トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 マッサージ機能付きシート
【発明者】 【氏名】丹 諭

【要約】 【課題】症状に合わせて、その症状の解消に効果的な「ツボ」を自動的にマッサージすることができるマッサージ機能付きシートを提供する。

【解決手段】選択された症状に基づいて「ツボ」を判別し、施療子によりその「ツボ」をマッサージするようにした。従って、単にその症状に対応する部位だけをマッサージするよりも、症状の解消に効果的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートバックに上下方向及び幅方向に移動する施療子を備えたマッサージ機能付きシートであって、選択された症状に基づいて「ツボ」を判別し、施療子によりその「ツボ」をマッサージすることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項2】 請求項1記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックに設けられた施療子をシートバックに沿った上下方向へ移動させる上下移動手段と、施療子をシートバックの幅方向へ移動させる幅移動手段と、施療子の上下方向での移動量を検出する上下移動量検出手段と、施療子の幅方向での移動量を検出する幅移動量検出手段と、症状を選択する症状選択手段と、選択された症状からマッサージする「ツボ」を判別する「ツボ」判別手段と、上下移動量検出手段からの移動量を入力すると共に「ツボ」判別手段の信号から「ツボ」の上下方向での位置を算出する「ツボ」上下位置演算手段と、幅移動量検出手段からの移動量を入力すると共に「ツボ」判別手段で判別された「ツボ」の種類に応じて施療子を「ツボ」の幅方向位置へ移動させるための信号を幅移動手段に出力する幅移動制御手段と、施療子を「ツボ」上下位置演算手段で算出された「ツボ」の上下方向位置へ移動させるための信号を上下移動手段に出力する上下移動制御手段とを備えていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項3】 請求項2記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックをシートクッションに対して上下動させるシートバック上下移動手段と、シートバックの上下方向での移動量を検出するシートバック上下移動量検出手段とを備え、「ツボ」上下位置演算手段に前記シートバック上下移動量検出手段からの移動量も入力されることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項4】 請求項2又は請求項3記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックをシートクッションに対して回動させるリクライニング手段と、シートバックの回動量を検出するシートバック回動量検出手段とを備え、「ツボ」上下位置演算手段に前記シートバック回動量検出手段からの回動量も入力されることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシートであって、施療子が径60mm以上で、厚さ30mm以上の縦置き円板体で、且つ該施療子を30mm以上の振動幅で上下に振動させることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、座者の肩部や腰部などに対してマッサージを行うマッサージ機能付きシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、シートバックにマッサージ機能をもたせ、座者の肩部や腰部などに適度な振動を与えるようにしたマッサージ機能付きシートが提案されている。例えば、シートバックに上下方向及び幅方向に移動する施療子を備え、その施療子により希望する部位をマッサージできる構造になっている(類似技術として、実開平1−135926号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、このようなマッサージ機能付きシートを用いて、例えば風邪による肩こりの場合、心地良さだけを求めて肩だけをマッサージしている。ところが、肩こりを本当に解消するには、肩だけでなく、その風邪自体を解消する必要がある。そのような症状を解消する部位が、古くから知られている所謂「ツボ」である。肩以外の「ツボ」をマッサージすることにより、肩こりの原因を根本的に解消することができる、とする。従来のマッサージ機能付きシートは、肩だけをマッサージするものであり、本来の「ツボ」をマッサージするものではなかった。また、「ツボ」の位置を勉強しても、その位置にマッサージ機能付きシートの施療子を合わせることが困難である。
