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【発明の名称】 屋内型スキー場の冷却装置
【発明者】 【氏名】冨岡 正裕

【氏名】入江 隆之

【氏名】緒方 潤司

【氏名】角谷 修二

【要約】 【課題】屋内型スキー場の冷却装置において、過剰な冷却をすることなく人工雪の雪質を良好に維持可能とする。

【解決手段】建屋11内部のスロープに所定厚の人工雪14aを散布して人工降雪14を有するゲレンデ面12を形成し、この建屋11の側壁11bに、人工雪14aの表面高さ近傍に位置して建屋11の内部に冷気を吹き出す冷気孔17を形成すると共に、この冷気孔17のすぐ上方に人工降雪14の表面を冷却して温度上昇した冷気を建屋11の外部に排出する排気孔18を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建屋内部のスロープに所定厚の人工雪が散布されてゲレンデ面が形成された屋内型スキー場において、前記建屋の側壁に、前記人工雪の表面高さ近傍に位置して前記建屋内部に冷気を吹き出す冷気孔が形成されたことを特徴とする屋内型スキー場の冷却装置。
【請求項2】 前記請求項1記載の屋内型スキー場の冷却装置において、前記建屋の側壁に、前記冷気孔よりも上方に位置して排気孔が形成されたことを特徴とする屋内型スキー場の冷却装置。
【請求項3】 前記請求項2記載の屋内型スキー場の冷却装置において、前記建屋内部は、前記人工雪の表面から所定高さ範囲の低温領域と、この低温領域より上方の常温領域とを有しており、該低温領域に前記冷気孔と排気孔が形成されたことを特徴とする屋内型スキー場の冷却装置。
【請求項4】 前記請求項1記載の屋内型スキー場の冷却装置において、前記冷気孔は、人工雪の表面に沿って長いスリット形状をなしていることを特徴とする屋内型スキー場の冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建屋内部にゲレンデ面が形成された屋内型スキー場の冷却装置に関し、特に、ゲレンデ面の雪質維持のための冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レジャー産業の発達と多様化の趨勢により、自然環境の影響を受けることなく快適な環境でスキーができることが要望されている。この要望を満たすため、屋内型スキー場が建設されており、都市やその近郊のみでなく、悪天候時でもスキーができるように自然スキー場にも付設されるようになってきている。
【0003】図5に従来の屋内型スキー場の建屋内部を表す側方概略、図6に従来の屋内型スキー場の建屋内部を表す前方概略を示す。
【0004】従来の屋内型スキー場において、図5及び図6に示すように、建屋1の内部にはスロープとなっているゲレンデ面2が形成されている。そして、この建屋1の天井1aの付近には、建屋1の内部に冷気を吹き出す多数の冷気孔3と、建屋1の内部に水を噴射するスプレノズル4が設置されている。この冷気孔3には冷凍機5から冷気が供給され、スプレノズル4には給水機(図示省略)から水が供給されるようになっている。
【0005】従って、人口降雪をする際には、冷凍機5から各冷気孔3に冷気を送って、この冷気孔3から、約−10〜−15℃の冷気を吹き出させる。同時に、各スプレノズル4に水を供給して、このスプレノズル4から水を噴霧する。このようにすると、霧状の水と冷却された空気との間で熱交換が行われ、霧状の水は人工雪となってゲレンデ面2に降りそそぐ。このような状態を一定時間継続すると、ゲレンデ面2には雪が堆積して、人工降雪6が形成される。
【0006】そして、一定厚さの人工降雪6が形成されたら、各スプレノズル4への水の供給は停止し、人工雪の生成・降雪を中止する。このため、スキーを楽しむ人は、雪が降っていない状態において、良好な雪厚の人工降雪6の表面でスキーをすることができる。
【0007】一方、各冷気孔3からは常時冷気を吹き出しており、スプレノズル4から水を噴霧して人工雪を降雪させていないときであっても、この冷却空気によって建屋1の内部全体を約−2〜−5℃付近にまで冷却しており、人工降雪6の雪質を良好に維持することができる。即ち、人工降雪6の雪質を良好に維持するためには、人工降雪6の雪表面の温度を予め設定した温度(例えば2℃)以下に保持する必要があり、例えば、雪表面温度を2℃以下に保持するために、冷気を継続して吹き出して、建屋1の内部全体の空気温度を約−2〜−5℃付近にまで冷却している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の屋内型スキー場にあっては、ゲレンデ面2の人工降雪6の雪質を良好に維持するために、建屋1の天井1a付近に形成された多数の冷気孔3から、建屋1の内部全体に冷却空気を供給して−2〜−5℃付近まで冷却していた。そのため、空気を冷却するために極めて大きな能力を有する冷凍機5が必要となり、それだけコストアップになっていた。また、冷凍機5が大型となることで広い設置場所も必要であった。
