| 【発明の名称】 |
皮膚外用製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】徳江 渡
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 L−アスコルビン酸及び/又はその水溶性誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体とを含有することを特徴とする皮膚外用製剤。 【請求項2】 前記L−アスコルビン酸の油溶性誘導体が常温で液体であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用製剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は皮膚外用製剤に関する。更に詳しくは、皮膚の免疫機能の低下を外用により防止し、皮膚の免疫機能を高める皮膚外用製剤に関する。 【0002】 【従来の技術】皮膚は生体の最外層に位置する臓器であり、物理的、科学的及び生物学的侵襲を最も強く、直接的に被る器官であるが、近年、皮膚は最もよく発達した免疫臓器であることが明らかとなってきた。 【0003】皮膚は、表皮の角化細胞、ランゲルハンス細胞、真皮の樹状細胞、血管内皮細胞、マクロファージ等から構成されているが、ランゲルハンス細胞は抗原処理、抗原提示能力によって皮膚免疫機能の中心的な役割を演じているとされ、外部からの異物としての抗原の進入に対し、すみやかに接触して処理し、リンパ節へ移動してT細胞にそれを提示し、以後の一連の免疫応答反応が始まると考えられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】近年、紫外線自体の発癌性に加えて紫外線により皮膚免疫反応が低下する為に発癌を助長する可能性が指摘されるようになってきた。サンスクリーン等の日焼け止め化粧料によって紫外線を防御することが紫外線発癌の防止に極めて重要であるが、サンスクリーンを日常的に用いない季節でも日々紫外線を浴び続けることによって免疫抑制作用が現れる可能性もあり、発癌以外の生体への様々な悪影響も心配される。 【0005】また、加齢によっても皮膚免疫機能が低下するように、紫外線以外の様々な原因で皮膚免疫機能が低下すると考えられている。 【0006】以上の理由から、日常的に用いることのできる免疫賦活作用もしくは免疫機能低下の改善・防止作用を有する皮膚外用製剤の開発が急務となっていた。 【0007】そこで、本発明者らは、上述の観点に鑑み、種々の物質について免疫抑制作用に対する防止効果を調べた結果、L−アスコルビン酸又はその水溶性誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体とを併用して用いると、顕著な免疫賦活作用及び免疫機能の低下を改善・防止する作用を発揮することを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0008】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、L−アスコルビン酸及び/又はその水溶性誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体とを含有することを特徴とする皮膚外用製剤を提供するものである。 【0009】また、本発明は、前記L−アスコルビン酸の油溶性誘導体が常温で液体であることを特徴とする前記の皮膚外用製剤を提供するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳述する。 【0011】本発明で用いるL−アスコルビン酸の水溶性誘導体および油溶性誘導体としては、例えば、以下のものがあげられる。L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル等が挙げられ、具体例としては、パルミチン酸L−アスコルビル、イソパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、ジイソパルミチン酸L−アスコルビル、ステアリン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジステアリン酸L−アスコルビル、ジイソステアリン酸L−アスコルビル、ミリスチン酸L−アスコルビル、イソミリスチン酸L−アスコルビル、ジミリスチン酸L−アスコルビル、ジイソミリスチン酸L−アスコルビル、2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、ジ2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、オレイン酸L−アスコルビル、ジオレイン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエーテル、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステル、DL−α−トコフェノール−2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル等のL−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸−3−硫酸エステル等のL−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシド等が挙げられる。また、本発明においてはこれらの塩も使用可能であり、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が好適に用いられる。水溶性誘導体で特に好ましいものは、DL−α−トコフェノール−2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドであり、油溶性誘導体で特に好ましいものは、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビルである。 