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【発明の名称】 少なくとも3枚の層を有するカバーを備えたゴルフボール
【発明者】 【氏名】マイクル、ジェイ、サリヴァン

【要約】 【課題】多層カバーを有するゴルフボールを得る。

【解決手段】ゴルフボールは、芯と、内側カバー層と、中間カバー層と、外側カバー層とを有し、各カバー層が、それぞれの隣接するカバー層とは異なる硬さを有する。内側カバー層、中間カバー層および外側カバー層の厚さの合計は約0.12〜1.27cm(0.05〜0.50インチ)である。また、ゴルフボールを製造する方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 充実または巻いた芯と、芯の周囲に形成された内側カバー層と、内側カバー層の周囲に形成された中間カバー層と、中間カバー層の周囲に形成された外側カバー層とを含み、各カバー層が、それぞれの隣接するカバー層とは異なるショアーD硬さを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】 中間カバー層が内側および外側のカバー層のいずれよりも少なくとも3ショアーDポイント軟らかい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】 中間カバー層が内側および外側のカバー層のいずれよりも少なくとも3ショアーDポイント硬い請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】 中間カバー層が、外側カバー層よりも少なくとも3ショアーDポイント硬く、内側カバー層よりも少なくとも3ショアーDポイント軟らかい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】 中間カバー層が、外側カバー層よりも少なくとも3ショアーDポイント軟らかく、内側カバー層よりも少なくとも3ショアーDポイント硬い請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】 内側、中間および外側の各カバー層が厚さ約0.02〜0.50cm(0.01〜0.20インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】 内側、中間および外側の各カバー層が厚さ約0.063〜0.38cm(0.025〜0.15インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】 カバー層の少なくとも一つが厚さ約0.101〜0.25cm(0.040〜0.10インチ)である請求項6記載のゴルフボール。
【請求項9】 内側カバー層が熱可塑性材料を含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】 中間カバー層が熱可塑性材料を含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】 外側カバー層がイオノマーを含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】 外側カバー層がイオノマーを含む請求項9記載のゴルフボール。
【請求項13】 内側カバー層が第一の樹脂組成物から形成され、内側カバー層がさらに、第一の樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも1重量部の充填剤を含有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】 中間カバー層が第二の樹脂組成物から形成され、中間カバー層がさらに、第二の樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも1重量部の充填剤を含有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項15】 充填剤が、沈降水化シリカ、粘土、タルク、アスベスト、ガラス、アラミド繊維、雲母、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、炭化ケイ素、ケイ酸塩、ケイ藻土、炭酸塩、金属、合金、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒状炭素系物質、コットンフロック、セルロースフロック、皮繊維、マイクロバルーンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項13記載のゴルフボール。
【請求項16】 外側カバー層の周囲に形成された上塗り層をさらに含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項17】 外側カバー層と上塗り層との間に形成された下塗り層をさらに含む請求項16記載のゴルフボール。
【請求項18】 芯が充実の芯である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項19】 内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方が非イオノマーポリオレフィン材料を含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項20】 非イオノマーポリオレフィン材料が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム強化オレフィンポリマー、イオノマーコポリマーの一部にならない酸コポリマー、プラストマー、フレキソマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー、動的に加硫したエラストマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチルおよびポリ塩化ビニル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む請求項19記載のゴルフボール。
【請求項21】 非イオノマーポリオレフィン材料がメタロセン触媒ポリオレフィンを含む請求項19記載のゴルフボール。
【請求項22】 内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方がポリウレタンを含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項23】 ポリウレタンが熱硬化性ポリウレタンを含む請求項22記載のゴルフボール。
【請求項24】 ポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンを含む請求項22記載のゴルフボール。
【請求項25】 内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方がポリウレタンを含む請求項11記載のゴルフボール。
【請求項26】 内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方がポリアミドを含む請求項1記載のゴルフボール。
【請求項27】 内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方が発泡状である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項28】 カバーの全厚が約0.07〜1.27cm(0.03〜0.50インチ)である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項29】 充実または巻いた芯と、芯の周囲に形成された、少なくとも62のショアーD硬さを有する内側カバー層と、内側カバー層の周囲に形成された中間カバー層と、中間カバー層の周囲に形成された外側カバー層とを含み、各カバー層が、それぞれの隣接するカバー層とは異なるショアーD硬さを有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項30】 外側カバー層が、60〜80のショアーD硬さを有し、中間カバー層よりも硬い請求項29記載のゴルフボール。
【請求項31】 中間カバー層が10〜55のショアーD硬さを有する請求項29記載のゴルフボール。
【請求項32】 中間カバー層が50〜65のショアーD硬さを有し、外側カバー層が、10〜55のショアーD硬さを有し、中間カバー層よりも軟らかい請求項29記載のゴルフボール。
【請求項33】 中間カバー層が10〜55のショアーD硬さを有し、外側カバー層が50〜65のショアーD硬さを有する請求項29記載のゴルフボール。
【請求項34】 中間カバー層が外側カバー層よりも硬い請求項33記載のゴルフボール。
【請求項35】 中間カバー層が外側カバー層よりも軟らかい請求項33記載のゴルフボール。
【請求項36】 充実の芯と、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む内側カバー層と、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む中間カバー層と、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む外側カバー層とを含み、内側カバー層、中間カバー層および外側カバー層それぞれが別個の層であることを特徴とするゴルフボール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般にゴルフボールに関し、より詳細には、少なくとも3枚の層を含むカバーを有するゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフボールは従来、三つの異なるグループ、すなわち1ピースボール、2ピースボール、そして3ピースボールに分類されてきた。従来の2ピースボールは、種々のタイプの材料のカバーが上に成形された充実で弾性の芯を含む。3ピースゴルフボールは、従来、液体または固体の中心と、中心を包むエラストマーの巻きと、成形カバーとを含むものであった。2ピースボールおよび3ピースボールの充実の芯はいずれもポリブタジエン製であることが多く、成形カバーは一般に天然バラタ、合成バラタまたはイオノマー樹脂製である。
