| 【発明の名称】 |
補助動力式車椅子 |
| 【発明者】 |
【氏名】内山 敦
【氏名】尾方 宏彰
【氏名】戸倉 賢治
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| 【要約】 |
【課題】使用者個別の仕様設定を不要にでき、部品点数が増加するのを防止してコストを低減することができ、また、片手漕ぎ操作での走行性能を向上することができる補助動力式車椅子を提供する。
【解決手段】人力と、該人力に基づいて求めた補助動力との合成力により走行するようにした補助動力式車椅子1において、左,右の車輪に加えられた人力FL,FRを検出するポテンショメータ72と、補助動力を発生するモータ31と、上記左,右の車輪に加えられた人力の合力(FL+FR)をFtmとするとき、上記左,右の車輪に加えられる補助動力TL,TRがTL=k1l ・FL+k2l ・FR+km・Ftm(式1) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の進行方向に向かって左右に配置された二つの車輪の何れか一方または両方に加えられた人力と、該人力に基づいて求めた補助動力との合成力により車両の前後進及び旋回動作を行うようにした補助動力式車椅子において、上記左,右の車輪に加えられた人力FL,FRを検出する人力検出手段と、補助動力を発生する補助動力源と、上記左,右の車輪に加えられた人力の合力(FL+FR)をFtmとするとき、上記左,右の車輪に加えられる補助動力TL,TRが TL=k1l ・FL+k2l ・FR+km・Ftm(式1) TR=k1r ・FR+k2r ・FL+km・Ftm(式2) (k1l,k1r :自輪成分比率、k2l , k2r :相手輪成分比率、km:重心成分比率)で設定された量となるように上記補助動力源を制御する補助動力制御手段とを備えたことを特徴とする補助動力式車椅子。 【請求項2】 請求項1において、上記左,右輪に加えられる人力FL,FRが予め設定した比率を有する場合に、上記補助動力制御手段は、それぞれの車輪に加えられる人力トルクτL,τRと、上記補助動力TL,TRとの合力が等しくなるように上記k1l,k1r (自輪成分比率)、k2l , k2r (相手輪成分比率)を定めて上記補助動力TL,TRを求め、該TL,TRを目標値として上記補助動力源を制御することを特徴とする補助動力式車椅子。 【請求項3】 請求項1において、上記左,右輪に加えられる人力FL,FRの少なくとも何れか一方が任意である場合に、上記補助動力制御手段は、それぞれの車輪に加えられる人力トルクτL,τRと、上記補助動力TL,TRとの合力が等しくなるように上記k1l,k1r (自輪成分比率)、k2l , k2r (相手輪成分比率)を定めて上記補助動力TL,TRを求め、該TL,TRを目標値として上記補助動力源を制御することを特徴とする補助動力式車椅子。 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかにおいて、上記補助動力制御手段は、重心成分km・Ftmを、人力供給停止後においても残存させ、かつ時間経過とともに減衰させることを特徴とする補助動力式車椅子。 【請求項5】 請求項1ないし4の何れかにおいて、上記左,右輪の少なくとも何れか一方に、人力トルクを上記人力検出手段により検出されることなく車輪に入力するハンドリムを設け、上記補助動力制御手段は、上記目標補助動力が発生するように上記補助駆動源に供給する電流値を制御することを特徴とする補助動力式車椅子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両の進行方向に向かって左右に配置された二つの車輪の何れか一方または両方に加えられた人力と、該人力に基づいて求めた補助動力との合成力により車両の前後進及び旋回動作を行うようにした補助動力式車椅子に関する。 【0002】 【従来の技術】手動車椅子と電動車椅子との中間的な存在として補助動力付き車椅子が提案されている。この補助動力付き車椅子は、左,右の車輪に間欠的に加えられる人力を検出し、該検出された人力に応じた補助動力を左,右の車輪に加えることによって歩行の不自由な使用者の肉体的な負担を軽減するものであり、使用者は手動車椅子の感覚で操作することができ、精神的苦痛も緩和される。 【0003】しかし、上記従来の補助動力付き車椅子は左,右の車輪に同等の人力が加えられることを前提にしているため、使用者が両手の操作力がアンバランスであったり、片方の手だけでしか操作が行えない場合には、上記従来の補助動力付き車椅子は操作性が低いという問題がある。 【0004】例えば、従来の補助動力付き車椅子を片方の手で操作する(以下、片手漕ぎ操作と記す)場合、車椅子が蛇行しないように足で路面を蹴って進行方向を規制する必要がある。このように従来の補助動力付き車椅子は、片手漕ぎ操作では直進時の使い勝手が悪いという問題がある。 【0005】また、片手漕ぎ操作では左, 右何れかに旋回する場合は、片方の足により旋回方向を制御することが必要である。具体的には、右に曲がる時は、足を操舵手段として車椅子の前方路面を蹴って車椅子を右方に回頭させることが必要である。このように、従来の補助動力付き車椅子は、片手漕ぎ操作では旋回時の使い勝手が悪いという問題がある。 【0006】これらの問題を解決するものとして本願出願人は、一方の車輪に人力が加えられると、該人力に基づいて設定された補助動力が一方の車輪に加えられるとともに、該一方の車輪に作用する人力と補助動力との和と同等の補助動力が他方の車輪に加えられるようにしたもの(特開平7−136218号公報参照)を提案している。 