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【発明の名称】 医療用容器
【発明者】 【氏名】黒木 宗一

【氏名】磯野 啓之介

【要約】 【課題】薬剤容器と可撓性の容器本体とを簡単に連通させることができる医療用容器の提供。

【解決手段】薬液を収容した可撓壁を有する樹脂容器本体3に、使用時に該薬液に混入する薬剤を収容した薬剤容器が接続される連結部を有する医療用容器1において、連結部5には容器本体側に固定される筒状ガイド材と、該ガイド材内を移動可能に設けられて薬剤容器内と容器本体内とを連通させる両頭針型連通手段と、が設けられ、両頭針型連通手段には筒状ガイド材の内壁面を摺接する樹脂製の被ガイド筒部7Aが設けられ、被ガイド筒部には半径方向に突き出して筒状ガイド材に一時係止される係止突起8が形成されると共に、係止突起の両側に被ガイド筒部の軸方向に切れ込まれた調節用スリットが形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 薬液を収容した可撓壁を有する樹脂容器本体に、使用時に上記薬液に混注される薬剤を収容した薬剤容器が接続される、又は接続されている連結部を有する医療用容器において、上記連結部には上記容器本体側に固定される筒状ガイド材と、該ガイド材内を移動可能に設けられて上記薬剤容器内と容器本体内とを連通させる両頭針型連通手段と、が配せられ、上記両頭針型連通手段には上記筒状ガイド材の内壁面を摺接する樹脂製の被ガイド筒部が一体に或いは別体として設けられ、上記被ガイド筒部には半径方向に突き出して上記筒状ガイド材に一時係止される係止突起が形成されると共に、該係止突起の両側に該被ガイド筒部の軸方向に切れ込まれた調節用スリットが形成され、上記薬剤容器の口部で両頭針型連通手段が軸方向に押圧されて上記調節用スリット間に樹脂の弾性変形が作用することにより上記係止突起が該被ガイド筒部の中心部に向けて拠れて上記被ガイド筒部が筒状ガイド材の係止から解除される場合に、上記調節用スリットは上記薬剤容器の口部が上記両頭針型連通手段に刺通された後に上記係止突起が筒状ガイド材の係止から解除されるように切れ込み長さが調節されていることを特徴とする医療用容器。
【請求項2】 上記容器本体はブロー成形物からなり、上記連結部から胴部に至る部分に肩部が形成され、上記筒状ガイド材と一体又は別体として形成され、上記容器本体の肩部を挟んで外側壁の一部を覆うスカート材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用容器に関するものであり、より詳細には、使用時に、樹脂容器本体と凍結乾燥物等の薬剤が収容された薬剤容器とを無菌的に簡単に連結することができる医療用容器、特に、使用時に容器本体内と薬剤容器内との連通する手段が極めてコンパクト化され、また確実に薬剤を薬液に溶解することのできる医療用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】点滴注射に用いられる輸液、透析液、臓器保存液等のバック、コンテナ等の医療用容器は、一般に樹脂容器である。また輸液にはその使用時に抗生物質などが混注、混合された後に点滴注射されるものがある。このような混注、或いは混合には注射器が使用される。例えば、抗生物質の入ったバイアルに溶解液が注射器を介して入れられる。抗生物質と溶解液とが混合され、混合液は注射器でバイアル内から吸い戻される。そして、輸液容器の排出口に注射器が刺通され、その混合液が輸液容器内に充填される。最近、かかる煩雑操作を省略するため、医療用容器にバイアル等の連結部を備えたものが種々提案されている。連結部を備えた医療用容器としては薬液或いは溶解液を収容した容器本体に連通手段を設けたものと、容器本体とバイアル等の薬剤容器とを予め連結部で連結して、使用時まで各容器内同士が連通されない状態におかれるものとがある。前者はいわゆるハーフキット医療用容器と一般に称され、後者はフルキット医療用容器と称されている。
