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【発明の名称】 車椅子の逆走防止機構
【発明者】 【氏名】板倉 秀治

【氏名】伊藤 克政

【氏名】竹田 修尚

【氏名】大野 智美

【要約】 【課題】汎用工業製品を利用して、上り坂での停止中に駆動輪またはハンドルを保持していなくても車輪が逆転せず、また左右の車輪に片方づつブレーキを掛けるとき片方の駆動輪を離しても車椅子が不用意に回転する恐れのない、操作し易く安全な車椅子の逆走防止機構を得る。

【解決手段】正方向にだけ回転するワンウエイプーリーを左右の車輪におけるブレーキの作動を妨げない位置に、それぞれ装脱着自在に取り付ける。ねじとナットによって車体の一部に取り付け容易に構成した支持板に、別のねじとナットを介してワンウエイプーリーの組み込まれたトグルクランプを取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 正方向にだけ回転するワンウエイプーリーを左右の車輪におけるブレーキの作動を妨げない位置に、それぞれ装脱着自在に取り付けたことを特徴とする車椅子の逆走防止機構。
【請求項2】 静止リンクの両端に原動リンクの一端と従動リンクの一端をそれぞれ往復揺動するように取付け、原動リンクの他端と従動リンクの他端とを静止リンクに向かい合う中間リンクによって接続した平面4リンク機構における原動リンクの他端にある継手が、思案点を過ぎた位置で締圧させることによって従動リンクの延長端に掛かる反力に対抗できるように構成されたトグルクランプを介して左布の車輪に装脱着自在にワンウエイプーリーを取り付けたことを特徴とする「請求項1」に記載の車椅子の逆走防止機構。
【請求項3】 ねじとナットによって車体の一部に取り付け容易に構成した支持板に、別のねじとナットを介してワンウエイプーリーの組み込まれたトグルクランプを取り付けたことを特徴とする「請求項2」項に記載した車椅子の逆走防止機構。
【請求項4】 ワンウエイプーリーの外周に滑り止め用の溝を切ったことを特徴とする「請求項2」または「請求項3」項に記載の車椅子の逆走防止機構。
【請求項5】 ワンウエイプーリーに摩擦係数の大きいタイヤを嵌装したことを特徴とする「請求項2」または「請求項3」項に記載した車椅子の逆走防止機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、通常の車椅子に付設することのできる傷害者または病弱者に適合させた車椅子の逆走防止機構の改良された構造に関する。
【0002】
【従来の技術】使用者自らあるいは介添者が手動推進する方式の通常の車椅子には、制動手段としてレバーの回動操作によって車輪に作用するブレーキが、左右の車輪にそれぞれ付設されている。また、車椅子が逆走しないようにすることのできる特殊なブレーキや坂道などで休止中に車輪の逆転を防止する機構も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】車椅子によって坂道を登る場合には、坂の勾配に応じて荷重を含む車椅子の全重量に比例して斜面に沿う後向きの分力が働く。このため、平坦な道よりは余分な力を要するわけで介添者の苦労もさることながら、特に使用者自らが車椅子に乗って坂道を登る場合には、車椅子の慣性力を利用して車輪が停止する前に両手で駆動輪を素早く回転させ続けなければならない。したがって、長い坂道や急勾配の登り坂では休息しながら走行することになるが、勾配に向かって止まる場合には、停止中にも駆動輪を支えているか、介添者がハンドルを保持していなければ車椅子の逆走する恐れがある。
