トップ :: A 生活必需品 :: A62 人命救助;消防




【発明の名称】 炭酸ガス消火設備用保安装置
【発明者】 【氏名】落合 克弘

【要約】 【課題】炭酸ガス消火設備を起動させる際に、防護区画内の在室者の確認を容易にして、炭酸ガスを放出するまでの時間を短縮し、安全性を向上させる。

【解決手段】防護区画の全ての出入口に入退室情報取込み装置3を設置して、各出入口で入室者のID情報および退室者のID情報を取り込む。入退室情報取込み装置3で得た情報を、炭酸ガス消火設備の押しボタン操作箱1内に設けた制御部31に入力して防護区画内の在室人数を計算する。押しボタン操作箱1に在室人数表示器35を設けて、制御部31で算出した在室人数を表示する。これにより押しボタン操作箱1で防護区画内の在室人数を知ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】炭酸ガス消火設備の消火範囲である防護区画の全ての出入口に設置され、各出入口における入室情報および退室情報を取り込む入退室情報取込み装置と、前記入退室情報取込み装置で得た入室情報および退室情報を入力して防護区画内の在室人数を計算する演算手段と、炭酸ガス消火設備の起動スイッチを納めた押しボタン操作箱に取り付けられ、前記演算手段で算出した在室人数を表示する表示器、を備えていることを特徴とする炭酸ガス消火設備用保安装置。
【請求項2】入退室情報取込み装置は、防護区画に出入りする者に持たせたIDカードの読み取り器を備えており、演算手段は、在室人数を計算するときに、入退室情報取込み装置で得たIDカードのデータを入力して入室者および退室者の確認を行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス消火設備用保安装置。
【請求項3】入退室情報取込み装置は、防護区画に出入りする者に持たせたIDカードの読み取り器と、入室するときに押す入室ボタンスイッチと、退室するときに押す退室ボタンスイッチとを備えており、計算手段は、在室人数を計算するときに、入退室情報取込み装置で得たIDカードのデータと、入室ボタンスイッチおよび退室ボタンスイッチの信号とで入室者および退室者の確認を行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス消火設備用保安装置。
【請求項4】IDカードは、ID番号が書き込まれたICチップとアンテナを備え、電波による給電で、非接触でICチップのデータの読み出しを行うものからなり、入退室情報取込み装置は、IDカード読み取り用送受信機とアンテナを備えていることを特徴とする請求項2または3記載の炭酸ガス消火設備用保安装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビルの電気室、機械室などの消火設備として設置されている炭酸ガス消火設備を、安全に起動するための保安装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】消火のため炭酸ガス消火設備を起動させる場合には、炭酸ガスが放出される防護区画内に在室者がいないことを目視で確認した上で、起動することになっている。また、防護区画内の在室者の有無を確認する手段としては、防護区画入口に回転灯を設置しておき、防護区画に入る者は入口で点灯スイッチを投入し、出るときは点灯スイッチを切ることにしておいて、回転灯が点灯しているか否かで在室者の有無を確認する方法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来のやり方では、実際に防護区画に入っている人の数を確認することができないため、退室の指示や、炭酸ガス消火設備の起動に手間取るという問題があった。また防護区画入口に在室者の有無を表示する回転灯を設置しておいても、退室時に回転灯を消し忘れたり、同じ時間帯に複数人が入室した場合に在室者がいるのに回転灯が消されたりするおそれがあり、信頼性の点で問題がある。
【0004】本発明の目的は、上記のような問題点に鑑み、炭酸ガス消火設備を起動する際に、より迅速な対応を可能にする保安装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭酸ガス消火設備用保安装置は、炭酸ガス消火設備の消火範囲である防護区画の全ての出入口に設置され、各出入口における入室情報および退室情報を取り込む入退室情報取込み装置と、前記入退室情報取込み装置で得た入室情報および退室情報を入力して防護区画内の在室人数を計算する演算手段と、炭酸ガス消火設備の起動スイッチを納めた押しボタン操作箱に取り付けられ、前記演算手段で算出した在室人数を表示する表示器、を備えていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】炭酸ガス消火設備にこの保安装置を付属させると、炭酸ガスを放出するための起動スイッチを納めた押しボタン操作箱に防護区画内の在室人数を表示することができるので、炭酸ガス消火設備を起動する際に、在室人数の確認、退室の指示、退室人数の確認を正確かつ迅速に行うことが可能となり、安全性が向上するだけでなく、起動までに要する時間を短縮することができる。
【0007】本発明の保安装置における入退室情報取込み装置は、防護区画に出入りする者に持たせたIDカードの読み取り器を備えたものとし、演算手段は、在室人数を計算するときに、入退室情報取込み装置で得たIDカードのデータを入力して入室者および退室者の確認を行うものとすることが好ましい(請求項2)。このようにすると、防護区画に誰が入室して、誰が退室したかを確認できるため、より正確に在室人数を表示することができる。