【0003】イオノマー樹脂は、鎖間イオン結合を含むポリマーである。その靱性、耐久性および飛び特性のおかげで、E. I. DuPont de Nemours & Companyによって商品名「Surlyn」(登録商標)のもとで販売され、また、Exxon社(米国特許第4,911,451号を参照)によって商品名「Escor」(登録商標)および商品名「Iotek」のもとで販売される種々のイオノマー樹脂が、従来の「バラタ」(トランスポリイソプレン、天然または合成)ゴムに代わってゴルフボールカバーの構成に選択される材料となった。より軟らかいバラタカバーは、競技性の向上を示すが、繰返しのプレーに求められる耐久性(切断および摩耗に対する抵抗性、疲労耐久性など)を欠く。
【0004】イオノマー樹脂は一般に、オレフィン、たとえばエチレンと、不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸の金属塩とのイオンコポリマーである。金属イオン、たとえばナトリウムまたは亜鉛を使用してコポリマー中の酸性基の一部を中和すると、バラタに代えてゴルフボールカバーの構成に用いるための、改善された性質、すなわち耐久性などを示す熱可塑性エラストマーが得られる。
【0005】現在、ExxonおよびDuPontの両社から、金属カチオンの種類および量、分子量、基材樹脂の組成(すなわち、エチレンとメタクリル酸および/またはアクリル酸基との相対含量)ならびに添加成分、たとえば強化剤などに応じて異なる広い範囲の性質を有する50種を超える銘柄のイオノマーが市販されているが、競技性を望みどおりに組み合わせたゴルフボールカバー組成物を開発するために多大な研究が続けられている。
【0006】ゴルフボールは通常、その大きさ、重さ、組成、ディンプルパターン、コンプレッション、硬さ、耐久性、スピン速度および反発係数(COR)の点で説明される。ゴルフボールのCORを計測する一つの方法は、ボールを所与の速度で硬い強固な面に推し当て、その進入速度および退出速度を計測する方法である。CORは、進入速度に対する退出速度の比であり、0〜1の小数として表される。
【0007】ゴルフボールのCORに対するUSGAの制限はないが、ゴルフボールの初速は約76m±1.5m/秒(250±5フィート/秒)を超えてはならない。その結果、企業側の初速の目標値は約77m/秒(255フィート/秒)であり、企業は、この制限を超えない範囲でCORを最大限にしようと努力している。
【0008】米国特許第4,431,193号および第4,919,434号は、多層カバーを備えたゴルフボールを開示している。米国特許第4,431,193号は、硬質の内側カバー層および軟質の外側カバー層を有する多層ボールを開示している。米国特許第4,919,434号は、2枚の熱可塑性カバー層から製造される厚さ0.4〜2.2mmのカバーを有するゴルフボールを開示している。米国特許第5,273,286号は、多層芯を備えたゴルフボールを開示している。この特許で開示されたゴルフボールは、内側の芯と、内側の芯を包囲するシェルと、外側の芯と、カバーとを有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スピンと触感とを好ましく組み合わせた、ハンデキャップの低いプレーヤのためのゴルフボールを提供することにある。
【0010】本発明のもう一つの目的は、スピンと触感とを好ましく組み合わせた、ハンデキャップの高いプレーヤのためのゴルフボールを提供することにある。
【0011】本発明のさらなる目的は、スピンおよび触感の特性を入念に制御して、これらの特性の望ましい組み合わせを得ることができる多層ゴルフボールを製造する方法を提供することにある。
【0012】その他の目的は、一部には明白であり、一部には以下さらに詳細に指摘する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の好ましい形態は、充実の芯(ソリッドコア)または巻いた芯(ワウンドコア)と、芯の周囲に形成された内側カバー層と、内側カバー層の周囲に形成された中間カバー層と、中間カバー層の周囲に形成された外側カバー層とを含み、各カバー層が、それぞれの隣接するカバー層とは異なるショアーD硬さを有するゴルフボールである。外側カバー層は、好ましくはイオノマーを含む。
【0014】本発明は、もう一つの好ましい形態において、充実または巻いた芯と、芯の周囲に形成された、少なくとも62、好ましくは62〜90のショアーD硬さを有する内側カバー層と、内側カバー層の周囲に形成された中間カバー層と、中間カバー層の周囲に形成された外側カバー層とを含み、各カバー層が、それぞれの隣接するカバー層とは異なるショアーD硬さを有するゴルフボールである。
【0015】本発明の特に好ましい形態では、中間カバー層が内側および外側のカバー層よりも軟らかい。もう一つの実施態様では、中間カバー層が、外側カバー層よりも硬く、内側カバー層よりも軟らかい。さらに別の実施態様では、中間カバー層が、外側カバー層よりも軟らかく、内側カバー層よりも硬い。第四の実施態様では、中間カバー層が内側および外側カバー層よりも硬い。内側、中間および外側の各カバー層は、厚さが、好ましくは約0.02〜0.50cm(0.01〜0.20インチ)であり、より好ましくは約0.063〜0.38cm(0.025〜0.15インチ)である。
【0016】外側カバー層は好ましくはイオノマーを含む。内側および中間のカバー層は好ましくは熱可塑性である。本発明の特に好ましい形態では、内側カバー層および/または中間カバー層もまた、イオノマーを含む。
【0017】内側、中間および/または外側のカバー層は、樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも1重量部の充填剤を含有することができる。充填剤を使用するならば、樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも5重量部の量で含めることが好ましい。充填剤は、好ましくは、沈降水化シリカ、粘土、タルク、アスベスト、ガラス、アラミド繊維、雲母、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、炭化ケイ素、ケイ酸塩、ケイ藻土、炭酸塩、金属、合金、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒状炭素系物質、コットンフロック、セルロースフロック、皮繊維、マイクロバルーンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0018】本発明の一つの形態では、内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方が非イオノマーポリオレフィン材料を含む。この材料は、好ましくは、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム強化オレフィンポリマー、イオノマーコポリマーの一部にならない酸コポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィンを含むプラストマー、フレキソマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー、動的に加硫したエラストマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、アミド−エステルエラストマー、イオノマーとポリアミドとのグラフトコポリマー、架橋トランスポリイソプレン配合物、熱可塑性ブロックポリエステル、熱可塑性ポリウレタンおよび熱硬化性ポリウレタンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む。
【0019】本発明のさらなる好ましい形態は、充実の芯と、内側カバー層と、中間カバー層と、外側カバー層とを含むゴルフボールである。内側カバー層は、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む。中間カバー層は、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含む。外側カバー層は、イオノマー、熱可塑性エラストマーおよび非イオノマーポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも一つの要素を含み、好ましくはイオノマーを含む。内側カバー層、中間カバー層および外側カバー層それぞれは別個の層である。
【0020】本発明のゴルフボールにおいては、内側カバー層および中間カバー層の少なくとも一方が発泡状であってもよい。さらには、成形加工がボール上に許容できない表面の欠陥をもたらさない限り、外側カバー層が発泡状であってもよい。
【0021】したがって、本発明は、いくつかの工程およびそのような工程の一つ以上の互いに対する関係ならびに以下の詳細な開示に示す特徴、性質および要素どうしの関係を有する品物に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のゴルフボールは、中心の芯と、少なくとも3枚の別個の層を含む厚いカバーとを有している。内側カバー層は、好ましくは、熱可塑性材料から形成されている。中間カバー層もまた、好ましくは、熱可塑性材料から形成されている。外側カバー層は、好ましくは、熱可塑性材料から形成され、より好ましくはイオノマーである。
【0023】「別個の層」とは、隣接する層とは異なるショアーD硬さを有し、それぞれが隣接する層とは化学的に区別可能である層である。そのうえ、層を発泡させて充実スキン層面および気泡状内部構造をもたらすとしても、これは単一の層としてみなされ、硬さは、その層を構成する、未発泡の充実材料の硬さとして定義される。
【0024】本発明の第一の好ましい実施態様では、内側および外側のカバー層が硬質であり、中間のカバー層が内側および外側のカバー層よりも軟らかい。このタイプの構造が、結果的に、良好な飛距離および正確さのための比較的低いスピン速度と、比較的軟らかな触感とを有し、軟らかな中間層がそうでなければ非常に剛性のカバーにさらなる柔軟性を提供するゴルフボールをもたらす。
【0025】第二の実施態様では、内側および外側のカバー層が軟質であり、中間カバー層が内側および外側のカバー層よりも硬い。このタイプのゴルフボールは、ショートアイアンのショットで高いスピン速度が望まれるが、ティーショットでは低めのスピン速度が望まれる場合に有用である。この構造はまた、非常に軟らかな触感を得るための最も軟らかいコンプレッションを与える。
【0026】第三の好ましい実施態様では、内側カバー層が硬質であり、外側カバー層が軟質であり、中間カバー層が中間の硬さを有している。この構造は、ボールを正確に止め、ころがりを最小限にするゴルファーの能力を最大限にするための非常に高いスピン速度を有するゴルフボールを形成するのに有用である。
