トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 粉粒体の殺菌方法
【発明者】 【氏名】脇屋 和紀

【氏名】近藤 直樹

【氏名】井沼 力哉

【要約】 【課題】本発明の課題は、簡便な装置を利用して、サニタリー性に優れたコンタミの虞のない粉粒体の殺菌方法を提供することである。

【解決手段】粉粒体を螺旋リボン翼によって容器周壁に沿って上方に押し上げ、案内板によって周壁部から中心部に導くように撹拌混合しながら、周壁から伝導伝熱加熱して粉粒体を昇温するとともに、容器下部から過熱蒸気を導入して殺菌することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁に加熱手段を有し、容器内部には、容器上蓋から回転軸を懸垂し、これに容器の上部ほど羽根の幅が広くなる螺旋リボン翼を付設し、螺旋リボン翼上部には容器上蓋から案内板を懸垂した縦型逆円錐形状の容器に粉粒体を投入し、粉粒体を螺旋リボン翼によって容器周壁に沿って上方に押し上げ、案内板によって周壁部から中心部に導くように撹拌混合しながら、周壁から伝導伝熱加熱して粉粒体を昇温するとともに、容器下部から過熱蒸気を導入して殺菌することを特徴とする粉粒体の殺菌方法。
【請求項2】 過熱蒸気導入後その撹拌混合状態を一定時間保持することを特徴とする請求項1記載の粉粒体の殺菌方法。
【請求項3】 殺菌後容器内を減圧して乾燥・冷却することを特徴とする請求項1または2記載の粉粒体の殺菌方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品や食品原料等の粉粒体の殺菌方法、特に過熱蒸気による粉粒体の殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来医薬品や食品原料等の粉粒体の殺菌には、次のような方法が採られていた。粉粒体を低圧の過熱蒸気で管路内を浮遊移送させながら加熱殺菌する、気流式殺菌方法といわれるもの(特開昭56−26180号など)、水平円筒形の圧力容器内で撹拌羽根を高速で回転して容器内に粉粒体の環状層を形成し、過熱蒸気等で加熱殺菌する、高速撹拌式殺菌方法といわれるもの(特開昭57−82686号など)、粉粒体を加圧下で過熱蒸気中を落下させながら加熱殺菌する、落下式殺菌方法といわれるもの(特開昭59−140841号など)などである。
【0003】気流式殺菌方法では、装置の分解が困難なため洗浄性に問題があり、また蒸気循環ブロワ、サイクロンなどの付帯機器が多くなり設備やランニングコストが高価になるという欠点がある。高速撹拌式殺菌方法では、水平円筒形容器の前後に撹拌軸の軸シール部があるため、運転中粉粒体に曝されサニタリー性が問題となる。また前後方向の混合性にも問題があるため、殺菌ムラを生じる虞がある。落下式殺菌方法では、材料によっては過熱蒸気に均一に曝されないものもあり、殺菌ムラを生じ易い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の解決しようとする課題は、簡単な装置でサニタリー性に優れた殺菌ムラやコンタミの虞のない粉粒体の殺菌方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の課題を解決する手段は、周壁に加熱手段を有し、容器内部には、容器上蓋から回転軸を懸垂し、これに容器の上部ほど羽根の幅が広くなる螺旋リボン翼を付設し、螺旋リボン翼上部には容器上蓋から案内板を懸垂した縦型逆円錐形状の容器に粉粒体を投入し、粉粒体を螺旋リボン翼によって容器周壁に沿って上方に押し上げ、案内板によって周壁部から中心部に導くように撹拌混合しながら、周壁から伝導伝熱加熱して粉粒体を昇温するとともに、容器下部から過熱蒸気を導入して殺菌することを特徴とするものである。
【0006】縦型逆円錐形状の容器に投入される粉粒体は、容器の上部ほど羽根の幅が広くなるリボン翼によって容器周壁部から上部に運ばれるので、周壁部から効率よく加熱される。また案内板によって容器中心部に導かれるため、容器周壁部が盛り上がり中央部が窪むいわゆるボルテックス状態を防止できるため、均一な混合が可能となる。このような状態で容器下部から過熱蒸気を吹き込むため粉粒体と十分に接触させることができ効率的な殺菌が可能となる。
【0007】請求項2記載の課題を解決するための手段は、請求項1記載の要件に加えて、過熱蒸気導入後その撹拌混合状態を一定時間保持することを特徴とするものである。これによって粉粒体と過熱蒸気を十分接触させることができるので、一層確実に粉粒体を殺菌することができる。
【0008】請求項3記載の課題を解決するための手段は、請求項1または2記載の要件に加えて、殺菌後容器内を減圧して乾燥・冷却することを特徴とするものである。これによって殺菌後の乾燥・冷却が速やかに行われるため品質を損ねることがない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は本発明を実施する装置の概略図である。符号1は、若干の円筒部分の下に逆円錐状部分を有する容器本体であり、符号2は容器上蓋であり、結露防止のため加熱されるようになっている。符号3は容器中心と同軸に上蓋から懸垂される回転軸であり、上蓋から懸垂されているので下端部に軸受けを必要としない。符号4は回転軸に付設される螺旋リボン翼である。この螺旋リボン翼は、容器内壁に沿って上部ほどその羽根の幅が広くなっている。符号5は上蓋に固定された案内板で、螺旋リボン翼によって容器周壁部上部に運ばれた粉粒体を容器中心部に導いている。符号6は容器周壁加熱手段であり、ここではジャケット構造としたが、パイプを容器外周に巻回したものや電熱線を巻回したものでも良い。符号7は真空ポンプである。符号8は容器上蓋2に設けられた排気用のバルブである。
