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【発明の名称】 床擦れ防止シート
【発明者】 【氏名】白石 勝利

【要約】 【課題】人体のシート当接面において常時通気性を確保することが可能な床擦れ防止シート10を提供すること。

【解決手段】シート表面に、畝状凸部11がシート10の長手方向又は短手方向へ複数並列形成されている床擦れ防止シート10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート表面に、畝状凸部がシートの長手方向又は短手方向へ複数並列形成されている床擦れ防止シート。
【請求項2】 表地と裏地との間に断面が円形又は楕円形の棒状物が詰物としてシートの長手方向又は短手方向へ複数並列内装され、各詰物間の表地と裏地との間が縫い止められて前記畝状凸部が形成されている請求項1記載の床擦れ防止シート。
【請求項3】 棒状物が、球状体が連設された形状の球状体連設棒である請求項2記載の床擦れ防止シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は床擦れ防止シートに関し、より詳細には人体のシート当接面における通気性を向上させることにより床擦れを防止する床擦れ防止シートに関する。
【0002】
【従来の技術】老人や病人が長期間病床にあって、自発的な動作が阻まれ、体位の変換が困難な状態にある場合、長期間圧迫されている部位に壊死性の皮膚障害を起こすことがある。この皮膚障害は一般に床擦れといい、いったんできると極めて治りにくいため、その予防が重要視されている。床擦れの予防方法としては、圧迫の除去の他、皮膚の清潔、乾燥と血行の促進等が上げられ、中でも通気性を向上させることによって皮膚を乾燥させることが重要とされている。皮膚の乾燥のためには、従来からドライヤーの温風を当てる方法等が採られていた。しかしながらドライヤーの温風を当てるには圧迫部を表に露出する必要があり、体位の変換時にしか作業が行えないため、常時通気性を改善し得るものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題に鑑み発明されたものであり、人体のシート当接面において常時通気性を確保することが可能な床擦れ防止シートを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明に係る床擦れ防止シートは、シート表面に、畝状凸部がシートの長手方向又は短手方向へ複数並列形成されていることを特徴としている。こうした床擦れ防止シートによれば、少なくとも前記畝状凸部間に形成される溝部においては人体がシートに密着するのを防止することができ、通気性が確保されるため、前記溝部から湿気拡散を図ることができ、床擦れを防止し得る。
【0005】前記床擦れ防止シートが、表地と裏地との間に断面が円形又は楕円形の棒状物が詰物としてシートの長手方向又は短手方向へ複数並列内装され、各詰物間の表地と裏地との間が縫い止められて前記畝状凸部が形成されているものである場合は、前記シート用詰物の断面形状や内装間隔を変化させることで容易に上記溝部の幅等を変化させることができ、通気量の変更を容易に行い得る。
【0006】また、前記棒状物が、球状体が連設された形状の球状体連設棒である場合は、前記球状体連設棒における球状体連設部の窪みが、球状体連設棒間に形成される上記溝部と直交する方向に連なって前記溝部同様に通気路となるため、通気性をより一層向上させ得る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る床擦れ防止シートを図面に基づいて説明する。なお、何らこれに限定されるものではない。図1〜3は本発明に係る床擦れ防止シートの一例を示している。図例のシート10は、例えば縦×横×最厚部厚み=190cm×95cm×2.5cm程度の製品サイズであり、縦辺10aからその対辺10bまでは例えば約2.4cm間隔に、木綿糸による縫い目1が施され、横辺10cからその対辺10dまでは例えば縦辺10a、10bからそれぞれ約2.1cm離れた位置に木綿糸による縫い目2が施されている。また、シート10の全周囲はバイアス生地等により縁止めされている。
【0008】図例のシート10の表地15、裏地16はいずれも綿生成り生地であり、表地15、裏地16間にはクッション材14を介して詰物13が複数並列配置されていて、この詰物13により、縦辺10aから対辺10bまで連続するシート10の畝状凸部11が、例えばシート10表面の長手方向(AA´)に順次並列形成されている。尚、ここで言うシート10表面とは、シート10の上面、下面、側面のいずれかに限定されるものではない。また、詰物13は縦辺10aからその対辺10bまで例えば約2.4cm間隔に施された縫い目1、1間に内装されており、横辺10cからその対辺10dまで、例えば縦辺10a、10bからそれぞれ約2.1cm離れた位置に施された縫い目2により詰物13の長さ方向への移動が規制され、位置ずれしないようになっている。