【0008】また、本発明の保安装置における入退室情報取込み装置は、防護区画に出入りする者に持たせたIDカードの読み取り器と、入室するときに押す入室ボタンスイッチと、退室するときに押す退室ボタンスイッチとを備えたものとし、計算手段は、在室人数を計算するときに、入退室情報取込み装置で得たIDカードのデータと、入室ボタンスイッチおよび退室ボタンスイッチの信号とで入室者および退室者の確認を行うものとすることがさらに好ましい(請求項3)。
【0009】また本発明の保安装置で使用するIDカードは、ID番号が書き込まれたICチップとアンテナを備え、電波による給電で、非接触でICチップのデータの読み出しを行うものからなり、入退室情報取込み装置は、IDカード読み取り用送受信機とアンテナを備えているものであることが好ましい(請求項4)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1〜図5は本発明の一実施形態を示す。図1は炭酸ガス消火設備用保安装置の全体構成を示す。この装置は、炭酸ガス消火設備の起動スイッチを納めた押しボタン操作箱1と、この押しボタン操作箱1に通信回線2を介して接続された複数台の入退室情報取込み装置3と、押しボタン操作箱1に通信回線4を介して接続された炭酸ガス消火設備制御盤5とから構成されている。入退室情報取込み装置3はそれぞれ、炭酸ガス消火設備の消火範囲である防護区画の出入口に設置されている。また入退室情報取込み装置3はそれぞれ、IDカードのデータを読み取るIDリーダー(送受信器とアンテナ)を備えている。炭酸ガス消火設備制御盤5は従来と同じもので本発明とは直接関係ない。
【0011】炭酸ガス消火設備の防護区画に出入りする者は全員、個人のID番号を記録したIDカードを所持しており、防護区画に入る時と出る時にIDカードを入退室情報取込み装置3に読み取らせるようになっている。
【0012】入退室情報取込み装置3は図2および図3のように構成されている。図2は内部構成を、図3(A)、(B)は外観を示している。図2および図3において、11は各種演算、制御を行うマイクロプロセッサ等からなる制御部、12はIDカード読み取り用送受信機、13はIDカード読み取り用アンテナ、14は入室ボタンスイッチ、15は退室ボタンスイッチ、16は在室者クリアーボタンスイッチ、17は記憶部、18は電源表示灯、19は読み取り表示灯、20は異常表示灯、21は通信制御器、22は安定化電源である。通信制御器23は押しボタン操作箱1とつながっており、安定化電源22は外部のDC電源23につながっている。入退室情報取込み装置3の正面には図3(A)に示すようにアンテナ13の位置を示す(IDカードをかざす範囲を示す)マーク13Mが描かれている。
【0013】電源表示灯18は電源が入っているときに点灯する。異常表示灯20は押しボタン操作箱1との通信が遮断されている場合に点灯する。読み取り表示灯19はIDカードのデータを読み取ったときに点灯する。防護区画に入室、退室する者はIDカードをマーク13Mに近づけたときに、読み取り表示灯19の点灯で読み取りを確認できる。
【0014】入室ボタンスイッチ14および退室ボタンスイッチ15はそれぞれ、押し込まれるとスイッチが入ってその状態を保持するようになっており、かつ、どちらか一方が押し込み状態にあるときに他方が押し込まれると一方が自動的に押し込み前の状態に復帰する(スイッチが切れる)ようになっている。これにより入室ボタンスイッチ14が押し込まれた後、退室ボタンスイッチ15が押し込まれるまでの間にIDカードがかざされた場合は入室ID情報が得られる。逆に退室ボタンスイッチ15が押し込まれた後、入室ボタンスイッチ14が押し込まれるまでの間にIDカードがかざされた場合には退室ID情報が得られる。
【0015】在室者クリアーボタンスイッチ16は押し込まれた時だけスイッチ16が入り、押し込み力がなくなれば自動的に元の状態に復帰してスイッチ16が切れるようになっている。
【0016】アンテナ13およびIDカード読み取り用送受信器12は、制御部11の指令によって例えば1秒間に10回の送信を行っている。アンテナ13の感度域にIDカードがかざれれると、IDカードは受信した電波でICチップの駆動用電力を蓄積し、ICチップの記憶部に格納されたデータを送信する。アンテナ13と送受信器12は、IDカードのデータを受信すると、それを制御部11に送る。制御部11は、このデータと、入室ボタンスイッチ14および退室ボタンスイッチ15の状態を、入室ID情報または退室ID情報として記憶部17に格納し、押しボタン操作箱1より送信要求があったときに、その情報を送信する。送信後は、記憶部17に格納していた情報を破棄する。
【0017】また在室者クリアーボタンスイッチ16が押されたときは、制御部11はその情報を記憶部17に格納し、押しボタン操作箱1より送信要求があったときに、その情報を送信する。送信後は、記憶部17に格納していた情報を破棄する。
【0018】また、押しボタン操作箱1は図4および図5のようになっている。図4は主要部の内部構成を、図5(A)、(B)は外観を示している。図4および図5において、31は各種演算、制御を行うマイクロプロセッサ等からなる制御部、32はそれぞれの入退室情報取込み装置3に対応する通信制御器、33は在室信号出力端子、34は記憶部、35は在室人数表示器、36は在室表示灯、37は外部の上位コンピュータ38につながる通信制御器、39は外部のDC電源40から電力供給を受ける安定化電源である。通信制御器32には複数台の入退室情報取込み装置3が接続されている。
