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【発明の名称】 介助機
【発明者】 【氏名】澤田 勝治

【要約】 【課題】自ら起床し離床することが困難な人を介助する介助者の労力軽減を計ることを目的とした介助機の提供。

【解決手段】ベッド上に横臥する要介助者を、ベッドの上に密着させた薄板の上に転位させ、座位の形に導く手押台車形の特殊ストレッチヤ11で、バッテリ13を電源とし、電動式の昇降・傾転・背部の起伏・脚部の俯仰・薄板上のシートのシフトなどの機能を有し、車いすとしても使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床面を走行する台車(11)で、この台車(11)の支柱に沿って昇降することができる昇降体(21)と、一方をこの昇降体(21)に固定された水平な傾転軸(32)を支軸とし、他方をこの昇降体(21)に支点を有するシリンダ等の傾転用駆動装置(33)によって支持し、傾転軸(32)を中心に回転する傾転可能な矩体(以下傾転体(31)と称する)と、傾転体(31)に固着され、片持状に水平に張出し、ほぼ四角形状の面を有する第1のプラットフォーム(41)と、この第1のプラットフォーム(41)に隣接して、前記傾転体(31)から水平な片持の駆動軸(52)によって支えられ、軸の回転駆動によって起伏し得る第2のプラットフォーム(51)と、第1のプラットフォーム(41)の第2のプラットフォーム(51)と反対側の位置に、前記傾転体(31)から水平な片持の駆動軸(62)によって支えられ、駆動軸(62)の回転駆動によって俯仰し得る第3のプラットフォーム(61)から成る身体不自由者のための介助機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は障害や高齢などのために自ら起床し離床することが困難な人を介助する介助者の労力軽減を計ることを目的とした介助機に関する。
【0002】
【従来の技術】心身障害者施設や特別養護老人ホームなどにあっては、障害や高齢などのため、自ら起床し離床することが困難な人(以後被介助者と称する)がかなりの割合を占めている。
【0003】被介助者が集団で生活するこれらの施設にあっては、寝たきりの防止のため食住分離を建前として、三度の食事は食堂に会して行う努力がなされているが、ややもすると「寝かせきり」になることも見かけるところである。
【0004】多数の被介助者を、一斉にかつ食事毎に、離床就床を繰返す施設の作業は介助者にとって重労働であり、また腰痛を招き易い作業である。
【0005】被介助者にとっての乗り移り、すなわち介助者にとっての移し替えを、直接的に行う機器は、従来皆無であった。
【0006】スリングシートやスリングベルトを用いて被介助者を吊上げる方式のものについては、頭上のモノレールに沿って移動するもの、台車からの腕木にハンガーを懸けた床上走行式で腕木が俯仰するもの、あるいは固定された旋回可能な支柱を腕木が昇降するものなど、各種のリフターがみられるが、直接的にはスリングシートへの移し替えが先ずなされ、つぎにハンガーにスリングシートを掛けて体のバランスを整えてから吊上げを行うものである。
【0007】これらの機器は、スリングシートを用いて吊上げることが共通の様式であるが、頭上吊上方式のため、横揺れによる不安感、機具による圧迫感、偏心による体の捩れや違和感など、被介助者側にとって不満足のものである一方、介助者側にとってはスリングシートの装着、吊上げまでの調整などかなりの負担を強いられるものとなっている。
【0008】しかも、これらの移し替え作業は、被介助者が望む本来の目的所作ではなく通過手段にすぎないために、両者にとっての不満足を助長している。
【0009】吊上げ方式以外の移乗介助機器では、自力で座位のとれることが被介助者にとって必要であったり、運動能力を要求されるものなどであって、障害者や高齢者にとっては関与し得ないものとなっている。
【0010】さらに、これらの従来機器は個人を対象としたいわゆる福祉機器としての効用に重点があり、能率的な観点や、コストパホーマンスといった経済的な観点からの評価にはなじみにくいものとなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】被介助者にとって、食事を含む日常生活の主たる姿態は、車いす上での座位と、就寝や休息のためのベット上での臥位とである。
【0012】入浴や排便等のための態位がこれに加わり、概ねこれら4つの態位が日常的に繰返されていると言うことができる。
