トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 車椅子運転型車両
【発明者】 【氏名】ブル−ス エル アナフィ−ルド

【要約】 【課題】通常仕様の車両にて身体障害者が車椅子に着座した状態で運転できる車椅子運転型車両を提供する。車椅子着座の身体障害者が介添えなしで単独で車両に乗り込み、運転を可能とする。このときの運転者の安全を高める。

【解決手段】リフト11により人が着座した車椅子12を車室内に搭載する。固定手段13、補助安全装置15により車椅子を運転席位置に固定する。車椅子搭乗者はジョイスティック14、補助操作部材15により車両を運転できる。リフトはワイヤレスリモートコントロール機器で操作できる。車椅子が固定されるとエンジン起動が可能である。バックアップブレーキシステム、倍力ブレーキシステム、バックアップステアリングシステムを備える。ステアリング操作力も倍力できる。リフト設置位置から運転席位置までの床を、その他の部分よりも低くし、車椅子の移動を容易としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記リフト手段は車室外で操作可能とした車椅子運転型車両。
【請求項2】 上記リフト手段は、ワイヤレス方式のリモートコントロール機器で操作可能とした請求項1に記載の車椅子運転型車両。
【請求項3】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記固定手段により車椅子が固定されたことを検知してエンジン起動などの運転のための操作を可能とした車椅子運転型車両。
【請求項4】 上記運転席の床にラッチ部材を設けるとともに、このラッチ部材に係止されるピンを車椅子に突設し、ピンがラッチ部材に係止されたことを検知してエンジンを始動可能とした請求項3に記載の車椅子運転型車両。
【請求項5】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、メインのブレーキシステムが故障したとき動作可能なバックアップブレーキシステムを備えた車椅子運転型車両。
【請求項6】 上記バックアップブレーキシステムは、バックアップ用のオイルポンプを有し、このオイルポンプは、メインのブレーキシステムが備えるオイルポンプからの油圧に代わって必要な油圧を発生可能である請求項5に記載の車椅子運転型車両。
【請求項7】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段により操作されるブレーキには操作力を倍力する倍力ブレーキシステムを備えた車椅子運転型車両。
【請求項8】 上記倍力ブレーキシステムは、メインのブレーキシステムとは別系統で作動するバックアップブレーキシステムに組み込まれた請求項7に記載の車椅子運転型車両。
【請求項9】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、メインのステアリングシステムが故障したとき動作するバックアップステアリングシステムを備えた車椅子運転型車両。
【請求項10】 上記バックアップステアリングシステムは、メインのパワーステアリングシステムに対する必要な油圧を補償する請求項9に記載の車椅子運転型車両。
【請求項11】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、操作力を倍力することができる倍力ステアリングシステムを備えた車椅子運転型車両。
【請求項12】 倍力ステアリングシステムは、ジョイスティックを含む請求項11に記載の車椅子運転型車両。
【請求項13】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、この運転席位置に固定された車椅子およびこれに着座した人をさらに車両に固定するための補助安全装置を備えた車椅子運転型車両。
【請求項14】 上記補助安全装置は、一端が車両に固定され、他端が車両に対して着脱自在に設けられたベルトである請求項13に記載の車椅子運転型車両。シートベルトは予め装着した状態にあり、上述の固定装置に車椅子を固定した際にはシートベルト装着状態となる。
【請求項15】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、車椅子に着座した人が手で操作可能なハンドコントロール部材を備えた車椅子運転型車両。
【請求項16】 上記ハンドコントロール部材は、操作力を倍力してブレーキペダルおよびアクセルペダルに伝達する請求項15に記載の車椅子運転型車両。
【請求項17】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、ジョイスティックを含み、ジョイスティックを操作することにより車両固有のブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング部材を操作可能な車椅子運転型車両。
【請求項18】 上記ジョイスティックは、上記ブレーキペダル、アクセルペダルを操作するためのアクチュエータを動作させる請求項17に記載の車椅子運転型車両。
【請求項19】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、車椅子に着座した人が操作可能な運転席近傍の車体に操作部材を備えるとともに、この操作部材による操作結果を表示する表示パネルをこの固定された運転席の前方に配設した車椅子運転型車両。
【請求項20】 上記操作部材は、プッシュ式のボタンを有し、このボタン操作によりブレーキ、アクセル、ステアリング以外の車両運転に必要な機能を操作可能とした請求項19に記載の車椅子運転型車両。
【請求項21】 人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記リフト手段の設置位置から上記車室内の運転席位置までの床を、その他の部分の床よりも低く形成した車椅子運転型車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は車椅子運転型車両、詳しくは車椅子に座った身体障害者がそのまま運転することができる車椅子運転型車両に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、身体障害者が運転することができる車椅子運転型車両についての提案はいくつかなされている。例えば特開平1−291864号公報に開示する身体障害者用自動車である。このものは、前後輪を具備する自動車の床の運転席位置に、車の床に側方から切欠部を形成し、この切欠部位置に車椅子を着脱自在に固定可能としてある。そして、この自動車では、切欠部からなる運転席位置に車椅子を設置して上下動する昇降装置を設けてある。また、上記切欠部からなる運転席位置から車の側方へ出入自在とした架橋装置を設けたものも開示してある。さらに、前後輪を具備する自動車の床の運転席位置に、車の床の側方から切欠部を形成してある場合についても開示してある。
【0003】つまり、この提案は、車体運転席床部に切り欠きを形成し、この切り欠きに車椅子を乗り入れて着座したまま車両を運転させるものである。しかしながら、このものでは、運転席床面を切り欠いている構成などのため、その床面下方に配設される車軸などを始めとした駆動系の大幅な改造が必要であった。
【0004】また、別の従来例としては、特開平1−309811号公報に開示する低床小型車両がある。この車両は、後方が開いた略平板状の床面を有するボデーを備え、左右一対の後輪を上昇させることによってボデー後部を下降させ、床面の後方から車椅子の乗降を可能にした低床小型車両である。すなわち、この車両はいわゆる小型カートであって、屋根などの構造自体が排除されていた。よって、通常の車両と同様の走行などは期待することができず、限定的に使用されるものであった。
