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【発明の名称】 マッサージ機能付きシート
【発明者】 【氏名】稲澤 秀穗

【氏名】片山 良則

【要約】 【課題】肩の形状に沿った確実なマッサージが行えるマッサージ機能付きシートを提供する。

【解決手段】シートバックに設けられた施療子をシートバックに沿った上下方向へ移動させる上下移動手段35と、施療子をシートバックの幅方向へ移動させる幅移動手段36と、肩位置での幅方向移動を選択する選択手段37と、選択手段37で肩が選択された信号により上下移動手段35と幅移動手段36を制御して施療子を肩の外下がり形状に沿った斜め方向へ移動させる制御手段37とを備えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートバックに上下方向及び幅方向に移動する左右一対の施療子を備え、該施療子で少なくとも肩をマッサージできるマッサージ機能付きシートであって、前記施療子が、肩の外下がり形状に沿って斜めに移動しながらマッサージすることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項2】 請求項1記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックに設けられた施療子をシートバックに沿った上下方向へ移動させる上下移動手段と、施療子をシートバックの幅方向へ移動させる幅移動手段と、肩位置での幅方向移動を選択する選択手段と、選択手段で肩が選択された信号により上下移動手段と幅移動手段を制御して施療子を肩の外下がり形状に沿った斜め方向へ移動させる制御手段とを備えていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックをシートクッションに対して上下動させるスライド機構を備えていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項4】 請求項3記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバック内で下降する施療子を床面から所定高さの腰位置で停止させる腰位置検出手段が、設けられていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシートであって、シートバックをシートクッションに対して回動させるリクライニング機構を備えていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシートであって、施療子がシートバック内部のレールに沿って上下動する構造で、該レールの肩部相当位置に座者側への傾斜部が設けられていることを特徴とするマッサージ機能付きシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、座者の肩などに対してマッサージを行うマッサージ機能付きシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、シートバックにマッサージ機能をもたせ、座者の肩部や腰部などに適度な振動を与えるようにしたマッサージ機能付きシートが提案されている。例えば、シートバックの内部にレールを設け、該レールに沿って上下動する施療ユニットの施療子により、座者の肩部や背部等にマッサージを行うものがある(類似技術として、実開平1−135926号公報参照)。
【0003】また、マッサージ機能付きシートには、施療子をシートバックの上下方向だけでなく、肩や腰位置においてシートバックの幅方向にも移動させるようにした構造のものがある。すなわち、左右一対の施療子の間隔を狭くしたり広くしたりすることにより、肩や腰でのマッサージ位置を変更し、より確実なマッサージが行えるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、施療子を幅方向に移動させるといっても、単に左右一対の施療子の間隔を広くしたり狭くしたりするだけなので、肩のうちマッサージされるのは一か所のみで、肩全体をマッサージすることはできない。肩の筋肉は幅方向に長く延びているため、本来この筋肉に沿ってマッサージするのが効果的だが、従来の構造では筋肉の一部分しかマッサージすることができない。
【0005】また、肩の形状は、外側が下がった斜め状態になっているため、左右の施療子の間隔を広げて、施療子が肩の外側に位置すると、施療子と肩との相対的な上下間隔が広がって、施療子により肩を押す力が低下する。すなわち、肩が外下がりの斜め形状になっているのに対し、施療子が水平に移動して幅を変更するため、肩の外側にいくほど、施療子と肩との上下間隔が広がり、マッサージ効果が低下する。
【0006】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、肩の形状に沿った確実なマッサージが行えるマッサージ機能付きシートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、シートバックに上下方向及び幅方向に移動する左右一対の施療子を備え、該施療子で少なくとも肩をマッサージできるマッサージシートであって、前記施療子が、肩の外下がり形状に沿って斜めに移動しながらマッサージする。
【0008】請求項1記載の発明によれば、施療子が肩の外下がり形状に沿って斜めに移動しながらマッサージするため、肩全体を確実にマッサージすることができる。
【0009】請求項2記載の発明は、シートバックに設けられた施療子をシートバックに沿った上下方向へ移動させる上下移動手段と、施療子をシートバックの幅方向へ移動させる幅移動手段と、肩位置での幅方向移動を選択する選択手段と、選択手段で肩が選択された信号により上下移動手段と幅移動手段を制御して施療子を肩の外下がり形状に沿った斜め方向へ移動させる制御手段とを備えている。
