| 【発明の名称】 |
人形頭髪用嵩高繊維およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】香下能範
【氏名】的場聖
【氏名】中島宏幸
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| 【要約】 |
【課題】1本1本が微細なクリンプを持ち、自然な光沢と櫛通りを持った捲縮のかかった髪型やカーリーライクな髪型をもった人形頭髪用嵩高繊維を提供する。
【解決手段】マルチフィラメントからなる嵩高繊維であって、該マルチフィラメントにウーリー加工法及び/又はギアクリンプ加工法によってクリンプを付与して、クリンプ後の見かけ嵩比重が0.05〜0.25g/cm3である人形頭髪用嵩高繊維によって達成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マルチフィラメントからなる嵩高繊維であって、クリンプ後の見かけ嵩比重が0.05〜0.25g/cm3である人形頭髪用嵩高繊維。 【請求項2】 マルチフィラメントにウーリー加工法及び/又はギアクリンプ加工法によってクリンプを付与して、見かけ嵩比重を0.05〜0.25g/cm3とすることを特徴とする人形頭髪用嵩高繊維の製造方法。 【請求項3】 請求項1記載の人形頭髪用嵩高繊維を用い、カール径3〜25mmになるようカーリング加工を施してなる人形頭髪。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、マルチフィラメントからなる人形頭髪用嵩高繊維およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、クリンプによって特有のちらつき感が付与されてなる人形頭髪用繊維で、それを用いて得られる捲縮を持った人形頭髪や、さらに、それをカーリング加工を施して得られるウエーブのある人形頭髪に関する。 【0002】 【従来の技術】人間の頭髪においては、たとえば黒人やヒスパニック系人種の多くにみられるような捲縮のかかったものや、パーマ加工によって得られるカーリーライクなものは、それを構成する髪の毛1本1本に微細なクリンプが付与されているため独特のちらつき感をもっている。これらの髪型を人形頭髪で実現するために、従来、たとえば紡績糸をそのまま用いたり、植毛されたストレート繊維に波形の噛み合う2枚の熱金属プレートで挟み込み、波型クリンプを得る方法が用いられていた。 【0003】しかしながら、紡績糸を用いた場合、光沢が消えたり、櫛通りが悪く髪型を整え難くなるという問題点があり、また、金属プレートで加工したものは、部分的にクリンプがかかっていなかったり、熱融着し易く櫛通りが悪くなるという問題があった。また最近の髪型は多様化しており、たとえばカーリーライクな髪型にカーラーを用いパーマ加工をほどこした後、櫛によって整えることで作られる捲縮のかかったウエーブ調の頭髪が黒人市場を中心に流行しいる。人形においてもこの様な髪型が容易につくる事が出来る繊維原料が待ち望まれている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1本1本が微細なクリンプを持ち、自然な光沢と櫛通り性を有する捲縮のかかった髪型やカーリーライクな髪型を持ったものを人形頭髪用繊維を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、繊維のクリンプ形状に着目して鋭意検討の結果、ある条件のクリンプを付与すると、その1本1本に微細なクリンプが付与され、これを用いることで人間の頭髪と同様なちらつき感、光沢を持った捲縮のかかった髪型やカーリーライクな髪型を人形において実現できることを見出した。さらに、この人形頭髪用繊維は、櫛通りにすぐれるため容易にこれら髪型をきれいに整えることができる。また、この繊維をマルチフィラメント用カーリングマシンでカール加工を行い髪型を整えると容易に捲縮のかかったウエーブ調の頭髪を人形において得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、マルチフィラメントからなる嵩高繊維であって、クリンプ後の見かけ嵩比重が0.05〜0.25g/cm3である人形頭髪用繊維である。 【0006】また、本発明の製造法は、マルチフィラメントにウーリー加工法及び/又はギアクリンプ加工法によってクリンプを付与して、見かけ嵩比重を0.05〜0.25g/cm3とする製造法である。さらに請求項1記載の人形頭髪用嵩高繊維を用いて、カール径3〜25mmになるようカーリング加工を施して人形頭髪とすることができる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明でいうマルチフィラメントとは2本以上の連続的な長さを持ったモノフィラメントの集合体をいい、これらの素材としては、通常人形用の頭髪に用いられるものであればよく、とくに限定はないが、たとえばポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリアクリロニトリル系などの合成繊維があげられる。なお、これらの中では、人形頭髪としてすぐれた光沢を有する点で、ポリ塩化ビニリデン系繊維またはポリアクリロニトリル系繊維が好ましい。 