【0003】ハーフキット医療用容器としては、例えば、可撓性容器と、該容器の上端から上方に伸びる筒状の収容カプセルとから構成され、カプセル内に連通手段である両頭刺通型の連通針が収容され、使用時に連通針の一端を薬剤容器の口部ゴム栓に刺通し、連通針の他端を可撓性容器の上端に設けたゴム栓に刺通して薬剤容器内と可撓性容器内とを連通させる薬剤容器の連通手段を備えた溶解液容器が提案されている(特開平7−328097号公報)。筒状カプセルの下部開口は可撓性容器の上端に密封連結され、上部開口は無菌維持シートによって密封され、連通針はカプセル内に無菌的に収容されている。フルキット医療用容器としては例えば、溶解液容器と、連結部として溶液容器の上端に設けた筒状のガイドカプセルと、ガイドカプセル内を上下動可能に設けた両頭刺通型の連通針と、バイアル等の薬剤容器と、内部にその薬剤容器を保持するホルダーと、ホルダーを収容しガイドカプセルの開口部を回動可能に密封するキャップとからなる輸液用容器が提案されている(特開平7−275324号公報)。かかる輸液用容器はキャップを回転させることにより、ホルダーが回転することなく連通針に向かって移動し、薬剤容器の口部ゴム栓は連通針の一端に刺通され、また溶解液容器の連結部のゴム栓は連通針の他端に刺通され、この結果薬剤容器内と溶解液容器内とが連通されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の連結部を具備した医療用容器には未だ以下の問題点がある。医療用容器における連結部に設けられる連通手段は両頭刺通型の連通針であるため、カプセル内に無菌状態で、しかも使用時に移動可能に配する必要がある。特に、その移動に際しては薬剤容器の口部が可撓性容器のゴム栓より先に連通針で刺通されなければならないという構成要件が課せられるため、カプセル内の収容構造が複雑となるおそれがある。従って、本発明は、連結部内の連通手段の取付けが簡単で、また先に薬剤容器の口部が連通された後に可撓性の容器本体内に連通させる構造を極めて簡単に形成することができる医療用容器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、薬液を収容した可撓壁を有する樹脂製の容器本体に、使用時に上記薬液に混注される薬剤を収容した薬剤容器が接続される、又は接続されている連結部を有する医療用容器において、上記連結部には上記容器本体側に固定される筒状ガイド材と、該ガイド材内を移動可能に設けられて上記薬剤容器内と容器本体内とを連通させる両頭針型連通手段と、が配せられ、上記両頭針型連通手段には上記筒状ガイド材の内壁面を摺接する樹脂製の被ガイド筒部が一体に或いは別体として設けられ、上記被ガイド筒部には半径方向に突き出して上記筒状ガイド材に一時係止される係止突起が形成されると共に、該係止突起の両側に該被ガイド筒部の軸方向に切れ込まれた調節用スリットが形成され、上記薬剤容器の口部で両頭針型連通手段が軸方向に押圧されて上記調節用スリット間に樹脂の弾性変形が作用することにより上記係止突起が該被ガイド筒部の中心部に向けて拠れて上記被ガイド筒部が筒状ガイド材の係止から解除される場合に、上記調節用スリットは上記薬剤容器の口部が上記両頭針型連通手段に刺通された後に上記係止突起が解除されるように切れ込み長さが調節されていることを特徴とする医療用容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】上記樹脂容器に収容される薬液は、一般に電解質液である。例えば、乳酸、酢酸、重炭酸等を含むリンゲル液、糖、アミノ酸、ペプチド、脂肪等を含む高カロリー輸液、透析液、臓器保存液等の溶液である。尚、薬液は凍結乾燥薬剤の単なる溶解液、希釈液でも良く、かかる薬液は単純な無菌水であっても良い。薬液は、容器本体内液密に収容された後に蒸気滅菌処理されるものである。
【0007】上記医療用の容器本体は可撓性壁を有する。可撓性壁は撓むことにより容器内の容積が容易に変化するものであれば良い。また、医療用容器壁は内容物の確認ができる程度に透明性を有することが望ましい。容器内での薬剤の状態を確認する上で必要となるからである。上記容器本体は樹脂素材からなり、インフレーションフィルム、チューブ、シート及びフィルムから成形したもの、押出成形、射出成形、又はブロー成形したものである。容器本体の樹脂素材としてはポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂等の汎用樹脂である。また樹脂容器は単層又は多層で形成されていても良い。容器内の薬剤と接触する最内層は、薬剤に影響を与えない、また溶出物が生じない樹脂層であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が望ましく、例えば、低、中、高−密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の低級オレフィン樹脂等が挙げられる。