【0010】請求項2記載の発明によれば、選択手段で肩位置での幅方向移動が選択されると、制御手段が上下移動手段と幅移動手段を制御して施療子を肩の外下がり形状に沿った斜め方向へ移動させるため、肩の形状に沿った確実なマッサージが行える。
【0011】請求項3記載の発明は、シートバックをシートクッションに対して上下動させるスライド機構を備えている。
【0012】請求項3記載の発明によれば、スライド機構により、シートバックをシートクッションに対して上下動させることができるため、座者は自分の体格に応じてシートバックを上下動させることにより、施療子による最適な肩位置を設定できる。
【0013】請求項4記載の発明は、シートバック内で下降する施療子を床面から所定高さの腰位置で停止させる腰位置検出手段が、設けられている。
【0014】請求項4記載の発明によれば、腰位置検出手段により、座者は施療子による最適な腰位置を設定することができる。
【0015】請求項5記載の発明は、シートバックをシートクッションに対して回動させるリクライニング機構を備えている。
【0016】請求項5記載の発明によれば、リクライニング機構により、シートバックのリクライニング角度を自由に変更することができる。
【0017】請求項6記載の発明は、施療子がシートバック内部のレールに沿って上下動する構造で、該レールの肩部相当位置に座者側への傾斜部が設けられている。
【0018】請求項6記載の発明によれば、シートバックの内部に設けられたレールの肩部相当位置に、座者側への傾斜部が設けられているため、該傾斜部に位置する施療子により座者の肩部に対して斜め上側からマッサージを加えることができ、十分なマッサージ効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
【0020】まず、図1〜図4に基づいて、この実施形態に係るマッサージ機能付きシートの構造を説明する。
【0021】この実施形態のマッサージ機能付きシートは、主に、シートクッション1と、シートバック2と、シートサイド3とから構成されている。シートクッション1は、パイプ状のフレーム4と、クッション本体5から成っている。このフレーム4は、剛性が高く、前部にはシートサイド3のレバー6を回転させることにより水平に引起し可能なフットレスト7が設けられている。このフットレスト7の中央には、大型の振動体8が設置されており、まっすぐ延ばした脚に適度な振動を与えるようになっている。
【0022】フレーム4の後部には、リクライニング機構9が設けられており、該リクライニング機構9の左右両端部には、左右一対のスライド機構10がそれぞれ前後へ回動自在に取付けられている。
【0023】スライド機構10の構造を説明する。符号11は、断面コ字形のベースで、下端部がリクライニング機構9の回動支点Sに直接取付けられる。ベース11の後側には、下部にモータ12が設けられており、該モータ12から上側へ延びているネジ棒13の上端は、ベース11の上部に取付けられた軸受ブラケット14にて支持されている。ベース11の前側には、固定レール15が設けられ、該固定レール15には、可動レール16がスライド自在に係合されている。可動アーム16からは、ベース11の左右両側を通ってネジ棒13に至るアーム17が形成されていて、該アーム17の先端に取付けられたナット部18がネジ棒13に螺合している。従って、モータ12でこのネジ棒13を回転させることにより、アーム17が可動レール16ごと上下に移動する。
【0024】一方、シートバック2の内部には、レール19が設けられている。このレール19における座者(この実施形態ではダミー)Mの背部P2 や腰部P3 に相当する一般部20は、直線状に形成されているが、上部の肩部P1 に相当する位置には、座者M側へ傾いた傾斜部21が形成されている。レール19には、移動自在な施療ユニット22が設けられており、前記一般部20から傾斜部21にかけて図示せぬモータ及びチェーン機構により、レール19に沿って上下動できるようになっている。
【0025】施療ユニット22には、シートバック2の幅方向W(図3参照)に沿って2本のスライドバー23が設けられており、このスライドバー23には、それぞれ施療子24を前端に備えた左右一対の油圧シリンダ25がスライドバー23に沿って幅方向Wへ移動自在に取付けられている。この油圧シリンダ25には、油送パイプ26を介して図示せぬポンプからの高圧オイルが送られる。
【0026】そして、このシートバック2のレール19は、ブラケット27(図3参照)を介して、前記スライド機構10の可動レール16に固定されている。従って、リクライニング機構9により、スライド機構10の角度を変更することにより、シートバック2全体が回動支点Sを中心として前後に回動し、希望するリクライニング角度θが得られるようになっている。また、モータ12の駆動によりネジ棒13を回転させれば、アーム17を介して可動レール16が上下に移動するため、それに合わせて、シートバック2全体も前記リクライニング角度θに沿った上下方向で移動できるようになっている。このシートバック2の前後への回動と上下動は、リモコン28(図1参照)の操作により行うことができる。また、このリモコン28は、本発明の「選択手段」でもあり、マッサージする部位(肩、腰、全身)や、施療子を移動させる方向(上下方向、上下+幅方向)などを選択できるようになっている。
【0027】施療ユニット22のレール19における施療子24の最上位置は、傾斜部21であり、傾斜部21にある施療ユニット22の施療子24で、座者の肩部P1 をマッサージすることにより、最適なマッサージ効果が得られる。すなわち、この実施形態では、座者M側へ傾斜部21を形成したことにより、施療子24による肩押し角度がシートバック2に背を付けた座者(ダミー)Mに対して最適角度(具体的には、座者Mの胴部の中心軸であるトルソーラインに対して約30度)になるように設定されている。この肩押し角度の約30度は、施療子24からマッサージが加えられる角度を種々変更して、複数の人に対してマッサージ試験を行った結果、多くの人が心地良いと感じた角度である。
