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【発明の名称】 内外診兼用診療台とこの診療台の使用方法
【発明者】 【氏名】田淵 明子

【要約】 【課題】着座位から外診位又は内診位へと移行できる内外診兼用の診療台を提供する。

【解決手段】背板基準面Bに対して外診位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する臀部受基準面H、同背板基準面Bに対して着座位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する旋回基準面Sを設定し、患者の背部から腰部を支持する背板6を背板基準面Bに配し、この背板6の下端両側にあって患者の臀部を左右から支持する一対の略扁平な臀部受7,7を正面視略V字状となるように臀部受基準面Hに対してそれぞれ傾斜させて配し、そして先端に脚受部3を取り付けたアーム4の旋回面Tが正面視略V字状となるように旋回基準面Sに対してそれぞれ傾斜させてアーム4の旋回手段5を各臀部受7に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 背板基準面に対して外診位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する臀部受基準面、同背板基準面に対して着座位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する旋回基準面を設定し、患者の背部から腰部を支持する背板を背板基準面に配し、該背板の下端両側にあって患者の臀部を左右から支持する一対の略扁平な臀部受を正面視略V字状となるように臀部受基準面に対してそれぞれ傾斜させて配し、そして先端に脚受部を取り付けたアームの旋回面が正面視略V字状となるように旋回基準面に対してそれぞれ傾斜させて該アームの旋回手段を各臀部受に設けてなる内外診兼用診療台。
【請求項2】 背板基準面に対して開度略135度の臀部受基準面、同背板基準面に対して開度略120度の旋回基準面を設定し、患者の背部から腰部を支持する背板を背板基準面に配し、該背板の下端両側にあって患者の臀部を左右から支持する一対の略扁平な臀部受を正面視略V字状となるように臀部受基準面に対してそれぞれ略45度傾斜させて配し、そして先端に脚受部を取り付けたアームの旋回面が正面視略V字状となるように旋回基準面に対してそれぞれ略45度傾斜させて該アームの旋回手段を設けてなる内外診兼用診療台。
【請求項3】 各臀部受に背板に対する傾倒手段を設け、起立状態にある各臀部受を傾倒させ、傾倒状態にある各臀部受を起立させるようにしてなる請求項1又は2記載の内外診兼用診療台。
【請求項4】 請求項1又は2記載の内外診兼用診療台を用いて患者を外診するに際して、背板を傾倒させつつアームを下降方向に旋回させて両脚受部を互いに接近かつそれぞれを背板から遠ざけることにより患者を着座位から外診位へ移行させる内外診兼用診療台の使用方法。
【請求項5】 請求項3記載の内外診兼用診療台を用いて患者を外診するに際して、背板を傾倒させつつアームを下降方向に旋回させて両脚受部を互いに接近かつそれぞれを背板から遠ざけ、同時に起立状態にある各臀部受を傾倒させることにより患者を着座位から外診位へ移行させる内外診兼用診療台の使用方法。
【請求項6】 請求項1又は2記載の内外診兼用診療台を用いて患者を内診するに際して、背板を傾倒させつつアームを上昇方向に旋回させて両脚受部を互いに離反かつそれぞれを背板に近づけることにより患者を着座位から内診位へと移行させる内外診兼用診療台の使用方法。
【請求項7】 請求項3記載の内外診兼用診療台を用いて患者を内診するに際して、背板を傾倒させつつアームを上昇方向に旋回させて両脚受部を互いに離反かつそれぞれを背板に近づけ、同時に傾倒状態にある各臀部受を起立させることにより患者を着座位から内診位へ移行させる内外診兼用診療台の使用方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産科、婦人科、泌尿器科及び肛門科等の診察又は治療のための内診及び外診に兼用して用いることのできる診療台に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の産婦人科では、診察等の外診に適した診察台と、診察及び治療等の内診に適した診療台とを使い分けている。それぞれ構造及び機能上の差異があるわけであるが、これらを分別した理由は、主として患者である妊婦の負担や羞恥心を軽減しながら、それぞれの診察又は治療に適した施術を可能にするためにある。