【0004】また、坂道の途中で左右の車輪にそれぞれ付設されているところのレバーの回動操作によって車輪に作用する通常のブレーキを掛けて休憩しようとする場合には、先ず両手で駆動輪を支えて左右の車輪を停止させ、片方の手で一方の駆動輪を支えたまま他方の手を素早く駆動輪からブレーキレバーに掴み変えて他方の車輪にブレーキを掛け、つぎに同じような手順でもう一方の車輪にもブレーキを掛ける。しかし、駆動輪を離してからレバーを引いてブレーキが効き始めるまでの間は車輪が解放状態となる。したがって、この車輪は逆転し始め、止まっている一方の車輪における道路との接点を軸として、車椅子が回転(方向転換)することになる。坂の勾配や回転角によってはバランスを崩し、車椅子が転倒する危険さえある。車椅子を再度前進させる場合にも、ブレーキを交互に解放する際には同様な回転力が生じるため極めて危険である。
【0005】車椅子を利用して坂道を登る場合における以上のような不具合を改良するために、特殊なブレーキや車輪の逆転防止手段も種々提案されているが、従来の技術は何れも構造が複雑で傷害者、病弱者または高齢の介添者には使い勝手の悪いものが多い。本発明は、従来の技術におけるこのような欠点を改良するもので、市販の汎用工業製品を利用して、支持板とアタッチメントによりこれ等を組み合わせた簡単な構造でありながら、使用者が駆動輪から手を離しあるいは介添者がハンドルを保持していなくても不用意に車輪が逆転することのない、誰でも操作し易い、安全な車椅子の逆走防止機構を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の車椅子の逆走防止機構においては、正方向にだけ回転するワンウエイプーリーを左右の車輪におけるブレーキの作動を妨げない位置に、それぞれ装脱着自在に取り付けたものである。
【0007】左右の車輪に装脱着自在にワンウエイプーリーを取り付けるには、静止リンクの両端に原動リンクの一端と従動リンクの一端をそれぞれ往復揺動するように取り付け、原動リンクの他端と従動リンクの他端とを静止リンクに向かい合う中間リンクによって接続した平面4リンク機構における原動リンクの他端にある継手が思案点を過ぎた位置で締圧させることによって従動リンクの延長端に掛かる反力に対抗できるように構成されたトグルクランプを介してブレーキの作動を妨げない位置にワンウエイプーリーを取り付けると効果的である。
【0008】また、ねじとナットによって車体の一部に取り付け容易に構成した支持板に、別のねじとナットを介してワンウエイプーリーの組み込まれたトグルクランプを取り付けるとよい。
【0009】さらに、ワンウエイプーリーの外周に滑り止め用の溝を切って置くことが好ましい。
【0010】また、ワンウエイプーリーに摩擦係数の大きいタイヤを嵌装しても良い。
【0011】
【作用】前記のように構成された逆走防止機構を備えた車椅子に使用者が乗車して坂道を登る場合には、左右の車輪にそれぞれ正方向(前進方向)にだけ回転するワンウエイプーリーを押しつけることによって予め装着して置く。このようにして置けば使用者が駆動輪から片手あるいは両手を同時に離し、あるいは介添者がハンドルを保持していなても、左右の車輪はワンウエイプーリーの摩擦力によって逆転することがなく、車椅子はその位置に停止する。
【0012】また、[0004]項に説明した片方の手で一方の駆動輪を支えたまま他方の手を駆動輪からブレーキレバーに掴み変えて他方の車輪にブレーキを掛ける必要が生じた場合にも、駆動輪から手を離した側の車輪にはワンウエイプーリーの摩擦力が掛かっていて車輪が逆転しないから、一方の車輪における道路との接点を軸として、車椅子が回転するようなことはない。
【0013】そして、静止リンクの両端に原動リンクの一端と従動リンクの一端をそれぞれ往復揺動するように取付け、原動リンクの他端と従動リンクの他端とを静止リンクに向かい合う中間リンクによって接続した平面4リンク機構を用いたトグルクランプにおける従動リンクの延長端にワンウエイプーリーを取り付けておけば、前記原動リンクを各レバーによって回動操作することにより、左右の車輪にそれぞれワンウエイプーリーを装脱着自在に取り付けることができる。
