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【発明の名称】 寝台における床部の昇降操作構造
【発明者】 【氏名】中川 武男

【氏名】中野 美喜男

【要約】 【課題】変換部を破損することなく、長期間に渡って良好に使用することができる寝台における床部の昇降操作構造を提供する点にある。

【解決手段】操作部17により回転操作自在な昇降用駆動軸10を設け、この昇降用駆動軸10にそれの回転力を軸方向への移動力に変換する変換部18を介して押引部材19を連動連結し、この押引部材19の押引作動により床部4を昇降操作するために、該押引部材19と床部4とをリンク20を介して連動連結してなる寝台における床部の昇降操作構造であって、前記床部4の最上昇位置及び最下降位置において、前記昇降用駆動軸10と押引部材19との連動を解除する解除手段を設けるとともに、前記床部4からの荷重により前記昇降用駆動軸10が回転することを阻止する阻止手段25を設けたことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作部により回転操作自在な昇降用駆動軸を設け、この昇降用駆動軸にそれの回転力を軸方向への移動力に変換する変換部を介して押引部材を連動連結し、この押引部材の押引作動により床部を昇降操作するために、該押引部材と床部とをリンクを介して連動連結してなる寝台における床部の昇降操作構造であって、前記床部の最上昇位置及び最下降位置において、前記昇降用駆動軸と押引部材との連動を解除する解除手段を設けるとともに、前記床部からの荷重により前記昇降用駆動軸が回転することを阻止する阻止手段を設けたことを特徴とする寝台における床部の昇降操作構造。
【請求項2】 前記昇降用駆動軸を螺子軸から構成するとともに、この螺子軸に外嵌し、且つ、該螺子軸の回転により螺子軸の長手方向に移動自在な摺動部材と、この摺動部材と一体的に移動し、且つ、前記押引部材に連結されたガイド部材とから前記変換部を構成し、前記螺子軸の長手方向両端部にそれぞれ備えさせた螺子部のないストレート軸部と、これら2つのストレート軸部のうちの少なくとも前記床部が最下降位置に位置したときのストレート軸部に移動した前記摺動部材を螺子部が形成された螺子部側に移動付勢する弾性体とから前記解除手段を構成してなる請求項1記載の寝台における床部の昇降操作構造。
【請求項3】 前記阻止手段を、前記昇降用駆動軸に外嵌される固定部材の内側に形成した収納部内を該昇降用駆動軸の回転により移動可能な駒部材から構成するとともに、制動方向側の内面が徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くように前記収納部を形成してなる請求項1又は2記載の寝台における床部の昇降操作構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寝台における床部の昇降操作構造に関し、詳しくは、操作部により回転操作自在な昇降用駆動軸を設け、この昇降用駆動軸にそれの回転力を軸方向への移動力に変換する変換部を介して押引部材を連動連結し、この押引部材の押引作動により床部を昇降操作するために、該押引部材と床部とをリンクを介して連動連結してなる寝台における床部の昇降操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記寝台における床部を昇降させる場合には、操作部であるハンドルを手動にて回転操作することにより昇降用駆動軸を回転させる。この回転力が変換部を介して軸方向への移動力に変換し、変換された移動力により押引部材が押し引き操作されて、床部を昇降操作することができるように構成している。そして、従来、前記昇降用駆動軸と押引部材とが変換部を介して常時連動連結されていたため、次に述べる不都合が発生していた。
【0003】つまり、床部が最上昇位置又は最下降位置にあるときに、更に上昇又は下降させる側に操作すると、昇降用駆動軸は回転するものの、押引部材が移動することができないため、昇降用駆動軸と押引部材とを連結している変換部に負荷がかかり、変換部を破損してしまう又は連動が絶たれてしまい、床部の昇降操作に支障を来す又は昇降操作が行えないことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、変換部を破損することなく、長期間に渡って良好に使用することができる寝台における床部の昇降操作構造を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解決のために、操作部により回転操作自在な昇降用駆動軸を設け、この昇降用駆動軸にそれの回転力を軸方向への移動力に変換する変換部を介して押引部材を連動連結し、この押引部材の押引作動により床部を昇降操作するために、該押引部材と床部とをリンクを介して連動連結してなる寝台における床部の昇降操作構造であって、前記床部の最上昇位置及び最下降位置において、前記昇降用駆動軸と押引部材との連動を解除する解除手段を設けるとともに、前記床部からの荷重により前記昇降用駆動軸が回転することを阻止する阻止手段を設けたことを特徴としている。