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【発明の名称】 エイズ治療薬
【発明者】 【氏名】中川 美典

【氏名】新山 竹浩

【氏名】坪井 諭志

【要約】 【課題】エイズウィルスが起こすThリンパ球減少による生体免疫システムの低下を改善する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】感光色素であるプラトニン、ルミンの少なくとも1種を有効成分として配合するエイズ治療薬
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエイズウイルス感染者及び発病人のエイズ治療薬に関する。さらに詳しくは感光色素であるプラトニン、ルミンの少なくとも1種を有効成分として配合するエイズ治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】我々は体内の異物を認識するすばらしい免疫システムを持っている。そして、このシステムを動かす細胞として、CD4陽性リンパ球(以下Thリンパ球と呼ぶ)があることがよく知られている。エイズはこの免疫システムを悪質に利用したウイルスによって引き起こされる病気である。体内に侵入したエイズウイルスはThリンパ球のCD4蛋白に結合して細胞内に潜り込む。エイズウイルスは逆転写酵素を持っているので、ウイルスのRNAはDNAに読み替えられ細胞の核内のDNA中に組み込まれる。そのため感染Thリンパ球はウイルスを製造しながら、徐々に死んでいく。エイズとは体内のThリンパ球が死滅し減少していく病気である。その結果、患者の抵抗力が落ち、やがて免疫不全が起きて、数年から数十年の間で感染患者(キャリア)は日和見感染症を併発して死に至る。この病気に関しては現在多くの精力的な研究が行われている。しかし、臨床的に有効な抗ウイルス剤やワクチン剤も未だ発見されておらず、今日わずかにジオキシヌクレオチド誘導体が使用されているがこの薬は発病をしばし遅らせるだけであって、更に長期投与で副作用も発現してくるなど残念ながら根本的な解決策は未だ見つかっていないのが現状である。この病気では厄介なことに生体がウイルスに対して免疫システムを持って対応しようとすればするほど、感染細胞内ではエイズウイルスの産生が盛んになり、逆効果になってしまうのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにエイズウイルスは生体の免疫システムに入り込み、それを巧妙に利用しながら、しかも免疫系の要であるThリンパ球の中で増殖するという特徴がある。次々にThリンパ球が感染されることで本来の免疫システムは大きな打撃を受け、やがて体内からThリンパ球が枯渇する。その結果として起こる日和見感染症による死がこの病気の恐ろしさである。本研究者らは、全く新しい考え方、即ち免疫系を持たない下等動物ではマクロファージ様の貪食細胞によって肉体の異物排除が行なわれていることに着目して日和見感染症を予防する検討を進めたのである。
【0004】本発明者らは、マクロファージに注目した。免疫システムを考えた場合、例えば、バクテリアが侵入したとき、マクロファージはそれを貪食し活性化しながら抗原提示細胞になる。抗原の情報はマクロファージからThリンパ球を経てBリンパ球に伝わり、Bリンパ球は抗体を産生する。また、抗体の結合したバクテリア即ち免疫複合体は活性化したマクロファージによって特異的にスピーディに貪食除去される。このように活性化マクロファージによって異物が効率よく除去されることはよく知られている。活性化マクロファージは免疫複合体を補足するためのFcレセプターを表示し、貪食活性の著しい上昇を示したり、取り込まれた異物を分解するための活性酸素の産生能を上昇したり、各種サイトカインを分泌する。また最終的には活性化マクロファージはNK細胞などと共同して癌細胞やウイルス感染細胞を破壊しているのである。
【0005】さて、マクロファージの活性化であるが、これは通常CD4陽性Tリンパ球の産生するマクロファージ活性化因子(インターフェロンγなど)によって起こることはすでによく知られている。本発明者らは、エイズウイルスによってCD4陽性Tリンパ球が破壊されることはマクロファージの活性化が障害をうけることになり、それが日和見感染症を誘発する原因になると考えた。その結果、この病気に有効な手段を見い出すに至った。本発明者らは上に述べたような理由からマクロファージを活性化する本発明品がエイズの進行にどのように影響するかを検討し、きわめて興味ある結果を見出し本発明を完成したのである。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明は、感光色素であるプラトニン、ルミンの少なくとも1種を有効成分として配合するエイズ治療薬に関する。
【0007】本発明に関わる感光色素の構造式は下記のとうりである。
【化1】