【0003】外診に適した診察台には、単なるベッドのほか、例えば起立可能な背板と臀部以下を支持する支持板とが一体連続したベッド形態の診察台が使用されている。後者の診察台は、寝起きする患者の負担を軽減することを考慮したものである。これに対して、内診に適した診療台は外部駆動により一体で傾動、旋回可能な背板、座部及び脚受部とからなる椅子形態の外観を有し、座部には陰部へ内診指を挿入しやすくし、また洗浄液による座部の汚染を防ぐために括れが設けられ、脚受部に膝又は大腿部を載せた患者は、脚受部の開閉に従って労することなく開脚可能になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】診察、診療の流れを解析すると、概ね次の手順を踏むことになる。なお、診療施設は待合室、診察室、内診室に区画され、診察室に診察台、内診室に診療台を配しているものとする。まず、(1)患者を待合室から診察室へと呼び込み、問診する。次に、(2)患者の上着を脱がせ、主に上半身を診察し、続いて(3)患者を診察台に寝かせて腹部を露出させ、腹部を診察する。この後、(4)必要に応じて患者を内診室へ移し、下着を脱がせて、(5)診療台に着座させた患者を診察体位へ移行させ、(6)医師による診療を施す。そして、(7)診療を受けた患者を診療台から降ろし、最後に、(8)着衣させた患者を診察室へ戻し、医師が病症について説明する。
【0005】患者と医師との双方に配慮して診察台と診療台とを分化したことで、少なくとも2台の診療器具の設置スペースを要することになるが、近年、患者との医師の疎通が重要視されるようになり、このカウンセリングのためのスペースを確保するには、前記各診療器具すべての設置スペースを確保することが難しくなってきている。この問題は、医師個人が経営する小さな診療施設ほど深刻となる。
【0006】多数に及ぶ外来の患者を円滑に処理するため、通常は、診察室に内待合室と呼ぶべきスペースを割り当てておき、患者は数人単位で診察室に呼ばれていた。しかし、これでは各患者のプライバシーが保護されず、また患者に要らぬ羞恥心を呼び起こさせる結果となっていた。つまり、問診及び説明のスペースと診察台のスペースとが同じ診察室に割り当てられていたことが問題であり、特に問診及び説明のスペースの確保の必要性が高まってきている。
【0007】また、各診療器具ごとに部屋を割り当て、更に問診及び説明のスペースをつくるとなると、患者の移動が繁雑になり、診察及び診療以外に無駄な時間が費やされることになる。このほか、近年では、診察及び診療それぞれにおいて超音波断層装置が使用されるようになってきているが、この装置を診察、診療に合わせて移動させることは難しく、結果として診察台、診療台それぞれに超音波断層装置を設置せざるを得なかった。この超音波断層装置は高価であり、診察台及び診療台それぞれに対して設置するのはコスト高になるのに対し、診察用、診療用を同時に並行して使用する機会が少ないなど、問題が多かった。
【0008】解決策として、上記各診療器具を兼用することが考えられる。ところが、従来の診療台は、着座位より更に背部と脚部(脚全体を指すが、背部との屈曲角の関係においては特に大腿部を意味する)との屈曲角度が大きくなる外診位への移行は考えておらず、構造上外診目的のための外診位に移行することが難しくなっていた。これは、従来の診療台は、内診位の姿勢を保持しようとする患者の労力を軽減されるように、背板に続いて座部が、そして座部の両側にから臀部を下方から支えるように湾曲する臀部受が設けられているため、患者が着座位から外診位に移行しようとする際に必要となる脚部の伸展(前額面において膝を後方へ移動する動き)が座部や臀部受に邪魔されてしまうからである。また、脚受部を移動させるアームの旋回面は主として患者の脚部を開くという観点から設定され、アームの旋回手段と臀部受との関係のみが検討されていた。このため、背板に対するアームの旋回面の設定が不明確となり、脚受部の移動を外診位から内診位へ至る広い範囲とすることができなかったという問題もある。
【0009】そこで、患者の診察、診療の流れを円滑かつ患者の負担を軽減する方向で見直す手段として、診察及び診療に適して内外診兼用となる診療台を開発することとし、特に診療台において、着座位から外診位又は内診位へと移行でき、かつ外診位から内診位へも連続的に移行できるように、前記内外診兼用の診療台の構造上の要件を検討することにした。
