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【発明の名称】 スノーボード
【発明者】 【氏名】奥山 雅昭

【氏名】長尾 裕史

【氏名】吉田 健

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上面(6)と二つの側面(3)および該二つの側面(3)に接続される底面(4)からなり、長さ(9)が1000〜2000mmの範囲内であるスノーボード(1)において、前記二つの側面(3)と底面(4)とが交って形成される二つの稜部(5)のなすサイドカーブ(2)の内、左右双方のサイドカーブの曲率半径を前雪部(8)から後雪部(7)までの滑走部(13)内でスノーボード(1)の長さ方向に応じて変化させ、かつ、該滑走部(13)を12等分し、テール側からトップ側に向けてA部からM部と分割した場合に、最小の曲率半径を有する部位である最小曲率部(10)をC部からH部までの範囲内に位置するようにサイドカーブ(2)を設定し、かつ、B部からL部における最小曲率半径(11)が4.0〜16.0mの範囲内であって、かつ、B部からL部における最大曲率半径(12)が5.0〜24.0mの範囲内であり、かつ、最小曲率半径(11)と最大曲率半径(12)との差が1.0〜8.0mの範囲内にあることを特徴とするスノーボード(1)。
【請求項2】 長さ(9)が1650〜2000mmの範囲内であって、かつ、最小曲率半径(11)が8.0〜16.0mの範囲内であって、かつ、最小曲率半径(11)と最大曲率半径(12)との差が2.0〜8.0mの範囲内にあることを特長とする請求項1記載のスノーボード(1)。
【請求項3】 長さ(9)が1500〜1650mmの範囲内であって、かつ、最小曲率半径(11)が6.0〜14.0mの範囲内で、かつ、最小曲率半径(11)と最大曲率半径(12)との差が1.5〜7.0mの範囲内にあることを特長とする請求項1記載のスノーボード(1)。
【請求項4】 長さ(20)が1000〜1500mmの範囲内であって、かつ、最小曲率半径(11)が4.0〜12.0mの範囲内でかつ、最小曲率半径(11)と最大曲率半径(12)との差が1.0〜6.0mの範囲内にあることを特長とする請求項1記載のスノーボード(1)。
【請求項5】 左右双方のサイドカーブ(2)が長さ方向の中心線(14)に対し、対称であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のスノーボード(1)。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術範囲】本発明は、横ずれの少ないターンができるスノーボードの形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】滑走時に、スノーボードをターンさせ易くするための機能のひとつとして、その平面形状において、スノーボードのトップ側とテール側の幅を広くし、中央部の幅を狭くしたサイドカーブ形状がある。また、滑走面の側面形状においても、平板とはせずに、中央部を盛り上げたアーチ状の曲線により形成され、中央部の底面は非荷重時には接地しない構成であるアーチキャンバー形状がある。ここで、非荷重時に地面と接する部位を雪部とし、さらに、トップ側の雪部を前雪部、テール側の雪部を後雪部と定義する。また、前雪部と後雪部の間を滑走部とする。
【0003】スノーボードをターンするには、前記したサイドカーブ形状のスノーボードの、ターンさせたい側のエッジを立ててスノーボードに荷重を加えてたわませ、この時のスノーボードの稜部に沿って滑らせることによりターンする。早く滑走する方法としては、スノーボーダーが流線形の滑走フォームをとるなどして滑走中の空気抵抗を減少させること、スノーボードとしては、滑走中にスノーボードの横ずれを少なくして除雪抵抗を減少させることや摩擦抵抗の少ない滑走面材を用いること、そのほか振動を発生させないことや、発生した振動を必要以上に吸収しないことなどが考えられる。