【0009】更に、人工降雪6の雪質を良好に維持するためには、この人工降雪6の雪表面付近の温度を、一定温度(例えば2℃)以下にするだけで十分ではあるが、各スプレノズル4から水を噴霧して熱交換を行って人工雪をゲレンデ面2に降雪する必要から、建屋1の内部全体を冷却している。そのため、無駄が多く、冷凍運転をするために要するランニングコストが嵩んでいた。
【0010】そして、建屋1の内部全体を、上方に形成された冷気孔3からの冷気によって冷却しているため、人工降雪6の雪表面から離れた上方位置(例えば、スキーをする人の顔の部分)の空気も零下の温度で利用客や従業員などの長時間の滞在が困難であり、必ずしも快適とはいえなかった。
【0011】本発明はこのような問題を解決するものであって、過剰な冷却をすることなく人工雪の雪質を良好に維持することのできる屋内型スキー場の冷却装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための請求項1の発明の屋内型スキー場の冷却装置は、建屋内部のスロープに所定厚の人工雪が散布されてゲレンデ面が形成された屋内型スキー場において、前記建屋の側壁に、前記人工雪の表面高さ近傍に位置して前記建屋内部に冷気を吹き出す冷気孔が形成されたことを特徴とするものである。
【0013】また、請求項2の発明の屋内型スキー場の冷却装置は、前記建屋の側壁に、前記冷気孔よりも上方に位置して排気孔が形成されたことを特徴とするものである。
【0014】また、請求項3の発明の屋内型スキー場の冷却装置は、前記建屋内部は、前記人工雪の表面から所定高さ範囲の低温領域と、この低温領域より上方の常温領域とを有しており、該低温領域に前記冷気孔と排気孔が形成されたことを特徴とするものである。
【0015】また、請求項4の発明の屋内型スキー場の冷却装置は、建屋内部は、前記人工雪の表面から所定高さ範囲の低温領域と、この低温領域より上方の常温領域とを有しており、該低温領域に前記冷気孔と排気孔が形成されたことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】図1に本発明の第1実施形態に係る屋内型スキー場の冷却装置を表す建屋内部を表す側方概略、図2に本実施形態の屋内型スキー場の建屋内部を表す前方概略を示す。
【0018】本実施形態の屋内型スキー場において、図1及び図2に示すように、建屋11の内部は下面がスロープとなっており、このスロープに所定厚の人工雪が散布されてゲレンデ面12が形成されている。
【0019】この屋内型スキー場では、造雪機13によって人工雪14aを製造して、製造した人工雪14aを一旦保管庫15に保管している。そして、保管庫15に保管している人工雪14aを、雪搬送装置16によりゲレンデ面12まで搬送(空気搬送等)して、ゲレンデ面12上に人工降雪14を形成するようにしている。スキーをするのに好適な所定厚の人工降雪14が形成されたら、ゲレンデ面12への人工雪14aの搬送・供給を停止する。
【0020】一方、建屋11の側壁11bには、建屋11の内部に冷気を吹き出す多数の冷気孔17と、建屋11の内部に空気を排出する排気孔18が形成されている。このうち、各冷気孔17は、その高さ位置が、所定厚(スキーをするのに好適な厚さ)の人工降雪14の表面高さ近傍に位置するように配置されている。また、各排気孔18は、その高さ位置が、冷気孔17の高さ位置よりも上方位置に位置するように配置されている。そして、冷気孔17及び排気孔18は、人工降雪14の表面に沿って長いスリット形状となっている。
【0021】冷凍機19は、人工降雪14の雪質を良好に維持できる程度の必要温度(15℃以下には至らない、例えば、利用客数に応じた雪面上を−5〜0℃の温度)に冷却されている冷気を複数の冷気孔17に供給する。この冷気は、各冷気孔17から人工降雪14の雪表面に向かって供給される。このため、人工降雪14の表面は、冷気孔17から供給される冷気により冷やされ、融雪することがなく、冷気によりその雪質が良好に維持され、また、必要空気量も少なくなる。
