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【発明の名称】 殺菌装置
【発明者】 【氏名】大北 耕三

【要約】 【課題】容器、キャップ、食品等の種々のものに適用可能であり、簡易且つ殺菌能力の高い殺菌装置の提供。

【解決手段】内容物を充填する前の容器12を支持し反転させる反転機構4と、反転機構4によって斜め下方に反転された容器12の内部に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧する第1のノズル5と、第1のノズル5によるアルコールの噴霧の後、正立させた容器12の内部に不活性ガスを充填する第3のノズル7と、充填用ノズル8により内容物が充填された容器12を密封するキャップ91の裏面に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧する第2のノズル11とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被殺菌物を殺菌するための殺菌装置であって、不活性ガスを噴射する噴射手段と、前記噴射手段により噴射される不活性ガスとアルコールとを混合することにより、不活性ガスを媒体としてアルコールを前記被殺菌物に噴霧する噴霧手段とを備える殺菌装置。
【請求項2】 前記被殺菌物は、内部に内容物が充填される容器であり、前記容器を支持し少なくとも斜め下方まで反転させる反転手段をさらに備え、前記噴霧手段は、前記反転手段により少なくとも斜め下方まで反転された容器内部に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧することを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器、キャップ、食品等の種々のものに適用可能な殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料、食料品等を充填する容器であるガラス製の瓶、缶、プラスチックボトル等の殺菌方法として、熱水又は蒸気等により容器を加熱する方法や、過酸化水素水等の薬剤を容器に接触させる方法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記加熱による殺菌方法は、ガラス製の瓶や缶等、耐熱性の高い素材からなる容器にしか適用することが困難である。また、加熱装置や熱水の回収装置等の大がかりな設備を必要とし、設備費用が高騰するという欠点を有する。
【0004】また、過酸化水素水等の薬剤による殺菌方法は、飲料や食料品の風味劣化の問題があり、また、残留する薬剤の健康への影響等の問題があることから、殺菌後に食品容器を洗浄して薬剤を除去するためのリンス設備、乾燥設備を設置することが必要である。したがって、無菌充填設備が複雑化すると共に、設備費用が高騰するという欠点を有する。
【0005】本発明は、上記従来技術の欠点を解消するべくなされたもので、容器、キャップ、食品等の種々のものに適用可能であり、簡易且つ殺菌能力の高い殺菌装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するべく、本発明は、被殺菌物を殺菌するための殺菌装置であって、不活性ガスを噴射する噴射手段と、前記噴射手段により噴射される不活性ガスとアルコールとを混合することにより、不活性ガスを媒体としてアルコールを前記被殺菌物に噴霧する噴霧手段とを備える殺菌装置を提供するものである。
【0007】かかる発明によれば、殺菌剤として揮発性を有するアルコールを使用し、且つ不活性ガスを媒体として噴霧するため、殺菌後直ぐにアルコールは蒸発し、前述の従来技術における薬剤の残留の問題が生じ難い。また、アルコールを噴霧するため、容器内部等の被殺菌物を均一に殺菌することができるという利点も有する。さらに、従来の加熱による殺菌方法のように耐熱性の高い被殺菌物に限定されることもなく、加熱装置等の大がかりな設備も必要としない。したがって、容器、キャップ、食品等種々のものに適用可能で、且つ、設備を簡略化することができる。
【0008】好ましくは、前記被殺菌物は、内部に内容物が充填される容器であり、前記殺菌装置は、前記容器を支持し少なくとも斜め下方まで反転させる反転手段をさらに備え、前記噴霧手段は、前記反転手段により少なくとも斜め下方まで反転された容器内部に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧する。
【0009】かかる発明によれば、容器が斜め下方に反転するため、殺菌と共に、容器内部に蓄積された粉塵等を容器外部に排斥することが可能となる。
【0010】好ましくは、前記反転手段は、前記容器を周方向に回転させる。
【0011】かかる発明によれば、アルコールの噴霧と共に容器を回転させることにより、容器内部全体をより均一に殺菌することができる。
【0012】好ましくは、前記殺菌装置は、容器内部へのアルコールの噴霧の後、前記反転手段により正立させた後の前記容器の内部に、前記不活性ガスを充填する。
【0013】かかる発明によれば、アルコールの噴霧の後、さらに不活性ガスのみを容器内部に充填するため、アルコールをより完全に蒸発させることができると共に、不活性ガスにより雑菌の増殖を防止することができる。