【0008】マルチフィラメントの総繊度は、通常人形用の頭髪に用いられている繊度でよく、とくに限定はないが、あまりにも大きい場合は、剛毛になり植毛が困難になったり、ウーリー加工やギアクリンプ加工をする際に均一なクリンプを得にくくなる問題があるので、約2000デニール(以下、dと略記する)以下が好ましいが、1500d以下であることがより好ましい。また、繊度をあまりにも小さくすると、人形用専用ミシンで植毛する際やカーリング加工する際に糸切れをし易くなる傾向になるので、少なくとも200d以上、好ましくは400d以上であるのが良い。前記した総繊度のマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの繊度は、約5d〜75d、好ましくは10〜50dであるのが良い。 【0009】本発明でいう見かけ嵩比重とは、嵩高性の指標として用いるもので、クリンプ等によって付与される空間を含めたマルチフィラメントの単位体積あたりの重量のことで、以下の方法で測定されるものである。すなわち、マルチフィラメントを正確に1mの長さで1000本束ね、円筒の形とし、その回りに綿100%の30番ミシン糸(たとえば、カネボウ製カタン糸Y−TK−03)の端を固定し、円筒の周辺に沿って1周巻付けたもう一方の先端に5gの重りを付けてその円周長R(cm)を測定する。次に重量W(g)を測定し以下の式によって算出する。 見かけ嵩比重(E)=0.126×W/(R×R) 見かけ嵩比重の値が大きいほど、高い嵩高性を示すが、光沢がなくなり、また、櫛通りが悪くなる傾向になる。 【0010】本発明でいうウーリー加工法とは、例えば通常フィラメントに用いられる、イタリア式撚糸機、リング撚糸機、ダブルツィスタ等を用い、撚糸後ヒータを用いて撚りぐせを固定する中空スピンドル方式、又は、しごき方式によってクリンプを与え、熱固定などをする方法であり用いる撚糸機やクリンプを与える手法によってさまざまな条件をとる。たとえば、中空スピンドル方式においては、用いられる繊維材質、デニール、撚糸数、ヒーター温度、撚糸後の熱セット条件等によって変化しうる。このウーリー加工法によって得られるフィラメントをウーリー糸(仮撚糸ともいう)という。 【0011】本発明でいうギアクリンプ加工法とは、2つの噛み合う高温のギアの間にフィラメントを通すことによってクリンプを付与する方法であり、用いられる繊維材質、デニール、、ギアの端数、温度、ギア間の圧力条件、加工後の熱セット条件などで変化しうる。見かけ嵩比重は、得ようとする毛髪デザインによって最適値は異なり、ウーリー加工法においては、用いられるファイバー材質、デニール、撚糸数および、撚糸後の熱セット条件等によって変化しうる。また、ギアクリンプ加工法においては、繊維素材、デニール、ギアの端数、温度、圧力条件、加工後の熱セット条件など、多くのパラメータによって変化するが。本発明においては、これらの加工条件に特に制限はなく、目的の見かけ嵩比重が得られれば良い。 【0012】本発明において、見かけ嵩比重は0.05〜0.25であるが、好ましくは0.10〜0.20である。見かけ嵩比重が0.05より小さくなると、クリンプが大きく嵩はでるものの光沢がなくなると同時に櫛通りが悪くなり好ましくなく、また、0.25を越えるとクリンプが弱くなるためちらつき感がなくなり意匠効果が見られなくなるので好ましくない。 【0013】本発明においては、前記マルチフィラメントをウーリー加工法及び/又はギアクリンプ加工法によってクリンプを付与することによって、嵩高な人形頭髪用繊維を得ることができる。そのまま使用するとストレート調の微細なクリンプが付与されたことによる微妙な光沢の変化をもった頭髪スタイルが表現できる。また、この繊維にさらにカーリング加工を施すことによって、ウエーブ調の微妙な光沢の変化をもった頭髪スタイルにも対応することが可能となる。 【0014】マルチフィラメントにウーリー加工法でクリンプを付与させると、イレギュラーなクリンプを付与できるため、どちらかというと黒人、赤毛など自然な(不規則なクリンプ)捲縮もった頭髪スタイルの表現に向き、ギアクリンプ加工法でクリンプ付与させるとレギュラーなクリンプを付与できるため、どちらかというとエスニックなスタイルやカーリーライクなスタイルの表現に向くが、これら両者の加工法が与える効果には大きな差異はなく使用法はとくに限定されない。 【0015】前記マルチフィラメントをカーリングマシーンによってカーリング加工(連続的に糸をロッドに巻きつけながら熱固定することによってカール糸を得る加工法のことをいう。)を行い、髪型を整えることによって、たとえば、微細なクリンプが付与されたリボンカール風のスタイルや、更に櫛を用い整えることによって、捲縮のかかったウエーブ調のスタイルやシルキードレッド風のスタイルの髪型をつくることが出来る。ここにおいてカール径は人形に通常用いられる3〜25mmの範囲であればとくに限定されず、カール径に応じ様々な大きさのウエーブをもった髪型が得られる。これらカール径の大きさは、用いられる人形ヘッドの大きさや髪型に応じ使用されとくに限定はされなが、小さすぎると櫛通りが悪くなり髪型を整えるのが難しくなり、また、大きくなりすぎるとカーリングマシーンによる加工が難しくなる問題がある。また、これらウエーブ調のスタイルにおいても、ウーリー加工法とギアクリンプ加工法によって得られた繊維が与える効果には大きな差異はなく使用法はとくに限定されない。 【0016】本発明でいう人形頭髪とは、とくに限定はないが、たとえば通常用いられている軟質塩化ビニル製の頭に、連続したを長さをもった繊維を用い人形用ミシンによって植毛したのち、櫛でその植えられた繊維を整えることによって得られるものをいう。