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【発明の名称】 足温用発熱体
【発明者】 【氏名】村上 雄

【要約】 【課題】使用している時に足が靴のなかで滑って歩行し難くなるようなことがなく、靴底への取り付け取り外しを容易にする。

【解決手段】非通気性の裏面側袋材と通気性の表面側袋材との2枚の袋材からなる収納袋内に発熱組成物を収納した足温用発熱体において、前記収納袋における裏面側袋材の表面に弱粘着剤層を設け、表面側袋材の表面に靴の横方向に平行に筋状にポリオレフィン樹脂を押し出し連続線状模様が形成されている足温用発熱体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】通気性を有する表面側袋材と非通気性の裏面側袋材との2枚の袋材からなる偏平状の収納袋内に、空気の存在下に発熱する発熱組成物を収納した足温用発熱体において、前記収納袋における表面側袋材上に複数の等間隔で且つ靴の横方向に平行筋状のポリオレフィン系樹脂が積層されており、裏面側袋材上には弱粘着剤が塗布されて周囲をヒートシールしたことを特徴とする足温用発熱体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は足温するために使用する発熱体に関するものであり、使用の際に発熱体が擦れたり足が滑って歩行し難くなることがなく、歩行を円滑に行なえる足温用発熱体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】使い捨て発熱体は、通気性を有する偏平状の収納袋内に空気の存在下に発熱する発熱組成物を収納してなるものであり、収納袋を形成する通気性の袋材として、収納袋を形成する際のヒートシール性及び収納袋に必要とされる強度の点から、高密度ポリエチレン繊維によるフィルム状のシート、すなわちスパンボンド法によって高密度ポリエチレン繊維を不規則に積層してなるフリースを形成し、これを加熱加圧することによって繊維同士を接着したフィルム状のシート、例えば代表例としてタイベック1073B及びタイベック1073Dなどのタイベック10シリーズが好ましく利用されている。
【0003】特に実公昭63−259号公報には、上記の高密度ポリエチレン繊維によるフイルム状のシートによる収納袋内に、空気の存在下に発熱する発熱組成物を収納した足温用の発熱体について記載されており、この足温用発熱体の収納袋は、足温用発熱体の使用の際の歩行時の蹴り力が加わっても破れるようなことのない強度を具備していることが説明されている。
【0004】しかしながらこの足温用の発熱体は、収納袋を形成している上記の高密度ポリエチレン繊維によるフィルム状のシートの表面が滑り易いために、使用している時の歩行の際に足が滑って歩き難いという欠点を有する。
【0005】なお、紙を滑り難くするための従来技術として、紙の表面にアルミナ、シリカ等による防滑層を形成するものがあるが、この手段による防滑層を上記のフィルム状のシート、つまりスパンボンド法によって高密度ポリエチレン繊維を不規則に積層してなるフリースを形成し、これを加熱加圧することによって繊維同士を接着したフィルム状のシートに対して形成すると、発熱体の収納袋にとって必要な通気性が得られなくなる。又、非通気性面を足の触れる表面に利用した場合を考えて実験を試みたが滑り難くするに十分な防滑性能は得られなかった。
【0006】又、実開平6−7543号公報には、収納袋の片面に複数列の粘着剤塗布層を設けてなる足温用発熱体が説明されており、この粘着剤塗布列を利用して靴下等に収納袋を粘着セットした状態で使用することにより、足温用発熱体を滑り難くし、これによって歩行し易くしたものが説明されている。
【0007】しかしながら、この粘着剤塗布列を具備する収納袋を利用した足温用発熱体は、使用に際してこれを靴下等へ粘着セットする操作、及び粘着セットした足温用の発熱体を靴下等から引き剥す操作が不便であり、依然として足温用の発熱体と靴底面の滑りが改善されず、しかも使用の際に足に対して不快感を与えるという欠点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は、足温するために使用する発熱体であって、これを使用しているときに足が滑って歩行し難くなるようなことがなく、又足に対して不快感を与えることがなく、更に使用に際しての取扱い操作が容易な足温用発熱体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に記載する構成による本発明の足温用発熱体によって達成することができる。
