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【発明の名称】 競技場設備
【発明者】 【氏名】岡野 英介

【要約】 【課題】本発明は、本来の競技以外の催し物を本来の設備を損なうことなく良好な環境のなかで行える競技場設備を提供することを課題とする。

【解決手段】フィールド、このフィールドの外周を囲む環状のバンクおよびこのバンクの外側に設けられた固定観客席とを備えた競技場設備において、バンクに他の部分とは分離して本来位置から離れる向きに移動可能な移動バンクが設けられるとともに、本来位置から離れる向きに移動した移動バンクを退避する退避部が設けられ、且つ移動バンクが退避部に退避した時に本来位置へ移動して設置することが可能な観客席を備えており、さらに本来位置に対応するフィールドの部分にピットが形成され、このピットの開放部には移動床が本来位置から離れる向きに移動に設けられ、ピットの内部に設置可能な観客席を備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィールド、このフィールドの外周を囲む環状のバンクおよびこのバンクの外側に設けられた固定観客席とを備えた競技場設備において、前記バンクの少くとも一部分が移動バンクとして他の部分とは分離して本来設けられる位置から離れる向きに移動可能であるとともに、前記本来設けられる位置から離れる向きに移動した前記移動バンクを退避させる退避部が設けられ、且つ前記移動バンクが前記退避部に退避された時に前記移動バンクの本来設けられる位置へ移動して設置することが可能な観客席を備えていることを特徴とする競技場設備。
【請求項2】 前記移動バンクを退避させる退避部は、この移動バンクの本来設けられる位置の下側箇所と前記固定観客席の下側箇所からなる領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の競技場設備。
【請求項3】 前記移動バンクの本来設けられる位置に対応する前記フィールドの部分にピットが形成され、このピットの開放部にはこの開放部を覆う移動床がこの開放部から離れる向きに移動可能に設けられ、且つ前記ピットの内部に設置可能な観客席を備えていることを特徴とする請求項1に記載の競技場設備。
【請求項4】 前記移動バンクの本来設けられる位置と前記固定観客席の下側箇所からなる領域に、前記本来設けられる位置から離れた前記移動床を退避させる退避部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の競技場設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフィールド、このフィールドの外周を囲む環状のバンクおよびこのバンクの外周側に設けられた固定観客席とを備えた競輪場などの競技場設備に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、競輪場をはじめ多くの競技場設備では、生活水準の向上に伴ってために豪華な観客用設備を設けているものが多い。従って、このような競技場設備では、豪華な観客用設備の建設に要した高額な初期投資を早く回収するためにも多くの観客を集める必要があり、また稼働率を上げる必要があることから、競技を行うという本来の目的以外の野外音楽会、物産展などの種々の催し物を行うことができる多機能な設備を備えることが要望されている。競輪場においても競輪以外に野外音楽会、物産展など多くの催し物を開催できる多機能な設備を備えることが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】競輪場は、自転車競技を行うためにフィールドと、このフィールドの外周を囲む自転車が走行するほぼ長円形のバンクと、このバンクの外周側に設けられた固定観客席とを備えている。そこで、この競輪場において前記のような自転車競技を行うための本来的な形態のままで、内側のフィールドの一部と外側の固定観客席を利用して野外音楽会、物産展等の催しを行おうとすると次に述べるような問題が生じる。例えば、野外音楽会を行う場合には、フィールドで演奏者が演奏を行い、且つ観客がフィールドに特設した観客席と固定観客席の夫々に座って演奏を聞く、あるいは且つ観客が固定観客席のみに座って演奏を聞く状態となる。そうすると、前者の場合にはフィールドの観客席と固定観客席との間に存在するバンクが邪魔となって観客席全体の連続性や一体感が損なわれ、また後者の場合はフィールドの演奏者と固定観客席の観客との間に介在するバンクが邪魔となって両者間の一体感が損なわれる。また、非常時にフィールドにいる上の観客を固定観客席を通して競技場設備の外部へ避難する時にバンクが障害となって避難が困難となるという問題も生じる。
【0004】このため、前記の問題の対策として、バンク上に観客席を設ける試みがなされたが、バンク上面が傾斜していることに加えて、バンク上面を自転車競技を行う上で障害となる傷をつけないように養生する必要があるために、バンク上に観客席を設けることは大変手間が掛かるとともに自転車競技を行う上でも大変好ましくない。