【0004】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、症状に合わせて、その症状の解消に効果的な「ツボ」を自動的にマッサージすることができるマッサージ機能付きシートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、シートバックに上下方向及び幅方向に移動する施療子を備えたマッサージ機能付きシートであって、選択された症状に基づいて「ツボ」を判別し、施療子によりその「ツボ」をマッサージするものである。
【0006】請求項1記載の発明によれば、選択された症状に基づいて「ツボ」を判別し、施療子によりその「ツボ」をマッサージするため、症状の解消に効果的である。
【0007】請求項2記載の発明は、シートバックに設けられた施療子をシートバックに沿った上下方向へ移動させる上下移動手段と、施療子をシートバックの幅方向へ移動させる幅移動手段と、施療子の上下方向での移動量を検出する上下移動量検出手段と、施療子の幅方向での移動量を検出する幅移動量検出手段と、症状を選択する症状選択手段と、選択された症状からマッサージする「ツボ」を判別する「ツボ」判別手段と、上下移動量検出手段からの移動量を入力すると共に「ツボ」判別手段の信号から「ツボ」の上下方向での位置を算出する「ツボ」上下位置演算手段と、幅移動量検出手段からの移動量を入力すると共に「ツボ」判別手段で判別された「ツボ」の種類に応じて施療子を「ツボ」の幅方向位置へ移動させるための信号を幅移動手段に出力する幅移動制御手段と、施療子を「ツボ」上下位置演算手段で算出された「ツボ」の上下方向位置へ移動させるための信号を上下移動手段に出力する上下移動制御手段とを備えている。
【0008】請求項2記載の発明によれば、判別された症状の種類に応じて「ツボ」の幅方向での位置が決められ、且つ「ツボ」上下位置演算手段による算出で「ツボ」の上下方向での位置が決められるため、施療子を確実に「ツボ」位置に移動することができる。
【0009】請求項3記載の発明は、シートバックをシートクッションに対して上下動させるシートバック上下移動手段と、シートバックの上下方向での移動量を検出するシートバック上下移動量検出手段とを備え、「ツボ」上下位置演算手段に前記シートバック上下移動量検出手段からの移動量も入力される。
【0010】請求項3記載の発明によれば、シートバック自体を上下に移動する構造にしても、そのシートバックの上下位置を考慮して「ツボ」の上下位置を算出するため、「ツボ」の上下方向での位置検出が確実である。
【0011】請求項4記載の発明は、シートバックをシートクッションに対して回動させるリクライニング手段と、シートバックの回動量を検出するシートバック回動量検出手段とを備え、「ツボ」上下位置演算手段に前記シートバック回動量検出手段からの回動量も入力される。
【0012】請求項4記載の発明によれば、シートバック自体を前後に回動する構造にしても、そのシートバックの回動位置を考慮して「ツボ」の上下位置を算出するため、「ツボ」の上下方向での位置検出が確実である。
【0013】請求項5記載の発明は、施療子が径60mm以上で、厚さ30mm以上の縦置き円板体で、且つ該施療子を30mm以上の振動幅で上下に振動させる。
【0014】請求項5記載の発明によれば、施療子が大きく且つ上下の振動幅が大きいため、「ツボ」の位置検出に多少の誤差があっても、「ツボ」位置をカバーしてマッサージすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を、図1〜図4に基づいて説明する。
【0016】まず、図1〜図3に基づいて、この実施形態に係るマッサージ機能付きシートの構造を説明する。
【0017】この実施形態のマッサージ機能付きシートは、主に、シートクッション1と、シートバック2と、シートサイド3とから構成されている。シートクッション1は、パイプ状のフレーム4と、クッション本体5から成っている。このフレーム4は、剛性が高く、前部にはシートサイド3のレバー6を回転させることにより水平に引起し可能なフットレスト7が設けられている。このフットレスト7の中央には大型の振動体8が設置されていて、まっすぐ延ばした脚に適度な振動を与えるようになっている。
【0018】フレーム4の後部には、リクライニング機構9が設けられていて、該リクライニング機構9の左右両端部には、左右一対のスライド機構10がそれぞれ前後へ回動自在に取付けられている。リクライニング機構9は、本発明の「リクライニング手段」として機能するものであり、スライド機構10は、本発明の「シートバック上下移動手段」として機能するものである。
【0019】スライド機構10の構造を説明する。符号11は、断面コ字形のベースで、下端部がリクライニング機構9の回動支点Sに直接取付けられる。ベース11の後側には、下部にモータ12が設けられていて、該モータ12から上側へ延びているネジ棒13の上端は、ベース11の上部に取付けられた軸受ブラケット14にて支持されている。ベース11の前側には、固定レール15が設けられ、該固定レール15には、可動レール16がスライド自在に係合されている。可動アーム16からは、ベース11の左右両側を通ってネジ棒13に至るアーム17が形成されていて、該アーム17の先端に取付けられたナット部18がネジ棒13に螺合している。従って、モータ12でこのネジ棒13を回転させることにより、アーム17が可動レール16ごと上下に移動する。