【0028】従って、シートバック2を上下させることにより、どのような体格の人も、傾斜部21にある施療ユニット22の施療子24を肩部P1 に合わせることができ、肩部P1 に対する最適なマッサージを行うことができる。シートバック2を体格に合わせて上下させた後は、リモコン28の「肩部」のボタンを押すだけで、施療ユニット22が最上位置の傾斜部21まで自動的に上昇し、施療子24で肩をマッサージすることができる。
【0029】これに対し、座者Mの腰部P3 の位置は、体格が異なっても変化しない。従って、施療ユニット22を単に最下位置まで下降させただけでは、必ずしも、施療子24と腰部P3 とが合致するとは限らない。つまり、体格が大きく、シートバック2を上側にスライドさせた座者Mの場合は、リモコン28の「腰部」のボタンを押して施療子24を最下位置まで下げても、施療子24が腰部P3 に至らない場合もあり、逆に、体格の小さい座者Mの場合は、施療子24を最下位置まで下げると、腰部P3 を通り過ぎて下に行き過ぎることもある。
【0030】そのため、この実施形態では、シートバック2の上下位置にかかわらず、常に施療子24を床から決まった高さH(腰部P3 の位置)に停止させるための腰位置検出手段を設けた。
【0031】この腰位置検出手段は、スライド機構10の軸受ブラケット14の上に取付けたスイッチ作動ブラケット29と、施療ユニット22の側面に取付けたリミットスイッチ30とから成っている。リミットスイッチ30には、スイッチレバー31とスイッチボタン32が設けられており、スイッチレバー31によりスイッチボタン32が押されると、施療ユニット22の下降がそこで停止するようになっている。
【0032】スイッチ作動ブラケット29には、リミットスイッチ30側へ突出する棚部33が形成されおり、棚部33の端には下向き片34が折り曲げられている。この棚部33は、前記スイッチレバー31と当接して、該スイッチレバー31をスイッチボタン32側へ押すものである。この棚部33のリミットスイッチ30側への突出量Lは、下向き片34の折り曲げ位置を変更することにより調整することができる。すなわち、この棚部33の横方向への突出量を調整することにより、リミットスイッチ30と、スイッチ作動ブラケット29との、横方向での取付位置のバラツキを吸収することができる。
【0033】次に、施療子24を、肩の外下がり形状に沿って斜めに移動させるための構成を図5に示す。
【0034】符号35は、上下移動手段で、前記施療ユニット22をレール19に沿って上下させるものである。符号36は、幅移動手段で、スライドバー23に沿って油圧シリンダ25を幅方向に移動させるものである。符号37は、制御手段で、リモコン28で肩位置P1 での幅方向移動が選択された場合に、前記上下移動手段35と幅移動手段36を制御して施療子24を肩の外下がり形状に沿った斜め方向(上下方向と幅方向の合成方向)へ移動させるものである。
【0035】このような構成のため、座者Mは、リクライニング機構9を作動させて最適なリクライニング角度θに設定すると共に、まずスライド機構10によりシートバック2を上下動させて、傾斜部21にある施療子24を自身の肩位置P1 に合わせる。次に、リモコン28で、マッサージする部位や方向を選択する。例えば、マッサージする部位が「全身」で、方向が「上下+幅」の場合は、図6に示すように、肩位置P1 においては、肩から首筋にかけて上下方向でのマッサージをすると共に、肩の外下がり形状に沿って斜めに移動しながら幅方向でのマッサージをする。次に、背部P2 をマッサージしながら下降した施療子24は、前記リミットスイッチ30により腰位置P3 で停止し、腰位置P3 での上下方向でのマッサージと共に、幅方向でのマッサージを行う。尚、腰位置P3 における幅方向でのマッサージは水平に行われるだけである。
【0036】リモコン28では、全身だけでなく、肩だけや腰だけを選択することもできる。また、幅移動をさせない上下移動だけを選択することもできる。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、施療子が肩の外下がり形状に沿って斜めに移動しながらマッサージするため、肩全体を確実にマッサージすることができる。
【0038】請求項2記載の発明によれば、選択手段で肩位置での幅方向移動が選択されると、制御手段が上下移動手段と幅移動手段を制御して施療子を肩の外下がり形状に沿った斜め方向へ移動させるため、肩の形状に沿った確実なマッサージが行える。
【0039】請求項3記載の発明によれば、スライド機構により、シートバックをシートクッションに対して上下動させることができるため、座者は自分の体格に応じてシートバックを上下動させることにより、施療子による最適な肩位置を設定できる。
【0040】請求項4記載の発明によれば、腰位置検出手段により、座者は施療子による最適な腰位置を設定することができる。
【0041】請求項5記載の発明によれば、リクライニング機構により、シートバックのリクライニング角度を自由に変更することができる。
【0042】請求項6記載の発明によれば、シートバックの内部に設けられたレールの肩部相当位置に、座者側への傾斜部が設けられているため、該傾斜部に位置する施療子により座者の肩部に対して斜め上側からマッサージを加えることができ、十分なマッサージ効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】390018773
【氏名又は名称】株式会社マルタカ
【出願日】 平成9年(1997)10月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平11−123219
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−291195