上記容器壁にはガスバリアー性層が形成されていることが望ましい。特に、酸素等を容易に透過しない層であることが望ましい。このようなガスバリアー性層としては、殆ど、又は全くガスを透過させないアルミニウム等の金属層や酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン等の無機蒸着層であり、またポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素系樹脂等のようにガスバリアー性の高い樹脂層である。ガスバリアー性層の酸素透過量は40cc・20μ/m2・day・atm(温度:20℃)以下、特に、30cc・20μ/m2・day・atm以下、また好ましくは5cc・20μ/m2・day・atm以下、更には1cc・20μ/m2・day・atm以下であることが望ましい。
【0008】上記薬液に混注される薬剤としては、抗生物質、生理活性物質などの凍結乾燥物、抽出薬剤、その他の薬剤等を挙げることができ、通常、輸液、透析液等に混注されるものである。上記薬剤容器はバイアル等のガラス容器、或いは樹脂容器等を挙げることができ、その口部に被刺通用の密封ゴム栓等が設けられているものである。医療用容器は薬剤容器が使用時に容器本体の連結部に連結されるものでも良く、また薬剤容器が予め容器本体の連結部に取り付けられて使用時まで容器本体内と薬剤容器内とが非連通状態に置かれているものでも良い。従って、ハーフキット型医療用容器でも良く、フルキット型医療用容器でも良い。
【0009】上記容器本体の連結部には上記容器本体側に固定される筒状ガイド材が設けられる。筒状ガイド材は樹脂成形物であることが望ましく、筒状の断面形状は円、楕円、四角、その他の角形状でも良いが、通常は円筒状に形成されている。筒状ガイド材は上記容器本体に設けた連結ポートに固定して取付られていても良く、また連結口ポートと一体形成されていても良い。上記容器本体の連結部には上記薬剤容器内と容器本体内とを連通させる両頭針型連通手段が上記筒状ガイド材内を移動可能に設けられる。両頭針型連通手段は両先端が刺通部を有したパイプ状の加工部材であり、金属製、樹脂製が主に用いられるが、成形性、衛生性から樹脂製であることが望ましい。両頭針型連通手段は一端が薬剤容器の口部のゴム栓に刺通でき、また他端が可撓性容器壁或いはその容器の連結口に設けられる弾性部材等に刺通できるものである限り如何なる形状でもよい。両頭針型連通手段は一通路だけでなく二通路を有したいわゆるダブルルーメン型であっても良い。上記両頭針型連通手段には一体に又は別体で被ガイド筒部が設けられ、被ガイド筒部は筒状ガイド材の内壁面に沿って案内されるものである。これにより、両頭針型連通手段の一端は薬剤容器の口部に対して相対移動可能となり、また他端も可撓性容器壁或いは連結口に対して相対移動可能となる。
【0010】上記被ガイド筒部には半径方向に突き出して上記筒状ガイド材に係止される係止突起が形成される。係止突起は上記筒状ガイド材の端面に一時係止させても良く、また筒状ガイド材の内壁に溝或いは孔等を形成してこれらに係止させても良い。本発明に係る被ガイド筒部の係止突起の両側にはその被ガイド筒部の軸方向に切れ込まれた調節用スリットが形成されている。このため、筒状ガイド材と被ガイド筒部とは係止関係にあるが、被ガイド筒部が薬剤容器の口部から押圧を受け、係止突起が筒状ガイド材の係止部から相対的に軸方向に抵抗を受けたとき、調節用スリット間にストレスが発生じ、かかる部分で弾性曲げが生じ、被ガイド筒部の中心部に向けて係止突起が拠れるように作用する。また軸方向等からの押圧力に対する係止突起の中心方向への拠れ量は樹脂材の弾性特性、及び調節用スリットの切れ込み長さにより調節される。このため、被ガイド筒部の係止突起が筒状ガイド材から係止解除されるために必要とされる薬剤容器からの押圧力は調節用スリットの切れ込み長さにより調整される。