【化2】

【0008】本発明に用いられる感光色素は、すでに日本においてはよく知られた化合物である。例えば、プラトニンは特開昭58−90510,ルミンは特開平3−90025に紹介されている通り、毒性がきわめて低く、安全性に優れているものである。
【0009】本発明のエイズ治療薬に用いられる感光色素には、例えば論文■CancerImmunology Immunotherapy,37,157〜162(1993)、及び論文■J.Photochem Photobiol.B:Biol,295〜306(1992)で示されるようにマクロファージ活性化作用が明らかにされている。本発明者らはこれらの感光色素を有効成分として配合するエイズ治療薬が難病であるエイズに対して、極めて優れた臨床的効果を発揮することを発見したのである。
【0010】
【発明の作用】エイズウイルスはCD4陽性細胞に感染することは知られている。またマクロファージもCD4陽性細胞の一つであることから、本発明者らはマクロファージがThリンパ球への感染源であると考え実験を行った。その結果、本発明にはエイズに対する抗ウイルス作用は全くなかったが、驚くべきことにエイズ患者のThリンパ球の減少防止効果及びエイズ患者の日和見感染症への臨床的効果がみられた。本発明に、エイズの発病後の延命という効果が期待できるのである。本発明と共に輸血を行うと更に効果は増大する。これは、Cancer Research 57 295−297(1997)に示されているように、マクロファージの活性化に血清中のGC−グロブリンが必要であることと関係があるだろう。本発明の特徴であるマクロファージの活性化はマクロファージ、リンパ球(T、B)及びGC−グロブリン、γ−グロブリンの存在によって発現するので、本発明と通常のエイズの治療のために行う輸血は相乗的な効果が期待できるのである。
【0011】本発明品は経口投与又は注射剤、坐薬、点鼻薬などの非経口投与のいづれも使用することができる。投与に際しては、本発明品を経口投与、直腸内投与、注射剤の投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。経口投与の場合は特に利用価値が高く、錠剤あるいは散剤などを症状にあわせて1日1〜数回、空腹時に適量(100〜600γ)を口に含んで溶かせばよい。服用量を決定するには100、300、600γをそれぞれ10日間位試し、本人の「活力感、食欲、睡眠、利尿、バイオリズム、便秘の解消、その他の発現する有用な自覚的反応」を目安に決定すればよい。このように本発明には生体のバイオリズムを整え、「本人の自覚症状によって適切な服用量が自分で判断できる」という利点を持ち合わせている。
【0012】以下に実施例及び実験例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0013】
【薬剤製造例1】次の処方の錠剤を常法により調整した。
処方1
【0014】
【薬剤製造例2】次の処方のトローチ剤を常法により調整した。
処方2
【0015】
【薬剤製造例3】次の処方の注射剤を常法により調整した。
処方3

【0016】
【実験例1】エイズウイルス感染細胞に対する効果を調べるため、,ポウエルズらの方法[Pauels,R.et al.,J.Virol.Methods,16,171−185(1987)]に従い、anti−HIVアッセイを行ったMT−4細胞(培養開始細胞数1×10/well)に、エイズウイルスとしてHTLV−IIIB(200CCID50/well)を感染させ、37℃、4日間培養し、エイズウイルスの複製の抑制効果を測定した。コントロールとしてスラミンを用いた。

その結果、感光色素はいかなる濃度においてもエイズウイルスの複製を抑制しなかった。
【0017】
【実施例1】1985年、輸血により感染したキャリア(男性46才)に対して、1993年4月より3年間本発明品処方1の錠剤を1日4錠投与。投与後より活力感が見られ疲労が感じられなくなってきた。6年間に渡りTh、NK細胞数を測定したところ、本発明の投与によりThの細胞数の減少が止まり、一方NK細胞にも回復の兆しが見られ本発明の効果が認められた。なお、正常人ではCD4陽性リンパ球数個数は1003/mlであり、NK細胞活性は11以上である。

【0018】
【実施例2】Thリンパ球数が200個/mm以下の患者(男性、45歳)に本発明品処方(2のトローチ剤を1日1回服用したところ、数日後に活力感が出てきた。患者には微熱、不快感、頭痛、腹痛、めまい、咳、動悸、かゆみ、食欲不振、嘔吐下痢などの症状について、ある(症状の程度+3、+2、+1)、なし(0)として記録してもらったところ、投与前26に対して投与後2週間で19となり1ヶ月目には17と改善した。
【0019】
【発明の効果】エイズ感染者は毎年その6%が発病していくとされる。エイズに対して本発明品は2つの効果を上げることができる。その一つとしてはThリンパ球の減少防止を上げることができる。2つめは日和見感染症の進行防止効果である。発病人にとっては「自己と非自己」の境界がなくなり、カポジ肉腫、痴呆状態、死に至るのであるが、本発明は生体の異物排除機能を維持するという効果、つまり発病後の進行を防ぎ、患者に延命効果をもたらすことができる。当然、エイズの治療は長期的なものになる。その点からも本発明は副作用のない理想的な療法であることは明らかである。なお抗ウイルス剤とも組み合わすことも可能であることは云うまでもない。
【出願人】 【識別番号】000153096
【氏名又は名称】株式会社日本感光色素研究所
【出願日】 平成9年(1997)7月7日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−29477
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−217961