【0027】第四の好ましい実施態様では、内側カバー層が軟質であり、外側カバー層が硬質であり、中間カバー層が中間の硬さを有している。この実施態様は、比較的低いスピン速度と、それでいて軟らかな触感との良好なバランスが望まれる場合に有用である。
【0028】本発明の好ましい形態では、各カバー層のショアーD硬さは、それぞれの隣接する層とは少なくとも3ポイント異なり、より好ましくは少なくとも5ポイント異なる。
【0029】まず図1を参照すると、本発明の第一の実施態様によるゴルフボールが示され、符号9として指定されている。このボールは、好ましくは直径が少なくとも約4.26cm(1.68インチ)である。本発明は、約4.31cm(1.70インチ)以上の直径を有するゴルフボールとで特に有用である。
【0030】ゴルフボール9は、中心にある充実の芯10と、多層カバー12とを含む。多層カバーは、内側カバー層14と、中間カバー層15と、ディンプル18を備えた外側カバー層16とを含む。内側カバー層14は、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有している。中間カバー層15は、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有している。(本明細書に使用するカバーの「ショアーD硬さ」は、プラックに対してではなく、成形カバーの湾曲面に対して計測した場合を除き、一般に、ASTM D−2240にしたがって計測した。さらに、カバーのショアーD硬さは、カバーが芯の上にある状態で計測した。ディンプル付きカバーに対して硬さ計測を実施したとき、ショアーD硬さは、ディンプル付きカバーのランド区域で計測した。内側カバー層のショアーD硬さは、中間および外側のカバー層をボールの上に形成する前またはそれらを除去した後で計測した。中間カバー層のショアーD硬さは、外側カバー層をボールの上に形成する前またはそれを除去した後で計測した)。内側および中間のカバー層は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーポリオレフィン材料から形成される。外側カバー層16は好ましくはイオノマーを含み、60〜80のショアーD硬さを有している。
【0031】図2を参照すると、本発明の第二の実施態様によるゴルフボールが示され、符号19として指定されている。このボールは、好ましくは直径が少なくとも約4.26cm(1.68インチ)である。ボールは、中心にある充実の芯20と、多層カバー22とを含む。多層カバーは、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する軟質の内側カバー層24と、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有する硬質の中間カバー層25と、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する、ディンプル28を備えた軟質の外側カバー層26とを含む。内側および中間のカバー層は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料から形成される。外側カバー層は好ましくはイオノマーを含む。
【0032】次に図3を参照すると、本発明のゴルフボールの第三の実施態様が符号29として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯30と、多層カバー32とを含む。多層カバーは、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有する硬質の内側カバー層34と、50〜65のショアーD硬さを有する中間カバー層35と、ディンプル38を備えた外側カバー層36とを含む。外側カバー層は、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有している。内側カバー層34および中間カバー層35は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層36は好ましくはイオノマーを含む。
【0033】次に図4を参照すると、本発明の第四の実施態様のゴルフボールが示され、符号39として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯40と、多層カバー42とを含む。多層カバーは、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する内側カバー層44と、50〜65のショアーD硬さを有する中間カバー層45と、ディンプル48を備えた外側カバー層46とを含む。外側カバー層は、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有している。内側および中間のカバー層44および45は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層46は好ましくはイオノマーを含む。
【0034】次に図5を参照すると、本発明の第五の実施態様のゴルフボールが示され、符号49として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯50と、多層カバー52とを含む。多層カバーは、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有する内側カバー層54と、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する中間カバー層55と、ディンプル58を備えた外側カバー層56とを含む。外側カバー層は、50〜65のショアーD硬さを有している。内側および中間のカバー層54および55は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層56は好ましくはイオノマーを含む。
【0035】次に図6を参照すると、本発明の第六の実施態様のゴルフボールが示され、符号59として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯60と、多層カバー62とを含む。多層カバーは、50〜65のショアーD硬さを有する内側カバー層64と、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する中間カバー層65と、ディンプル68を備えた外側カバー層66とを含む。外側カバー層は、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有している。内側および中間のカバー層64および65は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層66は好ましくはイオノマーを含む。
【0036】次に図7を参照すると、本発明の第七の実施態様のゴルフボールが示され、符号69として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯70と、多層カバー72とを含む。多層カバーは、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する内側カバー層74と、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有する中間カバー層75と、ディンプル78を備えた外側カバー層76とを含む。外側カバー層は50〜65のショアーD硬さを有している。内側および中間のカバー層74および75は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層76は好ましくはイオノマーを含む。
【0037】次に図8を参照すると、本発明の第八の実施態様のゴルフボールが示され、符号79として指定されている。このボールは、中心にある充実の芯80と、多層カバー82とを含む。多層カバーは、50〜65のショアーD硬さを有する内側カバー層84と、60〜80、より好ましくは62〜80のショアーD硬さを有する中間カバー層85と、ディンプル88を備えた外側カバー層86とを含む。外側カバー層は、10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有している。内側および中間のカバー層84および85は、好ましくは、イオノマーまたは非イオノマーのポリオレフィン材料を含む。外側カバー層86は好ましくはイオノマーを含む。
【0038】図1〜8に示す実施態様それぞれに関し、各カバー層は、好ましくは、それぞれの隣接するカバー層のショアーD硬さよりも少なくとも3ポイント、より好ましくは少なくとも5ポイント硬い、または軟らかいショアーD硬さを有している。好ましくは、各層は、隣接するカバー層とは異なる化学組成を有している。
【0039】上述したように、カバー層は、好ましくは、イオノマーから形成されている。本発明の好ましい形態では、軟質のカバー層、すなわち10〜55、より好ましくは30〜50のショアーD硬さを有するものは、平均で約15重量%以下の酸を含有し、少なくとも10%中和されているイオノマーを含む。より具体的には、軟質カバー層は通常、2種類のイオノマーからなり、一方の成分が、カチオンによって少なくとも部分的に中和されている酸基を15重量%以上含有するエチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーであり、他方の種類のイオノマーが、エチレン、アクリル酸またはメタクリル酸と、軟化性ターモノマー、たとえばアクリル酸ブチルもしくはアクリル酸メチルとのターポリマーであり、約15重量%以下の全酸含量をもたらすブレンドを構成する。適当なブレンドの非限定的な例が、いずれも引用例として本明細書に含める米国特許第4,884,814号および第5,120,791号に記載されている。本発明の特に好ましい形態では、軟質カバー層は、ターポリマータイプイオノマーを75重量%以上含む。
【0040】中間の硬さのカバー層、たとえば、50〜65のショアーD硬さを有するものは、好ましくは、軟質のカバー層に使用されるものと同じタイプの材料から製造される。コポリマーイオノマー約25〜75重量%と、ターポリマータイプイオノマー約75〜25重量%とのブレンドを使用することが特に好ましい。
【0041】硬質のイオノマーカバー層は、1種類のイオノマーまたは2種類以上のイオノマーのブレンドを含むことができる。さらには、硬化性および/または軟化性改質剤を加えることができる。本発明の特に好ましい形態では、硬質カバー層は、酸基を少なくとも16重量%有し、少なくとも部分的に中和されている1種以上のイオノマーを含有する。