【0014】しかも、前項に説明したトグルクランプは、原動リンクの他端にある継手(対偶点B)が思案点を過ぎた位置に締圧することができるように構成されておりこの位置で左右の車輪にそれぞれワンウエイプーリーが装着された場合には、ワンウエイプーリーに車輪の反力が掛かっても、前記従動リンクには装着時と反対向きの力が働くため、ワンウエイプーリーは車輪の反力に対抗して充分な摩擦力を保持することができる。
【0015】平面4リンク機構の作用は周知であるが、念のために代表的なものとして、最短リンクである中間リンク8に向かい合うリンク5を固定した両てこリンク列を図4に示し、その構成と運動を簡単に説明する。両てこリンク列は、静止リンク5の一端に回転対偶(以下継手と略称することもある。)Aを介して接続された原動リンク6と、該リンク6の他端に継手Bを介してへの字に接続された中間リンク8および該中間リンク8の他端に継手Cを介して前記静止リンク5の他端の継手Dに一端を固定された従動リンク7の他端を接続して成るものである。このうち一端を固定された原動リンク6を回動操作して、への字の頂にある継手Bを前記原動リンク8と直角をなす方向に押せば、中間リンク8の他端Cが原動リンク6の延長線に向かって移動しながら一直線に近ずく。一端を固定された原動リンク6の他端にある継手Bは、前記直線A, B,Cを越え、従動リンク7と中間リンク8が重なるB点に達すると、反対方回へ折り返す。この間に、従動リンク7他端の継手CはCで折り返してC点へ戻る。すなわち、4リンクからなる回転対偶A,B,C,Dをもつ両てこリンク列では、図4に示す通り、いずれのリンクも回転しないで、固定リンク5の両側の原動リンク6および従動リンク7は往復揺動するだけである。また、C点にはB点を押す力よりもいちじるしく倍加された前記直線方向の力が働くが、力の倍率は、への字をなす原動リンク8と中間リンク8が一直線に近いほど大きい。図示したように、B点がB,B,B,B点にきた場合、C点はC,C,C,C点にくる。B点は、B点からB点の方向にもB点の方向にも動くことができるから、B点は思案点であり、原動リンクが変わればC点もまた思案点である。原動リンク8の他端にある継手Bが、思案点Bを過ぎた位置にあれば、従動リンク7に反力を受けても、B点はBに向かって圧されるだけでBには戻れない。トグルクランプ9は、このような平面4リンク機構の作用を利用して、従動リンク7の延長端に所定の締圧力を発揮させることができるものである。
【0016】つぎに、本発明「車椅子の逆走防止機構」の好適な別の例として、両てこリンク列と類似の往復揺動運動をするが、原動リンク6と従動リンク7とが交叉し、各リンクの長さの比が前項の例とは異なる平面4リンク機構を用い、蔓巻き捻りばねTおよびストッパーS,S等によって運動範囲を規制する形式のトグルクランプ(属に日本タイプ・トグルクランプという原動リンク6が長く、中間リンク8内折式の締め金)のうち、下圧型トグルクランプを用いた逆走防止機構の運動を、図5に従って説明する。この例でも回転対偶A,B,C,Dをもつリンク列の静止リンクを5とすれば、B点が初期の点BからB,B,B点にきた場合、C点はC,C,C,C点にくる。この場合にはB点は、原動リンク6と重なる線上にC点がくるB点からB点の方向にもB点の方向にも動くことができる。従って、B点は思案点であり、この点を過ぎたB点にB点が停止するようにストッパSを設けて置けば、従動リンク7に反力Pが掛かってもB点はBの方へ戻ることはない。(この場合には、従動リンク7を原動リンクと見做せばよい。)この例では、原動リンク6に比し従動リンク7や静止リンク5が短いため、原動リンク6と中間リンク8とは、直線に近いへの字(鈍角)にはならないがBにおける原動リンク6と中間リンク8とのなす角度が小さければ、大きい締圧力を発揮することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0018】