【0019】また図5において、41は電源表示灯、42は起動表示灯、43は点検中表示灯、44は点検切替えスイッチ、45は電話ジャック、46は開閉扉であり、開閉扉46の中には準備操作スイッチ、起動スイッチ及び緊急停止スイッチが設けられている。これらは従来の押しボタン操作箱に設けられていたものと同じである。
【0020】押しボタン操作箱1の制御部31は、通信制御器32を制御して全ての入退室情報取込み装置3から順番に入室ID情報、退室ID情報を収集し、収集された情報をもとに在室人数を計算して、その結果を在室人数表示器35に表示する。また在室人数がゼロ以外のときは在室表示灯を点灯する。また必要に応じ、在室信号出力端子33から炭酸ガス消火設備制御盤5へ在室信号を送り、通信制御器37を通して上位コンピュータ38へ在室人数、入室ID情報、退室ID情報などを送信する。
【0021】制御部31による制御は次のように行われる。いずれかの入退室情報取込み装置3から入室ID情報が入力された場合には、記憶部34を参照し、記憶部34に入室ID情報が全く格納されていないときは、この入室ID情報を記憶部34に格納すると共に、在室人数表示器35の表示を1人とし、在室表示灯36を点灯し、炭酸ガス消火設備制御盤5へ在室者有りの信号を出力する。
【0022】その後、いずれかの入退室情報取込み装置3から入室ID情報が入力された場合には、記憶部34に同一の入室ID情報がないことを確認した上で、この入室ID情報を記憶部34に格納し、在室人数を1人加算し、在室人数表示器35の表示を2人とする。以下、いずれかの入退室情報取込み装置3から入室ID情報が入力された場合も同様の処理を行う。
【0023】また、既に入室している者が故意または過失で、入室ボタンスイッチ14が押されているときに自己のIDカードを入退室情報取込み装置3のアンテナマーク13Mにかざしてしまったような場合には、制御部31が入力された入室ID情報を記憶部34に照会すると、記憶部34には同一の入室ID情報があることになる。この場合は、新たに入力された入室ID情報を記憶部34に格納せず、在室人数表示器35の表示も変更しない。
【0024】次に、在室者が退室するときは、いずれかの入退室情報取込み装置3から退室ID情報が入力される。すると制御部31は、記憶部34に同じID番号の入室ID情報があることを確認した上で、この入室ID情報を記憶部34から消去すると共に、在室人数を1人減算し、在室人数表示器35の表示を1人減らす。以下、いずれかの入退室情報取込み装置3から退室ID情報が入力された場合も同様の処理を行う。
【0025】また既に退室した者または入室していない者が故意または過失で、退室ボタンスイッチ15が押されているときに自己のIDカードを入退室情報取込み装置3のアンテナマーク13Mにかざしてしまったような場合には、制御部31が入力された退室ID情報を記憶部34に照会すると、記憶部34に同じID番号の入室ID情報がないことになる。この場合は、記憶部34の内容を変更せず、在室人数表示器35の表示も変更しない。
【0026】次に、制御部31が、記憶部34に入室ID情報が全くなくなったことを確認したときは、在室人数表示器35の表示を0人とし、在室表示灯36を消灯し、炭酸ガス消火設備制御盤5へ在室者有りの信号を出力するのを停止する。
【0027】また退室者が故意または過失によって退室時に決められた動作を行わなかったときは、防護区画内に在室者がいないことを確認した上で、入退室情報取込み装置3の在室者クリアーボタンスイッチ16を押す。すると制御部11は在室者クリアー情報を押しボタン操作箱1に伝送する。押しボタン操作箱1では、在室者クリアー情報が入ると、記憶部34にある入室ID情報を全て消去し、在室人数表示器35の表示を0人とし、在室表示灯36を消灯し、炭酸ガス消火設備制御盤5へ在室者有りの信号を出力するのを停止する。
【0028】以上のようにすれば、押しボタン操作箱1の在室人数表示器35に防護区画内の在室人数を表示することができるので、火災が発生して炭酸ガス消火設備を起動する際に、在室者の退室指示、退室確認などで迅速な対応をとることができると共に、安全性を確保することができる。
【0029】なお上記の実施形態では、1台の入退室情報取込み装置で、入室ID情報と退室ID情報を取り込むこととしたが、入室情報取込み装置と退室情報取込み装置を1組とし、入室情報取込み装置を防護区画の出入口の外側に設置し、退室情報取込み装置を同じ出入口の内側に設置して、外側を入室ID情報取込み専用、内側を退室ID情報取込み専用にすることもできる。この方が誤りが発生しにくいという利点がある。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、炭酸ガス消火設備の押しボタン操作箱に防護区画の在室人数を表示することができるので、炭酸ガスの放出を開始する前に、在室者への退室指示を迅速に行うことができると共に、在室者の退室の確認を正確に行うことができる。このため在室者の安全を確保できると共に、炭酸ガスの放出を開始するまでの時間を短縮することができる。
【出願人】 【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】若林 広志
【公開番号】 特開平11−89962
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−253673