【0004】前記方法のうち、本発明はスノーボードの特性による滑走性能の向上を図る効果的な方法として、ターン時のスノーボードの横ずれを少なくすることに着目した。スノーボーダーがターン操作をする時のターン操作を構成する要素としては、抜重によるターン導入、エッジングとスノーボーダーの体重、遠心力等の荷重を加えながら切りかえ、最大荷重を加えてスノーボードをたわませて雪面を削り、ターン完了と同時に次のターンのための抜重などがある。このとき、スノーボードのサイドカーブが直線であると、中央部だけが雪面に食い込み、トップ、テール部に行くに従い雪面からはねあがり、不安定となる。そこで、現在市販されているスノーボードは、曲率半径が一定のサイドカーブが形成してある。このサイドカーブの存在により、スノーボードは荷重を加えなくてもある程度方向が変わるが、それでは自分の思い通りのターン弧は描けないため、スノーボードに前記荷重を加え、スノーボードのたわみ量を変えることにより、理想のターン弧に近づけようとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】競技等で早くターンすることを目的とする場合は、ゴール位置に対するスタート位置の位置エネルギーの運動エネルギーへの変換効率を減少させないために、ターン時に理想的なターン弧からなるべくずれないように滑走することが重要である。すなわち、ターン操作時に荷重をかけてスノーボードをたわませ、理想的ターン弧と同一のサイドカーブの曲率とすることが必要である。
【0006】しかし、従来のスノーボードでは、荷重のない状態でのサイドカーブの曲率は一定であるものの、現実のターン時の撓んだ状態でのサイドカーブは一定の曲率でなかった。そのため、雪面へのエッジの食い込み具合が、長さ方向の位置により異なることとなり、ターン弧からのずれの大きいターンとなってしまっていた。そこで、本発明は効率的なターン操作を可能にするサイドカーブを備えたスノーボードを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題点を解決するために、現実のターン時のサイドカーブの曲率を一定とするものである。そして、そのために、スノーボードの前雪部から後雪部までの滑走部のサイドカーブの曲率半径を長手方向の位置に応じて適宜に変化させたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、現実のターン時におけるサイドカーブの曲率を一定にできればよく、荷重がない状態の曲率に特に制限はない。しかし、最小曲率部における曲率半径(以下、最小曲率半径とする)があまりに大きな曲率半径では小さなターンをすることができず、一方、あまりに小さな曲率半径では使用者の意図したターン弧より回りすぎる等の不都合が生ずる。そこで、現実のターン時のサイドカーブの曲率半径は3.0m〜15.0mの範囲内であるのが望ましく、そのため、荷重がない状態の最小曲率半径は4.0m〜16.0mの範囲内であるのが望ましい。なお、最小曲率部とは荷重がない状態において最も小さな曲率半径を有する部位をいう。
【0009】そして、本発明は、現実のターン時におけるサイドカーブの曲率を一定にするために、サイドカーブの曲率半径を、スノーボードの長さ方向の前雪部から後雪部までの滑走部内で、スノーボードの長さ方向に応じて変化させ、さらに、図3に示すように前雪部から後雪部までを12等分し、テール側からトップ側に向けてA部からM部とした場合に最小曲率部をC部からH部までの範囲内に位置するようにサイドカーブを設定したものである。ここで本発明は、C部からH部の範囲内に最小曲率部があればよい。それは、上級者は主としてスノーボードの中心付近に重心があり、そして、中心付近を最もたわませるため、最小曲率部がF部からH部の範囲内にあれば、現実のターン時において曲率半径が一定となるからであり、また、上級者よりやや後方に重心のある中級者ではE部からG部の範囲内に最小曲率部があればよく、中級者より更に後方に重心のある初心者や女性では、より後方がたわむ傾向にあるため、C部からE部の範囲内に最小曲率部があれば、現実のターン時において曲率半径が一定となることが実際の測定から明らかになったからである。
