トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 敏感肌用の化粧料の鑑別法
【発明者】 【氏名】吉浜 桂一郎

【要約】 【課題】本発明は、安定性や本来の機能を損なわずに敏感肌の人に適応できる化粧料を提供することを課題とする。

【解決手段】半浸透膜を装着したフランツ型拡散セルのレシーバー側に生理食塩水を充填し、半浸透膜の上部に化粧料を塗布し、化粧料中のパラベンの生理食塩水への移行量を測定し、この移行量の少なさを指標として、敏感肌用の化粧料の鑑別を行う。本発明によれば、安定性や本来の機能を損なわずに敏感肌の人に適応できる化粧料を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半浸透膜を装着したフランツ型拡散セルのレシーバー側に生理食塩水を充填し、半浸透膜の上部に化粧料を塗布し、化粧料中のパラベンの生理食塩水への移行量を測定し、この移行量の少なさを指標とすることを特徴とする、敏感肌用の化粧料の鑑別法。
【請求項2】 半浸透膜が透析膜であることを特徴とする、請求項1に記載の敏感肌用の化粧料の鑑別法。
【請求項3】 敏感肌がパラベンに対する敏感肌であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の敏感肌用の化粧料の鑑別法。
【請求項4】 請求項1〜3の何れか一項に記載の敏感肌用の化粧料の鑑別法に於いて、パラベンのレシーバー側への移行がパラベン全量の50%以下であることを特徴とする、敏感肌用の化粧料。
【請求項5】 次のイに示されるパラベン吸収抑制剤から選ばれる1種乃至は2種以上を含有する、請求項4に記載の敏感肌用の化粧料。イ)メチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、平均分子量4000〜10000のポリエチレングリコール、コラーゲン、カチオン性エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸・メタクリル酸長鎖アルキル共重合体
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、敏感肌用の化粧料及びその鑑別法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アレルギー性の疾患が急増していることは、多くの報道機関に報道されているとおりであり、これは主として食生活の変化と化学物質に対する暴露機会の急増に原因があると言われている。この様な状況を背景に、アトピー性皮膚炎を筆頭に種々の刺激要因に過敏に反応しやすい敏感肌の人が急増しており、この対策が大きな課題となっている。この様な敏感肌の人には、刺激因子となりやすい化学物質を極度に低減された化粧料などが開発されているが、化学物質の低減による安定性の低下や本来の機能の低下は避けられず、例えば、使用量ごとに小分けにした包装形態や冷蔵保存などを行わざるを得ないのが実状であった。又、ある化粧料が敏感肌の人に適しているか否かは個人ごとにパッチテスト等を行って試験する以外に知るすべがなかった。即ち、安定性や本来の機能を損なわずに敏感肌の人に適応できる化粧料が望まれていたし、敏感肌の人に適した化粧料か否かを鑑別する手段が望まれていた。
【0003】メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類は非常に安全であり、優れた防腐作用を有する化学物質であるが、希に敏感肌の人に過敏反応を起こすことがあることが知られており、この様な反応を抑制する手段が望まれている。
【0004】一方、メチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、平均分子量4000〜10000のポリエチレングリコール、コラーゲン、カチオン性エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等は増粘作用や保湿作用を有する物質として化粧料などの皮膚外用剤に古くから使用されているが、これらの物質にパラベン類の経皮吸収を抑制し、これらを含有する化粧料がパラベン類を含有する化粧料であっても敏感肌の人にでも安心して使用しうる化粧料であることは全く知られていなかった。又、敏感肌の人に適した化粧料か否かが半浸透膜を装着したフランツ型拡散セルのレシーバー側に生理食塩水を充填し、半浸透膜の上部に化粧料を塗布し、化粧料中のパラベンの生理食塩水への移行量を測定し、この移行量の少なさを指標とすることにより予知しうることも全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な状況下行われたものであり、安定性や本来の機能を損なわずに敏感肌の人に適応できる化粧料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】本発明者らは、かかる状況に鑑みて、敏感肌の人に適した化粧料か否かを鑑別する手段を求めて鋭意研究を重ねた結果、半浸透膜を装着したフランツ型拡散セルのレシーバー側に生理食塩水を充填し、半浸透膜の上部に化粧料を塗布し、化粧料中のパラベンの生理食塩水への移行量を測定し、この移行量の少なさを指標とすることにより敏感肌ぼ人に適するか否かが予知しうることを見いだした。更にこの結果を元に検討を重ねた結果、メチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、平均分子量4000〜10000のポリエチレングリコール、コラーゲン、カチオン性エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸・メタクリル酸長鎖アルキル共重合体から選ばれる1種乃至は2種以上を化粧料に含有させることにより、パラベン類の経皮吸収を抑制し、敏感肌の人にも使用可能な化粧料が提供しうることを見いだし発明を完成させるに至った。以下、本発明について詳細に説明を加える。