【0005】さらに、他の従来例としては、特公昭62−19181号公報に開示する身体障害者用自動車が知られている。この自動車は、ボックス型の車体に50cc未満のエンジンによる駆動装置を装備するとともに、後部扉側の開口部に搭乗用のブリッジを着脱可能に装架し、車体の内部に、車椅子に腰掛けたままの運転者を収容し得る大きさに形成した無座席の収容空間を設け、この収容空間の左右に車椅子固定装置と前部にバーハンドルによる操縦装置とを設置している。すなわち、この自動車も上記各従来例に示すものと同じく、小型カートに類する構造であって、その用途は限定的に使用されるものに過ぎなかった。例えば特定のコースなどを走行することのために使用される程度のものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の提案に係る身体障害者用車両にあっては、以下のような課題を有していた。すなわち、車椅子に乗った身障者が単独で車両に乗り込むことができなかった。介護者を必要としている。また、運転中における車椅子に座った身体障害者の安全についての考慮がなされていなかった。これらは、すべて、従来のこの種の小型車両自体が、身体障害者用に設計されたものであるためである。すなわち、健常者が運転する仕様の自動車について、身体障害者が車椅子に座ったままでその運転を可能とするという思想が存在していなかったからである。よって、このような従来の身体障害者用車両は、現実には製造・販売されることがなかった。
【0007】そこで、この発明は、健常者が運転可能な通常仕様の車両において、身体障害者が車椅子に着座した状態で運転することができる車椅子運転型車両を提供することを、その目的としている。また、この発明は、車椅子に着座した身体障害者が介添えなしで単独で車両に乗り込み、かつ、運転を可能とした車椅子運転型車両を提供することを、その目的としている。さらに、この発明は、運転者の安全を考慮した車椅子運転型車両を提供することを、その目的としている【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記リフト手段は車室外で操作可能とした車椅子運転型車両である。なお、この車椅子運転型車両とは、車椅子に乗った人がその状態で運転可能なように構成された車両のことを意味している。
【0009】請求項2に記載した発明は、上記リフト手段は、ワイヤレス方式のリモートコントロール機器で操作可能とした請求項1に記載の車椅子運転型車両である。ワイヤレス方式のリモートコントロール機器は、昇降リフト等(リフト手段)が組み込まれたドア部の開閉を可能とし、かつ、その昇降リフトを稼動させることができる。例えば電磁波(電波、赤外線など)を媒体として操作する。
【0010】請求項3に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記固定手段により車椅子が固定されたことを検知してエンジン起動などの運転のための操作を可能とした車椅子運転型車両である。例えば固定手段とイグニッションスイッチへの配線とを電気的に接続して固定手段が固定を検知すると、イグニッションスイッチがONとなるように構成することができる。
【0011】請求項4に記載した発明は、上記運転席の床にラッチ部材を設けるとともに、このラッチ部材に係止されるピンを車椅子に突設し、ピンがラッチ部材に係止されたことを検知してエンジンを始動可能とした請求項3に記載の車椅子運転型車両である。
【0012】請求項5に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、メインのブレーキシステムが故障したとき動作可能なバックアップブレーキシステムを備えた車椅子運転型車両である。
【0013】請求項6に記載した発明は、上記バックアップブレーキシステムは、バックアップ用のオイルポンプを有し、このオイルポンプは、メインのブレーキシステムが備えるオイルポンプからの油圧に代わって必要な油圧を発生可能である請求項5に記載の車椅子運転型車両である。
【0014】請求項7に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段により操作されるブレーキには操作力を倍力する倍力ブレーキシステムを備えた車椅子運転型車両である。
【0015】請求項8に記載した発明は、上記倍力ブレーキシステムは、メインのブレーキシステムとは別系統で作動するバックアップブレーキシステムに組み込まれた請求項7に記載の車椅子運転型車両である。倍力ブレーキシステムとしては、例えばマスターバック式、ハイドロマスター式を採用することができる。
【0016】請求項9に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、メインのステアリングシステムが故障したとき動作するバックアップステアリングシステムを備えた車椅子運転型車両である。
【0017】請求項10に記載した発明は、上記バックアップステアリングシステムは、メインのパワーステアリングシステムに対する必要な油圧を補償する請求項9に記載の車椅子運転型車両である。
【0018】請求項11に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、操作力を倍力することができる倍力ステアリングシステムを備えた車椅子運転型車両である。
【0019】請求項12に記載の発明は、倍力ステアリングシステムは、ジョイスティックを含む請求項11に記載の車椅子運転型車両である。
【0020】請求項13に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、運転席に固定された車椅子およびこれに着座した人をさらに車両に対して固定するための補助安全装置を備えた車椅子運転型車両である。補助安全装置としては、車椅子の4輪を車両に固定する機器、車椅子と着座した人を同時に車両に固定するベルトなどがある。
【0021】請求項14に記載した発明は、上記補助安全装置は、一端が車両に固定され、他端が車両に対して着脱自在に設けられたベルトである請求項13に記載の車椅子運転型車両である。
【0022】請求項15に記載の発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、車椅子に着座した人が手で操作可能なハンドコントロール部材を備えた車椅子運転型車両である。
【0023】請求項16に記載した発明は、上記ハンドコントロール部材は、操作力を倍力してブレーキペダルおよびアクセルペダルに伝達する請求項15に記載の車椅子運転型車両である。
【0024】請求項17に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、ジョイスティックを含み、ジョイスティックを操作することにより車両固有のブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング部材を操作可能な車椅子運転型車両である。
【0025】請求項18に記載した発明は、上記ジョイスティックは、上記ブレーキペダル、アクセルペダルを操作するためのアクチュエータを動作させる請求項17に記載の車椅子運転型車両である。
【0026】請求項19に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記運転手段は、車椅子に着座した人が操作可能な運転席近傍の車体に操作部材を備えるとともに、この操作部材による操作結果を表示する表示パネルをこの固定された運転席の前方に配設した車椅子運転型車両である。
【0027】請求項20に記載の発明は、上記操作部材は、プッシュ式のボタンを有し、このボタン操作によりブレーキ、アクセル、ステアリング以外の車両運転に必要な機能を操作可能とした車椅子運転型車両である。例えば、方向指示器ON・OFF、パワーウインドウ開閉、ヘッドライトの上下、クルーズ制御、ギアシフト・アシスト、パワーパーキングブレーキ作動、ラジオ・コントロール、ドアロック、エンジン点火装置ON・OFF、室内灯ON・OFF、クラクションON・OFF、ワイパー操作、ワイパーウォッシャー操作、エアコン制御、昇降リフト操作、ドア開閉などの機能である。
【0028】請求項21に記載した発明は、人が着座した車椅子を車室内に搭載するためのリフト手段と、この車椅子を車室内の運転席位置に固定するための固定手段と、この車椅子に着座した人がその車両を運転するための運転手段とを備えた車椅子運転型車両にあって、上記リフト手段の設置位置から上記車室内の運転席位置までの床を、その他の部分の床よりも低く形成した車椅子運転型車両である。例えば通常仕様車の床面よりも約30cm程度まで下げることとする。
【0029】
【作用】請求項1、請求項2に記載した発明では、リフト手段により人が着座した車椅子を車室内に搭載する。そして、固定手段によりこの車椅子を車室内の運転席位置に固定する。したがって、この車椅子に着座した人は運転手段によりその車両を運転することができる。この場合、上記リフト手段は車室外で、特にワイヤレス方式のリモートコントロール機器で操作することができる。したがって、介添人または他人の手助けなしで、車椅子に着座した人(例えば身体障害者)自身で車両への乗り降りを行うことができる。
