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【発明の名称】 用便装置
【発明者】 【氏名】小村 清一

【氏名】向井 淳二

【氏名】本橋 毅

【氏名】竹内 敦郎

【要約】 【課題】用便装置に於て、身体弱者の移動及び着座と起立を安全にかつ楽に行うことができるようにする。

【解決手段】便座1と、便座1を水平状の上昇位置と水平状の下降位置の間で昇降可能に支持する左右一対の平行四節リンク8,8を有する支持枠2を備える。支持枠2の一方の平行四節リンク8を無段階揺動位置に停止可能に揺動駆動させる電動伸縮駆動体3と、他方の平行四節リンク8を便座1が上昇する揺動方向へ弾発的に付勢する付勢手段35と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 便座1と、該便座1を水平状の上昇位置と水平状の下降位置の間で昇降可能に支持する左右一対の平行四節リンク8,8を有する支持枠2と、該支持枠2の一方の平行四節リンク8を無段階揺動位置に停止可能に揺動駆動させる電動伸縮駆動体3と、他方の平行四節リンク8を上記便座1が上昇する揺動方向へ弾発的に付勢する付勢手段35と、を備えたことを特徴とする用便装置。
【請求項2】 支持枠2が、左右一対の側枠部4,4と、その一対の側枠部4,4の縦杆部4b,4bの上端部を橋絡する連結横杆5と、を備え、平行四節リンク8,8が、夫々、上記側枠部4の縦杆部4bに一体に形成された後リンク部42と、後端部がその後リンク部42に枢結される上・下リンク杆9,10と、該上・下リンク杆9,10の前端部が枢結される前リンク部11と、から構成され、該前リンク部11と一体に揺動するように、アームレスト7が、該前リンク部11に間接又は直接に着脱自在に取付けられている請求項1記載の用便装置。
【請求項3】 支持枠2が、左右一対の側枠部4,4と、その一対の側枠部4,4の縦杆部4b,4bの上端部を橋絡する連結横杆5と、を備え、平行四節リンク8,8が、夫々、上記側枠部4の縦杆部4bに一体に形成された後リンク部42と、後端部がその後リンク部42に枢結される上・下リンク杆9,10と、該上・下リンク杆9,10の前端部が枢結される前リンク部11と、から構成され、該前リンク部11に、アームレスト7が、回倒・復起自在に又は上下動可能に、間接又は直接に取付けられている請求項1記載の用便装置。
【請求項4】 電動伸縮駆動体3の下端部に長孔付き取付片14を設け、その長孔付き取付片14の長孔14aを貫通する水平支軸36により、揺動可能として支持枠2に該電動伸縮駆動体3の下端部が枢着され、かつ、該電動伸縮駆動体3を伸縮方向と略平行な斜め下方へ常時弾発的に付勢する弾発部材37を、付設し、上記便座1を押上げる方向への外力が作用したときに上記弾発部材37に抗して上記電動伸縮駆動体3が、斜め上方へ動いて逃げるように構成されている請求項1,2又は3記載の用便装置。
【請求項5】 便座1が、平面的に見て環状とされている請求項1,2,3又は4記載の用便装置。
【請求項6】 支持枠2が、左右一対の側枠部4,4と、その一対の側枠部4,4の縦杆部4b,4bの上端部を橋絡する連結横杆5と、を備え、平行四節リンク8,8が、夫々、上記側枠部4の縦杆部4bに一体に形成された後リンク部42と、後端部がその後リンク部42に枢結される上・下リンク杆9,10と、該上・下リンク杆9,10の前端部が枢結される前リンク部11と、から構成され、便座1の上昇状態に於て、上記上・下リンク杆9,10が水平又は前方下傾となるように構成されている請求項1記載の用便装置。
【請求項7】 支持枠2が、左右一対の側枠部4,4と、その一対の側枠部4,4の縦杆部4b,4bの上端部を橋絡する連結横杆5と、を備え、平行四節リンク8,8が、夫々、上記側枠部4の縦杆部4bに一体に形成された後リンク部42と、後端部がその後リンク部42に枢結される上・下リンク杆9,10と、該上・下リンク杆9,10の前端部が枢結される前リンク部11と、から構成され、該前リンク部11が下降状態に於て平行四節リンク8,8の前下部に空間部Rが生じるように前傾姿勢とされている請求項1記載の用便装置。