【0007】
【発明の実施の形態】(1)本発明の敏感肌用の化粧料の鑑別法本発明の敏感肌用の化粧料の鑑別法は、半浸透膜を装着したフランツ型拡散セルのレシーバー側に生理食塩水を充填し、半浸透膜の上部に化粧料を塗布し、化粧料中のパラベンの生理食塩水への移行量を測定し、この移行量の少なさを指標とすることを特徴とする。本発明の鑑別法で用いることのできる半浸透膜としては、蛋白などの大きい分子の化合物は通過させず、塩などの小さい化合物は通過させる得る半浸透膜であれば特段の限定を受けずに使用することができ、かかる半浸透膜としてはセルロース系のセロファン紙、透析膜、逆浸透膜、ピチットさん等が例示でき、これらの内では透析膜を用いることが特に好ましい。透析膜のなかでは、セルロース製であって、分画分子量12000〜14000のものが特に好ましい。これは実験結果がパラベンの経皮吸収性に良く一致するためである。レシーバー側に充填する生理食塩水は、糖や緩衝塩等の含有することも可能であるが、生理食塩水のみでも十分に効果を発揮することができる。移行量の測定は充分吸収性の差が感知し得るほどの長さが好ましく、具体的には16時間程度が好ましい。16時間程度の時間でパラベンの移行量がアプリケートした量の50%以下であれば、敏感肌の人、取り分けパラベン類に対して敏感な敏感肌の人に適する化粧料であると鑑別できる。又、この移行量の測定に於いては、温度は皮膚温付近の温度、即ち、30〜40℃にコントロールしておくのがよい。移行量はレシーバー側の生理食塩水中のパラベン量を高速液体クロマトグラフィー等で測定すれば得ることができる。又、簡易的には紫外部の吸光度を測定することによっても測定できる。
【0008】(2)本発明の化粧料本発明の化粧料は、上記鑑別法に於いて、パラベン類の半浸透膜を通しての通過量がアプリケート量に対して50%以下であることと敏感肌の人、取り分けパラベン類に対して敏感肌の人に対して適用されることを特徴とする。本発明の化粧料はパラベン類の吸収が抑制されているため、この様な敏感肌の人に於いても安全に使用することができる。この様な化粧料を得るためには、基本的には試作した化粧料を上記鑑別法に従って評価・鑑別し、通過量が50%より大きい場合は処方改良等を行いながら適正化していく方法により処方かを行うのが原則であるが、簡易的には後記に示すようなパラベン類の経皮吸収を抑制する物質を添加することにより、この様な作業が容易に行える。これらの物質は何れも化粧品原料として公知の物質であるので、パラベン吸収抑制剤として用いることには何等問題はない。本発明の化粧料の剤形としては、化粧料であれば何等限定は受けず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション、アンダーメクアップ、アイカラー、チークカラー、リップカラー等のメークアップ化粧料、ヘアクリーム、ヘアローション等の頭髪用化粧料などが好ましく例示できる。本発明の化粧料では、通常化粧料に使用する原料を用いて製剤化することができる。この様な原料としては、例えば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が好ましく例示できる。
【0009】(3)本発明のパラベン吸収抑制剤本発明のパラベン吸収抑制剤は、メチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース及び平均分子量4000〜10000のポリエチレングリコール、コラーゲン、カチオン性エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸・メタクリル酸長鎖アルキル共重合体から選ばれる1種乃至は2種以上からなる。このうち、平均分子量4000〜10000のポリエチレングリコールとしては、平均分子量6000のポリエチレングリコール、平均分子量10000のポリエチレングリコール等が例示でき、これらの内では経皮吸収抑制効果から平均分子量6000のポリエチレングリコールが特に好ましい。更に、アクリル酸・メタクリル酸長鎖アルキル共重合体としては、グッドリッチ社より販売されている、ペムレンTR−1乃至はTR−2を使用すれば良く、これらは何れも化粧料の原料であり、増粘剤等として使用されている。これらの物質は後記実施例に示す如く、パラベン類の経皮吸収を抑制し、敏感肌の人に刺激を惹起するのを防ぐ作用を有する。この様な作用を期待できる含有量としては、0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.05〜7重量%であり、更に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0010】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けるものではないことは言うまでもない。
【0011】<実施例1〜6>下記に示す処方に従って、ローション(化粧料)を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱可溶化し、冷却してローションを得た。
【0012】
1,3−ブタンジオール 7 重量部グリセリン 7 重量部平均分子量1500のポリエチレングリコール 4.5重量部エタノール 5 重量部ポリオキシエチレン(50)硬化ひまし油 5 重量部ブチルパラベン 0.5重量部水 70 重量部表1に記載の成分 1 重量部【0013】
【表1】