【0030】請求項3、請求項4に記載した発明では、リフト手段を用いて人が着座した車椅子を車室内に搭載し、固定手段がこの車椅子を車室内の運転席位置に固定する。また、この車椅子に着座した状態で、人は、運転手段を駆使してその車両を運転することができる。この場合、例えば床のラッチ部材にピンを係止するという固定手段により車椅子が固定されたことを検知してエンジン起動などの運転のための操作を可能としている。これは、固定が不充分な場合の事故などを完全になくすためである。
【0031】請求項5、請求項6に記載の発明では、運転席位置に固定された車椅子に着座した人がこの車両を運転する際、メインのブレーキシステムが故障したとき、バックアップブレーキシステムを動作可能である。例えば必要な油圧をバックアップポンプで発生させるものである。バックアップブレーキシステムの作動は、上記故障検知により自動的にまたは手動により行うことができる。手動による切り替えでは、故障発生をブザー、ランプなどの警告を発して告知するように構成する。
【0032】請求項7、請求項8に記載した発明では、人が着座した車椅子を車室内に搭載し、この車椅子を運転席位置に固定する。車椅子に着座した人が、運転手段を用いてその車両を運転する際、倍力ブレーキシステムがそのブレーキ操作での操作力を倍力する。また、この倍力ブレーキシステムは、メインのブレーキシステムとは別系統で作動するバックアップブレーキシステムにも用いることができる。
【0033】請求項9、請求項10に記載の発明によれば、車椅子に人を乗せたまま、車椅子を車室内に搭載し、運転席位置に固定する。そして、車椅子に着座したまま人(例えば身体障害者)がその車両を運転することができる。その運転操作においては、メインのステアリングシステムが故障したとき、バックアップステアリングシステムが動作することとなる。例えばバックアップ用の油圧ポンプを用いて、メインのパワーステアリングシステムに対してその動作に必要な油圧を補償する。
【0034】請求項11、請求項12に記載の発明では、車椅子に着座した人がその車両を運転する際、ステアリング操作での操作力を倍力することができる。例えばステアリングホイールの径を変更したり、パワーステアリングのパワーシリンダでの発生力を大きくするものである。また、例えばジョイスティックの操作によるステアリング操作での倍力が可能である。ステアリングホイールに代えてジョイスティックを操作部材として取り付けた場合、ジョイスティックの操作量を機械的にまたは電気的に例えば10倍程度までの量に変換してステアリング機構に伝えるものとすることができる。
【0035】請求項13、請求項14に記載の発明では、運転席に固定された車椅子に着座した人がその車両を運転するが、その車椅子およびこれに着座した人を補助安全装置で二重に車両に固定する。これにより運転中の車椅子着座者の安全がよりいっそう確保される。また、上記補助安全装置は、ベルトであって着脱自在となっている。したがって、着座した運転者にとってもその着脱がきわめて容易である。
【0036】請求項15、請求項16に記載の発明によれば、人が着座した車椅子を車室内の運転席位置に固定し、車椅子に着座した人がその車両を運転することができる。このとき、車椅子に着座した人は、その手でハンドコントロール部材を操作することにより、運転を行う。また、このハンドコントロール部材は、その操作力を倍力してブレーキペダルおよびアクセルペダルに伝達することができる。
【0037】請求項17、請求項18に記載の発明では、人は車椅子に着座したまま、リフト手段により、車椅子を車室内に乗り入れ、固定手段により、車椅子を運転席位置に固定する。そして、人はこの車椅子に着座した状態で運転手段を駆使してその車両を運転する。この場合車椅子に座った運転者が、ジョイスティックを操作することにより、車両が本来備える固有のブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング部材を操作することとなる。例えばジョイスティックを前後、左右方向に倒すことにより、これらのペダルなどを操作するものである。したがって、このジョイスティック操作は、例えば油圧式のアクチュエータを動作させ、ブレーキペダル、アクセルペダルなどを操作することになる。
【0038】請求項19、請求項20に記載した発明では、例えば下半身に障害を有する者が車椅子に着座したまま、車椅子を車室内に乗り込ませ、運転席位置に固定し、運転手段を用いてその車両を運転する。この場合、車椅子に着座した運転者は、その運転席近傍の車体に設けた操作部材を操作するとともに、運転席前方の表示パネルを見て操作結果を把握することとなる。例えばプッシュ式のボタンを押圧して、ブレーキ、アクセル、ステアリング以外の車両運転に必要な機能を操作する。また、ブレーキ、アクセル、ステアリングの操作は、例えばジョイスティックなどによる。
【0039】請求項21に記載の発明では、リフト手段により、人が着座した車椅子を車室内に搭載する。そして、固定手段を用いて、この車椅子を車室内の運転席位置に固定する。よって、この車椅子に着座した人は、運転手段を使用して、その車両を運転することができる。この場合、上記リフト手段の設置位置から上記車室内の運転席位置までの床を、その他の部分の床よりも低くし、車室内での車椅子の移動を容易としている。リフト手段の設置位置としては、車両の側方または後方部位がある。また、この場合、車両は前輪駆動形式とすることが好ましい。さらに、移動空間の床を低くすることにより、その車両の屋根を高く改造する必要が無く、よって、ガレージなど駐車施設の改造が不要であり、また、高屋根構造による燃費増加が発生することもない。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る車椅子運転型車両についての実施例を図面を参照して説明する。図1はこの発明に係る車椅子運転型車両の第1実施例を示している。図1には、第1実施例に係る車椅子で運転可能な車椅子運転型車両の概略を示すその模式的平面図である。この図に示すように、この車両10は、通常仕様のバン形式の車両(ベース車両)の一部を改造し身障者が車椅子に乗ったまま、昇降自在かつ運転可能としたものである。ベース車両としては、ミニバン、フルサイズバン、1BOX(ワンボックス)形式の車両などが好ましい。具体的には、この車両10は、リフト手段(昇降リフト)11を車体右側部に有しており、このリフト手段11を介して車室内に車椅子12を乗り入れることができる構成である。このリフト手段11は、人(歩行困難な老齢者を含む身体障害者など)が着座した状態の車椅子12を、そのまま車室内に搭載するためのものである。この昇降用のリフト11は例えば油圧制御されており、その車椅子搭載面であるプラットホームが車両床に対し垂直になった状態から、半扇を描きながら(90度の円弧を描きながら)下方に向かって回動して地上と平行になるもの、プラットフォームが車両床下にこれと平行に収納され、操作すると車室外に突出して地上面に設置されるものなどがある。また、このリフト11としてはアルミニウム合金製など軽量で高強度の構造のものを採用している。例えば総重量250kgのものを昇降させることができる程度とする。
【0041】なお、車室内でリフト手段11から運転席までの床101は、その他の床部分、例えば後部床102よりも高さが低く形成されている。車室内は車椅子12に着座した状態で移動および運転を行うため、充分な室内高が必要だからである。ベース車両のボディおよびシャシ(プラットフォーム)を切削加工し、床を切り下げている。加工する高さは、その個人の座高により最も適した高さとしている。また、これは、車両10の屋根の高さを改造することなく、車椅子12に乗った人にとって充分な車室内高さを確保したものである。図2〜図4は、この低床部分101を説明する目的で示す図である。図2に示すように、バン型車両10のサイドドア103に面する部分の床から運転席の床部分までの高さは、その他の部分、例えば後輪ホイールハウスおよびこれらの間の後部床部分102、助手席床部分104のそれよりも、例えば高さh(15〜30cm程度)だけ低く形成されている。なお、これらの図2,図4においては運転席105、ステアリングホイール106を、説明の便宜上、図示している。また、後部にリフト手段を設ける場合は、後部と運転席部分とを連続させるための床部分を低床化することとなる。
