トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 スロープ付き自動車
【発明者】 【氏名】木崎 喜雄

【要約】 【課題】スロープ材を下ろす動作に連動して車体後部が自動的に降下するようにして操作が簡単で利便性の良いスロープ付き自動車を提供する。

【解決手段】車体高さを調整可能なサスペンション機構13と、車室内への収納状態と地上に先端が接するスロープ形成状態との間で移動可能なスロープ材とを備え、かつスロープ材の収納状態からの引き出しを検出するスロープ引出検出センサ10からの検出信号に基づいて車体後部を降下させるようにサスペンション機構13を動作制御するECU30及び制御弁26を設けて成り、スロープ材をスロープ形成状態に向けて引き出すと、それに連動してサスペンション機構13が動作制御されて車体後部が自動的に降下するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体高さを調整可能なサスペンション機構を備え、車室内への収納状態と地上に先端が接するスロープ形成状態との間で移動可能なスロープ材を有したスロープ付き自動車において、スロープ材の収納状態からの引き出しを検出するスロープ引出検出センサを設け、このスロープ引出検出センサからの検出信号に基づいて車体後部を降下させるように前記サスペンション機構を動作制御する手段を設けたことを特徴とするスロープ付き自動車。
【請求項2】 スロープ材の先端が地上に接する前に車体後部の降下が完了することを特徴とする請求項1記載のスロープ付き自動車。
【請求項3】 スロープ引出検出センサの作動中警報を発する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のスロープ付き自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車室後端から地上にスロープ材を下ろして車椅子や運搬車等を車室内に出し入れするスロープを形成できるようにしたスロープ付き自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車室内に対して車椅子等を出し入れするために、車室後端に車室内に収納した起立状態と地上に先端が接するスロープ形成状態との間で回動可能なスロープ材を配設したスロープ付き自動車は従来から知られている。
【0003】さらに、短いスロープ材を用いながらスロープの傾斜角を小さくするために車体高さを調整できる油圧サスペンション機構付き自動車を用い、スロープ材を下ろす際に運転席での操作によって油圧サスペンション機構を動作制御して車体後部を降下させるようにしたものも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のように油圧サスペンション機構の動作制御手段を運転席に設けたものにおいては、スロープ材を下ろす操作と、車体後部を降下させる操作を別々に行う必要があるため、操作が複雑で利便性に欠けるという問題があるとともに、車体後部が降下するのを知らずに、又は忘れてスロープ材だけを下ろして車椅子を出し入れしようとした場合、そのスロープの傾斜が急過ぎて危険な場合が発生する恐れもあるという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、スロープ材を下ろす動作に連動して車体後部が自動的に降下し、操作が簡単で利便性が良くかつ安全なスロープ付き自動車を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のスロープ付き自動車は、車体高さを調整可能なサスペンション機構を備え、車室内への収納状態と地上に先端が接するスロープ形成状態との間で移動可能なスロープ材を有したスロープ付き自動車において、スロープ材の収納状態からの引き出しを検出するスロープ引出検出センサを設け、このスロープ引出検出センサからの検出信号に基づいて車体後部を降下させるように前記サスペンション機構を動作制御する手段を設けたものであり、スロープ材をスロープ形成状態に向けて引き出すと、それに連動してサスペンション機構が動作制御されて車体後部が自動的に降下するので、短いスロープ材を用いながら傾斜角の小さいスロープを形成できるとともにその操作が簡単となって使用時の利便性が高く、また車体後部を降下させずにスロープ材を下ろして傾斜の急なスロープのまま誤って使用するようなこともなく安全性も向上することができる。
【0007】また、スロープ材の先端が地上に接する前に車体後部の降下が完了しているように構成すると、スロープ材を下ろした後もスロープが動いて不安定な状態であるというようなことがなく、スロープ材の先端が地上に接した時にはスロープが正常に使用可能な状態になっており、安全でかつ使い勝手が良い。