【0042】3枚のカバー層それぞれは、発泡状であってもよいし、非発泡状であってもよい。好ましくは、各層は非発泡状である。発泡層は非発泡層よりも密度が低く、そのため、重量分布および慣性モーメントに影響する。通常、発泡によってメルトフローインデックスが増大する。発泡状カバー層の使用はボールの芯重量を増す必要性を生み、それにより、特に短いショットで、ボールに対してより簡単にスピンをかけることを許す。これが、特に速いスイング速度でボールを打てないプレーヤの場合に、硬質カバー付きボールの低いスピン速度を部分的に補償することができる。発泡層は一般に比較的低い弾性率、ひいては増大した可撓性を有する。通常、発泡層は、成形の前に、少量の発泡剤をカバー材料に添加することによって形成される。発泡剤は、それがカバー層の成形温度でガスを放出するようなものが選択される。
【0043】ゴルフボールの外側カバー層を形成するのに適した材料の非限定的な例は、イオノマー、架橋していることが好ましいメタロセン触媒ポリオレフィン、たとえばEXACT、INSITE、AFFINITYもしくはENGAGE、ポリアミド、アミド−エステルエラストマーまたはイオノマーとポリアミドとのグラフトコポリマー、たとえばCAPRON、ZYTEL、ZYTEL FN、PEBAXなど、架橋トランスポリイソプレンブレンド、熱可塑性ブロックポリエステル、たとえばHYTRELあるいは熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、たとえばEstane(登録商標)ポリウレタン、たとえばEstane(登録商標)X-4517である。
【0044】内側および中間のカバー層は、外側カバー層を形成するのに有用であるとして前段落で掲記した材料のいずれででも製造することができる。さらには、内側および中間のカバー層は、多数の他の非イオノマー熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から形成することができる。たとえば、比較的廉価なポリオレフィンおよび熱可塑性エラストマーを使用することができる。適当な非イオノマーポリオレフィン材料の非限定的な例には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム強化オレフィンポリマー、内側カバー層に使用されたときイオノマーコポリマーの一部にならない酸コポリマー、たとえばPRIMACOR、NUCREL、ESCORおよびATX、プラストマーおよびフレキソマー、熱可塑性エラストマー、たとえばスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)もしくはスチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、たとえばKraton(登録商標)(Shell)、動的に加硫されたエラストマー、たとえばSantoprene(登録商標)(Monsanto)、エチレン酢酸ビニル、たとえばElvax(登録商標)(DuPont)、エチレンアクリル酸メチル、たとえばOptema(登録商標)(Exxon)、ポリ塩化ビニル樹脂ならびに他のエラストマー材料がある。上述した材料を含む混合物、ブレンドまたは合金を使用することもできる。ポリオレフィンは、強靱な低密度材料であることが望ましい。非イオノマーポリオレフィンは、イオノマーと混合していてもよい。
【0045】内側、中間および外側のカバー層は、場合によっては、加工助剤、離型剤および/または希釈剤を含むことができる。内側および/または中間のカバー層に有用であるもう一つの材料は、4,000〜5,000psiの引張り強さ、高いレジリエンス、良好な擦りきず抵抗、15未満のショアーD硬さおよび500%を超える伸び率を有する天然ゴムラテックス(前加硫したもの)である。
【0046】上述したように、内側、中間および外側のカバー層はプラストマーを含むことができる。プラストマーは、好ましくは、イオノマーまたは他の適合性の材料とで架橋しているか、ブレンドされている。プラストマーとは、分子量分布が均一で狭く、コモノマー含量が高く、コモノマーの分布が均一であるオレフィンコポリマーである。プラストマーの分子量分布は、一般に、約1.5〜4、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.5〜2.4である。密度は通常、非発泡状態で0.85〜0.97であり、発泡状態で0.10〜0.90である。コモノマー含量は通常、1〜32%、好ましくは2〜20%である。組成分布幅指数は一般に、30%を超え、好ましくは少なくとも45%であり、より好ましくは少なくとも50%である。
【0047】「コポリマー」とは、(1)重合を受ける2種類のモノマーを有するコポリマー、(2)ターポリマー(3種類のモノマーの重合によって形成される)および(3)4種類以上のモノマーの重合によって形成されるものを含む。組成はさらに、添加物および充填剤ならびに、プラストマーの架橋を支援したり、加工性を改善したりするために硬化剤とともに使用される助剤を含むことができる。
【0048】「組成分布幅指数(CDBI)」とは、メジアン全モルコモノマー含量の50%以内のコモノマー含量を有するコポリマー分子の重量%として定義される。
【0049】プラストマーとは、メタロセン単一サイト触媒技術を使用して開発されたポリオレフィンコポリマーである。プラストマーは、熱可塑性およびエラストマー性の両方の性質を示す。プラストマーは一般に、コモノマーを約32重量%まで含有する。ゴルフボールを製造するのに有用であるプラストマーには、エチレン−ブテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマーおよびエチレン−ヘキセン−ブテンターポリマーならびにそれらの混合物があるが、これらに限定はされない。
【0050】本発明に用いられるプラストマーは、好ましくは、単一サイトメタロセン触媒、たとえばヨーロッパ特許第29368号、米国特許第4,752,597号、米国特許第4,808,561号および米国特許第4,937,299号に開示されているものによって形成される。これらの特許の教示を引用例として本明細書に含める。当該技術で公知であるように、プラストマーは、高圧加工を使用するメタロセン触媒作用により、シクロペンタジエニル−遷移金属化合物およびアルモキサンを含む触媒系の存在においてエチレンを他のモノマー、たとえばブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1および4−メチル―1―ペンテンと重合させることによって製造することができる。
【0051】EXACT(商標)プラストマー(Exxon Chemical社、米国テキサス州ヒューストン)は、メタロセン触媒ポリオレフィンである。この種のプラストマーは、0.87〜0.915g/ccの密度、約60〜104℃(華氏140〜220度)の融点、20〜50のショアーD硬さ(ASTM D−2240にしたがって、内側カバー層の湾曲面に対して計測)、2〜15k.p.s.i.の曲げ弾性率、1,600〜4,000p.s.i.の引張り強さ、優れた熱安定性および非常に良好な弾性回復を有している。EXACT(商標)4049として知られるこれらの材料の1種は、28%未満のコモノマー含量を有し、0.873g/ccのポリマー密度を有するブテンコポリマーである。EXACT(商標)4049の性質を以下の表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】この材料は、内側カバー層14を形成するのに特に有用であることがわかった。
【0054】本発明に有用であるEXACTプラストマーの他の非限定的な例には、線状エチレン−ブテンコポリマー、たとえば、約0.905g/ccの密度(ASTM D-1505)および約4.5g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-2839)を有するEXACT 3024、約0.910g/ccの密度(ASTM D-1505)および約1.2g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-2839)を有するEXACT 3025、約0.900g/ccの密度(ASTM D-1505)および約3.5g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-2839)を有するEXACT 3027ならびに約0.887g/ccの密度(ASTMD-1505)および約2.2g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-2839)を有するEXACT 4011ならびにエチレン−ヘキセンコポリマー、たとえば、約0.900g/ccの密度(ASTM D-1505)および約3.5g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-2839)を有するEXACT 3031がある。有用なEXACTプラストマーの他の非限定的な例は、EXACT 4005およびEXACT 5010である。たとえばエチレン、ブテンおよびヘキセンのターポリマーを使用することもできる。上述のEXACTシリーズのプラストマーはすべてEXXON Chemical社から市販されている。Dow Chemical社により、AFFINITY(登録商標)およびENGAGE(登録商標)のもとでINSITE(登録商標)技術として販売される同様な材料を使用することもできる。
【0055】EXACTプラストマーは通常、約1.5〜2.4の分子量分布(Mw/Mn)(Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)、約5,000〜約50,000、好ましくは約20,000〜約30,000の分子量および約0.50g/10min、好ましくは約1〜10g/10minのメルトフローインデックス(ASTM D-1238、条件Eで測定)を有している。本発明に用いることができるプラストマーには、エチレンと、約5〜約32モル%、好ましくは約7〜約22モル%、より好ましくは約9〜18モル%の量で存在する少なくとも1種のC3〜C20αオレフィン、好ましくはC4〜C8αオレフィンとのコポリマーがある。これらのプラストマーは、約45%以上の組成分布幅指数を有すると考えられる。