【0042】車室内に乗り入れた車椅子12は、固定手段13により、車室内の運転席位置に固定される。このとき、通常仕様車(ベース車両)で取り付けられる運転席をその運転席位置から取り除き、かつ、ステアリングホイール、ステアリングコラムなども取り外してある。ただし、ブレーキペダル、アクセルペダルは通常仕様車両の通常仕様通りの位置に配設されている。また、この車両はオートマチックトランスミッションで、かつ、前輪駆動形式とする。フロントエンジン、フロントドライブのFF方式とすることにより、上記低床化のための改造が容易となるからである。この固定手段13としては、ラッチ部材とピンとの組み合わせなどを採用することができる。
【0043】そして、この車椅子運転型車両10では、固定手段13により車椅子12が運転席位置に固定されたことを検知してエンジン起動などの運転のための操作が可能となるよう構成されている。具体的には、図5〜図6に示すように、上記運転席の低床101にボックス状のラッチ部材110を固定するとともに、このラッチ部材110に係止されるピン111を車椅子12の下部に突設している。そして、このピン111がラッチ部材110に係止されたことを検知してエンジンを始動可能としたものである。すなわち、車椅子12に取り付けてあるスチール製の突起部111と、車両10の床101に取り付けられた装置本体110とが機械的に係止された(ロックされた)ことを、電気的に検知し、バッテリーとイグニッションとの間の配線に介在させたスイッチ(リレーなど)をONとするシステムである。
【0044】この固定手段13をさらに具体的に説明すると、このラッチ部材110は、図示するように、ボックスハウジング110内に先端が凹状でかつ回動自在のフック112を有している。このフック112はピン113を支点として水平面でわずかな角度だけ回動自在に設けられ、フック112の図6中反時計回り方向へのわずかな角度の回動によりマイクロスイッチ114がONとなる。このマイクロスイッチ114が上記イグニッション配線のリレー等をONとする構成である。また、このフック112に対向してロック片115がピン116を支点として回動自在にこのボックスハウジング110内に配設されている。このロック片115はフック112との間に車椅子12下部からの突出ピン111を挟み込んで抜けないようよう強固にロックすることができる。このロック状態では、直進方向からの20Gの衝撃に耐えることができる。また、上方向からの衝撃に対しても同様に耐えることができる構造となっている。
【0045】このロック状態は、専用のスイッチまたはイグニッションスイッチをオフとすることで解除することができる。これらスイッチをOFFとすると、後述するソレノイド117が突出動作するものである。また、非常時には非常用ロック解除装置118を使って解除することも可能である。すなわち、このロックの解除は、電磁ソレノイド117またはひも(緊急解除部材)118で行うことができる。ソレノイド117のプランジャの先端がレバー119に連結され、レバー119がピン120で軸支されたストライカ121を図6中時計回り方向に回動させることができる構成である。ソレノイドプランジャの突出によりストライカ121が回動すると、これが当接するロック片115を図6中反時計回り方向に回動させ(図中実線から破線へ)、ロックを解除することとなる。また、ひも118もこのレバー119を介してストライカ121を時計回り方向に回動させることができる構成である。図中122はピン111の進入を案内するためのガイドであり、このガイド122は後方に向かってV字状の入口を有している。なお、この固定手段であるラッチ部材110は床101での設置位置、床101からの突出高さは任意とすることができる。電気的配線などは床裏面等に配設するものとする。
【0046】図7、図8は上記図5、図6の場合とは逆に車椅子12にラッチ部材13を、車体運転席床101にピン111を突設した例を示す。これらの図は車椅子12の下部フレームのみを示している。この例でも上述の場合と同様に構成したフック構造でピン111を係止、ロックすることができる。さらに、前輪側のトラバース材123には横方向(図7中矢印X方向)の車椅子の固定を確実とするための係止材124が固定され、この係止材124に床面に固設したフック125が係止されると車椅子12の横方向移動(図7中矢印X方向の移動)を規制することができる。
【0047】そして、図1に示すように、この車椅子運転型車両10の運転席位置(通常仕様車ではステアリングホイール位置)にはジョイスティック14が配設されており、このジョイスティック14を、車椅子12に座った運転者がこの実施例では右手で操作することにより、車両10の完全な運転を可能としている。すなわち、運転手段であるジョイスティック14は、垂直な中立位置から前後方向(図1中y矢印方向)に倒すことでブレーキングおよびアクセラレーションを、左右方向(図1中x矢印方向)に倒すことで左右のステアリング操作を行うことができるように構成されている。
【0048】また、この実施例では、運転席側方のドア部分に車椅子着座者が操作可能に補助操作部材15が、運転席前方のフロントダッシュパネル上に表示パネル16がそれぞれ配設されている。補助操作部材15は上記ジョイスティック14で操作される機能以外で車両の運転に必要な全機能を操作可能とするものである。具体的には、コンソール(補助操作部材)15にプッシュ式の6個のボタンを配設し、このボタン操作により内蔵するコンピュータ制御を介して以下の機能を動作させることができる。すなわち、方向指示器の点滅、パワーウインドウの開閉、ヘッドライトの上下切り換え、クルーズ制御、ギアシフト・アシスト、パワーパーキングブレーキの操作、ラジオ・コントロール、ドアロック、エンジン点火装置のON/OFF、室内灯のON/OFF、クラクションの吹鳴、ワイパーのON/OFF、ワイパーウォッシャ液の供給・停止、エアコンのON/OFF、昇降リフト11の操作、ドアの開閉などである。そして、これらの操作結果は、全て運転席前方の表示パネル16に表示される。なお、これらのプッシュ式のボタンを含むコンソール15は、運転者が使いやすい部分に任意に設置できるものとする。または、例えば左手が不自由な重度の身体障害者については、このコンソールに代えて車椅子のヘッドレストに操作用のボタンを配設、内蔵させることができる。
【0049】コンソール15のボタンは、例えば(S)(1)(2)(3)(4)(5)と6個で構成されており、(S)でディスプレイ(表示パネル)16中央部にある6つパイロットランプの何れかを選択し(セクションを選択)、そのセクションの(1)〜(5)の間で表示してある機能を選択し、さらに、それに該当する(1)〜(5)のボタンの何れかを押すことでこれを決定し、その機能が作動するように構成してある。
【0050】また、運転手段である上記ジョイスティック14による操作結果を、この表示パネル16に併せて表示させることもできる。さらに、上記固定手段13によるロック・アンロックの表示、警告をもこの表示パネル16に併せて視認可能にディスプレイすることができる。例えば、車室内に搭載された車椅子12を固定位置(運転席位置)に移動し、上記固定手段13により固定する。このとき、固定位置では車椅子12を後方に動かそうと試み、その固定を確認する。すると、表示パネル16においては緑色のランプが光り、車椅子12が適正に固定されたことを示す。車椅子12の固定が確認されるまで、ジョイスティック14などによる運転操作は行うことができない。また、運転中は、車椅子固有のシートベルトおよび肩ベルトを装着するものとする。なお、表示パネル16での赤色警告ランプとビーパ(音声警告装置)とが車椅子12の固定が不確実であることを告知する。
【0051】また、この車椅子12を運転席位置に固定する補助安全装置として、ショルダーベルト方式のシートベルト17が配設されている。このシートベルト17は車椅子12を運転席位置に乗り入れて上記固定手段13で床に固定した後、この位置で車椅子12および運転者を同時に車体に固定することができる。なお、ワンタッチで着脱が可能な公知のバックル挿入式のベルト17とする。つまり、この補助安全装置であるベルト17の一端は車体一部のレフトサイドセンタピラーに固定され、その他端は床またはブラケットで所定高さ位置の車体に対して着脱自在に設けられている。また、車椅子12が備えるシートベルトは人が着座したときに装着した状態にあり、上述の固定装置13によって車椅子12を固定した際にはそのシートベルトは常に装着状態となっている。したがって、この後、さらに、補助安全装置の固定用ベルトで人体および車椅子12が車両に固定されるものとなる。なお、補助安全装置としては、上述の固定用ベルト17の他に、車椅子12の車輪4つを手動または自動で車体床に固定するものも採用することができる。
