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【発明の名称】 搬送用シート
【発明者】 【氏名】大岩 丈二

【氏名】北川 禮治

【氏名】田口 透

【要約】 【課題】この出願発明は、不織布単独では実現できなかった強度を実現し、特に、湿潤時に強度が低下しない搬送用シートを提供することを課題とする。

【解決手段】この出願発明は、不織布、フィルムおよびフィルム割繊からなるシートに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不織布、フィルムおよびフィルム割繊からなることを特徴とするシート。
【請求項2】 不織布、フィルムおよびフィルム割繊が不織布、フィルムおよびフィルム割繊の順に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送用シート。
【請求項3】 搬送用シートが少なくともシートを挟んだ両端の端部で折り返されていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送用シート。
【請求項4】 端部にシートを保持するための把手を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用シート。
【請求項5】 把手が穴であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 この出願発明は搬送用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】 救急患者の搬送やベッドから手術台への移送、或いは老人介護におけるベッド交換などに際して、被搬送者を保持するためのシート、或いはシートに搬送者が把持するための部材を具えたものは、担架、若しくは患者移送用シートなどとして知られている。これらの搬送用シートは、従来、被搬送者の体重を支えるのに十分な強度を確保するため、シートとしては編織物が主流であった。しかし、最近では感染症対策として、この様なシートを使い捨てにする傾向にあり、実用的には数回の使用に耐える程度の不織布を用いたものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 一般に、短繊維で構成される不織布は、湿潤時に短繊維同士の滑り抵抗が低下するため、形態保持力が低下する傾向にある。従って、吸水性を必要とする搬送用シートとして、このような不織布のみで強度確保を図るには限界がある。この出願発明は、不織布単独では実現できなかった強度を実現し、特に、湿潤時に強度が低下しない搬送用シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】 この出願発明は、不織布、フィルムおよびフィルム割繊からなる搬送用シートに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】 この出願発明の不織布、フィルムおよびフィルム割繊は、不織布、フィルムおよびフィルム割繊の順に積層されていることがとくに好ましい。
【0006】不織布としては、吸水性及びクッション性を考慮して、短繊維を用いたニードルパンチ不織布が好ましい。用いる短繊維として、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、レーヨン、アクリルなどを用いることが出来るが、特に吸水性を確保するため、レーヨン、アクリル、ナイロンなどを30mass%以上含むことが望ましく、その綿密度は100〜200g/m2とするのが好ましい。
【0007】強度を得るためには、親水性バインダにより接着することが好ましく、とくに、アクリル系、ウレタン系などの接着剤が好ましい。
【0008】フィルムは、ポリオレフィン系フィルム、ウレタンフィルム、ポリエステル系フィルムなどが挙げられるが、風合い、ラミネート適性を考慮すると、ポリオレフィン系のフィルム、ポリエチレンが特に好ましい。フィルムの厚さは、風合いを考慮すると、堅くならないように、できる限り薄い方が好ましい。
【0009】また、ポリエチレンを押出して直接不織布にラミネートする場合には、不織布の羽毛を押さえるためには、少なくとも20μm以上、望ましくは40μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0010】フィルム割繊を構成する樹脂は、前述したフィルムに熱融着するものであって、しかもフィルム割繊自体に強度を有するものであれば、如何なるものを用いても良い。係る好適材料として、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)を低密度ポリエチレン(LDPE)で挟持した3層構造のものが最も好ましい。面密度は、30g/m2以上が好ましく、さらに、被搬送者が違和感を感じずに十分な補強を行うには30g/m2〜50g/m2程度とするのが好ましい。
【0011】不織布は、1枚でもよいが、2枚あるいは3枚以上重ねて使用してもよい。
【0012】搬送用シートは、少なくともシートを挟んだ両端の端部で折り返されていることが好ましい。端部には、シートを保持するための把手を有することが好ましく、とくに、把手を穴をあけることにより構成することが好ましい。把手は、シートの長手方向両端部に設けられていることが望ましく、それぞれ2箇所以上有ることが好ましいが、搬送者の作業性及び被搬送者の保持性を考慮すると、少なくともシートの両側の胸、腰、脚の部分ににそれぞれ3個所以上設けられていることがとくに好ましい。把手としては、端部に穴を設けたものが好ましい。この穴にベルトを取り付けることにより肩にかついで運搬してもよい。また、シートの端部を環状に形成することにより、環状部に棒材を挿入して人を運搬することもできる。
【0013】
【作用】 この出願発明のシートを構成する不織布は、吸液性とクッション性を持つので、そのまま患者のシートとして使用することもでき、また、血液などの体液が患者から出ている場合でも、外に漏れることを防ぐことができる。また、この出願発明のシートを構成するフィルムは、不織布側からの体液浸透を妨げると共に、フィルム割繊融着に際しての下地とし、不織布の羽毛による強度低下を防ぐことができる。さらに、この出願発明のシートのフィルム割繊は、シート自体の強度を確保し、開口を有するので、風合いを低下することなく、しかも、強度低下を防ぐことができる。この出願発明による不織布は、患者の皮膚に接触した時に、ソフトで違和感がなく、十分な強靱さを持ち、汗や出血の吸収性に優れている。
【0014】
【実施例】
実施例1レーヨン100%、面密度151g/m2のウェブをニードルパンチした後、アクリル系バインダー(付着量13g/m2)をスプレーで付着し、熱処理する事によって面密度約160g/m2、厚さ2.2mmの不織布2を得た。然る後、この不織布2にTダイ押し出しによりポリエチレンフィルム3を約60μmの厚さでラミネート形成した。ついで、このラミネートにフィルム割繊(日ワリフHS(面密度35g/m2、ポリエチレン))4をフィルム面にカレンダーで融着し、図1に示す搬送用シート1を作製した。作製した搬送用シートは、面密度約255g/m2、厚さ約0.95mm)であった。シートの物性の試験法は、つぎのとおりである。
破断強度測定法:JIS L1096に準じて引張試験機(オリエンテック社製)。
湿潤強度測定法:サンプルを蒸留水に15分間浸漬したのち、ドライ時と同様に破断強度を測定した。
試験結果は表1のとおりである。
【0015】
【表1】