【0011】従って、上記薬剤容器の口部で両頭針型連通手段が軸方向に押圧されて上記調節用スリット間に樹脂の弾性変形が作用することにより上記係止突起が該被ガイド筒部の中心部に向けて拠れて上記被ガイド筒部が筒状ガイド材の係止から解除される場合に、本発明に係る上記調節用スリットは上記薬剤容器の口部が上記両頭針型連通手段に完全に刺通された後に上記係止突起が解除されるように切れ込み長さが調節されている。通常、薬剤容器の口部の刺通抵抗は、小さい場合で1.0kgfであり、大きい場合で10.0kgfであることから、薬剤容器からの軸方向の押圧力が1.0〜10.0kgf、好ましくは、3.0〜7.0kgfの範囲にあるときに係止突起が係止解除されるように調節用スリットが形成されていることが望ましい。上記範囲を下回る調節では薬剤容器の口部が完全に刺通される前に係止解除がなされて被ガイド筒部及び連通手段が移動し、先に可撓性容器壁に刺通して薬液を噴流させるおそれが生じる。また上記範囲を上回れば刺通操作に過大な力を要する不都合が生じる。このように構成される医療用容器にあっては連通手段と被ガイド筒部との成形は簡単であり、一体成形も可能である。また、係止突起及び調節用スリットの形成も樹脂加工上極めて簡単にできる。そして、調節用スリットの切れ込み長さも比較的ラフな設定で上記連通手段の刺通順序を決定付けることができる。このため、連結部内の連通手段の取付けが簡単で、また先に薬剤容器の口部が連通された後に可撓性の容器本体内に連通させる構造を極めて簡単にすることができる。
【0012】本発明に係る請求項2記載の医療用容器は、請求項1記載の医療用容器において、上記容器本体はブロー成形物からなり、上記連結部から胴部に至る部分に肩部が形成され、上記筒状ガイド材と一体又は別体として形成され、上記容器本体の肩部を挟んで外側壁の一部を覆うスカート材が設けられていることを特徴とする。上記容器本体をブロー成形物とすれば、その容器壁を可撓性にすることができる一方、その容器壁にある程度の腰を持たせて立設を可能にすることができる。上記容器本体を立設して薬剤容器の連通操作を大量にする場合に、容器本体の連結部を手などで固定せずに薬剤容器の口部を容器本体に向けて押し込むと、連結部は首部に近い形状であるためかかる部分で座屈を生じる。しかし、上記容器本体の肩部を挟んで外側壁の一部にスカート材を設けることにより連結部での座屈を防止することができる。このため、立たせたまま薬剤容器内と容器本体内との連通操作ができ、病院内での大量の操作処理を容易にすることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る医療用容器の好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る医療用容器の第一実施例の正面図である。図2は第一実施例の医療用容器の側断面図である。図3(A)及び(B)は第一実施例の医療用容器における連通手段及び被ガイド筒部の断面図である。図4は第一実施例の医療用容器における筒状ガイド材の断面図である。図5は使用開始時の第一実施例の医療用容器の側断面図である。図6は被ガイド筒部の摺動時の第一実施例の医療用容器の側断面図である。図7は連通後の第一実施例の医療用容器の側断面図である。図8は第一実施例の医療用容器の変形例を示す側断面図である。
【0014】図1乃至図7に示す如く、本実施例の医療用容器1は薬液2が収容され可撓壁を有する樹脂製の容器本体3に、使用時に薬液2に混注される薬剤が収容された薬剤容器4が接続される連結ポート(連結部)5を有するハーフ型キットである。医療用容器1において、連結ポート5には容器本体3側に固定される円筒状ガイド材6と円筒状ガイド材6内を移動可能に設けられ、薬剤容器4内と容器本体3内とを連通させる両頭針7とが配せられ、両頭針7には円筒状ガイド材6の内壁面を摺接する樹脂製の被ガイド円筒部7Aが一体に設けられ、被ガイド円筒部7Aには半径方向に突き出して円筒状ガイド材6に係止される係止突起8、8、8、8が形成されると共に、係止突起8の両側に被ガイド円筒部7Aの軸方向に切れ込まれた調節用スリット9、9が形成され、薬剤容器4の口部10で両頭針7が軸方向に押圧されて調節用スリット9、9間に樹脂の弾性変形が作用することにより係止突起8が被ガイド円筒部7Aの中心部(図3(B)に示す矢印A)に向けて拠れて被ガイド円筒部7Aが円筒状ガイド材6の係止から解除される場合に、調節用スリット9、9は薬剤容器4の口部10が両頭針7の一刺通部7Bに刺通された後に係止突起8が解除されるように切れ込み長さが調節されている。また容器本体3はブロー成形物からなり、連結ポート5から胴部に至る部分に肩部3Aが形成され、円筒状ガイド材6と一体として形成され、容器本体3の肩部3Aを挟んで外側壁の一部を覆うスカート部6Aが設けられている。
