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【発明の名称】 義歯ケア組成物
【発明者】 【氏名】長沼 健

【氏名】有田 香織

【要約】 【課題】

【解決手段】極性基を有しない粘度10〜10,000cst(25℃)のフッ素変性シリコーンを含有することを特徴とする義歯ケア組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 極性基を有しない粘度10〜10,000cst(25℃)のフッ素変性シリコーンを含有することを特徴とする義歯ケア組成物。
【請求項2】 極性基を有しないフッ素変性シリコーンが下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1,R2,R3はそれぞれフルオロアルキル基又はメチル基であるが、R1,R2,R3の少なくとも1個はフルオロアルキル基である。m,nはそれぞれ0以上の整数である。)で表される化合物である請求項1記載の義歯ケア組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、義歯への汚れが付きにくく、汚れが付着しても水洗で簡単に汚れを除去できる義歯ケア組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】義歯汚れには、食物残渣、デンチャープラーク、ステイン(有色沈着物:例えば茶渋汚れ)、歯石等があり、水洗だけでは除去できない。このうち、食物残渣とデンチャープラークは義歯ブラシによるブラッシングが必要で、ステインは義歯用歯磨又は義歯洗浄剤を使用しないと、除去することができない。また、歯石の除去は歯医者でスケーリング(機械的除去)してもらう以外ない。
【0003】しかし、上記の汚れ除去方法において、義歯用歯磨は義歯の構造が複雑であり、ブラシが届かないところがあり、完全に汚れ又は細菌を除去できない。また、研磨剤で義歯を傷つけるおそれもある。義歯洗浄剤でも全ての汚れを完全に落とすことはできないし、部分義歯のクラスプ等の金属を変色するおそれもある等の問題がある。
【0004】一方、スクワランを主成分とする義歯用滑沢剤も市販されている。これは義歯表面にスクワランの油膜を形成するもので、汚れが付着しにくく、汚れが付着しても容易に除去できるという利点を有する。しかし、この製品は、義歯表面に形成した膜が消滅し易く、効果の持続性に劣るという欠点がある。
【0005】従って、かかる欠点を持たず、義歯洗浄剤や義歯用歯磨を用いなくとも、義歯への汚れが付きにくく、汚れが付着しても水洗で簡単に汚れを除去することができる義歯ケア組成物が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本発明者は、上記要望に応えるため鋭意検討を行った結果、義歯の表面に極性基を有しない粘度10〜10,000cst(25℃)のフッ素変性シリコーンを含有する義歯ケア組成物をコーティングすることによって、義歯汚れが付着するのを阻止すると共に、汚れが付着してもフッ素変性シリコーンとの結合が弱いために水洗で簡単に除去できることを見出した。
【0007】ここで、汚れの付着阻止効果は、義歯表面へ極性基を有しない、特定粘度範囲のフッ素変性シリコーンがコーティングされ、表面張力が低下することにより親水性及び親油性が低下し、汚れが付着するのを妨げることにより発現する。また、水洗で汚れが簡単に落ちるのは、コーティングにより表面の潤滑性が向上するためである。
【0008】本発明の義歯ケア組成物は、上述したように、極性基を有しない、特定粘度範囲のフッ素変性シリコーンを含有するものである。極性基を有しないフッ素変性シリコーンとしては、下記一般式(1)で表される化合物が使用できる。
【0009】
【化2】

(式中、R1,R2,R3はそれぞれフルオロアルキル基又はメチル基であるが、R1,R2,R3の少なくとも1個はフルオロアルキル基である。m,nはそれぞれ0以上の整数である。)
【0010】なお、フルオロアルキル基としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等が挙げられる。
【0011】上記極性基を有しないフッ素変性シリコーンは、粘度が10〜10,000cst(25℃)の範囲のものであるが、この粘度範囲のフッ素変性シリコーンはm,nが0〜700のものに当る。また配合量は組成物中0.1〜20%(重量%、以下同じ)、特に0.3〜10%であることが好ましい。フッ素変性シリコーンの量が0.1%未満では義歯への汚れ付着阻止効果又は易洗浄性の効果が不十分であり、20%を超えて配合しても効果の向上は認められない。
【0012】本発明の義歯ケア組成物の剤型は、エアゾール、溶液、ゲル、ステック状、薫蒸、その他処置後に上記フッ素変性シリコーン膜が義歯表面に均一にコーティングできるものであればよい。そして、本発明の組成物には、このような剤型等に応じた適宜な成分、例えば界面活性剤、香料、甘味剤、防腐剤、色素、殺菌剤、粘度調整剤、溶剤などを配合することができる。
【0013】
【発明の効果】本発明の義歯ケア組成物の適用により、義歯への汚れの付着が阻止され、また汚れが付着しても容易に水洗除去される。
【0014】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で粘度は25℃の値である。
【0015】〔実施例1〜5、比較例〕
下記組成の義歯ケア組成物を調製した。

次に、アクリル板(20mm×20mm)の表面をサンドブラストで粗面研磨した後、この板に上記義歯ケア組成物を塗布し、乾燥し、試料を得た。なお、溶媒(アセトン)だけの塗布をコントロールとした。
【0016】上記試料の水浸漬前及び37℃の流水中に8時間浸漬した後の接触角を測定した。結果を表1に示す。水浸漬前後で接触角が低下しなければ耐久性は良好である。
【0017】また、上記試料について汚れ付着阻止力及び易洗浄性を下記方法により評価した。結果を表2に示す。
汚れ付着阻止力の測定方法試料をアルブミン溶液、タンニン溶液(日本茶、コーヒー、紅茶の水抽出液)、塩化第2鉄溶液に順次浸漬し、疑似汚れを付着させた。疑似汚れの付着前後の色差を測定した。色差が大きいほど汚れ付着抑制効果が小さいことになる。易洗浄性の測定方法試料をアルブミン溶液、タンニン溶液(日本茶、コーヒー、紅茶の水抽出液)、塩化第2鉄溶液に順次浸漬し、疑似汚れを付着させた後、流水下で10秒間浸漬し汚れを除去した。疑似汚れ付着前と汚れ除去後との色差を測定した。色差が小さいほど易洗浄性が良好である。
【0018】
【表1】

* フッ素変性シリコーン(全て信越化学工業(株)の製品)
A:FL−100−100cs(粘度100cst)
B:FL−100−1000cs(粘度1,000cst)
C:FL−100−10000cs(粘度10,000cst)
D:X−22−819(粘度100cst)
E:X−22−821(粘度100cst)
【0019】
【表2】

【0020】表1の結果より、フッ素変性シリコーンを配合したものの水浸漬前後で接触角の変化が認められないことから、コーティング膜は剥離していないと思われた。また、表2の結果より、フッ素変性シリコーンの配合によって良好な汚れ付着阻止効果、易洗浄効果を与えることが認められる。
【0021】
〔実施例6〕エアゾールタイプ義歯ケア組成物 フッ素変性シリコーンB 3重量% 酢酸エチル 7重量% ジメチルエーテル 54重量% 液化石油ガス 36重量% 合計 100.0重量%【0022】
〔実施例7〕エアゾールタイプ義歯ケア組成物 フッ素変性シリコーンC 1重量% ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合物 3重量% ジメチルエーテル 48重量% 液化石油ガス 48重量% 合計 100.0重量%【0023】
〔実施例8〕塗布液タイプ義歯ケア組成物 フッ素変性シリコーンA 3重量% 酢酸エチル 97重量% 合計 100.0重量%【0024】実施例6〜8の組成物は、いずれも汚れ付着阻止力、易洗浄性が良好であった。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)6月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
【公開番号】 特開平11−240825
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−195064