従って、床部の最上昇位置及び最下降位置で操作部により床部を更に上昇又は下降させるために昇降用駆動軸を回転操作しても、昇降用駆動軸と押引部材との連動が解除されているから、昇降用駆動軸の回転力が押引部材に伝達されることがない。そして、床部が上昇された位置にあるときには、昇降用駆動軸が床部下降方向に回転することを阻止することができるから、床部が不測に下降することはない。
【0006】具体的には、前記昇降用駆動軸を螺子軸から構成するとともに、この螺子軸に外嵌し、且つ、該螺子軸の回転により螺子軸の長手方向に移動自在な摺動部材と、この摺動部材と一体的に移動し、且つ、前記押引部材に連結されたガイド部材とから前記変換部を構成し、前記螺子軸の長手方向両端部にそれぞれ備えさせた螺子部のないストレート軸部と、これら2つのストレート軸部のうちの少なくとも前記床部が最下降位置に位置したときのストレート軸部に移動した前記摺動部材を螺子部が形成された螺子部側に移動付勢する弾性体とから前記解除手段を構成している。床部を昇降操作する場合には、螺子軸を回転操作することにより摺動部材が螺子軸の長手方向に移動し、この摺動部材とともにガイド部材及び押引部材が同一方向に一体的に移動して、床部を昇降させるのである。しかも、床部が最上昇位置及び最下降位置に位置すると同時に、摺動部材がストレート軸部に位置して、それ以上の上昇操作又は下降操作による螺子軸の回転力が摺動部材に伝達されることがない。そして、床部が最下降位置に位置している場合に、上昇操作すると、摺動部材が弾性体により螺子部側に移動付勢されているから、摺動部材が螺子部端部に直ちに噛み合い、摺動部材が螺子部を摺動して、床部が上昇されるのである。又、床部が最上昇位置に位置している場合に、下降操作すると、床部からの荷重により摺動部材が螺子部端部側に移動付勢されることになるから、前記弾性体を設けなくても、前記同様に摺動部材が螺子部端部に直ちに噛み合い、摺動部材が螺子部を摺動して、床部が下降されるのである。
【0007】前記阻止手段を、前記昇降用駆動軸に外嵌される固定部材の内側に形成した収納部内を該昇降用駆動軸の回転により移動可能な駒部材から構成するとともに、制動方向側の内面が徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くように前記収納部を形成している。従って、昇降用駆動軸が床部からの荷重を受けて、回転すると、駒部材が制動側に移動し、昇降用駆動軸と固定部材との間に駒部材が食い込むことにより昇降用駆動軸の回転が阻止されるのである。そして、収納部の内面が徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くように形成することによって、前記食い込み力を昇降用駆動軸が床部からの荷重を受けて回転しない程度の制動力に設定することができるから、制動方向への昇降用駆動軸の回転操作力を可及的に小さくすることが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1及び図2に、寝台が示されており、この寝台は、外側の枠フレームを構成する左右一対の第1フレーム1,1及びこれら第1フレーム1,1を連結する前後一対の第2フレーム2,2と、この枠フレームをこれよりも内側箇所で昇降自在に支持するための左右一対のメインフレーム3,3とを備え、前記メインフレーム3,3の上に床部4を載置するとともに、前記メインフレーム3,3の前端部及び後端部に固定のボス部5aにそれぞれキャスター5を取付けて、移動可能な寝台を構成している。
【0009】前記床部4は、寝台の前方側に位置する背部床6と、これの直後方に位置する腰部床7と、これの直後方に位置する膝部床8と、これの直後方に位置する脚部床9とから構成するとともに、前記背部床6を水平方向の倒伏姿勢とこの倒伏姿勢から設定角度起伏した起伏姿勢に姿勢変更できるように構成している。