【0007】上記提案装置では、使用者が片方の手で一方の車輪に人力を加えると、該一方の車輪に作用する人力と補助動力との和と同等の補助動力が他方の車輪に供給されるため、片手漕ぎ操作の場合でも蛇行することなく容易に直進することができ、足による直進制御を不要にすることができる。 【0008】また、片手漕ぎ操作の場合の旋回時の使い勝手を向上するものとして、本願出願人は、使用者の旋回の意志を検出する旋回意志検出手段として機能するフートスイッチを右側のステップに設け、該スイッチにより補助力の供給先を指定して、旋回を容易にするもの(特開平7−136219号公報参照)を提案している。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のフートスイッチにより補助力の供給先を設定して、旋回方向を指定するようにしたものでは、上記フートスイッチの取り付け位置を、使用者の身体的特徴に応じて個別に設定する必要があり、また、このスイッチやスイッチ操作に係る制御装置等が必要となるため、それだけ製造コストがかさむという問題がある。 【0010】また、一方の車輪に作用する人力と補助動力との和と同等の補助動力を他方の車輪に供給するものでは、ハンドリムに人力か印加されている間は両輪から推進力が発生するが、次のストロークのためにハンドリムを持ち替える間は両輪とも推進力が消滅してしまうので、例えば右輪を漕いで坂道を直進登坂している時に、足により右旋回しようとすると左輪に供給される駆動力が登坂旋回に必要なトルクより小さくなって走行自体が不能になる場合が発生するという問題もある。 【0011】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、使用者個別の仕様設定を不要にでき、部品点数が増加するのを防止してコストを低減することができ、また、片手漕ぎ操作での走行性能を向上することができる補助動力式車椅子を提供することを課題としている。 【0012】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、車両の進行方向に向かって左右に配置された二つの車輪の何れか一方または両方に加えられた人力と、該人力に基づいて求めた補助動力との合成力により車両の前後進及び旋回動作を行うようにした補助動力式車椅子において、上記左,右の車輪に加えられた人力FL,FRを検出する人力検出手段と、補助動力を発生する補助動力源と、上記左,右の車輪に加えられた人力の合力(FL+FR)をFtmとするとき、上記左,右の車輪に加えられる補助動力TL,TRが TL=k1l ・FL+k2l ・FR+km・Ftm(式1) TR=k1r ・FR+k2r ・FL+km・Ftm(式2) (k1l,k1r :自輪成分比率、k2l , k2r :相手輪成分比率、km:重心成分比率)で設定された量となるように上記補助動力源を制御する補助動力制御手段とを備えたことを特徴としている。 【0013】ここで本発明において、上記各比率k1l ,k1r 、k2l ,k2r ,kmは、使用者の可能な操作状況等に応じて適宜設定される。例えば、使用者が左,右両方の車輪に同じ人力を供給できる場合には、k1l =k1r 、k2l =k2rの関係に設定され、また使用者の左,右の操作力がアンバランスであり、例えば左腕が右腕よりも強い場合には、請求項2の発明の如く設定され、さらに使用者が一方の手だけでしか操作できない場合には請求項3の発明の如く設定される。 【0014】請求項2の発明は、請求項1において、上記左,右輪に加えられる人力FL,FRが予め設定した比率を有する場合に、上記補助動力制御手段は、それぞれの車輪に加えられる人力トルクτL,τRと、上記補助動力TL,TRとの合力が等しくなるように上記k1l,k1r (自輪成分比率)、k2l , k2r (相手輪成分比率)を定めて上記補助動力TL,TRを求め、該TL,TRを目標値として上記補助動力源を制御することを特徴としている。 【0015】請求項3の発明は、請求項1において、上記左,右輪に加えられる人力FL,FRの少なくとも何れか一方が任意である場合に、上記補助動力制御手段は、それぞれの車輪に加えられる人力トルクτL,τRと、上記補助動力TL,TRとの合力が等しくなるように上記k1l,k1r (自輪成分比率)、k2l , k2r(相手輪成分比率)を定めて上記補助動力TL,TRを求め、該TL,TRを目標値として上記補助動力源を制御することを特徴としている。 【0016】ここで請求項2の発明は、使用者の左,右の操作可能力にアンバランスがある場合の例であり、例えば、左腕が右腕よりも強い場合にはk1l <k1r 、k2l ≦k2r の関係に設定される。また請求項3の発明は、使用者が左,右何れかのみ自由に操作できる場合の例であり、例えば、左腕のみが操作可能である場合には0≦k1l ≪k1r 、k2l ≦k2r の関係に設定される。 【0017】請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れかにおいて、上記補助動力制御手段は、重心成分km・Ftmを、人力供給停止後においても残存させ、かつ時間経過とともに減衰させることを特徴としている。 【0018】請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかにおいて、上記左,右輪の少なくともいずれか一方に、人力トルクを上記人力検出手段により検出されることなく車輪に入力するハンドリムを設け、上記補助動力制御手段は、上記目標補助動力が発生するように上記補助駆動源に供給する電流値を制御することを特徴としている。 