【0010】すなわち請求項1の発明は、通気性を有する表面側袋材と非通気性の裏面側袋材との2枚の袋材からなる偏平状で一端が円弧状に形成された収納袋内に、空気の存在下に発熱する発熱組成物を収納した足温用発熱体において、前記収納袋における表面側袋材上に複数の等間隔で且つ靴の横方向に平行筋状のポリオレフィン系樹脂が積層されており、裏面側袋材上には弱粘着剤が塗布されて周囲をヒートシールしたことを特徴とする足温用発熱体である。
【0011】裏面側袋材に用いられる非通気性シートは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱融着性フィルム単体、あるいはポリエステルやポリアミドのフィルムなどはエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、アイオノマー等のシーラントフイルムを貼りあわせたもの、又は、シーラントフイルムと不織布を貼り合わせたシートが使用できる。この不織布の種類には特に制限はなく、たとえば材質としてナイロン、ポリオレフィン、ポリエステルなど、強度面からはスパンボンド法によるものが良好に利用できる。
【0012】裏面側袋材に弱粘着剤が塗布される理由は、発熱体を靴底に取り付け取り外しを容易にするとともに装着時に滑らないようにする為であり、弱粘着剤の接着力は20〜50g/10mmが好ましい。
【0013】裏面側袋材に用いられる非通気性シート上に塗布される弱粘着剤としては、例えば■エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ゴムを主体に、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン等の粘着付与剤、無機充填剤、硬化剤よりなる粘着剤、■アクリル系粘着剤に粘着微球体や可塑剤を配合した粘着剤、■スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー主体のホットメルト粘着剤等、その他多くの粘着剤が使用できる。
【0014】粘着微球体は例えば2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部の懸濁重合によって作られ、この微球体粒子をアクリル系エマルジョン粘着剤と混合したり、微球体粒子を乾燥してアクリル系溶剤型粘着剤と混合して弱粘着剤が得られる。
【0015】又、アクリル粘着剤に可塑剤5〜20重量%、さらに所望により剥離剤0.1〜10重量%を混合することにより、足温用発熱体が靴底で滑らず、取り付け取り外しが容易な弱粘着剤が得られる。
【0016】又、ホットメルト粘着剤の場合、樹脂配合量を少なくし、オイル等の可塑剤を多く配合し、Tダイから巾が5〜10mmの細い複数の筋状として間隔1〜10mm程度の等間隔で平行に溶融押し出しすることにより、滑らずしかも取り付け取り外しが容易な弱粘着剤が得られる。
【0017】裏面側袋材の弱粘着剤塗布の工程で粘着剤が不織布に染み込む場合はポリエチレンアンダーコート層を設けるとよい。
【0018】表面側袋材には通気性素材として紙、不織布、微多孔膜等が使用できる。例えば、高密度ポリエチレンスパンボンド式不織布、例えばタイベック等は通気性の調節を他の手段で行うのであれば、十分な強度、ヒートシール性等を有するために発熱組成物収納袋の通気性面に一層で使用できる。
【0019】しかし、これらの通気性素材は一般的には強度が弱く、通気性を調節するために有孔フイルムと貼り合わせて表面側袋材として使用するのが一般的である。通気性素材と有孔フィルムを貼り合わせる方法は色々あるが、通気性を有するためには、部分接着する等、通気性を阻害しないようにする必要がある。例えば、通気性素材と有孔ポリオレフィンフイルムを重ね合わせて全面或いは部分的に熱融着する方法、有孔フイルムにグラビア塗工装置で全面或いは部分的にドライラミネート用接着剤を塗布して不織布や微多孔膜とドライラミネート法により貼り合わせる方法、エチレン−酢酸ビニール共重合樹脂やエチレン−アクリル酸系共重合樹脂を主成分とするホットメルト接着剤を有孔フイルムにパターンコートした後微多孔膜と重ね合わせて熱接着する方法、不織布の面に溶融押し出し機のTダイよりポリオレフィン樹脂を筋状に押し出し有孔フイルムと貼り合わす方法、等がある。