【0010】本発明は、C部からH部の範囲内に最小曲率部があればよい。しかし、最小曲率半径とその他の部位の最大の曲率半径(以下、最大曲率半径とする)との差があまりに小さくては、本発明の効果を適切に得ることができず、ターン時における曲率半径を一定にすることができない。そこで、本発明は、図3に示すB部からL点までにおいて、最小曲率半径とその他の部位における最大曲率半径との差が1.0m以上大きなものでなければならない。一方、B部からL点までにおける最小曲率半径と最大曲率半径との差があまりに大きすぎる場合も、ターン時における曲率半径を一定にすることはできない。そこで、最小曲率半径と最大曲率半径との差は8.0m以下でなければならない。
【0011】従って、最小曲率半径が最も小さな4.0mの場合、最大曲率半径は5.0〜12.0mの範囲内でなければならず、一方、最小曲率半径が最も大きな16.0mの場合、最大曲率半径は17.0〜24.0mの範囲内でなければならない。
【0012】なお、本発明は、左右双方のサイドカーブを対称にする必要はなく、それぞれのサイドカーブが上記した要件を満たすものであればよい。しかし、左右均等に曲がることができる上級者用等では、サイドカーブが長さ方向の中心線に対し、対称である形態が望ましい。
【0013】また、一般に、現実のターン時におけるスノーボードのたわみは、スノーボードの中央付近から前雪部、後雪部に向けて徐々に小さくなるものである。そこで、サイドカーブの曲率半径も最小曲率部から前雪部、後雪部に向けて徐々に大きくなる形態が望ましい。ここで、サイドカーブの曲率半径はスノーボードの幅を長さ方向に対して適宜に変更させることで任意に設定することができる。そして、本発明を実施するために必要なスノーボードの幅には特に制限はない。しかし、あまりに幅が小さくては強度が不足し、一方あまりに幅が大きくては操作性が損なわれる。そこで、スノーボードの幅は100mm以上500mm以下の範囲内であることが望ましい。
【0014】次に、最小曲率半径は、4.0〜16.0mの範囲内で、目的とするターン弧に合わせて設定するものであり、スノーボードの長さは滑走する速さによって決められるものである。そして、GS用スノーボードでは、一般に高速でかつ大きなターンを行う。そこで、GS用のスノーボードとしては、高速滑走時の安定性を高めるために、1650〜2000mmの長さが適しており、更に、大きなターン弧に適したサイドカーブとするため最小曲率半径は8.0〜16.0mの範囲内が適している。また、スノーボードが長い場合、一定のたわみに対するサイドカーブの変化率は、長さが短いスノーボードより小さい。そこで、最小曲率半径と最大曲率半径との差は2.0m以上あることが望ましい。次にSL用スノーボードは、上記したGS用スノーボードよりも低速で滑走するために、その長さは1500〜1650mmの長さが適しており、更に、GS用より小さなターン弧に適したサイドカーブとするため最小曲率半径は6.0〜14.0mの範囲内が適している。また、本形態は、スノーボードの長さが上記した形態より短いため、たわみに対するサイドカーブの変化率は上記した形態より大きい。そこで、最小曲率半径と最大曲率半径との差は1.5m〜7.0mの範囲内であることが望ましい。また、初級者用スノーボードは、SL用より更に低速で滑走するためにその長さは1000〜1500mmの長さが適しており、更に、SL用より小さなターン弧に適したサイドカーブとするため最小曲率半径は4.0〜12.0mの範囲内が適している。また、スノーボードの長さが更に短いため、たわみに対するサイドカーブの変化率は上記した形態より更に大きい。そこで、最小曲率半径と最大曲率半径との差は1.0〜6.0mであることが望ましい。
【0015】また、スノーボードの幅は滑走時の安定性と操作性を考慮して決められるものであり、GS用としては前雪部は230〜240mm、後雪部は230〜240mm、最小幅部が185〜195mmの範囲内であるものが適しており、SL用としては前雪部が235〜250mm、後雪部が230〜245mm、最小幅部が185〜200mmの範囲内であるものが適している。更に、初級者としては前雪部が240〜270mm、後雪部が240〜270mm、最小幅部が190〜220mmの範囲内のものが適している。ここで、最小幅部とは滑走部内で最も幅が狭くなる部位を意味し、必ずしも最小曲率部と一致するものではない。なお、本発明のスノーボードは、二つの下部の稜部のなすサイドカーブを変化させることにより実現可能であり、スノーボードの上面の形状や二つの側面の角度等には影響されない。
