| 【発明の名称】 |
早産・流産治療剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 信行
【氏名】角張 育弘
【氏名】新開 規弘
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| 【要約】 |
【課題】従来の早産・流産治療剤より効果の優れた早産・流産治療剤を提供する。
【解決手段】ホルモテロール又はその塩を有効成分として含有する早産・流産治療剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホルモテロール又はその塩を有効成分として含有する早産・流産治療剤。 【請求項2】 当該早産・流産が切迫性早産・流産である請求項1に記載の早産・流産治療剤。 【請求項3】 フマル酸ホルモテロールを有効成分として含有する請求項1又は2に記載の早産・流産治療剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な早産・流産治療剤に関する。 【0002】 【従来の技術】ホルモテロール(3−ホルミルアミノ−4−ヒドロキシ−α−〔N−(1−メチル−2−p−メトキシフェニルエチル)アミノメチル〕ベンジルアルコール)は、下式(I)で示される化合物であり、【0003】 【化1】
【0004】その活性は、心筋に対してよりも、呼吸器平滑筋に対して相対的に大きく、β−アドレナリン受容体を刺激して直接気管支拡張作用を示すことが知られている(特公昭59−9542号公報)。 【0005】又、ホルモテロールの酸付加塩であるフマル酸ホルモテロール(3−ホルミルアミノ−4−ヒドロキシ−α−〔N−(1−メチル−2−p−メトキシフェニルエチル)アミノメチル〕ベンジルアルコール・1/2フマル酸1水和物)(下式(II))は、【0006】 【化2】
【0007】気管支拡張剤としての開発を目的として、その一般薬理の用量の少ないルーチン試験の一つとして、オキシトシンで誘発されていない摘出非妊娠子宮に対しては10-10g/ml以上の濃度で、オキシトシンで誘発されていない摘出妊娠子宮に対しては10-9g/ml以上の濃度で自動運動を抑制することが報告されている。さらに、オキシトシンで誘発されていない妊娠子宮の生体位平滑筋に対し、0.1μg/kg(iv)の投与により自動運動を抑制することが報告されている(日薬理誌76,pp.633−654(1980))。なお、非妊娠の子宮に対してはオキシトシンで誘発した場合、同様に自動運動を抑制することは示されている。 【0008】一方、早産・流産治療剤としては、従来より下式(III)で示される化学構造を有するリトドリンが知られている。 【0009】 【化3】
【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リトドリンの早産・流産治療効果は十分とはいえず、又、その副作用として母体には頻脈、動悸等が、胎児には高いビリルビン血症、低血圧、低血糖等が報告されており、より作用が強く安全性と薬物動態の優れた早産・流産治療剤の開発が望まれていた。 【0011】又、上述の如く、気管支拡張剤として開発されたホルモテロール又はその塩の一般薬理の用量の少ないルーチン試験の一つとして、病態下にない妊娠子宮の自動運動抑制作用を有することが報告されているが、これまでホルモテロールについて病態を想定した確認試験はなされておらず、ホルモテロールが病態において有効であるかについては不明であり、早産・流産治療薬又は予防に用いられることは上記文献には開示も示唆もされてなかった。 【0012】本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リトドリンより効果的な早産・流産治療剤を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、ホルモテロール又はその塩が早産・流産治療効果をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0014】即ち、本発明によれば、ホルモテロール又はその塩を有効成分として含有する早産・流産治療剤が提供される。本発明において、上記早産・流産は切迫性早産・流産であってもよい。又、上記の早産・流産治療剤はフマル酸ホルモテロールを含有することが特に好ましい。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の早産・流産治療剤は、下式(I)で示されるホルモテロール又はその塩を有効成分として含有する。 【0016】 【化4】
【0017】ホルモテロールは、その分子構造中に2個の不斉炭素原子を有するため、それらに由来する計4個の光学異性体が存在する。本発明の早産・流産治療剤が含有するホルモテロール又はその塩は、これら光学異性体の混合物であってもよく、単離されたものであってもよい。 【0018】本発明の早産・流産治療剤において、ホルモテロールの塩としては、製薬学的に許容される塩であれば特に制限はないが、具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられ、特にフマル酸との酸付加塩であるフマル酸ホルモテロール(下式(II))であることが特に好ましい。 【0019】 【化5】
