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【発明の名称】 スノーボード用靴の滑り止め具
【発明者】 【氏名】長澤 一

【要約】 【課題】ドーム状突起を有する硬質の合成樹脂製の滑り止め具において、先ず、靴底に対する滑りを防止し、充分な係合力を発揮できるようにすること、次いで、スノーボードへの充分な接着力を発揮して安定した固定状態を得るようにすること。

【解決手段】硬質合成樹脂で成形され、ベース1の上面1aにドーム状突起2を一体的に設け、前記ベース1の裏面1bをスノーボードの上面に接着して用いるスノーボード用靴の滑り止め具。 前記ベース1を、前記ドーム状突起2の周囲に延長して鍔状体3を持つように形成し、前記ベース1の鍔状体3の上面に、前記ドーム状突起2と実質的に同じ高さを有する靴底変形規制ピン4を、互いに間隔を隔てて少なくとも2本以上設け、前記靴底変形規制ピン4とドーム状突起2とによって靴底の滑りを防止するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】強度を有する合成樹脂で成形され、ベース1の上面1aにドーム状突起2を一体的に設け、前記ベース1の裏面1bをスノーボードの上面に接着し、以て、スノーボードに対する靴の滑りを防止するように構成したスノーボード用靴の滑り止め具であって、前記ベース1を、前記ドーム状突起2の周囲に延長して鍔状体3を持つように形成し、前記ベース1の鍔状体3の上面に、前記ドーム状突起2と実質的に同じ高さを有する靴底変形規制ピン4を、互いに間隔を隔てて少なくとも2本以上設け、前記靴底変形規制ピン4とドーム状突起2とによって靴底の滑りを防止するように構成した、スノーボード用靴の滑り止め具。
【請求項2】前記合成樹脂がEVA(酢酸ビニール)又はアイオノマーを主体とするものであり、且つ、前記ベース1の裏面1bに合成樹脂製接着剤5がコーテングされている、請求項1のスノーボード用靴の滑り止め具。
【請求項3】前記ドーム状突起2の半径D2が、前記ベース1の半径D1よりも1/2以下であり、前記靴底変形規制ピン4が、前記ドーム状突起2の外周縁から所定の間隔を隔てて設けられている、請求項1又は2のスノーボード用靴の滑り止め具。
【請求項4】前記靴底変形規制ピン4が前記ベース1の中心Pに対して60度の角度で周方向に等間隔をもって6本設けられている、請求項1乃至3のスノーボード用靴の滑り止め具。
【請求項5】前記ベース1が矩形又は長円形に形成され、前記ドーム状突起2が複数個設けられ、該各ドーム状突起2の周囲に前記靴底変形規制ピン4が夫々複数本設けられている、請求項1乃至3のスノーボード用靴の滑り止め具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スノーボード用靴の滑り止め具に関し、更に詳しくは、合成樹脂で形成された突起を有するものをスノーボードの上面に貼り付け、靴の滑りを防止するようにしたところのスノーボード用靴の滑り止め具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スノーボードの上に乗せる片足の滑りを防止する方法として、一つは、スノーボードの上面に摩擦抵抗の大きなシート材を貼り付けたり、また、一つは、ベースの上面にドーム状突起を一体的に設け、前記ベースの裏面をスノーボードの上面に接着したものが提案されており、これによって、スノーボードに対する靴の滑りを防止するようにしていた。
【0003】前者のウレタン系のシートは、合成樹脂製接着剤との相性が良く、スノーボードの表面への接着状態が安定しており、従って、低温である雪面での使用に適しているが、反面、水に弱い(加水分解し易い)という欠点があるので、雪面での使用に不適であるという問題がある。 加えて、ウレタンのシート状体の貼り付けは、単なる摩擦係数の大きな素材を用いただけであるので、表面が平坦であるが故に雪が付着すると靴底に対する表面の摩擦抵抗が無くなり、滑り易くなってしまうといった欠点もある。
【0004】これに対し、後者の場合、例えば、塩化ビニール等の軟質及び硬質樹脂を用いたドーム状突起の滑り止め防止具の場合は、材質的に靴底に対する接当強度を持っているという利点があると共に水に強いという利点もあるが、反面、若干靴底に対して滑り易く、加えて、塩化ビニール等は、この滑り止め具をボードに貼り付ける合成樹脂製接着剤(両面テープ等)との相性が悪くて充分な接着力を発揮できず、特に低温になることで滑り止め具がボードから剥離し易いという問題がある。しかし乍ら、総合的な観点から見ると、比較的強度もあり、靴との係合力を発揮できる構造を有するドーム状突起の滑り止め具が主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、前述した強度のある合成樹脂製のドーム状突起(本発明に言うドーム状突起は、半球等の完全な球面を有するものの他、サイ頭四角錘等、適宜の形状の突起体を含む)の滑り止め具の靴底に対する滑り止め機能について研究を行った。