【0056】Dow Chemical社によって商標ENGAGEのもとで販売されているもののようなプラストマーは、米国特許第5,272,236号明細書にしたがって製造されると考えられる。この特許の教示をすべて引用例として本明細書に含める。これらのプラストマーは、ASTM D-792にしたがって計測して約0.85g/cc〜約0.97g/ccの密度、約0.01g/10min〜約1,000g/10minのメルトフローインデックス(MI)、約7〜約20のメルトフロー比(I10/I2)(I10はASTM D−1238(190/10)にしたがって計測、I2はASTM D−1238(190/2.16)にしたがって計測)および好ましくは5未満、より好ましくは約3.5未満、最も好ましくは約1.5〜約2.5の分子量分布Mw/Mnを有する実質的に線状のポリマーである。これらのプラストマーは、C2〜C20オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテンなどのホモポリマーを含むか、それらは、エチレンと、少なくとも1種のC3〜C20αオレフィンおよび/またはC2〜C20アセチレン性不飽和モノマーおよび/またはC4〜C18ジオレフィンとのインターポリマーであることができる。これらのプラストマーは一般に、非置換であるか、炭素1,000個あたり3個までの長い側鎖によって置換されているポリマー主鎖を有している。本明細書に使用する「長い側鎖」とは、少なくとも炭素原子6個分の長さの鎖をいう。この長さを超えると、13C核磁気共鳴分光測定を使用して長さを区別することができない。好ましいENGAGEプラストマーは、飽和エチレン−オクテン主鎖、約2の狭い分子量分布Mw/Mnおよび狭いレベルの結晶性を特徴とする。これらのプラストマーはまた、顔料、増白剤、充填剤、たとえば上述したもの、ならびに可塑剤、たとえばパラフィン系プロセス油およびナフテン系プロセス油と適合性である。Mitsuiによって製造されるものをはじめとして、他の市販されているプラストマーが本発明に有用である。
【0057】米国特許第5,272,236号明細書にしたがって製造されるプラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は、最も好ましくは約2.0である。これらのプラストマーの非限定的な例には、約0.868g/ccの密度、約0.5g/10minのメルトフローインデックスおよび約75のショアーA硬さを有するENGAGE CL8001、約0.87g/ccの密度、約1g/10minのメルトフローインデックスおよび約75のショアーA硬さを有するENGAGE CL8002、約0.885g/ccの密度、約1.0g/10minのメルトフローインデックスおよび約86のショアーA硬さを有するENGAGE CL8003、約0.87g/ccの密度、約1g/10minのメルトフローインデックスおよび約87のショアーA硬さを有するENGAGE EG8100、約0.868g/ccの密度、約0.5g/10minのメルトフローインデックスおよび約75のショアーA硬さを有するENGAGE CL8150、約0.87g/ccの密度、約0.5g/10minのメルトフローインデックスおよび約75のショアーA硬さを有するENGAGE8200ならびに約0.87g/ccの密度、約5g/10minのメルトフローインデックスおよび約75のショアーA硬さを有するENGAGE EP8500がある。
【0058】本発明の特に好ましい形態では、内側、中間および外側のカバー層の少なくとも一つが、樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも1重量部の充填剤を含有する。充填剤は、好ましくは、カバー層の密度、曲げ弾性率、離型および/またはメルトフローインデックスを調節するために使用される。より好ましくは、少なくとも、充填剤を密度または曲げ弾性率の調節に使用する場合、樹脂組成物100重量部を基準として少なくとも5重量部の量で含める。充填剤によっては、約200重量部までをおそらく使用することができる。
【0059】本発明の密度調節用充填剤は、好ましくは、樹脂組成物の比重よりも少なくとも0.05高いまたは低い、より好ましくは少なくとも0.1高いまたは低い比重を有する充填剤である。特に好ましい密度調節用充填剤は、樹脂組成物の比重よりも0.2以上、より好ましくは2.0以上高い比重を有するものである。
【0060】本発明の曲げ弾性率調節用充填剤は、樹脂組成物100重量部を基準としてたとえば1〜100重量部の量で使用されると、樹脂組成物の曲げ弾性率(ASTM D-790)を、曲げ弾性率調節用充填剤を含まない樹脂組成物の曲げ弾性率に比較して少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%上げる、または下げる充填剤である。
【0061】離型調節用充填剤は、金型から部品を取り出しやすくし、他のやり方では金型に塗布することになるであろう外部離型剤の必要性をなくす、または減らす充填剤である。離型調節用充填剤は通常、カバー層の総重量に基づいて約2重量%までの量で使用される。
【0062】メルトフローインデックス調節用充填剤は、メルトフロー、すなわち組成物の加工しやすさを高める、または下げる充填剤である。
【0063】カバー層および芯は、たとえば充填剤を樹脂組成物に結合するために特定の層における材料の付着または隣接する層どうしの付着を増す結合剤を含むことができる。結合剤の非限定的な例には、チタン酸塩、ジルコン酸塩およびシランがある。結合剤は通常、結合剤が含まれる組成物の総重量を基準として0.1〜2重量%の量で使用される。
【0064】密度調節用充填剤は、慣性モーメント、ひいてはボールの初期スピン速度およびスピン減衰を制御するのに使用される。1枚以上のカバー層、特に外側カバー層における、樹脂組成物よりも低い比重をもつ充填剤の添加は、慣性モーメントの減少および、充填剤を使用しない場合よりも高い初期スピン速度をもたらす。1枚以上のカバー層、特に外側カバー層における、樹脂組成物よりも高い比重をもつ充填剤の添加は、慣性モーメントの増大および初期スピン速度の低下をもたらす。より少ない量を使用して所望の内側カバー層の総重量を達成できるため、高比重充填剤が好ましい。また、CORに最小限の影響しか加えないため、非強化性の充填剤が好ましい。充填剤は、樹脂組成物とで有意な程度には化学反応を起こさないことが好ましい。ただし、たとえばイオノマーを含有するカバー層に酸化亜鉛を使用する場合、いくらかの反応が起こるかもしれない。
【0065】本発明に使用するための密度増大用充填剤は、好ましくは1.0〜20の比重を有する。本発明に使用するための密度減少用充填剤は、好ましくは0.06〜1.4、より好ましくは0.06〜0.90の比重を有する。曲げ弾性率増大用充填剤は、それらの形態、それらの樹脂との相互作用またはそれら固有の物理的性質により、強化または剛化効果を有する。曲げ弾性率減少用充填剤は、マトリックス樹脂比べて比較的可撓性の性質により、反対の効果を有する。メルトフローインデックス増大用充填剤は、マトリックスに比べて比較的高いメルトフローにより、流動増強効果を有する。メルトフローインデックス減少用充填剤は、マトリックスに比べて比較的低いメルトフローインデックスにより、反対の効果を有する。
【0066】内側、中間および外側のカバー層に用いることができる充填剤は、一般に細長い繊維およびフロックを除き、微細に分割された形態、たとえば一般に米国標準サイズの約20メッシュ未満、好ましくは約100メッシュ未満のサイズであることができ、通常はそのサイズである。フロックおよび繊維のサイズは、加工を容易にするのに十分に小さなものであるべきである。充填剤粒子サイズは、所望の効果、費用、添加しやすさ、粉立ちの考慮に依存する。この充填剤は、好ましくは、沈降水和シリカ、粘土、タルク、アスベスト、ガラス繊維、アラミド繊維、雲母、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化ケイ素、ケイ藻土、ポリ塩化ビニル、炭酸塩、金属、合金、炭化タングステン、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、粒状炭素系物質、マイクロバルーンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。適当な充填剤、それらの密度およびそれらの好ましい用途の非限定的な例は次のとおりである。
【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】用いられる充填剤の量は、主として、所要重量および分布の関数である。
【0071】ゴルフボールの性能に関与する二つの主要な性質はレジリエンスとPGAコンプレッションである。ゴルフボールのレジリエンスまたは反発係数(COR)とは、インパクト前の弾性球体の速度に対する直接インパクト後の弾性球体の速度の相対比である定数「e」である。その結果、COR(「e」)は0〜1で変化することができ、1が完璧または完全に弾性な衝突に等しく、0が完璧または完全に非弾性の衝突に等しい。
【0072】CORが、さらなる要因、たとえばクラブヘッド速度、クラブヘッド質量、ボール重量、ボールのサイズおよび密度、スピン速度、打出し角および表面形状(すなわち、ディンプルパターンおよびディンプルの範囲)ならびに環境条件(たとえば、温度、湿度、大気圧、風など)とともに、ボールを打ったときの飛距離をほぼ決定する。これにならって、制御された環境条件の下でゴルフボールが飛ぶ距離は、クラブの速度および質量ならびにボールのサイズ、密度およびレジリエンス(COR)ならびに他の要因の関数である。クラブの初速、クラブの質量およびボールの打出し角は、本質的には、ゴルファーがボールを打ったときに決まる。距離の向上に関して特に重要な要因または決定因子は、一般に、ボールの反発係数(COR)、打出し角、スピンおよび表面形状(ディンプルパターン、ディンプル区域に対するランド区域の比率など)である。
【0073】充実芯ボールのCORは、芯およびカバーの組成の関数である。芯および/またはカバーは、多層ボールにおけるように1枚以上の層からなることができる。巻いた芯を含むボール(すなわち、液体または固体の中心と、弾性の巻きと、カバーとを含むボール)では、反発係数は、中心およびカバーの組成だけの関数でなく、エラストマー巻きの組成および張力の関数でもある。充実芯ボールにおけるように、巻いた芯のボールの中心およびカバーもまた、1枚以上の層からなることができる。