【0019】 【発明の作用効果】請求項1の発明に係る補助動力式車椅子によれば、左,右車輪に加えられる補助動力TL,TRを TL=k1l ・FL+k2l ・FR+km・Ftm(式1) TR=k1r ・FR+k2r ・FL+km・Ftm(式2) により設定するようにしたので、上記各比率k1l , k1r 、k2l ,k2r を適宜設定することにより、人力FL,FRによるトルクτL,τRと、上記式1,式2におけるTL,TRとの合計を同じ大きさにすることが可能であり、その結果、使用者が左,右車輪に同じ操作力を加えることができる場合は勿論のこと、左,右の操作力にアンバランスがある場合、さらには片方の手でしか操作できない場合でも容易に直進走行することができ、使用者の負担を軽減できる効果がある。この場合に、重心成分km・Ftmを供給するようにしたので、つまりあたかも車両の重心に補助力を供給するようにしたので、この点からも車両の直進性を確保できる。 【0020】請求項2の発明によれば、使用者の左,右操作可能力にアンバランスがある場合には、該アンバランスに応じて人力FL,FRに基づく補助動力TL,TRと、人力トルクτL,τRとのそれぞれの合計が等しくなるように上記各比率を設定したので、直進性及び旋回性を確保できる。例えば、左碗による操作可能力5に対して右腕による操作可能力2の場合には、k1l (0.04)<k1r(0.25)、k2l(0.15) ≦k2r(0.15) と設定することにより、左,右の合計駆動力を等しくすることができ、直進性を確保できる。 【0021】また請求項3の発明によれば、使用者が左,右何れかのみ操作可能である場合には、該操作可能の側に応じて人力FL,FRに基づく補助動力TL,TRと、人力トルクτL,τRとのそれぞれの合計が等しくなるように上記各比率を設定したので、直進性及び旋回性を確保できる。例えば、左碗のみが操作可能の場合には、0≦k1l(0)≪k1r(0.25) 、k2l(0.25) ≦k2r(0.25) と設定することにより、左,右の合計駆動力を等しくすることができ、直進性を確保できる。 【0022】請求項4の発明に係る補助動力式車椅子によれば、重心成分km・Ftmを、人力供給停止後においても残存させるとともに時間経過とともに減衰させるようにしたので、人力供給停止後には、仮想の運動量が重心に保持されたとみなすことができ、旋回中に使用者がハンドリムから手を離した時の車椅子の向いた方向に直進惰行することとなり、手動車椅子と同様の操作感を実現できる効果があり、また登坂中においては人力の入力停止後に急激に減速して止まってしまう等の問題を回避でき、登坂性能を向上できる効果がある。 【0023】請求項5の発明に係る補助動力式車椅子によれば、人力トルクを人力検出手段により検出されることなく車輪に入力するハンドリムを設けたので、このハンドリムに人力を前進方向にあるいは後進方向に加えた場合には、上記補助動力の演算に影響を与えることがなく、また駆動モータを電流制御することにより上記目標補助動力を発生するようにしたので、旋回により左,右車輪の回転速度が変化した場合でも上記補助トルクが変化することはない。従って、例えば左の上記ハンドリムに前進方向の人力を加えた場合には進行方向を右側に修正でき、後進方向の人力を加えた場合には進行方向を左側に修正でき、従来の片足接地による操舵操作に比較して操作性を大きく向上できる効果がある。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図19は本発明の一実施形態による補助動力式車椅子を説明するための図であり、図1,図2,図3は上記車椅子の側面図,平面図,背面図、図4は上記車椅子の車輪のハブ部分のカバーを取り外した状態を示す正面図、図5は図4のV−V線断面図、図6〜図9は回転トランスを示す図、図10は車輪に取り付けられたハンドリムを示す図5と同方向の断面図、図11は上記車椅子の制御システムの全体構成図、図12,13はモータの回転数とトルクとの関係を示す特性図、図14〜図16は上記車椅子の補助動力の制御動作を説明するためのフローチャート図、図17は上記車椅子の補助動力の制御動作を示すシステムの構成図、図18は進行方向と検出トルクとの関係を示す特性図、図19は入力信号と目標トルクとの関係を示す特性図である。 【0025】本実施形態に係る補助動力付車椅子1は、既存の折り畳み式手動車椅子に補助動力装置(Power Assist System) を組み付けたものである。この車椅子1は車体の左右に駆動輪としての車輪2を着脱自在に取り付けて構成され、これのパイプ枠状のフレーム3の前後部は左右一対のキャスタ4と車輪2によって移動自在に支持されている。 【0026】上記フレーム3の中央部には、乗員が着座すべき布製のシート5(図2及び図3参照)が張設されている。尚、フレーム3は図3に示すように前後一対のクロス部材3aを有しており、X字状を成す2本のクロス部材3aはその交点を軸6によって枢着されている。 【0027】上記フレーム3の後部には左右一対のハンドルアーム3bが立設されており、各ハンドルアーム3bの上端部は後方に折曲され、その折曲部には介助者用のグリップ7が取り付けられている。 【0028】上記フレーム3の上記ハンドルアーム3bの中間高さ位置から車体前方に水平に延びる左右一対のアーム3cはその前端部が略直角に折り曲げられて垂直下方に延び、その下端部に上記キャスタ4が回転自在に支持されている。