【0020】また、接触する皮膚に対する感触等の改善のために、カード法サーマルボンド式不織布或いはカード法樹脂浸漬接着式不織布とタイベックをホットメルト粘着剤をTダイから押し出し圧搾空気を当てて綿状にして不織布に塗布した後タイベックと圧着すること、いわゆるカーテンスプレー法により張り合わせて作られた通気性を調節したシートが表面側袋材に用いられる。
【0021】表面側袋材の表面にはポリオレフィン樹脂をTダイから筋状に溶融押し出ししたラミネート層が形成される。ポリオレフィン樹脂の塗工は不織布の上に、走行方向に平行に、例えば幅5mmの塗工部分と幅5mmの非塗工部分が交互に出現する連続線状模様が形成されるように150g/mの割合で塗工する。発熱体に仕上げる時点で、溶融押し出しラミネート装置で仕上げた走行方向に直角に裁断して使用される。尚、塗工部分と非塗工部分の幅、又塗工割合は足が滑って歩行し難くなることがなく歩行が円滑になるように適宜きめられる。
【0022】通気性の調節は有孔フイルムと通気性素材による以外に、筋状ラミネート層によっても通気性調節が可能あり、例えば通気性を大きくする場合、塗工幅を狭く非塗工幅を広くすればよい。例えば、塗工幅5〜10mm、非塗工幅2〜10mm、塗工割合50〜500g/mが良好である。
【0023】
【実施例】実施例1裏面側袋材はナイロンスパンボンド不織布(40g/m,ユニチカ製)にポリエチレン30ミクロンおよびその上にアイオノマー20ミクロンの厚さになるように溶融押し出し法で貼り合わせした。次に、坪量64g/mのグラシン紙にシリコーン剥離剤(信越化学製,KS−772)の5%トルエン溶液をバーコーターで固形分1.5g/m塗布し、120℃オーブンで2分間乾燥して剥離紙を製造し、この剥離面に懸濁重合で得られるアクリル微球状粘着剤(日本カーバイト製,TS−5000)を固形分10g/m塗布、120℃で乾燥し前記ナイロンスパンボンド不織布面に重ねて巻き取った。一方表面側袋材は、有孔ポリエチレンフィルムをドライラミネーターの塗工部に給紙しながら、酢酸エチルで希釈したウレタン系二液硬化型の接着剤(東洋モートン製,BHS6020)をグラビア方式(スクリーン線数150線/インチ、版深40ミクロン)、バックアップロールとグラビアロールとの線圧4.88kg/cmにて塗工し、乾燥部を通過させてから、別途給紙された厚さ120ミクロンの微多孔膜(徳山曹達製,NF−120−6)と貼合部にて貼合した。次に、この貼合シートを溶融押し出し機にかけて微多孔膜面にポリエチレン樹脂を幅5mmの塗工部分と幅5mmの非、塗工部分が交互に現出する連続線状(筋状)模様が形成されるように150g/mの割合で塗工した。裏面側袋材のアイオノマー側の面と表面側袋材の有孔ポリエチレン側の面が向き合うようにして重ね合わせ、一辺が円弧状となるようにして周縁の三辺を熱接着することにより有効部分が100×80mmの袋を作成した。この袋に鉄粉28部,活性炭8部,水10部,ひる石3部,食塩1部を混合してなる空気中の酸素と反応して発熱する組成物を30g充填してから開口部をヒートシールして足温用発熱体を作成した。粘着剤の接着力は30g/cmであり、靴底への取り付け取り外しの作業が簡便であり、また歩行時に滑ることが無い為歩行性が良好であった。
【0024】
【発明の効果】本発明の足温用発熱体は、靴底に接する面である裏面側袋材と足裏の爪先部分に接する表面側袋材よりなる袋状物に発熱組成物が封入されている。そして裏面側袋材の表面には弱粘着剤層が形成されている。その結果、弱粘着であるため靴の爪先部分に足温用発熱体を取り付ける作業或いは取り外す作業がし易く、又歩行時に足温用発熱体が位置ずれすることがない。又、表面側袋材の表面にはポリオレフィン樹脂を筋状に押し出し連続線状模様が靴の幅方向に形成されているため歩行時に爪先の滑りが押さえられる。これらの作用により歩行がし易くなった。
【出願人】 【識別番号】000122265
【氏名又は名称】王子化工株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月29日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−342150
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−188027