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【発明の名称】 運動用手袋
【発明者】 【氏名】尾形 浩志

【要約】 【課題】本発明は、主としてゴルフや野球といった打球具を用いる競技において着用される運動用の手袋に関するものであり、打球具のグリップを握る際に各指がどのように機能しているかに着目して設計された結果、しっかり握ることができる上、前記打球具のコントロールを司る指の伸縮性を高め、更に通気性にも富んだ運動用手袋の提供を課題とする。

【解決手段】本発明に係る運動用手袋は、天然皮革又は人工皮革からなる手袋(1)本体の手甲部(2)の第2中手骨頭部及び第3中手骨頭部を囲む領域に切欠部(4)を設け、該切欠部(4)を伸縮性に富む生地からなる伸縮片(3)で縫合したことを特徴とする運動用手袋である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天然皮革又は人工皮革からなる手袋本体の手甲部の第2中手骨頭部及び第3中手骨頭部を囲む領域に切欠部を設け、該切欠部を伸縮性に富む生地からなる伸縮片で縫合したことを特徴とする運動用手袋
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主としてゴルフや野球といった打球具を用いる競技において着用される運動用の手袋に関するものであり、打球具のグリップを握る際に各指がどのように機能しているかに着目して設計された結果、しっかり握ることができる上、前記打球具のコントロールを司る指の伸縮性を高め、更に通気性にも富んだ運動用手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より手袋は、各指の屈伸性を良好にするため、本体の甲部であって、特にナックルと呼ばれる中手骨頭部付近に伸縮性を有する生地を配したり、所謂波形や蛇腹状の部材を配する技術が開示されている。例えば、実公昭31−17251号には、甲部の一部に伸縮性を有するメリヤス生地製の甲布を縫着したスキー手袋が開示されている。また、実公平1−31252号には、甲部の小指、薬指、第3中手骨頭及び人差指の基部に伸縮布地を縫合したゴルフ手袋が開示されている。更に、実公昭55−51765号には、甲部に山部と谷部とを連続形成してなる波状部材を配した手袋が、実公平1−33605号には、甲面板における第2指乃至第5指の第一関節上に接する部位に、縦方向に伸縮し得る蛇腹状の縦方向伸縮自在構造を設けた作業用手袋が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記実公昭55−51765号や実公平1−33605号に記載された各手袋は、手甲部の第1関節部付近に波形や蛇腹状の伸縮部材が形成されているため、手甲部の屈曲性に関しては改善されているものの、形状的に複雑である上、手甲部のフィット性の欠けるといった問題があった。
【0004】そこで、図4に示すように、簡易な構造で手甲部のフィット性を向上させるために、手甲部に甲ゴムを縫着した手袋も開発されている。また、図5にその概要を示すように、前記実公昭31−17251号や実公平1−31252号に記載された各手袋は、前記波形や蛇腹状の伸縮部材を配したものに比較して、構造的に簡易であり伸縮部材を形成する素材自体に伸縮性があるため、手甲部の屈曲性にも優れたものであった。しかし、ただ単に手指を屈伸させるのみであれば、十分な伸縮性が得られていたが、運動用手袋にあっては課題の残るものであった。すなわち、ゴルフや野球のようにゴルフクラブやバットといった打球具を用いる運動においては、機能的な面では、各指の屈曲性と防滑性が求められることはもちろん、微妙な指の力の入れ具合を打球具のグリップに伝えることのできる「コントロール性」や、グリップを握った時の「しっかり感」といった感覚的な面でのフィット感が重要視される。したがって、運動用手袋においては、打球具を保持する役割を担う指と、打球具をコントロールする役割を担う指とに分け、前者には握った時にしっかりとした握り心地が得られ、後者には微妙な力の入れ具合を阻害しない伸縮性が得られる機能的なものが望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る運動用手袋は、その設計において各指それぞれの役割を研究し、打球具を保持する役割を担う指として第4指(薬指)及び第5指(小指)、打球具をコントロールする役割を担う指として第2指(人差し指)及び第3指(中指)とに分け、前者には握った時にしっかりとした握り心地が得られ、後者には微妙な力の入れ具合を阻害しない伸縮性が得られる機能的な運動用手袋である。
【0006】具体的には、本発明に係る運動用手袋は、天然皮革又は人工皮革からなる手袋本体の甲部の第2中手骨頭部及び第3中手骨頭部を囲む領域に切欠部を設け、該切欠部を伸縮性に富む生地からなる伸縮片で縫合したことを特徴とする運動用手袋である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る運動用手袋は、以下のように実施される。すなわち、本発明に係る運動用手袋は、主にゴルフ用手袋や野球のバッティング用手袋といった、素手に直接密着するように着用される運動用手袋である。本発明に係る運動用手袋は、牛革、豚革、羊革、鹿革等の天然皮革、又はナイロン等の不織布にポリウレタンやポリ塩化ビニル等の合成樹脂膜を被覆した、あるいはスウェード調に表面加工をした人工皮革を用いて手袋本体が形成される。
【0008】本運動用手袋の構造は、上記素材を用いて以下のように形成される。手甲部の第2中手骨頭部及び第3中手骨頭部を囲む領域に切欠部を設け、該切欠部を伸縮性に富む生地からなる伸縮片で縫合する。該手甲部を各指袋及び手掌部と縫合一体化した構造であって、該手甲部の手首部から甲部中央付近に切り込みを設け、更にこの切り込みを掛け渡すようにフラップを設ける。該フラップの裏面には面ファスナーの片面が止着され、手甲部の対応する領域に前記面ファスナーのもう片面が止着されており、本運動用手袋に挿入した手の手首部を緊締できる構造を有する。
