トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 歩行補助車
【発明者】 【氏名】兼廣 二郎

【氏名】岡崎 正広

【氏名】山下 惠司

【氏名】森久 繁

【氏名】笹田 誠

【氏名】鈴木 寛

【氏名】野上 一昭

【氏名】松浦 英次

【氏名】木村 秀樹

【氏名】津間 恵理子

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 傾斜検知器を装備した歩行補助車。
【請求項2】 一定長さのパイプと、パイプ両端に取り付けられたスイッチと、パイプ内に挿入される移動体と、パイプ内に注入された常温で液体の物質から成る傾斜検知器である請求項1の歩行補助車。
【請求項3】 接地面に対し上部に開く湾曲状に形成したパイプと、パイプ両端に取り付けられた近接スイッチと、パイプ内に挿入される磁性体の移動体と、パイプ内に注入され且つ移動体が腐食しない液体からなる傾斜検知器である請求項2の歩行補助車。
【請求項4】 持ち手に光電スイッチを取り付けた歩行補助車。
【請求項5】 バッテリー充電用のソーラパネルを装備した歩行補助車。
【請求項6】 ソレノイドによりロック爪とロック溝が噛み合うと共に、バネの力によりロック爪とロック溝が外れる構造のクラッチを装備した歩行補助車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人力による駆動系とモータによる駆動系とを並列に設け、モータによる駆動力を人力による駆動力の変化に対応して制御するようにした歩行補助車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】老人や足の不自由な人の歩行補助具として4つの車輪を備え、持ち手を押して歩く手押し車がある。手押し車を押して歩行することにより、歩行が楽に行え、適度な運動の手助けとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるにこの手押し車の駆動源は人力のみであり、これは急な上り坂においては体力の少ない老人においては労力が足りず歩行が困難であり、また急な下り坂においては手押し車の重量に上り加速するため、危険性が高くなるといった不具合があった。このため、平坦な道では使用しやすいが、坂道が多い場所では使用しにくいものとなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、モータによる電池の消耗を極力省力化し、且つ人力による駆動を生かす一方、上り下りの坂道などに於いては自立走行可能な車速に加速、減速できるようにして、老人や脚力の弱い人にも使用することが可能な手押し車、あるいはベビーカーや乳母車といったモータ付き歩行補助車を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の歩行補助車は、一定長さのパイプと、パイプ両端に取り付けられたスイッチと、パイプ内に挿入される移動体と、パイプ内に注入された常温で液体の物質から成る傾斜検知器を装備している。この傾斜検知器は、接地面に対し上部に開く湾曲状に形成したパイプと、パイプ両端に取り付けられた近接スイッチと、パイプ内に挿入される磁性体の移動体と、パイプ内に注入され且つ移動体が腐食しない液体から構成されると良い。
【0006】また、歩行補助車の持ち手に光電スイッチを取り付けている。
【0007】更に、バッテリー充電用のソーラパネルを装備している。
【0008】また、ソレノイドに、よりロック爪とロック溝が噛み合うと共に、バネの力によりロック爪とロック溝が外れる構造のクラッチを装備して、通電なしでクラッチの入切の状態が維持できるものとしている。
【0009】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の歩行補助車の1例を示す手押し車を右斜め後方から見た斜視図、図2は同じく本発明の手押し車を右斜め前方から見た斜視図で、ソーラーパネルを開いた状態である。図に於いて、本発明の手押し車1はほぼ四角状の本体2の外部に、本体アーム3,フロントアーム4,リアアーム5を組み立て、フロントアーム4には前車輪8、リアアーム5には後車輪9をそれぞれ取り付けてある。後車輪9は傾斜地において、電動モータにより駆動される。なお、図中10は差動ギア、11は車軸である。ソーラーパネル12は後述するバッテリーの充電用として、図2に示すように左右に広げて使用されるが、走行の際には図1のように折り畳んで使用しても良い。また、手押し車1に腰掛けて休憩等できるよう、座部13、肘掛け14を設けてあり、この座部13は本体2内へ物が収納可能なように開閉自在となっている。また、本発明の手押し車1は外観上、人に優しいイメージを与えるよう、本体2は本体カバー15の下部に籐素材を編んだ籐カバー16で被覆すると共に、持ち手7も籐でカバーしており、また座部13、肘掛け14を木製で製作する等、視覚的、触覚的に工夫してあるが、これに限定されるものではない。