右側(シート5に着座した乗員にとって右側)のアーム3cの直角に折り曲げられた部分(垂直部分の上部)にメインスイッチ8が取り付けられている。そして、上記アーム3cの下方に配された左右一対のアーム3dの前側部分は車体前方に向かって斜め下方に延出されており、その延出端(前端部)には左右一対のステップ9が取り付けられている。 【0029】上記車輪2は、使用者の手によって回転力(人力トルク)が加えられるハンドリム組立体70と、該ハンドリム組立体70から入力された人力トルクに応じたモータ駆動力(補助動力)を出力する駆動部20とを備えている。 【0030】そして上記フレーム3の車輪中心部にはボス11が螺挿され、ナット22aにより締め付け固定されている。該ボス11の軸芯部には車軸22が着脱可能に嵌合挿入されている。該車軸22は中空状のもので、その軸芯部には車輪着脱用のシャフト23が軸方向へ移動可能に挿入されている。該シャフト23の両端部には他の部分よりも大径な頭部23a,23bがそれぞれ固着されている。右側の頭部23aの内側端にはコイルバネ24が配置され、該シャフト23を車軸22に対して右側へ付勢している。また、車軸22には、複数のボール25,・・・がボス11の外端部により外周側に抜け出ないようかつ半径方向に移動可能に収容されている。各ボール25は、シャフト23の頭部23aの大径部23cによって押し拡げられることにより車軸22の外周から僅かに突出し、これにより、車軸22は、ボス11から抜けないようになっている。また、シャフト23を車軸22に対して図5の左側へ相対的に移動させることにより、頭部23aの小径部23dがボール25の位置に移動し、ボール25が内側へ移動できる状態となる。これにより、車軸22をボス11から図5の左側へ抜き出すことができ、車輪2全体をフレーム3から取り外すことができる。 【0031】上記車軸22は、略有底円筒状をなす固定プレート30の中心部を貫通してこれを支持しており、該固定プレート30には、図示しない回り止め部材が取り付けられている。回り止め部材は、フレーム3と係合することにより、固定プレート30がフレーム3に対して回転するのを阻止している。 【0032】また、上記車軸22により、略有底円筒状をなす回転側部材としてのハブ50が軸受51を介して回転自在に支持されている。このハブ50の内面には内歯ギヤ52が固定されており、該内歯ギヤ52には中間軸36に一体形成された中間ギヤ36aが噛合しており、該中間軸36は固定側部材としての固定プレート30の底面に回転自在に支持されている。該中間軸36は、これに固着された中間プーリ33,及びベルトを介して上記固定プレート30に取り付けられた駆動用モータ(補助動力源)31により回転駆動され、その結果上記ハブ50が回転する。 【0033】上記ハブ50には、上記ハンドリム組立体70が所定角度だけ相対回転可能に支持されている。このハンドリム組立体70は、使用者がハンドリム13に加える接線方向力(人力:単位kg)をハブ50に伝達するとともに、加えられる人力を検出する機能を有している。以下、使用者が加える人力を検出する構成について説明する。 【0034】図4及び図5において符号71は、ハンドリム組立体70の中心部を構成するディスクであり、該ディスク71は、内輪部71aと外輪部71bとを3本のスポーク部71cで一体的に連結した構造を有し、3本のスポークパイプ15により上記ハンドリム13に結合されている。また上記ディスク71はブッシュ55を介して上記ハブ50のボス部50aにより相対回転可能に支持されている。なお、120は上記ディスク71にスポークパイプ15を取り付けるためのボルトを示している。 【0035】上記ディスク71のスポーク部71c,71c間には、ポテンショメータ72が配置され、上記ハブ50の底部50bの外面に半径方向の位置を調整可能に取り付けられている。該ポテンショメータ72の入力軸72aは上記底部50bの内面に突出し、該突出部に長孔73aを有するレバー73が取り付けられている。該レバー73の長孔73aには、ディスク71に固定されたピン53が挿入されている。この構成のもとに、ハブ50とハンドリム組立体70との相対角度が基準位置から変化すると、ポテンショメータ72の入力軸72aが回転し、そのインピーダンスが回転角度に応じて変化する。 【0036】上記スポーク部71cに形成された矩形孔71d内にはバネガイド54が配置され、上記ハブ50の底部50bにボルト締め固定されており、該バネガイド54内にはコイルバネ56が収容配置されている。該コイルバネ56の両端部はスライダ57を介してスポーク部71cの矩形孔71dの内縁に当接している。この構成のもとに、ハンドリム組立体70を車輪2に対して相対回転させると、この相対回転角度が後述する人力検出装置によって検出される。 【0037】また符号58はハブ50とディスク71との間のガタ止めとして機能する樹脂製のダンパ部材である。このダンパ部材58は上記バネガイド54に形成された凸部54aの内側に装着されて上記ディスク71の外輪部71bに対向しており、ボルト58aを締め込むことにより上記外輪部71bに摺接し、ハブ50とディスク71間のガタを防止する。なお、符号71eは上記ポテンショメータ72等を覆うカバーであり、図4はこのカバー71eを取り外した状態を示している。 【0038】また符号100は、上記人力に応じてモータ31による補助動力を制御する後述のコントローラであり、これは上記固定プレート30の底部30bの内面に配設されており、このコントローラ100のCPU126が本発明の補助動力制御手段として機能する。 