【0015】本実施例の医療用容器1を更に詳しく説明すると、医療用容器1の容器本体3はブロー成形物からなる。ブロー成形物の胴壁の厚みは250μmで、その容量は160mlで、長さが150mmで、幅が80mmである。ブロー成形物の胴壁は厚みが250μmの直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.935g/cm3、MI:2、融点:121℃)からなる。ブロー成形物はブロー成形時のブロー吹出口が医療用容器における排出ポート12として形成され、また端部に連結ポート5が形成されている。容器本体3内には薬液2が充填され、薬液2は薬剤容器内の凍結乾燥品を溶解する生理食塩水であり、生理食塩水は除菌フィルタを通して容器本体3に充填されている。尚、薬液2は容器本体3と共にオートクレーブ滅菌処理されている。
【0016】図2に示す如く容器本体3の連結ポート5には密封用キャップ15が嵌入固着され、連結ポート5は密封用キャップ15により液密に閉止されている。密封用キャップ15はエチレン樹脂製の成形物からなり、その底面15Aは両頭針7の刺通部7Cで破封可能な薄膜となっている。密封用キャップ15内にはゴム製の環状シール材16が配せられ、環状シール材16には両頭針7の刺通部7Cが挿入されて環状シール材16は両頭針7を保持している。また環状シール材16は摺動する両頭針7と密封用キャップ15との間を液密にシールして、両頭針7で密封キャップ15の底面15Aを破封したときに薬液2が漏れ出すのを防止している。密封用キャップ15及び環状シール材16には円筒状ガイド材6が取付られ、円筒状ガイド材6はポリプロピレン製の成形物からなる。円筒状ガイド材6の天面の開口には無菌維持用シート17が剥離可能に貼着され、無菌維持用シート17は水蒸気透過性で細菌非透過性のパルプ繊維及び樹脂繊維からなるシートで形成されている。両頭針7は保存時に円筒状ガイド材6と無菌維持シート17により無菌収容されている。
【0017】図3に示す如く、両頭針7はプロピレン樹脂成形物からなり、その本体のパイプ部の両端には刺通部7B及び7Cが形成されている。また両頭針7にはハブ部7Dを介して被ガイド円筒部7Aが一体成形され、被ガイド円筒部7Aは円筒状ガイド材6の内壁面に案内されて両頭針7を上下に摺動案内可能にしている。被ガイド円筒部7Aには半径方向に向けて4カ所に係止突起8が形成され、各係止突起8の両側には調節用スリット9、9が切り込み形成されている。このため、図3(B)に示す如く係止突起8の下面が強く押圧されると、調節用スリット9、9間で弾性曲げ変形が生じ、係止突起8は矢印Aの方向に拠れる。尚、係止突起8が図4に示す円筒状ガイド材6の内壁面に形成された溝状部19に係止された状態で両頭針7は円筒状ガイド材6内に収容される。そして、円筒状ガイド材6の溝状部19の上面と係止突起8の下面との軸方向の抵抗力が5〜6kgfに達したときに係止突起8は拠れて溝状部19から離脱するようになっている。両頭針7のハブ部7Dの上面には案内プレート20が形成され、案内プレート20は挿入される薬剤容器4の口部10を案内するようになっている。また、両頭針7には大小の連通路21、22が形成され、両頭針7はダブルルーメン型となっている。図4に示す如く、円筒状ガイド材6はほぼ円筒状のプロピレン樹脂成形物からなり、スカート部6A、取付部6B、及び上部に係止用の溝状部19が形成された開口部6Cが形成される。スカート部6Aは容器本体3の肩部3Aを挟んで外側壁の一部を覆うように設けられ、上述したように取付部6Bは密封用キャップ15に固定され、開口部6Cには無菌維持用シート17が貼着されている。
【0018】次に、医療用容器1の製造方法について説明する。ブロー成形物である容器本体3及びその他の部材を洗滌乾燥した後、容器本体3の連結ポート5に密封用キャップ15を超音波溶着により液密に取付ける。次に、密封用キャップ15に環状シール材16及び円筒状ガイド材6を取付け、かかる取付の際に密封用キャップ15と円筒状ガイド材6との間を環状シール材16でシールした状態とする。次に、円筒状ガイド材6の開口部6Cから両頭針7を入れて両頭針7の刺通部7Cを環状シール材16内に挿入すると共に被ガイド円筒部7Aの係止突起8を円筒状ガイド材6の溝状部19に係止させる。両頭針7を円筒状ガイド材6に収納した後に円筒状ガイド材6の開口部6Cに無菌維持シート17を貼り付ける。次に、容器本体3の排出ポート12から薬液2を本体3内に所定量充填する。充填後、排出ポート12をゴム栓で完全に密封し、温度110℃で高圧蒸気滅菌処理する。滅菌処理後円筒状ガイド材6内を乾燥して医療用容器1としてこれを包装体で包装して製品とする。