【0010】前記背部床6を姿勢変更するための床部昇降機構について説明すれば、図1〜図5に示すように、回転自在な昇降用駆動軸10の一端にユニバーサルジョイント11を介して内部中空の第1ロッド12を連結し、この第1ロッド12の遊端部に、固定部に固定されたブラケット13に支持された内部中空の第2ロッド14内に摺動可能にスプライン嵌合された伸縮ロッド15をピンにより連結し、前記第2ロッド14の遊端部に、これの長手方向と直交する方向でアーム16を固定するとともに、このアーム16の凹部16Aに折り畳み収納可能に操作部としてのクランクハンドル17を枢支連結している。前記昇降用駆動軸9にそれの回転力を軸方向への移動力に変換する変換部18を介して押引部材19を連動連結し、この押引部材19の押引作動により背部床6を昇降操作するために、該押引部材19と背部床6とをリンク20を介して連動連結している。従って、クランクハンドル17を回転操作することによって、昇降用駆動軸10を回転操作し、この回転力が変換部18にて押引部材19の軸方向への移動力に変換されて、押引部材19が押引操作され、リンク20を介して背部床6が姿勢変更されるのである。本発明は、背部床6を倒伏姿勢から設定角度起伏した起伏姿勢に姿勢変更できるものに用いることができる他、床部4全体を倒伏姿勢から設定角度起伏した起伏姿勢に姿勢変更したり、床部4全体を倒伏姿勢のまま上方側に位置変更させることができるものに用いることができる。
【0011】前記昇降用駆動軸10を外面に螺子が形成された螺子軸から構成するとともに、この螺子軸10に外嵌し、且つ、該螺子軸の回転により螺子軸の長手方向に移動自在にするために内面に雌螺子21Aが形成された筒状の摺動部材21と、この摺動部材21と一体的に移動するようにスプライン嵌合し、且つ、前記押引部材19に係止連結されたガイド部材22とから前記変換部18を構成している。前記摺動部材21の外周面の4か所に一直線状の歯部21B…を形成し、この歯部21B…に嵌合する孔22B…を前記ガイド部材22の内面に形成して、角形スプラインを構成している。図に示す23は、摺動部材21の抜け止め用のカバーキャップであり、図6にも示すように、ガイド部材22の端部内面に形成された雌螺子部22Aに対してねじ込み固定するためにカバーキャップ23の先端外面に雄螺子部23Aが形成されている。
【0012】前記螺子軸10の長手方向両端部にそれぞれ螺子部のないストレート軸部10Aを備えさせ、これら2つのストレート軸部10A,10Aのうちの背部床6が最下降位置に位置したときのストレート軸部10Aに移動した摺動部材21を螺子部10Bが形成された螺子部側に移動付勢する弾性体としてのコイルスプリング24を設けている。これら2つのストレート軸部10A,10A及びコイルスプリング24を以て、螺子軸10と押引部材19との連動を解除する解除手段と称するものとする。このようにストレート軸部10A,10Aを設けることによって、背部床6が最上昇位置及び最下降位置に位置すると同時に、摺動部材21がストレート軸部10A又は10Aに位置して、それ以上の上昇操作又は下降操作による螺子軸10の回転力が摺動部材21に伝達されることがない。そして、背部床6が最下降位置に位置している場合に、上昇操作すると、コイルスプリング24により螺子部側に移動付勢されている摺動部材21が螺子部端部に直ちに噛み合い、摺動部材21が螺子部10Bを摺動して、背部床6が上昇されるのである。前記一方のストレート軸部10Aに移動した摺動部材21を螺子部側にコイルスプリング24により移動付勢するようにしたが、他方のストレート軸部10Aに移動した摺動部材21を同様にコイルスプリングにより螺子部側に移動付勢することによって、背部床6からの荷重だけでなくコイルスプリングによる付勢力を用いることによって、更に摺動部材21が螺子部端部に容易に噛み合うことができるようにしてもよい。図に示す30は、コイルスプリング24を受け止めるためのスプリング受部材である。
【0013】前記背部床6からの荷重により前記螺子軸10が回転することを阻止する阻止手段25を設けている。この阻止手段25は、図5および図7に示すように、螺子軸10に外嵌した固定部材26を、寝台側に固定されたケーシング27にビス28を用いて上下2か所で固定するとともに、この固定部材26の内側に形成の複数の収納部26Aにそれぞれ棒状の駒部材29を収納して構成されている。従って、背部床6を下降させるために螺子軸10が回転操作されると、駒部材29が収納面積が減少する側に移動して、駒部材29が収納部26Aと螺子軸10との間に食い込むことにより、図7において螺子軸10の反時計周りの回転が阻止されることになり、上昇操作した後の背部床6が不測に下降することがないようにしている。