【0039】次に、人力検出装置の構成を説明する。符号80は差動回転トランスであり、これは固定プレート30の中心のボス部30aに取り付けられたアウタートランス81と、可動プレート50の中心のボス部50aに取り付けられたインナートランス82とから構成されている。 【0040】上記アウタートランス81は、非磁性体かつ絶縁体の樹脂からなる円筒状のボビン83の外周面に2条の巻溝83a,83bを凹設し、各巻溝83a,83bに1次コイル84a,84bを巻回して構成されている。 【0041】また、上記インナートランス82は、磁性体(例えば軟鉄等の金属)からなる円筒状のコア85の外周面に2条の保持溝85a,85bを凹設し、該保持溝85a,85b内に、樹脂製で外周面に凹設された巻溝86a,87aに2次コイル89a,89bが巻回されたボビン86,87を装着して構成されている。 【0042】なお、86b,87bはボビン86,87に形成されたスリット、90はターミナルであり、各2次コイル89a,89bの端部89a′,89b′は上記スリット86b,87bを通って外部に引き出され、上記ターミナル90に巻き付けられる。 【0043】ここで上記アウタートランス81は、外部磁界を遮断する機能を有する磁性体製のコアを備えていないので、外部金属の影響による磁気的アンバランスを抑制できるように配置することが望ましい。本実施形態では、1次コイル84aからハブ50の底部50bまでの磁気的距離(磁気的影響を考慮した場合の距離)と、1次コイル84bから固定プレート30の底部30bまでの磁気的距離をできる限り均等にするために、該アウタートランス81の幅方向中心線Dを車輪の幅方向中心線Bに対し固定プレート30側に寸法Cだけ偏位させている。 【0044】即ち、一般的にはアウタートランス81の幅方向中心Dを車輪幅方向中心Bと一致させるのであるが、このようにすると1次コイル84aからハブ50の底部50bまでの距離と、1次コイル84bから固定プレート30の底部30bまでの距離との差が拡大してしまう。 【0045】上記左,右のポテンショメータ72,72により検出された左,右輪2,2への人力は左,右の回転トランス80,80を介して上記コントローラ100に入力され、該コントローラ100は所定の処理手順に従って上記人力に応じた補助動力が得られるよう上記モータ31への供給電流を制御する。 【0046】そして本実施形態では、図5,図10に示すように、人力を上記左,右のポテンショメータ72,72で検出されることなく車輪2に直接伝達するための直接駆動用のハンドリム121が、ボルト122,ブラケット123を介して車輪2に取り付けられている。即ち、ハンドリム13から入力された人力は上記ポテンショメータ72により検出され、補助動力を求める場合の人力とされるが、ハンドリム121から入力された人力は補助動力を求める場合の演算に関与しない。 【0047】また、上記補助動力式車椅子1の右側の車輪2側には、バッテリ124が脱着可能に取り付けられており、車体(フレーム)3側には、上記バッテリ124から電源が供給されるワイヤーハーネス59が設置されている。 【0048】前述のように左右の車輪2は同一構造を有しているため、これらを車体に取り付けると、これらは車体前後方向中心廻りに点対称となる位置関係を保って配置されることとなる。同一構造の左右の車輪2をこのように配置することによって、図3に示すように、左右の車輪2の各内側方に突出する駆動モータ31が上下方向に互いに段差をもって配されることとなり、当該車椅子1を折り畳んだ際に両駆動モータ31が互いに干渉することがなく、この結果、車椅子1をコンパクトに、且つ、容易に折り畳むことができる。 【0049】上記左右の車輪2を上記要領で車体に取り付けた後は、図3に示すように、各車輪2の固定プレート30に取り付けられたカプラー37に、車体側に設置された上記ワイヤーハーネス59のカプラー59aを接続すれば、右側の車輪2に配置された上記バッテリ124から左側の車輪2に設けられた駆動モータ31やコントローラ100等への給電がワイヤーハーネス59を介してなされる。 【0050】上記左,右車輪2,2のハンドリム13,13に人力FL,FRが加えられると該各人力は左,右のポテンショメータ72,72によって検出され、その検出信号は上記コントローラ100, 100に入力される。 【0051】次に、上記コントローラ100の構成を図11に基づいて説明する。図11は左,右のコントローラ100の構成を示すブロック図であり、該各コントローラ100は、ハンドリム13に加えられポテンショメータ72によって検出された人力を回転トランス80を介して入力するセンサドライブI/F125と、該入力された人力に基づいて補助動力の目標値(目標トルク)を演算するCPU126と、該CPU126と駆動モータ31とを接続するモータ出力I/F127と、モータ31の出力が上記演算された目標トルクとなるように該モータ31に供給される電流値をフィードバック制御するモータドライバ128と、上記左, 右のCPU126,126同士を接続する通信I/F129とを備えている。 【0052】また、本実施形態の左, 右の通信I/F129,129同士はシリアルケーブル130で接続されており、上述のように入力された左右の人力の大きさはこの通信I/F129,129を介して左右のコントローラ100,100に互いに伝達されるようになっている。 【0053】上記左, 右のCPU126, 126は、ポテンショメータ72から出力された入力信号に対し所要のアシスト比に基づいて目標トルクを演算し、それに見合う制御信号をモータ出力I/F127を介してモータドライバ128に出力するものである。 