【0074】反発係数は、進入速度に対する退出速度の比である。本出願の実施例では、ゴルフボールの反発係数は、ボールを毎秒約38m±1.5m(125±5フィート)の速度で、約38m(125フィート)に修正して水平方向に推進し、ほぼ垂直な硬い平坦な鋼板に当て、ボールの進入速度および退出速度を電子的に計測することによって計測した。速度は、物体が通過するとタイミングパルスを発する、Oehler Research社(米国テキサス州オースチン)から市販されている1対のOehler Mark 55弾道スクリーンを使用して計測した。スクリーンは互いに約91cm(36インチ)離し、リバウンド壁から約64.13cm(25.25インチ)および約155.57cm(61.25インチ)のところにそれぞれ配置した。リバウンド壁に向かう方向にスクリーン1からスクリーン2までのパルスを測ることによってボール速度を計測し(ボールの平均速度は約91cm(36インチ)を超える)、同じ距離でスクリーン2からスクリーン1まで退出速度を計測した。ボールを打出したキャノンの縁に当たらないよう、リバウンド壁を垂直面から2°傾けてボールがわずかに下向きに跳ね返るようにした。リバウンド壁は厚さ約5.0cm(2.0インチ)の充実の鋼であった。
【0075】上述したように、進入速度は毎秒約38m±1.5m(125±5フィート)であるべきであるが、毎秒約38m(125フィート)に修正した。CORと前進または進入速度との相関を研究し、±約1.5m(5フィート)の範囲で修正を加えて、ボールがぴったり毎秒約38.0m(125.0フィート)の進入速度を有するかのようにCORが報告されるようにした。
【0076】ボールが米国ゴルフ協会(USGA)によって定められる規格に適合しなればならないならば、すべての市販のゴルフボールで反発係数を入念に制御しなければならない。上である程度述べたように、USGA規格は、「規制」ボールが、USGA機械で試験した場合、約23℃(華氏75度)の大気で毎秒約77m(255フィート)を超える初速を有してはならないことを示す。ボールの反発係数がボールの初速に関連するため、初速に関してUSGAの限界に近い十分に高い反発係数を有し、競技性(すなわち、スピンなど)を高めるのに十分な軟らかさ(すなわち硬さ)を有するボールを製造することがきわめて望ましい。
【0077】PGAコンプレッションが、ゴルフボールの性能に関連して重要なもう一つの性質である。ボールのコンプレッションは、打ったときのボールの競技性および出る打撃音に影響することができる。同様に、コンプレッションは、特にアプローチショットやパッティングにおけるボールの「触感」(すなわち、硬いまたは軟らかい反応感)に影響することができる。
【0078】そのうえ、コンプレッションそのものはボールの距離性能にほとんど影響しないが、コンプレッションは、打ったときにボールの競技性に影響することができる。クラブ面およびカバーの軟らかさに対するボールのコンプレッションの程度が、得られるスピン速度に強く影響する。通常、軟らかめのカバーが硬めのカバーよりも高いスピン速度を生む。さらには、硬めの芯が軟らかめの芯よりも高いスピン速度を生む。理由は、インパクトで、硬い芯がボールのカバーをクラブ面に対して、軟らかい芯の場合よりも強く圧縮するように働き、その結果、ボールをクラブ面に対してより強くひっかからせ、より高いスピン速度をもたらすからである。実際には、カバーは、比較的圧縮しにくい芯とクラブヘッドとの間で圧搾される。軟らかめの芯を使用すると、カバーは、硬めの芯を使用する場合よりもはるかに小さな圧縮応力を受け、したがって、クラブ面とそれほど密着しない。この結果、より低いスピン速度が生じる。
【0079】ゴルフボール業界で使用される「コンプレッション」とは、一般に、圧縮負荷を受けた場合にゴルフボールが受ける全体の撓みをいう。たとえば、PGAコンプレッションは、打ったときのゴルフボールの変形量を示す。2ピースボールにおける充実芯技術の開発が、糸巻き3ピースボールに比較してはるかに正確なコンプレッション制御を可能にした。理由は、充実芯ボールの製造において、芯を製造するのに使用される化学組成によって撓みまたは変形の量が正確に制御されるからである。これは、コンプレッションが一部には弾性糸の巻き工程によって制御される糸巻き3ピースボールとは異なる。したがって、2ピースおよび多層充実芯ボールは、巻き芯を有するボール、たとえば糸巻き3ピースボールよりもはるかに一貫したコンプレッション読み値を示す。
【0080】過去、PGAコンプレッションは、ゴルフボールに与えられる0〜200の目盛りに対応していた。PGAコンプレッション値が低ければ、打ったときのボールの触感がより軟らかくなる。実際には、トーナメント品質のボールは、70〜110、好ましくは約80〜100のコンプレッション等級を有している。
【0081】0〜200目盛りを使用してPGAコンプレッションを決定する際、標準の力をボールの外面に加える。撓みを示さないボール(撓み0.0インチ)が低格200であり、約0.5cm(0.2インチ)の撓みを示すボールが等級0である。約0.002cm(0.001インチ)ごとの撓みの変化が、コンプレッションにおける1ポイントの低下を表す。約0.02cm(0.1インチ)(100×約0.002cm(0.001インチ))の撓みを示すボールは、PGAコンプレッション100(すなわち200〜100)であり、約0.279cm(0.110インチ)(110×約0.00254cm(0.001インチ))の撓みを示すボールは、PGAコンプレッション90(すなわち200〜110)である。
【0082】コンプレッションの測定を支援するために、いくつかの装置が企業によって用いられている。たとえば、PGAコンプレッションは、上下のアンビルを備えた小さなプレスの形態の装置によって測定される。上アンビルは、約90kg(200ポンド)の金型ばねに対して寄りかかり、下アンビルは、クランク機構により、約0.762cm(0.300インチ)移動することができる。開口位置で、アンビルどうしの隙間が約4.521cm(1.780インチ)であり、ボールを挿入するために約0.254cm(0.100インチ)の余裕を設けている。下アンビルをクランクによって持ち上げると、それがボールを上アンビルに対して押し当てる。そのような圧縮は、下アンビルの動程の最後の0.508cm(0.200インチ)で起こり、そのとき、ボールが上アンビルに負荷を加え、上アンビルが次にばねに負荷を加える。上アンビルがボールによって約0.254cm(0.100インチ)超撓むならば(それよりも小さい撓みは単に0コンプレッションと呼ぶ)、上アンビルの平衡点をダイヤルマイクロメータによって計測し、マイクロメータダイヤル上の読み値をそのボールのコンプレッションとみなす。実際、トーナメント品質のボールは約80〜100のコンプレッション等級を有し、それは、上アンビルが全部で約0.304〜0.254cm(0.120〜0.100インチ)撓んだことを意味する。
【0083】Atti Engineering社(米国ニュージャージー州ニューアーク)製のゴルフボールコンプレッション試験装置を使用することにより、PGAコンプレッションを測定する例を示すことができる。この試験装置によって得られる値は、0〜100までの範囲であることができる数によって表示される任意の値に対応する。ただし、200の値は、装置のダイヤルインジケータの2回転によって示すように測定することができる。得られた値は、圧縮負荷を受けたときにゴルフボールが受ける撓みを定義する。Atti試験装置は、下寄りの可動プラットフォームおよび上寄りの可動ばねアンビルからなる。ダイヤルインジケータが、ばねアンビルの上昇動を計測するように取り付けられている。試験するゴルフボールを下プラットフォームに配置したのち、このプラットフォームを一定距離だけ持ち上げる。ゴルフボールの上部がばねアンビルと接触し、それに対して圧を加える。ゴルフボールが圧縮される距離に依存して、上アンビルがばねに抗して上に押される。
【0084】また、代替装置を使用してコンプレッションを測定した。たとえば、出願人はまた、本来はRiehle Bros. Testing Machine社(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)製の改良Riehle圧縮機を使用して、ゴルフボールの種々の構成部分(すなわち、芯、マントルカバーボール、完成ボールなど)のコンプレッションを評価した。Riehle圧縮装置は、約90kg(200ポンド)の固定初期化負荷の下で約0.00254cm(1,000分の1インチ)で変形を測定する。そのような装置を使用すると、Riehleコンプレッション61が約0.154cm(0.061インチ)の負荷時撓みに相当する。
【0085】さらには、同じサイズのボールに関してRiehleコンプレッションとPGAコンプレッションとの近い関係が存在する。出願人により、Riehleコンプレッションが、PGAコンプレッション=160−Riehleコンプレッションの一般式により、PGAコンプレッションに対応することがわかった。その結果、80Riehleコンプレッションは80PGAコンプレッションに対応し、70Riehleコンプレッションは90PGAコンプレッションに対応し、60Riehleコンプレッションは100PGAコンプレッションに対応する。報告に際して、出願人のコンプレッション値は普通、Riehleコンプレッションとして計測し、それをPGAコンプレッションに換算したものである。
【0086】さらには、PGAコンプレッション対する相関関係が既知である限り、さらなる圧縮装置を使用して、ゴルフボールのコンプレッションをモニタすることができる。これらの装置、たとえばWhitney Testerは、一定の関係または公式により、PGAコンプレッションに相関または対応するように設計されている【0087】本発明のゴルフボールのカバー層の硬さならびにこれらの層の組成および厚さは、少なくとも0.700、より好ましくは少なくとも0.740、最も好ましくは少なくとも0.750のCORを有するゴルフボールを得るのに適したものである。本発明のゴルフボールは、40〜110、より好ましくは50〜100、最も好ましくは60〜90のPGAコンプレッションを有している。
【0088】内側、中間および外側の層がいっしょになって、厚さ約0.07〜1.27cm(0.03〜0.50インチ)、より好ましくは約0.127〜0.76cm(約0.050〜0.30インチ)、最も好ましくは約0.254〜0.50cm(約0.10〜0.20インチ)のカバーを形成する。内側および中間のカバー層は、それぞれ厚さ約0.02〜0.50cm(0.01〜0.20インチ)、好ましくは約0.063〜0.38cm(0.025〜0.15インチ)である。外側カバーは、深さ約0.038cm(約0.015インチ)まで、より好ましくは約0.063〜0.38cm(0.025〜0.15インチ)のディンプルを受け入れるため、厚さ約0.02〜0.50cm(0.01〜0.20インチ)、好ましくは約0.05〜0.50cm(0.02〜0.20インチ)である。特に好ましい実施態様では、少なくとも1枚のカバー層が厚さ約0.10〜0.25cm(0.04〜0.10インチ)である。カバーの厚さ、すなわち、内側カバー層、中間カバー層および外側カバー層の厚さの合計に対するボールの直径の比は、約20を超えず、好ましくは約17を超えず、より好ましくは約15を超えない。