【0016】また、本発明の実施に用いられる素材としては、特に制限がなく、通常スノーボードに用いられているFRP,CFRP, チタニュウム、アルミニュウム、鉄、プラスチック、木、ポリウレタンなどを用いて実施が可能であり、更に、滑走部材にはポリエチレンなどを用いて実施が可能である。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を、図面に基づき説明する。図1は発明品のスノーボードの平面図であり、図2はスノーボードの中央部の断面図である。また、図3は発明品の滑走部の幅を表したものである。図4は、非荷重時における発明品と従来品とのサイドカーブの曲率半径を表した図である。図5はターン時の発明品のサイドカーブの曲率半径を表した図である。
【0018】本発明のスノーボード1は、図2に示すように、上面6、側面3、底面4からなるスノーボードで、前記二つの側面3と底面4とが交わって形成する二つの稜部5の平面形状であるサイドカーブ2を、前雪部8から、後雪点7まで長さ方向に応じ変化させたものである。そして、本実施例はSL用のスノーボードであり、その長さ9を1600mm、幅を図3に示す幅とした。そして、その結果得られるB〜L部における曲率半径を図4に示す。なお、本実施例では、中心線14に対し左右対称のサイドカーブ2とした。ここで、曲率半径は、中心となる点とその隣接する点の三点から求められるものである。例えば、G部における曲率半径はF部とG部とH部とから、また、D部における曲率半径はC部とD部とE部から求められるものである。従って、前雪部であるA部と後雪部であるM部の曲率半径を求めることはできない。
【0019】図4より、G部の曲率半径がもっとも小さく、最小曲率部10がD−H部間にあることがわかる。そして、最小曲率半径11は約8.5mである。また、最大曲率半径12はB点における10.8mであり、最小曲率半径との差は2.3mである。従って、請求項1に記載された要件を満たすものである。更に、スノーボード1の長さ9は1600mmであり、最小曲率半径11は8.5mであり、最小曲率半径11と最大曲率半径12との差も2.3mであることから、請求項3記載の要件をも満たすものである。更に、図4より、各部における曲率半径は最小曲率部10であるG部から前雪部8、後雪部7に向けて徐々に大きくなっていることがわかる。
【0020】次に、実施例である発明品のスノーボード1において、現実のターン時の曲率半径を測定する。その結果を図5に示す。図5より、発明品の曲率半径は、ターン時において約8.0mで均一となることがわかった。更に、10名のスノーボーダーによる発明品と従来品との滑走テストの結果を表1に示す【0021】表1【0022】表1より、発明品の方が、従来品に比べてスノーボードの横ずれが小さいと感じる人数が多く、更に、早く滑れるとの感想も多かった。よって、発明品の優位性が証明された。
【0023】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載のスノーボードにより、現実の滑走時のサイドカーブを均一な円弧とすることが可能となる。その結果、理想のターン弧に近似したエッジ曲線を描いて滑走できるので、ターン弧からのずれが少なく、タイムロスの少ないスノーボードとなる。次に、請求項2記載のスノーボードにより、高速に滑走する場合であって、大きなターンを描く場合に、ズレの少ないスノーボードとなる。次に、請求項3記載のスノーボードにより、中速に滑走する場合であって、中型の大きさのターンを描く場合に、ズレの少ないスノーボードとなる。次に、請求項4記載のスノーボードにより、低速に滑走する場合であって、小さなターンを描く場合に、ズレの少ないスノーボードとなる。次に、請求項5記載のスノーボードにより、左右のターンを均等にすることができるスノーボードとなる。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−89991
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−270473