【0019】このように構成される医療用容器1を使用する場合、先ず、円筒状ガイド材6の開口部6Cから無菌維持シート17を剥がす。図5に示す如く開口部6Cに薬剤容器4を差し込む。その口部10は両頭針7の案内プレート20に案内されて刺通部7Bが刺通される。この時の口部10での薬剤容器4の押圧による刺通抵抗力は3kgfである。従って、薬剤容器4を3kgfで押圧すると、図5に示す状態で薬剤容器4が挿入されることとなる。次に、薬剤容器4を更に5kgf以上で押圧すると、両頭針7における被ガイド円筒部7Aの係止突起8が図6に示す如く中心部に向けて拠れ、円筒状ガイド材6の溝状部19から離脱して係止関係が解除される。かかる解除により両頭針7は下動して図7に示す如くハブ部7Dが円筒状ガイド材6の取付部6Bに当接し、他端の刺通部7Cが密封用キャップ15の底面15Aを破封する。これにより、薬剤容器4内と容器本体3内とが両頭針7の通路21、22を介して連通され、薬剤と薬液2が混合される。そして、混合後に排出ポート12に点滴用の注射針を刺通して点滴を開始する。
【0020】本実施例に係る医療用容器1にあっては両頭針7及び円筒状ガイド材6の取付けが簡単であり、また両頭針7を円筒状ガイド材6内に無菌的に収容する場合にも簡単にできる。また薬剤容器4の口部10と容器本体3壁との刺通順序を制御する被ガイド円筒部7Aの係止突起8も両頭針7と一体形成して加工できる。そして、係止突起8における円筒状ガイド材6との係止関係を調節する調節用スリット9の形成も樹脂加工上極めて簡単にでき、その調節用スリット9の切れ込み長さも比較的ラフな設定で所期の目的を達成することができる。このため、従来より連結部内の両頭針型連通手段7の取付けが簡単できる。更に、容器本体3をブロー成形物とするため、その容器壁を可撓性にすることができる一方、その容器壁にある程度の腰を持たせて立設できる。このため、容器本体3を立設して薬剤容器4の連通操作を大量にすることができる。またこの場合に、容器本体3の連結ポート5の部分を手などでサポートしなくても、容器本体3の肩部3Aを挟んだ円筒状ガイド6のスカート部6Aにより連結ポート5での座屈を防止し、立たせたまま薬剤容器4内と容器本体3内との連通操作ができ、病院内での大量の操作処理を容易にすることができる。
【0021】図8は、第一実施例に係る医療用容器の変形例を示す側断面図である。図8に示す医療用容器31は、容器本体3に予め薬剤容器4が無菌的に接続されているものである。薬剤容器4がホルダー32に保持され、ホルダー32は円筒状ガイド材6の外壁面を液密に摺接して、薬剤容器4はその口部10を容器本体3に向けて移動可能になっている。従って、このようなフルキット型医療用容器31においても、第一実施例のハーフキット型医療用容器1とほぼ同様な作用効果を奏する。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用容器においては、その連結部に上記容器本体側に固定される筒状ガイド材と、該ガイド材内を移動可能に設けられて上記薬剤容器内と容器本体内とを連通させる両頭針型連通手段と、が配せられ、上記両頭針型連通手段には上記筒状ガイド材の内壁面を摺接する樹脂製の被ガイド筒部が一体に或いは別体として設けられ、上記被ガイド筒部には半径方向に突き出して上記筒状ガイド材に一時係止される係止突起が形成されると共に、該係止突起の両側に該被ガイド筒部の軸方向に切れ込まれた調節用スリットが形成され、上記薬剤容器の口部で両頭針型連通手段が軸方向に押圧されて上記調節用スリット間に樹脂の弾性変形が作用することにより上記係止突起が該被ガイド筒部の中心部に向けて拠れて上記被ガイド筒部が筒状ガイド材の係止から解除される場合に、上記調節用スリットは上記薬剤容器の口部が上記両頭針型連通手段に刺通された後に上記係止突起が解除されるように切れ込み長さが調節されているので、連結部内の連通手段の取付けが簡単で、また先に薬剤容器の口部が連通された後に可撓性の容器本体内に連通させる構造を極めて簡単に形成することができる。
【出願人】 【識別番号】390003263
【氏名又は名称】株式会社新素材総合研究所
【出願日】 平成9年(1997)6月12日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−379
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−170954