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【発明の名称】 車椅子
【発明者】 【氏名】渡邊 喜雄

【氏名】増野 義明

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】人が乗車して移動する車椅子において、誘導機能を備えていることを特徴とする車椅子。
【請求項2】請求項1の車椅子において、車椅子の進行速度とバスの発着時刻を比較検討する機能を備えていることを特徴とする車椅子。
【請求項3】請求項1の車椅子において、通行予定経路の障害物と段差について情報を有していることを特徴とする車椅子。
【請求項4】請求項1の車椅子において、投薬の管理機能を備えていることを特徴とする車椅子。
【請求項5】請求項1の車椅子において、進行方向1メートルから3メートルの範囲の路上に光を照射することを特徴とする車椅子。
【請求項6】請求項1の車椅子において、分岐点毎に各進行方向を選択した場合の予想状況を提示することを特徴とする車椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は誘導機能を備えた車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車椅子1は図8に描くように利用者2が座り、大型車輪3に取り付けられた車回し4を手で回して進行する器具であった。転倒を防ぐために小車輪5が備えられており、補助者用のハンドル6も備えられている。
【0003】前記利用者が目的地に向かう場合には、市販されている地図7を見て自身で進行経路を選択して実行することが一般的であった。知人や自身のメモを参考として過去に実績のある経路を効率良く選択して実行できる場合もあるが、極限られたケースである。前記ケースにおいてもメモを作成した時期とだいぶ間隔があいた場合にはその信頼性が乏しく思わぬ不便に陥ることもある。そのような悪いケースにおいてはその挽回をすることは困難で途方に暮れることも稀ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の車椅子では、目的地への経路は少ない情報から決めていかなければならないので、しばしば深刻な困難に遭遇する。バスを利用しようとバス停に向かったところその路線にはその時間には車椅子が利用できる最新のバスが運行されていなかったり、歩道に生えた電柱が車椅子の通行を妨げていたり、歩行者には問題とならないが車椅子にとっては乗り越えることができない凹みやでっぱりに道を阻まれたりすることもある。車椅子の利用者が熟知している地域では困難も少ないがあまり経験のない地域では必ずといって良いほど困難に遭遇する。このことが車椅子利用者が自分自身で行動範囲を限定してしまう原因ともなっており、行動範囲が広がらない悪循環が生じている。
【0005】補助者が車椅子を押す場合にも上記と同様な課題があるが、その他にも互いの意思の疎通に関して問題を抱えている。車椅子の進行方向は座っている利用者自身の望む方向であるべきなのだが、実際には押している補助者の操作に依存して進行方向が決まる。利用者と補助者の意思の疎通が悪い場合にはこのことが互いの不満の原因となりかねない。曲がり角毎に方向を確かめ合うのも繁雑で補助者にストレスが溜まり、確認しないで不用意に補助者が異なる方向に操作してしまうと利用者に不満が溜まる。
【0006】車椅子を利用する者は健康上の障害があるのであって、投薬を行っている場合も少なくない。この投薬が外出をおっくうにしている原因の一つである。外出中に薬の交換時間がきてしまうと考えるとどうしても外出を控えてしまう。投薬のように気にしていなければならないことがある中で出発点から様々な経由ポイントを把握して目的地にたどり着くのは大きな負担である。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の車椅子は、人が乗車して移動することに加えて誘導機能を備えていること、または、人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、車椅子の進行速度とバスの発着時刻を比較検討する機能を備えていること、または、人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、通行予定経路の障害物と段差について情報を有していること、または、人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、投薬の管理機能を備えていることまたは、人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、進行方向1メートルから3メートルの範囲の路上に光を照射すること、または、人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、分岐点毎に各進行方向を選択した場合の予想状況を提示することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明の車椅子は、人が乗車して移動することに加えて誘導機能を備えていることによって、車椅子利用者にとって熟知していない地域でも安全に効率良く通行ができる。