【0012】L−アスコルビン酸またはその誘導体は、公知の合成的手法により得られ、また、市販されているビタミンCの誘導体が使用可能である。 【0013】本発明においては、上記のL−アスコルビン酸又はその水溶性誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体は、適当な皮膚外用製剤中に配合して用いられる。なお、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体は、常温で液体であることが製品安定製の点から好ましい。 【0014】上記必須成分の皮膚外用製剤への配合量は、L−アスコルビン酸又はその誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体の種類、剤型の種類、投与の方法、投与の目的などによって異なるものであり一概には決められないが、概ね以下の範囲が好ましい配合量である。すなわち、L−アスコルビン酸又はその誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体の配合量は、外用製剤中それぞれ 0.001〜10重量%、より好ましくは 0.01〜5重量%である。0.001重量%未満であると、免疫賦活効果若しくは免疫機能低下改善・防止効果が十分に発揮されず、10重量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。また、5重量%以上配合してもさほどおおきな効果の向上はみられない。 【0015】本発明の皮膚外用製剤の剤型は、特に制限はないが、例えば、クリーム製剤、軟膏製剤、ゲル製剤、ローション製剤、乳液製剤、テープ製剤、パック製剤、エアゾール製剤などが用いられる。 【0016】本発明の皮膚外用製剤は、L−アスコルビン酸及び/又はその水溶性誘導体とL−アスコルビン酸の油溶性誘導体とを、皮膚免疫賦活剤若しくは皮膚免疫機能低下改善・防止剤として用いた医薬品、医薬部外品、化粧品などとして利用可能であるが、特に、紫外線による免疫低下機能を防止するための免疫賦活化粧料若しくは皮膚免疫機能改善・防止化粧料としての利用価値が高い。 【0017】本発明に係る皮膚外用製剤中には、上記の必須構成成分の他に一般的に医薬品、医薬部外品、化粧料等に配合される成分を配合することができる。それらの成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールなどの多価アルコール、流動パラフィン、スクワラン、高級アルコール、高級脂肪酸などの油分、クエン酸、乳酸などの有機酸類、苛性カリ、トリエタノールアミンなどのアルカリ類、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、高級アルキル四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性界面活性剤、高級アルキルジメチルアミンオキサイドなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール誘導体などの薬剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、保湿剤、香料、アルコールなどがあげられる。 【0018】 【実施例】以下に実施例と試験例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。実施例に先立ち、L−アスコルビン酸又はその水溶性誘導体と、L−アスコルビン酸の油溶性誘導体の免疫賦活作用及び紫外線による免疫機能低下改善・防止作用に関する試験方法とその結果について説明する。 【0019】「試験方法及び結果」ランゲルハンス細胞に抗原(trinitrobenzenesulfonic acid, 1mg/ml)を添加、洗浄し、リンパ節細胞浮遊液をnylon fiber column(Wako)で精製して得られるT細胞と混合培養した。その結果、ランゲルハンス細胞はT細胞に抗原を提示してT細胞は増殖するが、ランゲルハンス細胞にUVを照射した後に抗原を添加し、T細胞の増殖の減少が観察される。我々は紫外線照射時にL−アスコルビン酸リン酸マグネシウム1mMと、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル1mMを添加することによって、UVによるランゲルハンス細胞の抗原提示機能抑制に対するL−アスコルビン酸リン酸マグネシウムとテトライソパルミチン酸L−アスコルビルの防御効果を調べた。この結果を図1に示す。図1の縦軸は、T細胞の増殖を示しており、T細胞が増えれば免疫機能が働いていることを表す。横軸は、抗原添加、UV照射、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム添加、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル添加、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウムとテトライソパルミチン酸L−アスコルビル添加の有無をそれぞれ+と−で表している(+は、添加または照射したことを表し、−は、非添加、非照射を表す。)。図1から、抗原だけを添加するとT細胞は増殖するが、紫外線を照射するとT細胞は減少する。この時、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウムとテトライソパルミチン酸L−アスコルビルを添加するとT細胞の増殖は回復する。L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム単独添加でのT細胞の増殖やテトライソパルミチン酸L−アスコルビル単独添加でのT細胞の増殖は両方添加に比べて劣る。したがって、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウムとテトライソパルミチン酸L−アスコルビルが優れた免疫賦活作用及び免疫機能低下改善作用を発揮することが確認された。 