【0009】シート10においては上面、下面の双方において畝状凸部11、11…が並列形成されており、隣合う畝状凸部11、11間には図2の模式的側面図に示す如く溝部12が形成されることとなる。こうした溝部12は、隣合う畝状凸部11、11間に施された縫い目1によって確実に形成されることとなり、この溝部12、12…はシート10の縦辺10aから対辺10bまで連通する通気路となり得るため、シート10上に人が横たわっても溝部12を介しての通気が可能となる。こうしたシート10によれば、シート10上に長期間寝た状態が続いても少なくとも溝部12においては人体がシート10と密着することはなく、人体表面とシート10間に溜まりがちだった湿気を溝部12を介してシート10外部に拡散することができる。
【0010】シート10の長手方向AA´に平行な断面の模式的部分拡大図を図3に示す。図3に示す如くシート10内には一辺10aから対辺10bまで連続した棒状の詰物13がシート10の長手方向(AA´)に順次並列内装されており、詰物13の上下には、ウレタン、綿、パームロック(椰子の実繊維)等からなるクッション材14、14が敷設されていて、これら詰物13、クッション材14が表地15と裏地17により被覆され、詰物13、13間が縫い目1にて縫い止められている。尚、クッション材14は必ずしも必要ではないが、内装されている場合は、シート上に横たわった時のクッション性を向上させることができ、畝状凸部11が体にくい込んで痛みを感じるといったことを防止することができる。クッション材14が内装される場合は詰物13の上下に敷設されることに何ら限定されず、詰物13の上下いずれか一方に敷設されてもよい。
【0011】図例の詰物13の模式的斜視図及び模式的側面図は図4(イ)、(ロ)に示す通りであり、詰物13は図例の如く球状体を連設させた形状の球状体連設棒であって、前記個々の球状体としては、例えば略同一肉厚を有する中空球状体である。即ち前記球状体連設棒内部は中空であって、しかもその両端は開口している。こうした球状体連設棒を詰物13として用いた場合は、上記したように隣り合う畝状凸部14間の溝部12(図2)により通気性を確保することができる他、前記球状体の連設部位における窪み17によって、溝部12と直交する方向、即ちシート10の長手方向AA´に連通する通気路を確保することができる。また、中空であることによって詰物13の長さ方向への通気路をより確実に確保し得ると共に、径方向への適度な弾力性及び変形容易性を有することから、横たわった際に詰物13が体表面にくい込んで痛みを感じるといったことを防止することができ、さらには詰物13の耐撓性を向上させることができる他、軽量化、低コスト化を図ることもできる。
【0012】図例の球状体連設棒の材質は例えばポリエチレンであり、肉厚は約0.2mm程度であって、前記球状体連設棒の直径は約1.5cm程度である。また、窪み17、17間隔wは例えば約1cm程度である。
【0013】詰物13の材質は何らポリエチレンに限定されるものでなく、合成樹脂製の他、木製、ゴム製等であってもよいが、体重を支えることが可能な程度の強度を有し、しかも適度な弾力性及び変形容易性を有していることが好ましい。合成樹脂製の場合は、合成樹脂材の中でも最も比重が小さく、軽量で、剛性、耐衝撃性等に優れたポリプロピレンを使用するのが好ましい。また、ポリプロピレン以外でもポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂等の熱可塑性合成樹脂等も適宜採用可能であり、これらの単一あるいは、いかなる組み合わせによる使用も可能である。
【0014】また、前記した合成樹脂に熱伝導材を添加した場合は、使用者の体熱をいちはやく拡散してシート内部に前記体熱がこもるのを防止することができる。前記熱伝導材としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、無機中空の多孔質ビーズ、細粒砕石、銅粉、鉄粉、銀粉、スチール粉、アルミニウム粉等の無機材や金属材等が使用可能である。尚、詰物13の中空内には、ある程度の空間を確保した上で、芳香剤や吸湿剤を収容又は装着することも可能である。