【0020】一方、シートバック2の内部には、レール19が設けられている。このレール19における座者(この実施形態ではダミー)Mの背部P2 や腰部P3 に相当する一般部20は、直線状に形成されているが、上部の肩部P1 に相当する位置には、座者M側へ傾いた傾斜部21が形成されている。レール19には、移動自在な施療ユニット22が設けられていて、前記一般部20から傾斜部21にかけて図示せぬモータ及びチェーン機構により、レール19に沿って上下動できるようになっている。
【0021】施療ユニット22には、シートバック2の幅方向W(図3参照)に沿って2本のスライドバー23が設けられていて、このスライドバー23には、それぞれ施療子24を前端に備えた左右一対の油圧シリンダ25がスライドバー23に沿って幅方向Wへ移動自在に取付けられている。従って、施療子24は、レール19に沿って上下動するだけでなく、肩部P1 や腰部P3 で、幅方向Wに沿っても移動する。そうすることにより、肩部P1 や腰部P3 でのマッサージ効果がより一層高まる。施療子24を動かす油圧シリンダ25には油送パイプ26を介して図示せぬポンプからの高圧オイルが送られる。施療子24は、径60mmで、厚さ30mmの縦置き円板体で、且つ30mmの振動幅で上下に振動するものである。
【0022】そして、このシートバック2のレール19は、ブラケット27(図3参照)を介して、前記スライド機構10の可動レール16に固定されている。従って、リクライニング機構9により、スライド機構10の角度を変更することにより、シートバック2全体が回動支点Sを中心として前後に回動し、希望するリクライニング角度θが得られるようになっている。また、モータ12の駆動によりネジ棒13を回転させれば、アーム17を介して可動レール16が上下に移動するため、それに合わせて、シートバック2全体も前記リクライニング角度θに沿った上下方向で移動できるようになっている。このシートバック2の前後への回動と上下動は、リモコン28(図1参照)の操作により行うことができる。また、このリモコン28は、本発明の「症状選択手段」でもあり、マッサージで解消しようとする症状を選択することができる。
【0023】施療ユニット22のレール19における施療子24の最上位置は、傾斜部21であり、傾斜部21にある施療ユニット22の施療子24で、座者の肩部P1 をマッサージすることにより、最適なマッサージ効果が得られる。すなわち、この実施形態では、座者M側へ傾斜部21を形成したことにより、施療子24による肩押し角度がシートバック2に背を付けた座者(ダミー)Mに対して最適角度(具体的には、座者Mの胴部の中心軸であるトルソーラインに対して約30度)になるように設定されている。この肩押し角度の約30度は、施療子24からマッサージが加えられる角度を種々変更して、複数の人に対してマッサージ試験を行った結果、最も多くの人が心地良いと感じた角度である。
【0024】従って、シートバック2を上下させることにより、どのような体格の人も、傾斜部21にある施療ユニット22の施療子24を肩部P1 に合わせることができ、肩部P1 に対する最適なマッサージを行うことができる。シートバック2を体格に合わせて上下させた後は、リモコン28の「肩部」のボタンを押すだけで、施療ユニット22が最上位置の傾斜部21まで自動的に上昇し、施療子24で肩をマッサージすることができる。
【0025】また、座者Mは希望により、リモコン28でリクライニング機構9を操作することにより、スライド機構10をシートバック2ごと回動させ、シートバック2のリクライニング角度θを自由に調整することができる。リクライニング角度θを最大の90度にして、シートバック2を略水平することもできる。リクライニング角度θを大きくして、座者Mの肩部P1 と施療子24との間に相対的変位が生じた場合には、シートバック2を若干下げることにより、その相対変位を是正することができる。
【0026】以上のような構造をした本実施形態に係るマッサージ機能付きシートは、リモコン28で選択された症状に対応する「ツボ」を自動的にマッサージすることができる。
【0027】まず、選択できる症状と、その症状に対応した「ツボ」の位置を以下の表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】次に、施療子24を上記の「ツボ」位置へ移動させるための構成を図4に示す。
【0030】符号29は、上下移動手段で、シートバック2に設けられた施療子24をシートバック2に沿った上下方向へ移動させるものである。符号30は、幅移動手段で、施療子24をシートバック2の幅方向へ移動させるものである。符号31は、上下移動量検出手段で、施療子24の上下方向での移動量を検出するものである。符号32は、幅移動量検出手段で、施療子24の幅方向での移動量を検出するものである。リモコン28は前述の通り、症状を選択する症状選択手段である。