【0010】次に本装置を用いた殺菌方法を説明する。モータMを起動して回転軸3を回転させ、ジャケット6にスチームを導入して容器を加温する。次に殺菌すべき粉粒体Fを容器に投入して所定温度まで昇温する。容器内に投入された粉粒体Fは、螺旋リボン翼によって加熱面である容器周壁に沿って上部に運ばれるので、効率よく加熱される。螺旋リボン翼4は上部ほど羽根の幅が広くなっているので、半径方向の混合性が良く、さらに螺旋リボン翼4の上部には、押し上げられた粉粒体を容器中心部に導く案内板5があるので、粉粒体の表層面は、ボルテックス状を呈することなくほぼ平になるため、粒径の異なる粉粒体でも偏析することなく均一に混合することができる。本発明によれば、粉粒体の混合性は極めて良いので短時間で均一に加温される。粉粒体の品温が所定温度に達したら、容器底部から過熱蒸気を吹き込み、容器内の空気を過熱蒸気で置換したのちバルブ8を閉鎖し、さらに過熱蒸気を吹き込んで加圧して殺菌温度まで昇温して殺菌する。
【0011】なお、粉粒体の種類に応じて、粉粒体の品温が殺菌温度に達した後、過熱蒸気の導入を停止して容器本体1内を密閉状態にして、粉粒体を撹拌混合しながらこの状態を一定時間保持すれば、粉粒体と過熱蒸気は十分に接触するため、一層確実に殺菌することができる。このとき粉粒体の殺菌温度以上の昇温を避けるためには、ジャケット6の加熱温度を下げるあるいはバルブ8を開放して容器本体1内の圧力を下げるなどの操作をすれよい。
【0012】殺菌が終了したら、バルブ8を開き容器内の蒸気を排気して圧力をブレークし、容器底部から乾燥用の熱風を吹き込んで乾燥する。乾燥終了後はジャケット6に冷水を供給するとともに容器内に通風して冷却し、所定温度まで冷却した後容器底部から排出され製品となる。なお、この乾燥冷却工程を、蒸気に替えて冷水をジャケットに供給するとともに、真空ポンプを作動させて真空下で行えば、容器周壁に沿って上昇する粉粒体は、容器周壁からの冷却と減圧下による自己蒸発によって、速やかに冷却される。したがって短時間で乾燥冷却できるので品質を損ねることがない。
【0013】本発明に使用する装置は、容器内部に付設される回転軸、螺旋リボン翼、案内板はすべて容器上蓋を上方に引き上げれば容器内部から除去できるので、これを利用する本発明もサニタリー性に優れたものとなる。また、回転軸は容器上蓋に懸垂されており、下端部に軸受けを有しない片持ち構造になっているので、容器内の粉粒体と軸受け部分が接触することがなく、コンタミの危険もない。
【0014】
【実施例】つぎに本発明によって、カットした乾燥ワカメを殺菌した実施例を示す。容器本体1内にカットした乾燥ワカメを投入して撹拌混合し、ジャケットから加熱して品温が80℃になったところで、容器底部から過熱蒸気を導入し、品温が100℃になったところで過熱蒸気の供給を停止して、乾燥冷却して取り出した。殺菌前の生菌数が37000個/gが、殺菌後は140個/gになった。殺菌後製品を湯戻ししたところ、褐変やぬめりはなく良い品質評価が得られた。
【0015】つぎに解砕前の粒状ブラックペパーを殺菌した例を示す。容器本体1内に粒状ブラックペパーをを投入して撹拌混合し、ジャケットから加熱して品温が80℃になったところで、容器底部から過熱蒸気を導入し、バルブ8を閉じて過熱蒸気の供給を続けて昇圧昇温し、品温が112℃に達したところで過熱蒸気の供給を停止し、5分間この状態を保持した後、減圧下で乾燥冷却して取り出した。殺菌前の生菌数が5×10個/gであったものが0個/gという良好な結果を得られた。
【0016】
【発明の効果】本発明は、縦型逆円錐形状の容器に粉粒体を投入して、容器上部ほど羽根の幅が広くなる螺旋リボン翼によって、容器周壁部に沿って粉粒体を押し上げ、案内板によって粉粒体を容器中心部に導くように撹拌混合しているので、粉粒体の混合性は極めて優れている。したがって容器周壁部からの加熱や過熱蒸気との接触も優れているので、効率よく殺菌することができる。さらに、過熱蒸気吹き込み後一定時間撹拌混合状態を継続することで一層確実に殺菌することができるし、殺菌後真空下で乾燥冷却するのですばやく冷却でき製品の品質を損なうこともない。また、容器内の螺旋リボン翼や案内板は抜き出し可能であり、粉粒体と接触する部分には軸受もないので、サニタリー性に優れるとともにコンタミの虞もない。
【出願人】 【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
【出願日】 平成9年(1997)6月11日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−384
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−190378