【0015】尚、図例の表地15と裏地16に使用するのは、綿生成り生地に特に限定されるものではなく、汗や湿気等を吸収するものがより好ましいが、表地15と裏地16の双方が必ずしも同じ素材である必要もないのであって、場合によっては例えば裏地16に非通気性のものを用いて、防水性を有したシートとしてもよい。また、例えば表地15と裏地16のいずれか又は双方に、通気性等を考慮して、網目状に編んだラッセル織りのナイロンメッシュ等を使用してもよい。尚、前記した生地とは、織物、編物、不織布、レース等を含む概念である。
【0016】表地15と裏地16は図例の如くその全周がバイアス生地等により挟持された状態で縫合されていてもよいし、シート10の四辺の少なくとも一辺に、面ファスナー、スライドファスナー、ボタン、ホック等による接合手段を設けてもよい。この場合、詰物13やクッション材14の出し入れが容易にできるため、表地15と裏地16とから構成されるカバー体のみの洗濯が可能となり、また詰物13やクッション材14の交換や一部修理等も容易に行える。
【0017】本実施の形態においては詰物13として中空の球状体連設棒を用いたが、何らこれに限定されるものでなく、必ずしも中空である必要はなく、また、必ずしも球状体連設棒である必要もない。例えば図5に示す如く単なる棒状体を詰物18としてもよいのであって、その際、棒状体の材質としては、綿、ウレタン、ポリエチレン繊維、あるいは合成樹脂発泡体等、様々考えられる。特に繊維物を用いる場合は、棒状体の長さ方向に繊維長を有するものを用いれば、空洞部13aと同様、棒状体の長さ方向に向かってより一層の通気性を確保することも可能である。
【0018】また、球状体連設棒の類似形態も様々考えられ、例えば図6に示す如く大小の球状体を交互に連設した形態の詰物13Aであってもよいし、図7、8に示す如く、長さ方向又は高さ方向に膨出した形態の詰物13B、13Cであってもよい。さらに、図9に示す如き中空の柱状体連設棒を詰物19としてもよいのであって、詰物19を構成する個々の柱状体は角柱、円柱に何ら限定されるものではない。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る床擦れ防止シートによれば、シート表面に、畝状凸部がシートの長手方向又は短手方向へ複数並列形成されているため、シート上に人が横たわった状態においても、前記畝状凸部間に形成された溝部においては人体とシートとが密着することがなく、前記溝部が通気路として機能し、人体の熱がシート表面との間にこもるといったことが防止でき、湿気を拡散させることができる。よって床擦れ防止の上で重要視される通気性を改善することができる。また、畝状凸部がシートの長手方向か短手方向のいずれか一方向へ並列形成されていることにより、前記畝状凸部の並列方向に向かってシートを丸めれば、前記畝状凸部を湾曲等させることなく収納することができ、収納スペースも小さく抑えることができる。
【0020】また、表地と裏地との間に断面が円形又は楕円形の棒状物が詰物としてシートの長手方向又は短手方向へ複数並列内装され、各詰物間の表地と裏地との間が縫い止められて前記畝状凸部が形成されている場合は、前記畝状凸部の形成位置を常時所定位置とすることができるばかりでなく、前記棒状物の形状や径等を変化させれば上記した溝部の幅等を容易に変化させることができる。また、特に畝状凸部が一部変形した場合等には、その部位の棒状物のみを点検、交換等することも可能であり、前記棒状物を取り出して外装部のみとすればクリーニング等も容易である。さらに、棒状物の内装箇所を適宜変化させれば、圧迫部を適宜変更することとなるため、同一箇所の長期間の圧迫を避けることができ、床擦れ防止にはより一層の効果が期待できる。しかも、棒状物の内装箇所の変化、即ち棒状物の移動は、人体の体位を変換せずとも行うことが可能で、作業を行う介護者等の煩わしさを低減させることもできる。
【0021】前記棒状物が、球状体が連設された形状の球状体連設棒である場合は、球状体の連設部位に形成される窪みが、畝状凸部間の溝と直交する方向に連なる通気路となり得るため、より一層の通気性向上を図ることができる。また、個々の球状体側断面視がアーチ型であるので、単なる棒状体の場合よりも径方向への荷重に対する強度は大幅に向上させることができると共に、耐撓性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】390018625
【氏名又は名称】サンエス工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開平11−56927
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−232344