【0005】本発明は前記事情に基いてなされたもので、本来の競技以外の催し物を本来の設備を損なうことなく良好な環境のなかで行うことができる競技場設備を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の競技場設備は、フィールド、このフィールドの外周を囲む環状のバンクおよびこのバンクの外側に設けられた固定観客席とを備えた競技場設備において、前記バンクの少くとも一部分が移動バンクとして他の部分とは分離して本来設けられる位置から離れる向きに移動可能であるとともに、前記本来設けられる位置から離れる向きに移動した前記移動バンクを退避させる退避部が設けられ、且つ前記移動バンクが前記退避部に退避された時に前記移動バンクの本来設けられる位置へ移動して設置することが可能な観客席を備えていることを特徴とする。
【0007】請求項2の発明は、請求項1に記載の競技場設備において、前記移動バンクを退避させる退避部は、この移動バンクの本来設けられる位置の下側箇所と前記固定観客席の下側箇所からなる領域に設けられていることを特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、請求項1に記載の競技場設備において、前記移動バンクの本来設けられる位置に対応する前記フィールドの部分にピットが形成され、このピットの開放部にはこの開放部を覆う移動床がこの開放部から離れる向きに移動可能に設けられ、且つ前記ピットの内部に設置可能な観客席を備えていることを特徴とする。
【0009】請求項4の発明は、請求項3に記載の競技場設備において、前記移動バンクの本来設けられる位置と前記固定観客席の下側箇所からなる領域に、前記本来設けられる位置から離れた前記移動床を退避させる退避部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に述べる各実施の形態は本発明の競技場設備を競輪場に適用したものである。第1の実施の形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は競技場設備を示す平面図、図2および図3は図1のZ−Z線に沿う断面図で、図2は競輪を行う場合の競輪場本来の形態、図3は競輪以外の催し物を行う場合の形態を示している。
【0011】この競輪場は、地上に構築したコンクリート躯体1を基礎にしてフィールド2、バンク3および固定観客席4を備えている。フィールド2は外形が長円形をなすもので、コンクリート躯体1によって形成されている。バンク3はこのフィールド2の外周側に設けられてフィールド2の外周全体を囲む長円形の環状をなすもので、コンクリート躯体1に設置固定されている。このバンク3の上面はフィールド2の上面より高い位置にあって外周側から内周側に向けて低くなるように傾斜して形成されている。固定観客席4はコンクリート躯体1においてバンク3の外周側全体を囲んで設けられており、観客用椅子を設置した上面はバンク3の外周縁より高い位置でバンク3の傾斜した上面の延長線に沿って傾斜されている。固定観客席4にホーム側部の上部にはフィールド側突出フレーム5を延長して屋根やスィートボックス席6を設けている。
【0012】ホーム側におけるバンク3の一区画部分は他の固定部分とは分離して別体として本来設けられる位置A(図2に示すように競輪を行うためにバンク3として本来使用する時に設けられる位置)から離れる向きに移動可能な移動バンク3Aとして構成されている。すなわち、この移動バンク3Aの本来設けられる位置Aの下側におけるコンクリート躯体1には上面で開放するピット(バンク退避空間部)11が形成され、このバンクピット11の内部にはにねじジャッキなどの昇降装置12が設置されている。移動バンク3Aはこの昇降装置12に支持されて本来設けられる位置Aと図3に示すバンクピット11内部の退避位置Bとの間を昇降移動されるようになっている。移動バンク3Aに対向する固定観客席4の前端下部に形成された収納凹部13には競輪以外の催し物を行う場合に用いるロールバック式の移動観客席14が折り畳んだ状態で収納されている。このロールバック式移動観客席14は、移動バンク3Aがバンクピット11の退避位置Bにある時に移動バンク3Aの本来設けられる位置Aに引き出してフィールド2に向けて順次低くなるように階段状に展開するものである。
【0013】また、フィールド2におけるバンク3の移動バンク3Aに対応したコンクリート躯体1部分には上面で開放するピット15が形成されており、このフィールドピット15とバンクピット11とはコンクリート躯体1の一部である隔壁16によって仕切られている。フィールドピット15の上面開放部は移動床17によって覆われており、この移動床17はフィールドピット15を覆う位置と固定観客席4下側のコンクリート躯体1に形成された床退避空間部18との間を移動可能に支持されており、例えば自身に装備した適宜な自走装置(図示せず)により移動走行できるようになっている。床退避空間部18は移動バンク3Aの本来設けられる位置Aの延長線上に水平に形成され、移動床17は床退避空間部18の内部に格納されて退避された状態で一部が外側へ突出してバンクピット11の上面開放部を覆うようになっている。
