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【発明の名称】 車椅子用補助動力装置
【発明者】 【氏名】萩原 洋子

【要約】 【課題】手動車椅子の持つ特性をそのまま生かし、ハンドリムによる走行と同一感覚の走行を実現すると共に、軽量でしかも安価な車椅子用補助動力装置を得る。

【解決手段】駆動輪の補助動力としてモータや減速ギアおよび制御回路を内蔵した駆動ユニットと、ハンドリムによる走行と同一感覚の走行を実現するための操縦ユニットと、該駆動ユニットおよび操縦ユニットを駆動するための電源にて構成される。駆動ユニットは、裏面中央部に駆動輪の車軸と同様の車軸、フレームパイプに固定するための固定金具、制御をON/OFFするためのスイッチレバーおよびケーブルを設け、表面中央部と周縁部との中間付近に駆動輪の車軸を軸着するための軸受けを設ける。操縦ユニットは、操縦輪とツメ車およびスイッチボックス等により構成され、車椅子の手すりの先端部付近のフレームパイプに取付ける。電源は、充電式のバッテリを使用し、車椅子のフレームの底部等に設置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動輪の補助動力としてモータや減速ギアおよび制御回路を内蔵した駆動ユニットと、ハンドリムによる走行と同一感覚の走行を実現するための操縦ユニットと、該駆動ユニットおよび操縦ユニットを駆動するための電源にて構成され、該操縦ユニット内にある操縦輪をハンドリムの操作方法と同様に回すだけで走行する方向や速度が自由に変えることができることを特徴とした、車椅子用補助動力装置。
【請求項2】 操縦輪の回転方向に応じてa接点もしくはb接点パルス信号を発生させ、もしくは光センサーや磁気センサーによる2相パルス信号等を発生させ、該信号により走行する方向や速度を検出制御できることを特徴とした請求項1に記載の、車椅子用補助動力装置。
【請求項3】 操縦ユニットに内蔵されるツメ車にフライホイール機能を持たせ、操縦輪の回転の開始時もしくは停止時において緩やかな回転を行い、自然な走行ができることを特徴とした請求項1に記載の、車椅子用補助動力装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子使用者(以後、乗員という)により操縦可能な車椅子用補助動力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高齢化社会が進行する中で、障害者ばかりでなく車椅子を使用する人々が増加する傾向にある。このような状況の中で、車椅子を使用する障害者や高齢者の多くは手動車椅子を使用しているが、体力および腕力の衰えから自分の意志通りの自由な走行ができないことがある。このような場合、多くは介護者の助力により目的の走行を行ったり、近年各社より開発および販売されている電動モータによる補助動力装置を手動車椅子に取付けたり、もしくは予め電動モータが取付けられている電動車椅子を使用したりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の補助動力装置を手動車椅子に取付けたものや、予め電動モータが取付けられている電動車椅子において、現状では下記のような問題点があり改良の余地がある。
【0004】まず、補助動力装置を手動車椅子に取付けたものの場合、該補助動力装置の重量が重く、重量約15Kgの手動車椅子に補助動力装置を装着すると総重量が約40Kgとなる。このため、取り回しや操作性が悪くなっている。
【0005】これを介護者が操作するのであればそれほど問題はないが、自操するとなると乗員にとって躊躇する問題を抱えている。これは、乗員が操作するにあたり、形状は種々あるが一種のアクセルを使用し、該アクセルの設定(アクセルの位置)に基づいた速度で前進または後進を行う。これは一見当たり前の操作のように思えるが、障害者や高齢者にとっては非常に操作しにくく不安を覚えるものがある。
【0006】これは、一般の手動車椅子では駆動輪の外側にあるハンドリムを手で回すことで走行する。前進する時は前に回し、後進する時は後ろに回す。回転を止めれば車椅子も止まる。このように走行する方向や速度は乗員の手によるハンドリムの操作で微妙な動きまでも自由に車椅子に伝えることができる。しかし、アクセルを操作する方法ではこのような微妙な動きを車椅子に伝えることができず、障害者や高齢者もしくは操作に不慣れな乗員が操作した場合、自分の意志通りの自由な走行を行うことができず、最悪の場合には転倒する危険性もある。
【0007】これは、電動車椅子にとっても同様である。しかも、電動車椅子の重量は更に重く、かつ価格も非常に高価であるという問題点もある。