【0054】ここで上記コントローラ100には、自輪への人力に基づいて該自輪への補助力を演算するための左,右の自輪成分比率K1l,k1r と、自輪への人力に基づいて相手輪への補助力を演算するための相手輪成分比率k2l,k2r と、自輪,相手輪への人力に基づいて両輪に同等に作用する補助力(重心成分)を設定する重心惰行成分比率kmとが記憶されている。 【0055】また、上記駆動モータ31の出力制御の方式として、一般に、供給する電圧を制御する方式と電流を制御する方式とがある。電圧制御の場合、該駆動モータのトルクτは、図12に示すように回転数nの増加減少に伴って減少増加し、また電流制御の場合には、該モータのトルクτは、図13に示すように回転数nの変化に関わらず一定値を示す特性がある。 【0056】上記左,右の駆動モータ31,31を、これに供給する電圧により目標トルクが発生するように制御した場合には、例えば平地走行中に左, 右何れかに旋回すると、モータ動力が旋回動作を妨げるように働くので、結果として外力による旋回が行えないという懸念がある。 【0057】そこで本実施形態の補助動力式車椅子1では、駆動モータ31を供給する電流値を制御するいわゆる電流制御により目標トルクが発生するよう制御している。そのため、旋回により一方の車輪の回転速度が高くなった場合でも、モータトルクτを引き続いて一定トルクに保持でき、上述の旋回不能の問題を回避できる。 【0058】次に、上記実施形態装置の補助動力制御について説明する。図14に示すように、上記コントローラ100,100による制御では、前処理として、このコントローラ100の各種メモリ及びタイマのリセット等が行われ(ステップS1)、次に、割り込み待機&通信処理として、上記左,右の車輪2,2に供給される補助トルクの演算や上記コントローラ100,100間の通信等が行われる(ステップS2)。そして、この割り込み待機&通信処理(ステップS2)が繰り返される。 【0059】上記ステップS2における割り込み待機処理では、図15に示すように、アナログ信号である上記入力された人力をデジタル変換するAD,ポート入力処理(ステップS3)と、上記車輪2,2に供給される補助力トルクを演算する補助トルク演算処理(ステップS4)と、上記演算されたトルクを上記モータドライバ128に出力するトルク出力処理(ステップS5)と、上記各処理等において検出された異常に対するエラー処理等が行われる各種異常処理(ステップS6)とが順次行われて繰り返されるようになっている。 【0060】次に、上記ステップS4,S5における補助トルク演算処理を、図16を参照しつつ説明する。図16は上記補助トルク演算処理の動作を示すフローチャート図である。 【0061】まず、例えば上記左の車輪2にハンドリム13を介して入力された人力F1nが所定の下限値Flow,上限値Fhighの範囲にあるか否かが判断され(ステップS7)、上記人力F1nが所定の範囲外の時には入力値の異常としてエラー処理が行われる(ステップS8)。なお、上記nはこの制御の処理回数を示しており、また上記F1は図17における左の人力FLに相当し、後述のF2は右の人力FRに相当する。 【0062】次に、上記人力F1nの前進か後進かの印加方向を判断するものとして極性処理が行われる(ステップS9)。具体的には、上記F1nから図18に示すFnullの値を差し引いた値が新たにF1nにセットされ、この値が、例えば、0よりも大のときは前進方向、0よりも小のときは後進方向として判断される。なお、上記図18は、上記車椅子1の走行時における上記ポテンショメータ72からの入力信号の特性を示す図であり、上記Fnull,即ちVnullは停止時の上記入力信号を示している。 【0063】また、上記通信処理(ステップS2)において、左,右のCPU126,126間で送受信されたデータのレジスタ処理(ステップS10)が行われる。具体的には、送信データを格納する送信レジスタTxに上記F1nがセットされ、受信データを格納する受信レジスタRxに右の車輪2に入力された人力F2nがセットされる。 【0064】また、上記車椅子1の重心に作用する補助トルク成分(重心成分)FMnが、km・Ftmとして算出される(ステップS11)。この場合、具体的には(F1n +F2n)がFtmとされている。 【0065】次に、上記重心成分FMnが電気的な不感帯域に存在するかどうかが検出される。なお上記電気的な不感帯域とは、入力信号Vinと目標トルクτとの関係(モータ出力I/F127,モータドライバ128の特性)を示す図19に示すように、アシスト比(補助比)をパラメータとして、目標トルクτが0となる入力信号Vinの値の範囲のことであり、図19ではVi1〜Vi2が電気的な不感帯域として設定される。 【0066】上記重心成分FMnの絶対値で示される大きさが所定のしきい値hより小でなく上記不感帯領域にないと判断された時は(ステップS12)、入力値の積分処理が行われる(ステップS13)。これは、上記演算されたFMnと所定の定数aとの積が、また、前回の値と所定の定数bとの積がそれぞれ演算され、これらの和を算出することで行われ、この和が上記入力信号FMnを積分した演算値Ynとして設定される。 【0067】また、上記ステップS12で上記FMnの大きさが所定のしきい値hより小さく上記不感帯領域内にあると判断された時は、前回の値Yn−1を予め設定された1より小さい所定の定数cで減衰させた値が、新たな演算値Ynとして設定される(ステップS14)。 