【0014】<実施例7>上記実施例1〜6の化粧料について本発明の鑑別法に従ってパラベンの吸収抑制を測定し、敏感肌の人に適当であるか否かを鑑別した。即ち、レシーバー側に生理食塩水を充填したフランツ型拡散セルに透析膜(セルロースチューブ、穴径24オングストローム、分画分子量12000〜14000)を装着し、上記実施例の化粧料を200μlアプリケートし、16時間後にレシーバー側のブチルパラベンの量を測定した。併せて、下記に示す対照例と比較例についても同様の検討を行った。結果を表3に示す。この結果より、実施例1〜6の化粧料は本発明の化粧料であることが判る。又、本発明のパラベン吸収抑制剤によりパラベンの移行が防げることも判る。又、ポリエチレングリコールの平均分子量は4000〜10000が好ましいことが判る。
1,3−ブタンジオール 7 重量部グリセリン 7 重量部平均分子量1500のポリエチレングリコール 4.5重量部エタノール 5 重量部ポリオキシエチレン(50)硬化ひまし油 5 重量部ブチルパラベン 0.5重量部水 70 重量部表2に記載の成分 1 重量部【0015】
【表2】

【0016】
【表3】

【0017】<実施例8>上記実施例1〜6の化粧料、対照例の化粧料、比較例1〜5の化粧料について、モルモットを用いてパラベンに対する敏感肌に対する化粧料の作用を調べた。即ち、ハートレー系白色種モルモット雌性120匹にフロイントの完全アジュバント0.1mlにブチルパラベン0.1mgと生理食塩水0.1mlの混合乳化物を1日1回、2日おきに4回皮内注射しパラベンに対して感受性を高めた。最後の皮内注射を行った後2週間後に0.1%ブチルパラベンオリーブ油溶液を24時間クローズドパッチし、パッチ除去後にドレーズの基準に従って皮膚反応を観察し、±以上の反応の動物を選び出したところ13匹(反応は何れも±)存在した。このパラベンに敏感になった動物の背部をパッチ除去後48時間に全面剃毛し、実施例1〜6、対照例、比較例1〜5の化粧料を直径2mmのリント布に0.01ml含浸させ24時間クローズドパッチした。パッチ除去後2時間にドレーズの基準に従って皮膚反応を観察した。結果を出現例数として表4に示す。この表より本発明の化粧料はパラベンに対して過敏な動物に対しても極めて安全に適用されることが判る。更に、このことによって本発明の鑑別法が適正なものであることも証明された。
(ドレーズの基準)
++:浮腫を伴う反応+ :明らかな紅斑を伴う反応± :不明瞭な紅斑を伴う反応− :無反応【0018】
【表4】

【0019】<実施例9>下記に示す処方に従って乳液を作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃で加熱溶解し、イに徐々にロを加え乳化し、攪拌冷却して乳液を得た。実施例7の方法で測定したブチルパラベンの移行量も表5に併せて記す。本発明のパラベンの経皮吸収抑制剤はパラベンの移行を抑制し、本発明の化粧料の敏感肌の人に対する安全性を高めていることが判る。
イセタノール 0.2重量部ステアリン酸モノグリセライド 1 重量部ポリオキシエチレン(25)ステアリン酸 1.4重量部ブチルパラベン 0.5重量部流動パラフィン 10 重量部ロ1,3−ブタンジオール 5 重量部表5の成分 0.3重量部水 81.6重量部【0020】
【表5】

【0021】
【発明の効果】本発明によれば、安定性や本来の機能を損なわずに敏感肌の人に適応できる化粧料を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月5日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−199436
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−11892