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【発明の名称】 走行装置
【発明者】 【氏名】和田 耕一

【要約】 【課題】カーブ走行を安定化でき、走行体の走行系に無理な力が加えられても、互いに噛合するギャーを含む伝動系の破損を防止可能にする。

【解決手段】伝動系からの回転力を受けて回転しながら走行面上を走行する各一の走行系を、各ギャー8,9の出力軸に取り付けられた各一の駆動プーリ11と、走行体1の左右に設けられた各一の従動プーリ12と、従動プーリ12および駆動プーリ11間に張設されて、走行面上を走行する各一の無端状の走行ベルト13とから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行体に設置されて、回転方向が独自に制御される一対の駆動モータと、これらの駆動モータの回転を伝達する互いに噛合された複数のギャーからなる各一の伝動系と、これらの伝動系からの回転力を受けて回転しながら走行面上を走行する各一の走行系とを備え、該走行系が、前記各ギャーの出力軸に取り付けられた各一の駆動プーリと、前記走行体の左右に設けられた各一の従動プーリと、該従動プーリおよび前記駆動プーリ間に張設されて、前記走行面上を走行する各一の無端状の走行ベルトとから構成されていることを特徴とする走行装置。
【請求項2】 前記走行体の底部に設けられて、前記走行面上に光を照射する発光部および前記走行面からの反射光を受光する受光部と、該受光部での受光出力に従って、前記走行系を前記走行面上の経路に沿って走行させるように、前記駆動モータの回転および回転方向をコントロールするマイクロプロセッサとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の走行装置。
【請求項3】前記経路が、前記走行面上に着色して描かれたループ状のラインまたは開放端を有するラインであることを特徴とする請求項2に記載の走行装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば床上に黒色等で描いた軌道に沿って自動走行する走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、走行体にモータを内蔵させて、これを軌条に沿って自動走行させる自動車玩具が、種々提案されている。かかる自動車玩具は、1つのモータを動力源として、走行体に取り付けられた2〜4個の車輪を同時に駆動するように構成され、前記モータの駆動力は、直列に噛合するウォームおよびウォーム歯車などを介して直接前記車輪に伝達される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる従来の自動車玩具においては、走行体の左右の車輪が1つのモータによって駆動されるため、直進走行する場合には問題が生じないものの、カーブ走行する場合には、左右の車輪の一方である外車輪側が、他方である内車輪に対して長い経路を走行するため、これらのいずれかが走行面に対してスリップする走行モードとなり、走行が不安定になる外、軌条から簡単に脱落してしまうという課題があった。
【0004】また、前記モータの駆動力を伝達するウォームおよびウォーム歯車は、これの回転を車輪に直接伝える構成となっており、例えば小児が走行体を手で摘んで車輪を走行面などの床面上に押し付けるようにして走行させた場合には、車輪に無理に加わる力が、ウォーム歯車からモータ軸に連結されて自由回転しにくいウォームに伝えられることとなり、これらのウォーム歯車またはウォームの歯を折損するなどの事故を招くという課題があった。
【0005】さらに、従来の走行体は予め加工されて連結された所定形態の軌条に沿って走行するだけであり、走行経路を使用者が自由かつ簡単に設定して、種々の方向,経路に沿って走行させることができないという不都合があった。
【0006】この発明は前記のような課題を解決するものであり、カーブ走行を安定化でき、走行体の走行系に無理な力が加えられても、互いに噛合するギャーを含む伝動系の破損を防止でき、しかも、任意に走行面上に描いたラインに沿って走行体を走行可能にした走行装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的達成のために、請求項1の発明にかかる走行装置は、走行体に設置されて、回転方向が独自に制御される一対の駆動モータと、これらの駆動モータの回転を伝達する互いに噛合された複数のギャーからなる各一の伝動系と、これらの伝動系からの回転力を受けて回転しながら走行面上を走行する各一の走行系とを備え、該走行系を、前記各ギャーの出力軸に取り付けられた各一の駆動プーリと、前記走行体の左右に設けられた各一の従動プーリと、該従動プーリおよび前記駆動プーリ間に張設されて、前記走行面上を走行する各一の無端状の走行ベルトとから構成したものである。
【0008】また、請求項2の発明にかかる走行装置は、前記走行体の底部に設けられて、前記走行面上に光を照射する発光部および前記走行面からの反射光を受光する受光部を設けて、該受光部での受光出力に従って、前記走行系が前記走行面上の経路に沿って走行するように、マイクロプロセッサに前記駆動モータの回転および回転方向をコントロールさせるようにしたものである。