【0008】また、スロープ引出検出センサの作動中警報を発する手段を設けると、スロープの使用中の間、周囲に対して警報が発せられて注意が喚起されるので、周囲の不注意による不測の事態の発生を未然に防止でき、より高い安全性を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスロープ付き自動車の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0010】図1において、1は車体2の後部開口を開閉する後部ドア3を開いて車室4内に車椅子(図示せず)を積載するようにしたスロープ付き自動車であり、車室4のフロア後端に車椅子を車室4に出し入れするスロープ5を形成するためのスロープ材6が、車室4内に収納される起立状態と、図示の如く先端が地上に接したスロープ形成状態との間で回動可能に配設されている。なお、図示例では後部ドア3を、後部開口の一側に配設したヒンジにて水平方向に開閉する例を示したが、後部開口の上縁に配設したヒンジにて上下に開閉するものであってもよい。
【0011】図2において、車体2の後端部には、上端が車室4のフロア面と略同一面となるようにクロスメンバ7が配設され、このクロスメンバ7に設けたヒンジ8にてスロープ材6の下端が回動自在に支持されている。スロープ材6の両側又は一側のヒンジ8から適当距離の位置にダンパー9の一端9aが枢支され、その他端9bは車体2の後部開口の内側面に枢支されており、ダンパー9はスロープ材6が実線で示す起立状態のときに収縮状態に、仮想線で示すスロープ形成状態では伸展状態となり、スロープ材6が起立状態からスロープ形成状態に回動する際の回動速度を制御するように構成されている。
【0012】また、スロープ材6を起立状態で係止する係止手段(図示せず)が設けられるとともに、スロープ材6を起立状態から引き出すとこれを検出するようにリミットスイッチや近接スイッチ等から成るスロープ引出検出センサ10が後部開口の一側に配設されている。また、後部ドア3を閉じた時にこれを検出する後部ドア閉検出センサ11も後部開口の一側に配設されている。図1において、車体2の後面上端部にはスロープ材6を引き出している間、警告のために点滅するコーションランプ31が配設されている。
【0013】図3、図4において、自動車1の車体2と4つの車輪12の間には、それぞれ油圧サスペンション機構13とスプリング14とが配設されている。各油圧サスペンション機構13は、図3に示すように、シリンダ15内にピストンロッド16と一体のピストン17が配設されて上部シリンダ室18と下部シリンダ室19が形成されている。また、ピストンロッド16の軸芯部には先端が下部シリンダ室19に連通する油路20aが貫通形成されるとともに、油路20aから上部シリンダ室18に連通する油路20bが形成されている。シリンダ15上部のピストンロッド16の周囲にはベローズにて囲まれたリザーバ室21が形成され、その周囲にはエアチャンバ22が形成されている。
【0014】各リザーバ室21は配管23を通して油圧ポンプ24の吸入ポート24bに連通され、油圧ポンプ24の吐出ポート24aは配管25を通してリリーフ弁付き比例電磁減圧弁などの制御弁26を介して各ピストンロッド17の油路20aに連通されている。27は配管25と配管23の間に介装されたリリーフ弁、28は配管25に介装されたチェック弁である。制御弁26の一次ポート26aは配管25の油圧ポンプ24側に、二次ポート26bは配管25の油路20a側に、リザーバポート26cは配管23に接続されている。
【0015】各制御弁26はECU30にてそれぞれ制御可能に構成され、ECU30には上記スロープ引出検出センサ10の検出信号、後部ドア閉検出センサ11の検出信号、及びその他Gセンサ、ブレーキ管力センサ等の車体に傾きを発生させる各種要因を検出するセンサ29からの検出信号が入力されている。
【0016】このような構成の油圧サスペンション機構13において、油圧ポンプ24から吐出された作動油は配管25を通り、制御弁26の一次ポート26aに達する。
【0017】シリンダ15(油路20a)内の油圧はECU30による制御弁26の設定圧によって決定され、油路20aの油圧が設定圧よりも低い場合には一次ポート26aと二次ポート26bがつながり、油路20aの油圧が増すように作用する。油路20aの油圧が設定圧よりも高い場合にはパイロット圧26dが作用し、二次ポート26bとリザーバポート26cがつながり、シリンダ15内の作動油が油路20aを通ってリザーバ室21側へ流れ、油圧を減らすように作用する。
【0018】車体2の後部を降下させる場合には、車体後部における油圧サスペンション機構13の制御弁26に対する設定圧をECU30にて低く設定すればよい。すると、シリンダ15内の油圧が作用している二次ポート26bの油圧が設定圧より高くなるので、制御弁26のパイロット圧20dが作用して二次ポート26bとリザーバポート26cがつながり、シリンダ15(下部シリンダ室19)内の作動油が油路20aを通ってリザーバ室21側へ流れ、ピストン17がシリンダ15に対して相対的に下降し、車体2の後部が降下する。
【0019】以上の構成において、車椅子などを車室内から出し入れするためにスロープ5を形成する際の動作について、図4の動作状態の説明図及び図5のスロープ操作制御のフローチャートを参照して説明する。