【0022】そして、人工降雪14の表面に向けて供給された冷気は、周囲(人工降雪14など)を冷やして熱交換して温度上昇する。この温度上昇した冷気(空気)は、人工降雪14の表面から離れて上方に(上昇気流となって)上昇していき、各排気孔18から建屋11の外部に排出される。よって、排気孔18よりも下方の空間のみが冷気により冷却され、建屋11内部の空気の温度は、下方で冷たく上方で温かくなる、所謂、温度成層化状態となって、良好な冷却が行われることになる。
【0023】従って、本実施形態の屋内型スキー場の冷却装置にあっては、建屋11の内部全体を過冷却することなく、人工降雪14の雪質を良好に維持するに十分な冷却を効果的に行うことができる。しかも、冷凍機19から供給する冷気の温度は、0℃以下ではあるが、−15℃以下には至らない程度の温度であり、しかも、冷却対象を建屋11の全体ではなく人工降雪14の表面に絞っているために必要とする空気量を少なく、冷凍機19としては、冷凍容量の小さい機種を採用することができる。これに伴い、冷凍機19のランニングコストを低減できると共に、冷凍機19の設置スペースを削減することができる。
【0024】また、冷気孔17から人工降雪14の表面に向かって冷気を供給するようにしているため、人工降雪14の雪表面から離れた上方位置(例えば、スキーをする人の顔の部分)の空気は、極端に冷たいことはなく、スキーをする人にとって快適な環境となる。更に、冷気孔17は人工降雪14の表面に沿って長いスリット形状となっているため、冷気を人工降雪14の表面に沿ってまんべんなく供給することができ、例えば、筒状の冷気孔に比べて、冷気孔17の外周辺の空気の巻き込み量を抑制して冷却効率が良くなる。
【0025】ここで、排気孔18を形成したことにより、冷却効率が向上したことを補足説明しておく。前述したように、本実施形態では、冷気孔17から供給される冷気は、当初、人工降雪14の雪表面に沿って流れるが、周囲との熱交換により温度上昇して上昇気流となり、雪表面から離れる。そして、雪表面から離れ上昇した冷気(空気)は排気孔18から建屋11の外部に排出される。
【0026】ところで、仮に、排気孔18が無い場合には、冷気は天井11aにまで達し、天井11aをも冷却してしまうことになる。
【0027】一般に、冷気による交換熱量Q〔Kcal /h〕は、次式により示される。
Q=A・α・ΔT但し、A:伝熱面積〔m2
α:熱伝達率〔Kcal /m2 ・h・℃〕
ΔT:温度差〔℃〕
【0028】排気孔18が無い場合には、この伝熱面積Aは、側壁11bの全面のみならず天井11aをも含めた面積であるのに対して、排気孔18が有る場合には、伝熱面積Aは排気孔18よりも下方に位置する側壁11bの面積となる。
【0029】かかる考察から判るように、排気孔18を設けると伝熱面積Aが減少して、熱交換量Qが減少するため、冷凍機19の冷凍能力が小さくてもすみ、熱効率が向上するのである。
【0030】なお、本実施形態では、ゲレンデ面12上に人工降雪14への入熱としては、前述した建屋11の内部の空気温度の他に、スキーによる人体発熱や滑走熱、天井11aからの輻射熱や照明輻射などがあり、冷気孔17から吹き出される冷気の温度はこのような入熱条件を考慮してキャンセルし、人工降雪14の表面を冷気によって確実に冷却して雪質が良好に維持するようにしている。
【0031】図3に本発明の第2実施形態に係る屋内型スキー場の冷却装置を表す建屋内部を表す側方概略、図4に本実施形態の屋内型スキー場の建屋内部を表す前方概略を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0032】本実施形態の屋内型スキー場は、より冷気空間を限定したものであって、図3及び図4に示すように、建屋11の内部にはスロープ状のゲレンデ面12が形成されている。この屋内型スキー場では、造雪機13によって人工雪14aを製造して保管庫15に保管し、雪搬送装置(雪搬送管)16により人工雪14aをゲレンデ面12へ圧送し、ゲレンデ面12上に人工降雪14を形成している。
【0033】一方、建屋11の側壁11bには、建屋11の内部に冷気を吹き出す多数の冷気孔17と、建屋11の内部に空気を排出する排気孔18とが複数上下に並んで形成されている。各冷気孔17は、その高さ位置が、所定厚(スキーをするのに好適な厚さ)の人工降雪14の表面高さ近傍に位置し、各排気孔18は、その高さ位置が、冷気孔17の高さ位置よりも若干上方位置に位置しており、この冷気孔17及び排気孔18は人工降雪14の表面に沿って長いスリット形状となっている。