【実施例1】図1〜図5において、1,1は車椅子20の前進方向(図1および図5に示した車椅子20の左側では車輪2と逆方向の右回転(矢印ア)、車椅子20の右側では左回転(矢印イ))である正方向にだけ回転するワンウエイプーリー。4,4はトグルクランプのレバーの回動操作によって左右の車輪2および3にブレーキ片が食い込む形式の通常のブレーキであるが、「従来の技術」と同一であるため、図1にブレーキ4の解放状態を実線で、車輪2の制動手段として締圧した状態を2点鎖線で示すことによって詳細な説明は省略する。そこで先ず、図1に示したように左側のワンウエイプーリー1を車椅子20の左側の車輪2の外周面へ押し付けて装着する方法を説明する。図2および図5に示すように、当初、原動リンク6の他端は蔓巻き捻りばねTとストッパーSの作用によりB点に、従動リンク7の他端はC点にあるため、ワンウエイプーリー1が車輪2から離れた位置(図5の左側)に止まっている。左側のトグルクランプ9のレバー21を、下圧方向(矢印ウ)に回動操作することによって、継手Aでその1端を静止リンク5の1端にピン止めされた原動リンク6を揺動させる。この平面4リンク機構の構成と作用については「0016」項にも説明したが、原動リンク6の他端には継手Bを介して中間リンク8の1端が接続され、その他端は継手Cを介して、1端を前記静止リンク5の他端である継手Dにピン止めされた従動リンク7の他端に接続されているため、従動リンク7の延長端にアタッチメント40を介して取り付けられたワンウエイプーリー1が、左側の車輪2に近づく向き(矢印エ)に揺動する。
【0019】図1および図5に示すように、原動リンク6の他端にある継手Bが、思案点Bを僅かに過ぎた位置B(中間リンク8の他端Cが、原動リンク6の両端A,Bを結ぶ線より上に来る位置)で、ストッパーSによって原動リンク6は停止し、ワンウエイプーリー1が左側の車輪2の外周面を締圧する。図5および「0016」項で説明した通り、B点が思案点Bを過ぎているため(B点)、ワンウエイプーリー1すなわち従動リンク7に車輪2の反力Pが掛かっても、B点はBの方向へは戻れない。原動リンク6と中間リンク8の成す角度が小さいため、ワンウエイプーリー1は、坂道の勾配に基づく後向きの分力によって車輪2が滑らない程度の力で、車輪2の外周面を締圧することができる。
【0020】ワンウエイプーリー1は、「0018」項に説明した通り、正方向(矢印ア)にだけ回転するものであるから、これに締圧された左側の車輪2は、車の前進方向(矢印イ)にだけ回転することができ、坂道を登る場合に、利用者が車輪2の外側に取り付けられた車輪2用の駆動輪22から手を離し、あるいは介添者がハンドル23を保持していなくても車輪2の逆転することはない。また、右側の車輪3にブレーキ4を掛けた状態で、左側の駆動輪22から手を離しても、左側の車輪2は、正方向にだけしか回転できないワンウエイプーリー1の摩擦力に保持されて、逆転することがなく、その位置に保持される。したがって止まっている一方の車輪における道路との接点を軸として、車椅子が回転する恐れはない。以上、主として左側の「車椅子の逆走防止機構」について説明したが、図2,3に示したように、本機構は対称な構造のもの(ワンウエイプーリー1の回転方向も逆)が、車椅子20の左右に各1組取り付けてある。つぎに、右側のトグルクランプ9のレバー21を、下圧方向(矢印ウ)に回動させることによって、右側のワンウエイプーリー1を右側の車輪3に近づく向き(矢印エ)へ揺動させ、右側の車輪3の外周面へ押しつけて装着するが、その操作、作用および効果は、左側と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0021】この実施例では、ワンウエイプーリー1,1とトグルクランプ9,9の組からなる「車椅子の逆走防止機構」を車椅子20を改造することなく簡単に取り付けることのできる工夫がなされているので、その構成と簡単な取付手段について説明する。車椅子20には通常ブレーキ4,4を取り付けるために、車体25の一部にブレーキ取付板26,26が設けられている。この例では車体25に溶接されているブレーキ取付板26,26を利用して、その内側にそれぞれ左右の「車椅子の逆走防止機構」を取り付けた。図2に明示したように、予め上部に、ブレーキ取付板26,26のブレーキ取付用長孔27,27と同間隔に2つの孔を穿孔した逆L字形の支持板28,28を作って置く。先ず、ブレーキ取付板26,26を挟んで、その外側にブレーキ4,4を、内側に前記支持板28,28を同一のねじ10,10・・とナット11,11・・を介して同時に仮締めし、前記長孔27,27に沿ってブレーキ4,4を動かしながら、ブレーキ4,4の締圧力すなわち締め付け位置を調節する。
