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【発明の名称】 車椅子用登坂能力測定器
【発明者】 【氏名】橋本 正弘

【要約】 【課題】車椅子使用者やその介助者が、家屋改造を行なう際に、屋内と屋外を出入りする為の、段差解消の一方法であるスロープの最適な傾斜角度を見つけ出すことが出来る測定器具を提供する。

【解決手段】車椅子用昇降機の天板(3)に蝶番(2)で別の鉄板(1)を接続し、天板(3)をジャッキアップしてあらゆる角度のスロープを作り出し、対象者に実際に登ってもらって、その疲労度等から最適な角度を割り出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】2枚の鉄板を蝶番(2)でつなぎ合わせ、一方を床と水平にジャッキアップすることで、もう一方の鉄板により、あらゆる角度のスロープ(1)をつくる。車椅子使用者やそれを押す介助者に、実際にこのスロープを登ってもらうことにより、その登坂能力を判断する為の測定器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車椅子使用者又はその介助者が、屋外から屋内に入る際の段差を解消する手段のひとつであるスロープの、最適な角度を決定する為のものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、車椅子使用者と介助者が登りうるスロープの理想的角度は、車椅子使用者本人が駆動する場合、12〜15分の1以下、介助者が車椅子を押す場合、6〜8分の1以下に押さえるべきである、と言う説が一般的であり、高齢者や障害者の住宅改造を手がけている業者や行政機関も、これを念頭においてスロープの長さを割り出してきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これは次のような欠点が合った。
(イ)この計算でいくと、自操の場合50cmの段差を登る為には、6m以上の距離が屋外に必要と言うことになる。しかるに、現在の日本の住宅事情では、屋外にこの様な広いスペースをとることは、容易なことではない。仮に、これが6mでなく、5m(つまり10分の1の傾斜)では本当に登れないか、と言った質問に対しては、非常に答えが曖昧であった。
(ロ)逆に、理想的と言われている12分の1の傾斜のスロープを設置したにも拘らず、車椅子使用者の体重が重い、介助者の体力が弱い等の理由により、結局使えずに、取り壊されたり放置されたりする例もあった。
(ハ)車椅子の登坂能力と言うものは、車椅子の使用者本人が駆動を行なう場合でも、体重、リーチ、駆動方法、筋力、体力等の人的な要素と、車椅子の重さ、長さ、基本的性能、使用年数等の物的な要素が加わって、非常に客観的な判断が出来にくい。これを介助者等の第三者が後方から押す場合には、更にその人の要素まで加わり、的確な判断は全く不可能となる。
以上の点から考えると、車椅子の登坂能力を客観的に割り出す方法は、個々のケースについて、その都度、何十種類もの角度のスロープを用意し、実際に登ってもらって、疲労度等をチェックしながら判断するしかないと考える。しかし、この方法に於ても、唯一大変な点は、何十種類もの角度のスロープを、その場で即座に提供出来るか、と言う問題である。本発明は、これらの欠点を除く為に成されたものである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】図1の様に、2枚の鉄板を蝶番(2)でつなぎ合わせ、そのうちの1枚を、ジャッキ(6)の天板部分(3)にして、足踏み式の油圧ポンプ(5)でいろいろな高さに持ち上げ、もう一枚の鉄板でスロープ(1)を形作る。スロープの角度が一目で分かるよう、側方に角度計(7)を取り付ける。天板(3)の大きさは、奥行き140cm、横幅110cm程度で良いと考える。スロープ部分については、横幅は天板同様110cm(若しくは20〜30cm狭めても良いかも知れない)程で良いと思われるが、長さは計算がしやすい様、100cm、200cm等の切りの良い数字にするべきであると考える。車椅子の脱輪防止の為、スロープと天板の周囲に縁をとる。
【0005】
【発明の実施の形態】天板(3)を一度一番下まで下ろした後、再度ペダル(4)を踏んで足踏み式油圧ポンプ(5)を伸ばし、ジャッキ(6)の天板(3)を持ち上げる。こちらが試してみたい高さで止め、車椅子使用者単独、若しくは車椅子使用者と介助者に実際にこのスロープを登ってもらい、その疲労度等から最適な角度を割り出す。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
(イ)本発明は、本来在宅(若しくは入院中等)にある高齢者や障害者が、車椅子を使用せざるを得ない状態になった場合の、家屋改造の指針となるべきものである。具体的には、家屋改造の中でも特に、屋外から屋内に入る際の段差を解消する為のスロープの最適角度を決めるものである。
(ロ)本発明の構造は、図1の如く、足踏み式油圧ポンプ(5)の伸縮により上下する車椅子用昇降機の天板(3)部分に、蝶番(2)でもう一枚鉄板(1)を接続し、天板(3)の高さにより、あらゆる角度のスロープを作り出す仕組みになっている。角度がすぐに読み取れる様、側方に角度計(7)を取り付けている。
(ハ)使用方法は、まず足踏み式油圧ポンプ(5)のペダル(4)を踏んだままの状態にし、昇降機の天板(3)を一番下まで下げる。次に、こちらが試してみたいと思われる角度になるまで、ペダルを繰り返し踏んで、天板(3)をジャッキアップする。側方の角度計(7)でスロープ(1)の角度を確認する。希望の角度になったら、ペダル(4)操作を止めて、対象者(車椅子使用者又は介助者)に実際にスロープ(1)を登ってもらう。この時の、対象者の疲労の度合いや余裕の程度により、スロープ(1)の傾斜を調整しなおして、再び試してもらう。この作業を何回か繰り返して、対象者に最適なスロープ(1)の角度を割り出す。
(ニ)この最適なスロープの角度を参考にし、対象者の家の敷地図に於て、どの方向に何m程度のスロープをとれば良いかのアドバイスを行なう。
(ホ)天板(3)のジャッキアップの方法については、足踏み式油圧ポンプ(5)の他にも、歯車の噛み合わせによるもの、チェーンの巻き上げによるもの、電動等、いろいろなやり方が考えられる。
【0007】
【発明の効果】本発明の使用により、いままで極めて主観的且つ曖昧であった、車椅子使用者や介助者のスロープの登坂能力を、より正確に判断することが出来る。これにより、その人達の家にスロープを取り付ける際、その長さや形状の決定に無駄や間違いが無くなると考えられる。本発明は、各家庭に一台設置する様な種類のものでは無いが、少なくとも、高齢者や障害者の住宅改造の助成制度をもつ行政機関や、実際の改造を手がける工務店、設計事務所等に設置することで、かなりの無駄が省けるものと思われる。
【出願人】 【識別番号】597133145
【氏名又は名称】橋本 正弘
【出願日】 平成9年(1997)8月18日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−56911
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−259232