着用水蒸気Sの供給に先立ち、吸着剤層3における吸着剤Kの昇温と吸着塔内部の残存空気A(不要気体)の追い出しを行い、その後、立ち上げ用水蒸気導入弁Vtの閉弁により立ち上げ用水蒸気Stの供給を停止するとともに、水蒸気導入弁Viの開弁により脱着用水蒸気Sの供給を開始して脱着立上工程から脱着工程へ移行する。 【0039】また、この溶剤回収装置では、前記の第1運転状態と第2運転状態との交互実施(換言すれば、第1吸着塔1Aと第2吸着塔1Bとによる吸着工程の交互の順次実施、及び、脱着工程の交互の順次実施)により、処理空気Aに対する溶剤分離処理を連続化するとともに、各脱着工程に対する溶剤分離工程を連続化するのに対応させて、この連続化した溶剤分離工程で立ち上げ用水蒸気Stを順次発生させるに伴い、その立ち上げ用水蒸気Stを脱着工程に先立つ脱着立上工程の第1ないし第2吸着塔1A,1Bへ順次に供給し、これにより、溶剤分離工程で得る立ち上げ用水蒸気Stを、各吸着塔1A,1Bにおける脱着立上工程での限定的使用でありながら、可及的に連続化した状態で効率的に使用する。 【0040】なお、本実施形態では、空気導入ダンパDi、空気排出ダンパDo、水蒸気導入弁Vi、立ち上げ用水蒸気導入弁Vt、及び水蒸気排出弁Voが、装置運転工程を吸着工程と脱着工程と脱着立上工程とに切り換える切換手段を構成する。 【0041】〔別の実施形態〕次に発明の別実施形態を列記する。前記の実施形態では、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気復水W”から発生させた水蒸気を立ち上げ用水蒸気Stとして用いたが、これに代え、例えば、脱着工程で溶剤蒸気を含む状態となった水蒸気を、溶剤分離工程において選択透過膜により溶剤蒸気と低溶剤濃度の水蒸気とに分離する方式で、その膜分離した低溶剤濃度の水蒸気を立ち上げ用水蒸気Stとして用いる等、溶剤分離工程で溶剤分を分離した側の低溶剤濃度の水蒸気そのものを立ち上げ用水蒸気Stとするようにしてもよい。 【0042】脱着立上工程から脱着工程への移行の際の吸着剤Kへの供給水蒸気の切り換えについては、吸着剤Kへの立ち上げ用水蒸気Stの供給を停止した上で、吸着剤Kへの脱着用水蒸気Sの供給を開始する手順で行ってもよく、また逆に、脱着用水蒸気Sの供給を開始した上で立ち上げ用水蒸気Stの供給を停止する手順で行ってもよく、あるいはまた、立ち上げ用水蒸気Stの供給停止と脱着用水蒸気Sの供給開始とを同時に行ってもよい。 【0043】溶剤分離工程で分離して回収した溶剤は、再使用するものであってもよく、また、廃棄処分するものであってもよい。 【0044】前記の実施形態では、2つの吸着塔1A,1Bで吸着工程を交互に順次実施し、かつ、これに対応させて脱着工程を交互に順次実施する例を示したが、3以上の吸着塔で吸着工程を順次に実施し、かつ、これに対応させて脱着工程を順次に実施するようにしてもよい。また、一つの吸着塔だけで吸着工程と脱着工程を交互に実施する方式を採用してもよい。 【0045】溶剤分離工程で分離する溶剤はトルエン等の非水溶性の溶剤やMEK等の低沸点溶剤(水よりも低沸点の溶剤)に限定されるものではなく、種々の溶剤を分離対象とすることができ、また、それら溶剤の分離には蒸留や比重分離に限らず、種々の分離方式を採用でき、例えば、水よりも高沸点の溶剤を分離対象とする場合、前記の実施形態における蒸発器18での水の蒸発により、水蒸気復水W”中の高沸点溶剤を濃縮して分離回収する方式を採用してもよい。 【0046】吸着による溶剤蒸気分離処理の対象とする気体Aは空気以外の気体であってもよく、また、分離対象とする溶剤蒸気Yは、溶剤による電子部品の洗浄で発生する溶剤蒸気に限定されるものではなく、各種分野で発生する種々の溶剤蒸気を分離対象とすることができる。さらにまた、吸着剤Kは活性炭に限定されるものではなく、その他、各種材質の吸着剤を採用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000149790 【氏名又は名称】株式会社大氣社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月11日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−525 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−153284 |
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