【0010】
【課題を解決するための手段】検討の結果開発したものが、背板基準面に対して外診位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する臀部受基準面、同背板基準面に対して着座位における背部と脚部との屈曲角度相当の開度を有する旋回基準面を設定し、患者の背部から腰部を支持する背板を背板基準面に配し、この背板の下端両側にあって患者の臀部を左右から支持する一対の略扁平な臀部受を正面視略V字状となるように臀部受基準面に対してそれぞれ傾斜させて配し、そして先端に脚受部を取り付けたアームの旋回面が正面視略V字状となるように旋回基準面に対してそれぞれ傾斜させてこのアームの旋回手段を各臀部受に設けた内外診兼用診療台である。アームの旋回面に直交する旋回軸上に患者の股関節が位置するように、旋回手段を各臀部受に軸着することが好ましい。
【0011】一般には、着座位における患者の背部と脚との屈曲角度は120度(脚部が60度屈曲している状態)前後、外診位(仰臥背臀位相当)での屈曲角度を135度(同45度)前後、そして内診位(砕石位相当)での屈曲角度を90度(同90度)前後とされている。そこで、上記内外診兼用診療台は、背板基準面に対して開度略120度の臀部受基準面、同背板基準面に対して開度略135度の旋回基準面を設定し、患者の背部から腰部を支持する背板を背板基準面に配し、この背板の下端両側にあって患者の臀部を左右から支持する一対の略扁平な臀部受を正面視略V字状となるように臀部受基準面に対してそれぞれ略45度傾斜させて配し、そして先端に脚受部を取り付けたアームの旋回面が正面視略V字状となるように旋回基準面に対してそれぞれ略45度傾斜させてこのアームの旋回手段を設けた内外診兼用診療台となる。更に、各臀部受に背板に対する傾倒手段を設けて、起立状態にある各臀部受を傾倒し、傾倒状態にある各臀部受を起立できるようにするとよい。
【0012】この内外診兼用診療台を使用する場合、背板に傾倒手段を設けておき、(1)患者を外診するに際して、背板を傾倒させつつアームを下降方向に旋回させて両脚受部を互いに接近かつそれぞれを背板から遠ざけることにより患者を着座位から外診位へ移行させ、(2)患者を内診するに際して、背板を傾倒させつつアームを上昇方向に旋回させて両脚受部を互いに離反かつそれぞれを背板に近づけることにより患者を着座位から内診位へと移行させる。各臀部受に傾倒手段を設けた場合、アームの旋回に合わせて起立状態にある各臀部受を傾倒させるか((1)')、傾倒状態にある各臀部受を起立させる((2)')。外診から内診へと移行する場合、前記(1)又は(1)'において背板を傾倒状態で保持し、両脚受部を互いに離反かつそれぞれを背板に近づけ、必要により各臀部受を起立させることにより、患者を着座位から内診位へと移行させる。
【0013】本発明の診療台は、座部を廃し、背板基準面に対して外診位の開度に設定した臀部受基準面に略扁平な臀部受を配することにより、着座位から外診位への移行する際に臀部受による邪魔がなくなる。従来は、臀部受とアームの旋回面とを実質的に同一基準面上に配していたが、本発明では臀部受基準面とは別に旋回基準面を設定することで、臀部受とアームの旋回(脚受部の移動)との関係を分離することができたのである。臀部受のみで患者を安定に保持するため、本発明では左右に一対の臀部受を略V字状となるように配し、両臀部受間に臀部を落ち込ませるように支持する。背板(=背板基準面)に対して着座位の開度を有する臀部受基準面において各臀部受は傾斜していることから、この臀部受を下端に有する背板は下向きに凸な略五角形となる。すなわち、各臀部受は、背板下端部にある2辺を屈曲線として背板から折れ曲がり、背板側方から外向きに若干突出する。臀部受は略扁平であれば平面形状を問わないが、前記屈曲線の直交方向に延び、両臀部受間に空間が形成されるようにし、前記空間を内診のための括れや汚物受の設置空間として利用するようにするとよい。
