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【発明の名称】 体外循環回路の圧テスト方法及び圧テスト装置
【発明者】 【氏名】大川 鋭

【氏名】大原 澄夫

【要約】 【課題】同一の圧テストで機能部品の取付忘れや二重取付等のリーク以外のアッセンブリーの不具合をも検知でき、リーク品を合格と判定してしまう可能性をほとんど皆無にし得る体外循環回路の圧テスト方法及び圧テスト装置を提供する。

【解決手段】各種機能部品の取り付けによるアッセンブリーで形成された体外循環回路の少なくともリークを検知し得る圧テスト方法であって、弁を有するエアー流入口と回路接続口とを有する定容量のエアータンクにエアーを供給し、エアータンクの内圧を一定に保持した後に、エアータンクの回路接続口に接続された被試験回路に、エアータンクの回路接続口を開放することによってエアー圧を供給すると共に、圧モニターでエアー圧の圧降下量を検出し、該検出値を予め設定した基準値と比較することによって、被試験回路のリークの他に機能部品の取付忘れや二重取付等の不具合を検知することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】各種機能部品の取り付けによるアッセンブリーで形成された体外循環回路の少なくともリークを検知し得る圧テスト方法であって、弁を有するエアー流入口と回路接続口とを有する定容量のエアータンクにエアーを供給し、エアータンクの内圧を一定に保持した後に、エアータンクの回路接続口に接続された前記被試験回路に、エアータンクの回路接続口を開放することによってエアー圧を供給すると共に、圧モニターでエアー圧の圧降下量を検出し、該検出値を予め設定した基準値と比較することによって被試験回路の不具合を検知することを特徴とする体外循環回路の圧テスト方法。
【請求項2】前記検出値が、前記基準値に対して所定値少ない値で平衡になった場合に前記機能部品の二重取付であると判定し、基準値に対して所定値多い値で平衡になった場合に機能部品の取付忘れであると判定することを特徴とする請求項1記載の体外循環回路の圧テスト方法。
【請求項3】各種機能部品の取り付けによるアッセンブリーで形成された体外循環回路の少なくともリークを検知し得る圧テスト装置であって、開閉機構を有するエアー流入口と前記アッセンブリーからなる被試験回路が接続される回路接続口とを有する定容量のエアータンクと、該エアータンクから前記被試験回路に供給されるエアー圧を検出し得る圧モニターとを具備し、前記圧モニターで検出されたエアー圧の圧降下量を予め設定した基準値と比較することによって、被試験回路の不具合を検知することを特徴とする体外循環回路の圧テスト装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透析等に使用される体外循環回路を形成するアッセンブリーの不具合を検知し得る圧テスト方法及び圧テスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、透析等に使用される体外循環回路は、チューブ部分とサンプリングや薬液の注入に使用するゴムボタン部、患者との接続部分であるシャント継手部、血液をローラポンプで送るためのポンプしごき部、気泡や異物等を除去するドリップチャンバ部、回路内が陰圧になったことを検出する陰圧検出部及び血液を浄化するダイアライザー等の各種機能部品を取り付けたアッセンブリーによって形成されている。そして、このようなアッセンブリーの製造段階における製品検査の一つとして圧テストが行われている。
【0003】従来、この圧テスト方法は、図5に示すように、アッセンブリーされた回路51(被試験回路51という)と、この被試験回路51と同容積を持った回路52(あるいは被試験回路51同士)を用いて行われ、両回路51、52を、電磁弁55を介して空圧源56に接続された電磁弁53、54に接続すると共に、両回路51、52間に差圧センサ57を接続する。
【0004】そして、電磁弁53〜55を開いて、図6に示すように、時間t1からt2の間で両回路51、52を一定圧まで加圧し、電磁弁53〜55を閉じてこの圧を時間t2からt3の間一定に保持する。なお、図6において時間t1からt2の間が1本の直線になっているのは、被試験回路51側の圧力と回路52側の圧力が同時に同圧で上昇していることを示している。
