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【発明の名称】 ゼンマイユニット
【発明者】 【氏名】永岡 順一

【氏名】大場 和夫

【要約】 【課題】コンスタントバネを使ったゼンマイユニットでありながらユニットの小型化を図ることができるとともに、コンスタントバネを最大限有効に作用させることができるゼンマイユニットを提供すること。

【解決手段】主ドラム22に巻装されているコンスタントバネ10を、該主ドラム22の軸に平行に配置された巻取ドラム21に巻き取り、該巻取ドラム21に巻き取られたコンスタントバネ10の巻き戻り力によって駆動軸11を回転させるゼンマイユニットにおいて、上記巻取ドラム21にはコンスタントバネ10の巻き取り量を制限するリミッタCを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主ドラムに巻装されているコンスタントバネを、該主ドラムの軸に平行に配置された巻取ドラムに巻き取り、該巻取ドラムに巻き取られたコンスタントバネの巻き戻り力によって駆動軸を回転させるゼンマイユニットにおいて、上記巻取ドラムにはコンスタントバネの巻き取り量を制限するリミッタが設けられていることを特徴とするゼンマイユニット。
【請求項2】 前記リミッタが互いに噛合する2つのリミット歯車で構成され、第1のリミット歯車は前記巻き取りドラムに連係し、第1のリミット歯車の歯数と第2のリミット歯車の歯数との間には少なくとも1つの差が形成されるとともに、各リミット歯車の側面にはそれぞれ係合突部が形成され、2つのリミット歯車が所定量回転すると係合突部同士が突き当たり、上記巻き取りドラムによるコンスタントバネの巻取りが停止する請求項1記載のゼンマイユニット。
【請求項3】 前記第2のリミット歯車を支持する支軸にはキーを形成し、第2のリミット歯車には上記キーに係合する少なくとも1つのキー溝を形成するとともに、上記第2のリミット歯車を第1のリミット歯車に噛合させた後は、上記キーとキー溝との係合が外れる請求項2記載のゼンマイユニット。
【請求項4】 前記巻き取りドラムには主歯車を設け、前記駆動軸を逆回転させた時に上記駆動軸の回転を主歯車に伝達して上記巻取ドラムを逆転させてコンスタントバネを巻き取らせる第1の遊星歯車と、上記コンスタントバネの巻き戻り時には上記巻き取りドラムの回転を駆動歯車と調速装置とに伝達し、上記駆動軸を一定の速度で正回転させる第2の遊星歯車とを連係させる請求項1記載のゼンマイユニット。
【請求項5】 前記第1の遊星歯車はユニット本体に回動可能に軸支されたレバーに片支持されている請求項4記載のゼンマイユニット。
【請求項6】 前記駆動軸には、前記駆動歯車の回転が阻止された時、駆動軸と駆動歯車との連係を開放するクラッチが設けられている請求項4記載のゼンマイユニット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンスタントバネを駆動源としたゼンマイユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、モータの代わりにゼンマイの巻き戻り力を利用した玩具、特に走行玩具はユニットを小型化することができる点から、ゼンマイユニットを駆動力として搭載することはよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小型化を優先する為ユニット自体の大きさに制約があり、その為走行玩具の場合走行距離が短くなり、走行路等を走行させてもモータを駆動源とした走行玩具のように周回させて遊ぶことができないため、走行距離を伸ばすことが要求されている。その為、コンスタントバネを利用することが考えられるが、このバネを使用した場合ゼンマイを巻いた主ドラムの他に巻き取り主ドラムを必要とし小型化を図ることは難しかった。
【0004】本発明は上記問題点を解消し、コンスタントバネを使ったゼンマイユニットでありながらユニットの小型化を図ることができるとともに、コンスタントバネを最大限有効に作用させることができるゼンマイユニットを提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明に係るゼンマイユニットは、駆動軸を逆回転させることによって、該駆動軸に連係する主歯車を介して、主ドラムに巻装されているコンスタントバネを、該主ドラムの軸に平行に配置された巻取ドラムに巻き取り、該巻取ドラムに巻き取られたコンスタントバネの巻き戻り力によって上記主歯車を介して上記駆動軸を正回転させるゼンマイユニットにおいて、上記主歯車には上記巻取ドラムの回転量を制限するリミッタが設けられていることを特徴とする。
