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【発明の名称】 大腸検査食
【発明者】 【氏名】藤井 侃

【要約】 【課題】ブラウン変法に即し、残渣をほとんど生じず、ハイカロリーで食後の充実感があり、しかも美味しくて一般食に近い新しい大腸検査食の提供。

【解決手段】大腸検査用食物に果実由来酵素を混入し、これを包装体にて密封し、果実由来酵素としてパパイヤのパパイヤ末を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大腸検査用食物に果実由来酵素を混入し、これを包装体にて密封することを特徴とする大腸検査食。
【請求項2】 果実由来酵素がパパイヤのパパイヤ末であることを特徴とする請求項1記載の大腸検査食。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に大腸検査の前日に食する検査食に関する。
【0002】
【従来の技術】大腸検査(X線、内視鏡)は、精密な検査機器の開発、診断技術の向上等により、大腸粘膜の微細な診断が可能となってきたが、正確な大腸検査のためには、依然として、検査時にできるだけ腸内残留物の少ない状況が求められている。そのためには、大腸内の前処理が十分に行われていることが大切である。即ち、大腸内に便等が残渣として残っていると、正確な検査が困難になるので、大腸検査時に残渣の少ない状態が必要であるため、近年、残渣の少ない低繊維、低脂肪の大腸検査食が提供されるに至っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の検査食は、大腸内の便の湿重量、及び体積を増加させ、消化管内通過時間を短縮させる効果があると言われているレジスタントスターチ(小腸で吸収されにくい澱粉)等を配合することにより残留物を少なくし、低残渣を実現することを目的としているので、味気なさや、食後の空腹感を訴える問題点があった。検査食の繊維分と脂肪分を増やせば、味気なさや空腹感を少なくすることはできるが、検査前の残留物が多くなり、その分、検査前に服用する下剤量も多くしなければならない間題点があった。そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブラウン変法に即し、残渣をほとんど生じず、ハイカロリーで食後の充実感があり、しかも美味しくて一般食に近い新しい大腸検査食を提供することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の大腸検査食は、請求項1として、大腸検査用食物に果実由来酵素を混入し、これを包装体にて密封したものである。請求項2として、果実由来酵素がパパイヤのパパイヤ末(Papaya Powder)である。ここで大腸検査食とは、大腸検査の前日に食する食物の総てを言い、例えば検査前日の一日間に食する朝食と、昼食と、夕食と、間食とを言い、美味しさ、ハイカロリー、食後の充実感、簡便性等を追及したものを言う。
【0005】ここでパパイヤ末とは、パパイヤ科の常緑木(Garica papayaL.)に結実するパパイヤの未成熟果皮に傷を付け、傷口より溢れでる液汁を採集し、その液汁の固化物を乾燥して粉末としたもの、未成熟のパパイヤを絞り、絞り汁を採集し、その固化物を乾燥して粉末としたもの等を言い、蛋白質分解酵素のパパインが含み、性状は、白色〜淡黄色を呈し、わずかに特異臭を呈し、懸濁水溶液は弱酸性を呈するもので、食物の消化を助け、低残渣を実現するものを言う。パパインには蛋白分解作用が知られているので、腸管内残渣中の蛋白成分に対しても分解作用の及ぶことと思われる。ここで包装体とは、検査食を収容し得るものの総てを言い、例えば金属フイルムと合成樹脂フイルムとを積層したアルミパック、レトルトパウチ、金属缶等を言い、密封状態とは、外気から保護し、水分の浸透がなく、使用するまで衛生的に一定期間保存することを言う。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明による大腸検査食を説明すれば、大腸検査用食物に果実由来酵素のパパイヤ末を混入し、これを包装体にて密封にしたもので、朝食、昼食、夕食、間食として提供する。大腸検査食の朝食には、これから始まる検査前の1日を充実するため、例えばミネラルウォーターで炊いたお粥、果実由来酵素入りの梅ふりかけ、だしがきいた田楽煮、味噌汁等を組み合わせ、190〜300キロカロリー、好ましくは195〜245キロカロリーとする。大腸検査食の昼食には、室外でも簡単に食べることができる、例えば簡便な缶入り液状栄養食、袋入りクッキー、レジスタントスターチ商品等を組み合わせ、480〜650キロカロリー、好ましくは550〜600キロカロリーとする。大腸検査食の夕食には、検査前夜の不安感を和らげ、且つ食後の充実感を与える、例えばミネラルウォーターで炊いたお粥、果実由来酵素入りの鰹ふりかけ、味噌汁等を組み合わせ、150〜200キロカロリー、好ましくは170〜180キロカロリーとする。大腸検査食の間食には、20〜60キロカロリー、好ましくは23〜30キロカロリー程度の黒糖アメを用意する。
【0007】
【実施例】1・「美味しさの追及」として、お粥に有機栽培のコシヒカリを用い、水に北アルプスのミネラルウォーターを用いる。
2・「ハイカロリーの追及」として、検査前日でも通常の生活が可能となるように1000キロカロリー/deyの熱量とする。
3・「食後の充実感の追及」として、特に、検査直前の夕食に、お粥と味噌汁等を提供し、夕食後の充実感、即ち、満腹感を与える。
4・「簡便性の追及」として、缶入り、或いは袋入りにすることで、室外でも簡単に摂取可能とした。
【0008】パパイヤ末は例えば、梅ぼし、ふりかけ、みそ汁、すまし汁、くず湯、豆腐、あさつき、ふ等の乾燥食品に混入すると最適である。また乾燥食品以外の、ゆでうどん、ビスケット、ラスク、ゼリー、キャンディ、粉末清涼飲料(無果汁)、粉末紅茶等にも混入し得る。アルミパックに密封する検査食として、例えば粉末みそ汁、梅ぼしふりかけ、鰹ふりかけ、クッキー、飴等が最適であるし、レトルトパウチに密封する検査食として、例えば白粥、味付粥、玉子粥、田楽煮、ポタージユスープ等が最適である。更に金属缶に密封する検査食として、液状栄養食が最適である。
【0008】
【実験例】A.試験期間平成9年3月17日〜6月26日B.試験委託者住所 東京都中央区日本橋小網町19番12号
名称 日清製粉株式会社C.試験施設住所 岐阜県鳥羽市福寿町間島6丁目104番地名称 株式会社 日本バイオリサーチセンター、烏羽研究所D.試験系ビーグル犬E.試験目的雄ビーグル犬に果実由来酵素のパパイヤ末を混入した飼料を与え、腸管内残渣に及ぼす影響を検討した。
【0009】F.試験材料、及び試験方法f1.被験物質パパイヤ末として、出願人の会社で製造販売している商標名『パパヤーゼ』を混合し用いる。『パパヤーゼ』はパパイヤより抽出したパパイヤ末の精製物である。パパイヤ末は、試験施設の保管庫に温室条件下で保管した。以下の説明で、パパイヤ末は『パパヤーゼ』の使用を示す。
f2.投与検体必要量のパパイヤ末と飼料を混合させることにより用時に調整した。
G.試験動物、及び飼育条件g1.試験施設で飼育している約26〜48カ月齢の健康なビーグル犬の雄6頭を用いた。
g2.試験動物は室温20〜26℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明、午前6時〜午後6時)、換気回数12回/時(フイルターにより除菌した新鮮空気)に設定した動物飼育室(G棟2号室)で飼育した。
g3.試験動物はステンレス製式ケージ(W:700×D:700×H:700mm)に、自動給水装置と自動水洗装置を取付け、個別に飼育した。
H.予期し得なかった事態当試験の実施期間中に、試験の信頼性に悪影響を及ぼす疑いのある予期し得なかった事態は認められなかった。
【0010】(1)飼料の投与内容(1a)パパイヤ末の投与日、缶詰飼料50gとパパイヤ末を混合後、更にそれに固形飼料250gを混合してを与えた。(以下、添加飼料)
(1b)パパイヤ末の投与日以外、缶詰飼料50gと固形飼料250gを混合して与えた。(以下、無添加飼料)
(1c)缶詰飼料には、商標名『ペディグリーチャム』(輸入元:マスターフーズリミテッド)を用い、固形飼料には、商品名『DS−5』(オリエンタル酵母工業株式会社)を用いた。
(1d)添加飼料、及び無添加飼料は用時に調製し、飲料水は水道を自動給水により自由に摂取させた。
【0011】(2)飼料の投与方法(2a)無添加飼料を7日間投与し、翌日に腸管内の観察を行い、対照とした。
(2b)パパイヤ末の投与日は、8日間毎に1回、パパイヤ末低用量(200mg/頭)、パパイヤ末中用量(400mg/頭)、パパイヤ末高用量(800mg/頭)の順に合計3回行った。腸管内の観察は、パパイヤ末の投与日の翌日に行った。
(2c)パパイヤ末投与群試験群の構成を表1に示す。
【0012】
【表1】