【請求項8】 便座1に、便槽81が着脱自在に取付けられている請求項1,2,3又は4記載の用便装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体弱者用の用便装置に関する。
【0002】
【従来の技術】足腰の弱った老人、怪我人、病人、及び、身体障害者等の身体弱者が楽に着座・起立できるような介助機能を有する用便装置としては、例えば、便器本体の上方開口部の前端に、便座の前端を水平軸心廻りに揺動自在に枢着し、かつ、その便座の後半部を、ばねにて上方へ弾発的に押し上げるように構成したものが公知であった。また、身体弱者がトイレまで移動できないような場合は、寝室、ベッドサイドでいわゆるポータブルトイレを使用して排泄を行うのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような従来の用便装置では、着座する際や立ち上がる際に、便座が前傾状態となるため、前傾した便座に腰を下ろすと、身体全体が前下方へずり落ちてしまい、身体弱者が不安を感じるという問題があった。かつ、車椅子が必要な重度の身体障害者等を介護者が車椅子から便座に移動させるのが困難であった。また、トイレまで移動できないような身体弱者の場合、従来のポータブルトイレでは着座や立ち上がる際に足腰に苦痛を感じたり、立ち上がることができないことがあった。
【0004】そこで、本発明は、上述の問題を解決して、身体弱者の移動及び着座と起立を安全にかつ楽に行うことができる用便装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために本発明に係る用便装置は、便座と、該便座を水平状の上昇位置と水平状の下降位置の間で昇降可能に支持する左右一対の平行四節リンクを有する支持枠と、該支持枠の一方の平行四節リンクを無段階揺動位置に停止可能に揺動駆動させる電動伸縮駆動体と、他方の平行四節リンクを上記便座が上昇する揺動方向へ弾発的に付勢する付勢手段と、を備えたものである。
【0006】また、支持枠が、左右一対の側枠部と、その一対の側枠部の縦杆部の上端部を橋絡する連結横杆と、を備え、平行四節リンクが、夫々、上記側枠部の縦杆部に一体に形成された後リンク部と、後端部がその後リンク部に枢結される上・下リンク杆と、該上・下リンク杆の前端部が枢結される前リンク部と、から構成され、該前リンク部と一体に揺動するように、アームレストが、該前リンク部に間接又は直接に着脱自在に取付けられている。
【0007】また、支持枠が、左右一対の側枠部と、その一対の側枠部の縦杆部の上端部を橋絡する連結横杆と、を備え、平行四節リンクが、夫々、上記側枠部の縦杆部に一体に形成された後リンク部と、後端部がその後リンク部に枢結される上・下リンク杆と、該上・下リンク杆の前端部が枢結される前リンク部と、から構成され、該前リンク部に、アームレストが、回倒・復起自在に又は上下動可能に、間接又は直接に取付けられている。
【0008】また、電動伸縮駆動体の下端部に長孔付き取付片を設け、その長孔付き取付片の長孔を貫通する水平支軸により、揺動可能として支持枠に該電動伸縮駆動体の下端部が枢着され、かつ、該電動伸縮駆動体を伸縮方向と略平行な斜め下方へ常時弾発的に付勢する弾発部材を、付設し、上記便座を押上げる方向への外力が作用したときに上記弾発部材に抗して上記電動伸縮駆動体が、斜め上方へ動いて逃げるように構成されている。また、便座が、平面的に見て環状とされている。