【0006】なお、前記リミッタが互いに噛合する2つのリミット歯車で構成され、第1のリミット歯車は前記主歯車と連係し、該第1のリミット歯車の歯数と第2のリミット歯車の歯数との間には少なくとも1つの差が形成されるとともに、両リミット歯車の側面にはそれぞれ係合突部が形成され、上記2つのリミット歯車が所定量回転すると係合突部同士が突き当たり、上記主歯車の回転が阻止することにより、前記巻取ドラムが主ドラムに巻かれているコンスタントバネを総て巻き取ることなく停止することが好ましい。
【0007】そして、前記第2のリミット歯車を前記第1のリミット歯車に噛合させる際、所定の関係で噛合させることができるように、第2のリミット歯車を支持する支軸の端部には1つのキーを形成し、上記第2のリミット歯車には上記キーに係合する少なくとも1つのキー溝を形成するとともに、噛合後は上記キーとキー溝との係合が外れ、第2のリミット歯車がキーに邪魔されることなく回転できることが好ましい。
【0008】また、前記主歯車には、前記駆動軸を逆回転させた時に上記駆動軸の回転を主歯車に伝達して上記巻取ドラムを逆転させてコンスタントバネを巻き取らせる第1の遊星歯車と、上記コンスタントバネの巻き戻り時には上記主歯車の回転を駆動歯車と調速装置に伝達し、上記駆動軸を一定の速度で正回転させる第2の遊星歯車とを連係させてもよい。
【0009】さらに、前記第1の遊星歯車はユニット本体に回動可能に軸支されたレバーに片支持されていてもよい。
【0010】なお、前記駆動軸には、前記駆動歯車の回転が阻止された時、駆動軸と駆動歯車との連係を開放するクラッチが設けられ、上記駆動軸を強制的に回転させても駆動歯車が回転しないようにすることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1(a)(b)は、本発明に係るゼンマイユニットAを適用した走行玩具1を示し、この走行玩具1は、図1(a)に示すように、車輪を床などに接触したまま後退させて駆動車輪2を逆転させる所謂プルバック操作をすると、上記ゼンマイユニットAに配置されたコンスタントバネが巻き上げられ、図1(b)に示すように、手を離すとコンスタントバネの巻き戻り力で上記駆動車輪2が正転してコンストンバネが巻き戻るまで前進するように構成されているものである。
【0012】ゼンマイユニットAは、駆動車輪2を逆回転させてコンスタントバネ10を巻き上げ、このコンスタントバネ10の巻き戻り力で上記駆動車輪2を正回転させるもので、図2に示すように、両端に駆動車輪2、2が固定された駆動軸11には駆動歯車12が設けられ、この駆動歯車12には第2の駆動歯車13が噛合し、この第2の駆動歯車13には第3の駆動歯車14が一体に形成されている。この第3の駆動歯車14にはフレーム17aに形成された支持軸16に回動可能に軸支されたレバー15の先端に片支持された第1の遊星歯車18が噛合し、この第1の遊星歯車18は駆動車輪2を逆回転させて、図3(a)に示すように、駆動軸11(駆動歯車12)を矢印aの方向に逆回転させた時、第3の駆動歯車14が右回転し遊星歯車18を左回転させてレバー15を矢印bの方向に回動し、遊星歯車18が主歯車20に噛合するので、この主歯車20と同一軸上に固定された巻取ドラム21を矢印cの方向に回転させ、主ドラム22に巻装されたコンスタントバネ10を主ドラム22の巻かれた方向と異なる方向に反り返って巻き取るように構成されている。
【0013】一方、主歯車20に一体に形成された歯車25には第2の遊星歯車26と一体の歯車26aが常時噛合し、コンスタントバネ10の巻き戻り力で主歯車20が左回転した時、図3(b)に示すように、第2の遊星歯車26が第2の駆動歯車13に噛合するようにフレーム17に形成された長穴27に軸支されている。この第2の遊星歯車26が左回転すると第2の駆動歯車13は逆回転し、第1の遊星歯車18が主歯車20から外れる。第2の駆動歯車13と一体の第3の駆動歯車14には駆動歯車12が噛合しているので駆動軸11は正回転し、駆動車輪2が正回転するように構成されている。