【0052】さらに、上記リフト手段11は車室外で操作可能に構成されている。例えば、このリフト手段11は、ワイヤレス方式のリモートコントロール機器で操作可能に構成することができる。ワイヤレス方式に使用する信号伝達用の媒体としては電磁波(電波、赤外線など)がある。公知のリモコン機器で電磁波を発信し、車体の一部にその受信機を配設する。受信機は、ドア、昇降リフトなどの各アクチュエータを制御するものである。なお、このリフト手段11は、車体後部に設けた操作部12でコントロールすることもできる。図9および図10には、操作部21およびこれを操作するためのバー状のマグネットキー22を示している。すなわち、後部右側のピラーの所定高さ位置(車椅子に座った人が操作できる高さ位置)に、6個の穴23を形成し、これらの穴23にマグネットキー22の先端(スイッチ部分)を挿入することにより、上記ドア開閉、リフト11の作動などをコントロールするものである。なお、この6個の穴23に対応した表示(LED)が上記表示パネル16の中央部に配設されている。
【0053】また、このリフト手段11は、コントロールペンダントとケーブルとで構成した操作部材により車室外から操作可能としてもよい。操作部とコントロールペンダントとをワイヤで接続し、車椅子12に乗った人が、リフト手段11を常に手元で操作できるようにするものである。また、昇降リフト11等が組み込まれたドア部は、車室外からは上記ワイヤレスリモートコントロール機器により、その開閉が可能である。また、上述のように、同じコントロール機器によってリフト11をも稼動させることができる。さらには、この車室内にもコントロール装置が設置してあり、同様の操作が可能である。例えば上記補助操作部材15のボタン操作である。なお、このリフト手段11としては、ベース車両の車両側面中央部の他にも車両後部に、昇降リフト11またはスロープを組み込み、車椅子12に着座したまま乗降するように構成しても良い。図11、図12はリフト11をベース車両の車両側面中央部(ドア)に配設した場合を示している。図13、図14は昇降リフト11を車両後部に配設した場合を示している。いずれの場合にあっても、リフト11の車椅子搭載用の台であるプラットフォーム25は車室内に折り畳まれた状態でコンパクトに収納される構造である。
【0054】図15、図16にはこのリフト11を示す。このリフト11は、プラットフォーム組立体25と、このプラットフォーム25を持ち上げ(昇降させ)、90度程度の回動を行わせることができる支持制御本体26とで大略構成されている。支持制御本体26は電動式または油圧式のアクチュエータ27を有し、このアクチュエータ27の動作により2本のポスト28,28間にプラットフォーム25を略直立させて収納することができる。なお、アクチュエータ27の動作、ドアの開閉を行うためのハンドスイッチ29はサイドレール30先端に設けられている。さらに、ポスト28の下端部にもドア/リフトの操作用のスイッチ31が配設されている。図16はこのスイッチ31を示している。なお、32は上記コントロールペンダントである。このプラットフォーム25は車室外での車椅子12を搭載することができるよう車外にて路面高さまで下降して水平に展開することができる。この下降位置での水平展開状態から床101面位置まで上昇し、この位置でその車体側の基端部を支点として略90度回動することができる。すなわち、プラットフォーム25は略垂直となって車室内に収納可能である。
【0055】以下、図17〜図20を参照してこの発明の第1実施例に係るジョイスティック14によるコントロール装置について説明する。このコントロール装置は、ブレーキ、アクセル、ステアリングを統一的に制御するものである。なお、このジョイスティック14が装備された自動車10はバンタイプである。例えば6気筒エンジンを搭載しているものとする。この車両10は、また、パワーステアリング機構40を備えている。パワーステアリング機構40は、ステアリング用のギヤボックス45と、エンジン駆動のオイルポンプ42と、これらを連通接続する油圧回路とを備えている。ポンプ42は、例えば112kgf/cm2の圧油をギヤボックス45に供給可能である。ステリアリングホイール43は車椅子12に乗った身障者が手動操作可能に運転席の所定位置に配設されている。そして、ステアリングホイール43に連結されるステアリングコラム44は、パワステアリングのギヤボックス45に連結されている。このギヤボックス45からの出力はピットマンアーム、リンクなどを介して前輪50に供給される。
【0056】また、ブレーキペダル51、アクセルペダル52へのパワーアシストは、各油圧シリンダ装置53、54による。各油圧シリンダ装置53、54は、油圧シリンダ55、往復ピストン56、ピストンロッド57、内装のスプリング58をそれぞれ備えて構成されている。詳しくは、シリンダ55では上端開口を介してシリンダ室内に圧油を受け入れる。ピシトンロッド57はピストン56の一端に強固に固着されている。ピストンロッド57は下端開口を通ってシリンダ55の外部にまで延びる。そのピストンロッド57の下端は、スライド自在、回動自在にアクセルペダル52に連結されている。すなわち、油圧室(シリンダ室)55Aはピストン56の上端とシリンダ55の内壁とで画成されている。油圧室55Aの圧力が上昇すると、ピストン56は軸方向下側に向かって前進する。よって、入力された油圧はピストン56、ピストンロッド57を介してアクセルペダル52に伝達される。図19はこのシリンダ55の構造を示している。このようにして、運転者のアクセルペダル52に対する操作力をアシストする。また、ブレーキシリンダ装置53についてもアクセルシリンダ装置54のそれと同様に構成されている。なお、これらの操作力は上記ジョイスティック14のトグルのy方向への移動によるものである。
【0057】上記スプリング58は、ピストン56とシリンダ55の下端との間に設けられている。このスプリング58は一定のバネ定数を有する。すなわち、フックの法則が支配する。したがって、このシステムでは、油圧に対抗するピストン55の軸力と、シリンダ上端からピストン55までの距離との間には大略リニアの関係が成立する。シリンダ室55Aでの油圧上昇は、ピストン55の対応した動きを促す。また、シリンダ室55Aの油圧が下がると、スプリング58によりピストン56がただちに復帰する。つまり、シリンダ室55Aの油圧が低下すると、対応してピストン56が下端から離間上昇し、上端に当接する。ブレーキシリンダ53およびアクセルシリンダ54の各スプリング58は、それぞれ一定のバネ定数を有している。このように、アクセルシリンダ54に関して、システムが停止状態では、ピストン56がスプリング58の付勢により所定位置に位置付けられている。この停止状態では、アクセルペダル52も同様に停止位置に位置する。このように、ピストン56が上端に当接するとき、動き出すにはスプリング力に対抗する力が必要である。すなわち、ジョイスティック14の最初の急な動きによっては、ブレーキペダル51またはアクセルペダル52は応答しない。油圧シリンダ53,54を各種の車両のペダルに適応させるため、シリンダ55は支点で車両に回動自在に連結されている。また、支点でアクセルペダルに回動自在、かつ、摺動自在に連結されている。詳しくは、延長ロッド59の一端にボール60が溶接されている。このロッド59の他端(上端)は上記ピストンロッド58の先端にネジ結合されている。長さ調整のためである。一方、このボール60が係合するカップ61は、アクセルペダル52に強固に固定されている。溶接などによる。このカップ61は立上壁62を有している。この立上壁62は、延長ロッド59、ピストンロッド58、シリンダ55の一部に沿って半円筒状に延びている。リテーニング材63はこの立上壁62に上端に強固に固着されている。リテーニング材63は隋円形であって、シリンダ55の周囲にこれを包み込むように形成される。
【0058】アクセルペダル52、ブレーキペダル51は、それぞれが、押圧位置から停止位置にこれらペダルを戻すための手段を有している。このように、各シリンダ装置53、54が動作するとき、そのピストン56に付与された力はピストンロッド57とボール60とカップ61とを介して、各ペダル51、52に伝達される。このようなボールジョイント構造により、ペダル51、52の自由な動きを保証するものである。もちろん、このように配置したため、ピストン55を引き下げずに、オペレータがペダル51、52を直接踏み込み、ブレーキ機構またはアクセル機構(スロットル弁を開閉/エンジン吸気系、燃焼室への燃料供給)を動作させることもできる。