【0022】このようにして、ブレーキ4,4の締め付け位置が決まると、前記ねじ10,10・・にナット11,11・,を締め付けて、支持板28,28をこの位置に固定する。支持板28,28の下部には、予めブレーキ4,4の作動を妨げない位置に、トグルクランプ9,9が来るように、トグルクランプの取付孔と同間隔にこれより僅かに大きい2つの孔が穿たれているため、この孔にトグルクランプ9,9の取付孔を合わせて、別のねじ31,31・・とナット32,32・・により、この位置にワンウエイプーリー1,1の組み込まれたトグルクランプ9,9を取り付ければ、トグルクランプ9,9とワンウエイプーリー1,1を簡単に所定の位置に取り付けることができる。
【0023】33,33は、締圧力を微調整する位置調節子であり、ワンウエイプーリー1,1が滑ったり、車輪2,3に対する締圧力が強すぎる場合には、一旦前記ねじ31,31・・とナット32,32・・を弛めて位置調節子で締圧位置すなわち締圧力を調節したのち、締め替えればよい。
【0024】市販のワンウエイプーリー1,1は、その表面が滑らかに作られていて制動輪として利用するには摩擦係数が低すぎる。このため、本実施例では、図1、2に示すように、その外周に摩擦係数の大きいゴム製のタイヤ34を嵌装したワンウエイプーリー1,1を使用した。
【0025】
【実施例2】さらに、図示は省略するが、タイヤの表面に種々の形状に刻まれた滑り止めの溝(トレッド・パターン)を設けて、ワンウエイプーリー1,1の表面における摩擦係数を増し、車輪2,3に対する締圧力を下げることもできる。
【0026】
【実施例3】卜グルクランプは、「実施例1」に例示したような形式の下圧型に限るものではなく、これとは逆方向の動きをするもの、すなわちレバー21を持ち上げれば従動リンク7が締圧されようなものを利用してもよい。トグルクランプやワンウエイプーリーは、汎用工業製品として種々の形式や大きさのものが販売されている。このため、各種の車椅子に合わせて、左右の車輪2,3におけるブレーキ4,4の作動を妨げない位置に、それぞれ装脱着自在に取り付けることのできるトグルクランプとワンウエイプーリーの組み合わせを選べばよい。しかし、本発明を実施する場合には、混乱を避けるためにレバー21の作動方向を定めて置くことが好ましい。
【0027】
【実施例4】さらに、「0020」項に、支持板28,28の下部にトグルクランプの取付孔と同間隔に2つの孔を穿ち、この孔に合わせて、別のねじ31,31・・とナット32,32・・により、ワンウエイプーリー1,1の組み込まれたトグルクランプ9,9を取り付ける構造を例示したが、この構造も必須要件ではなく、支持板の下部に予めワンウエイプーリー1,1の組み込まれたトグルクランプ9,9を溶接して置いてもよい。
【0028】
【実施例5】以上、トグルクランプ9,9を介して左右の車輪2,3に装脱着自在に1,1を取り付けた本発明の好ましい例について説明したが、本発明「車椅子の逆走防止機構」では、トグルクランプ9,9を用いることが必須要件ではない。例えば自転車用発電機等の装脱着に利用される“蔓巻き捻りばね送りてこ”を用いてワンウエイプーリー1,1を左右の車輪2,3におけるブレーキ(図示省略)の作動を妨げない位置にそれぞれ装脱着自在に取り付けることもできる。図6,7に左側の機構の要部のみを示すように、一端41を固定された蔓挙き捻りばね42の内側に、輻方向にてこ43を植設した丸軸44を差し込み、前記ばね42の他端を丸軸44に止め付ける。支持板28’に支点45を枢止されたレバー21’を矢印オの向きに回動操作して前記てこ43を押せば、丸軸44に取り付けられたアタッチメント40’を矢印カの方向に揺動し、ワンウエイプーリー1,1を左側の車輪2の表面に装着することができる。