【0014】そして、上記第2の遊星歯車26には中間歯車28を経由して調速装置Bが連係している。この調速装置Bはガンギ車30と中間フレーム32に支軸33で軸支されたアンクル31とで構成され、このガンギ車30がアンクル31によって1歯ずつ間欠的に規則正しく回転させられ、第2の遊星歯車26を介して主歯車20の回転がセーブされコンスタントバネ10をゆっくり巻き戻すことにより駆動車輪2を定速で、しかも、長時間回転することができるように構成されている。
【0015】ところで、駆動車輪2を逆回転させて、主歯車20を介してコンスタントバネ10を巻取ドラム21に巻き取る際、巻取ドラム21が所定の回転以上に回転しないようにするリミッタCが上記主歯車20に連係している。
【0016】リミッタCは、第1のリミット歯車35と第2のリミット歯車36とで構成され、第1のリミット歯車35は主歯車20と一体に形成され、一部の歯の側面には係合突部37が側方に突出して形成されている。図4(a)(b)に示すように、第2のリミット歯車36は常に第1のリミット歯車35に噛合するとともに、第2のリミット歯車36の歯数は第1のリミット歯車35の歯数より1つ少なく形成され(本発明では、第1のリミット歯車35の歯数は16、第2のリミット歯車36の歯数は15)、一部の歯の側面には係合突部38が側方に突出して形成され、図4(b)に示すように、主歯車20が巻取ドラムがコンスタントバネを巻取る方向に回転し、第2のリミット歯車36が所定の回転(15回転)すると、係合突部37と係合突部38とが突き当たって、同一方向にはそれ以上回転できないようにロックされてしまう。つまり、巻取ドラムが15回転するとコンスタントバネの巻き取りが停止するように構成されているものである。
【0017】このことにより、図5(a)に示すように、主ドラム22にコンスタントバネ10が巻装されている状態でプルバック操作をし、図5(b)に示すように、リミッタCが作動して巻取ドラム21が停止した時には主ドラム22にはコンスタントバネが3巻程度残され、巻取ドラム21に全て巻き取られるようなことがない。もしも、全て巻取ドラム21に巻き取られてしまうと、図5(c)に示すように、コンスタントバネ10が突っ張って、安定した状態になり自動的に巻き戻らなくなってしまうトラブルが発生してしまう。しかし、リミッタによって主ドラムに所定の量を巻き残すことにより、コンスタントバネは自動的に巻き戻ることができる。
【0018】なお、図6(a)に示すように、第2のリミット歯車36を支持する支軸45の上部周面の一部には、キー46が径方向に突出して形成され、第2のリミット歯車36には、このキー46に符合するキー溝47が形成されている。このことにより、第2のリミット歯車36を組み付ける時には、キー溝47をキー46に合わせた状態で第1のリミット歯車35に噛合させることにより、第1のリミット歯車35の係合突部37と、第2のリミット歯車36の係合突部38との位置関係を簡単に特定することができ、組立を容易にすることができる。しかも、キー46が支軸45の上部のみに形成されているので、図6(b)に示すように、第1のリミット歯車35に第2のリミット歯車36を噛合させ、組立が完了した状態では、キー46とキー溝47との噛み合いは外れ、第2のリミット歯車36はキーに邪魔されることなくスムーズに回転することができる。なお、符号48は支軸45に嵌め合わせるカラーで、このカラー48を支軸に嵌め合わせた状態で、このカラー48を螺子49で支軸45に固定することにより、第2のリミット歯車36の軸方向の位置が安定し、第2のリミット歯車36の回転中にキー46とキー溝47とが係り合い、第2のリミット歯車36の回転が阻害されることはない(図6(c)参照)。
【0019】そして、図7に示すように、第2のリミット歯車36に複数のキー溝47を形成した場合には、支軸45に嵌める時にキー46との対応位置を変えることにより第1のリミット歯車との噛み合わせ位置を変えることができ、第2のリミット歯車の回転量を変えることができる。このことにより、巻上ドラムがコンスタントバネの巻上量を変えることができ、駆動軸の回転量を変えることができる。