【0005】このような圧力特性において、例えば被試験回路51に大リークがあった場合には、被試験回路51側の圧力が図7の波線で示すように時間t2から下降し、回路52側の一定圧力に対して差圧P1が発生する。また、被試験回路51に小リークがあった場合には、差圧センサ57の感度を上げることにより、被試験回路51側の圧力が図7の二点鎖線で示すように時間t3以降で下降し、回路52側の一定圧力に対して差圧P2が発生する。したがって、差圧センサ57で検出される差圧P1によって大リークが検知され、差圧P2によって小リークが検知されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような圧テスト方法にあっては、被試験回路51のリーク(回路51内からのエアーの漏れ)の検知はできるものの、リーク以外の被試験回路51の不具合を検知することができないという問題点があった。すなわち、体外循環回路を形成し得る被試験回路51は、前述したように多数の機能部品で構成されており、被試験回路51に例えば機能部品の取付忘れや二重取付等の不具合があっても、同容積を持った回路52との差圧でのバランステストであるため、これらの不具合を圧テストで検知することはできない。
【0007】また、圧テストが被試験回路51とこの被試験回路51と同容積を持った回路52との差圧でのバランステストであることから、同容積を持った回路52が圧テスト中にリークし、また同様の程度で被試験回路51がリークしていた場合、差圧が合格範囲内であれば、リーク品を合格と判定してしまう可能性を持っているという問題点もあった。
【0008】そこで、回路52のリークによる問題点を解消するために、例えば被試験回路51と同容積を持った回路52をリークのないタンクに置き換える方法も考えられるが、この場合は、様々な容積の被試験回路51があることから、タンクと被試験回路51を同時に加圧する上記の方法では、所定圧まで上昇するのにタンクと被試験回路51とでは時間が異なり、試験時間にバラツキが生じる。
【0009】そのため、被試験回路51の容積に合わせて同時間で所定圧まで加圧されるようにタンクへの空気流入量を調整する必要が生じ、圧テストにかえって煩わしさを伴うことになる。また、この方法でも、リークのないタンクを使用していることから、リーク品を合格と判定してしまう可能性は減少するものの、タンクと被試験回路との差圧でのバランステストであることには変わりはなく、リーク以外のアッセンブリーの不具合までを検知することはできない。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、請求項1ないし3記載の発明の目的は、同一の圧テストで機能部品の取付忘れや二重取付等のリーク以外のアッセンブリーの不具合をも検知でき、リーク品を合格と判定してしまう可能性をほとんど皆無にし得る体外循環回路の圧テスト方法及び圧テスト装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、各種機能部品の取り付けによるアッセンブリーで形成された体外循環回路の少なくともリークを検知し得る圧テスト方法であって、弁を有するエアー流入口と回路接続口とを有する定容量のエアータンクにエアーを供給し、エアータンクの内圧を一定に保持した後に、エアータンクの回路接続口に接続された被試験回路に、エアータンクの回路接続口を開放することによってエアー圧を供給すると共に、圧モニターでエアー圧の圧降下量を検出し、該検出値を予め設定した基準値と比較することによって被試験回路の不具合を検知することを特徴とする。
【0012】また、請求項2記載の発明は、検出値が、基準値に対して所定値少ない値で平衡になった場合に機能部品の二重取付であると判定し、基準値に対して所定値多い値で平衡になった場合に機能部品の取付忘れであると判定することを特徴とする。
【0013】このように構成することにより、弁を開きエアー流入口からエアータンクに一定圧のエアーを供給して、定容量のエアータンクの内圧を一定に保持し、この状態でエアータンクの例えば2つの回路接続口に接続されたアッセンブリーからなる被試験回路にエアー圧を供給すると、エアータンク内のエアー圧が圧モニターで検出される。この検出されたエアー圧の圧降下量で被試験回路のリークが検知されると共に、例えば検出値と予め設定した基準値とを比較することによって、アッセンブリーの機能部品の取付忘れや二重取付等の不具合が同一の圧テストで検知される。この圧テストにおける合否の判定は予め被試験回路に応じて設定した基準値との比較であることから、リーク品を合格と判定する可能性がほとんど皆無となる。
【0014】また、請求項3記載の発明は、各種機能部品の取り付けによるアッセンブリーで形成された体外循環回路の少なくともリークを検知し得る圧テスト装置であって、開閉機構を有するエアー流入口とアッセンブリーからなる被試験回路が接続される回路接続口とを有する定容量のエアータンクと、該エアータンクから被試験回路に供給されるエアー圧を検出し得る圧モニターとを具備し、圧モニターで検出されたエアー圧の圧降下量を予め設定した基準値と比較することによって、被試験回路の不具合を検知することを特徴とする。