【0089】ゴルフボールの芯は、好ましくは、架橋した不飽和エラストマーからできており、熱硬化性ゴム、たとえばポリブタジエンまたは別のジエン含有ゴムを含むことが好ましいが、十分なCORを提供する他の芯材料からできていてもよい。たとえば、芯は、巻いたものであってもよいし、充実の熱可塑性もしくは熱硬化性イオノマーもしくは非イオノマーポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、動的に加硫したゴムなど、またはそれらのブレンドを含む、巻いていない単一または多層の芯であってもよい。芯の直径は、望みの全ボール直径から内側、中間および外側のカバー層を合わせた厚さを差し引いたものに基づいて決まる。芯のCORは、完成したゴルフボールに少なくとも0.700、好ましくは少なくとも0.750のCORを付与するのに適切なものである。芯は通常、約2.03cm〜4.11cm(約0.80〜1.62インチ)、好ましくは約3.0〜4.0cm(1.2〜1.6インチ)の直径、10〜90、より好ましくは20〜80、最も好ましくは20〜70のPGAコンプレッションを有するが、必ずしもそうでなくてもよい。ゴルフボールは、好ましくは0.600〜0.850のCORを有する。
【0090】従来の充実の芯は、通常、cis含量の高いポリブタジエンと、α,βエチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、たとえば亜鉛のモノもしくはジアクリル酸塩またはメタクリル酸塩とを含む未硬化またはわずかに硬化したエラストマー組成物のスラグから圧縮成形される。芯においてより高い反発係数を達成するために、製造業者は、充填剤、たとえば少量の金属酸化物、たとえば酸化亜鉛を含めることができる。加えて、芯の重量を増大させて、完成したボールの重さが約46g(1.620オンス)のUSGAの重量上限により近づくようにするため、望みの係数を達成するのに必要であるよりも多量の金属酸化物がしばしば従来の芯に含められる。適合性のゴムもしくはイオノマーおよび低分子量脂肪酸、たとえばステアリン酸を含む他の材料を芯組成に使用してもよい。遊離基開始剤、たとえば過酸化物を芯組成に添加混合して、熱および圧力を加えたとき、複雑な硬化性架橋反応が起こるようにしている。
【0091】カバー層は、射出成形、圧縮成形、流延もしくは他の従来の成形技術または真空成形、噴霧、浸漬などによって芯の上に形成することができる。各層を別別に成形することが好ましい。各層は、射出成形または圧縮成形によって形成することが好ましい。より好ましい本発明のゴルフボール製造方法は、3個の別々の金型の中で連続的に射出成形する方法である。まず、平滑なキャビティ金型の中で内側カバー層を芯の上に射出成形し、続いて、平滑なキャビティ金型の中で中間カバー層を内側カバー層の上に射出成形し、最後に、ディンプル付きキャビティ金型の中で外側カバー層を中間カバー層の上に射出成形する。
【0092】上述したように、軟質カバー層は、成形カバーの湾曲面で硬さを計測したとき、10〜55、好ましくは30〜50のショアーD硬さを有する。本発明の特に好ましい実施態様では、軟質カバー層は、40〜50のショアーD硬さを有する。内側、中間または外側のカバー層として使用するための軟質カバー層の一つの好ましい実施態様を形成するためには、1種以上の低弾性率イオノマー(すなわち軟質のイオノマー)または1種以上の高弾性率イオノマー(すなわち硬質イオノマー)と1種以上の低弾性率イオノマー(すなわち軟質イオノマー)とのブレンドを使用することができる。高弾性率イオノマーは、ASTM法D−790で計測して約15,000〜120,000psiまたはそれ以上の曲げ弾性率を有するものである。この種のイオノマーの硬さは、ASTM法D−2240にしたがって、ボールではなくプラックに対して計測して、ショアーD目盛りで少なくとも50である。通常、硬質イオノマーは、2種類のモノマーとのコポリマーである。高弾性率イオノマーとでブレンドして内側層を形成することができる低弾性率イオノマーは、約1,000〜約15,000psiの曲げ弾性率(ASTMD−790)と、プラックで計測して、ショアーD目盛りで約10〜40の硬さ(ASTM D−2240)とを有している。通常、軟質イオノマーはターポリマーである。
【0093】中間の硬さのカバー層を形成するためには、硬質および軟質のカバー材料を、通常、硬質(コポリマー)イオノマー25〜75重量%および軟質(ターポリマータイプ)イオノマー75〜25重量%の比率で混合する。あるいはまた、中間の硬さのカバー層および軟質カバー層は、ショアーD硬さの要件、すなわち、軟質カバー層の場合で10〜55および中間の硬さのカバー層の場合で50〜65のショアーD硬さを満たす硬さを有する1種類のイオノマーからなることができる。
【0094】硬質カバー層を形成するためには、1種以上の硬質(高弾性率)イオノマーを使用する。さらには、硬質カバー層のショアーD硬さ要求が満たされる限り、低弾性率イオノマーを高弾性率イオノマーとブレンドして、圧縮、低温での靱性、触感の向上、擦りきず抵抗などを改善することができる。
【0095】硬質イオノマー樹脂は、たとえば、炭素原子2〜8個を有するオレフィンと、炭素原子3〜8個を有する不飽和モノカルボン酸との反応生成物の、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ニッケル、カリウムもしくはリチウムなどの塩またはそのブレンドであり、COR、コンプレッションおよび内側カバー層の硬さを所望に組み合わせたボールをもたらすイオンコポリマーを含む。コポリマーのカルボン酸基は、金属イオンによって部分的に、すなわち、約10〜100%、通常は約10〜75%、より好ましくは約30〜70%中和されている。硬質イオノマー樹脂は、通常、エチレンと、アクリル酸および/またはメタクリル酸とのコポリマーである。2種以上の硬質イオノマー樹脂をブレンドすることもできる。
【0096】本発明に使用される金属カチオン塩は、高酸含量コポリマーのカルボン酸基を種々の程度に中和することができる金属カチオンを提供する塩である。これらには、たとえばリチウム、カルシウム、亜鉛、ナトリウム、カリウム、ニッケル、マグネシウムおよびマンガンの酢酸塩、酸化物または水酸化物塩などがある。
【0097】このようなリチウムイオン源の例は、水酸化リチウム一水和物、水酸化リチウム、酸化リチウムおよび酢酸リチウムである。カルシウムイオンの供給源には、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムおよび酸化カルシウムがある。適当な亜鉛イオン供給源は、酢酸亜鉛二水和物および酢酸亜鉛、酸化亜鉛と酢酸とのブレンドである。ナトリウムイオン供給源の例は、水酸化ナトリウムおよび酢酸ナトリウムである。カリウムイオンの供給源には、水酸化カリウムおよび酢酸カリウムがある。適当なニッケルイオン供給源は、酢酸ニッケル、酸化ニッケルおよび水酸化ニッケルである。マグネシウムの供給源には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび酢酸マグネシウムがある。マンガンの供給源には、酢酸マンガンおよび酸化マンガンがある。
【0098】カバー層を形成するためのブレンドに使用することができる中間の酸レベルを有する市販の硬質イオノマー樹脂の非限定的な例は、Surlyn(登録商標)8940の下で販売されている硬質ナトリウムイオンコポリマーおよびSurlyn(登録商標)9910の下で販売されている硬質亜鉛イオンコポリマーを含む。Surlyn(登録商標)8940は、エチレンとメタクリル酸との、酸を約15重量%含み、ナトリウムイオンで約29%中和されているコポリマーである。この樹脂は、約2.8の平均メルトフローインデックスを有している。Surlyn(登録商標)9910は、エチレンとメタクリル酸との、酸を約15重量%含み、亜鉛イオンで約58%中和されているコポリマーである。Surlyn(登録商標)9910の平均メルトフローインデックスは約0.7である。さらなる例には、Exxon社によって販売されるIotek 1002、Iotek 1003、Iotek 8000、Iotek 8020、Iotek 8030、Iotek 7010およびIotek7030がある。中間の酸レベルを有するイオノマー樹脂の非限定的な例を以下の表3に示す。
【0099】硬質カバー層および硬・軟のブレンドを含む他のカバー層もまた、高酸含量イオノマー樹脂を使用して製造することができる。高酸含量イオノマー樹脂は、好ましくは、カルボン酸を16重量%超、好ましくは17〜25重量%、最も好ましくは約18.5〜21.5重量%含有する。高酸含量イオノマーを製造するのに適した多数のコポリマーの例には、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、エチレン/イタコン酸コポリマー、エチレン/マレイン酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコールコポリマーなどがあるが、これらに限定はされない。ベースのコポリマーは、おおむね、不飽和カルボン酸16重量%超、エチレン約30〜約83重量%および軟化性コポリマー0〜約40重量%を含有する。好ましくは、コポリマーは、不飽和カルボン酸約20重量%およびエチレン約80重量%を含有する。最も好ましくは、コポリマーは、アクリル酸を約20重量%含有し、残りがエチレンである。本発明にしたがって使用することができる市販の高酸含有量メタクリル酸ベースのイオノマーの例には、Surlyn(登録商標)AD-8422(ナトリウムカチオン)、Surlyn(登録商標)8162(亜鉛カチオン)、Surlyn(登録商標)SEP-503-1(亜鉛カチオン)およびSurlyn(登録商標)SEP-503-2(マグネシウムカチオン)がある。DuPont社によると、これらのイオノマーすべてがメタクリル酸を約18.5〜約21重量%含有する。
【0100】特定のショアーD硬さをもつカバー層は、1種類のイオノマーを使用して形成することもできるし、より一般的には、2種類以上のイオノマーのブレンドを使用して形成することができる。ゴルフボールを形成するのに使用することができるイオノマーの非限定的な例は次のとおりである。