【0009】また、請求項3の発明にかかる走行装置は、前記経路を、前記走行面上に着色して描かれたループ状のラインまたは開放端を有するラインとしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を図について説明する。図1はこの発明の走行装置の構成を具体的に示す斜視図、図2は同じくその走行装置の下面斜視図、図3は図2に示す走行装置を方向を変えて見た下面斜視図である。同図において、1は走行体で、この走行体1の上部には、コ字状の隔壁2によって電池室3が形成されている。
【0011】また、この電池室3内には乾電池4が収容されており、これらの乾電池4は電気的に直列接続されている。さらに、この電池室3の上部には、音声出力用の放音器5が配置され、これが図示しない音声出力回路にリード線6を介して接続されている。
【0012】前記電池室3の下部には、これを一体に支承する略H字形断面の走行フレーム7が設けられており、この走行フレーム7内には、独自に駆動回転する2つのモータ(図示しない)が設けられている。そして、これらのモータのモータ軸(図示しない)端にそれぞれウォーム8が固定されている。
【0013】また、これらのウォーム8には、走行フレーム7内に回転自在に軸支された各一のウォーム歯車9が噛合されており、これらのウォーム歯車9を取り付けたそれぞれの回転軸10端が走行フレーム7の左右の側面に突出している。そして、この突出している回転軸10端に駆動プーリ11が取り付けられている。なお、このウォーム8およびウォーム歯車9は伝動系を構成している。
【0014】さらに、走行フレーム7の左右の側面には、これらより前後方向に所定間隔をおいて、大径の各一の従動プーリ12が、支軸12aを中心に回転自在に支持されている。そして、左右の各従動プーリ12および駆動プーリ11間には、無端状の走行ベルト13が架設されている。
【0015】この場合において、従動プーリ12は、前記のように架設された走行ベルト13が、従動プーリ12付近で床などの走行面に十分に摩擦接触する位置の走行フレーム7側面に、取り付けられる。
【0016】14は走行フレーム7の下面に取り付けられた回路基板であり、この回路基板14上には、後述するマイクロプロセッサ15,発光部としての発光素子16および受光部としての受光素子17などが設けられている。
【0017】また、18は回路基板14に装着して、回路切換を行うソケット、19はソケット18から離された位置の走行フレーム7下面に突設されたねじなどの支持ピンであり、これの先端は円滑面とされて、走行フレーム7を、各走行ベルト13を介した一対の従動プーリ12とともに、走行面上に支承するように機能する。
【0018】さらに、20は隔壁2及び走行フレーム7の全体を覆うようにこれらに取り付けられた例えば動物形状からなるおもちゃカバーで、これには目20aや口20bが形成されている。
【0019】図4は前記回路基板14上に設けられて、前記した2つのモータ21,22およびこれらのモータ21,22を駆動する制御回路を示す。この制御回路は、前記発光部16および受光部17と、この受光部17の受光出力に応じて、駆動プーリ11,従動プーリ12および走行ベルト13からなる走行系を、走行面上の経路に沿って走行させるように、前記モータドライバ23,24をコントロールする1個のマイクロプロセッサ15とを有する。
【0020】なお、各モータ21,22は、マイクロプロセッサ15の制御下で、モータドライバ23,24の出力によって所定速度および方向に駆動される。
【0021】次に動作について説明する。まず、走行装置の左右の各走行ベルト13が走行面上に描かれた、例えば図5に示すようなループ状のラインLを跨ぐように、その走行面上に走行装置を載せ、続いて、図示しない電源スイッチを投入する。
【0022】これにより、マイクロプロセッサ15の制御動作が開始され、前記各モータ21,22は、一定のプログラムに従って、マイクロプロセッサ15の制御下で、所定の速度および方向に駆動される。なお、モータ21,22は回転の立上り時定数が比較的大きく、停止は略急速停止するように制御される。このため、これらの各モータ21,22の回転が伝動系を構成するウォーム8およびウォーム歯車9を介して、各々の駆動プーリ12に伝えられ、この駆動プーリ11に走行ベルト13を介して連繋された従動プーリ11が駆動される。
【0023】このとき、走行ベルト13は従動プーリ12付近で走行面に摩擦接触しているため、走行ベルト13の走行方向(移動方向)に従って、走行体1は同方向に走行を開始する。
【0024】この場合において、各モータ21,22はマイクロプロセッサ15の制御のもとで、走行体1の直線走行時には両方とも同方向に同速度で駆動されるが、カーブに差しかかると、走行体1に作用する遠心力等の検出によって、一方(内輪側)のモータ21の回転速度を他方(外輪側)のモータ22の回転速度より幾分遅らせる。こうすることで、片方の走行ベルト13がスリップすることなく、走行装置が滑らかにカーブを描いて安定走行することとなる。
【0025】また、かかる走行装置の走行中においては、前記発光素子16から照射された、例えば赤外線などの光の、走行面からの反射光量の変化を受光素子17が常時監視する。そして、この受光素子17にて受光される受光量から、走行体1が図3に示すような着色(例えば黒色)により描かれたループ状のラインLに沿って走行しているか否かを、マイクロプロセッサ15にて判定し、受光量が低下した場合には、その受光量を増加する方向に走行体1の走行の向きを自動追従させる。
【0026】こうすることで、走行体1は前記ラインLから大きく外れることなく、そのラインLに正確に沿って走行を続けることができる。