【0015】このように構成することにより、エアータンクの例えば2つの回路接続口に採血側コネクター等の一方の開口部と返血側コネクター等の他方の開口部とが接続されたアッセンブリーからなる被試験回路は、定容量のエアータンクから一定のエアー圧が供給され、このエアー圧の圧降下量が圧モニターで検出される。そして、圧モニターで検出される圧降下量と予め設定した基準値とを比較することによって、被試験回路のリークや機能部品の取付忘れ、二重取付等の不具合が同一の圧テストで検知され、圧テストが予め被試験回路に応じて設定した基準値との比較であることから、リーク品を合格と判定してしまう可能性がほとんど皆無となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係わる体外循環回路の圧テスト装置の回路例を示す概略構成図である。
【0017】図1において、圧テスト装置1は、所定の定容積を有するエアータンク2と、例えばこのエアータンク2内に一体的に配置された圧モニター3とで構成されている。エアータンク2は、開閉操作可能な空気弁6を有するエアー流入口5と、被試験回路8が接続される2つの回路接続口4、7を有し、回路接続口4には電磁弁10が設けられ、回路接続口7には電磁弁9が設けられている。また、圧モニター3は、例えばエアータンク2内のエアー圧を計測し得るように配置され、図示しない被試験回路8内のエアー圧を指示する指示計と、後述する圧降下量の基準値を設定する設定器等が設けられている。
【0018】図2は、この圧テスト装置1による圧テスト方法の手順の一例を示すフローチャートである。以下、これについて説明する。先ず、エアータンク2の回路接続口4、7に設けられている電磁弁9、10を閉じ(S101)ると共に、空気弁6を開いて(S102)、エアータンク2内に図示しないコンプレッサー等からエアーを供給する。そして、エアータンク2内のエアー圧が所定圧になった時点で空気弁6を閉じ(S103)、エアータンク2の内圧を所定圧に保持(S104)する。
【0019】次に、体外循環回路の各種機能部品が接続されたアッセンブリーからなる被試験回路8を、エアータンク2の回路接続口4、7に接続(S105)する。この時、被試験回路8の一方の開口部である採血側コネクター(図示せず)をエアータンク2の回路接続口4に接続し、他方の開口部である返血側コネクター(図示せず)を回路接続口7に接続する。そして、例えば被試験回路8に輸液ライン等の開放ラインがある場合には、予め定めた位置でクランプするか、開放ラインの末端部分の部品取付忘れ等を見知するように開放部分をシールする適宜の部品を用いてシールする。
【0020】被試験回路8が接続されたら、この被試験回路8の容積増加分による圧降下量を合格値(基準値)として前記設定器で圧モニター3に設定(S106)し、その後、エアータンク2の回路接続口4、7に設けられている電磁弁9、10を開き(S107)、被試験回路8にエアータンク2から所定圧のエアーを供給する。これにより、エアータンク2の2つの回路接続口4、7間に接続された被試験回路8内に、回路接続口4、7から矢印イの如く所定圧のエアーが供給され、エアータンク2の内圧が被試験回路8の容積増加分に応じて降下し始める。
【0021】そして、この圧降下量を圧モニター3によって所定時間検出(S108)し、この圧降下量の検出値と設定した合格値とを比較して、被試験回路8の合否を判定(S109)する。これにより、一つの被試験回路8の圧テストが終了し、この圧テストが終了した後は直ちにステップ101に戻り、次の被試験回路8を同様にして圧テストする。
【0022】すなわち、上記の圧テスト方法によれば、従来のように、リークがないことを予め確認した被試験回路8あるいは同容積を持った回路と被試験回路8の圧降下量との比較(バランステスト)ではなく、エアータンク2と被試験回路8を接続及び開放することによって、被試験回路8の容積増加分の圧降下量でリーク判定や機能部品の取付忘れ及び二重取付の有無の判定を行うようにしたものである。
【0023】
【実施例】図3は、被試験回路8に機能部品の取付忘れ及び二重取付等の不具合があった場合の、圧モニター3で検出した圧降下量のデータを示すグラフであり、横軸の時間で括弧内に示す数字は、時間t1〜t2で一定圧まで加圧した後の(時間t2を0とした)経過時間の一例を示している。また、グラフの折れ線aが二重取付品の圧降下量を、折れ線bがリーク品の圧降下量を、折れ線cが取付忘れ品の圧降下量を、折れ線dが合格品(正常品)の圧降下量を示している。
【0024】この実施例のエアータンク2としては、容積が40ml〜50mlで体外循環回路(アッセンブリー)の容積と同程度に設定され、折れ線aと、折れ線cは、この体外循環回路において容積が1〜2mlと最も小さい容積の機能部品が二重取付された場合と取付忘れされた場合を示している。
【0025】このグラフから明らかなように、折れ線aに示す機能部品の二重取付の場合は、合格品dの圧降下量よりも約5mmHg少ない圧で圧平衡となり、折れ線cに示す取付忘れの場合は、合格品dの圧降下量より約5mmHg高い圧で平衡になることがわかる。この圧降下量の差によって、機能部品の二重取付や取付忘れが検知される。なお、機能部品の容積が2mlより大きい場合は、合格品との圧降下量の差がさらに大きくなり、その二重取付や取付忘れがより確実に検知されることになる。また、折れ線bに示すリーク品については、平衡にならず経時的に圧が降下するため、被試験回路8の不具合が容易に検知される。