【0013】(3)観察、及び検査項目(3a)一般状態観察1日1回、死亡の有無、及び一般状態を観察した。
(3b)摂取量測定午前中のほぼ一定時刻に投与し、翌日のほぼ一定時刻に残渣を測定した。但し、腸管内観察日は、腸管内の観察終了後に給与した。
(3c)体重測定1週間に1回測定した。
【0014】(3d)腸管内残渣の観察■前処置腸管内観察日の午前中に、塩類下剤200ミリリットルをゴム製経口胃ゾンデにて強制経口投与した。更に約1時間後に水200ミリリットルを同様に投与した。塩類下剤として、「マグコロールp(Lot.No.Z60081、堀江薬品工業株式会社)150gを水に溶解させて1800ミリリットルにメスアップして調製」を用いた。
■腸管内の観察下剤投与後の排便を確認し、ペントバルビタールナトリウム麻酔下で内視鏡と光源装置を用いて腸管内を観察した。観察は直腸部と結腸部に分けて行った。更に結腸部は盲腸から肛門方向に上部、中部、下部の順に分けて観察した。なお、観察において便残渣量は、固形状のもの(以下、固形便残渣)と、水様状のもの(以下、水様便残渣)として認められたが、水様便残渣は、その性状から未排泄の下剤溶液と判断されたため、評価の対象とせず、固形便残渣につていのみ、便残渣量を評価した。内視鏡として(OLYMPUS TYPE XP20)を用いた。光源装置として(OLYMPUS CLE−F10)を用いた。
【0015】(3e)腸管内残渣の評価各部位の便残渣量の評価は、表2の評点に基づき行う。結腸では3部位(上部、中部、下部)の平均を結腸の評点として評価した。
【表2】