【0009】前記伸縮片は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等からなる編地もしくは織地であって、少なくとも縦方向と横方向の二方向に伸縮性に富む生地からなる。これら二方向の伸縮性のうち一方を手甲部の長手方向に合わせ、他方を幅方向に合わせて縫合することが望ましい。このように縫合することにより、第2指と第3指の屈曲性を良好に保つことができるとともに、手甲部の幅方向に適度な締めつけ感を与えることができる。
【0010】この際、伸縮片の伸縮性を強くすれば手甲部全体のフィット性は向上するが、第2指と第3指との屈曲性はやや低下する。したがって、伸縮片の伸縮性を弱めに設定し、第2指と第3指の屈曲性を高めて微妙なコントロール性を確保するとともに、手甲部に甲ゴムを配して手甲部全体のフィット性を向上させることが好ましい。
【0011】
【実施例】本発明に係る運動用手袋の一実施例を図面を用いて説明する。第1図は、本発明に係る運動用手袋の斜視図である。第2図は、人の左手を甲側から見た骨格を示す図である。第3図は、本発明に係る運動用手袋を着用した状態を示す図である。第4図及び第5図は、従来の運動用手袋の斜視図である。
【0012】第1図又は第3図に示すように、本実施例に係る運動用手袋はゴルフ用の手袋であって、ゴルフ競技中に、ゴルフクラブの滑り止め、掌の保護等の目的で着用されるものである。ゴルフ競技においては、ゴルフクラブをスイングしてゴルフボールを打球する際、ボールの飛距離と方向性が重要視される。したがって、飛距離を伸ばすためには、早いスイングによって強く打球する必要があり、又、安定した方向性を得るためには、ボールをインパクトする際にゴルフクラブのフェース面を正確にボールに当てる必要がある。そのため、ゴルフ用手袋に要求される特性は、ゴルフグリップとの関係で優れた防滑性を有すると共に、スイング中にグリップを介してゴルフクラブをコントールしやすいことである。そこで、ゴルファーがスイングする際の各指の働きを分析し、それぞれの指の機能を解明したうえで、ゴルフスイングに最適な構造を有するゴルフ手袋の設計を行った。
【0013】その結果、ゴルファーは左手の第4指(薬指)と第5指(小指)とでグリップをしっかりと握持しており、第2指(人差し指)と第3指(中指)はグリップに添える程度に握持していて、スイング中にクラブをコントロールしていることがわかった。そこで、本実施例に係るゴルフ用手袋は、以下のように形成される。即ち、図1及び図2に示すように、運動用手袋(1)の手甲部(2)の第2中手骨頭部(X)及び第3中手骨頭部(Y)を囲む領域に切欠部(4)を設け、該切欠部(4)を伸縮性に富む生地からなる伸縮片(3)で縫合する。本実施例に係る運動用手袋は、該手甲部を各指袋及び手掌部と縫合一体化した構造であって、該手甲部の手首部から手甲部中央付近に切り込み(5)を設け、更に、この切り込みを掛け渡すようにフラップ(6)を設け、該フラップ(6)の裏面には面ファスナーの雌型が縫着され、手甲部側には面ファスナーの雄型が縫着される。
【0014】更に、手甲部のフィット性を向上させるために、手甲部に適宜甲ゴム(7)を配することも可能である。本実施例においては、図1に示すように手甲部のほぼ中央部より外側へ向けて、手甲部を横切るように甲ゴム(7)を縫着し、同じく前記フラップ(6)の取り付け部より外側へ向けて、手甲部を横切るように甲ゴム(7)を縫着した。これにより、第2指及び第3指の屈曲性を阻害することなく手甲部全体のフィット性を向上させることができる。
【0015】本実施例に係る運動用手袋に用いた材質は、スウェード調の人工皮革を用いたが、特にこの素材に限定されるものではなく、牛革、豚革、羊革、鹿革等の天然皮革、又はナイロン等の不織布にポリウレタンやポリ塩化ビニル等の合成樹脂膜を被覆した人工皮革等のように比較的薄手で、手指への添いが良く防滑性に富んだ素材から適宜選択できるものである。
【0016】本実施例に係る伸縮片(3)は、ポリウレタン糸を用いた2WAYトリコット編地であって、縦方向と横方向の二方向の伸縮性に優れた生地である。この生地を前記手袋の手甲部に設けた切欠部を塞ぐように縫合する。この際、二方向の伸縮性のうち一方を手甲部の長手方向に合わせ、他方を幅方向に合わせて縫合する。このように縫合することにより、第2指と第3指の屈曲性を良好に保つことができるとともに、手甲部の幅方向に適度な締めつけ感を与えることができる。
【0017】この際、伸縮片の伸縮性を強くすれば手甲部全体のフィット性は向上するが、第2指と第3指との屈曲性はやや低下する。したがって、伸縮片の伸縮性を弱めに設定し第2指、と第3指の屈曲性を高めて微妙なコントロール性を確保するとともに、手甲部に甲ゴムを配して手甲部全体のフィット性を向上させることが好ましい。
【0018】また、伸縮片を形成する生地に通気性を有する生地を用いた場合、手袋内の湿度を下げ、手袋内のべたつきを軽減できすることができる。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る運動用手袋は、以下の効果を奏する。即ち、本発明に係る運動用手袋は以上のように構成されるため、主としてゴルフや野球といった打球具を用いる競技において着用された場合、打球具のグリップ部を握持する第4指、第5指は頼りなさを感じることなくしっかりと握ることができる上、前記打球具のコントロールを司る第2指及び第3指の屈曲性は格段に向上し、打球具の微妙なコントルールをも可能にする。更に、通気性にも富み、快適な着用感を有する運動用手袋を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−178973
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−364115