【0013】本発明は、ベットから車いすへ、あるいは車いすからベットへの被介助者を移し替える介助者のための介助機器に関して、親和性(圧迫感、違和感の除去)を高め、安全性(不安感、恐怖感の除去)を高め、能率性(通過手段ゆえの処理時間の短縮化)を高め、経済性(コストパホーマンスの定量的評価)を高めることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】従来の機器では、前述のさまざまな難点があるが、これらはすべてスリングシートによって被介助者を吊上げることに原因している。
【0015】本発明では、スリングシートを被介助者に装着させることに代えて、薄い板を被介助者の下敷として被介助者の下に装入する。装入する薄板は、昇降機能を有する台車の昇降部に、片持構造で装備されている。
【0016】ベッド中央に仰向けに仰臥している被介助者の場合、被介助者を90゜横向きにさせて、スリングシートを装着する手順とほぼ同様に、薄板をベッドの上に展開し、被介助者を元の状態に90゜横転させれば、薄板の上に仰向けに仰臥した状態となり、薄板を被介助者の下に装入することができる。
【0017】つぎに、薄板の上に横臥している被介助者を、車いすに移し替えるための具体的な作用は、薄板が、ベッド上に密着した状態から浮上って被介助者を空間に保持し、つぎに背を起し足先を低めて座位の形に被介助者を保持して床面に導き、つぎに被介助者の足を床面に着けた状態で、腰を高め膝を低めるよう座面を前傾させ、前のめりに立ち上らせられる被介助者を、介助者が斜め正面から向い合って抱き受けるまでの動作を前段とし、つぎに抱き止められて起立している被介助者の背を車いすの置かれてある方向に向けて車いすとの位置関係を整え、つぎに車いすに向けて被介助者を座らせるまでの動作を後段とする、前段後段の一連の動作によってベッドから車いすへの移乗が完了する。
【0018】なお、車いすからベッドへの移乗については、本説明の逆の手順を辿ることによって実現しうることは言うまでもない。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明による介助機の作用は、前述の「前段」までの薄板の状態変化の機能であって、具体的には下記の事項及びその組合せ事項から成っている。
1) 薄板の昇降機能2) 薄板の床面走行機能3) 薄板の傾転機能4) 薄板の折れ曲り機能【0020】
【実施例】図1は本介助機の平面図で、昇降体や台車部分を省略して示した傾転体31、第1のプラットフォーム41、第2のプラットフォーム51およびその第2のプラットフォーム51を支えかつ駆動する駆動軸52、第3のプラットフォーム61および第3のプラットフォーム61を支えかつ駆動する駆動軸62の概要である。
【0021】図2は、図1の正面図で、昇降体21、走行台車11、昇降用駆動装置22、傾転軸32、傾転用駆動装置33の概要を示している。
【0022】図3は図2の側面図で、プラットフオームは、傾転体に固着された第1のプラットフォーム41のみを示してある。
【0023】車輪12は自在車輪で、台車は介助者の手押しによって任意の方向へ進めることができるが、特に台車の形状がベットの側方からベッド下部に潜入することが可能な形態となっていて、プラットフォームをベッドの直上に導くことが容易でかつ安定な構造となっている。
【0024】図4は、図2において水平状態にあった第2のプラットフォーム51及び第3のプラットフォーム61が、それぞれの駆動軸52および62を駆動して変位し、第1のプラットフォーム41を座面とする車いす状の形態に変化した状態を示している。
【0025】これらの動作は、押しボタン71を介助者が操作することによって自動的に行われる。駆動は台車に搭載されたバッテリー13を電源とする電動式で、傾転体31に制御装置73を収納している。
【0026】図5は、図4において先端を下方に垂れ下げた状態にあった第3のプラットフォーム61を、更に駆動軸62を駆動して、第1のプラットフォーム41の下部に収容し、同時に傾転体31を傾転軸32のまわりに傾転用駆動装置33を作動させることによって傾転させる。第1のプラットフォーム41は、その一端が下降し他端が上昇するかたちで傾転する。
【0027】図6は、図4の状態から第3のプラットフォーム61を反転上向させた状態を示したものである。
【0028】図7は、図4の状態から傾転用駆動装置33を作動させて図5の場合と逆の方向に傾転させた状態を示したものである。
【0029】図2、図4、図5、図6、図7に示す5通りのプラットフォームの位置パターンが薄板の折れ曲り機能であり、図5、図7には、薄板の傾転機能を示している。