【0059】また、身障者のステアリング操作をアシストするジョイスティック14は、2ポートステアリングシリンダ70を備えている(図20)。このシリンダ70は、シリンダ内を2室71、72に分けるピストン73を含む。このシリンダ70は車体の一部10に強固に固着されている。ピストンロッド74はピストン73の一端に強固に取り付けられている。ピストンロッド74先端はシリンダ70の一端開口から外方に突出し、その突出端がラック75に連結されている。ラック75はピニオンギヤ77に噛み合う。ピニオン77は上記ステアリングコラム44に同軸的に連結される。
【0060】各シリンダ室71,72の各ポートは、それぞれ、油路81、82を介して2ポート油圧コントロールバルブ83の各ポートにそれぞれ連通している。シリンダ室72の油圧上昇はシリンダ室71の油圧低下を伴う。ピストン73はこの油圧差によりシリンダ70内で往復動を行う。このシリンダ内でのピストン73の力と動きは、ラック77に直接伝達されることとなる。ラック77はコラム44を軸回りに回動させる。
【0061】以上の構成に係るブレーキシリンダ53、アクセルシリンダ54、2ポートステアリングシリンダ70の各油圧の調整は、メインコントロールバルブユニット90で行われる。バルブユニット90は、コントロールバルブ91、92、2ポート油圧コントロールバルブ83を有する。各バルブ91、92、83は、ジョイスティック14の電圧値の変化によりコントロールされる。なお、ジョイスティック14は、ステアリングコラム44の近傍の所望位置に設けられている。ドライバの要求による。ジョイスティック14は、トグルのxy各方向への動きを4つの電気信号に変換する。この動きにより電圧値が変化する。4つの出力信号はトグルの中立位置から同一平面での直交2軸方向への動きに対応する。例えばトグルの前方への動きは、メインコントロールバルブユニット90への電圧値変化を生じさせる。
【0062】通常操作では、ジョイスティック14のトグルの前方への動きは、油圧コントロールバルブ91によるライン94とブレーキシリンダ53との連通を許容する。また、ジョイスティック14の出力はトグルが直立から倒されるまでに5.5〜14ボルトの間で変化する。トグル直立では、ジョイスティック14出力は0ボルトで、トグルが倒される5.5ボルト、さらに倒されると対応して出力値は大となる。この5.5ボルトがシリンダ53、54のバネ58の予圧力に相当する。トグルを前方に倒すと、ライン94を介してバルブ91に5.5ボルト相当の油圧をかける。ライン94はシリンダ室55Aに連通し、ピストン56に抗して油圧を上昇させる。この油圧がスプリング58力に打ち勝ってピストン56を下方に動かす。よって、トグルの前方への動きは、コントロールバルブ91によるシリンダ室55Aへの圧力上昇を促す。すると、ピストン56はブレーキペダル51のすばやい動きを促し、ブレーキが作用することとなる。このトグルの動きとピストンの動きとの関係は、調整可能である。
【0063】一方、トグルの中立位置から後方への動きは、ライン94からの圧油の流れを停止する。そして、ライン95よりブレーキシリンダの圧油を逃がす。ピストン56は上昇復帰し、ブレーキペダル51に作用していた踏力は解除される。こようなトグルの動きは、アクセルシリンダ54の操作でも同様である。すなわち、トグルを後方に倒すとアクセルペダル52が踏み込まれ、その状態で前方にトグルを戻すと、アクセルペダル52の踏み込みが解除される。なお、図示の配置状態では、アクセルペダル52とブレーキペダル51とは同時に操作されることはない。
【0064】また、トグルの左右(図1のx方向)への動きは、2ポートバブル83を制御支配する。この動きはステアリングシリンダ70のライン81、82の油圧を制御することによる。なお、センタリングバルブ96がライン81と12との間の連通路に設けられている。ジョイスティック14を使用せずに運転したい場合、センタリングバルブ96はライン81と82との間を連通状態とする。この結果、ステアリングシリンダ70を非作動状態とし、かつ、ピストン73、ピストンロッド74の動きをフリーとする。
【0065】エンジンポンプ42から圧油は、ライン97、チェック弁98、ライン99、フィルタ100、ライン(管路)100Aを介してギヤボックス45のパワーシリンダに供給される。また、ギヤボックス45のリターン側にプレッシャレギュレータ140を介在させる。このレギュレータ140とギヤボックス45との間の中間分岐点141の油圧は、レギュレータ140で一定値に保たれる。その結果、シリンダ53、54、70に供給される油圧もそれぞれ同じ一定値に保持される。また、この図の配置によれば、ギヤボックス45への背圧は一定値となる。この背圧がパワーステアリング操作力の補助となる。ギヤボックス45の油圧を112kgf/cm2から84kgf/cm2に減じるからである。このような堅いステアリングでは、ジョイスティック14の感度を低くする。オーバステアなしで、ジョイスティック14の操作応答性を良くするためである。
【0066】身障者の安全のため、このシステムでは、バックアップポンプ142、オイルクーラ143、オイルフィルタ100、一方向弁144、中間接続用ライン145,146,147を備えている。オイルクーラ143はライン146に、一方向弁144はライン145にそれぞれ介装されている。なお、ライン147はレギュレータ140とバックアップポンプ142とを接続している。車両のエンジンを始動せずに、その電気システムをオンとすると、メータ148はエンジンポンプ出力ライン97の圧力が0であることを示す。そこで、バックアップポンプ142がONとなり、ステアリングシリンダ70、ブレーキシリンダ53、アクセルシリンダ54に所定の油圧を供給することとなる。これが、パワーステアリングシステム、ブレーキシステムへのバックアップシステムを構成している。なお、ジョイスティック14の電圧値を上記より高い値(例えば14ボルト)にセットするときは、補助バッテリがメインバッテリに加えて使用される。補助バッテリはその増大分を供給可能である。また、補助バッテリはバックアップポンプ142の電源となっている。また、図18に示すシステムでは、ギヤボックス45とラックピニオン式のパワーシリンダ70とを備えている。ギヤボックス45は、そのセクターシャフトがピットマンアーム、タイロッド等を介してナックルアームに連結されるボールナット式のパワーステアリング機構を構成することもできる。このように構成すると、2重のパワーステアリング機構を備えた車両とすることができる。
【0067】図21は、上記システム中のパワーステアリングシステムでのバックアップシステムをブロック表示したものである。また、図22はバックアップステアリングシステムを示す他の例である。この例では、油圧ポンプ(エンジンにより動力を得て油圧を発生するポンプ)151の他に補助バッテリの駆動により油圧を発生させるタイプのバックアップポンプ152を備えたものである。すなわち、パワーステアリング用のギヤボックス153に対して何れのかのポンプ151または152より圧油を供給可能な構成を示す。油圧回路中154はオイルクーラ、155はリザーバ、156,157はチェックバルブである。また、158は切換弁である。
【0068】このようにこの実施例にあっては、メインのステアリングシステムが故障したとき動作するバックアップステアリングシステムを備え、このバックアップステアリングシステムは、メインのパワーステアリングシステムに対する必要な油圧を補償するように構成してある。特にこのバックアップステアリングシステムでは、エンジンの不調でパワーステアリングが故障したとき、メインの油圧ポンプの故障、これを駆動するためのベルトの破損などの非常事態においても、バックアップポンプより油圧をステアリングに対して補償、供給するものである。また、このバックアップステアリングシステムは、メインのパワーステアリングシステムが故障した場合、直ちに作動し、ドライバは速やかに車両を退避させることができる構成である。
【0069】さらに、上記バックアップステアリングシステムは、倍力ステアリング装置付きの場合でも、無い場合でも、これを用いることができる。この操作力を倍力することができる倍力ステアリングシステムとしては、上記ジョイスティック14を含むことができる。このジョイスティック14はステアリング操作に必要な力を減じることで、ドライバの手や腕の障害をカバーするものである。例えば通常のパワーステアリング操作に必要な操作力を、1/10程度にまで軽減することができる。また、この倍力ステアリングシステムとしては、ジョイスティックの他にも、例えば通常のステアリングホイールよりも径を小さくしたステアリングホイールを用いることもできる。また、逆に、ステアリングホイールの径を大きくしてその操作力を軽減することもできる。