【0014】フィールドピット15の内部床面に移動バンク3Aから最も離れた位置にステージ19が設置され、隔壁16のフィールドピット15側部分に形成した収納凹部20には競輪以外の催し物を行う場合に用いるロールバック式の移動観客席21が折り畳んだ状態で収納されている。このロールバック式の移動観客席21はフィールドピット15に設けたステージ19に向けて順次低くなるように階段状に展開するものである。
【0015】このように構成した競輪場設備の作動について説明する。競輪場設備を本来の競輪場として競輪を行うために使用する場合には、図1および図2に示すようにフィールドピット15の上面開放部を移動床17で覆い、ロールバック式移動観客席21を隔壁16の収納凹部20に折り畳んだ状態で収納する。これによりフィールドピット15の内部は隠されて外側から見ることができない。移動バンク3Aは昇降装置12によりバンク3の他の部分と並ぶ本来設けられる位置Aに保持してバンクピット11の開放部を閉じ、バンク3全体を環状に連続させる。ロールバック式移動観客席14を固定観客席4の収納凹部13に折り畳んだ状態で収納する。
【0016】競輪場設備を本来の競輪場以外の使用目的として競輪以外の催し物、例えば音楽会を行うために使用する場合には、図3に示すように昇降装置12により移動バンク3Aを本来設けられる位置Aからバンクピット11の内部の退避位置Bまで下降する。また、移動床17をフィールド2のフィールドピット15の上面開放部を覆う位置から移動走行させて固定観客席4の床退避空間部18に格納されて退避する。これによりフィールドピット15の上面開放部が開放される。この場合、移動床17の一部は床退避空間部18から移動バンク3Aの退避により空いた本来設けられる位置Aまで突出して開放されたバンクピット11の上面開放部を覆う。そして、フィールドピット15では隔壁16の収納凹部20からロールバック式移動観客席21を引き引出して同じくフィールドピット15に設けたステージ19に向け展開して設置する。また、固定観客席4の収納凹部13に収納されたロールバック式移動観客席14を、バンクピット11の上面開放部を覆う移動床17上まで引出してフィールドピット15へ向けて展開して設置する。これにより競輪場の外周側部からフィールドピット15に設けたステージ19かけて、固定観客席3、バンク3Aの本来設けられる位置Aに設けたロールバック式移動観客席14およびフィールドピット15に設けたロールバック式移動観客席21が同じ勾配の傾斜で連続して一体に並ぶこととなる。
【0017】このため、フィールドピット15に設けた移動観客席21と固定観客席4は、が本来設けられる位置Aに設けたロールバック式移動観客席14によって互いに連続性や一体感を得ることができ、また最上部のスイー卜ボックス席5も活用できる。火災などの非常事態が発生した時には、フィールドピット15内部にいる観客などの人員を移動観客席21およびこれに付属する階段から本来設けられる位置Aに設けた移動観客席14およびこれに付属する階段を通して固定観客席4へ容易且つ迅速に安全に避難させることができる。なお、フィールドピット15で物産展などの催し物を開催した場合には、移動観客席21は不要になるために隔壁16の収納凹部20に収納する。
【0018】また、本発明の競技場設備によれば、本来の競技を行う場合にはフィールド2に形成されたフィールドピット15を移動床17で覆うことにより、フィールド2を充分利用して本来の競技を良好に行うことができ、且つ内側のフィールド2に形成されたフィールドピット15に設置した催し物用の観客席21を設置することにより、フィールドピット15に設置した観客席21と外側の固定観客席4とが移動バンク3Aの本来設けられる位置に設けた移動観客席14によって連続性や一体感を得ることができる。
【0019】さらに、移動バンク3Aを退避させて退避空間部であるバンクピット11に退避するので、移動バンク3Aを露出させた状態で退避させる場合に比較して退避させた移動バンク3Aが観客などの邪魔にならず移動バンク3Aを損傷させることもない。また、移動床17を退避させて退避空間部18に退避するので、移動床17をを露出させた状態で退避させる場合に比較して退避させた移動床17が観客などの邪魔にならず移動床17を損傷させることもない。しかも、移動バンク3Aを退避させる退避空間部であるバンクピット11と移動床17を退避させる退避空間部18は適切な箇所に設けられている。
