| 【発明の名称】 |
大腸内圧崩壊型大腸デリバリー製剤の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高田 寛治
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| 【要約】 |
【課題】経口投与した時、製剤が大腸へ到達した時点で大腸管腔の内圧により破裂もしくは崩壊することにより、薬物を大腸管腔内で放出するカプセル製剤の製造方法を提供する。
【解決手段】体温で融解する基剤が融解状態にある時に薬物を添加し、注型により固化した成形体を得る。この成形体の表面へエチルセルロースフィルムのコーティングを施す。エチルセルロースフィルムの膜厚は経口投与後大腸へ到達したとき大腸管腔の内圧により破裂もしくは崩壊する膜厚である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】薬物を含んでいる、体温で融解する基剤を融解した状態で鋳型に注入し、冷却、固化して得られる成形体の表面に、経口投与し、当該製剤が大腸に到達した時大腸の蠕動運動により派生する大腸管腔内圧により破裂もしくは崩壊する膜厚を有するエチルセルロースフィルムをコーティングすることを特徴とするカプセル製剤の製造法。 【請求項2】前記膜厚は30〜70μmである請求項1の方法。 【請求項3】エチルセルロースフィルムの上にさらに腸溶性フィルムのコーティングを施す工程を含んでいる請求項1または2の方法。 【請求項4】薬物を含んでいる体温で融解する基剤の固化した成形体と、該成形体の表面にコーティングされた、当該製剤を経口投与して大腸に到達した時大腸の蠕動運動により派生する大腸内圧により破裂もしくは崩壊する膜厚のエチルセルロースフィルムとよりなるカプセル製剤。 【請求項5】前記膜厚は30〜70μmである請求項4のカプセル製剤。 【請求項6】エチルセルロースフィルムの上にさらに腸溶性コーティングフィルムを有する請求項4または5のカプセル製剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】本発明の背景病原性大腸菌O−157による出血性大腸炎、大腸癌、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病、単純性腸潰瘍、虚血性腸炎、偽膜性大腸炎などの炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸潰瘍とクローン病のような難治性炎症性腸疾患を含む、大腸特異性疾患に対する薬物療法を行う場合には、治療薬がその作用部位である大腸へ特異的に送達されることが望まれる。そのためには、大腸デリバリー技術が必要となる。 【0002】大腸デリバリー技術としてはアゾポリマーを初めとして各種の技術が考案されているが、安全性の面をクリアして実用されるに至ったものは今のところはない。 【0003】本発明者は、大腸デリバリーシステムの一つとして、消化運動に起因している大腸内圧により崩壊し、薬物を放出する“大腸内圧崩壊型大腸デリバリーカプセル”(Pressure−controlled colon delivery capsule,以後“PCDC”と略称)を考案した。米国特許第5,637,319号参照。 【0004】PCDCの原理は次のとおりである。すなわち消化管内のpH,細菌数,粘密度などが小腸から大腸へと至る間に大きく変化している。そのうち粘密度に関しては、胃および小腸においては消化液などの水分が豊富に存在するため消化管の管腔内の摂取した食物は極めて流動性である。一方、大腸においては、水分の再吸収および糞便の形成が起こるため、内容物の粘密度は著しく上昇している。そこで、高粘密度環境において大腸の蠕動運動により派生する大腸管腔内圧を利用して、経口投与後、大腸において崩壊するカプセルを設計し、それへ薬物を直接、または適当な担体と共に収容する。 【0005】先に本発明者が提案したPCDCにおいては、あらかじめつくったエチルセルロースの空カプセルへ、後から薬物を充填する方法が採用された。しかしながらこの方法は、エチルセルロースの空カプセルを市場で入手することができないので自製しなければならないため、医薬品産業において普及している汎用の設備、技術を使用して大量生産するためには不向であった。 【0006】そこで本発明は、既存の設備および技術を使用してPCDCの大量生産を可能にする方法を提案する。 【0007】本発明の概要本発明は、PCDCのために特別の設備の設置および技術の習得を必要とすることなく、既存の設備および習得した技術を転用してPCDCの大量生産を可能とする方法を提供する。 【0008】本発明によれば、薬物の担体として体温で溶ける基剤を用いる。薬物は溶けた状態のこの基剤へ添加される。次にこの基剤と薬物の混合物が鋳型へ注入され、該混合物の固化した成形体を得る。次にこの成形体へ大腸内圧により破裂または崩壊する膜厚のエチルセルロースフィルムをコーティングすることによりPCDCが得られる。 【0009】前記の薬物を含む基剤の成形体は、既存の坐剤の製造設備および技術を使用して製造することができる。エチルセルロースフィルムのコーティングも既存の錠剤、カプセル等のコーティング設備を使用して既に習得している手法と実質的に同じ手法により容易に実施可能である。それ故本発明方法はPCDCを既存の作業環境において大量生産するのに適している。 【0010】必要に応じ、このようにしてつくられたPCDCは、その後の取扱いを容易にするためさらに腸溶性コーティングを施すことができる。 【0011】好ましい具体例の説明薬物が添加された、体温で溶ける基剤の成形体をつくる工程は、当業者には良く知られた坐剤の製造工程と実質上同じであり、坐剤の基剤として使用される基剤はすべて本発明において使用できる。基剤に求められる必要なパラメーターは、それらが体温において流動ないし半流動状態に融解することと、生理的に無害であることである。