【0070】さらに、上記運転手段の他の例としては、車椅子に着座した人が手で操作可能なハンドコントロール部材を運転席位置(例えばジョイスティック14と同様の位置)に装備することができる。このハンドコントロール部材は、1本のトグルで構成され、このトグルを前後方向に倒すことで、操作力を倍力してブレーキペダルおよびアクセルペダルに伝達する。すなわち、このパワーアシストハンドコントロールは、電子的に制御された油圧システムであり、パワーステアリング用ポンプをプライマリパワーソースとしている。また、足だけが不自由で上半身は自由に動く個人には、このようなハンドコントロールを用いることが好適である。さらには、ステアリングホイールを両手で握らずに、片手で握って運転できるように構成することもできる。
【0071】また、第1実施例では、メインのブレーキシステムが故障したとき動作可能なバックアップブレーキシステムを備えているものでもある。すなわち、上記ジョイスティックシステムでは、バックアップ用のオイルポンプ142を有し、このオイルポンプ142は、メインのブレーキシステムが備えるオイルポンプ42からの油圧に代わって必要な油圧を発生可能であるからである。また、このバックアップブレーキシステムをメインのブレーキシステムとは完全に別系統に構成することもできる。それぞれを独立させた別系統の油圧システムあるいは電動式ブレーキシステムとして構成するものである。例えばバックアップ用のオイルポンプから、フィルタ、プレッシャレギュレータ、コントロールバルブを介してブレーキペダル駆動用のシリンダに油圧を発生させる構成とすればよい。このバックアップシステムは、エンジントラブルや低負圧でブレーキが作動しなくなった場合、手と腕(あるいは手か腕のみ)で車両を停止させることができる。バックアップポンプ142は補助バッテリを駆動源とするからである。そして、このバックアップシステムは、エンジン出力が予め設定された値を下回った場合に作動するように構成することができる。また、メインのブレーキシステムが作動しなくなった場合、視覚と聴覚でドライバに危険を知らせるよう構成している。表示パネルでの警告ランプの点灯と、警告音(ビープ音)の同時発生をコントロールユニットで制御するものである。このバックアップブレーキシステムは、倍力ブレーキ装置(パワーブレーキシステム)と併用しても、しなくても良い。
【0072】上記ジョイスティック14により操作されるブレーキペダル51には操作力を倍力する倍力ブレーキシステムを付加することができる。この倍力ブレーキシステムは、メインのブレーキシステムとは別系統で作動するバックアップブレーキシステムに組み込まれる。例えば倍力ブレーキシステムでは、ブレーキブースタをコントロールバルブとブレーキシリンダとの間に配設することで構成することができる。ブースタとしては、マスターバック式、ハイドロマスター式のいずれであってもよい。このシステムによれば、手や腕のわずかな力で車両を停止させることが可能になる。
【0073】また、車両に備え付けられているフートブレーキは、ホイール(車輪)の内側に取り付けられているブレーキドラムまたはブレーキディスクなどに摩擦材を押し付け、その摩擦力を利用して制動力を発生させるものである。車椅子に座った運転者が、ブレーキペダルを踏む操作方向に例えばジョイスティックを倒すことによって、すべてのホイールに制動力が発生するようになっている。このような構成のブレーキシステムであれば、この発明に係るバックアップブレーキシステムは全てについて適用することができる。次に、この発明が適用される倍力式ブレーキとしては、エンジンの吸入負圧や圧縮空気を利用して操作力を増大させるものであってもよい。圧縮空気を利用するエアサーボでは、バキュームサーボと似た構造であるが、圧縮空気を作るためのエアコンプレッサを備える必要がある。この倍力ブレーキが取り付けられる理由は以下の通りである。すなわち、上記直接式ブレーキでのマスタシリンダとホイールシリンダの断面積を適宜決定するのみでは車両重量(車両質量)の大きい自動車、高速走行中の自動車のように走行中の慣性の大きい自動車などでは、制動力が十分確保されず踏力が大きくなって操作に支障を生ずるようになるからである。また、この発明に係る車椅子運転型車両では、これに加えて、身体(特に上半身)にハンディキャップを有する者が操作する場合、この操作力を補助するためである。
【0074】なお、ディスクブレーキにしてもドラムブレーキにしても、それを動かす元になっているのはドライバの足の力(踏力)である。この発明に係る車椅子運転型車両ではこの踏力をハンドコントロール部材で発生、制御させ、かつ、この部材に対する小さい操作力でブレーキを作動させるように構成されている。この車椅子運転型車両が大きく、重くなると、このブレーキ操作力をアシストする必要があり、上記倍力ブレーキシステムが必要となる。
【0075】倍力装置としてはマスターバックが知られており、この装置では、エンジンに発生する負圧と大気圧との圧力差を利用して踏力を補い、軽い力でもパッドやブレーキシューを押し付ける力を生み出す構成である。例えばパワーピストンで仕切られた一方の室にはエンジンのシリンダ内に発生する負圧が導かれている。ドライバのペダル操作は、パワーピストンに連結されたバルブオペレーティングロッドに伝わる。このロッドが動くとロッドの先端に取り付けられているバルブプランジャが連動し、それまで密着していたバルブプランジャとポペットとの間に隙間を作る。この動きによって、他方の室には大量の大気が導入される。この大気の流入によって、両室の間には大きな圧力差が生まれる。これによりパワーピストンが一方側に向かって動かされる。パワーピストンはブレーキシリンダ内のピストンに連結されているため、このピストンもまた動かされ、ブレーキ配管内のオイルに大きな圧力を加えることになる。ドライバがペダルを一定量踏みこんで止めた場合、バルブプランジャはその位置で停止します。ところが、この状態でもバルブプランジャとポペットの間に隙間があると他方の室にはまだ大気が侵入してきます。したがって、パワーピストンは一方向に動き続けます。そして、ピストンに追従しているポペットが再びバルブプランジャに接すると大気の通路が閉ざされ、両室の圧力はその時点でバランスが保たれることになりブレーキ力も保持される。
【0076】図23は第2実施例に係る運転手段、すなわち補助操作部材を示す。補助操作部材である押しボタン式スイッチ161はコンソール162に配設され、コンソール162は運転席のドア163に固定されている。表示パネル164はフロントダッシュパネルに配設されている。補助操作部材161は上記の場合と同様に運転操作以外の補助的な機能を全て操作可能である。したがって、この実施例によれば、ステアリングホイール165(ステアリング)と、ハンドコントロール部材(アクセル、ブレーキ)、および、この補助操作部材161とにより、車両の運転を行うことができる。なお、その他の構成、作用および効果は、前述した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0077】図24、図25は第3実施例を示している。この実施例は、バン型以外のクーペ型またはワゴン型自動車にこの発明を適用可能な場合を示したものであり、特に、そのリフト手段を示している。このリフト171は、プラットフォーム172の基端をアーマチュア173で支持し、このアーマチュア173をアクチュエータ(油圧シリンダ)174でリフトアップすることにより、プラットフォーム172を折り畳む構成である。操作は、水平バー175の先端に配設したスイッチ176で行う。なお、その他の構成、作用および効果は、前述した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0078】図26はこの発明の第4実施例を示している。この実施例に係るリフト181は、プラットフォーム182を鉛直面内で90度以上、例えば120度程度回動させることができる。車内への収納位置(S)からレベル(車室床面と同一高さの水平位置:E)、さらには、路面展開位置(L)まで回動する構成である。183がアクチュエータの駆動源であるポンプを示している。なお、その他の構成、作用および効果は、前述した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0079】なお、上記パワーステアリングシステムは身体障害者が運転する車両にとっては必要性が高い。特に上半身にも障害を有する場合に必要性が高い。このパワーステアリングはエンジンが発生する力の一部や、オルタネータ(発電装置)からの電力を利用することで、ドライバのステアリング操作力を補助し、適度に軽い操作力を実現するものだからである。この発明にあって適用されるパワーステアリングの種類には以下のものがある。すなわち、一つはエンジンの回転力を利用し油圧を発生させて動力源とする油圧式パワーステアリング、もう一つは、電力を使ってモータを動かし操作力を補助する電動式パワーステアリングである。この発明はいずれのタイプについても適用することができる。例えばメインパワーステアリングシステムを油圧式で、バックアップシステムを電動式でそれぞれ構成することもできる。