【0068】次に、上記Ynの絶対値が、予め設定された所定の制限値Ymaxを上回るか否かが判断され(ステップS15)、上回る場合は上記YnがYmaxに設定される(ステップS16)。 【0069】そして、上記ステップS15で上記Ynが制限値Ymax以下であると判断されると、上記設定されたYnと所定の定数dとの積と、上記F1nと所定の定数eとの積と、上記F2nと所定の定数fとの積との和が、トルク指令値Assistτ(TL,TR)として算出される(ステップS17)。なお、上記定数d,e,fはアシスト比を設定する所定の係数を示しており、dは上記重心成分比率Kmに相当し、eは自輪成分比率K1l,k1r に相当し、fは相手輪成分比率k2l,k2r に相当する。 【0070】上記演算された上記トルク指令値Assistτと上記ステップS9における前進又は後進の判定とにより、駆動モータ31の回転方向,トルクが設定され、上記CPU126により該モータ31が電流制御される。 【0071】上述の補助トルク演算処理を図17を参照しつつ上記車椅子の構成に基づいてより具体的に説明する。本実施形態では、上記左,右の車輪に加えられる補助トルクTL,TRが、 TL=k1l ・FL+k2l ・FR+km・Ftm(式1) TR=k1r ・FR+k2r ・FL+km・Ftm(式2) (k1l,k1r :自輪成分比率、k2l , k2r :相手輪成分比率、km:重心成分比率)で設定された量となるように上記駆動モータ31への電流値がフィートバック制御される。 【0072】まず、上記ポテンショメータ72で構成される人力検出手段からの入力信号、即ち、人力FL又はFRと自輪成分比率k1l 又はk1rとの積が演算されて、自輪への補助トルク成分k1l ・FL又はk1r ・FRが算出される。また、上記検出された人力FR,FLと相手輪成分比率k2l , k2rとの積が演算されて、相手輪への補助トルク成分k2l ・FR,k2r・FLが算出される。 【0073】また、上記人力FLと人力FRとの和Ftmが演算され、この演算値Ftmと重心成分比率kmとの積が演算されて、両輪に同等に作用し、車椅子1を直進させる重心トルク成分km・Ftmが算出される。なお、この重心トルク成分km・Ftmは、上記CPU126の有するトルク残存手段としての機能により、人力供給が停止された後にも出力され、その大きさは時間とともに減少するようになっている。 【0074】次に、左の車輪への自輪補助トルク成分k1l ・FLと 相手輪補助トルク成分k2l ・FRとの和が演算され、さらにこの演算値と上記重心トルク成分km・Ftmとの和が演算されて、左輪の補助トルク指令値(目標トルク)TL※が設定される。 【0075】そして、上記左のモータ31からの左の車輪への実際の補助トルクが上記トルク指令値TL※となるよう、上記左のモータ31に供給される電流値がモータドライバ128によってフィードバック制御される。そして上記モータ31から出力された補助トルクTLと、左車輪への人力FLとハンドリムの半径rにより決まる人力トルクτLとの和が左車輪の実際の推進トルクとなる。 【0076】同様に、上記自輪補助トルク成分k1r ・FRと相手輪補助トルク成分k2r・FLとの和が演算され、さらにこの演算値と上記重心惰行トルク成分km・Ftmとの和が演算されて、右輪の補助トルク指令値(目標トルク)TR※が設定される。 【0077】そして、上記右のモータ31からの右の車輪への実際の補助トルクが上記トルク指令値TR※となるよう、上記右のモータ31に供給される電流値がモータドライバ128によってフィードバック制御される。そして上記補助トルクTRと右輪への人力トルクτRとの和が右車輪の実際の推進トルクとなる。 【0078】本実施形態装置は、上記各比率k1l , k1r 、k2l ,k2r を適宜設定することにより、(a)使用者が両輪を同じ操作力で操作できる場合、(b)両手の操作力にアンバランスがあり、両輪に同じ操作力を加えることができない場合、(c)さらに片方の手だけでしか操作が行えない場合、の何れの場合にも適用できる。なお、以下の例では、ハンドリムの半径r=0.25m としている。 【0079】 【表1】
【0080】まず、上記(a)の場合を表1(a)に示す。この場合には、上記各比率は、例えばk1l =k1r =0.25、k2l =k2r =0 の関係に設定される。このように設定した場合に、左,右の人力FL=FR=5.0Kg が入力されると、上記式(1),(2)による左,右の目標トルクTL,TRは何れも2.5 kg・m で、左,右の人力トルクτL,τRは何れも1.25kg・m であるから、総合トルクは左,右とも3.75kg・m となり、容易に直進することができる。 【0081】一方、上記(b)の場合を表1(b)に示す。例えば左手の方が右手より強くその操作力比率が5:2である場合には、上記各比率は表2にその1例を示すように、k1l =0.04、k1r =0.25、k2l =k2r =0.15の関係に設定される。このように設定した場合に、左,右の人力FL,FRがそれぞれ5.0 ,2.0kgである場合には、左,右の目標トルクTL,TRはそれぞれ1.375, 2.125 kg ・mで、左,右の人力トルクτL,τRはそれぞれ1.25, 0.5 kg・m であるから、総合トルクは左,右とも2.625 kg・m となり、容易に直進することができる。 【0082】また、上記(c)の場合を表1(c)に示す。例えば左手だけでしか操作が行えない場合には、上記各比率は表2にその1例を示すよう、k1l =0.0 、k1r =0.25、k2l =k2r =0.25の関係に設定される。