【0009】また、支持枠が、左右一対の側枠部と、その一対の側枠部の縦杆部の上端部を橋絡する連結横杆と、を備え、平行四節リンクが、夫々、上記側枠部の縦杆部に一体に形成された後リンク部と、後端部がその後リンク部に枢結される上・下リンク杆と、該上・下リンク杆の前端部が枢結される前リンク部と、から構成され、便座の上昇状態に於て、上記上・下リンク杆が水平又は前方下傾となるように構成されている。また、支持枠が、左右一対の側枠部と、その一対の側枠部の縦杆部の上端部を橋絡する連結横杆と、を備え、平行四節リンクが、夫々、上記側枠部の縦杆部に一体に形成された後リンク部と、後端部がその後リンク部に枢結される上・下リンク杆と、該上・下リンク杆の前端部が枢結される前リンク部と、から構成され、該前リンク部が下降状態に於て平行四節リンクの前下部に空間部が生じるように前傾姿勢とされている。また、便座に、便槽が着脱自在に取付けられている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図示の実施の形態に基き本発明を詳説する。
【0011】図1と図2と図3と図4は本発明に係る用便装置の実施の一形態を示し、この装置は、足腰の弱った老人、怪我人、病人、及び、身体障害者等の身体弱者の用便時の着座及び立上がりを介助するためのものであり、洋式の便器本体Aの上方に配設される便座1と、支持枠2は、便座1を水平状の上昇位置と水平状の下降位置の間で昇降可能に支持する左右一対の平行四節リンク8,8を有する支持枠2と、その支持枠2の左右一対の平行四節リンク8,8の内の一方の平行四節リンク8を無段階揺動位置に停止可能に揺動駆動させる電動伸縮駆動体3と、他方の平行四節リンク8を便座1が前方下傾となる揺動方向へ弾発的に付勢する付勢手段35と、を備える。付勢手段35は、図2ではガススプリングの例を示す。なお、この付勢手段35はガススプリングに限定するものではなく、コイルバネ、板バネ、空気バネ、トーションバー等、他方の平行四節リンク8を便座1が前方下傾となる揺動方向へ弾発的に付勢可能なものであればよい。
【0012】支持枠2は、床面上に固定又は載置される水平杆部4aとその後端部に連設される縦杆部4bと縦杆部4bに一体に形成される後リンク部42とから成る左右一対の側枠部4,4と、その一対の側枠部4,4の縦杆部4bの上端部を橋絡する連結横杆5と、を備える。
【0013】また、平行四節リンク8は、側枠部4の縦杆部4bに一体に形成された後リンク部42と、その後リンク部42に後端部が枢結される上・下リンク杆9,10と、上・下リンク杆9,10の前端部が枢結される前リンク部11と、から構成され、上・下リンク杆9,10が平行とされると共に、その上・下リンク杆9,10の後端の2つの枢結軸S1 , S2 を通る直線Lと、上・下リンク杆9,10の前端の2つの枢結軸S3 , S4 を通る直線Mが、平行とされている。
【0014】さらに、図4に示すように、便座1の上昇状態に於て、上・下リンク杆9,10が前方下傾となるように構成する。また、支持枠2の側枠部4の縦杆部4bをやや前方に傾斜させる。これにより、左右の縦杆部4b,4bの上端を相互に連結する連結横杆5がやや前方へ移動し、便器本体Aの後方の水タンクTに当たらない。かつ、便座1が前上方へ上昇するので便座の後端部が支持枠2の連結横杆5に干渉することが無い。また、洗浄水を人の局部に向けて噴射するノズルを有する局部洗浄装置を便座1の後部に取付けても、その局部洗浄装置が連結横杆5に干渉しない。また、縦杆部4bが枢結軸S1 , S2 を通る直線Lと同方向に傾斜するので、設計上合理的である。なお、便座1の上昇状態に於て、上・下リンク杆9,10が水平となるように構成してもよい。
【0015】また、図1と図2と図3に示すように、前リンク部11は、下降状態に於て、平行四節リンク8の前下部に空間部Rが生じるように前傾姿勢とされている。また、左右一対の平行四節リンク8,8の上リンク杆9,9は、横連結部材6にて相互に連結される。横連結部材6は、上リンク杆9,9に上方突出状に固設された支持片6a,6aと、その支持片6a,6aの間に固定状に設けられる横連結杆6bと、から成る。横連結杆6bは、下降状態に於て、便座1の後端部の下面を受ける。