【0030】これらの5通りのプラットフォームのパターンは、押しボタン71a、72b、73c、73d、73eの各々を押すことによって、ワンタッチで自動的に行われることは、前述の図4に関する説明と同様である。
【0031】つぎに、これらの5通りのパターンと、介助の局面との関係について述べる。
【0032】図2は、ベッドと本機との間で、被介助者を受渡しする際の本機の形態を示す。ストレッチャと本機との受渡しの場合も全く同様である。
【0033】図5は、車いすとの間での受渡しを主眼とした形態である。
【0034】図6は、空席の状態で走行する場合のための最もコンパクトな形態であり、特に被介助者のベッドへ離床の介助に赴く場合に有用である。
【0035】図7は、本機を車いす代りにして座位を保つ場合に有用な形態である。
【0036】図2についてはストレッチャの形態、図4は車いすの形態、図5は送迎の形態、図7は安楽いすの形態、図6は待機の形態と呼んでいる。
【0037】なお、図8はいすの形態であってストレッチャの形態(図2)と共に、本介助機の基本的な形態である。
【0038】本実施例では、「【発明の実施の形態】」の項で説明した薄板の4つの機能以外に、薄板の上にシフト機能を有するシートを備えている。すなわち、本実施例では図9に示すように薄板は第1、第2、第3の各プラットフォーム41、51、61、と、それらの全域を覆っている1枚のシート81とから構成されており、シート81はプラットフォーム41、51、61上にあって、ワイヤーロープ駆動装置84によってワイヤーロープ83を介して、200mm程度の距離を往復動できるものである。図10は、プラットフォームが2枚の板を合せたものから成ることを示すプラットフォームの断面図の一部である。
【0039】ワイヤーロープは、第1のプラットフォームの駆動装置84aにより駆動される83aと、第2のプラットフォームの駆動装置84bによって駆動させる83bとから成っており、キャリッジ82をそれぞれ介してシート81と締結されている。
【0040】第3のプラットフォーム61についてはキャリッジ82は同一のものであるが、ワイヤロープによる駆動は行っていない。すなわち第3プラットフォーム61のキャリッジ82は、シート81をプラットフォーム面から遊離させないためのものとしてある。
【0041】シフトするシートの効用は、ベッドとプラットフォームとの間の段差の克服であり、かつシフトによる移載の補完である。図11はシフトしたシートの状態を示している。
【0042】以下に具体的なベッドからの移載について記す。
【0043】ベッドに本機を横付けし、プラットフォームを降下してベッドに接着すると同時に、被介助者の大腿関節による上体との屈曲部位と本体の第2のプラットフォーム51を支えかつ駆動する駆動軸52の軸心、すなわち起伏の中心とを一致させるようにする。
【0044】被介助者を横向きにさせた状態で、プラットフォームをベッド上に進め、ストレッチャの形態でベッドに対し下降し圧着させる。
【0045】プラットフォームの昇降とシートのシフトは、本体のレバースイッチ72またはいわゆるリモコンのボタン操作によるインチングによって作動させる。
【0046】介助者は被介助者を横向きにした状態で、シートが被介助者に接近するようプラットフォーム上のシートをシフトして設定を完了する。被介助者を元の状態、すなわちベッド中央に横転させて戻せば、完全かつ安全に、シート上に被介助者を収容することができる。
【0047】シート上に収容された被介助者は、シートを逆シフトすることにより、プラットフォーム上にシートと共に移載される。
【0048】本介助機に移載した被介助者を車いすに移載する要領はすでに述べた通りである。また、逆に車いすからベッドに移載する要領は、前記の記述の逆の手段を辿ることで、容易に理解し実現し得るものであるゆえ、記述は省略する。
【0049】
【発明の効果】障害や高齢などのために、自ら起床し離床することが困難な人を介助する介助者の労力軽減を計ることを目的とした介助機であって、介助作業が効果的かつ効率的に行うことのできる専用性の高い機能を有することから、施設における業務用省力機器として、特別養護老人ホームや心身障害者のための施設などでの利用が最も期待される。
【0050】そして、腰痛を招き易い労働から介助者が解放され、同時に、被介助者の寝たきり(寝かせきり)の防止に貢献できる。
【出願人】 【識別番号】597136423
【氏名又は名称】澤田 勝治
【出願日】 平成9年(1997)8月20日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−56908
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−260785