【0010】図3は手押し車1の本体2内の上面図であり、各装置の配置を示すもので配線等は省略してある。図4は駆動系の構造を説明する模式図、図5は電気系統を説明するブロック図である。傾斜角5度未満の平坦な道での走行に於いては、モータ20は回転せず、手押し車1は人力により駆動する。これに対し、傾斜角5度以上の登り及び下り坂にさしかかると、傾斜検知器21がそれを感知し、傾斜検知器21に取り付けられた近接スイッチ22,22’が作動し、モータ20が回転を始める。コントローラ23はモータ20の早さをコントロールし、シーケンサ24により出力を制御する。そして、人が持ち手7を握ることで持ち手7に装着された光電スイッチ6が入り、このためクラッチ25が動作してモータ20の回転が減速機26を介して後車輪9に伝わり駆動する。差動ギア10は左右の後車輪9,9の負荷の差により回転を左右に振り分けて駆動する。なお、図中17,17’はタイミングプーリー、18はタイミングベルト、19は戻しバネ、27はクラッチコマ、28はクラッチレバー、29はバッテリーである。
【0011】図6は図4A部の拡大断面図であり、図7は図6のB−B線断面図である。図8はクラッチコマ27を示すものであり、Aは正面図、Bは右側面図(差動ギア10側)、Cは左側面図(タイミングプーリー17’側)であり、図9は図6のC−C線断面図である。差動ギア10は車軸11に連結しており、クラッチコマ27は図7に示す差動ギア10の溝10aと、図8Bに示す爪27aとが噛み合っているが、タイミングプーリー17’は車軸11及びクラッチコマ27、差動ギア10に対しフリーな状態であり、人力による駆動の際には、タイミングプーリー17’は車軸11に対し自由に回転する。傾斜を感知してモータ20が回転すると共にクラッチ25が入ると、図4に示すレバー28が支点28tを境にクラッチ25側では矢印V方向に引っ張られ、一方差動ギア10側ではクラッチコマ27を図中X方向にスライドさせて、図9に示すタイミングプーリー17’の溝17’bと、図8Cに示すクラッチコマ27の爪27bとが噛み合うようになる。そして、タイミングベルト18を介して伝達されるモータ20の駆動力が、差動ギア10を駆動させ、ないしは車輪9,9を駆動させる。下り坂で持ち手7を放すと、光電スイッチ6が切れ、この為クラッチ25が動作した状態で、モータ20の回転を停止させることとなり、下り坂の途中でも減速機26がブレーキとして働き、手押し車1は停止した状態を保つ。
【0012】図10はクラッチ25の駆動用機構を説明する模式図(側面図)である。人力により駆動する場合、すなわちモータにより駆動されていない状態を図7Aに示し、一方、モータにより駆動される場合をクラッチが入ってない状態(図7B)と、クラッチが入り、噛み合っている状態(図7C)で説明する。クラッチが入るときは、ソレノイド40への通電でスライド41が矢印Y方向へ引っ張られ、このため、ロックシーソー47の端部に取り付けたロック爪42が圧縮バネ43の力でロック溝44にはまり、スライド41は固定される。この際、前述したタイミングプーリー17’の溝T7’bにクラッチコマ27の爪27bが噛み合うまで、すなわち、傾斜を感知してモータが駆動するが、クラッチが入ってない状態では、図10Bにて示すような引っ張りバネ45が伸びた状態となる。タイミングプーリー17’の溝17’aとクラッチコマ27の爪27aが噛み合うと、引っ張りバネ45の力でクラッチレバー28が引っ張られ、これに伴いスライド41’が矢印Z方向に引っ張られて、ロック爪42’がロック溝44’にはまり固定される。一方、クラッチ25を解除する際は、上部ソレノイド46に通電することにより、図10Cに示す矢印W方向にソレノイド46がロックシーソー47,47’を押して、それぞれのロック爪42,42’がロック溝44,44’から外れ、車体に取り付けられた引っ張りバネ19の力で元の状態に戻る。このようにワンショットの通電信号で、ロック爪42とロック溝44が噛み合い、通電せずバネの力でロック爪とロック溝が外れるようなクラッチとしたことにより、限られたバッテリ容量を節約することができ、歩行補助車に装備するのに最適な小型軽量のクラッチを提供することが可能となった。