【0008】本発明は、以上のような問題点に鑑み成されたものであり、従来の手動車椅子の持つ特性をそのまま生かし、ハンドリムによる走行と同一感覚の走行を実現すると共に、軽量でしかも安価な車椅子用補助動力装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の車椅子用補助動力装置では、駆動輪の補助動力としてモータや減速ギアおよび制御回路を内蔵した駆動ユニットと、ハンドリムによる走行と同一感覚の走行を実現するための操縦ユニットと、該駆動ユニットおよび操縦ユニットを駆動するための電源にて構成される。
【0010】駆動ユニットは、厚さ10cm程度の円筒形状で、該駆動ユニットの裏面中央部には駆動輪の車軸と同様の車軸を設け、更に車椅子のフレームパイプに固定するための固定金具を設ける。また、該駆動ユニットの制御をON/OFFするためのスイッチレバーおよび操縦ユニットや電源と配線を行うためのケーブルを設ける。また、該駆動ユニットの表面中央部と周縁部との中間付近には車椅子に元々取付いていた駆動輪の車軸を軸着するための軸受けを設ける。
【0011】操縦ユニットは、ギヤ大を同一軸に固着した操縦輪と、該ギヤ大と噛み合うツメ車を同一軸に固着したギヤ小と、該ツメ車の周縁部にあるツメによりパルスを発生することができるスイッチボックスを内蔵して構成される。
【0012】電源は、鉛シール蓄電池等の充電式のバッテリを使用し、車椅子のフレームの底部等に設置する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図を用いて詳しく説明する。図1は本発明の車椅子用補助動力装置を取付けた車椅子の側面図であり、図2は本発明の車椅子用補助動力装置を取付けた車椅子の平面図である。
【0014】これらの図および図3の本発明の車椅子用補助動力装置を構成する駆動ユニットの正面図(a)および裏面図(b)より、本発明の車椅子用補助動力装置を手動車椅子に取付けるには、まず車椅子1の駆動輪10を取外し、駆動ユニット3を固定する。この時、該駆動ユニット3の裏面中央部にある車軸を駆動輪10が取付けられていた軸受けに軸着する。更に駆動ユニット3自体が回転しないように、固定金具6により該駆動ユニット3とフレームパイプ2とを固定する。そして、該駆動ユニット3の表面中央部と周縁部の中間付近にある軸受け4に、先ほど取外した駆動輪10を挿着する。
【0015】次に、車椅子1の手すりの先端部付近のフレームパイプ2’に操縦ユニット12を取付ける。該操縦ユニット12内は操縦輪13やツメ車17およびスイッチボックス19等にて構成される。図5は本発明の車椅子用補助動力装置を構成する操縦ユニット内の構造図であり、操縦輪13にはギヤ大15が同一軸に固着され、ギヤ小16と噛み合う。更にツメ車17がギヤ小16と同一軸に固着される。ツメ車17の周縁部には適度に間隔を置いてツメ18が設けられる。
【0016】図6は本発明の車椅子用補助動力装置を構成するスイッチボックス内の構造図であり、a接点20,b接点22およびコモン21の各接点が内蔵される。コモン21はツメ車17のツメ18と接触する程度に伸びており、操縦輪13を手で回すことによりツメ車17も回転する。この時、コモン21とa接点20が接触した時にa接点パルス信号、コモン21とb接点22が接触した時にb接点パルス信号が発生する。
【0017】図4は本発明の車椅子用補助動力装置を構成する駆動ユニット内の制御回路のブロック図であり、上記操縦ユニット12より発生したa接点もしくはb接点パルス信号はコネクタ9およびケーブル8を経由し、駆動ユニット3内の制御回路のパルス入力回路23に入力される。該パルス入力回路23内では接点のチャタリングを取り除き波形整形を行い、後段の正逆判別回路24にパルス信号を送る。該正逆判別回路24では操縦輪13の回転方向が前進か後進かを判別し、後段のPWM回路25に前記パルス信号および方向信号送る。該PWM回路25では前段の正逆判別回路24からのパルス信号の間隔すなわちパルス幅信号や方向信号および後述のモータ27の回転数を検出する回転エンコーダ28からの帰還信号より適正な回転数および回転トルクを維持するPWM信号を発生する。更に該PWM信号を、回転方向をスイッチングするためのブリッジ回路26を経由してモータ27に送り、操縦輪13の操作に応じた回転方向や回転数および回転トルクを発生させる。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。図1および図2から判るように、本発明の車椅子用補助動力装置を構成する駆動ユニット3を手動車椅子に取付けるために、まず車椅子1の駆動輪10を取外し、前述の方法にて駆動ユニット3を固定する。該駆動ユニット3は左右対象構造であり、どちら側にも取付けることができる。また、左右どちらか一方の駆動ユニット3の裏面には、該駆動ユニット3の制御をON/OFFするためのスイッチレバー7を取付けることができる。該スイッチレバー7は、自操する時はONにし、介護者の助力により走行する時はOFFにする。