【0016】しかして、アームレスト7が、前リンク部11と一体に揺動するように、前リンク部11に間接に着脱自在に取付けられている。具体的には、図3と図4と図5に示すように、平行四節リンク8,8の前リンク部11,11に、取付支持部12,12が上方延伸状に設けられ、その取付支持部12,12の上端部に平面的に見て環状の便座1の前部の左右両側面が固着される。かつ、その取付支持部12,12の上端部に上方及び側方へ開口する凹部44が設けられると共にボルト部材45, 45が側方突出状に固着された連結部43を設ける。
【0017】また、アームレスト7は、水平部7aと、その水平部7aの前方に連設される手掛け部7bを、有している。そして、アームレスト7の途中部下面に取付用縦部材46の上端部が固着される。その取付用縦部材46は、取付支持部12の凹部44に嵌脱自在に嵌入する嵌入凸部47を下端部に有する。かつ、その嵌入凸部47の側外面に、取付支持部12のボルト部材45, 45が挿通される小貫孔48, 48を有する取付片49が固着される。しかして、取付支持部12の凹部44に嵌入凸部47を嵌めると共に取付片49の小貫孔48, 48にボルト部材45, 45のねじ軸部を挿通させてそのねじ軸部に先端側からナット部材50, 50を螺嵌することにより、アームレスト7を前リンク部11に間接的に取付ける。また、ナット部材50, 50を螺退させて取外せば、アームレスト7を取外すことができる。一方のアームレスト7の先端には、電動伸縮駆動体3の伸縮操作をするためのスイッチ30が取付けられる。なお、左右両方のアームレスト7,7ともに、図5にて説明した構造にて着脱自在とされる。また、連結部43にねじ孔を設け、アームレスト7側の取付片49の小貫孔48, 48に、別体としてのボルト部材を挿通させて連結部43のねじ孔に螺入させることにより、アームレスト7を取付けるように構成してもよい。
【0018】また、図1と図3と図4に示すように、電動伸縮駆動体3は、上端部が支持枠2の一方の平行四節リンク8に設けられた取付支持部12に枢着される上部材15と、下端部が支持枠2の一方の側枠部4に枢着される下部材16と、を備えている。
【0019】具体的には、図6の断面図に示すように、上部材15は、円筒状の内筒体15aの下端にナット部材15bを固着して成る(なお、図6では紙面に向かって左側を上、右側を下として描いてある)。つまり、上部材15は、下端に雌ねじ部17を有する。また、内筒体15aの上端部には、枢結用の貫孔18aを有するボス部18が設けられる。
【0020】また、下部材16は、枢結用の長孔付き取付片14が下端に突設されたケーシング22と、そのケーシング22に上方突出状に設けられると共に上部材15がスライド自在に挿入される外筒体20と、上部材15の下端の雌ねじ部17に螺進退自在に螺合するスクリューシャフト24と、ケーシング22に取付けられる電動モータ23と、その電動モータ23とスクリューシャフト24を連動連結する減速機構25と、を有する。
【0021】減速機構25は、例えば、相互に噛合する大径と小径のヘリカル歯車からなり、大径のヘリカル歯車をスクリューシャフト24の下端に固着し、小径のヘリカル歯車を電動モータ23の出力軸に固着する。
【0022】しかして、スクリューシャフト24が矢印B方向へ回転するように電動モータ23を回転駆動させると、ナット部材15bが上昇して内筒体15aが外筒体20から上方へ出て行くため、電動伸縮駆動体3の長さが増加する。また、電動伸縮駆動体3の伸長状態に於て、スクリューシャフト24が矢印C方向へ回転するように電動モータ23を回転駆動させると、ナット部材15bが下降して内筒体15aが外筒体20に挿入されて行くため、電動伸縮駆動体3の長さが減少する。
【0023】なお、図1〜図4に於て、スイッチ30を上方へ揺動させれば、電動伸縮駆動体3が伸長し、下方へ揺動させれば電動伸縮駆動体3が短縮し、スイッチ30から手を離せば電動伸縮駆動体3が停止するように、構成する。