【0013】図11は傾斜検知器21の説明図である。傾斜検知器21は、例えばビニールパイプのような非磁性体材料を湾曲状に形成したスライドパイプ30を本体床部31に対して上側に弓状に開くように支持台32,32により固定し、またスライドパイプ30内には磁性体により形成され、スライドパイプ30内を移動可能な移動体33を挿入し、更にこのスライドパイプ30の両端に近接スイッチ22,22’を取り付けたものである。傾斜角5度未満の平坦な道を走行する際には、図11Aに示すように、スライドパイプ30内の移動体33がスライドパイプ両端の近接スイッチ22,22’間にあり、傾斜検知器21が作動せず、駆動は人力による。一方、図11Bに示す登り坂及び図11Cに示す下り坂のような傾斜角が5度以上の傾斜地を走行する際には、移動体33がスライドパイプ30内を移動し、スライドパイプ30前後に設けられた近接スイッチ22,22’に近接することによって、傾斜を検知し、モータを駆動させる。また、でこぼこ道等での傾斜検知器21のチャタリング検出を防止することを目的として、円滑に移動体33が動作するよう、スライドパイプ30内に適度な濃度・粘性の常温で液体の物質を注入している。本例では、移動体33が腐食しない油を注入している。
【0014】本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば減速機は図示のような大小のギアの組み合わせによる例の他、ウォームギアや遊星ギア等の小型軽量且つ大きな減速比に変換できるもので選択可能である。傾斜検知器に於いては、スライドパイプは透明のパイプでも良いのであって、この場合はパイプ両端のスイッチを光電スイッチとして、光を遮断することによりスイッチが入るようにすることを目的としてパイプ内に移動体を挿入するのであり、移動体は磁性体以外の材料でも良い。また、スライドパイプ断面及び移動体の形状はそれぞれ変形可能であり、スライドパイプ内を移動体が移動可能な形状として、例えば、スライドパイプは断面四角状、移動体は立方体の組み合わせとしても良い。更に、スライドパイプの形状は、傾斜地走行時と平坦地走行時で移動体の位置が変化できるような形状とするのであり、上記実施例と反対の下側に開く湾曲状に形成したものや、V字状或いはコの字状でも良い。スライドパイプ内に注入される液体は、瞬間や突発的な移動体の揺れを防止する目的で注入されるのであり、その濃度や粘度はパイプの断面積及び移動体の投影面積、移動体の重量に関係しいているのであり、それらの関連から具体的には水のように粘度の小さいものから水飴のように粘度の大きいものまで選択可能である。
【0015】
【発明の効果】本発明の歩行補助装置は上記に手押し車の例にて示すような構成としたことにより以下の効果が得られるものとなった。
1,平地走行時には普通の手押し車と同様に機能することが可能となった。
2,傾斜検知器により、上り、下り坂を感知し、駆動装置が自動的に働き、歩行者の負担を軽くすることが可能となった。
3,下り坂では、速度が速すぎたり、手押し車が勝手に先に進むことを防止するような速度制御を備えたことにより危険を回避できる。
4,光電スイッチにより、使用者が万一、坂道の途中で手を離しても、勝手に手押し車が動き出すことを防止できる。
5,差動ギアにより、駆動装置を備えていても、小廻りがきき、操作しやすくなった。
6,ソーラーパネルにより、手押し車の不使用時にバッテリ充電が可能となった。
7,モータの速度を減速機にて歩行に適した速度に減速したことにより、坂道においても歩行に支障のない速度で歩行が可能となった。
8,ワンショットの通電で作動するクラッチとしたことにより、バッテリ容量を節約でき、小型軽量化が図れたため、歩行用として良好なものとなった。以上のことにより、本発明の歩行補助装置は、歩行の不自由な人が他人の助けを借りず、気軽に且つ安全に外出することができるものとなった。
【出願人】 【識別番号】598054681
【氏名又は名称】松浦 英次
【出願日】 平成10年(1998)3月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−267162
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−114072