【0020】さらに、本発明の早産・流産治療剤は、ホルモテロール又はその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質を含有するものであってもよい。 【0021】本発明の早産・流産治療剤は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、坐剤、経皮等による非経口投与のいずれの形態で行ってもよい。 【0022】経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、ひとつ又はそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。 【0023】経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。 【0024】非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を含有する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩液が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。 【0025】投与量は、静注にあっては、2から1000μg/man/回が適当であり、経口投与にあっては、1日に1回から3回、10から1000μg/man/kgの投与を行うことが好ましい。又、経皮投与にあっては、1から7日に1回、10から14000μg/man/skinの投与を行うことが好ましい。なお、投与量は症状、投与対象の年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。 【0026】 【実施例】以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。 【0027】(実施例1)ホルモテロール及びフマル酸ホルモテロールを以下のように製造した。3−ホルミルアミノ−4−ベンジルオキシ−α−〔N−ベンジル−N−(1−メチル−2−p−メトキシフェニルエチル)アミノメチル〕ベンジルアルコール0.52gをエタノール10mlに溶解し、10%パラジウム炭素0.2gを加え、常温常圧で水素48mlを吸収するまで接触還元した。触媒を濾去した後、減圧濃縮してホルモテロール(3−ホルミルアミノ−4−ヒドロキシ−α−〔N−(1−メチル−2−p−メトキシフェニルエチル)アミノメチル〕ベンジルアルコール)の白色結晶性粉末0.35gを得た。本品0.35g及びフマル酸0.06gを95%エタノール7mlに溶解して放置し、析出した結晶を濾取することにより、フマル酸ホルモテロール(3−ホルミルアミノ−4−ヒドロキシ−α−〔N−(1−メチル−2−p−メトキシフェニルエチル)アミノメチル〕ベンジルアルコール・1/2フマル酸1水和物)0.35gを得た。 【0028】以下に、得られたフマル酸ホルモテロールの融点及び元素分析値を掲載する。 融点 138〜140℃(分解)
【0029】(実施例2) 摘出ラット妊娠子宮標本に対する作用■ フマル酸ホルモテロール10.26mgに生理食塩液20mlを加え、50℃において15分間加温することによって溶解し、10-3mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液を調製した。 ■ 10-3mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液3mlを生理食塩液7mlで希釈し、3×10-4mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。 ■ 10-3mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液1mlを生理食塩液9mlで希釈し、10-4mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。 ■ 3×10-4mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液1mlを生理食塩液9mlで希釈し、3×10-5mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。 ■ 10-4mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液1mlを生理食塩液9mlで希釈し、10-5mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。 ■ 3×10-5mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液1mlを生理食塩液9mlで希釈し、3×10-6mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。 ■ 10-5mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液1mlを生理食塩液9mlで希釈し、10-6mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液10mlを調製した。以下同様にして3×10-7、10-7、3×10-8及び10-8mol/lのフマル酸ホルモテロール溶液を調製した。 