【0034】各冷気孔17に連結された冷凍機19は、人工降雪14の雪質を良好に維持できる程度の温度(例えば、−5〜0℃の温度)に冷却に必要な冷気を供給することができ、各冷気孔17からこの冷気を人工降雪14の雪表面に向かって供給されることとなり、人工降雪14の表面はこの冷気によって冷やされ、融雪することはなく、その雪質が良好に維持される。
【0035】そして、人工降雪14の表面に向けて供給された冷気は、周囲(人工降雪14や空気)を冷やして熱交換して温度上昇し、冷気孔17のすぐ上にある排気孔18から建屋11の外部に排出される。よって、排気孔18から下方の空間のみが冷気により冷却されて低温領域Cとなり、この排気孔18よりも上方の空間が常温領域Hとなり、下方で冷たく上方で温かくなる、所謂、温度成層化状態が明瞭となって、良好な冷却が行われることになる。
【0036】従って、本実施形態の屋内型スキー場の冷却装置にあっては、建屋11の内部全体を冷却することなく、人工降雪14の表面近傍の低温領域Cのみ冷却することとなり、必要な空気量の低減と共に冷凍機19の能力を低減して、人工降雪14の雪質を良好に維持するに十分な冷却を効果的に行うことができる。また、低温領域Cのみ冷却しているため、人工降雪14の雪表面から離れた上方位置(例えば、スキーをする人の膝から上の部分)の空気は、常温となって快適にスキーを行うことができる。
【0037】なお、上述の各実施形態では、排気孔18を天井11aに近い位置に形成したり、冷気孔17のすぐ上の低温領域Cに形成したりしたが、その形成位置はこれらに限定されるものではなく、上下方向の位置を調整するようにして、冷気の厚さ(低温領域C:人工降雪14の雪表面から排気孔18までに存在する冷気の上下方向の高さ)をコントロールするようにしても良い。また、排気孔18をゲレンデ面12上部の端面に集約し、側壁部に設けずに冷気孔17から吹き出される冷気の量によって低温領域Cを維持するようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上、実施形態を挙げて詳細に説明したように請求項1の発明の屋内型スキー場の冷却装置によれば、建屋内部のスロープに所定厚の人工雪を散布してゲレンデ面を形成し、この建屋の側壁に、人工雪の表面高さ近傍に位置して建屋内部に冷気を吹き出す冷気孔を形成したので、冷気孔から建屋内部に供給された冷気によって人工降雪の表面が良好に冷却されることとなり、冷却対象を人工降雪の表面に絞っており、しかも、冷気の温度を人工降雪の雪質を良好に維持できる程度の温度にしていることと、必要空気量を低減することから、冷凍機等の冷凍能力を小さくでき、且つ、冷却効率を向上させることができ、併せて、冷凍機や冷却風の吹出源のランニングコストを低減することができると共に冷凍機の設置スペースを削減できる。
【0039】また、請求項2の発明の屋内型スキー場の冷却装置によれば、建屋の側壁に冷気孔よりも上方に位置して排気孔を形成したので、冷気孔から建屋内部に供給された冷気は人工降雪の表面を冷却するように、人工降雪や空気と熱交換されて温度上昇し、温まった冷気(空気)は上昇気流となって上方に昇り、排気孔から建屋の外部に排出されることとなり、人工降雪の表面のみを効率的に冷却することができ、且つ、人工降雪の雪質を良好に維持することができる。
【0040】また、請求項3の発明の屋内型スキー場の冷却装置によれば、建屋内部を、人工雪の表面から所定高さ範囲の低温領域と、この低温領域より上方の常温領域とし、この低温領域に冷気孔と排気孔を形成したので、建屋内部の空気のうち、排気孔よりも下方の空間のみを冷却する温度成層化を実現することができ、冷却効率を向上することができ、また、雪表面から離れた上方位置の温度が極端に低くなることはなく、スキーを快適な環境で行うことができる。
【0041】また、請求項4の発明の屋内型スキー場の冷却装置によれば、冷気孔を人工雪の表面に沿って長いスリット形状としたので、この冷気孔の外周辺の空気の巻き込み量を抑制して冷気を人工降雪の表面に沿ってまんべんなく供給することができ、冷却効率を向上することができる。。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
【公開番号】 特開平11−28267
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−240730