このように設定した場合に、左の人力FL=5.0 kg が入力されると、左,右の目標トルクTL,TRはそれぞれ0.625, 1.875 kg ・m で、左,右の人力トルクτL,τRはそれぞれ1.25, 0.0 kg・m であるから、総合トルクは左,右とも1.875 kg・m となり、この場合にも容易に直進することができる。 【0083】このように本実施形態では、上記各比率k1l , k1r 、k2l ,k2r を適宜設定することにより、使用者が左,右車輪に同じ操作力を加えることができる場合は勿論のこと、左,右の操作力にアンバランスがある場合、さらには片方の手でしか操作できない場合でも容易に直進走行することができ、使用者の負担を軽減できる。 【0084】なお、上述の作用からみて明らかなように、上記(c)の場合には、上記式1,式2は、その右辺第1項を削除して式1′,式2′としても良い。 TL=k2l ・FR+km・Ftm(式1′) TR=k2r ・FL+km・Ftm(式2′) (k2l , k2r :相手輪成分比率、km:重心成分比率) 【0085】 【表2】
【0086】表2(a)は、上記左,右操作可能力に差がある(アンバランス)の場合に、この差に相当する入力があった場合を示す(表1(b)と同一)。表2(b)は上記差に相当するのと異なる入力があった場合、即ち、左,右操作力の比率が5:2である場合に、左,右人力FL,FRが5.0 、3.0kg の場合を示す。この場合、補助トルクTL,TRはそれぞれ1.65 ,2.5kg ・m 、人力トルクτL,τRはそれぞれ1.25, 0.75kg・m であるから、総合トルクは左,右それぞれ2.9, 3.25kg ・m となり、左側に旋回する。このように使用者が左に旋回しようとして右の操作力を意識的に大きくした場合には容易に左旋回が可能である。 【0087】また本実施形態では、上記各比率を適宜設定することにより、車椅子の走行特性を、旋回性の強い特性,あるいは直進性の強い特性等、自由に設定可能である。図20(a)〜(c)は、例えば左輪入力を5.0kg に固定して右輪入力を変化させた場合の、左,右輪の総合トルクを示す。 【0088】図20(a)は、各比率を上記表1(b)に設定した場合に、右輪入力を左,右操作力比率に応じて2.0 kgとした場合には、左,右輪とも総合トルクは2.625kg・m であるのに対し、右輪入力を2.0 kgより大きくするにつれて右輪の統合トルクが大きくなり、左方に旋回することを示す。 【0089】図20(b)は、旋回性が強まるように、つまり人力の変化に対して左,右輪のトルク差が比較的急に大きくなるようにした場合を示す。具体的には、上記式(1),(2)において、k1l ・FLに対するk2l ・FRの比率、k1r ・FRに対するk2r ・FLの比率が小さくなるように上記各比率k1l ,k1r,k2l ,k2r を設定した場合を示す。 【0090】図20(c)は、直進性が強まるように、つまり人力の変化に対して左,右輪のトルク差が比較的緩慢に大きくなるようにした場合を示す。具体的には、上記式(1),(2)において、k1l ・FLに対するk2l ・FRの比率、k1r・FRに対するk2r ・FLの比率が大きくなるように上記各比率k1l ,k1r ,k2l ,k2r を設定した場合を示す。 【0091】ここで本実施形態車椅子のように、何れかの一方の車輪に加えられた人力に基づいて他方の車輪への補助動力を求めるようにしたものでは、進行方向を修正する場合には、片足接地により操舵操作を行う必要が生じ、操舵操作性の改善が求められる。 【0092】そこで本実施形態では、人力を人力検出機構により検出されることなく車輪に直接入力できるようにハンドリム121を車輪に取り付けている。このハンドリム121に人力を前進方向にあるいは後進方向加えた場合には、上記補助動力の演算に影響を与えることがない。また駆動モータ31を電流制御することにより上記目標補助トルクTL,TRを発生するようにしているので、旋回により左,右車輪の回転速度が変化した場合でも上記補助トルクが変化することはない。 【0093】従って本実施形態では、例えば左車輪のハンドリム121に前進方向の人力を加えた場合には進行方向を右側に修正でき、該左のハンドリム121に後進方向の人力を加えた場合には進行方向を左側に修正でき、上記片足接地による操舵操作に比較して操作性を大きく向上できる。 【0094】また本実施形態では、人力の入力が停止した後は、左,右同じ大きさの重心成分km・Ftmを引き続いて供給し、その大きさを時間とともに減少するようにしたので、人力供給停止後には、仮想の運動量が重心に保持されたとみなすことができ、旋回中に使用者がハンドリム13から手を離した時にはその時の車椅子の向いた方向に直進惰行することとなり、手動車椅子と同様の操作感を実現できる。また登坂中においては人力の入力停止後に急激に減速して止まってしまう等の問題を回避でき、使用者の負担をより軽減することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】下市 努
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| 【公開番号】 |
特開平11−56916 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−217471 |
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