【0020】図4および図5は前述した第1の実施の形態において、競輪以外の催し物を行う時に用いるためにフィールドピット15に設ける観客席の形式を異ならせたものである。すなわち、フィールドピット15には移動観客席に代えて固定形観客席22を設けている。図4は図2に対応して競輪を行う場合を示し、図5は図3に対応して競輪以外の催し物を行う場合を示しており、図4および図5において図2および図3と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0021】第2の実施の形態について図1、図6ないし図8を参照して説明する。この実施の形態は、図1において競輪場のホーム側部とは異なるサイド側部に移動バンク、フィールドのピットおよび移動床を設けたものである。図1のサイド側部は競輪を行う形態を示し、図6は競輪場のサイド側部における競輪以外の催し物を行う形態を示す平面図、図7は図1のY−Y線に沿う断面図、図8は図6のY−Y線に沿う断面図である。図7は図2と対応して競輪を行う場合を示し、図8は図3に対応して競輪以外の催し物を行う場合を示し、図6ないし図8において図1ないし図3と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0022】第1の実施の形態と異なる点について説明する。バンク3におけるサイド側部には移動バンク3Bが他の固定部分と独立して設けてあり、フィールド2における移動バンク3Bと対向するコンクリート躯体1の部分にはピット31が形成されてあり、このフィールドピット31の上面開放部にはこれを覆う移動床32が設けてある。この移動床32はフィールドピット31の上面開放部と移動バンク3Bが競輪時に本来設けられる位置する本来設けられる位置Aにわたる大きさを有するもので、フィールドピット31の上面開放部を覆った状態で本来設けられる位置Aに移動バンク3Bを上面に載せている。そして、移動床32はフィールドピット31の上面開放部を覆う位置と固定観客席4下側のコンクリート躯体1部分に形成した退避空間部33との間を移動可能に設けられており、移動床32は例えば自身に装備した自走装置により走行移動できるようになっている。移動床32はその移動時に移動バンク3Bを一体に移動する。すなわち、固定観客席4の退避空間部33は移動床32と移動バンク3Bを退避できる高さを有しており、バンク退避空間部と床退避空間部を兼用している。
【0023】また、バンク3において移動バンク3Aの左右両側に位置する部分には、夫々バンク3の周方向に延びる一対の収納凹部34が形成されており、この各収納凹部34の内部には夫々移動バンク3Aの本来設けられる位置Aに引き出すことが可能な移動観客席35が折り畳んで収納してある。この移動観客席35は競輪以外の催し物を行う場合に用いるものである。競輪場のサイド側部は、カーブ(曲率)が急であるためにバンク3も急傾斜となっており、移動バンク3Bを退避するために昇降駆動を採用すると大きな昇降ストロークが必要とされる。そこで、移動バンク3Bを退避するためおよび移動観客席を退避するために水平移動する方式を採用している。なお、第1の実施の形態と同様にフィールドピット31にはステージ36が設けられ、フィールドピット31を構成するコンクリート躯体1の側壁に形成された収容凹部37には競輪以外の催し物を行う場合に用いるロールバック式移動観客席38が折り畳んで収容してある。
【0024】このように構成した競輪場設備の作動について説明する。競輪場設備を本来の競輪場として競輪を行うために使用する場合には、図1および図7に示すようにフィールドピット31の上面開放部を移動床32で覆い、ロールバック式移動観客席38を収納凹部37に折り畳んだ状態で収納する。移動バンク3Bは移動床32に支持されてバンク3の他の固定部分と並ぶ本来設けられる位置Aに保持してフィールドピット31の開放部を閉じてバンク3全体を環状に連続させる。一対の移動観客席35をバンク3下側の一対の収納凹部34に折り畳んだ状態で収納する。移動観客席38は収容凹部37に収容する。
【0025】競輪場設備を本来の競輪場以外の使用目的として競輪以外の催し物、例えば音楽会を行うために使用する場合には、図6および図8に示すように移動床32をフィールド2のピット31の上面開放部を覆う位置から移動走行させて固定観客席4の床退避空間部33に格納退避する。移動床32に支持された移動バンク3Bは移動床32と一体に移動して床退避空間部33の内部に格納退避される。これによりフィールドピット31の上面開放部が開放される。この場合、移動床32は移動バンク3Bが無くなった本来設けられる位置Aに突出する。そして、バンク3下側の一対の収容凹部34から夫々移動観客席35を移動バンク3Bが無くなった本来設けられる位置Aに引き出して展開する。一対の移動観客席35はフィールド2に向かって順次低くなる階段状をなしている。フィールドピット31の収容凹部37からロールバック式移動観客席38を引き出して展開する。移動観客席38はフィールド2に向かって順次低くなる階段状をなしている。このようにしてこの実施の形態においても第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0026】図9および図10は前述した第2の実施の形態において、競輪以外の催し物を行う時に用いるためにフィールドピット31に設ける観客席の形式を異ならせたものである。すなわち、フィールドピット31には移動観客席に代えて固定形観客席39を設けている。