【0019】次に、車椅子1の手すりの先端部付近のフレームパイプ2’に操縦ユニット12を取付ける。該操縦ユニット12も左右対称構造であり、どちら側にも取付けることができる。通常は左右に1個づつ取付けるが、片手が不自由な障害者の場合には、自由に使える手の側に寄せて2個取付けても良い。更に前記駆動ユニット3から出ているケーブル8の先端のコネクタ9を、対応する操縦ユニット12と接続する。また、フレームの底部等に設置された電源であるバッテリ14とも接続する。(接続図省略)
【0020】上記のように車椅子用補助動力装置を装備した車椅子1にて自操を行う場合には、まず、駆動ユニット3にあるスイッチレバー7をONにする。後は、従来の手動車椅子のハンドリム11を操作する方法と同様に、操縦ユニット12にある操縦輪13を手で回すことで自由な走行が可能となる。
【0021】図5および図6から判るように、該操縦輪13を前方すなわち図5の矢印A方向に回転するとツメ車17は図6の矢印a方向に回転し、スイッチボックス19内のコモン21とa接点20が接触し、a接点パルス信号が発生する。また逆に、操縦輪13を後方すなわち図5の矢印B方向に回転するとツメ車17は図6の矢印b方向に回転し、スイッチボックス19内のコモン21とb接点22が接触し、b接点パルス信号が発生する。しかも各回転方向に対し、回転速度が遅いとパルス間隔が長くなり、回転速度が速いとパルス間隔が短くなる。また、モータ27の回転数を検出する回転エンコーダ28より直接的もしくは間接的に得られる回転信号と、前記パルス信号とによりPWM回路25にて適正な回転数や回転方向および回転トルクが得られるようにモータ27の回転が制御される。従って、操縦輪13を操作するだけでハンドリム11を操作した時と同等もしくはそれ以上の特性を有する操縦が可能となる。
【0022】また、操縦ユニット12内のツメ車17にはフライホイールとしての機能もあるため、走行の開始時もしくは停止時において緩やかな動作となり、急激な発進や停止動作が無く、自然な走行が実現できる。また、操縦輪13を止めている時は駆動ユニット3内の制御回路により制動力が働きブレーキをかけているのと同じ状態となるため、駆動輪10が重くなり安全性が増加する。
【0023】また、介護者による助力で走行する場合は、駆動ユニット3にあるスイッチレバー7をOFFにすると、モータ27には制御信号が加わらず開放されるため手動車椅子と同様の操作が可能となる。
【0024】なお、実施例で説明した駆動ユニット3や操縦ユニット12の形状や構造は説明のために模式的に表したものであり、同図に限定するものではない。特に操縦ユニット12における前進および後進のパルス発生機構に関してはツメ車17やツメ18およびメカニカル接点により発生させるほか、光センサーや磁気センサーによる2相パルス信号等を使用しても構わない。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の車椅子用補助動力装置を手動車椅子に取付けて使用すれば、下記のような効果を奏することができる。
■操縦輪の操作方法が、従来の手動車椅子にあるハンドリムの操作方法と同一であるため、障害者や高齢者もしくは操作に不慣れな乗員が操作した場合でも不安感が無く走行でき、しかも力を必要としない。
■片手しか使えない障害者であっても、操縦輪を左右どちらかの一ヶ所に並べて取付けることで自由な走行が行える。
■操縦ユニット内のツメ車にはフライホイールとしての機能もあるため、走行の開始時もしくは停止時において緩やかな動作となり、自然な走行が実現できる。
■操縦輪を止めている時は駆動ユニット内の制御回路により制動力が働きブレーキをかけているのと同じ状態となるため、駆動輪が重くなり安全性が増加する。
■従来の手動車椅子に、駆動ユニット,操縦ユニットおよびバッテリを追加するだけで補助動力装置付きの車椅子となり、駆動輪も元々取付いていたものをそのまま使用できるため、重量も軽くしかも安価である。
【出願人】 【識別番号】595106475
【氏名又は名称】萩原 洋子
【出願日】 平成9年(1997)12月10日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−169413
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−362238