【0024】(図6にもどって)外筒体20には、上・下リミットスイッチ34a,34bが付設される。そのリミットスイッチ34a,34bは、上部材15の内筒体15aの下部に設けられた突部を検知するように構成され、その検知信号により、電動モータ23が停止する。即ち、電動伸縮駆動体3の長さが最大になった時及び最小になった時に、自動的に停止する。なお、図4は、電動伸縮駆動体3を最短とした状態を示す。
【0025】また、図7と図8と図9に示すように、電動伸縮駆動体3の下端部───下部材16の下端部───に長孔付き取付片14を設け、その長孔付き取付片14の長孔14aを貫通する水平支軸36により、揺動可能として支持枠2に該電動伸縮駆動体3の下端部を枢着し、かつ、電動伸縮駆動体3を伸縮方向と略平行な斜め下方へ常時弾発的に付勢する弾発部材37を、付設する。水平支軸36は、支持枠2の側枠部4の水平杆部4aに上方突出状に固着された支持片38の上部に固着される。また、長孔付き取付片14と支持枠2の側枠部4には、それぞれ、ばね係止部40a,40bが設けられ、そのばね係止部40a,40bに弾発部材37としての引張りばねの両端部が係止される。
【0026】そして、便座1を下降させる際に便座1と便器本体Aとの間に手等が挟まって、便座1を押上げる方向への外力が作用したときに、弾発部材37に抗して電動伸縮駆動体3が、矢印Eにて示す如く斜め上方へ動いて逃げるように構成する。なお、電動伸縮駆動体3が斜め上方へ動いて逃げることができるストローク幅Wは、便座1と便器本体Aとの間に手等が挟まっても怪我をしないような値に設定される(図8と図9参照)。
【0027】しかして、この装置に着座するには、図4に示すように、便座1を上昇させて、便座1に腰掛ける。このとき、便座1は下降状態に比してやや前方へ移動しているので、便器本体Aが邪魔となることがない。なお、このときの便座1の前端部の高さは、起立した人の臀部よりも僅かに低い高さである。
【0028】これにより、僅かに腰を低くするのみで臀部が便座1に当接して、着座する人を中腰状態に支持することができる。また、この上昇位置に於て、便座1が水平状態に維持されるので、身体が便座1からずり落ちる虞れが無く身体弱者が不安を感ずることが無くかつ安全である。その後、アームレスト7の先端のスイッチ30を下方へ揺動させれば、電動伸縮駆動体3が一定速度で短縮して、便座1がゆっくりと後下方へ下降する。
【0029】その後、便座1が図3に示すように便器本体Aの真上位置にまで下降して、電動伸縮駆動体3のリミットスイッチが作動し自動的に停止する。こうして、便座1が水平状の下降位置に保持される。このとき、平行四節リンク8,8の前下部に空間部Rが生じるので、身体弱者の足の動きの邪魔とならない。
【0030】次に、用便を済ませた後、スイッチ30を上方へ揺動させれば、電動伸縮駆動体3が一定速度で伸長して、便座1がゆっくりと前上方へ上昇する。その後、前述の如く、便座1が水平状態のまま上昇位置に到達すると、電動伸縮駆動体3が自動的に停止する。
【0031】これにより、便座1が十分高い位置で停止するので、起立状態に近い位置にまで臀部が押し上げられる。かつ、便座1が水平状に保持されるので、臀部が便座1からずり落ちることが無く安全である。従って、身体弱者にでも自力で楽に、かつ、安全に立ち上がることができる。
【0032】また、便座1の下降時又は上昇時に於て、スイッチ30から手を離せば、そのときの位置に便座1を停止できる。これにより、途中で一服したい場合や、座り直したい場合等に便利であり、使用者が立ち上がり易い任意の位置で便座1を停止できるという利点もある。かつ、安全面でより優れる。さらに、便座1の下降速度及び上昇速度は、着座する人の体重の大小に関係なくほぼ一定であり、便座1はゆっくりと下降又は上昇するため、安全性が一層高い。
【0033】また、平行四節リンク8により、便座1全体が前上方へ押し出されるので、身体弱者の臀部を前上方へ押し出すことができ、一層立ち上がり易い。さらに、支持枠2の前端部に支柱等の邪魔なものが無いので、狭いトイレに設置しても、身体弱者の出入りの邪魔とならないという利点がある。