【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
【表10】

【0107】
【表11】
【0108】上述したように、軟化性コモノマーを含有するイオノマー、たとえばイオノマーターポリマーをカバー層に含めることができる。軟化性コモノマーの非限定的な例は、酸が炭素原子2〜10個を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル、アルキル基が炭素原子1〜10個を含有するビニルエーテルおよびアルキル基が炭素原子1〜10個を含有するアクリルまたはメタクリル酸アルキルを含む。適当な軟化性コモノマーには、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどがある。
【0109】新規なゴルフボールのカバー層を形成するために上述の硬質イオノマーとブレンドされる軟質イオノマーの非限定的な例は、炭素原子約2〜8個を有するオレフィンと、アクリル酸もしくはメタクリル酸と、炭素原子1〜21個を有するアクリル酸エステルクラスの不飽和モノマーである軟化性コモノマーとのターポリマーの、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ニッケル、カリウムまたはリチウムなどの塩を含む。軟質イオノマーは、好ましくは、アクリル酸ベースのポリマーおよびアクリル酸エステルクラスの不飽和モノマーから製造されるイオノマーである。軟質イオノマーは通常、3〜12重量%の酸含量を有する(軟化性コモノマーの重量%を含む)。
【0110】硬・軟イオノマーブレンドをカバー層に使用する場合、組み合わせの割合が、硬質イオノマー約90〜約10重量%および軟質イオノマー約10〜90重量%の範囲にあるとき、良好な結果が達成されるということがわかった。軟らかいまたは中間の硬さであるカバー層の場合、範囲を、硬質イオノマー約75〜25重量%および軟質イオノマー25〜75重量%に調節することにより、結果が改善される。硬質イオノマー樹脂約60〜40重量%および軟質イオノマー樹脂約40〜60重量%の相対的範囲でさらに良好な結果が見られる。硬質カバー層の場合、軟質イオノマーの重量%は、好ましくは、約25重量%を超えない。
【0111】上述したように、カバー層は、場合によっては、硬化性または軟化性改質剤を含むことができる。その非限定的な例には、譲受人を同じくする米国特許第5,306,760号および第5,312,857号に記載されているように、金属ステアリン酸塩、たとえばステアリン酸亜鉛または別の脂肪酸塩がある。金属ステアリン酸塩または他の脂肪酸塩の一つの目的は、完成したボールの全体性能に影響することなく、ボールの製造費を減らすことである。さらには、譲受人を同じくする米国特許第4,986,545号、第5,098,105号、第5,187,013号、第5,330,837号および第5,338,610号に記載されているように、極性基で改質したゴムをイオノマーとブレンドすることができる。硬化剤または軟化剤として働く熱可塑性エラストマー、たとえばポリウレタン、ポリエステルエラストマー、たとえばDuPont社によってHYTEL(登録商標)として販売されているもの、ポリエステルポリウレタン、たとえばB.F. Goodrich社のESTANE(登録商標)ポリエステルポリウレタンX−4517およびポリエステルアミド、たとえばElf Atochem社によってPEBAX(登録商標)の下で販売されているものを加えることができる。プラストマー、たとえばExxon社によってEXACT(商標)の下で販売されているもの、たとえばEXACT(登録商標)4049を含めることができる。種々の可塑剤および加工助剤を使用することもできる。
【0112】本発明のゴルフボールは通常、薄くて光沢のあるポリウレタン、エポキシまたは別の適当な上塗り材料の保護上塗りで被覆されている。上塗りは一般に、厚さ約0.0012〜0.012cm(0.0005〜0.005インチ)、より好ましくは約0.002〜0.005cm(0.001〜0.002インチ)である。外側カバー層に対する上塗り層の良好な付着に備えて、通常は、外側カバー層と上塗りとの間に下塗りが含められる。この下塗りもまた一般に、ポリウレタンまたはエポキシから製造され、通常は、約0.0002〜0.0038cm(0.0001〜0.0015インチ)、より好ましくは約0.00063〜0.002cm(0.00025〜0.001インチ)の硬化後厚さを有している。
【0113】本発明のボールが4枚以上のカバー層を有する場合、本出願で定義される内側カバー層は、本明細書では内側カバー層として定義する層の硬さおよび厚さの要件をいっしょになって満たす2枚以上の層から形成することができる。同様に、中間カバー層もまた、本明細書で中間カバー層として定義する層の硬さおよび厚さの要件をいっしょになって満たす2枚以上の層から形成することもできる。外側カバー層は、本明細書で外側カバー層として定義する層の硬さおよび厚さの要件をいっしょになって満たす2枚以上の層から形成することができる。さらには、本発明の目的が達成される限り、1枚以上のさらなる薄いイオノマーまたは非イオノマー層を内側カバー層および中間カバー層のいずれかの側に加えることができる。
【0114】本発明を概説したところで、本発明をより容易に理解することができるよう以下の実施例を含める。これらの実施例は、別段指定しない限り、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0115】
【実施例】
実施例1以下に示す芯組成を使用して多数のゴルフボール芯を形成した。
第一のポリブタジエン(Cariflex BR-1220、Meuhlstein社、米国コネチカット州ノーウォーク)70重量部第二のポリブタジエン(Taktene 220、Bayer社、米国オハイオ州アクロン)30重量部酸化亜鉛(Zinc Corp. of America社、米国ペンシルベニア州モナカ)43重量部粉末再生材料(ゴルフボールの芯を粉末再生したもの、内部で入手)20重量部ジアクリル酸亜鉛(Rockland React Rite社、米国カリフォルニア州ロックランド)20重量部ステアリン酸亜鉛(Synpro社、米国オハイオ州クリーブランド)15重量部過酸化物(Luperco 231XL、R.T. Vanderbilt社、米国コネチカット州ノーウォーク)0.9重量部【0116】この配合物を使用して、圧縮成形し、約160℃(華氏320度)で5〜20分間硬化させることにより、約3.50cm(1.38インチ)の芯をいくつか製造した。芯は、MTS成形の約3.55cm(1.40インチ)キャビティを使用して約3.50cm(1.38インチ)のサイズに成形した。
【0117】内側カバー層の半球は、射出成形によって成形した。約3.81cm(1.50インチ)の圧縮成形キャビティを使用して、内側カバー層を芯の上に圧縮成形した。圧縮成形サイクルは約160℃(華氏320度)で5分であり、続いて、600psiで9分間冷却した。
【0118】約3.98cm(1.57インチ)の平滑キャビティ射出成形型を使用して、内側カバー層の上に中間カバーを射出成形した。
【0119】6キャビティ金型を使用して各ボールの中間カバー層の上に外側カバー層を射出成形して、約4.26cm(1.68インチ)の最終ボールサイズのゴルフボールを形成した。従来の仕上げ技術を使用してボールを仕上げた。ゴルフボールの性質およびカバーの組成を以下、表10に示す。
【0120】実施例2〜4同じカバー層厚さでカバー層の種々の組み合わせを使用して、実施例1の手法を繰り返した。結果を表10に示す。
【0121】比較例AおよびB以下の表3に示す性質を有するゴルフボールの芯を形成した。芯は直径約3.73cm(1.47インチ)であった。この芯の上に、イオノマーの内側カバー層を射出成形し、続いて、イオノマーの外側カバー層を同じく射出成形した。内側カバー層および外側カバー層のイオノマー組成を表10に示す。
【0122】二重カバーをもつ二つのさらなるタイプのゴルフボールを形成した。この二つのさらなるタイプのゴルフボールの性質および組成を表10に示す。
【0123】比較例C以下に示す性質を有するゴルフボール芯を形成した。単一カバー層を芯の上に射出成形した。カバーの組成を得られたボールの性質とともに表10に示す。
【0124】
【表12】
【0125】実施例1〜4の3カバー層ボールは、スピン特性と触感特性との良好なバランスを提供する。実施例1および2を比較例Aと合わせて見ると、比較例Aのボールの、実施例1および2のボールに比べて高いPGAコンプレッションによって示されるように、比較例Aのボールが実施例1および2のボールに比べて触感および軟らかさに劣るということがわかる。比較例Bのボールは適度に良好なスピンと触感との組み合わせを有するが、いくらか低めのスピン速度が望まれる場合、実施例3のボールのほうが好ましい。実施例3のボールの低めのスピン速度は、ボールがそれほど高く上がらない傾向を示すため、着地したときのより長いころがりおよび風の強い条件でのより高い安定性を提供することができる。実施例4のボールは、比較例Bのボールよりも高いスピン速度を示す。これは、たとえば、十分なバックスピンをかけてゴルフボールをグリーン上で止めることを望む、スイング速度が遅いまたは中間のプレーヤに望ましいかもしれない。実施例4のゴルフボールのような高いスピン速度のゴルフボールは、短いショットで高いスピン速度を望むプレーヤにとって有用である。したがって、実施例4のゴルフボールは、非常に高速のスピン速度が望まれる場合、比較例Bのゴルフボールよりも優れている。比較例Cのゴルフボールは、すべてのショットで過度に高いスピン速度を有し、したがって、ドライバーショットで良好な飛距離を提供せず、短いショットでの高いスピン速度および長いショットでの低いスピン速度のような「可変スピン性」を得るのには有用ではない。
【0126】当業者には明らかであるように、請求の範囲に定義する本発明の範囲を逸することなく、上述した構造の種々の変更および応用が容易に理解されよう。
【出願人】 【識別番号】592046828
【氏名又は名称】リスコ、インコーパレイティド
【出願日】 平成10年(1998)3月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】真田 雄造 (外2名)
【公開番号】 特開平11−4916
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平10−102161