人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、車椅子の進行速度とバスの発着時刻を比較検討する機能を備えている場合には、車椅子を利用できるバスに間に合うように誘導することができる。人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、通行予定経路の障害物と段差について情報を有している場合には、実際には車椅子では通行できない経路や困難な経路について事前に察知して不可能もしくは困難な経路を避けて誘導することができる。人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、投薬の管理機能を備えている場合には、投薬のタイミングを利用者に知らせて投薬を確実に行うことができる。誘導機能と組み合わされていることによって投薬に支障がある外出を禁止する等の予防ができる。人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、進行方向1メートルから3メートルの範囲の路上に光を照射する場合には、車椅子の進行方向の誘導が実空間上の場所によって具体的に示されるので誘導が明確である。人が乗車して移動することと誘導機能を備えていることに加えて、分岐点毎に各進行方向を選択した場合の予想状況を提示する場合には、進行方向の分岐点毎に車椅子利用者がその進行方向を判断し直せる。この判断に必要な情報を分岐点毎に更新して提示することができる。誘導のための人力操作の負担が軽減される。
【0009】
【実施例】本発明請求項1に対応する実施例を図1を用いて説明する。図1は誘導装置を備えた車椅子である。図1において、車椅子1’には利用者3が腰掛けて、大型車輪3、車回し4、小車輪5、補助者用のハンドル6を備えている。さらに、位置認識のためのGPS装置8を備えている。このGPS装置とはグローバル・ポジショニング・システムのことである。本発明のGPS装置では建物の中などでGPS用の電波が届かない状況に備えて左右の大型車輪の回転数、小車輪の回転数と向き、そして車椅子の加速度を検知して移動経過を算出する機能が備えられている。そして、建物が独自に発信する位置情報のサービス電波にも対応する機能を備えている。
【0010】前記利用者の手元には誘導情報を表示するための情報端末9が備えられている。この端末に備えられている情報表示画面と入力キーボードを用いて予めこの利用者が目的地を入力しておくと、前記画面にはこの車椅子が進行すべき方向を矢印で表示する仕組になっている。本発明の車椅子では前記GPS装置から自身の絶対位置を得てデータベースとして記憶している地図情報、建物の内部構造情報、車椅子自身の寸法や利用者の障害の程度等の情報と比較検討して、その結果として進行すべき方向を表示する。前記進行すべき方向の表示の際に、気を付けるべき事柄も同時に表示する。例えば、路面に多少の段差があるとか、路面が汚れているので建物に再度入る場合には車輪のクリーニングが必要であるといった内谷である。必要に応じて補助者用表示10にも進行方向等の情報を表示する。
【0011】本発明請求項2に対応する実施例を図2を用いて説明する。図2は前記情報端末9の画面の一例である。この画面は利用者が自宅から最寄りのバス停まで行ってバスを利用する場合に表示されている画面の例である。図において、道路11に自分自身の現在位置12が白丸として描かれている。目的地であるバス停13は黒丸で描かれている。画面上には車椅子にとっての通行可能経路14と通行困難経路15がそれぞれのハッチングパターンで描かれている。本発明の車椅子はバス停までに費やす時聞を計算して間に合うバスを検索する機能を有していて検索されたバスの到着時刻を画面に表示する(図では8:15が該当)。前記バスの検索の際には車椅子が乗り込めるバスの型式であるかも考慮される。また、バスが現在どの辺りを走っているか確認できるようにバスの運行情報を受信する機能が前記情報端末に備えられている。さらに、バスに信号を送り、バス停で車椅子が待っていることを事前にバス運転手に知らせる通信機能も備えられている。