【0034】さらに、図7にて説明したように、掃除中等に於て、誤って電動伸縮駆動体3が作動して便座1と便器本体Aとの間に手等が挟まっても、弾発部材37に抗して電動伸縮駆動体3が、矢印Eにて示す如く斜め上方へ動いて逃げる。即ち、通常の(手等を挟んでいない)下降状態では、図8に示すように、電動伸縮駆動体3が下方に降りて長孔14aの上端部に水平支軸36が位置しているが、上記の如く手等を挟むと、図9に示すように、便座が下降せずに弾発部材37の弾発力に抗して電動伸縮駆動体3が斜め上方へ逃げる。これにより、便座1と便器本体Aとの間で手等が潰れることが無く安全性に一層優れる。
【0035】また、図5にて説明したように、アームレスト7を取外して使用するのも好ましい。そのようにすれば、自力で用便ができないような重度の身体障害者を介護者が車椅子から便座1に移動させることや便座1から車椅子に移動させることが容易となる。
【0036】なお、この用便装置は、ばねの弾発力により便座を押し上げるように構成した従来の用便装置に比して、水平状態を保持するためのロック機構が不要である点、及び、押上力を調整するためにばね部材の取付位置を変更するための機構が不要である点に於て、優れている。かつ、中間の任意の高さ位置で便座1を停止できるという利点もある。
【0037】また、電動伸縮駆動体3にて一方の平行四節リンク8を上方へ揺動させ、かつ、付勢手段35にて他方の平行四節リンク8を上昇方向へ弾発付勢するので、左右の平行四節リンク8,8をこぜを生ずることなくバランスよく昇降させることができると共に全体の構成部材を簡素化できる。さらに、横連結部材6と環状の便座1により、その横連結部材6と便座1と左右の平行四節リンク8,8とからなる構造の剛性を大きくすることができ、上昇・下降時及び停止時に、便座1がぐらついたり左右に傾いたりするのを防止でき、一層安全性が高い。
【0038】また、平行四節リンク8,8の前リンク部11,11に、便座1とアームレスト7,7を直接に着脱自在に取付けるも自由である。その場合、前リンク部11の上端部に凹部44を設けると共にボルト部材45, 45を固着し、かつ、アームレスト7に上下方向に長寸の取付支持部12を固着すればよい。
【0039】次に、図10と図11は他の実施の形態を示し、前リンク部11に、アームレスト7が、間接に、回倒・復起可能に取付けられている。具体的には、図10に示すように、取付支持部12の上端部と、アームレスト7の取付用縦部材46の下端部を、ヒンジ機構60とロック・解除機構61を介して、前後方向の水平軸心廻りに回動可能に、かつ、アームレスト7を回倒可能な解除状態と、復起状態に保持可能なロック状態とに、切換自在に、連結する。そして、アームレスト7を便座1よりも低い位置まで、側外方へ回倒可能とする。
【0040】ロック・解除機構61は、図11に示すように、取付支持部12に固着される取付片62と、その取付片62に前後方向スライド自在に取付けられるスライド部材63と、取付用縦部材46に固着されると共に、スライド部材63の半球状の先端部が挿入・離脱自在に挿入される孔部64を有する係止片65と、スライド部材63を先端側へ弾発付勢する弾発部材66と、を備える。
【0041】しかして、スライド部材63を、矢印Gにて示す如く基端方向へ引けば、先端部が孔部64から抜けて、解除状態となり、アームレスト7を、図10に矢印Hにて示す如く、側外方へ倒すことができる。
【0042】また、アームレスト7を、倒れた状態から、矢印Iにて示すように起こすと、ロック・解除機構61のスライド部材63の先端が自動的に孔部64に入り、ロック状態となる(図11参照)。なお、前リンク部11に、アームレスト7を直接に回倒・復起可能に取付けてもよい。その場合、前リンク部11の上部と取付用縦部材46の下部の間にヒンジ機構60とロック・解除機構61を設ければよい。