【0006】図5に示すように、この種の滑り止め具は、塩化ビニールで成形され、ベース1の上面1aにドーム状突起2を一体的に設け、前記ベース1の裏面1bをスノーボード8の上面に接着し、以て、スノーボード8に対する靴の滑りを防止するように構成され、以て、強度を持つドーム状突起2がゴム等の柔軟な靴底に陥没する状態にめり込んで(体重による)充分な係合状態を得ていることで、靴底7に対する滑り止め効果を発揮するものである。
【0007】ところが、図5に示すように、滑走中にバランスを崩して、靴底7とドーム状突起2とが相対的に水平に移動しようとする力が作用した時に、ドーム状突起2の一側方の靴底7の部分が自由に弾性変形し、その結果、ドーム状突起2の靴底7に対する陥没係合が緩くなって容易に抜け出すことができることが判明した。また、成型容易な合成樹脂であっても、従来の塩化ビニール等の合成樹脂製接着剤に対する相性の悪いものばかりではなく、充分な強度を持ちながら接着剤との相性の良い素材が存在することも分かった。
【0008】本発明は、ドーム状突起を有する強度のある合成樹脂製の滑り止め具において、先ず、靴底に対する滑りを防止し、充分な係合力を発揮できるようにすること、次いで、スノーボードへの充分な接着力を発揮して安定した固定状態を得るようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるスノーボード用靴の滑り止め具は、上記目的を達成するために、強度を有する合成樹脂で成形され、ベース1の上面1aにドーム状突起2を一体的に設け、前記ベース1の裏面1bをスノーボードの上面に接着し、以て、スノーボードに対する靴の滑りを防止するように構成したスノーボード用靴の滑り止め具であって、前記ベース1を、前記ドーム状突起2の周囲に延長して鍔状体3を持つように形成し、前記ベース1の鍔状体3の上面に、前記ドーム状突起2と実質的に同じ高さを有する靴底変形規制ピン4を、互いに間隔を隔てて少なくとも2本以上設け、前記靴底変形規制ピン4とドーム状突起2とによって靴底の滑りを防止するように構成した、という手段を講じたものである。
【0010】本発明において、前記合成樹脂がEVA(酢酸ビニール)又はアイオノマーを主体とするものであり、且つ、前記ベース1の裏面1bに合成樹脂製接着剤5がコーテングされているのが好ましい。
【0011】本発明において、前記ドーム状突起2の半径D2が、前記ベース1の半径D1よりも1/2以下であり、前記靴底変形規制ピン4が、前記ドーム状突起2の外周縁から所定の間隔を隔てて設けられているのが好ましい。
【0012】本発明において、前記靴底変形規制ピン4が前記ベース1の中心Pに対して60度の角度で周方向に等間隔をもって6本設けられているのが好ましい。
【0013】本発明において、前記ベース1が矩形又は長円形に形成され、前記ドーム状突起2が複数個設けられ、該各ドーム状突起2の周囲に前記靴底変形規制ピン4が夫々複数本設けられているのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の態様】本発明において、強度を有する合成樹脂とは、後述する通り、EVA(酢酸ビニール)又はアイオノマー等であり、強度を有するが、実施例の如く細いピンに形成されたときには、弾性をもって僅かに撓むことができる程度の硬度をもつものを意味する。 また、ベース1とドーム状突起2は、射出成型等の適宜の公知の手段で一体的に成形されればよい。そして、前記ベース1の裏面1bをスノーボードの上面へ接着する手段は、適宜の接着剤を用いることで行い得るが、一例とすれば、合成樹脂製接着剤(感圧性)を用いることができる。更に、前記ドーム状突起2と靴底変形規制ピン4を実質的に同じ高さを有するというのは、両者の高さが必ずしも同じ高さでなければ本発明の効果が発揮できないという意味ではなく、両者の間に段差があっても良いものである。
【0015】本発明によれば、図4に示すように、前記ベース1を、前記ドーム状突起2の周囲に延長して鍔状体3を持つように形成し、前記ベース1の鍔状体3の上面に、前記ドーム状突起2と実質的に同じ高さを有する靴底変形規制ピン4を、互いに間隔を隔てて少なくとも2本以上設け、前記靴底変形規制ピン4とドーム状突起2とによって靴底の滑りを防止するように構成したので、滑走中にバランスを崩して、靴底7とドーム状突起2とが相対的に水平に移動しようとする力が作用した時に、ドーム状突起2の一側方の靴底7の部分が自由に弾性変形しようとするのを、前記靴底変形規制ピン4によって阻止し、或いは抑制することができ、その結果、ドーム状突起2の靴底7に対する陥没係合を維持して靴底がドーム状突起2から外れてしまうのを防止できるようになった。
【0016】そして、この靴底変形規制ピン4は、互いに離れてドーム状突起2の周囲に少なくとも2本設けられているので、一方向の靴の滑りのみならず、結果として靴底7の平面の二次元方向の滑りを阻止し得ることになり、従って、滑走中にバランスを崩してスノーボードに対して何れの方向に滑りが生じようとしても阻止できるのである。
【0017】また、前記合成樹脂がEVA(酢酸ビニール)又はアイオノマーを主体とするものであり、且つ、前記ベース1の裏面1aに合成樹脂製接着剤5がコーテングされている場合には、合成樹脂製接着剤5とEVA(酢酸ビニール)又はアイオノマーを主体とするものとの相性が良く、硬質樹脂として、確実な靴底との係合を行い得る強度と水に強いという特性を活かしながら、スノーボードに対する接着を強力に行うことが出来て、低温域における使用中においても剥離してしまう恐れが殆どないのである。