【0014】略扁平な臀部受は、患者の開閉脚に伴う股関節の運動を臀部受と平行な面上に規制する。また、アームの先端に取り付けた脚受部は、傾斜した旋回面に従って移動することで患者の脚部を開脚させながら屈曲させ、閉脚させながら伸展させる。各臀部受とアームの旋回面とは異なる開度の各基準面に従うが、両者がそれぞれの基準面に対して同じ傾斜角をもつと、臀部受に規制される股関節の運動とアームの旋回とをほぼ等価にすることができ、臀部受により開閉脚が邪魔されなくなる。この場合、アームの旋回面に直交する旋回軸上に患者の股関節が位置するように旋回手段を各臀部受に設けると、着座位、外診位又は内診位への相互に移行に際し、アームの旋回に従って移動する脚受部が、無理なく脚部を伸展/屈曲、外転/内転、そして外旋/内旋させることができる。
【0015】患者の開閉脚により外診位から内診位と相互に移行するためには、患者の開閉脚を決定する脚受部の移動範囲を大ききしなければならない。この脚受部の移動範囲の拡大は、前額面における屈曲/伸展と矢状面における外転/内転とを共に大きくすることであるから、脚受部の移動を担うアームの旋回面は旋回基準面に対して略45度で傾斜することが望ましい。そして、移動に伴って脚受部が患者の膝等を支持する角度や当接面も大きく変化するため、脚受部は大腿部よりは下腿部を支持し、むしろ膝に下方又は内側より係合する形状が好ましい。また、脚受部は遊嵌状態でアーム端部に取り付けて膝と脚受部との係合関係に自由度を持たせると、開閉脚に伴う患者の負担を軽減することができる。この自由度は、両脚受部が互いに接近する方向に小さく、逆に両脚受部が互いに離反する方向に大きくすると、外診位においては少し脚を拡げるように下方から支え、内診位へと移行するにつれ、各脚受部が両脚を拡げる方向に内側から支えるようになり、外診、内診それぞれにおいて都合がよい。
【0016】各臀部受に設けた傾倒手段は、外診位から更に脚部の伸展を要する場合や、外診位においても患者の自由度が必要な場合に、脚部の運動を臀部受が規制しないように、背板に対して臀部受を開きながら傾倒し、臀部受を脚部の運動範囲から退避させる。すなわち、背板基準面と臀部受基準面とを一致させるのである。脚受部は、臀部受基準面とアームの旋回面とが交差するまでアームを旋回させ、背板、臀部受、そして脚受部がほぼ同一平面上に並ぶようにする。この場合の脚受部は、アームの先端に遊嵌状態で取り付けて、患者が両脚を揃えた状態で下方から支持できるように自由度を持たせておくとよい。起立状態から傾倒状態へは、連続的、段階的に移行させるほか、例えば起立状態の臀部受と背板とが同一面となる傾倒状態とを択一的に選べるようにしてもよい。
【0017】実際の脚受部の移動は、患者が外診位又は内診位の各姿勢に移行した後の負担を考慮して、背板の傾倒に合わせて実施するのが好ましい。背板の傾倒は、患者に不安感を生じさせない程度、例えば水平面に対して約20度程度とするのが好ましい。これにより、(1)患者を外診するに際しては、背板を傾倒させると同時に両脚受部を互いに接近させながら背板から遠ざけて脚部を伸展し、患者に負担の少ない外診位の姿勢をとらせることができる。また、(2)患者を内診するに際しては、背板を傾倒させると同時に両脚受部を互いに離反させながら背板に近づけて脚部を屈曲して、医者の診療に適した内診位にすることができる。背板の傾倒は、患者が背板及び臀部受に体重を預けて安定感を感じ、しかも脚受部に掛かる負荷を軽減して、脚受部の移動を円滑にする利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は本発明を適用した内外診兼用診療台1の一例を示す斜視図であり、図2は着座位における同診療台1の側面図、図3は同正面図、図4は同平面図、図5は外診位における同診療台1の側面図、図6は同正面図、図7は同平面図、図8は内診位における同診療台1の側面図、図9は同正面図、図10は同平面図である。なお、説明の便宜上、図2〜図10では、診療台及び患者2をワイヤーフレームで示し、診療台1における脚受部3をアーム4先端の○、旋回手段5をアーム4後端の○で表している。また、図2〜図10中の円弧はアーム4の旋回面Tと脚受部3の移動範囲とを示す。
【0019】本例の内外診兼用診療台1は、図1に見られるように、正面視略五角形の背板6下端の2辺に一対の略扁平な臀部受7,7を突設し、各臀部受7裏面にモータを旋回手段5とするアーム4を軸着して、このアーム4先端に遊嵌状態で脚受部3を取り付けている。臀部受7、旋回手段5、アーム4及び脚受部3は背板6に従って運動するようになっており、この背板6は傾倒手段、水平旋回手段及び垂直昇降手段を兼ね備えた基台部8に支持されている。両臀部受7,7の間は、内診のための括れ9であり、進退可能な汚物受10を設置している。各脚受部3は、アーム4先端に対する自由度が内方向に偏っていて、略45度のアーム4の旋回面Tに従って上昇方向及び下降方向に移動した際に、図2以下に見られるように、患者2の膝11及び下腿部12をやや内側から支持する。背板6の傾倒、水平旋回、垂直昇降や脚受部の移動については、フットスイッチ(図示せず)により医師が操作する。