具体的にはカカオ脂を含む油脂類、硬化油、蜜ロウ等の天然ワックス、マクロゴール1000等の合成ワックス、それらの混合物がある。融点、凝固点、融解速度等坐剤基剤として要求される物理特性を持った半合成高級脂肪酸グリセライド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油なども知られており、単独もしくは他の基剤と混合して本発明において使用することができる。 【0012】薬物は大腸疾患の治療に直接または間接に有効な薬物である。例えば各種抗生物質を含む化学療法剤、例えばノルフロキサシン、5−アミノサルチル酸等の腸内消炎剤、副腎皮質ホルモン、抗がん剤例えば5−フルオロウラシル等がある。 【0013】融解した基剤へ薬物を添加した後鋳型へ注ぎ、冷却して固化した成形体が得られる。成形体の寸法および形状は経口投与に適した、すなわち嚥下し得る寸法および形でなければならない。一般に球形、錠剤形、円筒形などでよく、経口剤の一般的形状とするのが有利である。表面の粘着性を減らし成形体の取扱いを容易にするため成形体を10℃以下に冷却するか、および/または表面へタルク等の粘着防止粉末をまぶすことができる。マクロゴール1000を基剤に用いた際には、精製タルクをまぶした後さらにオブラートにて包むとECのコーティングの仕上がりが良好となる。 【0014】このようにして得られる成形体は次にエチルセルロース(EC)のフィルムでコーティングされる。エチルセルロースは例えば錠剤のバインダーやコーティング剤として長らく使用されている製剤添加物である。そのためその安全性は証明されている。コーティングはECの塩化メチレン、メタノール、エタノールまたはそれらの混液のような溶媒に溶かした溶液を浸漬法、スプレー法など公知のコーティング方法を使用して実施することができる。この場合溶液の濃度を2〜20w/v%とし、製剤工場で普通に使用されているパン被覆装置や遠心流動被覆装置等を使用して錠剤や硬カプセルの被覆と同様の操作により行うことができる。この際注意しなければならないのは、成形体の形状を保持するため、フィルムの乾燥に際し熱風を使用しないことである。ECフィルムの被覆後、さらにカプセルへ腸溶性コーティングを施すこともできる。 【0015】PCDCにとって重要なことは、経口投与の後体温で融解した内容物を包囲するECのバルーンが大腸、特に糞便の形成が始まる上行結腸管内において大腸内圧により破れ、中味を放出する膜厚を有することである。ECの場合、一般に30〜70μmの平均膜厚が適当であることが実験的に定められた。 【0016】本発明は限定を意図しない以下の実施例によりさらに詳しく説明される。 【0017】実施例11カプセルあたり、ノルフロキサン100mgを50℃において融解したWitepsol W35(Dynamit Nobel社製高級脂肪酸ジー,トリグリセリド)0.8gに溶解し、カプセル形のキャビティを有する金属製鋳型に流し込み、室温で固化させ、型から取出した。成形体を6℃に冷却し十分に固化させた後、精製タルクを均一に薄くまぶし、7G規格のエチルセルロースの15w/v%エタノール溶液に成形体を浸漬し、30℃のインキュベーター内で乾燥し、エチルセルロースフィルムでコーティングした製剤を得た。 【0018】実施例2実施例1と同様に、1カプセルあたり、5−アミノサリチル酸100mgをマクロゴール1000の0.8gに50℃にて溶解し、鋳型に流し込み、室温で固化させた後取り出し、カプセル形の成形体を得た。さらに6℃に冷却して十分に固化させた後、精製タルクをまぶし、7G規格のエチルセルロースの15w/v%エタノール溶液を用いてディップ法によりエチルセルロースフィルムでコーティングした製剤を得た。 【0019】実施例3実施例1または2において、精製タルクをまぶした成形体に、ハイコーターミニ(フロイント産業製)を用い、7G規格のエチルセルロースの5.0w/vメタノール溶液を噴霧法によりコーティングし、同様な製剤を得た。 【0020】最適膜厚の決定方法PCDCによる薬物のターゲット特異性放出を達成する最適膜厚を決定するためには投与後経時的に開腸してカプセルの消化管の通過部位を直接的に測定できればベストであるが、実際上は不可能であるので以下の方法により間接的に決定する。 【0021】すなわち、対象へ大腸菌の有するアゾレダクターゼによって加水分解を受け、サルファピリジンを生成する5−〔4−(ピリジン−2−イルアミノスルホニル)フェニルアゾ〕サリチル酸を経口投与し、循環血液中にサルファピリジンが初めて現れる時間Ti(初期出現)時間を知ることにより、薬物の大腸到達時間を推定することができる。 【0022】次に実際の各種膜厚のPCDCを同様に経口投与し、含まれる薬物についてTiを測定し、あらかじめ上の方法で推定したTiに一致する膜厚を求める。 【0023】ビーグル犬を使用した実験において、Tiは4時間であり、最適膜厚は平均4.3μmであることがわかった。 【0024】ヒトへ投与されるPCDCの最適膜厚も同様な方法によって決定することができる。Tiは4〜5時間であり、最適膜厚は平均50μmであることがわかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592176169 【氏名又は名称】▲高▼田 ▲寛▼治
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】赤岡 迪夫
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| 【公開番号】 |
特開平11−180861 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−363575 |
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