【0012】本発明請求項3に対応する実施例を図3及び図4を用いて説明する。本発明の車椅子は車椅子が通行可能であるかを予測することができる。図3の(あ)には歩道16に電信柱17が生えている状況を描いた。そしてこの電信柱が障害物となり車椅子1’が通行できない様子を示している。このように障害物がある歩道を知らずに進んできて通行できずに引き返すことは時間と労力が無駄であることに加えて、車椅子通行の不便を痛感して精神的ダメージも大きいために極力避けたいトラブルである。本発明の車椅子では前記電信柱が生えている歩道に入り込まないように情報端末に表示する機能を有する。
【0013】具体的に述べる。図3の(い)は前記電信柱付近に車椅子利用者がいる場合の情報端末の表示例である。車椅子利用者の現在位置12が右下の部分に白丸として描かれている。そして、電信柱が生えて通行ができない歩道16の入り口部分に通行不可能表示18が描かれている。この通行不可能表示は前記道路の入口に描かれていることが特徴である。この描かれている位置をさらに厳密に表現すると、車椅子利用者がその目的地にたどり着く際に、逆戻りしなくても別の道を選択すれば目的地に着くことが可能な位置のことである。
【0014】図4の(あ)は車椅子1’の利用者2が窪み19にはまってしまっている場合を描いている。緩やかな傾斜20と急な段差21がある。この状況では車椅子の利用者は前記緩やかな傾斜の方に進んで窪みを抜け出すべきであるが人ごみの中で床面がよく見えない状況では誤って段差の方に進んでしまい、窪みから抜け出せなくて途方に暮れてしまうことも起きる。
【0015】図4の(い)には前記状況を情報端末に表示している状況を描いた。図3の(い)と同様に通行不可能表示18によって段差21の方向を避けるように指示表示してある。結果として傾斜20の方向を通って窪みを抜けることになる。
【0016】請求項4に対応する実施例を図5を用いて説明する。図5は投薬の管理機能を備えていることを特徴とする車椅子の例である。車椅子1’は図1で示した車椅子とほぼ同一の仕様である。利用者2に投与するための薬22が備えられている。この図では点滴液である。利用者の健康状態を診断するための脈拍計23が利用者の腕に取り付けられている。ここで脈拍計が異常を示した場合にはその点滴液の性質によっては投与を中断したりさらに割り増しで投与したりの応答を示す。平常時においても点滴の交換時期が来ればそのことを情報端末に表示するとともに予告灯24が点滅する。GPS装置8で得た位置情報と組み合わせることで、薬の交換時期にちょうど薬局の前を通過するように誘導する機能を有している。
【0017】本発明請求項5に対応する実施例を図6に描く。図6は本発明の車椅子1’に乗った利用者2が補助者25の助けを借りて移動している様子である。進行方向1メートルから3メートルの範囲の路上に光26を照射することを特徴としている。この光は赤色レーザーで、消費電力を低く抑えている。車椅子が誘導する方向を床面での赤色レーザーで示す。補助者と利用者はそのレーザー光が示す方向について心積りをしておくことができる。他の歩行者がいる場合まで想定するとあまり遠くまでレーザー光が延びるのは好ましくない。逆にあまり近いところに向けて照射するとどちらに向かうかがはっきりしなくなる。進行方向1メートルから3メートルの範囲の路上に光を照射することが好ましい。
【0018】図7に本発明請求項6に対応する実施例を示す。図7は分岐点毎に各進行方向を選択した場合の予想状況を提示することを特徴とする車椅子の情報端末による表示例である。建物27に階段のアプローチを有する入口28とスロープのアプローチを有する入口28’が備えられていることが表示されている。このように目の前の分岐点に関して、それぞれの道を選んだ場合に遭遇する状況を分かりやすく、判断しやすく表示することが特徴である。車椅子の利用者は、例えば補助者に抱き抱えてもらって入口に入ろうと思えば左の入口を選択するし、車椅子で入ることを希望すれば右を選択することになる。分岐点毎にこのような情報を提示して判断できるようにする。
【0019】以上、本発明の車椅子について実施例を述べてきたが、この発明は電動の車椅子、電動3輪車といった段差や障害物に弱い移動機器一般に通用するものである。
【0020】
【発明の効果】本発明の車椅子を用いると段差や障害物によって進行を妨げられたり危険な目にあったりすることを未然に防ぐよう誘導することができる。
【出願人】 【識別番号】597114591
【氏名又は名称】渡邊 喜雄
【識別番号】595116854
【氏名又は名称】増野 義明
【出願日】 平成9年(1997)7月9日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−28227
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−218908