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【発明の名称】 ゴルフクラブヘッドの製造方法
【発明者】 【氏名】山口 登士也

【氏名】保科 栄介

【氏名】高橋 和彦

【要約】 【課題】焼結後にピースを接合させる際に接合不良が発生しないようにして、製品不良の発生を減少させる。

【解決手段】本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、少なくとも二つに分割されたピース13,14を接合させてゴルフクラブヘッド12を製造する方法において、金属粉末を型内に充填して加圧し、ピース13,14とほぼ等しい形状の圧粉体13,14を成形し、圧粉体13,14をゴルフクラブヘッド12の形状に組み合わせ、それらを焼結することによりピース13,14を得ることを特徴とする。このため、前側の圧粉体13の接合面13tと後側の圧粉体14の接合面14tとは互いに面接触し、焼結温度分布もほぼ等しい状態で焼結される。このため、焼結時における両接合面13t,14tの収縮率がほぼ等しくなり、焼結後、各ピース13,14を接合する際に接合不良が発生し難くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも二つに分割された各ピースを接合させてゴルフクラブヘッドを製造する方法において、金属粉末を型内に充填して加圧し、前記ピースとほぼ等しい形状の圧粉体を成形し、前記圧粉体をゴルフクラブヘッドの形状に組み合わせ、それらを焼結することにより前記各ピースを得ることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載されたゴルフクラブヘッドの製造方法において、フェース面を含むピースのフェース面側が重力方向で下側になるように各ピースを組み合わせて載置し、それらを焼結することにより前記各ピースを得ることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載されたゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記各ピースは少なくともホーゼル部を境にしてフェース面を含むピースとその他のピースの二つに分割されたものであり、フェース面側が重力方向で下側になるように前記各圧粉体を組み合わせるとともに、圧粉体と反応しにくい材料で作成された粒体の集合層内にホーゼル部まで埋めて焼結を行うことにより、前記各ピースを得ることを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも二つに分割された各ピースを接合させてゴルフクラブヘッドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のゴルフクラブヘッド製造方法として、ゴルフヘッドを構成する複数のピースを鋳造法や鍛造法を用いてそれぞれ別々に製造し、各ピースを組み合わせて溶接や接着剤によって一体に形成するというものが知られている。また、ゴルフクラブヘッドの製造以外には金属粉末を圧縮して圧粉体を成形し、圧粉体を所定の温度雰囲気下で焼結して金属焼結体を得る焼結法が良く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ゴルフクラブヘッドを構成する複数のピースを焼結法を用いて製造し、それらを組み合わせて接合することによりゴルフクラブヘッドを製造する場合には、各ピースを個別に焼結するため、各圧粉体の焼結時の収縮率が異なることに起因した接合面ずれが、焼結されたピースの組み合わせ時に発生する可能性がある。このため、各ピースの接合不良に起因した製造不良が発生するという問題がある。そこで、請求項1に記載された発明は焼結時に各ピースが接合面ずれを起こさないようにほぼ同じ収縮率で収縮するようにして、各ピースの接合不良に起因した製品不良を低減することをその目的とするものである。また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明の目的に加え、焼結時の圧粉体の姿勢変化及び圧粉体の自重による歪みを抑制することを目的とするものである。さらに、請求項3に記載された発明は、請求項1及び請求項2に記載された発明の目的に加えて、圧粉体に対して重量に起因した反力がほぼ均等に加わるようにし、焼結時にその圧粉体がほぼ均等に収縮するようにすることその目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、以下の特徴を有するゴルフクラブヘッドの製造方法によって解決される。即ち、請求項1に記載の発明は、少なくとも二つに分割された各ピースを接合させてゴルフクラブヘッドを製造する方法において、金属粉末を型内に充填して加圧し、前記ピースとほぼ等しい形状の圧粉体を成形し、前記圧粉体をゴルフクラブヘッドの形状に組み合わせ、それらを焼結することにより前記各ピースを得ることを特徴とする。
【0005】本発明によると、圧粉体をゴルフクラブヘッドの形状に組み合わせるため、それぞれの圧粉体の接合面が互いに面接触し、焼結温度分布もほぼ等しい状態で焼結される。このため、焼結時におけるそれぞれの接合面の収縮率がはぼ等しくなり、焼結後に各ピースを接合する際に接合不良が発生し難くなる。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたゴルフクラブヘッドの製造方法において、フェース面を含むピースのフェース面側が重力方向で下側になるように各ピースを組み合わせて載置し、それらを焼結することにより前記各ピースを得ることを特徴とする。本発明によると、フェース面側を載置面とすることで焼結時に収縮が発生しても姿勢変化を生じ難く、安定した収縮をさせることができる。また、いわゆるバックフェース側が逆カップ状になるため自重による焼結歪みを抑制できる。