【0018】また、前記ドーム状突起2の半径D2が、前記ベース1の半径1よりも1/2以下であり、前記靴底変形規制ピン4が、前記ドーム状突起2の外周縁から所定の間隔を隔てて設けられている場合には、両者が密接した状態で上向きに突出しているのに較べ、靴底7の変形を容易ならしめることができて、靴底7に対するドーム状突起2の嵌まり込みが充分に行い得て、両者の滑り止め作用を得ることが出来る。
【0019】更に、前記靴底変形規制ピン4が前記ベース1の中心Pに対して60度の角度で周方向に等間隔をもって6本設けられている場合には、2本設けたものに較べて、更に多方向、殆ど360度の靴底7の滑り方向に対する滑り止め機能を確実に発揮できる。
【0020】また、前記ベース1が矩形又は長円形に形成され、前記ドーム状突起2が複数個設けられ、該各ドーム状突起2の周囲に前記靴底変形規制ピン4が夫々複数本設けられている場合には、上述した如き滑り止め機能に加え、2単位の滑り止め防止具を一つのものとして取り扱い、スノーボードへの貼り付け作業(従来技術では、20個程度、上記の本発明では10個前後、この形態では5〜6個)を簡略化できる。
【0021】
【実施例】以下、本発明にかかるスノーボード用靴の滑り止め具の好適実施例について、図面を参照して説明する。
第1実施例図1及び図2(斜視図及び縦断面図)に示すように、この滑り止め具は、基本構造として、強度を有する合成樹脂としてEVA(酢酸ビニール)を用いて一体成形されたもので、ベース1の上面1aに、約10mm程度のドーム状突起2を一体的に設け、前記ベース1の裏面1bに、一般に両面テープ等に用いられる合成樹脂製接着剤5をコーテイングしてあり、このベース1の裏面1bをスノーボード8の上面に接着し、以て、スノーボード8に対する靴の滑りを防止するように構成してある。
【0022】そして、前記ベース1を、前記ドーム状突起2の周囲に延長して鍔状体3を持つように形成し、前記ベース1の鍔状体3の上面に、前記ドーム状突起2と実質的に同じ高さを有する靴底変形規制ピン4を、互いに間隔を隔てて6本設け、以て、前記靴底変形規制ピン4とドーム状突起2とによって靴底の滑りを防止するように構成してある。
【0023】前記ドーム状突起2の半径D2は、前記ベース1の半径D1の略1/2であり、前記靴底変形規制ピン4が、前記ドーム状突起2の外周縁から所定の間隔、ここでは、前記ドーム状突起2乃至ベース1の中心Pに対し、60度の角度をもった間隔で設けられている。尚、図2において、9は、ベース1の裏面1bの合成樹脂製接着剤5を被覆する剥離シートであり、搬送、取り扱いにおいて合成樹脂製接着剤5と他物との接着を防止する為のものであり、スノーボード8への貼り付けに際してこれを剥離する。
【0024】上記実施例において、靴底変形規制ピン4は、少なくとも2本備えられておれば良く、その他に、3本でも、4本でも、また、6本以上設けられてもよい。この靴底変形規制ピン4は、安全対策上、その先端は円く形成するのが好ましい。 また、前記ドーム状突起2の半径D2と、前記ベース1の半径D1との関係は、上述した通り概ね0.5対1の関係であるとしたが、これに特定されなくてもよく、靴底7の変形を容易にできるドーム状突起2と靴底変形規制ピン4との間隔を備えることができるスペースを確保できさえすれば良い。
【0025】第2実施例図3に示す通り、ここにおいては、上記実施例1のベース1が長円形に形成され、前記ドーム状突起2が2個設けられ、該各ドーム状突起2の周囲に前記靴底変形規制ピン4が夫々複数本設けられている。尚、その他の構造については、実施例1と同じであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0026】上述のドーム状突起2が2個設けられた実施例であるが、これを3個乃至4個を一体的に設けることも可能であろう。 しかし、そのベース1が大きくなると、裏面1aの面積が増大し、スノーボード8に貼り付ける際に空気或いは水気を閉じ込めることもあり、接着力を低下させることになるという問題も生じ、また、取り扱い上嵩張るという問題もある。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、ドーム状突起を有する強度を有する合成樹脂製の滑り止め具として、ウレタンシート等よりも靴底に対する確実な係合状態を得ることができながら、靴底変形規制ピンによって、靴底の変形によるドーム状突起の逃げを阻止して、充分な係合力を維持し、以て、滑り止め効果を高めることが出来るという顕著な効果を発揮するに至ったものである。本発明のその他の作用、効果は発明の実施の態様及び実施例の説明において記載の通りである。
【出願人】 【識別番号】597044520
【氏名又は名称】長澤 一
【出願日】 平成10年(1998)5月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大前 要
【公開番号】 特開平11−313915
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−137632