【0020】図2〜図4をもとに、本例の内外診兼用診療台1における背板6、臀部受7及びアーム4の旋回面Tの位置関係について説明する。便宜上、旋回基準面Sを水平にして、図2に見られるように、この旋回基準面Sに対して背板基準面Bが着座位120度の開度、この背板基準面Sに対して臀部受基準面Hが外診位の135度の開度で設定する。臀部受7裏面に旋回手段5を設けることから、臀部受基準面Hと旋回基準面Sとは実際の臀部受7の前端付近で交差し、背板基準面B上では開度差分略15度の開きを有する。両臀部受7,7は、図3に見られるように、前記臀部受基準面Hに対してそれぞれ略45度の傾斜を有し、かつ正面視略V字状を形成するように背板6下端から突出し、アーム4の旋回面Tが前記旋回基準面Sに対してそれぞれ略45度の傾斜を有し、かつ正面視略V字状を形成するように前記臀部受7裏面に旋回手段5を設ける。
【0021】患者2が診療台1に腰かけると、図2〜図4に見られるように、アーム4は旋回面Tと旋回基準面Sとの交差線Lt-s上に位置しているため、脚受部3が臀部受7から延びる患者2の脚部を膝11から支持して、患者2は背板基準面Bと旋回基準面Sとの開度に従って略120度着座位となる。脚部の膝11における屈曲は、脚受部3の形状や下腿部12の支持面の長さ等に従う。実際は、アーム4は旋回面Tと旋回基準面Sとの交差線Lt-s上に必ずしも位置するものではなく、臀部受7の表面と旋回手段5との距離差から、アーム4はむしろ上向きとなる。また、図3及び図4からもわかるとおり、患者2はわずかに開脚気味で着座することとなるが、患者2が妊婦の場合はこのように開脚気味で座る方が楽であるため、むしろ好ましい姿勢となる。
【0022】外診に際しては、図5〜図7に見られるように、基台部8(図1参照)の運動により背板6を水平面に対して約20度まで傾倒させ、同時にアーム4を下降方向に旋回して両脚受部3,3を互いに接近させながら背板6から遠ざける。アーム4は旋回面Tと臀部受基準面Hとの交差線Lt-h上にまで旋回するため、脚受部3が臀部受7に沿って延びる患者2の脚部を膝11から支持して、患者2を背板基準面Bと臀部受基準面Hとの開度に従って略135度の外診位とする。図6及び図7からわかるように、上記着座位に比較して、患者2は若干内股気味にしながら脚部を軽屈曲させて延ばすようになるが、外診位では背部と脚部との開度が大きいため、妊婦であっても負担を感じることはない。むしろ、脚部が軽屈曲し、膝も軽く折れ曲がるため、患者2はゆったりとできる。
【0023】内診に際しては、図8〜図10に見られるように、外診同様背板6を傾倒させ、アーム4は上昇方向に旋回させて両脚受部3,3を互いに離反させながら背板6に近づける。アーム4の旋回上限は任意であるが、脚部の屈曲が略90度(内診位)となることを目標として、本例では平面視で片側略30度開脚した位置(図6参照)で旋回手段5による動力旋回を停止し、後は医師又は患者がフットスイッチの操作や脚部による押し開きにより、段階的に脚受部を移動させるようにしている。このようにして、脚受部3は臀部受7から大きく屈曲して外向きに開く患者2の脚部を膝11に係合して支持することができ、患者2は内診に適した開度略90度の内診位(図8〜図10に示す)となる。
【0024】この内診位へは着座位又は外診位からの移行が可能である。いずれにしても、アーム4が上昇方向に旋回することで患者2の脚部を開脚させるわけであるが、このアーム4の旋回面Tがそれぞれ略45度傾斜しているために、脚部の屈曲と外転とが同時に、かつほぼ等量で進行し、無理なく内診位への移行を実現するのである。膝11を支持する脚受部3は不当に脚部を拘束しないから、内診位への移行に必要な外旋については前記屈曲、外転に付随して生ずる。また、臀部受7は背板6に対して外診位の開度で傾斜しているため、患者2が内診位をとると、脚受部3が膝11を持ち上げて臀部を臀部受7から少し浮かせるため、結果として外陰部が前方に突出して医師による診療が容易となる。