【0080】また、上記パワーステアリングシステムなどに用いられる油圧ポンプについても、エンジンの回転をベルトで受けて動力を得るタイプと、電動モータで作動するものがある。ベルト駆動のものは、油圧ポンプをエンジンに隣接させる必要があるが、モータ式のものは、離れた位置に設置することが可能である。いずれについても、この発明を適用することが可能である。例えばベーン式油圧ポンプ内部は、ベルトまたはモータによってロータが回転し、その周囲に取り付けられたベーンが遠心力によってハウジングの形状に沿いながら出入りしつつ回転する構成となっている。ベーンとハウジングによって仕切られる空間はロータの回転に応じて変化していき、オイルタンクに貯められていたオイルがこの空間に吸い込まれた後、吐出されることになる。オイルポンプには、エンジンやモータの回転が変化しても、単位時間当たりのオイルの吐出量を規定の範囲内に抑えるように動くフローコントロールバルブや、ステアリングホイールをロックするまで回し、長時間保つような操作をしたときにオイルの圧力を一定以上に上げないようにするプレッシャリリーフバルブが設けられている。
【0081】また、同システムに使用されるコントロールバルブは、公知のように、ドライバのステアリングホイールの操作に応じて、オイルポンプで発生する油圧をパワーシリンダ内に送りこみ、ホイールのスムーズな動きをコントロールする働きを有する。さらに、同じくパワーシリンダについては、ラックアンドピニオン式ギヤの場合は、ラックハウジングが、また、ボールナット式の場合は、ギヤボックス内のボールナットの左右の空間がこのシリンダに相当する。上記オイルポンプで発生した油圧は、コントロールバルブによって制御され、パワーシリンダ内のパワーピストンによって仕切られる左右の空間どちらかに加わり、ラックアンドピニオン式の場合はラックギヤを、ボールナット式の場合はセクターギヤを動かすこととなる。
【0082】なお、上記パワーステアリングシステムとしては、コントロールバルブおよびパワーシリンダの形状や配置により種々の型式があって、それぞれの車両の条件に応じて使い分けられる。リンケージタイプは、パワーシリンダをステアリングリンケージの途中に設けたものでコントロールバルブの取付け位置によりコンバインド型とセパレート型に分けられる。コンバインド型は、コントロールバルブとパワーシリンダの両者が一体に組み付けられたもので、取付け場所が比較的広い大型車両に使用される。セパレート型は、コントロールバルブとパワーシリンダとがそれぞれ独立して取り付けられ、取付け場所が狭く限られている小型車両に使用される。インデグラルタイプは、コントロールバルブやパワーシリンダをステアリングギヤボックス内に組み込んで一体とした形式で、外形寸法が小さくでき、取付けおよび配管が単純化されるので、乗用車や大型車に広く使用される。これらのいずれについてもこの発明を適用することができる。
【0083】また、この発明が適用される電動式パワーステアリングとしては、コラムアシスト式、ピニオンアシスト式、ラックアシスト式がある。モータや減速ギヤがステアリング系統のどの位置に取り付けられているかによって分かれる。この電動式のパワーステアリングシステムは、スピードセンサ、トルクセンサ、コントロールユニット、モータおよびクラッチ、減速ギヤなどで構成される。電動式パワーステアリングが油圧式パワーステアリングと最も異なる点は、ステアリング操作力の補助をある条件のときしか行わないことにある。その条件とは基本的には走行速度であるが、油圧式エンジン回転数や速度に応じてアシスト力を変化させていることに比べ、電動式では停止状態から一定の速度の間しかパワーステアリングとして機能しない。エンジンが始動し、システムが通電されると、まずスピードセンサから走行速度が作動範囲内であることがコントロールユニットに信号として伝えられる。その状態で、車椅子に乗ったドライバがステアリングを操作すると、タイヤには車両の重量が加わっているのでステアリングホイールの動きに対して少し遅れて動きだす。このステアリングホイールとタイヤ間の位相のズレは、ステアリングシャフトのねじれとして現われる。上記トルクセンサは、このステアリングシャフトのねじれを検知し、コントロールユニットに信号として送る。コントロールユニットはスピードセンサからの信号と、トルクセンサからの作動信号を受け、モータとクラッチとに通電する。通電されたモータの回転は、クラッチを経て減速ギヤに伝わる。減速ギヤはモータの回転速度を下げる代わりに大きな回転力を生み出し(減速作用、トルクアップ作用)、ドライバのステアリング操作力をアシストする。この減速ギヤには、オートマチックトランスミッションのギヤ機構にも使われているプラネタリーギヤ方式と、ボールナット式ステアリングギヤに使われているウォームギヤ方式が作用されている。
【0084】以上の各機構はそれぞれ単独でもあるいは任意の組み合わせでも採用することができる。車椅子運転者の身体の障害の程度に応じてベース車両を改造するものである。例えば右手のみで操作可能な人は、補助操作部材としてはヘッドレスト設置タイプを、ハンドコントロール部材としてはジョイスティックを採用することができる。さらには、ヘッドレスト型に代えて以下の音声制御システムを採用することもできる。
【0085】音声制御システムは、機能を分担した3つのサブシステムからなる。情報のやりとりは割り込みやハンドシェークにより、効率化と安全化を計っている。音声認識部は基本的には、初期化、レベル調整、登録の各モードを経て認識モードとなる。これらの各モードへの移行は仲介部からのコマンドによってなされる。認識モードでの登録パターンと発声パターンとの比較はDPマッチング法を用い、リアルタイムに全登録語と比較する。このDP法により、同一発声語にみられる発声時間の長短の差を、非線形的に整合することが可能になり、認識率が向上している。仲介部は音声認識ボードを初期化、レベル調整、登録、認識の各モードに移行させる。認識モードでは、認識ボードに入力された音声パターンと登録パターンの一番近い単語が認識語として、仲介部に返される。仲介部はこの認識モードを2回行い、同一発声単語と認められたときのみ、車椅子制御部へ選択された動作の割り込み信号を出し、次の認識のために待機している。それ以外は手動モードとなり、口元に配置されたスイッチに舌先で軽く触れ、必要な動作の選択を行う。この後、認識モードに移行する。これら2つのモードは、搭乗者の意志により自由に切換が可能である。こうした一連の状態は、車椅子の右手前方のモニタ部に表示され、確認できる。車いす制御部は、仲介部からの認識結果の割り込み信号に基づいて、ジョイスティック部の出力端へD/A変換器を通して適当な電圧を出力する。このとき、スロースタートが可能なようにその電圧を調整している。車椅子制御部には緊急割り込み停止を設け、搭乗者が障害物回避に使用できるようにする。このスイッチは、舌をまっすぐ伸ばした口元の中央に付けてあり、とっさの行動がとれるようにする。さらに安全を高めるためのレバー方式の接触スイッチを設けている。
【0086】
【発明の効果】この発明によれば、車椅子に座った人が安全に車両を運転することができる。また、単独で車椅子に乗ったまま乗車し、運転することができる。また、上半身にハンディキャップを有する場合でも運転操作を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】597107607
【氏名又は名称】株式会社アイ.ジ−.イ−
【識別番号】597107618
【氏名又は名称】アナフィ−ルド コーポレ−ション
【出願日】 平成9年(1997)7月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
【公開番号】 特開平11−28226
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−202565