【0043】次に、図12と図13は、別の実施の形態を示し、前リンク部11に、アームレスト7が、間接に、上下動可能に取付けられている。即ち、図12に示すように、取付支持部12の上部に、上下方向の角孔部68を成す取付金具67が固着され、その取付金具67にて形成された角孔部68に、アームレスト7の取付用縦部材46が、上方から挿入される。そして、アームレスト7を、便座1の上面と略同等の位置に下降可能とする。
【0044】しかして、図12と図13に示すように、取付金具67には、ロック・解除用のスライド部材69が側方へスライド自在に取付けられ、取付用縦部材46には、スライド部材69の半球状先端部が挿入・離脱自在に挿入される複数の孔部70…が、上下に所定ピッチ毎に設けられる。また、取付金具67とスライド部材69の先端の頭部との間に、スライド部材69を先端へ弾発付勢する弾発部材71が介装される。
【0045】上述の構成により、スライド部材69を側外方へ引けば、その先端部が孔部70から抜けて、アームレスト7を上下動させることができる。また、スライド部材69から手を離して、アームレスト7をゆっくり上昇又は下降させれば、孔部70にスライド部材69の先端が自動的に入って、ロック状態となり、アームレスト7の高さをそのまま維持できる。従って、アームレスト7の高さ調整ができる。かつ、アームレスト7を最下位置にまで下降させれば、重度の身体障害者の乗り降りの際に邪魔とならない。また、取付用縦部材46を角孔部68から上方へ引抜いて、アームレスト7を取外すこともできる。
【0046】なお、前リンク部11に、アームレスト7を、直接に上下動可能に、取付けてもよい。その場合、前リンク部11の上部側外面に取付金具67を固着して角孔部68を形成し、その角孔部68に取付用縦部材46を挿入すればよい。
【0047】また、図14と図15は、便座1に、便槽81を着脱自在に取付けたものである。即ち、図14の用便装置は、便座1の下面の左右両側に、正面視L字型のレール状の引掛け部80, 80が相互に対向状に固着されている。便槽81は上端縁に外鍔部81aを有する。そして、便槽81の外鍔部81aを引掛け部80, 80に係止する。これにより、この用便装置を使用した後は、便槽81を前方へ引き抜いて便座1から取り外して排泄物を容易に捨てることができる。
【0048】また、図15の用便装置は、便座1に便槽81を着脱自在に取付けるための引掛け部材82, 82が、便座1に着脱自在に取付けられている。即ち、引掛け部材82, 82は、便座1に係脱自在に係止する係止部82aと、その係止部82aの下端部に形成される引掛け本体部82bと、から成る。このように構成したことにより、引掛け部材82, 82や便座1の裏に汚物が付着した場合に、便座1から引掛け部材82, 82を取り外せば、簡単に清掃ができる。従って、清掃性に優れて衛生的である。
【0049】なお、本発明は上述の形態以外の形態とするも可能であり、例えば、本装置に、洗浄水を人の局部に向けて噴射するノズルを有する局部洗浄装置を付設するも自由である。その場合、便座1の後部下面側又は横連結部材6にノズルを(洗浄水が略上方へ噴射されるように)取付ければよい。また、付勢手段35としては、ガススプリング以外にも、例えば、コイルばねや板ばねを使用してもよい場合がある。
【0050】
【発明の効果】本発明は上述の構成により、次のような著大な効果を奏する。
【0051】請求項1記載の用便装置によれば、便座1を水平状に維持したままで昇降できるので、便座1の上昇状態に於て、着座する際に身体が便座1からずり落ちることが無く、不安を感じることが無い。かつ、身体弱者が用便の前後で楽に着座及び起立することができる。特に、電動伸縮駆動体3が一方にのみ設けられているにかかわらず、付勢手段35を他方に配することによって、安定して支持枠2等が昇降して、便座1の上昇・下降時及び停止時に、便座1がぐらついたり左右に傾いたりするのを防止できる。また、着座した状態で便座1が不意に浮き上がる虞が無く、安全性が高い。その上、便座1を上昇又は下降の途中の任意の位置に停止させることも可能であり、途中で一服したい場合や立ち上がり易い上昇位置で止めたい場合に便利である。さらに、着座する際と起立する際に、便座1がゆっくりと下降又は上昇するので、安全が一層高くなり、身体弱者が安心して使用できる。また、全体の構造を簡素化できる。