上記のように調製したフマル酸ホルモテロール溶液を10-8から10-5まで10mlのタイロート液の中に入ったマグヌス槽内に100μlずつ順次滴下しフマル酸ホルモテロールのin vitroでのオキシトシン誘発妊娠子宮自動運動抑制作用を評価した。 【0030】[方法] 妊娠後18〜20日経過したラットを放血致死後、子宮を摘出した。胎児及び胎盤を除去し、約1cmの標本を作製した。この標本を37℃のmodified Locke−Ringer液で満たしたマグナス装置内に懸垂し、0.5gの重りを負荷した。オキシトシン(0.01mU/ml)を添加し、子宮の自動運動が安定した後、生理食塩水を注入し、10分間子宮の収縮運動を記録し、これを対照値とした。その後、フマル酸ホルモテロールを低濃度から10分間隔で累積投与し、子宮の自動運動に対する影響を調べた。子宮の自動運動は、アイソメトリックトランスデューサーにより検出し、レコーダー上に記録した。尚、リトドリンについても、同様に測定を行った。結果を図1に示す。図1中、各点は5回の実験の平均値を示し、縦線は標準偏差を示す。又、* 及び ** は、Dunnett’s testにおいて、対照値に対し、それぞれ0.05%以下、0.01%以下の危険率で有意差があったことを示す。 【0031】[結果] フマル酸ホルモテロール及びリトドリンともに、濃度依存的に、子宮の自動運動を抑制した。しかし、フマル酸ホルモテロールのIC50が値が3.8×10-10Mであったのに対し、リトドリンのIC50が値は4.7×10-7Mであり、フマル酸ホルモテロールはリトドリンより強い作用を示した。 【0032】(実施例3) フマル酸ホルモテロールの静脈内投与によるオキシトシン誘発ラット妊娠子宮収縮運動に対する作用フマル酸ホルモテロールのin vivoでのオキシトシン誘発子宮自動運動抑制作用を調べた。 【0033】[方法] 妊娠後17〜21日経過したラットにウレタン麻酔(1g/kg,ip)を施した後、気管及び頚静脈にカニューレを挿入した。子宮の一部を切開して1匹の胎児及び胎盤を除去し、バルーンを挿入した。バルーン内に約0.3mlの水を注入することにより、律動的収縮運動を発現させた。収縮運動が安定した後、生理食塩液及び薬剤を用量の低い順に5分間隔で静脈内投与した。尚、リトドリンについても、同様に測定を行った。結果を図2に示す。図2中、各点は5匹のラットの平均値を示し、縦線は標準偏差を示す。又、抑制率(%)は、薬剤投与前5分間の間に、子宮の収縮に対応してレコーダー上に記録された山の高さの合計を100%として算出した。 【0034】[結果] フマル酸ホルモテロール及びリトドリンともに、用量依存的に、子宮の自動運動を抑制した。しかし、フマル酸ホルモテロールはリトドリンより強い作用を示した。 【0035】(実施例4) β−アドレナリン受容体サブタイプに対する刺激作用ホルモテロールのin vitroでのβ受容体サブタイプに対する刺激作用を調べた。 【0036】[方法] ヒトβ1受容体及びヒトβ2受容体をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に発現させた。各受容体発現細胞を用い、ホルモテロール及びイソプロテレノールを低濃度から投与し、β受容体刺激により上昇する細胞内cAMP濃度を測定することにより、各化合物のβ受容体刺激作用及び濃度依存性を求めた。 【0037】[結果] イソプロテレノールのβ1受容体に対するpD2値は7.70、β2受容体に対するpD2値は8.46であったのに対して、ホルモテロールのβ1受容体に対するpD2値は6.29、β2受容体に対するpD2値は9.08であった。イソプロテレノールは非選択的β−アドレナリン作動薬であるのに対し、ホルモテロールはβ1受容体に比べてβ2受容体に対して約600倍以上の高い選択性と強い親和性を示した。 【0038】 【発明の効果】本発明の早産・流産治療薬は、オキシトシンにより誘発される妊娠子宮収縮運動抑制作用において、早産・流産治療薬として臨床において使用されているリトドリンと比較し、試験管内及び静脈内投与において約100倍以上も強力であること、オキシトシンにより誘発した際の妊娠子宮収縮運動がオキシトシンにより誘発していない場合と比較して予想外に強力であることから、有用な早産・流産治療剤となることが期待される。又、本発明において、ホルモテロールは頻脈や動悸等を惹起するβ1受容体に比べ子宮平滑筋弛緩作用を惹起するβ2受容体に対して極めて高い選択性と強い親和性を示すことから、安全性と薬物動態の優れた早産・流産治療剤となることが期待される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006677 【氏名又は名称】山之内製薬株式会社 【識別番号】000174622 【氏名又は名称】埼玉第一製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】渡邉 一平 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−92365 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−261630 |
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