【0029】この例では、ワンウエイプーリー1,1の車輪2,3に対する締圧力が比較的大きくとれ、利用した車椅子には空気圧の掛かった中空の車輪2,3が使用されていたため、前述のタイヤ34な省略し、図6,7に示した金属製ワンウエイプーリー1,1の表面に、軸に平行な36本の滑り止め溝15を刻設することで、車輪2,3に対して必要な摩擦係数を確保した。
【0030】
【実施例6】以上本発明の種々の実施例について説明したが、本発明は、このほか[特許請求の範囲]に記載した範囲内において種々の異なる実施態様で実施することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0032】左右の車輪にワンウエイプーリーが装着されている限り、両車輪には常時締圧力が掛かっていて、何れの車輪も逆転することはない。このため、「従来の技術」の項に記載したレバーの回動操作によって車輪に作用するブレーキのみが、左右の車輪にそれぞれ付設されている通常の車椅子のように、車椅子の利用者が登り坂の途中で休息する間も駆動輪を保持している必要がない。また、疲れ、誤操作その他で駆動輪から両手を離し、あるいは介護者がハンドルを保持していなくても、車椅子が逆走する恐れはない。したがって、利用者は自分の体力に合ったペースで駆動輪を回転させればよく、疲れて休憩をする都度ブレーキを掛けなくても、駆動輪の回転を止めれば、車椅子はその位置に停止する。介護者がハンドルを押して操作する場合にも、停止中に車椅子の逆走する恐れがないため、休息時まで緊張してハンドルを保持している必要がなく、心身ともに楽である。
【0033】長い登り坂の途中で休憩するに当たり、左右の車輪に片方ずつブレーキを掛ける場合に、駆動輪から手を離した側の車輪にもワンウエイプーリーの締圧力が掛かっているため、この車輪は逆転しない。同様に、再度前進する際にブレーキを交互に解放しても、ブレーキの掛かっていない側の車輪が逆転することはない。したがって、止まっている一方の車輪における道路との接点を軸として、車椅子が回転する恐れはなく、車椅子が転倒する危険性もない。
【0034】また、本発明「車椅子の逆走防止機構」は、登坂に先立ち、左右のトグルクランプにおけるレバーを下圧または引き上げるだけのワンタッチ操作で、左右の車輪にワンウエイプーリーを装着しておけば、途中で複雑な操作をする必要がない。このため、誰でも容易に操作をすることができる。
【0035】さらに、ワンウエイプーリーをブレーキの作動を妨げない位置に、それぞれ装脱自在に取り付けることができるように、各々の車椅子の構造や寸法に合わせて支持板およびワンウエイプーリーのアタッチメントを設計、製作して置けば、これらに市販のトグルクランプとワンウエイプーリーとを組み合わせただけの簡単な機構であるから、全ての車椅子について、何等改造することなく簡単に取り付けることができる。さらに、ねじとナットによって車体の一部に取り付け容易に構成した支持板に、別のねじとナットを介してワンウエイプーリーの組み込まれたトグルクランプを取り付けることができるように構成しておけば、車椅子への取り付けは一層容易となり、汎用性が増す。
【0036】しかも、小さい機構であるから、車椅子に取り付けて置いて、車椅子を平坦地で使用するときや後退するときその他本発明「車椅子の逆走防止機構」を利用する必要がない場合には、レバーの操作によりワンウエイプーリーを左右の車輪から外して置けば、車椅子の操作や収納の障害となることはない。
【出願人】 【識別番号】593108668
【氏名又は名称】株式会社フクトクダイヤ
【出願日】 平成9年(1997)7月11日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−28231
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−220602