【0007】また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載されたゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記各ピースは少なくともホーゼル部を境にしてフェース面を含むピースとその他のピースの二つに分割されたものであり、フェース面側が重力方向で下側になるように前記各圧粉体を組み合わせるとともに、圧粉体と反応しにくい材料で作成された粒体の集合層内にホーゼル部まで埋めて焼結を行うことにより、前記各ピースを得ることを特徴とする。本発明によると、下側に位置する圧粉体は、自重や他の圧粉体の重量に起因した反力を周囲の粒体から均等に受ける。このため、圧粉体は焼結時にほぼ均等に縮むようになる。また、ホーゼル部も粒体に支持されるため、そのホーゼル部が自重で曲がることも抑制される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図1に基づいて本発明の一の実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの製造方法の説明を行う。本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド12は、凹部を有する薄肉のフェース面側ピース13とバックフェース面側ピース14とがホーゼル部13h,14hの位置で接合されることにより、中空に製造される。
【0009】フェース面側ピース13とバックフェース面側ピース14とは、次の手順に従って製造される。先ず、金型とゴム型とにより構成される第1の成形型(図示されていない)内に焼結材料である金属粉末を充填し、その第1の成形型を周囲から均等に約4ton/cm2で加圧することにより、最終的にフェース面側ピース13とほぼ等しい形状となるフェース面側圧粉体13を製造する。同様に、第2の成形型を使用して、バックフェース面側ピース14とほぼ等しい形状となるバックフェース面側圧粉体14を製造する。ここで、前記金属粉末としてはチタン粉末とアルミバナジウム粉末との混合物が使用される。
【0010】このようにして製造されたフェース面側圧粉体13とバックフェース面側圧粉体14とはゴルフクラブヘッド12の形状に組み合わされる。即ち、フェース面側圧粉体13の接合面13tとバックフェース面側圧粉体14の接合面14tととが合わせられる。そして、図1に示されるように、フェース面側圧粉体13を下側にした状態で、焼結炉(図示されていない)内に設けられたビーズ19の集合層にホーゼル部13hの位置まで埋められる。ここで、前記ビーズ19としては、直径約 3mmのセラミックス球が使用される。即ち、前記ビーズ19が本発明の粒体に相当する。
【0011】このようにして、フェース面側圧粉体13とバックフェース面側圧粉体14とが焼結炉内にセットされると、焼結炉内が10-5Torr程度に減圧され、さらに、炉内温度が1300K 以上に保持されて約4 時間、フェース面側圧粉体13とバックフェース面側圧粉体14の焼結が行われる。そして、フェース面側圧粉体13とバックフェース面側圧粉体14の焼結が完了した時点でフェース面側ピース13及びバックフェース面側ピース14が得られる。
【0012】前述のように製作されたフェース面側ピース13とバックフェース面側ピース14とは接合面13t,14tの位置でろう付けされ、さらに、表面を機械加工され、仕上げ磨きがされた後、塗装が行われる。これでゴルフクラブヘッド12が完成し、その完成したゴルフクラブヘッド12にシャフト(図示されていない)が組付けられることにより、ゴルフクラブが完成する。
【0013】このように、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの製造方法によると、焼結時にフェース面側圧粉体13とバックフェース面側圧粉体14とをゴルフクラブヘッド12の形状に組み合わせている。さらにフェース面側圧粉体13が下側になるように前記圧粉体を重ねている。このため、焼結収縮により姿勢が変化し難く、またバックフェース面側が逆カップ状となり、自重による焼結歪みを抑制できる。即ち、両圧粉体13,14の接合面13t、14tが互いに面接触し、焼結温度分布がほぼ等しい状態で焼結されるため、焼結時における両接合面13t,14tの収縮条件がほぼ等しくなり、焼結後にピース13,14をその接合面13t,14tにおいて接合させる際に接合不良が発生し難くなる。したがって、接合不良に起因した製品不良が大幅に減少する。
【0014】また、フェース面側圧粉体13をほぼホーゼル部13hの位置までビーズ19に埋めて焼結を行うため、そのフェース面側圧粉体13は自重やバックフェース面側圧粉体14の重量に起因した反力を周囲のビーズ19から均等に受ける。したがって、焼結時にフェース面側圧粉体13はほぼ均等に縮むようになる。また、ホーゼル部13h,14hもビーズ19に支持されるため、自重で曲がるようなことはない。このため、製品不良が発生し難くなる。ここで、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッドの製造方法によると、両ピース13,14の接合面13t,14tの位置ずれを0.2mm 以下に抑えることができる。なお、本実施の形態においては、フェース面側圧粉体13をセラミックス製のビーズ19に埋めた状態で焼結する例を示したが、セラミックスの粉末であっても可能であることは言うまでもない。
【0015】以上、本発明の実施の形態について説明したが、この本発明の実施の形態には請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような技術的事項を有するものであることを付記しておく。
(1)請求項1に記載されたゴルフクラブヘッドの製造方法において、圧粉体と反応しない材料の粉体に、前記圧粉体をほぼホーゼル部の位置まで埋めて焼結を行うことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。粒体の場合とほぼ同じ作用、効果が得られる。
【0016】
【発明の効果】本発明によると、焼結時に互いの圧粉体が接合面においてほぼ同じ収縮率で縮むため、焼結後にピースを接合させる際に接合不良が発生し難くなり、製品不良が大幅に減少する。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外3名)
【公開番号】 特開平11−9733
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−162918