【0026】このように、上記実施例の体外循環回路の圧テスト方法及び圧テスト装置1によれば、定容量のエアータンク2の回路接続口4と回路接続口7との間に被試験回路8を接続して、圧モニター3で圧降下量を検出すると共に、この検出値と予め設定した基準値(合格品の圧降下量)を比較して被試験回路8の不具合を判定するため、被試験回路8のリーク検知は勿論のこと、機能部品の取付忘れや二重取付を同一の圧テストで検知することができるし、部品やチューブの閉塞に関しても検知することができる。
【0027】また、圧テストが従来のようなバランステストでなく、被試験回路8を個々にテストし予め被試験回路8の容積増加分に応じて設定してある基準値と比較して判定するため、被試験回路8のリーク品を合格と判定してしまう可能性をほとんど皆無にすることができる。さらに、定容量のエアータンク2を使用し、被試験回路8の容積増加分に応じて基準値を設定するだけで圧テストを行うことができるため、従来のように被試験回路8と同容積を持った回路あるいはタンク等を使用したり、タンクへの空気の流入量を調整する必要がなくなり、圧テストにおける煩わしさを解消することができる。
【0028】また、検出した圧降下量と基準値との差によって被試験回路8の不具合を判定する方法であるため、各不具合に対応した基準値(合格品との差)を予め実験等によって求めることにより、例えばダイアライザーの糸本数不足等の不具合検知をリーク検知と同一の圧テストで行うこともできる。
【0029】なお、以上の例においては、圧モニター3をエアータンク2内に一体的に設けたが、エアータンク2から被試験回路8に供給されるエアー圧を検出し得る適宜位置に設けることができるし、エアータンク2に設ける回路接続口4、7は、2つ(1対)に限らず、複数対設け各回路接続口4、7に対して圧モニター3をそれぞれ配置すれば、複数の被試験回路8の圧テストを並行して行うことが可能になる。
【0030】図4は、本発明に係わる圧テスト装置の他の例を示す図1と同様の概略構成図である。この圧テスト装置1の特徴は、エアータンク2に一つの回路接続口4を設け、圧モニター3に回路接続口7を設けると共にこれをエアータンク2とは別体に形成し、エアータンク2の回路接続口4と圧モニター3の回路接続口7との間に被試験回路8を接続するようにした点にある。したがって、この圧テスト装置1によれば、接続された被試験回路8に関する最終到達圧力が圧モニター3によって検出されることになり、この検出された圧力を基準値と比較することによって、被試験回路8の各種不具合が上記実施例と同様に検知される。
【0031】なお、上記各実施例における、圧テスト装置1の回路例及び該回路による圧テスト方法は一例であって、本発明の圧テスト方法を実施し得る適宜の回路を使用することができるし、圧テスト方法も上記の例に限定されるものでもない。また、上記各実施例におけるエアータンク2の容量等の構成、圧モニター3の構成等も一例であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1または2記載の発明によれば、一定圧に保持された定容量のエアータンクから、該タンクの回路接続口に接続された被試験回路にエアーを供給し、その圧降下量を圧モニターで検出するため、この検出される圧降下量によって被試験回路のリークを検知することができると共に、例えば検出値と予め被試験回路に応じて設定した基準値とを比較することによって、アッセンブリーの機能部品の取付忘れや二重取付等の不具合を同一の圧テストで検知することができ、リーク品を合格と判定してしまう可能性をほとんど皆無にすることができる。
【0033】また、請求項3記載の発明によれば、エアータンクの回路接続口に接続された体外循環回路のアッセンブリーからなる被試験回路に、エアータンクから一定のエアー圧が供給され、このエアーの被試験回路による圧降下量を圧モニターで検出すると共に、圧降下量と予め被試験回路に応じて設定した基準値とを比較するため、被試験回路のリークや機能部品の取付忘れ、二重取付等の不具合を同一の圧テストで検知することができ、リーク品を合格と判定してしまう可能性をほとんど皆無にすることができる等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
【出願日】 平成11年(1999)2月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
【公開番号】 特開平11−342197
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平11−45666