【0020】以下に、L−アスコルビン酸の水溶性誘導体及び油溶性誘導体を、免疫賦活作用剤若しくは免疫機能低下防止・改善剤として利用した皮膚外用製剤の実施例を示す。 【0021】 「実施例1 クリーム」 A セタノール 2.0重量% ワセリン 2.0 スクワラン 20.0 グリセリンモノ脂肪酸エステル 2.0 Tween60 3.0 イソプロピルミリステート 6.0 グリチルレチン酸ステアリル 0.5 グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル 0.05 −ジパラメトキシシンナメート 4−メトキシ−4’− 0.05 t−ブチルジベンゾイルメタン テトライソパルミチン酸 0.5 L−アスコルビル 防腐剤 0.3 香料 0.2 B グリセリン 10.0 プロピレングリコール 5.0 アルブチン 2.0 グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 L−アスコルビン酸リン酸 0.05 マグネシウム 蒸留水 残余(製造法)Aに属する油相部の原料およびBに属する水相部の原料をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解したのち、油相部を水相部に混合し、乳化機にて乳化処理する。乳化物を熱交換機にて終温30℃まで冷却する。 【0022】 「実施例2 クリーム」 A.ステアリン酸 10.0重量% ステアリルアルコール 4.0 ステアリン酸ブチル 8.0 ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.0 ビタミンEアセテート 0.5 ビタミンAパルミテート 0.1 マカデミアナッツ油 1.0 ジパルミチン酸L−アスコルビル 0.01 香料 0.4 防腐剤 適量 B.グリセリン 4.0 1,2ペンタンジオール 3.0 アセチル化ヒアルロン酸 1.0 水酸化カリウム 0.4 L−アスコルビン酸硫酸 1.0 エステル2ナトリウム 酒石酸 0.01 エデト酸三ナトリウム 0.05 精製水 残余(製造法)Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70Cに加熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化する。乳化物を熱交換機を用いて冷却してクリームを得た。 【0023】 「実施例3 乳液」 A ワセリン 1.0重量% 流動パラフィン 2.0 POE(20)オレイン酸 1.0 ホホバ油 1.0 グリセリンモノエレート 1.0 オクチル−p−メトキシシンナメート 0.05 4−メトキシ−4’− 0.05 t−ブチルジベンゾイルメタン ジイソステアリン酸L−アスコルビル 0.01 BHT 0.01 防腐剤 0.2 香料 0.1 B プロピレングリコール 1.0 グリセリン 5.0 コウジ酸 1.0 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01 カルボキシビニルポリマー 0.15 苛性カリ 0.05 L−アスコルビン酸2−グルコシド 4.0 蒸留水 残余(製造法)Aに属する油相部の原料およびBに属する水相部の原料をそれぞれ70℃に加熱し、完全溶解したのち、油相部を水相部に混合し、乳化機にて乳化処理する。乳化物を熱交換機にて終温30℃まで冷却する。 【0024】 「実施例4 乳液」 A.DL−α−トコフェロール− 2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル 5.0 アセチル化ヒアルロン酸 0.01 エタノール 5.0 精製水 適量 B.ワセリン 1.5 スクワラン 1.0 流動パラフィン 5.0 セタノール 0.5 ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 2.0 グリセリルモノステアレート 2.0 V−Eアセテート 0.1 テトライソパルミチン酸L−アスコルビル 0.005 パラオキシ安息香酸メチル 0.15 香料 適量 C.カルボキシビニルポリマー 0.2 苛性カリ 0.07 ジプロピレングリコール 5.0 ソルビット液(70%) 5.0 ポリエチレングリコール 1500 5.0 精製水 残余 (製造法)Cの成分を70℃に加熱溶解し、Bの成分を70℃に加熱溶解したもの加え、ホモミキサーで乳化する。乳化後、かきまぜながら30℃まで冷却し、Aの成分を溶解したものを加え、均一に混合する。 【0025】 「実施例5 乳液」 A.スクワラン 5.0% オレイルオレート 3.0 ワセリン 2.0 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2 ジパルミチン酸L−アスコルビル 0.01 月見草油 0.5 香料 0.3 防腐剤 適量 B.1,3 ブチレングリコール 4.5 メリッサ抽出液 1.5 アセチル化ヒアルロン酸 0.001 L−アスコルビン酸硫酸 1.0 エステル2ナトリウム エタノール 3.0 カルボキシビニルポルリマー 0.2 水酸化カリウム 0.1 乳酸 0.01 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05 精製水 残余(製造法)実施例3に準じて乳液を得た。 【0026】 【発明の効果】本発明によれば、L−アスコルビン酸及び/又はその水溶性誘導体とL−アスコルビン酸の油溶性誘導体の免疫賦活作用もしくは免疫機能低下改善・防止作用を利用した優れた皮膚外用製剤を提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001959 【氏名又は名称】株式会社資生堂
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−92328 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−279814 |
|