【0025】以上の着座、外診及び内診時における広い姿勢の変化(外診位から内診位)は、臀部受7とアーム4の旋回面Tとの関係、すなわち臀部受基準面Hと旋回基準面Sとの開度差により実現している。また、開閉脚による負担を軽減するため、アーム4の旋回面Tを略45度の傾斜させて脚部の屈曲と外転とをほぼ等量にしている。本例では、更に臀部受7に規制される脚部の運動と旋回面Tとの傾斜角を一致させ、加えて患者2の股関節13と旋回手段5の旋回軸とが同一線上に並ぶように配慮している。これにより、図2〜図10を相互に比較してわかるとおり、患者2の脚部の動きとアーム4の旋回とがほとんど等価となっており、患者2の負担が軽減されていることがわかる。
【0026】図11は臀部受7の傾倒手段となる回動軸14を設けた内外診兼用診療台1の斜視図で、図12は同診療台1で臀部受7を傾倒させた状態を表した平面図である。本発明では、外診における外診位をも可能とするため、臀部受7とアーム4の旋回面T(図2以下参照)との設定を別にしているが、例えば外診位を超えて患者の姿勢を更に寝かせようとした場合には、やはり臀部受7が邪魔となる。また、外診位においても臀部受7が臀部の左右への自由度を規制しており、患者によっては窮屈感を感じることも考えられる。そこで、図11に見られるように、別体の臀部受7と背板6との間に回動軸14を介し、背板6に対して各臀部受7,7が傾倒できるようにした。
【0027】臀部受7は、外診に際して背板6を傾倒させると同時に傾倒させ、背板6を起こす又は外診から内診へと直接移行すると同時に起立させるのがよい。臀部受7を傾倒させると、図12に見られるように、背板6から臀部受7は同一面となって従来の外診用ベッドに類似し、患者の臀部は左右から挟まれるのではなくて下方から両臀部受7,7に支持されるようになり、左右方向に開放感ができる。このとき、臀部受基準面は背板基準面と同一になっているから、アーム4の旋回面と臀部受基準面との交差線上にまでアーム4を旋回させると、脚受部3は背板6の長尺方向に位置するようにすれば、患者は脚部を揃えて延ばした姿勢をとることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明により、産科、婦人科、泌尿器科及び肛門科等の診察又は治療を1台の内外診兼用診療台で担うことができる。これにより、診療器具の設置スペースを削減して、例えば医師個人が経営する小さな診療施設における医師と患者とのカウンセリングのためのスペースが容易に確保できるようになる。待合室のスペースも充分取れるようになるので、問診用の部屋と待合室との分化が可能となり、患者のプライバシー保護についても有益である。
【0029】こうして診療施設のスペース割当が改善されることで、患者の移動が少なくなり、診察及び診療以外の無駄な時間が削減できる。更に、これまで診察及び診療それぞれに対して設置していた超音波断層装置が1台で済むようになり、診療施設のコスト削減にも効果がある。既述したように、超音波断層装置は高価であるから、前記経済効果は重要である。
【0030】以上から、本発明により診察の流れは次のようになる。なお、診療施設は待合室、診察室(内診室と兼用)に区画され、診察室に問診用の椅子と本発明の診療台とを配しているものとする。まず、(1)患者を待合室から診察室へと呼び出し、問診用の椅子に座らせて問診する。次に、(2)外診のみの場合はそのまま、内診が必要な場合には下着を脱がせて特製腰布(後面が開く)を巻かせて診療台に座らせ(着座位)、(3)背板を倒しながらアームを下降方向に旋回させて脚部を伸展し(外診位)、腹部を診察する。続いて、(4)背板を倒したままにして今度はアームを上昇方向に旋回させて脚部を屈曲し(内診位)、(6)医師による診療を施す。そして、(7)診療を受けた患者を診療台から降ろし、最後に、(8)着衣させた患者を問診用の椅子へ戻し、医師が病症について説明する。
【0031】上述のように、患者の診察から診療までを同一の部屋で実施できるため、従来のように診察室と診療室とを分画するカーテンが不要となり、患者が診察室へ入ってから出るまでの時間を大幅に短縮できるようになる。そして、この時短に応じて、相対的に問診やカウンセリングに割り当てる時間を増やすことができ、総じて医療の充実を図ることができるようになるのである。
【出願人】 【識別番号】592031112
【氏名又は名称】田淵 和久
【出願日】 平成9年(1997)7月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
【公開番号】 特開平11−42258
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−200516