【0052】請求項2記載の用便装置によれば、請求項1記載のものと同様の効果を奏すると共に、アームレスト7,7を取付けた状態に於て、便座1とアームレスト7,7が一体状に下降及び上昇するので、着座及び立ち上がりを一層楽にかつ安全に行い得る。かつ、立ち上がる際に力を入れ易い。また、アームレスト7,7を取外せば、自力で用便ができないような重度の身体障害者を介護者が車椅子から便座1に移動させることや便座1から車椅子に移動させることが容易となる。
【0053】請求項3記載の用便装置によれば、請求項1記載のものと同様の効果を奏すると共に、便座1とアームレスト7,7が一体状に下降及び上昇するので、着座及び立ち上がりを一層楽にかつ安全に行い得る。そして、アームレスト7が、回倒・復起自在なものでは、アームレスト7を倒せば、自力で用便ができないような重度の身体障害者を介護者が車椅子から便座1に移動させることや便座1から車椅子に移動させることが容易となる。また、アームレスト7が、上下動可能なものでは、アームレスト7の高さ調整ができ、使用者(身体弱者)の体に合った最も楽な姿勢をとることができる。
【0054】請求項4記載の用便装置によれば、請求項1、2又は3記載のものと同様の効果を奏すると共に、掃除中等に於て、誤ってスイッチに触れて電動伸縮駆動体3が作動して便座1と便器本体Aとの間に手や腕等が挟まっても、弾発部材37に抗して電動伸縮駆動体3が、斜め上方へ動いて逃げるので、便座1がそれよりも下降することが無く、安全性に一層優れる。
【0055】請求項5記載の用便装置によれば、請求項1、2、3又は4記載のものと同様の効果を奏すると共に、便座1をぐらつかないように上昇・下降させるための───左右の平行四節リンク8,8を連動して上昇・下降させるための───剛性を大きくすることができる。従って、上昇・下降時及び停止時に、便座1が左右に傾かず、安全性が一層高い。
【0056】請求項6記載の用便装置によれば、請求項1記載のものと同様の効果を奏すると共に、便座1が前上方へ上昇するので便座1の後端部が支持枠2の連結横杆5に干渉することが無い。また、洗浄水を人の局部に向けて噴射するノズルを有する局部洗浄装置を便座1の後部に取付けても、その局部洗浄装置が連結横杆5に干渉せず、種々の局部洗浄装置を取付け可能である。また、上・下リンク扞9,10の後端の2つの枢結軸S1 ,S2 を通る直線Lが前傾状となり、支持枠2の側枠部4の縦扞部4b,4bを前傾させ得るので、連結横扞5を水タンクTに干渉しないように位置させるための設計を合理的に行い得る。
【0057】請求項7記載の用便装置によれば、請求項1記載のものと同様の効果を奏すると共に、便座1の下降状態に於て、平行四節リンク8,8の前下部(便器本体Aの前端の左右両側部)に空間部Rが生じるので、身体弱者の足の動きの邪魔とならない。また車イスを接近させやすい。
【0058】請求項8記載の用便装置によれば、請求項1,2,3又は4記載のものと同様の効果を奏すると共に、トイレまで移動できないような身体弱者でもベッドサイドにて安全かつ楽に用をたすことができ、使用者、介護者の負荷の軽減につながる。
【出願人】 【識別番号】000130293
【氏名又は名称】株式会社コムラ製作所
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成10年(1998)8月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【公開番号】 特開平11−169406
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平10−244821