前記のように嵩高加工したマルチフィラメントのカーリング糸を得る方法もとくに限定はないが、たとえば通常用いられるマルチフィラメント用カーリングマシーンを用いれば3〜25mmのカール径のものを得ることが出来る。このカーリングマシーンで加工されたカール糸の人形用頭髪も、とくに限定はないが、通常用いられる軟質塩化ビニル製の頭に人形用ミシンによって植毛することができる。 【0017】 【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。次に評価方法および評価基準について説明する。 (嵩高性)嵩高性の評価基準は嵩の大きいものほど良好と判断した。嵩高率が大きいほどすぐれる傾向になる。 (嵩高性基準) ◎:非常に優れる。(0.05以上0.10以下) ○:優れる。(0.10を超え0.20以下) △:ふつう。(0.20を超え0.25以下) ×:劣る。(0.25を超える) (櫛通り性)嵩高加工したフィラメントを1mの長さで1000本とり、それをドッグブラシで櫛入れを行い、櫛を入れることによる糸切れの状態を見ることで判定した。糸切れがすくなく櫛通りがなめらかなものほど良好と判断した。嵩高率が大きくなると繊維間で絡みが強くなるため糸切れし易くなり好ましくない傾向になる。 (櫛通り性基準) ◎:非常に優れる。(嵩高率:0.17以上0.25以下) ○:優れる。(嵩高率:0.12以上0.17未満) △:ふつう。(嵩高率:0.05以上0.12未満) ×:劣る。(嵩高率:0.05未満) (製造例1)アクリロニトリル49重量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%からなるアクリロニトリル系共重合体をアセトンに溶解し紡糸原液となし、これを25℃、15重量%のアセトン水溶液中に、孔数50の丸形オリフィスを有する紡糸口金を通して湿式紡糸した。その後常法に従い、アクリル系マルチフィラメント(750d/50フィラメント、モノフィラメントの繊度15d)を得た。 【0018】(実施例1)製造例1で得られたマルチフィラメントを1段ヒータ仮撚機(日本スピンドル製HN−7D−100)を用い、撚り回数1500回/m、ヒーター温度100℃でウーリー加工を行い、ウーリー糸を得た。得られたウーリー糸を、さらに下記の条件で、それぞれ真空スチーム乾燥機中熱セットしたもの合計5種の人形用頭髪繊維を得た。 (イ)50℃で15分間熱セットしたもの。 (ロ)60℃で15分間熱セットしたもの。 (ハ)70℃で15分間熱セットしたもの。 (ニ)75℃で15分間熱セットしたもの。 (ホ)80℃で15分間熱セットしたもの。 得られた各人形頭髪用繊維を、それぞれ軟質塩化ビニル製の人形用頭に人形用専用ミシン(ドーリー社製)で植毛し人形頭髪を作成した。 【0019】(実施例2)製造例1で得られたマルチフィラメントを用い、ウーリー加工法に替えてギアクリンプ加工を行った。フィラメントの引取り速度40m/分、ギア温度190℃、ギア圧3.0kg/cm2の条件のもと、下記の条件のギアの歯の大きさにおいて加工し合計3種類の人形頭髪用繊維を得た。 (1)0.3mm(2)0.5mm(3)1.0mm得られた各人形頭髪用繊維を、それぞれ軟質塩化ビニル製の人形用頭に実施例1と同様に専用ミシンで植毛し人形頭髪を作成した。 【0020】(実施例3)実施例1で示した条件(ハ)の条件でえられた嵩高繊維を、カーリングマシーンによって、190℃の加工温度条件でカーリング加工を施し、直径(A)6mm、(B)12mm、(C)25mmの合計3種類のカール糸を得た。この3種類のカール糸を実施例2と同様に専用ミシンにて植毛し人形頭髪を得た。 【0021】(比較例1)製造例1で得られたじマルチフィラメントを用い、実施例1と同じ条件でウーリー糸を得た。得られたウーリー糸を、さらに下記の条件で、それぞれ真空スチーム乾燥機中熱セットしたもの、およびしないもの合計2種の人形用頭髪繊維を得た。 (へ)熱セットしないもの。 (ト)90℃で15分間熱セットしたもの。 【0022】(比較例2)製造例1で得られたマルチフィラメントを用い、ギアクリンプ加工を、シリンダー温度190℃の条件で、2.0mmのギアの歯の大きさにおいて加工し、人形頭髪用繊維を得た。これらの結果を表1にまとめた。 【0023】 【表1】
【0024】 【発明の効果】本発明のマルチフィラメントからなる嵩高繊維は、1本1本が微細なクリンプを持ち、自然な光沢と櫛通りを持った捲縮のかかった髪型やカーリーライクな髪型を持ったものを人間と同様に人形において実現できるので、極めて付加価値の高い製品を提供することができる。また、該嵩高繊維を用いた人形頭髪は髪型を整えるのに櫛通りが良好で、カール加工を行えば微細なクリンプのかかったウエーブ調の髪型も実現できるので広範囲の商品に応用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000941 【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月30日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−309275 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−121090 |
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