【0014】前記不活性ガスは、二酸化炭素又は窒素とすることが経済的であり好ましい。
【0015】好ましくは、前記被殺菌物は、容器の蓋とされ、容器への内容物の充填後、殺菌された蓋を打栓することにより、容器に内容物を無菌充填することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る殺菌装置を組み込んだ液体用充填装置の一実施形態を示す正面図である。図2は、図1のC−C線に沿った横断面図である。また、図3は、図1に示す液体用充填装置の左側面図である。図1から図3に示すように、液体用充填装置1は、入側の容器搬送機構21、出側の容器搬送機構22、支持台3、容器の反転機構4、第1のノズル5、回転テーブル6、第3のノズル7、液体充填用ノズル8、キャップ供給装置9、キャップ冠着機構10及び第2のノズル11を備え、液体を無菌充填することが可能である。この内、本発明に係る殺菌装置は、容器12の口部を斜め下方に向ける反転機構4と、反転機構4により口部が斜め下方に向けられた容器12の内部に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧する第1のノズル5と、第1のノズル5によるアルコールの噴霧後、反転機構4により正立させた状態の容器12内部に不活性ガスを噴射する第3のノズル7と、液体が充填された後の容器12を密封するキャップ91の裏面に不活性ガスを媒体としてアルコールを噴霧する第2のノズル11とによって構成される。以下、本装置1による容器の無菌充填について詳細に説明する。
【0017】液体を充填する前の容器12は、容器搬送機構21上を図2の矢符の方向に流れ、反転機構4の側方まで搬送される。次に、容器12は、容器搬送機構21に併設されたエアシリンダ機構211の進行により反転機構本体41内に押し込まれる。反転機構本体41の底部に設けられた軸受け43は、支持台3の一端に設けられた軸31と嵌合しており、反転機構本体41は、軸31を中心として回動可能である。反転機構本体41の回動は、反転機構本体41の一端に結合されたシリンダ機構42の進退により行われる。図3に示すように、反転機構本体41は、エアシリンダ機構211により、反転機構本体41内に押し込まれた容器12を支持した状態で、容器12の軸線が鉛直下方向に対し60度の角度をなすように斜め下方に回動する。回動に要する時間は、0.5秒〜1秒とされている。本発明は、これに限らず、他の回動角度とすることも可能であるが、殺菌効率と設置スペースや充填サイクルの時間等とを比較考量すれば、本実施形態のように鉛直下方向に対し60度程度の角度をなすように回動することが好ましい。
【0018】図4は、容器12を支持した状態の反転機構4の正面図である。図5は、図4のD−D線に沿った縦断面図である。容器12は、図4の上方に位置する6個のローラ44と下方に位置する3個のローラ45とで挟持されている。ローラ44が各々3個ずつ取り付けられた2つの回転軸441は、ローラ支持部材442に軸支されており、ローラ支持部材442は、エアシリンダ機構443によって図4の上下方向に昇降する。前述のようにエアシリンダ機構211によって容器12が反転機構本体41内に押し込まれる際には、前記ローラ支持部材442は、上昇位置にあり、容器12が押し込まれた後、下方に降下してローラ44、45によって容器12を挟持する。後述のように、第1のノズル5が容器12内部にアルコールを噴霧する際には、ローラ45の取り付けられた回転軸451が駆動源452によって回転して、容器12を回転させ、ローラ44は容器12の外周面に倣って回転する。本実施形態における駆動源452は、防湿性を考慮し、エアシリンダ機構の直線運動を当該機構に結合したワンウェイクラッチ及びクランクシャフトを介して回転運動に変換し、当該回転運動を回転軸451に伝達する構成とされている。
【0019】図3に示すように、第1のノズル5は、該ノズルを進退可能にするエアシリンダ機構と共に反転機構本体41の側面に向けて取り付けられ、該側面に設けられた開口46を通って反転機構本体41内に支持された容器12内部に進退可能とされている。第1のノズル5は、容器12の口部から内部に進入した後、二酸化炭素又は窒素を媒体としてアルコールを噴霧し、これにより容器12内部の殺菌を行う。本実施形態では、容器12内部全体の殺菌効率を高めるため、第1のノズル5の先端を容器12の底部から全高の1/3程度の位置まで進入させることとしている。また、媒体である二酸化炭素又は窒素を濾過するべく、本実施形態では、液化二酸化炭素又は液化窒素ボンベからポリオレフィン系素材のフィルター(例えば、ダイワボウ製カートリッジフィルター「SEKISO」)を通して濾過した後、第1のノズル5に注入している。噴霧用アルコールとしては、エタノール等種々のアルコールを使用することができるが、好適には、安全性を考慮し、発火点を上げるため、消毒用アルコールと有機酸を混合したアルコール製剤(日本標準商品分類番号872615)を使用する。図6は、第1のノズル5の構造を模式的に表した部分断面図である。第1のノズル5は、アルコールと二酸化炭素又は窒素とを混合する基部51と、基部51の先端に結合された管状部材52とを備えている。