図9は図7に対応して競輪を行う場合を示し、図10は図8に対応して競輪以外の催し物を行う場合を示しており、図9および図10において図7および図8と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0027】第3の実施の形態について図11および図12を参照して説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態と同様に競輪場のホーム側部を対象にしたものであり、図11は図2に対応して競輪を行う場合を示し、図12は図3に対応して競輪以外の催し物を行う場合を示しており、図11および図12において図2および図3と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0028】この実施の形態において、バンク3における移動バンク3Aの部分は第1の実施の形態と同様にねじジャッキなどの昇降装置12により本来設けられる位置Aとバンクピッチ11の退避位置Bとの間を昇降させるようになっている。競輪以外の催し物を行う場合に移動バンク3Aの本来設けられる位置Aに設ける観客席は、第1の実施の形態と同様にロールバック式移動観客席14を収納凹部13に収納している。競輪以外の催し物を行う場合にフィールドピット15に設ける観客席として、複数の席に分割した移動観客席41を配置し、この移動観客席41の夫々独立した各席を個別にねじジャッキなどの複数の昇降装置42により昇降させるようにしてある。フィールドピット15に設けるステージ43も同様に昇降装置42で昇降させるようにしてある。なお、移動観客席41はステージ43を除くフィールドピット15全体に設けているが、この実施の形態では競輪以外の催し物を行う場合に引き出したロールバック式移動観客席14を載せるために移動床44を設けている。すなわち、移動床44は移動バンク3Aの面積に対応する面積を有する小形のもので、自走装置により移動走行できるようになっている。なお、移動床44が大変小形であるために固定観客席4の下側には移動床44を退避する床退避空間部を形成する必要がなく、バンクピッド11の側壁の一部に移動床44を受ける段部45を形成しており、この段部45は床退避空間部に比較して大変小形となっている。
【0029】このように構成した競輪場設備の作動について説明する。競輪場設備を本来の競輪場として競輪を行うために使用する場合には、図11に示すようにフィールドピット15の上面開放部の一部を移動床44で覆い、また各昇降装置42により移動観客席41の各席とステージ43をフィールドピット15の上面開放部まで上昇させて高さを揃え、移動床に代りピット31の上面開放部を覆う平坦な面を形成する。移動バンク3Aは昇降装置12によりバンク3の本来設けられる位置Aに位置させる。
【0030】競輪場設備を本来の競輪場以外の使用目的として競輪以外の催し物、例えば音楽会を行うために使用する場合には、図12に示すように昇降装置42によりステージ43を一番低い位置に下降し、移動観客席41の各席をステージ43に向けて順次低くなる階段状をなすように夫々高さを調節する。移動バンク3Aは本来設けられる位置Aから昇降装置12によりバンクピット11内部に下降する。移動床44をフィールドピット15から移動バンク2Aの本来設けられる位置Aへ移動させ、その移動床44上に引き出したロールバック式移動観客席14を載せる。このようにしてこの実施の形態においても第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0031】なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。例えば本発明の競技場設備は競輪場に限定されず、陸上競技など種々の競技を単独または複合で行う競技場設備に広く適用することができる。前述した実施の形態では移動バンクと移動床を本来設けられる位置から離れて退避した時に退避空間部で退避している(第3の実施の形態の移動床を除く)が、これに限定されず露出した状態であっても良い。
【0032】
【発明の効果】本発明の競技場設備によれば、本来の競技以外の催し物を行う場合に、移動バンクを移動させて退避空間部に退避し、移動バンクの本来設けられる位置へ催し物用の観客席を設置することにより、内側のフィールドと外側の固定観客席とが連続性や一体感を得ることができ、且つ非常事態が発生した時にはフィールドにいる人員を外側の固定観客席へ容易且つ安全に避難させることができる。
【0033】また、本発明の競技場設備によれば、本来の競技を行う場合にはフィールドに形成されたピットを移動床で覆うことにより、フィールドを充分利用して本来の競技を良好に行うことができ、且つ内側のフィールドに形成されたピットに設置した催し物用の観客席を設置することにより、フィールドのピットに設置した観客席と外側の固定観客席とが移動バンクの本来設けられる位置に設けた観客席によって連続性や一体感を得ることができる。さらに、移動バンクを退避する退避空間部と移動床をを退避する退避空間部を適切な箇所に設けることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開平11−285556
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−91647