【0016】実施例2図2はこの出願発明の搬送具の平面図である。この搬送具5は搬送用シート(65cm×180cm)の患者が横たわる臥床部分である長手方向に把手が形成されている。搬送用シートの両側縁部を折り返し、折り重なった部分を図2の点線で示されるように縫い、両側端部の胸、腰、脚に相当する部分にそれぞれ3個所の短径3cm、長径9cmの楕円形の穴6を設け、長手方向において合計6個の把手を形成する。このようにして、搬送具を作製した。なお、折り返しの部分には、さらに補強のために不織布を挟み込んでもよい。また、この搬送具5には、ベルトを穴に取り付け、搬送者が肩に掛けるようにしてもよい。この搬送具は、両端が平坦であるのでそのままシートとしても使用することができる。この搬送具の最大破壊強度を測定したところ、65cm幅×90cm長さの場合に、154kgであった。
【0017】実施例3図3はこの出願発明の他の搬送具5の平面図である。この搬送具は、搬送用シート1(65cm×180cm)の患者が横たわる臥床部分である長手方向に把手が形成されている。この不織布の両側縁部を折り返し、折り重なった部分を図2の点線で示されるように縫い、内径4cm、長さが160cmの筒状の穴7を設を設け把手を形成し、搬送具を作製した。なお、強度を増加させるために第1の縫い目から約6cm離して第2の縫い目を形成する。この搬送具5を担架として使用するには、筒状の穴7に、持ち手の付いたスチールパイプの支持部材8を挿入し、この支持部材を二人あるいは数人で持つことにより行うこともできる。
【0018】
【発明の効果】 この出願発明により搬送用シートにおいて、不織布単独では実現できなかった強度を実現し、特に、湿潤時に強度低下が少ない搬送用シートを提供することができる。また、この出願発明の搬送用シートは、患者の臥床部分に容易に敷くことができるので、患者の移送するときの看護婦の労力を軽減することができる。さらに、この出願発明によれば、検査台や手術台へ患者を容易に移動することができるので、自分で動くことのできない患者であっても移動による苦痛を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】熊田 和生
【公開番号】 特開平11−4854
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−175140