【0031】符号33は、「ツボ」判別手段で、選択された症状からマッサージする「ツボ」を判別するものである。例えば、選択された症状が「風邪」の場合は、そのための「ツボ」が風門と大椎であると判別する。符号34は、「ツボ」上下位置演算手段で、上下移動量検出手段31からの移動量などを入力すると共に「ツボ」判別手段33の信号から「ツボ」の上下方向での位置を算出するものである。符号35は、幅移動制御手段で、幅移動量検出手段32からの移動量を入力すると共に「ツボ」判別手段33で判別された「ツボ」の種類に応じて施療子24を「ツボ」の幅方向位置へ移動させるための信号を幅移動手段30に出力するものである。符号36は、上下移動制御手段で、施療子24を「ツボ」上下位置演算手段34で算出された「ツボ」の上下方向位置へ移動させるための信号を上下移動手段29に出力するものである。
【0032】スライド機構10は、前述の通り、シートバック2をシートクッション1に対して上下動させる「シートバック上下移動手段」として機能するものである。符号37は、シートバック上下移動量検出手段で、シートバック2の上下方向での移動量を検出するものである。このシートバック上下移動量検出手段37で検出された移動量は、前記「ツボ」上下位置演算手段34に入力される。
【0033】リクライニング機構9は、前述の通り、シートバック2をシートクッション1に対して回動させる「リクライニング手段」として機能するものである。符号38は、シートバック回動量検出手段で、シートバック2の回動量を検出するものである。このシートバック回動量検出手段38で検出された回動量は、前記「ツボ」上下位置演算手段34に入力される。
【0034】「ツボ」上下位置演算手段34では、肩の基準位置(傾斜部21の位置)を起点とした「ツボ」位置までの上下方向での移動量△Lyを検出している。この移動量△Lyは以下の式(1)により表される。
【0035】
△Ly=(Ls0−△Ls)×(1−a) ………(1)
【0036】ここで、符号Ls0は、シートバック2がスライド機構10により最高位置まで上げられた場合における座面(シートクッション1の表面)から肩の基準位置(傾斜部21の位置)までの長さである。
【0037】符号△Lsは、シートバック2の最高位置から使用位置まで下降させた長さである。
【0038】符号aは、座面から肩の基準位置(傾斜部21の位置)までの長さ(Lh)に対する座面から「ツボ」までの長さ(Lt)の比率である。すなわち、Lt/Lhで、「ツボ」の種類により異なる定数である。例えば、「ツボ」が風門の場合は0.95である。尚、「ツボ」上下位置演算手段34には、リクライニング機構9のリクライニング角度θによる補正値△Lθも加味されて算出される。
【0039】以上のような構成により、リモコン28で、例えば「風邪」の症状を選択するだけで、施療子24が自動的に「風門」と「大椎」に移動し、そこをマッサージすることになる。従って、風邪の症状の緩和に効果的である。また、仮に何らかの要因により、施療子24が「ツボ」位置に対して正確に合致しなくても、前述のように、施療子24が大きく且つ上下の振動幅が大きいため、「ツボ」の位置をカバーしてをマッサージすることができる。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、選択された症状に基づいて「ツボ」を判別し、施療子によりその「ツボ」をマッサージするため、症状の解消に効果的である。
【0041】請求項2記載の発明によれば、判別された症状の種類に応じて「ツボ」の幅方向での位置が決められ、且つ「ツボ」上下位置演算手段による算出で「ツボ」の上下方向での位置が決められるため、施療子を確実に「ツボ」位置に移動することができる。
【0042】請求項3記載の発明によれば、シートバック自体を上下に移動する構造にしても、そのシートバックの上下位置を考慮して「ツボ」の上下位置を算出するため、「ツボ」の上下方向での位置検出が確実である。
【0043】請求項4記載の発明によれば、シートバック自体を前後に回動する構造にしても、そのシートバックの回動位置を考慮して「ツボ」の上下位置を算出するため、「ツボ」の上下方向での位置検出が確実である。
【0044】請求項5記載の発明によれば、施療子が大きく且つ上下の振動幅が大きいため、「ツボ」の位置検出に多少の誤差があっても、「ツボ」位置をカバーしてマッサージすることができる。
【出願人】 【識別番号】390018773
【氏名又は名称】株式会社マルタカ
【出願日】 平成9年(1997)10月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平11−123221
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−291276