【0020】スロープ付き自動車1に車椅子を出し入れする場合、図4(a)に示す通常の走行状態で任意の場所で停車し、図4(b)に示すように、後部ドア3を開き、仮想線で示す起立状態のスロープ材6の係止手段を解除し、スロープ材6を後方に向けて回動させて引き出す。
【0021】すると、図5のステップ#1で、スロープ引出検出センサ10によって検出され、次にステップ#2で自動車のエンジンキーがオンされているか否かを判定し、キー・オンでない場合はブザーや音声等にてスロープ材6を元に戻してキー・オンすべきことを警報する。これはキー・オンされていないと、油圧ポンプ24が作動せず、スロープ材6を下ろしても車体2後部が降下しないために、警告するものである。
【0022】キー・オンされていると、スロープ材6はダンパー9にて速度制御された状態でゆっくりと回動して先端が地上に接するまで下ろされる。スロープ材6が引き出されている間は、ステップ#4で車体2後面上端部に配設されたコーションランプ31が点滅し、周囲に対して注意を喚起するように警報が発せられ、周囲の不注意による不測の事態の発生が未然に防止される。
【0023】また、ステップ#5で、上記のように車体後部の油圧サスペンション機構13が降下動作制御され、図4(b)に矢印Aで示すように車体2の後部が降下する。この油圧サスペンション機構13による車体2の後部の降下動作には相当の時間を要するが、上記のようにスロープ材6の回動速度をダンパー9で制御しているので、スロープ材6の先端が地上に接する前に車体2後部の降下は完了している。かくして、スロープ材6を下ろした後もスロープ5が動いて不安定な状態であるというようなことがなく、図4(b)に実線で示すように、スロープ材6の先端が地上に接した時にはスロープ5が正常に使用可能な状態になっている。このスロープ5を通って車椅子を車室に対して安全にかつ使い勝手が良く出し入れすることができる。
【0024】このようにスロープ材6をスロープ形成状態に向けて引き出すと、それに連動して油圧サスペンション機構13が動作制御されて車体2後部が自動的に降下するので、短いスロープ材6を用いながら傾斜角の小さいスロープ5を形成できる。しかも、スロープ材6を引き出すだけでよいため、その操作が簡単で利便性が高く、また車体2の後部を降下させずにスロープ材6を下ろして傾斜の急なスロープ5のまま誤って使用するようなことがなく、安全性も確保できる。
【0025】その後、車椅子の車室4に対する出し入れが終了すると、スロープ材6を元の起立状態に復帰させて収納する。それがスロープ引出検出センサ10にてステップ#6で検出されると、ステップ#7でコーションランプ31の点滅による警報が解除される。次に、後部ドア3を閉じると、ステップ#8で後部ドア閉検出センサ11にて検出され、ステップ#9でECU30から車体2後部の油圧サスペンション機構13の制御弁26に対して復帰上昇動作するように所定の設定圧信号が出力され、車体2後部が図4(a)の通常走行状態まで上昇復帰する。
【0026】なお、上記実施形態ではスロープ材6の基端を車体後端部で枢支し、スロープ材6を起立姿勢の収納状態とスロープ形成状態との間で回動自在に支持した例を示したが、スロープ材を車室フロアの下部にそれと略平行に収納し、使用時にはそのスロープ材を車体後方に引き出した後、基端を車体後端で係合させ、先端を下方に向けて回動できるように構成してもよい。又上記実施形態では、車体高さを調整可能なサスペンション機構として、4つの車輪部の高さ調整が可能な油圧式サスペンション機構を採用したが、2つの後輪部のみの高さ調整が可能なものを採用してもよく、又空圧式等の他のタイプのサスペンション機構を採用してもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、以上のようにスロープ材をスロープ形成状態に向けて引き出すと、それに連動してサスペンション機構が動作制御されて車体後部が自動的に降下するように構成しているので、短いスロープ材を用いながら傾斜角の小さいスロープを形成できるとともにその操作が簡単となって使用時の利便性が高く、また車体後部を降下させずにスロープ材を下ろして傾斜の急なスロープのまま誤って使用するようなことがなく安全性も確保することができる。
【0028】また、スロープ材の先端が地上に接する前に車体後部の降下が完了しているように構成すると、スロープ材の先端が地上に接した時には正常に使用可能な状態になっているため、スロープ材を下ろした後もスロープが動いて不安定な状態であるというようなことがなく、安全でかつ使い勝手が良い。
【0029】また、スロープ引出検出センサの作動中警報を発する手段を設けると、スロープの使用中の間、周囲に対して警報が発せられて注意が喚起されるので、周囲の不注意による不測の事態の発生を未然に防止でき、より高い安全性を確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石原 勝
【公開番号】 特開平11−123210
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−288087