【0016】試験成績(A)一般状態何れの例とも下剤投与による便性状の変化以外、異常は見られなかった。下剤投与日にみられた便は、普通便、或いは下痢便であり、パパイヤ末投与量と便性状との間には明確な相関はみられなかった。
(B)体重観察期間を通じて、各例とも大きな変動は見られなかった。
(C)摂取量観察期間を通じて、各例とも給与した全量を摂取した。
(D)腸管内残渣の観察腸管内観察の評点を表3、表4、及び表5に示す。
【0017】
【表3】

【表4】

【表5】

【0018】(d1)直腸部固形便残渣、水様便残渣について観察した評点を表6に示す。
【表6】

【0019】■固形便残渣について、パパイヤ末投与群では、直腸部の固形便残渣量は0mg対照群と比較して、200mg低用量群で3例、400mg中用量群で5例、800mg高用量群で5例に減少が見られたが、200mg低用量群で3例、800mg高用量群で1例に変化がみられず、400mg中用量群で1例に増加がみられた。
■水様便残渣について、パパイヤ末投与群では、直腸部の水様便残渣は0mg対照群に対して、400mg中用量群で1例、800mg高用量群で1例に減少が見られたが、200mg低用量群の3例、400mg中用量群の1例に変化が見られず、200mg低用量群の3例、400mg中用量群の4例、800高用量mg群の5例に増加が見られた。
【0020】(d2)結腸部固形便残渣、水様便残渣について観察した評点を表7に示す。
【表7】

【0021】■固形便残渣について、パパイヤ末投与群では、結腸部の固形便残渣量は0mg対照群と比較して、200mg低用量群で6例、400mg中用量群で5例、800mg高用量群で4例に減少が見られたが、800mg高用量群で2例に変化がみられず、400mg中用量群の1例に増加がみられた。
■水様便残渣について、パパイヤ末投与群では、結腸部の水様便残渣量は0mg対照群と比較して、200mg低用量群で5例、400mg中用量群と800mg高用量群で4例に減少が見られたが、200mg低用量群で1例、400mg中用量群で2例に増加が見られた。
【0022】(E)考察(e1)パパイヤ末の200mg/頭以上の投与により、用量相関性は不明ではあったが、直腸部及び結腸部の何れにおいても便残渣量の減少は半数以上の例で見られた。即ち、直腸部においては低用量群で3例、中用量群及び高用量群で5例、結腸部においては低用量群で6例、中用量群で5例、高用量群で4例が対照群(無添加飼料)に比べて便残渣の減少がみられた。
(e2)パパイヤ末の200mg以上を投与後の全観察部位(36部位)中の便残渣量の増減比率は、増加が5.6%(2部位)、減少が77.7%(28部位)、増減なしが16.7%(6部位)であった。
(e3)便残渣量の減少の原因については、パパイヤ末の有する広範囲の蛋白に対する分解作用の結果と推測された。一方、便残渣量の増加のみられた2部位については、その原因は不明であるが、評点の変動は大きくなかったこと、全観察部位に対する比率が低かったことから、大きな問題とは考えられない。また、観察時に下剤溶液が腸管内に残存していたが、観察に大きな支障はなかった。
(e4)以上の結果より、犬におけるパパイヤ末200mg以上の投与は、直腸及び結腸における便残渣量を減少させ得るものと考えられる。ビーグル犬にパパイヤ末を混餌した飼料を与え、腸管内残渣に及ぼす影響を検討した。
(e5)固形便残渣では、パパイヤ末の200mg以上の投与により、バラツキは見られるものの、直腸部及び結腸部の何れにおいても便残渣の減少は半数以上の例で見られた。この便残渣減少の機序については、不明であるものの、パパイヤ末の有する蛋白分解作用に関連したものと推察された。以上の如く、イヌにおけるパパイヤ末の200mg以上の投与は、直腸及び結腸における固形便残渣を減少させ得るものと考えられる。
【0023】一方、水様便残渣では、パパイヤ末投与後の検査において特に直腸部に増加を示す例が多く見られた。この原因については、今回見られた水様便残渣は下剤溶液、或いはそれに固形便残渣が混濁したものと考えられることから、腸管内容物の排泄のバラツキに基づくものと考えられた。従って、水様便残渣の増加はパパイヤ末投与とは関係しない変化と判断した。
【0024】
【発明の効果】本発明による検査食は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。一日1000キロカロリー以上の高カロリーにすることができるので、検査前日でも通常の生活が可能となる。しかも食後の充実感があり、しかも美味しく食することができる。特に、便残渣が少なくなるので、検査前の下剤も少なくし得る。
【出願人】 【識別番号】592008756
【氏名又は名称】五洲薬品株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−343251
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−188045