【0020】上述のゼンマイユニットでは、プルバック操作時には第1の遊星歯車が主歯車に噛合し、コンスタントバネを巻取ドラムに巻き上げ、コンスタントバネの巻き戻り時には第1の遊星歯車との噛み合いが外れ、第2の遊星歯車が調速装置によってコンスタントバネの巻き戻りをセーブして駆動歯車を定速で回転させ、この駆動歯車を介して駆動車輪を順方向に一定速度で回転(正回転)させることができる。そして、第1の遊星歯車をレバーを介して片支持にしたので、第1の遊星歯車の軸を支持する為のフレームを新たに追加する必要がなくなり、省スペースを図ることができ、ユニット全体の小型化を図ることができる。
【0021】しかも、巻取ドラムにコンスタントバネを巻き取る際、リミッタで巻き取り量を制限し、主ドラム側に所定の巻量を残し、巻取ドラムに完全に巻き取られることのないようにしたので、コンスタントバネの巻き戻りができないトラブルを回避でき、常に正常な状態でコンスタントバネを作用させることができる。
【0022】なお、上記主歯車がリミッタCによって回転を阻止された時、上記駆動軸の回転を上記主歯車から開放するクラッチDを設けてもよい。このクラッチDは、図8に示すように、フレーム17aの内側の駆動軸11に固定されたはカラー40と、駆動歯車12と、この駆動歯車12とフレーム17bの内側の駆動軸11に固定されたはカラー41との間に配置されたスプリング44とで構成され、カラー40の側面には係合突部42が形成され、この係合突部42に係合する係合凹部43が形成された駆動歯車12が上記駆動軸11にフリーに設けられている。この駆動歯車12はカラー41との間に配置されたスプリング44で常にカラー40に圧接するように付勢され、プルバック時には駆動軸11の回転をカラー40を介して駆動歯車12に伝達し、リミッタCが作動して第2の駆動歯車13の回転が阻止された場合は、駆動歯車12の回転は阻止されるが、駆動軸11が回転しても駆動歯車12が回転できない時は、スプリング44が収縮して駆動軸11と駆動歯車12との係合が外れ、駆動軸11が空転するように構成されている。
【0023】上述のクラッチDを設けたゼンマイユニットでは、巻取ドラム21が所定量回転すると、リミッタCによりその回転が阻止されるが、駆動車輪2を強制的に回転させて駆動軸11を回転させてもスプリング44が収縮して係合突部42と係合凹部43の噛み合いが外れ駆動歯車以降における全ての歯車の損傷を防止することができる。また、駆動軸11が空転する時は係合突部40と係合凹部41とが係脱を繰り返してクリック音を発生するので、コンスタントバネ10が充分巻き上げられたことを音で知らせることができる。
【0024】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、巻取ドラムの回転量をリミッタで制限し、コンスタントバネ全量を巻き取らないようにしたので、コンスタントバネの巻き戻り不良が発生することがない。
【0025】請求項2の発明によれば、2つのリミット歯車の歯数によって、巻取ドラムの回転量を設定できるので、歯車の選択・交換によりコンスタントバネの長さに容易に対応することができる。
【0026】請求項3の発明によれば、第1のリミット歯車と第2のリミット歯車の噛み合わせを機械的に判断して組み付けることができ、組立工程における生産性の向上を図ることができる。
【0027】請求項4の発明によれば、コンスタントバネの巻き上げ時には調速装置を介することなく一気に巻き上げることができ、コンスタントバネの巻き戻り時には調速装置が働いて、一気に巻き戻るようなことがなく、ゆっくり時間をかけて巻き戻すことができるので、走行玩具を一定の速度で長時間走行させることができる。
【0028】請求項5の発明によれば、遊星歯車をレバーに片支持にしたので、遊星歯車の軸を支持するフレームを必要とせず、省スペースが図れユニットボックスの小型化を実現することができる。
【0029】請求項6の発明によれば、巻取ドラムの回転量がリミッタによって制限されたにもかかわらず、駆動軸が強制的に回された場合でも駆動軸と駆動歯車との連係を開放することができるので、無理に駆動軸(駆動車輪)を回転させてもユニットボックスを構成する歯車の損傷を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000132998
【氏名又は名称】株式会社タカラ
【出願日】 平成10年(1998)4月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
【公開番号】 特開平11−309278
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−136162