濾過後の二酸化炭素又は窒素が基部51の注入口511から注入され、注入口512から注入されたアルコールを射出口513を介して環状部材52の先端から噴霧する構成となっている。本実施形態では、基部51として、スプレーイングシステムズジャパン株式会社製B1/4J+SUを使用し、管状部材52として、内径5mm、外径7mmのステンレス管を使用している。第1のノズル5は、1kg/cm2以上の圧力(ゲージ圧)の二酸化炭素又は窒素を媒体として、アルコールを粒径0.2mm以下のミスト状態で1秒〜2秒程度噴霧し、これと共に、ローラ45により容器12が回転して、容器12内部全体が均一に殺菌される。なお、管状部材52の内面に軸方向螺旋状の溝加工を施せば、アルコールが螺旋状に噴霧され、容器12内部全体をより均一に殺菌することができる。殺菌が終了した後、第1のノズル5は、容器12外部に退行し、反転機構本体41は、エアシリンダ機構42の進行によって元の位置に戻される。容器12を反転機構本体41に押し込んでから、上記元の位置に戻されるまでの所要時間は6秒〜10秒程度とされている。
【0020】次に、容器12は、エアシリンダ機構211により、回転テーブル6の周縁に設けられた凹部61に押し込まれる。回転テーブル6は、インデックスモータ61によって図2の矢符の方向に回転し、容器12を第3のノズル7の直下に移動させる。
【0021】第3のノズル7は、図6に示す第1のノズル5と同様の構造を有するが、基部51の注入口512が閉じられた状態で、二酸化炭素又は窒素のみを容器12内部に噴射するものである。これにより、第1のノズル5により噴霧されたアルコールがより完全に蒸発すると共に、第3のノズル7直下に移動するまでに容器12内部に侵入した空気を不活性ガスに置換することが可能となる。第3のノズル7は、エアシリンダ機構により容器12の口部から、容器12の底部から全高の1/3程度の位置まで下降し、1kg/cm2以上の圧力(ゲージ圧)の二酸化炭素又は窒素を0.5秒〜2秒程度噴射する。第3のノズル7は、二酸化炭素又は窒素の噴射後、容器12の外部へ上昇する。
【0022】次に、容器12は、回転テーブル6によって、液体充填用ノズル8の直下へと移動し、容器12内に液体が充填される。
【0023】液体が充填された容器12は、回転テーブル6によって、キャップ冠着位置Aへ移動する。一方、容器12に冠着されるキャップ91は、キャップ供給装置9からキャップ吸着位置Bへ順次排出される。キャップ冠着機構10は、キャップ吸着位置Bへ移動し、電磁力によりキャップ91を吸着する。なお、本実施形態では、磁性体のキャップ91を使用しているため、電磁力によりキャップ91を吸着することとしているが、圧力差を利用したエア吸引によりキャップ91を吸着することとしてもよい。キャップ91を吸着した状態のキャップ冠着機構10は、キャップ冠着位置Aに向かって移動し、AB間に位置する第2のノズル11の直上で停止する。
【0024】第2のノズル11は、図6に示す第1のノズル5と同様の構造を有するが、管状部材52として、内径4mmのナイロンチューブを使用している。第2のノズルは、先端がキャップ裏面から10mm〜30mm程度離された位置に配置され、キャップ91の裏面に1kg/cm2以上の圧力(ゲージ圧)の二酸化炭素又は窒素を媒体としてアルコールを0.3秒以上噴霧する。
【0025】第2のノズル11によるアルコールの噴霧の後、キャップ冠着機構10は、キャップ冠着位置Aに移動する。キャップ冠着位置Aにおいて、キャップ冠着機構10は、液体が充填された容器12の口部に向けて下降し、キャップ91を冠着した後、キャップ91の吸着を解除して上昇する。
【0026】なお、容器12が回転テーブル6の周縁に設けられた凹部61に押し込まれてから、キャップ91が冠着されるまでに要する時間は、およそ8秒〜15秒程度とされている。
【0027】以上に述べた工程が、容器搬送機構21によって順次搬送される容器12及びキャップ供給装置9によって順次排出されるキャップ91に対して繰り返され、連続的に容器の無菌充填が行われる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る殺菌装置は、殺菌剤として揮発性を有するアルコールを使用し、且つ不活性ガスを媒体として噴霧する構成であるため、殺菌後直ぐにアルコールは蒸発し、従来のような薬剤の残留の問題が生じ難い。また、アルコールを噴霧するため、被殺菌物を均一に殺菌することができるという利点も有する。さらに、従来の加熱による殺菌方法のように耐熱性の高い被殺菌物に限定されることもなく、加熱装置等の大がかりな設備も必要としない。したがって、容器、キャップ、食品等種々のものに適用可能で、且つ、設備を簡略化することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】592180694
【氏名又は名称】株式会社大北耕商事
【出願日】 平成10年(1998)4月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外10名)
【公開番号】 特開平11−299873
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−107399