【0027】この場合において、この走行装置を使用している者が、走行体1の走行ベルト13を走行面上に手で押えて走行させるような無理な取扱いをした場合でも、つまりその走行体1の無理な走行操作にも拘らず、走行ベルト13と各プーリ11,12とのスリップにより、無理な力が弾性体の走行ベルト13を介して駆動プーリ11に直接伝わることがない。このため、駆動プーリ11と一体回転するウォーム歯車9には無理な回転力が作用せず、モータ21,22の駆動軸に一体で、停止トルクの大きいウォーム8にも無理な力が加わることはない。従って、ウォーム8やウォーム歯車9の歯が折損したり、損傷したりする事故の発生を未然に回避できる。
【0028】また、前記走行体1のラインLに沿ったライントレース制御は、前記マイクロプロセッサ15により、図6に示すフロー図に従って実行される。このライントレース制御では、まず、走行をスタートするに当って、ターン方向保存変数TRNおよびサーチ回数Nの初期化を行った上で(ステップS1)、走行体1を走行させるように前記モータ21,22を駆動させる。
【0029】この走行体1の走行によって、受光素子17は発光素子16からの赤外光の、走行面による反射光を受光し、その受光量に応じて、走行体1が前記着色したライン(ここでは黒線)Lに沿って走行しているか否かを判定し(ステップS2)、ライン上にある場合には受光量が少ないため、そのままモータ21,22を駆動して走行体1の前進を継続させる(ステップS3)。
【0030】一方、走行体1がラインから外れた場合には(ステップS2)、前記受光素子17による受光量が増加するため、最後に設定された方向に応じてターン方向を決定し、このターン方向をメモリに一時保存する。このとき、前記サーチ回数NをN=40に設定し(ステップS4)、引き続き走行体1の走行を継続する。
【0031】そして、この走行中に、前記同様にして発光素子16および受光素子17により、ラインLに沿って走行体1が走行しているか否かを判定し(ステップS5)、ラインLに沿って走行している場合には、ステップS2,ステップS3以下の処理を実行して、走行体1をそのままラインに沿って確実に走行させる。一方、例えばカーブなどの経路で、ラインLから外れた場合には、サーチ回数Nを1ずつ減らし(N=N−1)、サーチ回数が0となった場合には(ステップS6)、所定のプログラムに従ってターン方向保存変数に応じたターン方向を決定する(ステップS7)。
【0032】そこで、このターン方向を、前回実行したターン方向とは逆にセットし、さらに、新たにサーチ回数NをN=60に設定する(ステップS8)。かかる設定後、走行体1がさらにラインLに沿って走行しているか否かを調べ(ステップS9)、未だラインL上にない場合には、サーチ回数Nを1ずつ減らし、サーチ回数が0となった場合には(ステップS10)、前回実行したターン方向とは逆の方向に、走行体1のターン方向をセットし、ここでサーチ回数NをN=90に増加設定する(ステップS11)。
【0033】このようにして、走行体1がラインLに沿って走行していない場合には、ターン方向とサーチ回数Nを変えながら、前記と同様の手順を、ステップS12〜ステップS19まで繰り返し、それでもラインLに追従しない場合には最後に前記受光量に関係なく走行体1を前進させて(ステップS20)、以下、ステップS2以下の手順を実行させる。なお、ステップS12,ステップS15,ステップS18で走行体1がラインL上にあると判定された場合には、そのまま走行体1を前進させる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、走行体に設置されて、回転方向が独自に制御される一対の駆動モータと、これらの駆動モータの回転を伝達する互いに噛合された複数のギャーからなる各一の伝動系と、これらの伝動系からの回転力を受けて回転しながら走行面上を走行する各一の走行系とを備え、該走行系を、前記各ギャーの出力軸に取り付けられた各一の駆動プーリと、前記走行体の左右に設けられた各一の従動プーリと、該従動プーリおよび前記駆動プーリ間に張設されて、前記走行面上を走行する各一の無端状の走行ベルトとから構成したので、カーブ走行を安定化でき、走行体の走行系に無理な力が加えられても、互いに噛合するギャーを含む伝動系の破損を確実に防止できるという効果が得られる。
【0035】また、請求項2の発明によれば、前記走行体の底部に設けられて、前記走行面上に光を照射する発光部および前記走行面からの反射光を受光する受光部を設けて、該受光部での受光出力に従って、前記走行系が前記走行面上の経路に沿って走行するように、マイクロプロセッサに前記駆動モータの回転および回転方向をコントロールさせるように構成したので、走行面からの反射光量にもとづいて、走行体を所定経路に沿って走行させることができるという効果が得られる。
【0036】また、請求項3の発明によれば、前記経路を、前記走行面上に着色して描かれたループ状のまたは開放端を有するラインとするように構成したので、走行体がガイドされて走行すべき経路を任意のパターンにて極めて簡単に設定でき、自動車玩具への利用上、面白さが一段と向上するという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】593014060
【氏名又は名称】和田 耕一
【識別番号】392018861
【氏名又は名称】森 栄之
【出願日】 平成9年(1997)10月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
【公開番号】 特開平11−123285
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−308028