そして、図に示すように、螺子軸10の非操作状態では回転が阻止され、且つ、操作状態では制動方向への回転操作を容易に行える程度の制動力が該螺子軸10に付与されるように、制動方向側の内面26Bが徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くように前記収納部26Aを形成することによって、前記食い込み力を螺子軸10が背部床6からの荷重を受けて回転しない程度の制動力に設定することができるから、制動方向への螺子軸10の回転操作力を可及的に小さくすることができる。詳述すれば、図9に示すように、前記収納部26Aは、螺子軸10の中心を通る縦ラインから制動方向側へθ1(実際には35°)及び前記縦ラインから非制動方向側へθ2(実際には20°)の角度範囲となるように形成している。そして、螺子軸10の中心点Rから図において右側に0.3mm(違いを明確化するために図では0.3mmよりも多く取っている)寄った位置rから円弧を描くことによって、前記内面26Bを形成するようにしている。前記位置rは、水平方向右側に移動させた位置に設定したが、上方右側に移動させた位置又は下方右側に移動させた位置に設定してもよく、制動方向側の内面26Bが徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くことができるのであれば、位置rは何処に設定してもよい。このように内面26Bを形成することによって、中心点Rから1点鎖線で円弧を描いたものと内面26Bとの間に小さな寸法差aが発生し、この寸法差aの大きさにより螺子軸10が受ける制動力が決定されることになる。尚、前記螺子軸10を金属製に、前記駒部材29を金属製に、前記固定部材26を合成樹脂製にし、且つ、前記寸法関係にしたときに、食い込み力を螺子軸10が背部床6からの荷重を受けて回転しない程度の制動力に設定することができたのであるが、これら螺子軸10、駒部材29、固定部材26の材質を変更した場合には、食い込み力を螺子軸10が背部床6からの荷重を受けて回転しない程度の制動力に設定するために、前記寸法関係を変更調節することになる。
【0014】前記阻止手段25を、図8に示すように、2個の駒部材29をそれぞれの収納部26A、26Aに収納した固定部材26から構成してもよく、駒部材29の数量はこれらのものに限定されるものではない。又、前記阻止手段25を、図10(イ)に示すように、前記螺子軸10に外嵌される固定部材26の内側に形成した3つの収納部26Aに嵌まり込む駒部材29から構成するとともに、前記螺子軸10の制動方向側ほど前記各収納部26Aの収納面積が減少するように該収納部26Aを形成してなっている。図10(ロ)では、図10(イ)で示した駒部材29の数を2つにしたものである。
【0015】
【発明の効果】請求項1によれば、床部が最上昇位置又は最下降位置にあるときには、昇降用駆動軸と押引部材との連動を解除することによって、操作部により上昇又は下降方向に昇降用駆動軸を操作しても、昇降用駆動軸が回転するだけで押引部材への動力伝達が行われないから、昇降用駆動軸と押引部材との連動部に負荷が加わり変換部が破損することがなく、長期間に渡って良好に使用できる寝台における床部の昇降操作構造を提供することができる。しかも、操作部をロック操作する等の特別な操作をしなくても、床部からの荷重により昇降用駆動軸が逆回転して、上昇操作された床部が不測に下降することがなく、操作性の向上を図ることができる。
【0016】請求項2によれば、昇降用駆動軸と押引部材との連動を解除するための構成を機械的に連動することによって、電磁クラッチ等により昇降用駆動軸と押引部材との連動の断続を行えるように電気的に連動するものに比べて構造の簡素化及び動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0017】請求項3によれば、制動方向側の内面が徐々に中心側に位置するような緩やかな弧を描くように収納部を形成することによって、駒部材の食い込み力を昇降用駆動軸が床部からの荷重を受けて回転しない程度の制動力に設定することができるから、制動方向への昇降用駆動軸の回転操作力を可及的に小さくすることができ、もって、昇降用駆動軸を逆方向、つまり制動方向に回転操作するための操作を軽快に行うことができながらも、昇降用駆動軸の逆方向への回転を確実に阻止することができる。
【出願人】 【識別番号】390007870
【氏名又は名称】株式会社関西製作所
【出願日】 平成9年(1997)7月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開平11−42256
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−202695